JP2002313901A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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JP2002313901A
JP2002313901A JP2001113589A JP2001113589A JP2002313901A JP 2002313901 A JP2002313901 A JP 2002313901A JP 2001113589 A JP2001113589 A JP 2001113589A JP 2001113589 A JP2001113589 A JP 2001113589A JP 2002313901 A JP2002313901 A JP 2002313901A
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insulating layer
electrostatic chuck
fluidized
wafer
polymer material
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Application number
JP2001113589A
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English (en)
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Teruyuki Matsuki
照幸 松木
Mikihide Sugihara
幹英 杉原
Kanichi Kadotani
▲皖▼一 門谷
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】各種の処理時にあって、被処理体の保持面と被
処理体との間に空隙が生じることなく、被処理体を効果
的に密着保持することができ、しかも被処理体を保持面
から容易に離脱させることができ、更には被処理体と保
持面との間の熱伝達性能を低下させない静電チャックを
提供する。 【解決手段】金属基板11上に、第1絶縁層12、導電
性パターン電極13、及び第2絶縁層14を順次積層一
体化して得られる静電チャック10にあって、少なくと
も第2絶縁層14を、周辺条件の変化により固相と液相
との間を可逆的に相変化するセラミック及び又は金属フ
ィラーを混入した高分子材料から構成し、被吸着体の吸
着時に、少なくとも第2絶縁層14が半流動化又は流動
化して、被吸着体を均一に密着保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造
における各種の成膜工程、プラズマエッチング工程、イ
オン注入工程、イオンドーピング工程などに適用可能な
半導体基板の吸着保持用静電チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置の製造工程において、
半導体基板に薄膜を形成するための成膜装置や微細加工
を施すためのエッチング装置、あるいはイオンドーピン
グ装置においては、半導体基板を保持するために静電チ
ャックが用いられている。この静電チャックは、絶縁層
の内部に電極を埋設して、その上面を基板の保持面と
し、この保持面に載置した基板と電極との間に直流電圧
を印加することで、誘電分極によるクーロン力や微少な
漏れ電流によるジョンソン・ラーベック力と呼ばれる吸
着力を発現させて、基板を保持面に吸着保持させる。
【0003】例えば、特開平6−349938号公報に
よれば、気密に構成された処理室内に設けられたサセプ
タ上の静電チャックシートにより、被処理体であるウエ
ハを静電気力にて吸着保持する。前記静電チャックシー
トのウエハ吸着面に複数のガス供給孔28が設けられて
おり、このガス供給孔28から供給されたHeのごとき
不活性ガスを静電チャックシートとウエハとの間に形成
されたガス分散溝部に分散させると共に、前記ガス分散
溝の外周に設けられたガス回収溝部を解してガスを排気
孔から排気する。こうして、ウエハと静電チャックシー
トとの間の熱伝導度を高めることによりウエハの温度分
布差を抑制すると共にガスの漏洩を防止し、ウエハを精
度良く処理しようとしている。
【0004】また、例えば特開平7−335630号公
報によれば、ウエハと加熱あるいは冷却機能をもつ静電
