JP2002313321A - 非水系二次電池用負極に適した材料、負極、その製造方法および電池 - Google Patents
非水系二次電池用負極に適した材料、負極、その製造方法および電池Info
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Abstract
性にも優れ、かつ不可逆容量が少ない、非水系二次電池
用負極材料を提供する。 【解決手段】 下記粉末材料A〜Cを含有する混合材料
から非水系二次電池用負極を作製する。 材料A:ラマンスペクトルの「1360 cm-1のピーク強度
/1580 cm-1のピーク強度」の値が0.4 以下である、黒
鉛化度の高い炭素質粉末材料、 材料B:上記の値が0.6 以上である低結晶性の炭素質粉
末材料、および 材料C:非炭素質活物質を主成分とする粉末材料。 材料B/(材料A+B+C)の質量比が0.01以上、0.2
以下、材料A/Cの質量比が0.01以上、8以下が好まし
い。負極は、材料Bと材料Cを最初に混合してから材料
Aを混合することにより、材料Cから3μm以内にある
材料Bの存在割合を50%以上にすることが好ましい。
Description
次電池で代表される非水系二次電池用の負極とその製造
方法、ならびにこの負極を備えた非水系二次電池に関す
る。
の層間にLiイオンがインターカレーションされると、Li
C6という化合物を作り、Liイオンの可逆的な吸蔵と放出
が可能である。この現象を充放電に利用することがで
き、その際の体積変化が比較的小さいことから、炭素質
材料はサイクル特性に優れた電極となり、高エネルギー
密度を実現できる非水系二次電池(その代表例はリチウ
ムイオン二次電池)の負極材料として現在幅広く用いら
れているのは周知の通りである。
持たせた製品が多く世に出るにつれ、さらに大きなエネ
ルギー密度を持つ二次電池が求められるようになってお
り、正・負極材料の改良などで非水系二次電池の高容量
化が進められてきた。しかし、これまで用いられてきた
炭素質負極材料のうち、黒鉛系(グラファイト系)のも
のは、放電容量に372 mAh/g という理論的な限界があ
り、一方、非黒鉛系のものは、不可逆容量 (充電容量の
うち放電で取り出せない容量、即ち、充電容量と放電容
量との差) が大きく、電池設計の段階で大きなロスを生
むことが予想されるといった欠点があった。
め、炭素質材料に代わる負極材料として、金属間化合物
を使用することも検討されてきた。例えば、特開平9−
63651号公報に開示されているMg−Ge合金は、あたかも
炭素質材料のようにLiイオンを吸蔵できるホスト材とし
て働くことが知られている。その他、Snなどの金属の酸
化物、Co−Mn等の金属の窒化物、Si相を金属間化合物相
で囲んでLiイオン吸蔵放出に伴うSi相の体積変化を拘束
する材料等、多岐にわたる非水系二次電池用負極材料が
これまでに提案されている。このような非炭素質 (炭素
質以外) の負極材料は、確かに高容量化は可能であるも
のの、容量以外の種々の特性、特にサイクル特性に問題
があり、この種の材料が実用化された例はいまだにな
い。
質材料より高容量で、サイクル特性にも優れ、かつ不可
逆容量が少ない、非水系二次電池用負極とその製造方法
を提案することを課題とする。
一般にLiイオンの吸蔵量は多いものの、Liイオンの吸蔵
・放出に伴って大きな体積変化を起こし、この体積変化
により負極材料に割れが発生し易いため、充放電サイク
ル特性が低くなる。割れた負極材料は、導電性ネットワ
ークから外れてしまい、充放電に関与できなくなるため
である。
自体も膨張する結果、負極に浸透している電解液が負極
から押し出されてしまう。そのため、充放電反応が円滑
に進行しづらくなり、結果としてサイクル特性が著しく
