JP2002313578A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

Info

Publication number
JP2002313578A
JP2002313578A JP2001117306A JP2001117306A JP2002313578A JP 2002313578 A JP2002313578 A JP 2002313578A JP 2001117306 A JP2001117306 A JP 2001117306A JP 2001117306 A JP2001117306 A JP 2001117306A JP 2002313578 A JP2002313578 A JP 2002313578A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
organic
cal
light emitting
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001117306A
Other languages
English (en)
Inventor
Hodaka Tsuge
穂高 柘植
Akihiro Komatsuzaki
明広 小松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001117306A priority Critical patent/JP2002313578A/ja
Publication of JP2002313578A publication Critical patent/JP2002313578A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡易な多層積層構造を有する有機エレクトロル
ミネッセンス素子を提供する。 【解決手段】発光層40を構成する有機物を、発光層4
0の陽極層10側に積層して形成される正孔輸送層20
を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度パラメー
タを有する溶媒に可溶とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高輝度での発光が
可能な有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、米国特許第6097147号によ
り、燐光を放射する物質を含有する発光層を備えた多層
積層構造で形成され、発光効率を向上させた有機エレク
トロルミネッセンス素子が知られている。
【0003】このものにおいて、多層から成る薄膜の積
層形成に際して発光性物質の蒸着工程を用いる、いわゆ
る乾式法を採用しているため、製造工程が複雑になり生
産効率が悪い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では上記問題点
に鑑み、簡易な多層積層構造を有する有機エレクトロル
ミネッセンス素子を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、陽極層及び陰極層の両電極層と、ホスト
剤と燐光を放射するドープ剤とを有する発光層と、前記
両電極層の間で該発光層に積層する有機層とを具備し、
前記電極層の一方が基板上に形成される有機エレクトロ
ルミネッセンス素子において、前記発光層を構成する有
機物を、前記発光層の前記基板側に積層して形成される
有機層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度パ
ラメータを有する溶媒に可溶とした。
【0006】ここで、モル蒸発熱ΔH、モル体積Vの液
体の絶対温度Tにおける溶解度パラメータSPは、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 で定義される。ただし、上記式中、SPは溶解度パラメ
ータ(単位:(cal/cm31/2)であり、ΔHはモ
ル蒸発熱(単位:cal/mol)であり、Rは気体定
数(単位:cal/(mol・K))であり、Tは絶対
温度(単位:K)であり、Vはモル体積(単位:cm3
/mol)である。
【0007】本発明では、発光層を構成する有機物を、
有機層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度パ
ラメータを有する溶媒に溶解して、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子を多層積層構造として形成する。この
際、有機層を構成する有機物は、発光層を構成する有機
物の溶解に用いた溶媒に対して溶解度が僅小であるの
で、有機層と発光層とは、互いに隣接して積層した場
合、各薄膜層を構成する有機物が溶解・混合することな
く薄膜層を形成できる。即ち、発光層及び有機層の各薄
膜層を構成する有機物を溶解する溶媒をそれぞれ用いた
湿式法により簡便な薄膜形成が可能である。
【0008】この場合、前記有機層を構成する有機物
を、正孔注入性物質、正孔輸送性物質、電子ブロック性
物質のうち一種類以上から構成することが望ましい。
【0009】そして、この場合、前記有機層を構成する
有機物は、室温において8.9(cal/cm31/2
満の溶解度パラメータを有する溶媒に不溶であり、前記
発光層を構成する有機物は、室温において7.0(ca
l/cm31/2以上8.9(cal/cm31/2未満の
溶解度パラメータを有する溶媒に可溶であるように構成
することが望ましい。
【0010】また、この場合、前記有機層を構成する有
機物は、室温において10.0(cal/cm31/2
り大きく、且つ、13.0(cal/cm31/2以下の
溶解度パラメータを有する溶媒に不溶であり、前記発光
層を構成する有機物は、室温において10.0(cal
/cm31/2より大きく、且つ、13.0(cal/c
31/2以下の溶解度パラメータを有する溶媒に可溶で
あるように構成することも可能である。
【0011】これらの場合、前記ドープ剤は、化学式
[化1]又は[化2]で表される化合物を用いるのが好
適である。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、発光効率の向上を目的と
して多層に積層された素子構造を有する有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の基本構造を示す。有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の素子構造は、陽極層10と陰極層
70との両電極層の間に、図外の基板上に形成された陽
極層10に、正孔輸送層20、電子ブロック層30、発
光層40、正孔ブロック層50及び電子輸送層60の各
薄膜層が順次積層されて成る多層積層構造であり、発光