チャックのステージとの間の隙間を一様とさせず、その
隙間に、例えばHeガスとArガスのごとき熱伝導率の
よいガスと悪いガスからなる混合ガスを導入する。ガス
の混合比を変えることによって、ウエハとステージとの
間の熱通過率の分布を変化させ、ウエハの温度分布を変
化させ、或いはウエハとステージとの間の接触面あるい
は空間を複数の領域に分け、各領域のガスの圧力を個々
に制御することによりウエハの温度分布を変化させる。
かかる構成により、ウエハの均一な加熱冷却が実現さ
れ、半導体装置の製造時にウエハ温度を均一にすること
ができ、より微細で高性能な半導体装置の製造を可能に
するというものである。
【0005】また、例えば特開平9−298233号公
報による静電チャックは、金属基板上に熱伝導性シリコ
ーンゴムからなる第1絶縁層と第1絶縁層上に電極とし
て形成された導電性パターンと、同導電性パターン上に
硬さ85以下で、表面粗さが5μm以下である熱伝導性
シリコーンゴムからなる第2絶縁層を設けるようにし
て、放熱性に優れ、ウエハの温度を精度よく均一且つ一
定に保つというものである。
【0006】更に、特開平11−163109号公報で
は、静電チャックは、静電吸着用電極、ヒータ電極、プ
ラズマ発生用電極を構成する内部電極を備えたセラミッ
ク体の上面をウエハの保持面とするウエハ保持基体と、
このウエハ保持基体を構成するセラミック体との熱膨張
差が3×10-6/℃以下であり、気孔部に金属を充填し
た多孔質セラミック体からなるベース基体とからなり、
前記ウエハ保持基体の下面にアルミニウムを主成分とす
るロウ材を介して前記ベース基体をロウ付け接合してウ
エハ保持装置を構成している。そのため、冷却又は加熱
機能を有する金属製の温度制御装置との接合において、
接合部の熱伝達特性を損なうことなく、強固に接合する
ことができるというものである。
【0007】また、特開2000−113850号公報
によれば、静電チャックの電気絶縁体をシリコーンゴム
で構成し、このシリコーンゴムからなる電気絶縁体の表
面に、シリコーンゴムよりも離型性のよいダイヤモンド
状カーボン、フッ素樹脂、ポリイミドなどの電気絶縁性
膜を形成し、ウエハと静電チャックとの間の熱伝達性能
を低下させることなく、ウエハの離脱性を向上させてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開平
11−163109号公報に開示された静電チャックの
ように、ウエハ保持面をセラミックで構成すると、セラ
ミックが粉体の焼結により得られることと、高硬度の固
体同士が接触することになるため、ウエハとウエハ保持
面との接触面にミクロ単位の空隙が生じ、接触熱抵抗が
大きくなり、特に真空中では前記空隙中の空気がなくな
るため、接触熱抵抗はさらに高くなり、熱伝達性能は低
下する。
【0009】上記特開平6−349938号公報や特開
平7−335630号公報に開示された静電チャック
は、前述のようなウエハ保持面をセラミックにより保持
する場合の不具合を回避すべくなされたものであって、
真空時にセラミックとウエハとの間に生じる空隙にHe
ガスのような不活性ガスを供給し、熱伝達特性を向上す
ることも行われているが、そのためにガス供給装置を設
置する必要があり、装置全体の構造が複雑化するばかり
でなく大型化し、特に上記特開平7−335630号公
報のように2種類のガスを供給すると共に、そのガス供
給領域を制御してウエハの温度分布を均一にするには、
更に機構が複雑化して、到底実用に耐えることができな
い。
【0010】一方、特開平9−298233号公報のよ
うに、セラミックに代えてシリコーンゴムを使うと共
に、ウエハ保持面を構成する第2絶縁層には、特に硬さ
85以下の柔軟性があり、表面粗さが5μm以下である
熱伝導性シリコーンゴムを使うことで、ウエハに対する
馴染みやすさを得ると同時に放熱性を確保して、ウエハ
の温度分布を均一にしようとするものであるが、シリコ
ーンゴムは硬度の低下と共にその接着性能が増加するた
め、ウエハの分離がしにくくなり、更には耐腐食性に劣
るため耐久性に乏しい。
【0011】特開2000−113850号公報の静電
チャックによれば、シリコーンゴムの接着性による前記
不具合を避けるため、ウエハ保持面を構成するシリコー
ンゴムの表面に離型性のよいダイヤモンド状カーボン、
フッ素樹脂などの電気絶縁性膜を形成しているが、これ
らの材質からなる絶縁性皮膜の形成は容易でなく、しか