悪化する。
に、低結晶性と黒鉛系の2種類の炭素質材料粉末の両方
を混合した粉末混合物から負極を構成すると、充放電時
の体積変化が抑制されて割れが抑えられ、割れが生じて
も、炭素質材料によって導電性ネットワークがとれるた
め、割れた負極材料がなお充放電に関与でき、サイクル
特性がよく、不可逆容量の少ない負極材料となることを
見いだした。
スペクトルの1360 cm-1のピーク強度と1580 cm-1のピー
ク強度との比により判別することができる。即ち、炭素
質材料のラマンスペクトルでは、1580 cm-1に黒鉛を示
すピークが、1360 cm-1に低結晶性の炭素質材料を示す
ピークが現れる。従って、この2つのピークの強度比を
とることで、炭素質材料の黒鉛化の度合いを評価するこ
とができる。
材料A〜Cを含有する、非水系二次電池用負極材料に適
した、混合材料である: 材料A:ラマンスペクトルの「1360 cm-1のピーク強度
/1580 cm-1のピーク強度」の値が0.4 以下である炭素
質粉末材料、 材料B:ラマンスペクトルの「1360 cm-1のピーク強度
/1580 cm-1のピーク強度」の値が0.6 以上である炭素
質粉末材料、および 材料C:非炭素質活物質を主成分とする粉末材料。
2 以下であり、 ・材料A/材料Cの質量比が0.01以上、8以下であり、 ・材料Cが、Si、Sn、Al、Zn、In、P、Cの1種以上の
金属もしくは半金属を含む合金もしくは金属間化合物、
Li、Si、Sn、V、Mn、In、Ni、Mg、Ca、B、Pの1種以
上の金属もしくは半金属の酸化物、Cr、Zr、Fe、Ti、I
n、Cu、Agの1種以上の金属の硫化物、Co、Liの1種以
上の金属の窒化物、よりなる群から選ばれた1種以上を
主成分とする粉末材料であり、 ・材料Aの比表面積が1.5 m2/g以下であり、および/ま
たは ・材料Cから3μm以内にある材料Bの存在割合が50%
以上である。
分に混合する工程、得られた材料Bと材料Cとの混合物
に材料Aを混合する工程、を含むことを特徴とする上記
混合材料の調製方法、および上記混合材料を含有する非
水系二次電池用負極、この負極の製造方法とこの負極を
備えた非水系二次電池もまた提供される。
る非水系二次電池用負極材料に好適な混合材料 (以下、
負極材料ともいう) は、A〜Cの3種類の粉末材料を含
有する。ここで、材料Aは、ラマンスペクトルの「1360
cm-1のピーク強度/1580 cm-1のピーク強度」の値 (こ
の値を以下「1360cm-1/1580cm-1ピーク強度比」とい
う) が0.4以下である炭素質粉末材料であり、材料B
は、1360cm-1/1580cm-1ピーク強度比が0.6 以上である
炭素質粉末材料であり、そして材料Cは、非炭素質活物
質を主成分とする粉末材料である。
cm-1のピークは低結晶性炭素質材料のピークであり、1
580 cm-1のピークは黒鉛系炭素質材料のピークである。
従って、炭素質材料の1360cm-1/1580cm-1ピーク強度比
が大きいほど、その材料は黒鉛化度が低い (低結晶性で
ある) ことを意味し、逆にこのピーク強度比が小さいほ
ど、黒鉛化度が高いことを意味する。
cm-1ピーク強度比が0.4 以下と小さい材料Aは、黒鉛化
度の高い炭素質材料 (即ち、黒鉛系炭素質材料) であ
る。一方、ラマンスペクトルの1360cm-1/1580cm-1ピー
ク強度比が0.6 以上と大きい材料Bは、低結晶性の炭素
質材料である。
高容量化が可能な負極材料であるが、サイクル特性が悪
く、そのままでは実用化が困難である。本発明によれ
ば、この材料Cに、AとBの2種類の炭素質粉末材料を
混合することによって、黒鉛系炭素質材料Aより高容量
で、低結晶性炭素質材料Bに見られる不可逆容量の増大