層40は、発光層ドープ剤41と発光層ホスト剤42と
を有して構成されている。
【0013】図1乃至図5で示される各素子構造におい
て、陽極層10は、例えばガラス基板のような透明絶縁
性支持体に形成された透明な導電性物質が用いられ、そ
の材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫イン
ジウム(ITO)などの導電性酸化物、あるいは、金、
銀、クロムなどの金属、よう化銅、硫化銅などの無機導
電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリ
ン等の導電性ポリマーなどを用いることができる。
【0014】また、陰極層70が透明な材料で形成され
ている場合には、陽極層10は不透明な材料で形成され
ても良い。
【0015】また、図1乃至図5で示される各素子構造
において、陰極層70には、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシ
ウム、ストロンチウム、バリウム、硼素、アルミニウ
ム、銅、銀、金などの単体または合金が使用できる。さ
らに、これらを積層して使用することもできる。また、
テトラヒドロアルミン酸塩により湿式で形成することも
できる。この場合、陰極層70に用いられるテトラヒド
ロアルミン酸塩としては、特に、水素化アルミニウムリ
チウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニ
ウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウムを挙
げることができる。この中で、水素化アルミニウムリチ
ウムが、特に電子輸送層への電子注入性に優れている。
【0016】また、正孔輸送層20は、陽極から注入さ
れる正孔を輸送するための層であり、正孔輸送性有機物
を含む有機層である。正孔輸送層性有機物の例として、
【0017】
【化3】
【0018】[化3]に示すポリ(N−ビニルカルバゾ
ール)(以下PVKともいう。)、
【0019】
【化4】
【0020】[化4]に示すポリ(パラ−フェニレンビ
ニレン)、
【0021】
【化5】
【0022】(化学式[化5]中、RはC,H,O,Nで
構成する置換基である)[化5]を繰り返し単位として有
するポリカルバゾール化合物などの高分子からなること
が好ましい。あるいは、
【0023】
【化6】
【0024】[化6]に示すN,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビ
フェニル−4,4’−ジアミン(以下TPDともい
う。)、
【0025】
【化7】
【0026】[化7]に示すカルバゾールビフェニル
(以下、CBPとも言う。)、
【0027】
【化8】
【0028】[化8]に示すN,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(1−ナフチル)―1,1’−ビフェニ
ル−4,4’−ジアミン(以下、NPDとも言う。)
【0029】
【化9】
【0030】[化9]に示す4,4’−ビス(10−フ
ェノチアジニル)ビフェニル、
【0031】
【化10】
【0032】[化10]に示すカッパーフタロシアニン
等が挙げられる。
【0033】また、電子ブロック層30は、陰極層70
から発光層40へ注入された電子がそのまま陽極層10
へ通過してしまうことを防ぐため電子をブロックするた
めの層であり、電子ブロック性物質で構成される。電子
ブロック性物質としては、例えば、[化3]、[化4]、
[化6]乃至[化9]で示される化合物や、
【0034】
【化11】
【0035】[化11]に示す2,4,6−トリフェニル
−1,3,5−トリアゾール、
【0036】
【化12】
【0037】[化12]に示すフローレン、などを挙げる
ことができる。
【0038】また、発光層40はドープ剤41とホスト
剤42とを有し、これらドープ剤41とホスト剤42と
を均一に分散させるため、バインダ高分子を添加するこ
とも可能である。ホスト剤42は、陽極層10及び陰極
層70からそれぞれ注入された正孔と電子とが発光層4
0において再結合する際に賦活されて励起子として作用
する物質であり、
【0039】
【化13】
【0040】[化13]に示す1,3,5−トリ(5−
(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール))フェニル(以下OXD−1ともい
う。)
【0041】
【化14】
【0042】(化学式[化14]中、RはC,H,O,N
で構成する置換基を示す。)[化14]を繰り返し単位と
して有するポリフルオレン化合物、などが挙げられる。
【0043】一方、発光層40のドープ剤41は、励起
子たるホスト剤の励起エネルギーにより燐光を放射する
物質であり、
【0044】
【化15】
【0045】[化15]に示すトリ(2フェニルピリジ
ン)イリジウム錯体(以下Ir(ppy)3とも言
う。)、
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】(化学式[化21]中、acacは、
【0053】
【化22】
【0054】[化22]で示される官能基を示す。下記
[化23]乃至[化27]に示す化学式において同じ。)
【0055】
【化23】
【0056】
【化24】
【0057】
【化25】
【0058】
【化26】
【0059】
【化27】
【0060】[化16]乃至[化21]、[化23]乃至[化
27]で示されるイリジウム錯体化合物、
【0061】
【化28】
【0062】[化28]に示す2,3,7,8,12,
13,17,18−オクタエチル−21H,23H−白
金(II)ポルフィン(以下PtOEPとも言う。)など
を挙げることができる。
【0063】また、発光層40に添加可能なバインダ高
分子の例として、ポリスチレン、ポリビニルビフェニ
ル、ポリビニルフェナントレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリビニルペリレン、ポリ(エチレン−co−ビニ
ルアセテート)、ポリブタジエンのcisとtran
s、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリビニルピロリ
ドン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、
ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(2−ビニルピリジン
−co−スチレン)、ポリアセナフチレン、ポリ(アク
リロニトリル−co−ブタジエン)、ポリ(ベンジルメ
タクリレート)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(スチ
レン−co−アクリロニトリル)、ポリ(4−ビニルビ
フェニル)、ポリエチレングリコールなどが挙げられ