も側面が処理雰囲気中に曝されるため、上述のとおり耐
久性の点も期待できない。
【0012】本発明は、上述の課題を踏まえてなされた
ものであり、その具体的な目的は各種の処理時にあっ
て、被処理体の保持面と被処理体との間に空隙が生じる
ことなく、被処理体を効果的に密着保持することがで
き、しかも被処理体を保持面から容易に離脱させること
ができ、更には被処理体と保持面との間の熱伝達性能を
低下させない静電チャックを提供しようとすることにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用効果】請求項1に
係る発明は、金属基板上に配される第1絶縁層と、第1
絶縁層上に配される導電性パターン電極と、導電性パタ
ーン電極上に配される第2絶縁層とを備えた静電チャッ
クにあって、少なくとも前記第2絶縁層が、周辺条件の
変化により固相と液相との間を可逆的に相変化する高分
子材料から主に構成されてなり、被吸着体の吸着時に、
少なくとも前記第2絶縁層が半流動化又は流動化して、
被吸着体を均一に密着保持することを特徴とする静電チ
ャックにある。
【0014】高分子材料、特に請求項2に係る発明のご
とく熱可塑性樹脂材料である場合には、材質固有の温度
(軟化点又は融点)で軟化し或いは溶融して、半流動化
或いは流動化し、前記温度以下では固化する。前記軟化
点或いは融点は材質により異なるものであり、また処理
温度によっては燃焼或いは劣化してしまう場合がある。
また、電気的な処理条件によっても物性が変化する場合
がある。そのため、本発明にあっては静電吸着時におけ
る処理温度や電磁気的な条件などを考慮して、高分子材
料の材質を選定する必要がある。
【0015】高分子材料としては、請求項2に規定する
ように、熱可塑性樹脂材料が好ましく、その材質には、
各種ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ン結晶性ポリブタジエン、アイソタチックポリスチレン
などの炭化水素系合成樹脂、ポリアセタール、各種ポリ
アミド、各種のポリテレフタレート、ポリビニルアルコ
ールなどの縮合系合成樹脂、或いは非晶性合成樹脂であ
るポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタク
リレート、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、
更にはポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケ
トンなどの線状構造樹脂や、各種のプラスチックアロイ
を挙げることができる。
【0016】本発明にあって重要な点は、静電吸着時に
おける被吸着体の保持面を構成する第2絶縁層の樹脂材
料が半流動化又は流動化しており、静電吸着時以外の非
処理時にあっては同絶縁層が固化していなければならな
いことである。例えば、静電吸着時における処理温度が
前記樹脂材料の軟化点又は融点を超えると、第2絶縁層
が半流動化或いは流動化して大きな自由度をもって被吸
着体の保持面に沿って変形し、被吸着体の全保持面を空
隙なく密着保持する。また、処理が終了して周辺温度が
低下し前記樹脂材料の軟化点又は融点よりも低くなると
固層へと変化する。
【0017】本発明にあっては、前記樹脂材料と被吸着
体との間の接着性にも留意する必要がある。接着性が高
いと処理後に樹脂材料が被吸着体と接着した状態で固化
してしまい、被吸着体を被吸着面から剥がしにくくな
り、場合によっては被吸着体を破損しかねない。従っ
て、第2絶縁層の吸着面を高分子材料にて直接構成する
場合には、例えばポリメチルペンテンのような他の材質
との接着性に乏しい材質を用いる。因みに、このポリメ
チルペンテンの融点は230℃〜240℃と高分子材料
のなかでは極めて溶融温度が高いため、被吸着体に対す
る高温処理にも十分に耐え得る。
【0018】一方、高分子材料は一般に導電率が低く絶
縁性であるため静電チャックの絶縁層としては極めて有
効ではあるが、熱伝導率が低く、放熱性に乏しく、被吸
着体の加熱・冷却効率が低い。そこで、本発明にあって
は、請求項2にも規定するごとく、高分子材料にセラミ
ックや金属からなる微細なフィラーを混入して、第2絶
縁層の熱伝導率を高めている。このとき、セラミックフ
ィラーの材質としてはアルミナが好ましく、更に熱伝導
性を高めるには金属フィラーを混入させることが望まし