がなく、かつ材料Cの含有率を多くしても実用電池に十
分な良好なサイクル特性を示す負極材料となる。
料に十分な容量を確保できる機能をもたせるため、ラマ
ンスペクトルの1360cm-1/1580cm-1ピーク強度比が0.4
以下のものとする。材料Aの該ピーク強度比は好ましく
は0.3 以下である。
必要なラマンスペクトルのピーク強度比を示す炭素質材
料の粉末であれば、特に製造方法は制限されない。材料
Aの製造方法としては、例えば、タールを熱処理してメ
ソフェーズを晶析させ、得られたメソフェーズを1000℃
程度で焼成して炭化した後、粉砕し、2000℃以上の温度
で黒鉛化を行うといった方法が挙げられる。得られた材
料のラマンスペクトルの1360cm-1/1580cm-1ピーク強度
比は、メソフェーズ化や黒鉛化における熱処理温度や時
間を変えることによって調整できる。
であることが好ましい。比表面積を1.5 m2/g以下とする
ことで、1サイクル目に負極表面に付着する表面被膜の
量が抑えられ、この表面被膜の形成による不可逆容量が
増大するのを抑えることができる。比表面積を1.5 m2/g
に調整するには、粉砕を黒鉛化前に行えばよい。粉砕後
に黒鉛化を行うと、粉砕で生成した亀裂や表面欠陥が黒
鉛化の熱処理時に閉塞されるため、比表面積の小さい粉
末になる。
る。材料Bは、Liイオン吸蔵に伴う材料Cの膨張を吸収
する機能を持たせるため、ラマンスペクトルの1360cm-1
/1580cm-1ピーク強度比が0.6 以上のものとする。材料
Bの該ピーク強度比は好ましくは0.7 以上である。
料の粉末は、カーボンブラックであり、なかでもアセチ
レンブラックやケッチェンブラックといった導電性の高
いカーボンブラックが好ましい。
限定されない。しかし、特に材料Aは比表面積が小さい
ことが好ましいので、平均粒度D50=5μm以上のもの
が良い。特に好ましくはD50=10μm以上である。一
方、材料Bは、特にこれがカーボンブラックである場合
には一般に非常に微細な粉末であるが、それで差し支え
なく、また後述するように材料Cの周辺に存在させるに
は、微粉末である方が材料Cの周辺により均一に存在さ
せることができ好都合である。
る材料Cの種類は特に制限されないが、高容量を示す材
料 (即ち、多量のLiを吸蔵できる材料) が好ましい。特
に、800 mAh/cc以上の放電容量を示す材料が、高容量の
非水系二次電池の作製が可能となる点で好ましい。材料
Cの粒径は特に制限されないが、D50=1〜20μmの範
囲が好ましい。
蔵しうる金属もしくは半金属の合金もしくは金属間化合
物、例えば、Si、Sn、Al、Zn、In、P、Cの1種以上、
好ましくはSi、Sn、Al、In、P、Cの1種以上、の合金
もしくは金属間化合物、(2) Li、Si、Sn、V、Mn、In、
Ni、Mg、Ca、B、Pの1種以上、好ましくはLi、Si、S
n、V、Mn、B、Pの1種以上、の金属もしくは半金属
の酸化物、(3) Cr、Zr、Fe、Ti、In、Cu、Agの1種以
上、好ましくはCr、Zr、Fe、Ti、Inの1種以上、の金属
の硫化物、ならびに(4) Co、Liの1種以上の金属の窒化
物が挙げられ、これらから選んだ1種または2種以上の
材料を使用することができる。
通常溶解法 (インゴット法)、急冷凝固法(アトマイズ
法、ロール急冷法、回転電極法)などで製造することが
できる。(2) の酸化物は、好ましくは2種以上の金属ま
たは半金属を含む複合酸化物である。かかる複合酸化物
は、原料の2種以上の酸化物またはその前駆体 (水酸化
物、炭酸塩のように焼成中に酸化物に変化する化合物)
の混合物を好ましくは大気等の酸化性雰囲気中で焼成す
る方法等により得られる。(3) の金属硫化物は、金属粉