る。
【0064】また、正孔ブロック層50は、陽極層10
から発光層40へ注入された正孔がそのまま陰極層70
へ通過してしまうことを防ぐため正孔をブロックするた
めの層であり、正孔ブロック性物質で構成される。正孔
ブロック性物質としては、例えば、
【0065】
【化29】
【0066】[化29] に示す2−(4−ビフェニリ
ル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール、(以下PBDともい
う。)、
【0067】
【化30】
【0068】[化30]に示すバソキュプロイン(以下B
CPともいう。)、[化13]に示すOXD−1、
【0069】
【化31】
【0070】[化31]に示すトリス(8−ヒドロキシ
キノリナート)アルミニウム(以下Alq3ともい
う。)、
【0071】
【化32】
【0072】[化32]に示す3−(4−ビフェニリ
ル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フ
ェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZとも
いう。)、
【0073】
【化33】
【0074】[化33]に示す4,4’−ビス(1,1
−ジフェニルエテニル)ビフェニル(以下にDPVBi
ともいう。)、
【0075】
【化34】
【0076】[化34]に示す2,5−ビス(1−ナフ
チル)−1.3.4−オキサジアゾール(以下にBND
ともいう。)
【0077】
【化35】
【0078】[化35]に示される4,4’−ビス
(1,1−ビス(4−メチルフェニル)エテニル)ビフ
ェニル(以下DTVBiとも言う。)、
【0079】
【化36】
【0080】[化36]に示される2,5−ビス(4−
ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下
BBDともいう。)、
【0081】
【化37】
【0082】
【化38】
【0083】[化37]、[化38]に示すようなオキ
サジアゾール系高分子化合物、
【0084】
【化39】
【0085】
【化40】
【0086】[化39]、[化40]で示すようなトリ
アゾール系高分子化合物、などを挙げることができる。
【0087】また、電子輸送層60は、陰極層70から
注入される電子を輸送するための層であり、電子輸送剤
を含む。電子輸送剤は、電子輸送性高分子で構成され、
さらに電子輸送性低分子を含む構成が可能である。
【0088】ここで、電子輸送性低分子の例として、
[化29]に示すPBD、[化31]に示すAlq3、
[化32]に示すTAZ、[化33]に示すDPVB
i、[化34]に示すBND、[化35]に示すDTV
Bi、[化36]に示すBBDなどを挙げることができ
る。
【0089】また、電子輸送性高分子の例として、[化
37]、[化38]で示されるようなオキサジアゾール
系高分子化合物、[化39]、[化40]で示されるよ
うなトリアゾール系高分子化合物、
【0090】
【化41】
【0091】(化学式[化41]中、RはC,H,O,N
で構成する置換基を示す。)[化41]を繰り返し単位に
有するポリフルオレン化合物、などが挙げられる。
【0092】発光効率のさらなる向上や構造の簡素化の
ため、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子の
基本構造に変更を加えたものとして、図2乃至図5に示
す素子構造が可能である。
【0093】図2で示される有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の素子構造は、本発明の有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の第1の実施形態を示す。図1の電子ブロ
ック層30と正孔ブロック層50とが省略されている
が、図2において、正孔輸送層20に電子ブロック効果
を、電子輸送層60に正孔ブロック効果をそれぞれ持た
せて、発光効率を維持させることができる。
【0094】図3で示される有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の素子構造は、図1で示す素子構造において、
電子ブロック層30を省略したものである。
【0095】図4で示される有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の素子構造は、図1で示す素子構造から、電子
ブロック層30を省略し、陰極層70と電子輸送層60
との間に電子注入性物質で構成される電子注入層61を
追加したものである。
【0096】電子注入性物質としては、たとえば、フッ
化リチウム、酸化リチウム、
【0097】
【化42】
【0098】[化42]で示される8−ヒドロキシキノリ
ナートリチウム(以下Liqともいう。)などが挙げら
れる。
【0099】図5で示される有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の素子構造は、図1で示す素子構造から、電子
ブロック層30を省略し、陽極層10と正孔輸送層20
との間に正孔注入性物質から成る正孔注入層21を追加
し、陰極層70と電子輸送層60との間に電子注入層6
1を追加したものである。
【0100】正孔注入性物質としては、例えば、[化1
0]に示すカッパーフタロシアニンなどの金属フタロシ
アニンや、
【0101】
【化43】
【0102】[化43]で示される、ポリ(3,4)エチ
レンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート
(以下PEDT/PSSともいう。)、などが挙げられ
る。
【0103】次に、図2を本発明の第1の実施形態とし
て、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を説
明する。
【0104】まず、図外の基板となる透明絶縁性支持
体、例えばガラス基板上に陽極層10を蒸着法またはス
パッタ法にて形成する。
【0105】次に、正孔輸送性高分子または正孔輸送性
低分子を溶媒に溶解または分散した第1の溶液を作成す
る。ここで、第1の溶液に、さらにバインダ高分子を溶
解または分散することも可能である。そして、第1の溶
液を用いた湿式法によって、陽極層10上に有機層とし
て正孔輸送層20を形成する。
【0106】さらに、発光層40のドープ剤41とホス
ト剤42とを溶媒に溶解または分散した第2の溶液を作
成する。ここで、第2の溶液に、さらにバインダ高分子
を溶解または分散することも可能である。そして、その
第2の溶液を用いた湿式法によって、上記正孔輸送層2
0上に発光層40を形成する。
【0107】その後、電子輸送性高分子または電子輸送
性低分子を溶媒に溶解または分散した第3の溶液を作成
する。ここで、第3の溶液に、さらにバインダ高分子を