く、金属フィラーとしてはアルミニウムが熱伝導性に優
れるため好ましく、これらの混入により第2絶縁層の絶
縁性が確保されると同時に熱伝達性を大幅に増加させる
ことができる。
【0019】請求項3に係る発明は、前記高分子材料の
露出表面をエネルギー線硬化粘着剤の硬化被膜で被覆し
ていることを特徴としている。このエネルギー線硬化粘
着剤は、エネルギー線照射前には被吸着体に対する接着
力に優れているが、エネルギー線を照射して硬化させる
と接着力が著しく低下するため、静電チャックの吸着面
から被吸着体を剥離するときも簡単に剥離させることが
できる。
【0020】エネルギー線硬化粘着剤の主成分の一つで
あるアクリル系粘着剤としては、例えば特開2000−
129227号公報に開示されているように、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメ
タンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールジアクリート、1,6
−ヘキサンジオールジアクリレート、ポエチレングリコ
ールジアクリレートなどが挙げられ、エネルギー線硬化
粘着剤の他の主成分であるエネルギー線重合性化合物と
しては、ウレタンアクリート系オリゴマーを用いること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、プラズ
マエッチング装置に適用された本発明の静電チャックの
一実施例を示す概略構成図である。
【0022】本実施例による静電チャック10は、金属
基板11上に配される高分子材料からなる第1絶縁層1
2と、第1絶縁層12上に配される電極13と、電極1
3上に配される高分子材料からなる第2絶縁層14と
を、それぞれ接着剤15,16を介して接着により積層
一体化することにより構成される。前記金属基板11の
内部には冷却通路18が形成されており、同通路18内
には冷却媒体である、例えばガルデンなどが循環してい
る。また、前記導電パターン電極13は図示を省略した
電源とリード線を介して接続されている。
【0023】前記金属基板11は、プラズマを発生させ
る場合に印加する高周波電源の電極として機能し、プラ
ズマガスに対して耐久性があり、発塵のないアルミニウ
ム或いはアルミニウム合金などを使用することが好まし
い。第1絶縁層11及び第2絶縁層14の間に介装され
る上記導電パターン電極13は、静電チャックのウエハ
吸着のための電極として作用し、その材質としては銅、
アルミニウム、銀等の金属系導電体、窒化チタン等のセ
ラミック系の導電体を挙げることができる。
【0024】本実施例による第1絶縁層12及び第2絶
縁層14、特に第2絶縁層14の材質としては、プラズ
マエッチング時のウェハ温度が100〜160℃である
ことを考慮して、80〜170℃の範囲内において半流
動化(軟化)或いは完全に流動化するものであることが
必要である。本実施例では、高分子材料として低密度の
ポリエチレン(融点:105〜115℃)やポリ1−ブ
テン(融点:120〜128℃)、ポリプロピレン(融
点:150〜170℃)などが使われる。第1絶縁層1
2に使用される高分子材料としては、その融点がプラズ
マエッチング時の室内温度である160℃以上であるこ
とが好ましく、例えば熱伝導性シリコーンゴムなどの熱
硬化性樹脂材料を使うことができ、或いはポリ4−メチ
ルペンテン−1(融点:235〜240℃)のような絶
縁性、耐熱性能に優れる熱可塑性樹脂材料が使われる。
【0025】本実施例によれば、前記第1絶縁層12及
び第2絶縁層14にアルミナフィラー及びアルミニウム
フィラーが混入されている。高分子材料は一般に熱伝達
特性に劣るため、これらのフィラーを混入することによ
り熱伝導性を大幅に増加させることができ、高温下にあ
る半導体ウエハなどの被吸着体からの放熱性の大幅に改
善される。
【0026】上記金属基板11上に配される高分子材料
からなる第1絶縁層12との間に配される接着剤15と
しては、シリコーンゴム系やアクリル系接着剤を挙げる
ことができ、第1絶縁層12と導電パターン電極13及
び第2絶縁層14との間に配される接着剤16にはアク
リル系接着剤を挙げることができる。
【0027】更に、本実施例にあっては前記第1絶縁層
12、導電パターン電極13及び第2絶縁層14の全表
面をエネルギー線硬化粘着剤の硬化被膜17をもって被
覆している。このエネルギー線硬化粘着剤としては、既
