JP2002310980A - 固体電解質型ガスセンサ - Google Patents

固体電解質型ガスセンサ

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JP2002310980A
JP2002310980A JP2001121126A JP2001121126A JP2002310980A JP 2002310980 A JP2002310980 A JP 2002310980A JP 2001121126 A JP2001121126 A JP 2001121126A JP 2001121126 A JP2001121126 A JP 2001121126A JP 2002310980 A JP2002310980 A JP 2002310980A
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JP
Japan
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thin film
platinum
heater
solid electrolyte
electrode
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Pending
Application number
JP2001121126A
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English (en)
Inventor
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Masao Maki
正雄 牧
Katsuhiko Uno
克彦 宇野
Takashi Niwa
孝 丹羽
Takahiro Umeda
孝裕 梅田
Makoto Shibuya
誠 渋谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒータ膜のリード線接続部に、耐久性を付与
しつつ簡単にリード線を接合できる様にした小型省電力
タイプの固体電解質ガスセンサを提供する。 【解決手段】 絶縁性耐熱基板13の上部に順次に、ヒ
ータ薄膜14、絶縁性薄膜15、酸素イオン導電性固体
電解質薄膜16、第1電極薄膜17および第2電極薄膜
18、酸化触媒膜19を積層した構成である。そして、
ヒータ薄膜14の両端部に有る電圧電流供給用リード線
接合部20、21は、密着性の有るアルミナ、チタン、
クロム、ジルコニウム、銅より選択した少なくとも1種
材料からなる接合補助薄膜22a、22bと、この接合
補助薄膜22a、22bの上部に積層した白金接合薄膜
23a、23bとの積層膜で構成した。白金接合薄膜2
3a、23bに接合した白金線は容易に外れないので簡
単にその接合ができ、短時間に動作温度まで昇温できる
小型省電力タイプのガスセンサが実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気中の一酸化炭
素や炭化水素の濃度を検出する小型省電力タイプの固体
電解質ガスセンサのヒータ膜に、リード線を簡単に接合
するためのリード線接合材料技術を提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】固体電解質ガスセンサは、一酸化炭素な
どに感応するガスセンサとして提案されている。図3
は、特開平10−288593号公報に記載された従来
の固体電解質ガスセンサであり、(a)は触媒層の断面
図、(b)は固体電解質型ガスセンサの断面図である。
【0003】固体電解質ガスセンサは、酸化触媒1を多
孔質な琺瑯や無機耐熱接着材などの無機耐熱結合材2に
分散させた触媒層3を、平均細孔が1000Å以下のア
ルミナもしくはジルコニア系セラミック多孔板4の表面
に形成させ、このセラミック多孔板4を、酸素イオン導
電性焼結板5の片面に形成した第1の白金電極6の側
に、硝子などの突起7を介在させて積層された構造であ
る。一方、酸素イオン導電体5の他面側には、第2の白
金電極8を形成し、さらに硝子などの突起9を介在させ
てアルミナもしくはジルコニア系セラミック多孔板10
を積層し、加熱手段11および12を両側に併設させて
いる。そして、この固体電解質型ガスセンサは、加熱手
段11および12へのリード線接合技術については何ら