末を硫化水素ガスと反応させる方法などにより得られ
る。(4) の金属窒化物は、金属粉末をアンモニアガスま
たは窒素ガスと反応させる方法等により得られる。
記A、B、Cの3種類の材料を含有する。各材料の好ま
しい混合割合は次の通りである。材料B/(材料A+材
料B+材料C)の質量比は、0.01以上、0.2 以下である
ことが好ましい。材料Bの占める質量比が0.01以上であ
ると、材料Cの膨張をより充分に吸収することができ、
より良好なサイクル特性が得られる。また、この質量比
を0.2 以下とすることにより、不可逆容量の増大を抑え
ることができる。材料Bの質量比は、より好ましくは、
0.05以上、0.08以下である。
下であることが好ましい。A/Cの質量比を0.01以上と
することにより、不可逆容量の増大を抑えることができ
るとともに、材料Cの割合がより適切であるため、サイ
クル特性の悪化も抑えることができる。また、A/Cの
質量比を8以下とすることにより、より大きな負極容量
を確保できる。材料A/材料Cの質量比は、より好まし
くは、0.15以上、0.25以下である。 [負極の構成と製造方法]上記の粉末材料A、B、Cを
含有する本発明の混合材料を用いて、従来から公知の適
当な方法で電極を作成し、非水系二次電池の負極として
用いることができる。例えば、材料A、B、Cを混合し
てスラリー状の混合材料にした上で、電極基板となる集
電体上に塗布して成型し、乾燥させる。必要に応じて、
ロール圧延などにより成型体を圧密化させてもよい。集
電体としては、材料粉末の担持性がよく、負極として使
用したときに分解による溶出が起こらない任意の金属の
箔 (銅箔など)を使用できる。
や増粘剤を添加することも可能である。バインダーとし
ては、SBR (スチレン−ブタジエン−ラバー)、PM
MA(ポリメチルメタクリレート)、PTFE(ポリテ
トラフルオロエチレン)、PVDF (ポリフッ化ビニリ
デン) 等を用いることができる。SBR、PTFE等は
微粒子の水分散液として入手できるので、そのまま使用
すればよく、PMMA、PVDF等はN−メチルピロリ
ドンに溶解して使用する。スラリーの粘度調整のために
増粘剤を使用してもよい。増粘剤は主にバインダーがS
BR、PTFE等である時に利用し、バインダーがPM
MA、PVDF等である時は、溶媒の量で粘度調整する
のが一般的である。代表的な増粘剤としてCMC (カル
ボキシメチルセルロース)を挙げることができる。
存在場所は、特に限定されないが、材料Cの膨張・収縮
を吸収する効果からは、充放電中の体積変化の小さい材
料Bが材料Cの周辺に存在することが好ましい。特に、
材料Cの粒子から3μm以内に、材料Bの50%以上が存
在することが、より好ましい。
る際に、まず材料Cと材料Bを十分に混合して、この両
者が実質的に均一に分布した混合粉末を得てから、材料
Aを混合容器内に投入し、全体を混合する方法が望まし
い。材料Bが材料Cより非常に微細なカーボンブラック
であると、材料Bは材料Cに均一にまぶさり、その後で
材料Aの黒鉛系炭素質材料を混合しても、材料Bは材料
Cの周囲から離れにくいので、材料Bの大半を材料Cの
周辺に存在させたA〜Cの混合物を得ることができる。
から製造された負極は、リチウムイオン二次電池の負極
に有用である。但し、理論的には、他の非水系二次電池
の負極にも適用できる。
極、正極、セパレーター、非水電解質を含んでいる。負
極は上記のように本発明に係る負極を使用するが、他の
正極、セパレーター、電解質については特に制限され
ず、従来より公知のもの、或いは今後開発される材料を
適当に使用すればよい。非水系二次電池の形状も特に制
限されず、円筒型、角形、コイン型、シール型等何れの
形でもよい。
である場合、正極は、Li含有遷移金属化合物を活物質と