述したとおり、各種のアクリル系粘着剤とエネルギー線
重合性化合物との混合成分からなるが、その材質の選定
は第1絶縁層12、第2絶縁層14及び接着剤15,1
6の材質との親和性に基づいて決められる。その膜厚は
0.5〜20μm程度であることが、第2絶縁層14が
半流動化又は流動化したときの被吸着体である半導体ウ
エハとの馴染み性を確保するために好ましい。
【0028】次に、前述の構成からなる本実施例の静電
チャックを備えたプラズマエッチング装置によるエッチ
ング処理について、その概要を説明する。図示は省略す
るが、一般にプラズマエッチング装置は気密性を有する
処理室内にプラズマを発生させるための上下電極、同処
理室内を減圧するための排気系を備えている。前記処理
室は、その内壁面の表面を酸化アルマイト処理されたア
ルミニウムなどの導電体により構成すると共に、処理ガ
ス及びプラズマによる反応生成物が内壁面上に付着する
のを防ぐための加熱手段を備えている。
【0029】本実施例にあって、前記上部電極は第1絶
縁層12と第2絶縁層14との間に配された導電パター
ン電極13であり、上記下部電極は静電チャック10を
支持する上記金属基板11である。前記導電パターン電
極13は、電気的に接地されており、前記金属基板11
はアルミニウムで形成され、図示せぬ高周波電源に接続
されている。また、前記金属基板11の内部には、図示
せぬ絶縁体を介して被吸着体である半導体ウエハの温度
を制御すべく冷却通路18が設けられており、この冷却
通路18には例えばガルデンが導入される。
【0030】本実施例による上記静電チャック10によ
れば、第2絶縁層14の吸着面に半導体ウエハを載置す
る際に、導電パターン電極13に高電圧を給電し、これ
により半導体ウエハの表面と第2絶縁層14とには相対
する電荷が帯電され、この電荷により静電吸着力が生
じ、半導体ウエハを静電チャック10の吸着面に吸着保
持する。次に、図示せぬ処理室内に処理ガスを導入し、
処理室内の圧力を設定圧維持して、図示せぬ高周波電源
より500〜2KWの処理電力を印加し、導電パターン
電極13と半導体ウエハ間にプラズマを発生させ、この
プラズマにより半導体ウエハをエッチング処理する。
【0031】前述のように半導体ウエハを静電チャック
10の吸着面に吸着させた時点では、静電チャック10
の吸着面と被吸着体である半導体ウエハとの間には、図
2(a)に示すように、多数の微小な隙間が生じてい
る。この状態で、プラズマを発生させて半導体ウエハW
を加工するとき、このプラズマ発生時の発生熱量により
高温化して、第2絶縁層14が固相から軟化或いは流動
化して液相化し、同図(b)に示すように、第2絶縁層
14の吸着面が半導体ウエハWの下面の凹凸に馴染んで
密着するようになる。
【0032】エッチング工程が終了して、高周波電源よ
りの印加電力が遮断されてプラズマの発生がなくなる
と、半導体ウエハWへの入熱がなくなり、静電チャック
10の温度が下がる。この温度低下により、第2絶縁層
14は固化し、図2(c)に示す状態で半導体ウエハW
を保持することになる。このとき、本実施例にあっては
第2絶縁層14の吸着面が上記硬化被膜17で被覆され
ているため、この硬化被膜17と第2絶縁層14との間
で接着がなく、且つ硬化被膜17と半導体ウエハWとの
間にも接着力が働かず、同図(d)に示すように、半導
体ウエハWを吸着面から容易に剥がして搬出できる。
【0033】図3は、本発明の他の実施例を示す静電チ
ャック100の模式図である。この実施例では、第1絶
縁層112、第2絶縁層114及び接着剤115,11
6の外部露出面を、上記実施例のごとき硬化被膜で被覆
していない。この場合、第1絶縁層112、第2絶縁層
114及び接着剤115,116の全てが耐腐食性に優
れ、しかも特に第2絶縁層114に処理室内の高温下で
も流動化せずに軟化状態を保持する物性をもつ高分子材
料を使う。
【0034】かかる高分子材料には、例えばフッ素系樹
脂やフッ素系ゴムを使うことができ、耐熱性、耐腐食性
に優れているのに加えて、接着性に乏しいため、処理後
に吸着面から被吸着体を剥がしやすい。フッ素系樹脂と
してはPTFE、PFA、FEP、EPE、ETFE、
PCTFE、ECTFE、PVDF、PVFなど多種類
あるが、その融点も170℃〜327℃の間と広い範囲
に分散しているため、被吸着体の処理温度に応じて適当
な材質を選定することができ、各種の処理温度下で溶融