溶解または分散することも可能である。その第3の溶液
を用いた湿式法によって、発光層40上に電子輸送層6
0を形成する。
【0108】また、第2の溶液に用いた溶媒の溶解度パ
ラメータは、発光層40の成膜温度において、正孔輸送
層20に含まれる物質(正孔輸送性高分子または正孔輸
送性低分子など)に対して可溶範囲外を示す値を有す
る。このような溶媒を用いた、湿式法による発光層40
の形成において、下層の正孔輸送層20に含まれる有機
物を溶解することがない。
【0109】例えば、正孔輸送層20に含まれる有機物
が正孔輸送性高分子たる、[化3]に示すPVKの時、こ
のPVKの可溶範囲を示す溶解度パラメータは、室温に
おいて、8.9(cal/cm31/2以上10.0(c
al/cm31/2以下である。従って、第2の溶液に用
いる溶媒として、この溶解度パラメータの範囲外にある
溶媒を用いると、正孔輸送層20に含まれるPVKを溶
解することなく発光層40を形成することができる。こ
のような溶媒の例として、キシレン(溶解度パラメータ
が8.8(cal/cm31/2)、エチルベンゼン(溶
解度パラメータが8.7(cal/cm31/2)、2−
ニトロプロパン(溶解度パラメータが10.1(cal
/cm31/2)、シクロヘキサン(溶解度パラメータが
8.2(cal/cm31/2)などが挙げられる。
【0110】この時、上記の第1乃至第3の溶液に用い
る溶媒は自然乾燥によって蒸発することにより、正孔輸
送層20と発光層40と電子輸送層60とが形成され
る。この場合、加熱、紫外線の照射による重合、硬化等
の処理を行う必要がなく、従って、製造工程が簡単であ
り、生産効率を向上させることができる。
【0111】本発明で使用される湿式法には、たとえば
キャスティング法、ブレードコート法、浸漬塗工法、ス
ピンコート法、スプレイコート法、ロール塗工法、イン
クジェット塗工法などの通常の塗工法が含まれる。
【0112】最後に、電子輸送層60上に、蒸着法など
を用いて陰極層70を形成し、本発明の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子が得られる。
【0113】なお、溶解度パラメータSPは、モル蒸発
熱ΔH、モル体積Vの液体の絶対温度Tにおいて、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 で定義される。ただし、上記式中、SPは溶解度パラメ
ータ(単位:(cal/cm31/2)であり、ΔHはモ
ル蒸発熱(単位:cal/mol)であり、Rは気体定
数(単位:cal/(mol・K))であり、Tは絶対
温度(単位:K)であり、Vはモル体積(単位:cm3
/mol)である。
【0114】また、図3は、本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子の第2の実施形態であり、上記図2で
示される素子構造の製造工程中、電子輸送層60の形成
前に、発光層40上にPBDなどの正孔ブロック性物質
を湿式法により成膜して正孔ブロック層50を形成した
後に、該正孔ブロック層50上に、上記図2と同様に電
子輸送層60と陰極層70とを順次形成する製造工程を
経て得られる。
【0115】また、図4は、本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子の第3の実施形態であり、上記図3で
示される素子構造の製造工程中、陰極層70の形成前
に、電子輸送層60上に、フッ化リチウムなどの電子注
入性物質を蒸着法により成膜して電子注入層61を形成
した後に、該電子注入層61上に、上記図3と同様に陰
極層70を形成する製造工程を経て得られる。
【0116】さらに、図5は、本発明の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の第4の実施形態であり、上記図4
で示される素子構造の製造工程中、正孔輸送層20の形
成前に、陽極層10上に、[化10]で示すカッパーフタ
ロシアニンなどの正孔注入性物質を蒸着法により成膜し
て正孔注入層21を形成し、次に、上記図4と同様に、
電子輸送層20、発光層40、正孔ブロック層50、電
子輸送層60を順次形成し、その後、電子輸送層60上
に、フッ化リチウムなどの電子注入性物質を蒸着法によ
り成膜して電子注入層61を形成し、さらに、電子注入
層61上に、上記図3と同様に陰極層70を形成する。
【0117】
【実施例】[実験1]所定の膜厚を有する薄膜を基板上に
積層したテストピースを作成し、所定の溶解度パラメー
タを有する溶媒に対する溶解範囲を測定した。
【0118】有機エレクトロルミネッセンス素子を構成
する、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロ
ック層、電子輸送層、電子注入層などの薄膜層の材料6
mgを、可溶な溶媒1mlに溶解して、溶液を作成す
る。この溶液を用いて、酸素プラズマ処理を施した市販
のITO基板(旭硝子社製:20Ω/□)上に、スピン
コート法により膜厚が50nmとなるように、回転数及
び時間を調整して、薄膜付の基板を作成し、テストピー
スとする。
【0119】
【表1】
【0120】[表1]に示す溶解度パラメータを有する溶
媒を、これら溶解度パラメータ値の昇順に用意し、図6
(a)及び図6(b)に示すように、それらの溶媒1で
満たされたビーカー2にテストピース3をそれぞれ10
秒間浸漬させ、その後、図6(c)に示すように、テス
トピース3を取り出して薄膜が溶解したか否かを目視で
確認する。
【0121】薄膜が溶解する溶媒の溶解度パラメータの
うち、最小値と最大値とをテストピースの溶解範囲と定
義する。 [実施例1]ゲルパーエイションクロマトグラフィーに
より測定したポリスチレン換算重量平均量(以下分子量
という。) 1,100,000のPVK6mgを1m
lの1,2ジクロロエタンで溶解して、溶液1を作成し
た。
【0122】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mgとバインダ高分子として分子
量100,000のポリビニルビフェニル 2.5mg
とをキシレン(溶解度パラメータ8.8(cal/cm
31/2)1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0123】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。この、正孔輸送
層の溶解範囲は8.9〜10.0(cal/cm31/2
であった。
【0124】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0125】真空蒸着装置により電子輸送層としてAl
q3を真空度10−3Paで蒸着速度1nm/secで
50nmの薄膜層を形成し、最後に、アルミニウムとリ
チウムを、リチウムが1%となるように蒸着速度1nm
