JP2002313404A - 固体高分子型燃料電池システム - Google Patents

固体高分子型燃料電池システム

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JP2002313404A JP2001115814A JP2001115814A JP2002313404A JP 2002313404 A JP2002313404 A JP 2002313404A JP 2001115814 A JP2001115814 A JP 2001115814A JP 2001115814 A JP2001115814 A JP 2001115814A JP 2002313404 A JP2002313404 A JP 2002313404A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体高分子膜から排出されるイオンを回収す
ることができる固体高分子型燃料電池システムを提供す
る。 【解決手段】 固体高分子型燃料電池システムでは、固
体高分子型燃料電池(2)は、燃料ガス供給管(62)
と酸化剤ガス供給管(70)を通してそれぞれ供給され
る燃料ガスと酸化剤ガスにより水を生成し、且つ電力を
出力する。残余の前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとを燃
料ガス排出管(56)と酸化剤ガス排出管(68)を通
してそれぞれ排出する。前記生成水は、前記燃料ガス排
出管(56)と前記酸化剤ガス排出管(68)の少なく
とも一方を通して排出される。第1のイオン除去ユニッ
ト(12,14)は、前記燃料ガス排出管(56)と前
記酸化剤ガス排出管(68)のうち少なくとも前記生成
水が排出される管の前記固体高分子型燃料電池(2)側
に設けられ、前記生成水中に含まれるイオンを除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子型燃料電池
とそれを使用する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来燃料電池は特殊な機器には使用され
てきたが、最近では、固体高分子膜の品質も向上し固体
高分子膜型燃料電池が開発されている。このため、自動
車をはじめとして家庭用発電器など種々の分野での応用
が検討されている。これらの適用分野では、民生用とし
て十分な耐久年数が必要であり、燃料電池及びそれを使
用するシステムの寿命は長いことが望ましい。しかしな
がら、本願発案者らは、固体高分子型燃料電池システム
を稼働中に、固体高分子型燃料電池の内部及び外部配管
の一部に腐蝕が発生することを発見した。原因を調べた
結果、それはフッ素イオンにより誘引されていることが
判明した。
【0003】従来より固体高分子型燃料電池は複数の単
位セルとそれらを隔離するセパレーターとから構成され
ている。図6(a)は、単位セル構成の分解斜視図であ
り、図6(b)は、単位セルの断面概念図である。図6
に示すように、各単位発電素子では、固体高分子膜の両
側に燃料ガス電極(アノード)と酸化剤ガス電極(カソ
ード)が接合されている。発電素子は、セパレーターに
より挟まれて単位セルを構成している。本図では、燃料
ガス電極と上部セパレーターとの間に燃料ガスが供給さ
れ、酸化剤ガス電極と下部セパレーターとの間に酸化剤
ガスが供給されている。燃料ガスと酸化剤ガスは固体高
分子膜を介して反応し、電力と生成水を生じる。原理的
にはこの水は純水であるはずであるが、実際にはフッ素
イオンが含まれていた。
【0004】固体高分子膜としては、例えば、「ナフィ
オン(R)膜」と呼ばれる固体高分子膜が知られてい
る。このような膜を使用することができるようになり、
固体高分子型燃料電池の寿命は飛躍的に延びている。こ
れらの膜の主構成はPTFE(テフロン(R))とほぼ
等しく、炭素とフッ素の高分子体である。この基本構造
の概略は下記の通りであることが発売元であるデュポン
社等から公表されている。