言及されていない。
【0004】一方、一酸化炭素などを検知するガスセン
サや湿度を検知する湿度センサが提案されている。特公
平7−99361号公報に記載された従来のガスセンサ
は、アルミナ等の耐熱絶縁性基板の片面に、酸化ルテニ
ウムや白金等のヒータ膜と、酸化スズ等のガス感応部を
設け、ヒータ膜およびガス感応部に金線もしくは白金線
のリード線がワイヤボンディングされた構成としてい
る。
【0005】さて、ガスセンサに用いられるヒータ膜
は、白金、酸化ルテニウム、パラジウム、酸化クロムが
一般的であり、印刷膜やスパッタ膜さらに蒸着膜で形成
される。そして、このヒータ膜には、金線もしくは白金
線がワイヤボンディングされている。金線のワイヤボン
ディングは、金膜に金線を接続する技術であり、ヒータ
膜として金膜は一般に用いられないため、ヒータ膜の端
部に金膜を別途形成し、この金膜に金線をワイヤボンデ
ィングしている。一方、白金線のワイヤボンディング
は、白金膜に白金線を接続する技術であり、白金ヒータ
膜の端部、もしくは白金以外の材質ヒータ膜の場合はそ
の端部に白金膜を別途形成し、この白金膜に白金線をワ
イヤボンディングしている。また、白金粉末に少量のガ
ラス粉末を混合したペーストを塗布し焼成する方法で白
金線を接続する技術も有る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ヒータ膜へのリード線接続技術は、小型省電力タイプの
固体電解質ガスセンサに適用する場合、複雑で高度な製
造技術と品質管理技術を必要とする課題と、極短時間に
動作温度まで昇温する間欠通電を行うとヒータ膜との接
続抵抗が増加する課題があった。以下、詳細にその理由
を説明する。
【0007】固体電解質ガスセンサは、その適正動作温
度が350〜500℃に設定されており、動作温度が僅
かに変化するだけでセンサ出力が大きく変化するので、
再現性の有る正確なセンサ出力を得る上で、正確な温度
管理を必要とする。また、短時間に動作温度まで昇温す
る小型省電力タイプを実現するためには、小さなリード
接合面積部を必要とする。
【0008】金線をワイヤボンディングする場合、その
リード線接合部は、金膜を必要とし、一般に金膜はヒー
タ膜として使用されないため、メッキや厚膜印刷等で形
成させた金膜を別途形成する必要が有る。ところで、リ
ード線接合部に単純に使用された金膜は、直流電圧電流
の印加により350〜500℃の動作温度に長期間保持
されると金分子が拡散してヒータ膜まで移動しヒータ膜
の抵抗を徐々に変化させる懸念と、金膜はヒータ膜材料
との親和力に乏しく接合不良が発生し易い懸念が有るの
で、これを防止するため、金膜は複雑で高度な製造技術
と品質管理技術を用いて形成されている。例えば、リー
ド線接合部を白金膜と金膜の積層膜とし、上部の金膜に
金線を接合し、下部の白金膜で金分子の拡散移動を防止
する方法が考案されている。しかしながら、この方法
は、金膜が下部の白金膜に埋没するため露出した金膜は
僅かとなり、小さなリード接合面積部においてこの微少
露出した金膜に金線を接合するには、複雑で高度な製造
技術と品質管理技術を必要とする課題があった。
【0009】次に、白金線のワイヤボンディングについ
て説明する。白金線は白金膜への接合に適しているのだ
が、白金膜を単純に基板に形成すると両者が充分に密着
しないので、接合した白金線が、その取り扱い時の不注
意で白金膜ごと基板から剥離して外れてしまうことが起
こる。この白金線の外れを防止するため、基板との密着
性が高い10μm程度の白金膜を別途形成するなどに複
雑で高度な製造技術と品質管理技術を必要とする課題が
あった。また、密着性に乏しくリード線を接合したセン
サは、少ない動作回数でヒータ膜との接続抵抗が増加す
る課題があった。一方、白金粉末に少量のガラス粉末を
混合したペーストを塗布し焼成する方法で白金線を固定
する技術は、大きなリード接合面積を必要とするため、
小さなリード接合面積部に白金線を接合するには、複雑
な製造技術と高度の品質管理技術を必要とする課題があ
った。
【0010】本発明は、前記する従来の問題を解決し、
小型省電力タイプの固体電解質ガスセンサに簡単にリー
ド線を接合することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、絶縁性耐熱基板の上部に順々に積層した
ヒータ薄膜、絶縁性薄膜、酸素イオン導電性固体電解質