/secで共蒸着して陰極を形成した。
【0126】このようにして得られる図2に示す素子構
造において、9V、1mA/cm2で480cd/m2
緑色の発光を得た。
【0127】[実施例2] [実施例1]の溶液2の溶媒を
下記に示す[表2]の溶媒にした以外は[実施例1]と同様
に図2に示す素子構造を作成したところ、[表2]のよう
な発光効率の発光が得られた。
【0128】
【表2】
【0129】[実施例3] [実施例1]で電子輸送層をA
lq3に替えOXD−1を使用した以外は[実施例1]と
同様に図2に示す素子構造を作成した。この時、8.5
V、1mA/cm2で520cd/m2の緑色の発光であ
った。
【0130】[実施例4] [実施例1]で発光層と電子輸
送層との間に正孔ブロック層として、BCPを6nm真
空蒸着で成膜した以外は[実施例1]と同様にして図3に
示す素子構造を作成した。
【0131】この時、9.2V、1mA/cm2で56
0cd/m2の緑色の発光であった。
【0132】[実施例5] [実施例4]で電子輸送層と陰
極との間に電子注入層として、フッ化リチウムを5nm
真空蒸着で成膜し、陰極をアルミニウムに替えた以外は
[実施例4]と同様にして図4に示す素子構造を作成し
た。
【0133】この時、8.7V、1mA/cm2で56
0cd/m2の緑色の発光であった。
【0134】[実施例6] [実施例5]で陽極のITOと
正孔輸送層との間に正孔注入層としてカッパーフタロシ
アニンを蒸着で、真空度10−4Pa、蒸着速度0.1
nm/secにより2nmに形成した以外は[実施例5]
と同様にして図5に示す素子構造を作成した。
【0135】この時、 8.2V、1mA/cm2で57
0cd/m2の緑色の発光であった。
【0136】[実施例7] [実施例1]で発光層ドープ剤
をIr(ppy)3に替え、下記[表3]のドープ剤を使
用した以外は[実施例1]と同様に図1に示す素子構造を
作成したところ、下記[表3]に示す発光効率の発光が得
られた。
【0137】
【表3】
【0138】[実施例8][化5]のRを直鎖のアルキル
(−Cn2n+1)とした時の溶解度パラメータでの溶解
範囲を[実験1]の手順にしたがい測定した。この時重合
体は分子量100,000のものを使用した。
【0139】溶解範囲の測定結果を下記[表4]に示
す。
【0140】
【表4】
【0141】Rに付くアルキル基の長さで溶解範囲が調
整できる事が判る。
【0142】この時、溶解範囲を9.0〜10.0(c
al/cm31/2に調整すると、上層成膜時の溶媒の選
択範囲が広くなる。
【0143】ここで、[化5]のRを直鎖のアルキル(−
n2n+1)とした分子量100,000の重合体6m
gを1mlのトリクロロメタンで溶解して、溶液1を作
成した。
【0144】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mgとバインダ高分子として分子
量100,000のポリビニルビフェニル2.5mgと
をトルエン1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0145】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。
【0146】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0147】真空蒸着装置により電子輸送層としてAl
q3を真空度10−3Paで蒸着速度1nm/secで
50nmの膜を付け、最後アルミニウムとリチウムを、
リチウムが1%となるように蒸着速度1nm/secの
速度で共蒸着して陰極を形成して図1に示す素子構造を
作成した。この時の性能を下記[表5]に示す。
【0148】
【表5】
【0149】[実施例9][実施例8]の溶液2の溶媒に
トリクロロメタンを使用した以外は、[実施例8]と同様
に図1に示す素子構造を作成した。
【0150】この時、全ての素子で上層成膜時に下層が
溶解してしまう為、発光むらが非常に多く測定不能であ
った。
【0151】[実施例10][実施例8]の溶液2の溶媒
にαブロモナフタレンを使用した以外は、[実施例8]と
同様に図1に示す素子構造を作成したところ、下記[表
6]に示す発光効率の発光が得られた。
【0152】
【表6】
【0153】n=11〜12では、上層成膜時に下層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0154】[実施例11][化5]のRを直鎖の−C8
17とした時の各分子量で溶解度パラメータでの溶解範
囲を[実験1]の手順にしたがい測定した。
【0155】
【表7】
【0156】これにより、分子量で溶解範囲が調整でき
る事が判る。
【0157】ここで、[化5]のRを直鎖の−C817
したときの各分子量の重合体6mgを1mlの1,2ジ
クロロエタンで溶解して、溶液1を作成した。
【0158】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mgとバインダ高分子として分子
量100,000のポリビニルビフェニル2.5mgと
をエチルベンゼン1mlに溶解して、溶液2を作成し
た。
【0159】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1000rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。
【0160】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0161】真空蒸着装置により電子輸送層としてAlq3
を真空度10−3Paで蒸着速度1nm/secで50
nmの薄膜層を形成し、最後に、アルミニウムとリチウ
ムを、リチウムが1%となるように蒸着速度1nm/s
ecの速度で共蒸着して陰極を形成して、図2に示す素
子構造を作成した。この時、下記[表8]に示す発光効率
の発光が得られた。
【0162】
【表8】
【0163】分子量10,000では、上層成膜時に下
層が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。[実
施例8]乃至[実施例11]の結果より、正孔輸送層の溶
解範囲を調整する事により、上層である発光層を成膜す
る溶媒の選択範囲が広がる事が判る。
【0164】[実施例12] ここで、[化5]のRを直鎖
の−C817とした分子量100,000の重合体6m
gを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、溶液1
を作成した。
【0165】この重合体の溶解範囲は溶解度パラメータ
で9.1〜9.9(cal/cm31/2である。
【0166】PBD2.5mgと[化21]で示すイリ
ジウム錯体化合物0.17mgとバインダ高分子として
ポリスチレン(分子量10,000)2.5mgとをシ