【化1】 ここで、SO が、官能基であり、残りの部分
は、テフロンとほぼ同じ構造を持つ主鎖及び側鎖であ
る。
【0005】上記のような固体高分子膜を使用すると、
構成元素であるフッ素等が分離し、フッ素イオンのよう
な腐食性の強いイオンが生成され、各所で腐蝕が発生し
てしまった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固体
高分子膜から排出されるイオンを捕集することにより、
燃料電池及び配管の腐蝕を防止できる固体高分子型燃料
電池システムを提供することである。
【0007】本発明の目的は、燃料電池に使用された燃
料ガスや酸化剤ガスの残余ガスをリサイクル(リサイク
ル)するような完全密閉型(クローズドタイプ)であり
ながら、イオンにより配管が腐蝕することのない固体高
分子型燃料電池システムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以下に、本発明の種々の
観点を達成するための燃料電池システムについて説明す
る。以下に、添付図面を参照して、本発明の固体高分子
型燃料電池システムについて詳細に説明する。
【0009】従来の固体高分子型燃料電池システムで
は、発電素子部から出てくるフッ素イオン等の腐食性イ
オンが、固体高分子型燃料電池に供給された燃料ガス又
は酸化剤ガスの両方もしくは一方の残余ガスに同伴され
る生成水に含まれている。そこで、本発明の固体高分子
型燃料電池システムでは、固体高分子型燃料電池からの
ガス排出管にイオン除去ユニットを設け、生成水中に含
まれるイオンを除去することとした。イオン除去ユニッ
トとしてはイオン交換樹脂を利用した反応筒を用いる。
【0010】しかしながら、水のイオン交換をするため
の一般的な反応筒は、イオン交換樹脂が密に充填されて
おり、本発明に適用するために必要となる残余ガスと生
成水とが同時に反応筒を通過する機構は設けられていな
い。そのため、一般的な反応筒では残余ガスがほとんど
通過することができず、また通過したとしても非常に大
きな圧力損失が有り、実際的ではない。
【0011】そこで、本発明の固体高分子型燃料電池シ
ステムでは、排出ガスを導入する容器を設け、その容器
内にイオン交換樹脂と水を張り、ガスをバブリングさせ
ることによってイオンを除去することとした。
【0012】またバブリングを用いずに、ガス中の水滴
を捕集する水トラップ機構(例えば、ガス流速の鈍化、
邪魔板、ガス流れ方向の変化や、それらの組合せ、ウイ
ックのように親水性素材を捕集剤として用いるもの、イ
オン交換樹脂そのものを水トラップ用捕集剤として使用
する等)を持たせ、トラップした水のみをイオン交換樹
脂層に導入する方法を適用すれば、バブリングさせる場
合よりガスの圧力損失は大幅に軽減され、発電システム
としての効率が上昇する。またイオン交換樹脂層には捕
集された水のみが導入されるため、水位の保持機構など
が不要となりイオン交換樹脂層の設計が容易になるとい
う利点も持つ。
【0013】一方、このような反応筒では、ガス出口と
浄化された水とが別々の排出口から排出されることとな
るが、この浄化された水は重力もしくはポンプなどの力
を利用して排出される必要があり、反応筒の配置位置が
制限されたり、ポンプが必要になったり、システム要件
が制約されることとなる。
【0014】そこで、反応筒内部にてガスと浄化された
水とを再び混合することとした。これによれば、浄化さ
れた水は、圧力損失をあまり受けずに流出するガスに再
び同伴されるため、追加のポンプなどを必要とせず、反
応筒が無い場合とほぼ同じシステム要件にて設計でき
る。
【0015】また、本発明の固体高分子型燃料電池シス
テムは、燃料ガス又は酸化剤ガス燃料ガスの少なくとも
一方の残余ガスを再び供給側に戻すガスリサイクル機構
(ガスリサイクルシステム)と供給ガスの加湿器とを備
え、固体高分子型燃料電池の生成水が加湿器に戻る場合
に、除去すべきイオンを含む生成水が加湿器の水と混合
できることを利用して加湿器の液層部でイオンを除去す
ることとした。