するものが好ましい。Li含有遷移金属化合物の例は、Li
M1-xM'xO2または LiM2yM'yO4(式中、0 ≦x、y≦1、
MとM' はそれぞれBa、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、
Zn、Al、In、Sn、Sc、Yの少なくとも1種)で示される
化合物である。
ム酸化物およびそのLi化合物;ニオブ酸化物およびその
Li化合物; 有機導電性物質を用いた共役系ポリマー;シ
ェブレル相化合物; 活性炭、活性炭素繊維等といった、
他の正極材料を用いることも可能である。
に支持電解としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させた
非水系電解質である。リチウム塩としては、例えば、Li
ClO4, LiBF4, LiPF6, LiAsF6, LiB(C6H5), LiCF3SO3,
LiCH3SO3, Li(CF3SO2)2N, LiC4F9SO3, Li(CF2SO2)2, Li
Cl, LiBr, LiI 等が例示され、1種もしくは2種以上を
使用することができる。
ト、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど
の炭酸エステル類が好ましい。但し、カルボン酸エステ
ル、エーテルをはじめとする他の各種の有機溶媒も使用
可能である。
た絶縁体としての役割を果たす他、電解質の保持にも大
きく寄与する。通常は、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、またはその両者の混合布、ガラスフィルターなどの
多孔体が一般に使用される。
ーザーにより測定したラマンスペクトルの1360cm-1/15
80cm-1ピーク強度比 [以下 ID/IG と表記する] が異な
る、下記4種類の炭素質粉末材料を用意した。
タールピッチを500 ℃で全体がメソフェーズ化するまで
熱処理し、得られたバルクメソフェーズを取り出して約
1000℃で焼成して炭化した後、衝撃粉砕機 (ハンマーミ
ル) により粉砕し、約2200〜3000℃で熱処理して黒鉛化
することによりして得た粉末である。黒鉛化熱処理温度
および時間により、黒鉛化度の異なる炭素質材料を得
た。また、各粉末について、粉砕条件 (粉砕機の回転数
と粉砕時間) を変化させて、比表面積 (BET N1点
法により測定) の異なる粉末を調製した。
り、粉末の平均粒径は2μmであった。材料Cとして、
表1〜表4に示す多様な合金、金属間化合物または金属
化合物を使用した。材料Cは、必要に応じて粉砕した
後、分級して、平均粒径30μmの粉末に粒度調整した。
れ、バインダーのポリフッ化ビニリデン (PVDF) と
溶媒のN−メチルピロリドン (NMP) を添加して、ポ
リフツ化ビニリデンを溶媒に溶解させた後、上記A1、
A2、B1、B2から選んだ2種類の炭素質材料の粉末
を添加し、約20分間混合して均一なスラリーを作製し
た。バインダーの添加量は粉末の合計重量の10質量%、
溶媒の添加量は同じく10質量%であった。
うち、 ID/IG比が小さい方の材料を材料A、 ID/IG比が
大きい方の材料を材料Bとする。材料Bが、上記の材料
A2またはB1である場合は、ハンマーミルでさらに微
粉砕して、平均粒径を2μm程度にした粉末を使用し
た。
し、乾燥させ、ロール圧延して圧密化させた後、直径13
mm の大きさのポンチを用いて打ち抜きし、非水系二次
電池の負極とした。銅箔上の負極活物質層の厚みは約10
0 μmであった。
負極の単極での性能を、対極にLi金属を用いたコイン型
セルを用いて評価した。電解液としては、エチレンカー
ボネートとジメトキシエタンの1:1混合溶媒中に、支