薄膜とその同一面に形成した通気性の第1電極薄膜およ
び第2電極薄膜、第1電極薄膜を覆って積層した通気多
孔性の酸化触媒膜を少なくとも備えており、ヒータ薄膜
はその電圧電流供給用リード線接合部が、アルミナ、チ
タン、クロム、ジルコニウム、銅より選択した少なくと
も1種材料からなる接合補助薄膜と、この接合補助薄膜
の上部に積層した白金接合薄膜との積層膜からなる固体
電解質ガスセンサとした。
【0012】ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合
部は、絶縁性耐熱基板の上部に形成されており、この絶
縁性耐熱基板と上部の白金接合薄膜とは、密着性に優れ
た材料の接合補助薄膜を介して接合されている。そのた
め、白金接合薄膜が絶縁性耐熱基板の表面に強固に密着
し、ワイヤボンディング法を用いて白金線を白金接合薄
膜に簡単に接合でき、しかも白金線は白金接合薄膜から
容易に外れない。また、この様にして密着性を増してリ
ード線接合したものは、ヒータ膜との接続抵抗が増加し
にくく、小さなリード接合面積部でリード線を接合でき
る。以上のことにより、短時間に動作温度まで昇温する
小型省電力タイプの固体電解質ガスセンサが実現でき
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、各請求項に記載した形
態で実施することができる。
【0014】請求項1記載の発明は、絶縁性耐熱基板
と、その上部に順々に積層した耐熱性のヒータ薄膜と絶
縁性薄膜と酸素イオン導電性固体電解質薄膜と、前記酸
素イオン導電性固体電解質薄膜の同一面上に形成された
通気性の第1電極薄膜および第2電極薄膜と、前記第1
電極薄膜を覆って積層した通気多孔性の酸化触媒膜を少
なくとも備え、前記ヒータ薄膜はその電圧電流供給用リ
ード線接合部が、アルミナ、チタン、クロム、ジルコニ
ウム、銅より選択した少なくとも1種材料からなる接合
補助薄膜と、前記接合補助薄膜の上部に積層した白金接
合薄膜との積層膜からなる。
【0015】ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合
部は、絶縁性耐熱基板の上部に形成されており、この絶
縁性耐熱基板と上部の白金接合薄膜とは、密着性に優れ
た材料の接合補助薄膜を介して接合されている。そのた
め、白金接合薄膜が絶縁性耐熱基板の表面に強固に密着
し、ワイヤボンディング法を用いて白金線を白金接合薄
膜に簡単に接合でき、しかも白金線は白金接合薄膜から
容易に外れない。また、この様にして密着性を増してリ
ード線接合したものは、ヒータ膜との接続抵抗が増加し
にくく、小さなリード接合面積部でリード線を接合でき
る。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の絶
縁性耐熱基板が、その熱膨張係数が4.5×10-6(1
/deg)を越えないでしかも、その転移温度が動作温度
の300℃を越える硝子材が少なくともヒータ薄膜の側
に存在する基板とした。絶縁性耐熱基板がこの様な基板
であるため、密着性が一層優れた接合補助薄膜が得ら
れ、その上部の白金接合薄膜を絶縁性耐熱基板に一層強
固に密着させる。このため、ワイヤボンディング法を用
いて白金線を白金接合薄膜に一層簡単に接合でき、しか
も白金線は白金接合薄膜から一層容易に外れない。さら
に、転移温度が高温の硝子材からなる絶縁性耐熱基板で
あるので、ヒータ薄膜を高温まで昇温でき、その熱は熱
伝導性の小さい硝子材の表面を僅かに加熱するだけであ
る。そのため、発生した熱は、その上に積層された各種
薄膜の側の方に多く伝達され、酸素イオン導電性固体電
解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜を主に加熱する。
また、ヒータ薄膜の発熱に伴ない、接合された絶縁性耐
熱基板および絶縁性薄膜が熱膨張するが、絶縁性耐熱基
板は低熱膨張性であるため熱膨張に強く、その上部の絶
縁性薄膜および酸素イオン導電性固体電解質薄膜は薄膜
であるためひび割れや破壊を生じることがなく、これら
薄膜は絶縁性耐熱基板の熱膨張に追随する。これらの効
果により、酸素イオン導電性固体電解質薄膜や電極薄膜
そして酸化触媒膜は、その下部に配置したヒータ薄膜に
より短時間で加熱されて動作状態となって、固体電解質
型ガスセンサは短時間に暖気されガス濃度が検知可能と