【0016】加湿器液層部のイオン除去方法として本発
明では、加湿器内に直接イオン除去ユニットを設置して
その場(加湿器内)でイオンを除去する方法と、加湿器
の水量を利用して水をポンプ等で外部に引き出してイオ
ン除去ユニットに導入する方法とを考案した。また、こ
れら加湿器の水を浄化するイオン除去ユニットを用いる
ことによって加湿器の水は常に清浄に保たれるため、腐
食性を持たず、加湿器の水を燃料電池の冷却水として兼
用したり、ガスリサイクル用のエジェクタ駆動水として
兼用したりすることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して、本発
明の固体高分子型燃料電池システムを説明する。図1、
図2は、全体のシステム系統の例を示し、図3乃至図5
は、イオン除去ユニット部分の拡大図である。
【0018】まず、図1を参照して、本発明の第1の実
施の形態による固体高分子型燃料電池システムの全体の
システム系統を説明する。ここではガスリサイクルシス
テムを持つものを記載した。
【0019】第1の実施の形態による固体高分子型燃料
電池システムでは、固体高分子型燃料電池2は、燃料ガ
ス供給管62と酸化剤ガス供給管70を通してそれぞれ
供給される燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行い、電
力を出力し、且つ反応副生物として生成水を排出する。
残余の燃料ガスと酸化剤ガスとは、燃料ガス排出管56
と酸化剤ガス排出管68を通してそれぞれ排出される。
ここで、反応副生物である生成水は、燃料ガス排出管5
6と酸化剤ガス排出管68の少なくとも一方を、多くの
場合には両方を通して排出される。
【0020】更に、この実施の形態では、燃料として水
素が用いられ、酸化剤ガスとしては酸素が用いられる。
固体高分子型燃料電池システムは、燃料ガス加湿器6、
酸化剤ガス加湿器4、燃料ガス側加湿水ポンプ16、酸
化剤ガス側加湿水ポンプ18、燃料ガスリサイクル機構
の燃料ガスエジェクタ10、酸化剤ガスリサイクル機構
の酸化剤ガスエジェクタ8を具備する完全密閉型(クロ
ーズドタイプ)のシステムである。
【0021】燃料ガスは、ガス供給系52から新規に供
給されるものと、燃料ガスエジェクタ10からリサイク
ルされるものとが、燃料ガス加湿器6で混合され燃料電
池2へ供給される。燃料ガス排出管56から排出される
残余の燃料ガスは、燃料ガスエジェクタ10によって冷
却水と共に燃料ガス加湿器6にリサイクルされる。ここ
で冷却水と呼ばれる燃料ガス側の循環水は、燃料ガス加
湿器6から出て、燃料ガス側加湿水ポンプ16により、
冷却水供給管54、冷却器40、固体高分子型燃料電池
2、冷却水排水管58、及び冷却水排水管の途中に設け
られた燃料ガスエジェクタ10を通り、燃料ガス加湿器
6まで循環される。固体高分子型燃料電池2では発電に
伴い発熱するが、この冷却水により冷却され、適切な作
動温度に保持される。
【0022】酸化剤ガスは、ガス供給系72から新規に
供給されるものと、酸化剤ガスエジェクタ8からリサイ
クルされるものとが、酸化剤ガス加湿器4で混合され燃
料電池2へ供給される。酸化剤ガス排出管68から排出
される残余の酸化剤ガスは、酸化剤ガスエジェクタ8に
よって循環水と共に酸化剤ガス加湿器4にリサイクルさ
れる。ここで循環水と呼ばれる酸化剤ガス側の水は、酸
化剤ガス加湿器4から出て、酸化剤ガス側加湿水ポンプ
18により、循環管64,66、及び循環管64,66
の途中に設けられた酸化剤ガスエジェクタ8を通り、酸
化剤ガス加湿器4まで循環される。
【0023】燃料ガス加湿器6と酸化剤ガス加湿器4
は、それぞれヒータ113,112を内蔵し、固体高分
子型燃料電池2に供給される燃料ガスと酸化剤ガスをそ
れぞれ適切な加湿度に調節し、燃料電池の反応特性を良
好に保つ役目を持つ。
【0024】尚、上記の説明では、イオン除去ユニット
の説明は省略されている。イオン除去ユニットについて
は、以下に詳細に説明する。
【0025】次に、図2を参照して、本発明の第2の実