持電解質のLiPF6 を1M濃度で溶解させた溶液を使用し
た。測定は25℃で行い、グローブボックスのように、不
活性雰囲気を維持できる装置を用いて、雰囲気の露点が
−70℃程度である条件で測定した。
うな条件)で参照極の電位に対して負極の電位が0Vに
なるまで充電を行い、同じ電流値で参照極の電位が負極
の電位に対して2Vになるまで放電を行って、この時の
1サイクル目の放電容量をその負極材料を用いた負極の
放電容量(負極容量)とした。
0 サイクル目の放電容量を測定し、1 サイクル目の放電
容量に対する100 サイクル目の放電容量の割合(%)を
算出して、サイクル特性とした。
イクル目の放電容量)/1サイクル目の放電容量」を不
可逆容量率(%)として算出した。 [試験1]材料Cとして、Cu−5Ni−7Sn−6P合金 (各
元素の前の数字は質量%、残部は冒頭の元素の含有量、
即ち、この合金は82%Cu−5%Ni−7%Sn−6%Pを意
味する、以下も同じである) の粉末を使用し、材料Aお
よび材料Bとして黒鉛化度の異なる炭素質材料の粉末を
使用した。材料Aは、すべて比表面積が0.9 m2/gの粉末
であり、各材料の混合比は同じ比率にした。材料A、B
の1360cm-1/1580cm-1ピーク強度比[ID/IG比] と各材料
の混合比および試験結果を表1に示す。
きい比較例の負極は、不可逆容量率が30%を超えるた
め、充放電効率が悪い電池となることがわかる。また、
材料Bの ID/IG比が0.6 より小さい比較例の負極は、サ
イクル特性が80%を下回り、サイクル特性が実用電池と
して不十分となり、放電容量も低くなった。これに対
し、本発明に係る負極は、サイクル特性が80%以上で不
可逆容量率が30%を下回り、いずれも良好であった。
1、材料Bとして上記炭素質材料B2、材料Cとして試
験1と同じ合金材料を、試験1と同じ混合比で使用し、
材料Aの比表面積 (平均粒径) を変化させた負極の試験
結果を表2に示す。
極の不可逆容量率が低下する傾向があり、充放電効率の
よい電池となることがわかる。 [試験3]材料A、Bの種類は試験2と同じとし、材料A
は比表面積が0.9 m2/gの粉末を使用し、材料Cとしては
試験1、2と同じ合金に加え、Cu3Pも使用し、これらの
各材料の混合比を変化させた負極の試験結果を表3に示
す。
上であるとサイクル特性が向上し、0.2 以下であると不
可逆容量の増大が抑制される。一方、材料A/材料Cの
質量比が0.01以上であると不可逆容量の増大が抑制さ
れ、8以下であると放電容量が高くなる。
面積については試験3と同じにし、材料Cの種類および
混合比を変化させた時の試験結果を表4に示す。材料C
の種類によらず、放電容量が高く、サイクル特性が80%
以上と良好で、不可逆容量率が30%以下の負極が得られ
た。負極の放電容量は、一般に材料Cの放電容量に依存
して変化する。
積=0.9 m2/g) を材料Aとし、炭素質材料B2を材料B
とし、Cu−5Ni−7Sn−6P合金を材料Cとし、これら
の材料の混合方法 (電極基板の電解銅箔に塗布するため
のスラリーの調製) を下記方法1〜3のように変更した
以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。なお、
負極中の炭素質材料A、BをSEM観察で容易に判別で
きるようにするため、材料Bだけに、2% OsO4 水溶液に
暴露することによるOs染色を行った。
料Cと、PVDFおよびNMPを投入し、10分間攪した
あと、材料Bを投入し、さらに10分間攪拌してスラリー
を得た。
料Cと、PVDFおよびNMPを投入し、10分間攪拌し
たあと、材料Aを投入し、さらに10分間攪拌してスラリ
ーを得た。
および材料Cと、PVDFおよびNMPを投入し、20分