クロヘキサンの溶媒1mlに溶解して、溶液2を作成し
た。
【0167】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1000rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。
【0168】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0169】真空蒸着装置により電子輸送層としてAl
q3を真空度10−3Paで蒸着速度1nm/secで
50nmの膜を付け、最後アルミニウムとリチウムを、
リチウムが1%となるように蒸着速度1nm/secの
速度で共蒸着して陰極を形成して図2に示す素子構造を
作成した。
【0170】この時、1mA/cm2時、4.1V、5
10cd/m2であった。
【0171】[実施例13] [化5]のRを直鎖のアルキ
ル(−Cn2n+1)とした分子量100,000の重合体
の溶解度パラメータでの溶解範囲を[実験1]の手順にし
たがい測定した。
【0172】
【表9】
【0173】Rに付くアルキル基の長さで溶解範囲が調
整できる事が判る。
【0174】この時、溶解範囲を8.9(cal/cm
31/2未満に調整すると、下層の正孔輸送層の材料選択
範囲が広がる。
【0175】又、8.4(cal/cm31/2未満又は
10(cal/cm31/2より大きい溶媒に不溶である
ように調整すると上層成膜時の溶媒の選択範囲が広くな
る。
【0176】ここで、分子量1,100,000のPV
K6mgを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、
溶液1を作成した。
【0177】[化5]のRを直鎖のアルキル(−Cn
2n+1)とした分子量100,000の重合体5mgとI
r(ppy)30.17mgとをエチルベンゼン1ml
に溶解して、溶液2を作成した。
【0178】PBD2.5mgとバインダ高分子として
分子量50,000のポリスチレン2.5mlをシクロ
ヘキサン1mlに溶解して、溶液3を作成した。
【0179】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。この、正孔輸送
層の溶解範囲は8.9〜10.0(cal/cm31/2
であった。
【0180】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0181】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た。
【0182】最後に、アルミニウムとリチウムを、リチ
ウムが1%となるように蒸着速度1nm/secの速度
で共蒸着して陰極を形成した。この時の性能を下記[表
10]に示す。
【0183】
【表10】
【0184】N≦8では、電子輸送層成膜時に発光層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0185】[実施例14][実施例13]の溶液3の溶
媒にαブロモナフタリンを使用した以外は、[実施例1
3]と同様に素子を作成したところ、下記[表11]に示
すような発光効率の発光が得られた。
【0186】
【表11】
【0187】Nが12〜15では、電子輸送層成膜時に
発光層が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0188】[実施例15] [化5]のRを直鎖の−C8
17とした時の各分子量で溶解度パラメータでの溶解範囲
を[実験1]の手順にしたがい測定した。
【0189】
【表12】
【0190】分子量で溶解範囲が調整できる事が判る。
【0191】ここで、上記の分子量を調整した重合体を
使用して、[実施例13]と同様に図2に示す素子構造を
作成したところ、下記[表13]に示す発光効率の発光が
得られた。
【0192】
【表13】
【0193】[実施例16][実施例13]の溶液2を、
[化5]のRを直鎖の−C919とした分子量100,0
00の重合体5mgとIr(ppy)30.17mgと
を下記[表14]に示す各溶媒1mlに溶解して作成し
た以外は、[実施例13]と同様に図2に示す素子構造
を作成したところ、下記[表14]に示す発光効率の発光
が得られた。
【0194】
【表14】
【0195】溶媒が変化しても、1mA/cm2での輝
度性能のばらつきは10%以内である。[実施例17]
[化5]のRを直鎖のアルキル(−Cn2n+1)とした時
の溶解度パラメータでの溶解範囲を[実験1]の手順にし
たがい測定した。
【0196】
【表15】
【0197】Rに付くアルキル基の長さで溶解範囲が調
整できる事が判る。
【0198】この時、溶解範囲を8.9(cal/cm
31/2未満に調整すると、下層の正孔輸送層の材料選択
範囲が広がる。
【0199】又、8.4(cal/cm31/2未満又は
10.0(cal/cm31/2より大きい溶媒に不溶で
あるように調整すると上層成膜時の溶媒の選択範囲が広
くなる。
【0200】ここで、分子量1,100,000のPV
K6mgを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、
溶液1を作成した。
【0201】[化5]のRを直鎖のアルキル(−Cn
2n+1)とした分子量10,000の重合体5mgとIr
(ppy)30.17mgとをキシレン1mlに溶解し
て、溶液2を作成した。
【0202】PBD2.5mgとバインダ高分子として
分子量50,000のポリスチレン2.5mlをシクロ
ヘキサン1mlに溶解して、溶液3を作成した。
【0203】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。この、正孔輸送
層の溶解範囲は8.9〜10.0(cal/cm31/2
であった。
【0204】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0205】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た最後に、アルミニウムとリチウム
を、リチウムが1%となるように蒸着速度1nm/se
cの速度で共蒸着して陰極を形成し、図2に示す素子構
造を作成した。この時の性能を下記[表16]に示す。
【0206】
【表16】
【0207】N=15では、電子輸送層成膜時に発光層
が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0208】[実施例18] [実施例17]の溶液3の溶
媒をニトロエタンを使用した以外は、[実施例17]と同
様に図2に示す素子構造を作成したところ、下記[表1
7]に示す発光効率の発光が得られた。
【0209】
【表17】