施の形態による固体高分子型燃料電池システムの全体の
システム系統を説明する。第2の実施の形態による固体
高分子型燃料電池システムの構成は、ほぼ第1の実施の
形態における固体高分子型燃料電池システムと同様であ
る。異なる点は、イオン除去ユニットだけである。
【0026】第1及び第2の実施の形態に示す固体高分
子型燃料電池システムは、深海探査用の潜水艇などに使
用されるものを一例として記述した。この場合、生成
水、燃料ガス、酸化剤ガス等をやたらに放出することが
できないため、生成水、燃料ガス、酸化剤ガス等の全て
がクローズドシステムとして構成されている。
【0027】しかしながら固体高分子膜を使用した固体
高分子型燃料電池では、前述の通り、フッ素イオンのよ
うなイオンが排出され、本実施例のような循環系内を循
環すると、各所で腐蝕が発生することになる。
【0028】そこで、燃料ガス排出管56と酸化剤ガス
排出管68のうち少なくとも生成水が排出される管の固
体高分子型燃料電池2側に、生成水中に含まれるイオン
を除去するための第1のイオン除去ユニット12,14
が設けられている。燃料ガス加湿器6と酸化剤ガス加湿
器4には、冷却水又は前記循環水に含まれるイオンを除
去するための第2のイオン除去ユニット76、78が設
けられている。これにより、イオン除去ができ、目的と
する防蝕が可能となる。尚、第2のイオン除去ユニット
76,78は、少なくとも生成水が排出されるようには
設けられることが望ましい。
【0029】また、冷却水供給管54の燃料ガス加湿器
6側と、循環管64,66の酸化剤ガス加湿器4側との
少なくとも一方に設けられ、冷却水又は循環水に含まれ
るイオンを除去するための第3のイオン除去ユニット2
8/30が設けられてもよい。また、冷却水供給管54
の途中に設けられた冷却水バイパス管20の途中と、酸
化剤ガス加湿器6と酸化剤ガスエジェクタ8の間に設け
られた循環水バイパス管24の途中との少なくとも一方
に設けられ、冷却水又は循環水に含まれるイオンを除去
するための第4のイオン除去ユニット22、26が設け
られてもよい。これら第1〜4のイオン除去ユニットは
1つだけ設けられてもよいし、また複数設けられてもよ
い。
【0030】また、本発明の固体高分子型燃料電池を製
造する際には、高分子膜の両側に燃料ガス側電極と酸化
剤ガス側電極とを溶着して電極アッセンブリが形成さ
れ、前記電極アッセンブリが洗浄され、記洗浄された電
極アッセンブリを用いて燃料電池の単位セルが形成され
る。ここで、前記洗浄は、熱水を用いる煮沸洗浄である
ことが望ましい。
【0031】次に、図3乃至図5を用いて、イオン除去
ユニットを詳細に説明する。全体システム系統である図
1、図2に記載したイオン除去ユニット12,14は、
例えば、図3(a)に示すバブリングポット100であ
る。バブリングポット100内には水が張られ、その中
に排出ガスが通される。ガス成分は泡となり出て行く
が、水分はポット100内に在留する。ポット100の
水中にはイオン交換樹脂があり、排出されたフッ素イオ
ンはイオン交換樹脂に吸着する。こうして、フッ素イオ
ンを取り除くことができる。但し、この場合には、燃料
ガス及び酸化剤ガスを循環させるときの圧力損失が大き
い。
【0032】このため、バブリングポット100に代え
て、図3(b)に示す邪魔板によるトラップ構造102
が採用されてもよい。排出ガスのガス成分はそのまま出
力され、トラップ構造102の底には水成分が残る。底
には、バブリングポット100と同様に、イオン交換樹
脂が存在し、フッ素イオンを吸着する。トラップ構造1
02では、圧力損失が小さく、ポンプ16,18の駆動
能力を増加する必要がないなどの利点がある。トラップ
構造としては、その他の方式として図5(a)に示す反
応筒内に粒子径の大きい(約5mm〜20mmの)ダミ
ーボールを混入し、イオン交換樹脂層の中に空間を作る
ものもイオン捕捉能は高く有効である。
【0033】更に、図5(b)に示すように分離したガ
スの流路を浄化した水の流路に交叉・合流することによ