間攪してスラリーを得た。作製された負極の断面につい
て、SEM観察およびEDX (エネルギ一分散型特性X
線)による元素分析を行って、材料Bのうち、材料Cの
3μm以内に存在する粉末の存在割合を求めた。材料B
はOsの元素分析により発見することができる。その結
果、この材料Bの存在割合は、方法1=48%、方法2=
70%、方法3=45%となり、最初に材料Bと材料Cを混
合した後で、材料Aを混合する方法2では、材料Bの50
%以上を材料Cから3μm以内に存在させることができ
ることがわかった。
5に示す。この表に示すように、材料Bと材料Cを最初
に混合する方法2により製造した負極がサイクル特性と
不可逆容量のいずれも最も良好であり、次が全ての材料
を一緒に混合する方法3の順となった。最初に材料Aと
材料Cを混合する方法1では、体積変化の抑制に有効な
材料Bが材料Cの周辺に存在しにくく、特に不可逆容量
が増大する傾向が見られた。
池負極を実現できるが、サイクル特性が悪く、実用化で
きなかった非炭素質の活物質材料を用いて、これに2種
類の炭素質材料を適正な混合率で配合することによっ
て、現行の炭素質負極材料からなる負極より高容量で、
サイクル特性と不可逆容量 (充放電効率) がいずれも良
好な非水系二次電池用負極を提供することができる。従
って、本発明は非炭素質の負極活物質を負極活物質に用
いた高容量の非水系二次電池の実用化に途を開くもので
ある。
Claims (10)
- 【請求項1】 下記粉末材料A〜Cを含有する混合材
料: 材料A:ラマンスペクトルの「1360 cm-1のピーク強度
/1580 cm-1のピーク強度」の値が0.4 以下である炭素
質粉末材料、 材料B:ラマンスペクトルの「1360 cm-1のピーク強度
/1580 cm-1のピーク強度」の値が0.6 以上である炭素
質粉末材料、および 材料C:非炭素質活物質を主成分とする粉末材料。 - 【請求項2】 材料B/(材料A+材料B+材料C)の
質量比が0.01以上、0.2 以下である、請求項1記載の混
合材料。 - 【請求項3】 材料A/材料Cの質量比が0.01以上、8
以下である、請求項1または2記載の混合材料。 - 【請求項4】 材料Cが、Si、Sn、Al、Zn、In、P、C
の1種以上の金属もしくは半金属を含む合金もしくは金
属間化合物、Li、Si、Sn、V、Mn、In、Ni、Mg、Ca、
B、Pの1種以上の金属もしくは半金属の酸化物、Cr、
Zr、Fe、Ti、In、Cu、Agの1種以上の金属の硫化物、C
o、Liの1種以上の金属の窒化物、よりなる群から選ば
れた1種以上を主成分とする粉末材料である、請求項1
〜3のいずれかに記載の混合材料。 - 【請求項5】 材料Aの比表面積が1.5 m2/g以下であ
る、請求項1〜4のいずれかに記載の混合材料。 - 【請求項6】 材料Cから3μm以内にある材料Bの存
在割合が50%以上である、請求項1〜5のいずれかに記
載の混合材料。 - 【請求項7】 材料Bと材料Cを十分に混合する工程、
得られた材料Bと材料Cとの混合物に材料Aを混合する
工程、を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれ
かに記載の混合材料の調製方法。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の混合材
料を含有する、非水系二次電池用負極。 - 【請求項9】 請求項7記載の調製方法を含むことを特
徴とする、請求項8記載の非水系二次電池用負極の製造
方法。 - 【請求項10】 請求項8記載の負極を備えた、非水系
二次電池。
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