【0210】N≧8では、電子輸送層成膜時に発光層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0211】[実施例19][化5]のRを直鎖の−C8
17とした時の各分子量で溶解度パラメータでの溶解範
囲を[実験1]の手順にしたがい測定した。
【0212】
【表18】
【0213】分子量で溶解範囲が調整できる事が判る。
【0214】ここで、上記の分子量を調整した重合体を
使用して、[実施例17]と同様に図2に示す素子構造を
作成したところ、下記[表19]に示す発光効率の発光が
得られた。
【0215】
【表19】
【0216】100,000〜1,000,000は溶
液2が作成できなかった。
【0217】[実施例20][実施例17]の溶液2を、
[化5]のRを直鎖の−C1225とした分子量10,0
00の重合体5mgとIr(ppy)30.17mgと
を下記 [表20]に示す各溶媒1mlに溶解して作成し
た以外は、[実施例17]と同様に図2に示す素子構造を
作成したところ、下記[表20]に示す発光効率の発光が
得られた。
【0218】
【表20】
【0219】溶媒が変化しても、正孔輸送層の溶解範囲
外では、1mA/cm2での輝度のばらつきは10%以
内である。
【0220】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
により、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する
発光層と該発光層に積層する有機層とを溶液にした状態
で、すなわち湿式法で、多層に積層形成できるので、簡
易に形成し得る素子構造を有する有機エレクトロルミネ
ッセンス素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構造
【図2】本発明の素子構造の第1の実施形態
【図3】本発明の素子構造の第2の実施形態
【図4】本発明の素子構造の第3の実施形態
【図5】本発明の素子構造の第4の実施形態
【図6】(a)〜(c)サンプルピースの溶解範囲の溶
解度パラメータの測定手順
【符号の説明】
10 陽極層 20 正孔輸送層(有機層) 40 発光層 41 ドープ剤 42 ホスト剤 60 電子輸送層 70 陰極層
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB02 AB03 AB04 AB18 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極層及び陰極層の両電極層と、ホスト剤
    と燐光を放射するドープ剤とを有する発光層と、前記両
    電極層の間で該発光層に積層する有機層とを具備し、前
    記電極層の一方が基板上に形成される有機エレクトロル
    ミネッセンス素子において、前記発光層を構成する有機
    物が、前記発光層の前記基板側に積層して形成される有
    機層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度パラ
    メータを有する溶媒に可溶であることを特徴とする有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】前記有機層を構成する有機物は、正孔注入
    性物質、正孔輸送性物質、電子ブロック性物質のうち一
    種類以上から成ることを特徴とする請求項1に記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】前記有機層を構成する有機物は、室温にお
    いて8.9(cal/cm31/2未満の溶解度パラメー
    タを有する溶媒に不溶であり、前記発光層を構成する有
    機物は、室温において7.0(cal/cm31/2以上
    8.9(cal/cm31/2未満の溶解度パラメータを
    有する溶媒に可溶であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】前記有機層を構成する有機物は、室温にお
    いて10.0(cal/cm31/2より大きく、且つ、
    13.0(cal/cm31/2以下の溶解度パラメータ
    を有する溶媒に不溶であり、前記発光層を構成する有機
    物は、室温において10.0(cal/cm31/2より
    大きく、且つ、13.0(cal/cm31/2以下の溶
    解度パラメータを有する溶媒に可溶であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子。
  5. 【請求項5】前記ドープ剤の分子構造は、 【化1】 (化学式[化1]中、Arはアリール基、X12及びX13
    はそれぞれ独立に任意の置換基を示し、ArとX12とに
    おいて芳香環が縮合しても良く、nは1以上3以下の整
    数である。)として示されることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子。
  6. 【請求項6】前記ドープ剤の分子構造は、 【化2】 (化学式[化2]中、R1〜R8は、それぞれ独立に水
    素または任意の置換基を示し、あるいは/および隣接す
    るRn(nは1以上8以下のいずれかから成る整数)に
    おいて芳香環が縮合しても良い。)として示されること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2001117306A 2001-04-16 2001-04-16 有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JP2002313578A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001117306A JP2002313578A (ja) 2001-04-16 2001-04-16 有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001117306A JP2002313578A (ja) 2001-04-16 2001-04-16 有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002313578A true JP2002313578A (ja) 2002-10-25

Family

ID=18967890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001117306A Pending JP2002313578A (ja) 2001-04-16 2001-04-16 有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002313578A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004227814A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Korai Kagi Kofun Yugenkoshi 有機発光装置及びその製造方法