って、ガスと水とを再び混合し排出する構造を持つイオ
ン除去ユニットが可能となり、配置が容易となる。
【0034】次に、図1、図2に記載したイオン除去ユ
ニット76,78は、図4(a)に概念的に示される。
イオン除去ユニット76,78は、前述の通り、燃料ガ
ス加湿器6と酸化剤ガス加湿器4内に設けられる。イオ
ン除去ユニット76,78は、イオン交換樹脂が封入さ
れた水の出入りが自由な容器である。この容器はイオン
交換樹脂の交換時にイオン交換樹脂を容易に取り出すこ
とも可能とする。
【0035】このイオン除去ユニットは、加湿器4,6
内の加湿するためのヒーターにより損傷する恐れがあ
り、また加湿器4,6の構造が複雑になるということは
あるが、加湿器内部に内包されてしまうため、システム
として構造がコンパクトになる。これは、固体高分子型
燃料電池システムが潜水艇のように限られた空間内に設
置されなければならないときに有利である。
【0036】また、図1、図2に記載したイオン除去ユ
ニット28,30は、図4(b)に概念的に示される。
前述の通り、イオン除去ユニット28は冷却水供給管5
4の途中に設けられ、また、イオン除去ユニット30は
循環水供給管64の途中に設けられている。イオン除去
ユニット28と30は、ポンプ18,16から吐出され
る水からイオン除去をすることから、一般的に使用され
るイオン交換樹脂筒と同じく、特殊な内部構造を持たな
い反応筒を用いることが出来る。
【0037】但し、本実施例のように冷却水として兼用
したりエジェクタの駆動水として兼用する場合には兼用
する対象によって循環水量が決定され、その水量に適し
た反応筒は容積が大きくなるとともに圧力損失が大きく
なりシステム特性を低下させる要因となることが多い。
【0038】このように循環水の兼用を行い、且つ目的
のイオン除去ユニットを設置するためには、図4(c)
に示す位置にイオン除去ユニット22,26を設ける方
法がある。前述の通り、イオン除去ユニット22は、冷
却水供給管54に分岐路20が設けられ、その分岐路2
0の途中に設けられる。また、イオン除去ユニット26
は、循環水供給管64に分岐路24が設けられ、その分
岐路24の途中に設けられる。
【0039】イオン除去ユニット22と26は、イオン
除去ユニット28と30と同じく、特殊な内部構造を持
たない反応筒へイオン交換樹脂を充填したものを用いる
ことが出来る。この場合には、イオンの除去能力は、分
岐量および反応筒内容積により定まる。分離量が任意に
設定することができることから設計自由度が有り、シス
テム特性を低下させないというメリットがある。
【0040】これらイオン除去ユニット28,30や2
2,26は、液層のみからイオン除去を行うため、イオ
ン除去能が高く、また一般的な手法を適用できるなどの
メリットも大きいが、燃料ガス加湿器6と酸化剤ガス加
湿器4の後流側に設けられるので、加湿器4,6にイオ
ンが流入することは避けられない。このため、加湿器等
に耐蝕性の強くない金属を用いる必要がある場合には、
イオン除去ユニット12、14、及びイオン除去ユニッ
ト76,78と一緒に使用することが望ましい。
【0041】本発明の実施形態では、燃料ガス及び酸化
剤ガスともにリサイクルされているが、どちらもリサイ
クルされていない場合でも、どちらか一方だけがリサイ
クルされている場合でも本願は適用可能である。また、
本発明の実施形態では、固体高分子型燃料電池2への冷
却水は燃料ガスをリサイクルするためにも使用されてい
るが、酸化剤ガスをリサイクルするために使用されても
よい。そのためには、上記の説明において、酸化剤ガス
と燃料ガスを入れ替えて読めば十分である。また、本発
明による固体高分子型燃料電池システムは、自動車など
の車両に搭載される燃料電池システムにも適用可能であ
る。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、固
体高分子型燃料電池システムは、固体高分子膜から排出
されるイオンを回収することができる。従って、生成水
が外部環境を腐蝕し汚染することがない。