せず、半流動化状態(ゲル状態)で被吸着体を吸着保持
できるような材質を選べばよい。
【0035】このように、本発明の静電チャックによれ
ば、処理室内の温度に応じて、吸着面を構成する第2絶
縁層14,114を半流動化(軟質化)或いは流動化し
て、被吸着体の吸着面に存在する微小な凹凸面に隙間な
く密着して吸着保持するようにしている。なお、上記硬
化被膜17で被覆し、或いは上記第2実施例のごとく何
ら被覆せずに、第2絶縁層14,114の形態を保持し
得ない場合には、第2絶縁層14、114の周側面を保
持するため、例えばセラミック製枠体を設けるようにす
ることもできる。その結果、真空中における接触熱抵抗
の増加が効果的に抑制でき、従来のごとく、伝熱促進用
のHeなどのガス供給設備が不要となる。
【0036】また、前述のごとく、接触熱抵抗を低減さ
せることができるため、被吸着体自体の温度を低く設定
することができ、或いは被吸着体の冷却能力を従来より
も低くできるようになる。更には、第2絶縁層14,1
14が軟化或いは流動化しているため、吸着対象である
例えば半導体ウエハの交換が頻繁に行われても、第2絶
縁層14,114の吸着面はそれぞれの半導体ウエハの
吸着面形状に馴染むため、交換された全てのウエハに対
して接触熱抵抗を最小限に抑えることが可能となる。ま
た、上記第1実施例では、第1絶縁層12、第2絶縁層
14及び接着剤15,16の全露出表面が硬化被膜17
により被覆しているため、処理室内の周辺雰囲気に直接
曝されることがなく、そのための腐食や劣化などの不具
合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である静電チャックの構造
を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の静電チャックによるプラズマエッチン
グ加工時の半導体ウエハの吸着保持及び開放の形状変化
を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施例である静電チャックの構造
を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10,100 静電チャック 11,111 金属基板 12,112 第1絶縁層 13,113 導電パターン電極 14,114 第2絶縁層 15,115 接着剤 16,116 接着剤 17 硬化被膜 18,118 冷却通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門谷 ▲皖▼一 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 Fターム(参考) 4K029 AA24 BD01 JA05 4K030 CA12 GA02 KA46 KA47 5F004 AA01 BB22 BB30 CA04 5F031 CA02 HA02 HA03 HA16 HA38 MA32

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基板(11,111)上に配される第1絶縁
    層(12,112)と、第1絶縁層(12,112)上に配される導電性
    パターン電極(13,113)と、導電性パターン電極(13,113)
    上に配される第2絶縁層(14,114)とを備えた静電チャッ
    ク(10,100)にあって、 少なくとも前記第2絶縁層(14,114)が、周辺条件の変化
    により固相と液相との間を可逆的に相変化する高分子材
    料から主に構成されてなり、 被吸着体(W) の吸着時に、少なくとも前記第2絶縁層(1
    4,114)が半流動化又は流動化して、被吸着体(W) を均一
    に密着保持することを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】 前記高分子材料が熱可塑性樹脂材料から
    なり、同高分子材料にセラミック及び/又は金属のフィ
    ラーが分散されてなることを特徴とする請求項1記載の
    静電チャック。
  3. 【請求項3】 前記高分子材料の露出表面をエネルギー
    線硬化粘着剤の硬化被膜(17)で被覆してなることを特徴
    とする請求項1又は2記載の静電チャック。
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