JP2005259472A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Fuji Photo Film Co Ltd 有機電界発光素子
JP2007134693A (ja) * 2005-10-12 2007-05-31 Dainippon Printing Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11251065A (ja) * 1998-02-27 1999-09-17 Honda Motor Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法
WO2000016593A1 (en) * 1998-09-14 2000-03-23 The Trustees Of Princeton University Structure for high efficiency electroluminescent device

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11251065A (ja) * 1998-02-27 1999-09-17 Honda Motor Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法
WO2000016593A1 (en) * 1998-09-14 2000-03-23 The Trustees Of Princeton University Structure for high efficiency electroluminescent device
JP2002525808A (ja) * 1998-09-14 2002-08-13 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ 高効率の電界発光デバイスのための構造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004227814A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Korai Kagi Kofun Yugenkoshi 有機発光装置及びその製造方法
JP2005259472A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Fuji Photo Film Co Ltd 有機電界発光素子
JP2007134693A (ja) * 2005-10-12 2007-05-31 Dainippon Printing Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002324679A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2002352957A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
KR101200220B1 (ko) 유기 장치의 조립 방법 및 구조
JP2003077673A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003007467A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003217862A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5073208B2 (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2001319779A (ja) 発光素子
JP2011129275A (ja) 有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明
JP2001319781A (ja) 有機発光素子材料の選択方法及びその材料を用いた有機発光素子
JP2009212510A (ja) 有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明
JP5287455B2 (ja) 正孔注入輸送層形成用組成物、正孔注入輸送層形成用組成物の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明
JP2009266814A (ja) 有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明
JP2003217863A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の作成方法
JP2002299061A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003257674A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4783526B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2002319488A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4838951B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2002305078A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2003257677A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2003007475A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003045666A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2002313578A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2002180040A (ja) 発光素子

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070319

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100412

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100909