【0043】固体高分子型燃料電池は、実施例で述べた
潜水艇ばかりでなく自動車での利用や家庭での分散発電
システムとしての利用が検討されている。この場合、生
成水がそのまま垂れ流された場合、フッ素イオンのよう
な有害なイオンが捲き散らかされることになる。そのよ
うな事態を防止するためにも本発明は有効である。
【0044】もちろん、本発明の固体高分子型燃料電池
システムは、配管の腐蝕をも防止できる。従って、固体
高分子型燃料電池システムの寿命を延ばすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態による固体高
分子型燃料電池システムの構成を示すブロック図であ
る。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態による固体高
分子型燃料電池システムの構成を示すブロック図であ
る。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態による固体高
分子型燃料電池システムで使用されるイオン除去ユニッ
トとしてのバブリングポットを示す図であり、図3
(b)は、イオン除去ユニットとしてのトラップ構造を
示す図である。
【図4】図4(a)は、加湿器に設けられたイオン交換
樹脂を示す図であり、図4(b)は、本発明の実施形態
による固体高分子型燃料電池システムで使用されるイオ
ン除去ユニットとしての供給管に設けられたイオン交換
樹脂を示す図であり、図4(c)は、イオン除去ユニッ
トとしての供給管からの分岐路に設けられたイオン交換
樹脂を示す図である。
【図5】図5(a)は、ダミーボールを用いたイオン除
去ユニットの構造を示す図であり、図5(b)は、分離
したガスと浄化した水とが再混合されて排出されるイオ
ン除去ユニットの構造を示す図である。
【図6】図6(a)は、本発明の一実施形態による固体
高分子型燃料電池システムで使用される単位セルの分解
図であり、図6(b)は、単位セルの組立図である。
【符号の説明】
2:固体高分子型燃料電池 4:酸化剤ガス加湿器 6:燃料ガス加湿器 8:酸化剤ガスエジェクタ 10:燃料ガスエジェクタ 12,14,22,26,28,30,76,78:イ
オン除去ユニット 16:冷却水用ポンプ(燃料ガス側加湿水ポンプとも呼
ぶ) 18:循環水ポンプ(酸化剤ガス側加湿水ポンプとも呼
ぶ) 20:冷却水バイパス管 24:循環水バイパス管 32:燃料ガスボンベ 34:酸化剤ガスボンベ 52:燃料ガス供給系配管 54:冷却水供給管 56:燃料ガス排出管 58、60:冷却水排水管 62:燃料ガス供給管 64:循環水供給管 66:循環水排水管 68:酸化剤ガス排出管 70:酸化剤ガス供給管 72:酸化剤ガス供給系配管 100:バブリングポット 102:トラップ構造 113,112:ヒータ 110,111:ドレイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 司 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 Fターム(参考) 5H026 AA06 5H027 AA06 BA09 BC19 BE07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料ガス供給管と酸化剤ガス供給管を通し
    てそれぞれ供給される燃料ガスと酸化剤ガスにより水を
    生成し、且つ電力を出力し、残余の燃料ガスと酸化剤ガ
    スとを燃料ガス排出管と酸化剤ガス排出管を通して排出
    ガスとして排出する固体高分子型燃料電池と、 前記生成水は前記燃料ガス排出管と前記酸化剤ガス排出
    管との少なくとも一方を通して排出され、前記燃料ガス
    排出管と前記酸化剤ガス排出管のうち、前記生成水が排
    出される少なくとも一方の管の前記固体高分子型燃料電
    池側に設けられ、前記排出ガスに同伴する前記生成水中
    に含まれるイオンを除去するためのイオン除去ユニット
    とを具備する固体高分子型燃料電池システム。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の固体高分子型燃料電池シ
    ステムにおいて、 前記イオン除去ユニットは、前記排出ガスとそれに同伴
    する前記生成水を前記排出ガスと前記生成水とに分離
    し、分離された前記生成水からイオンを除去する固体高
    分子型燃料電池システム。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の固体高分子型燃料電池シ
    ステムにおいて、 前記イオン除去ユニットは、分離された前記排出ガスと
    前記イオンが除去された前記生成水とを再び混合し排出
    する固体高分子型燃料電池システム。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の固体高
    分子型燃料電池システムにおいて、 前記残余の燃料ガスと酸化剤ガスの少なくとも一方を再
    び供給側に戻すガスリサイクル機構と、前記戻すガスは
    前記生成水を伴い、 前記戻されたガスを加湿して前記固体高分子型燃料電池
    に供給する加湿器とをさらに具備し、 前記加湿器は、前記ガスリサイクル機構によって、前記
    戻されたガスに同伴されて前記加湿器まで戻された前記
    生成水中に含まれるイオンを除去するための第1イオン
    除去ユニットを具備する固体高分子型燃料電池システ
    ム。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の固体高分子型燃料電池シ
    ステムにおいて、 前記ガスリサイクル機構は、その途中に設けられ、前記
    生成水中に含まれるイオンを除去するための第2イオン
    除去ユニットを具備する固体高分子型燃料電池システ
    ム。
  6. 【請求項6】請求項4又は5に記載の固体高分子型燃料
    電池システムにおいて、 前記ガスリサイクル機構は、前記排出ガスとそれに同伴
    される前記生成水を前記燃料電池から除くためのエジェ
    クタを具備し、前記エジュエクタは、前記加湿器からの
    水により駆動され、前記生成水中に含まれるイオンは除
    去される固体高分子型燃料電池システム。
  7. 【請求項7】燃料ガス供給管と酸化剤ガス供給管を通し
    てそれぞれ供給される燃料ガスと酸化剤ガスにより水を
    生成し、且つ電力を出力し、残余の燃料ガスと酸化剤ガ
    スとを燃料ガス排出管と酸化剤ガス排出管を通して排出
    する固体高分子型燃料電池と、 前記残余の燃料ガスと酸化剤ガスの少なくとも一方を再
    び供給側に戻すガスリサイクル機構と、 前記戻されたガスを加湿して前記固体高分子型燃料電池
    に供給する加湿器とを具備し、 前記加湿器は、前記ガスリサイクル機構によって、前記
    戻されたガスに同伴されて前記加湿器まで戻された前記
    生成水中に含まれるイオンを除去するための第1イオン
    除去ユニットを具備する固体高分子型燃料電池システ
    ム。
  8. 【請求項8】燃料ガス供給管と酸化剤ガス供給管を通し
    てそれぞれ供給される燃料ガスと酸化剤ガスにより水を
    生成し、且つ電力を出力し、残余の燃料ガスと酸化剤ガ
    スとを燃料ガス排出管と酸化剤ガス排出管を通して排出
    する固体高分子型燃料電池と、 残余の燃料ガスと酸化剤ガスの少なくとも一方を再び供
    給側に戻すガスリサイクル機構と、前記戻すガスは前記
    生成水を伴い、 前記戻されたガスを加湿して前記固体高分子型燃料電池
    に供給する加湿器とを具備し、 前記ガスリサイクル機構は、その途中に設けられ、前記
    生成水中に含まれるイオンを除去するための第2イオン
    除去ユニットを具備する固体高分子型燃料電池システ
    ム。
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