なる。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1記載の絶
縁性耐熱基板が、水酸基を0.2wt%超えないで含有す
る石英硝子としたものである。絶縁性耐熱基板が水酸基
を0.2wt%超えないで含有する石英硝子(シリカガラ
スとも称する)であるとその耐熱性が向上するととも
に、その上部に形成される接合補助薄膜は、充分に密着
してその上部の白金接合薄膜を絶縁性耐熱基板にさらに
一層強固に密着させる。このため、ワイヤボンディング
法を用いて白金線を白金接合薄膜に一層簡単に接合で
き、しかも白金線は白金接合薄膜から一層容易に外れな
い。さらに、極めて高温まで使用できる石英硝子の絶縁
性耐熱基板であるので、ヒータ薄膜を高温まで昇温で
き、その熱は熱伝導性の小さい石英硝子の表面を僅かに
加熱するだけであるので、その上に積層されたその上に
積層された各種薄膜の側の方に多く伝達されて、酸素イ
オン導電性固体電解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜
を主に加熱する。さらに、ヒータ薄膜の発熱に伴ない、
その両側に接合された絶縁性耐熱基板および絶縁性薄膜
は熱膨張するが、絶縁性耐熱基板は超低熱膨張性の石英
硝子であるため熱膨張に強く、その上部の絶縁性薄膜お
よび酸素イオン導電性固体電解質薄膜は薄膜であるため
ひび割れや破壊を生じることなく絶縁性耐熱基板の熱膨
張に一層良好に追随する。これらの効果により、酸素イ
オン導電性固体電解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜
は、その下部に配置したヒータ薄膜により極短時間で加
熱されて動作状態となって、固体電解質型ガスセンサは
一層短時間に暖気されガス濃度が検知可能となる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1記載の絶
縁性耐熱基板が、その中心線表面粗さRaが0.05〜
1.0μmである石英硝子であるとしたものである。絶
縁性耐熱基板がその中心線表面粗さRaが0.05〜
1.0μmである石英硝子であると、その上部に形成さ
れる接合補助薄膜は、充分に密着しその上部の白金接合
薄膜を絶縁性耐熱基板にさらに一層強固に密着させる。
このため、ワイヤボンディング法を用いて白金線を白金
接合薄膜に一層簡単に接合でき、しかも白金線は白金接
合薄膜から一層容易に外れなくなる。また、絶縁性薄膜
は、絶縁性耐熱基板に良好に密着してその熱膨張に良好
に追随する。さらに、その上部に積層された酸素イオン
導電性固体電解質薄膜は、絶縁性耐熱基板の表面粗さの
影響で絶縁性薄膜に充分に密着するので、ヒータ薄膜で
発生した熱を一層伝達させ、一層短時間に暖気される。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項1記載のヒ
ータ薄膜が白金薄膜(以下、白金ヒータ薄膜と称す)か
らなり、少なくともその下部または上部にアルミナ、チ
タン、クロム、ジルコニウム、銅より選択した少なくと
も1種材料からなるヒータ補助薄膜を配置したものであ
る。
【0020】絶縁性耐熱基板と上部の白金ヒータ薄膜と
が、密着性に優れた材料のヒータ補助薄膜を介して接合
されているため、白金ヒータ薄膜が絶縁性耐熱基板の表
面に強固に密着する。そのため、ワイヤボンディング法
を用いて白金線を、白金ヒータ薄膜の電圧電流供給用リ
ード線接合部に簡単に接合でき、しかも白金線はこの電
圧電流供給用リード線接合部から容易に外れない。ま
た、この構成のヒータ膜であると、その両側に接合され
た絶縁性耐熱基板および絶縁性薄膜との密着性が一層向
上して、絶縁性薄膜がひび割れや破壊を生じることなく
絶縁性耐熱基板の熱膨張に良好に追随する。またこのこ
とで、その上部に積層された酸素イオン導電性固体電解
質薄膜は、ヒータ薄膜で発生した熱を効果的に伝達さ
せ、一層短時間に暖気される。
【0021】請求項6記載の発明は、請求項5記載の白
金ヒータ薄膜に接する側に石英硝子が少なくとも配置さ
れた絶縁性薄膜と、石英硝子が少なくともヒータ薄膜の
側に存在する絶縁性耐熱基板を用いるとしたものであ
る。白金ヒータ薄膜に接する側の絶縁性薄膜および絶縁
性耐熱基板として石英硝子を少なくとも配置すると、白
金ヒータ薄膜が良好に密着し、白金ヒータ薄膜の抵抗変
化が抑制させる。またこのことで、これら薄膜が絶縁性
耐熱基板の熱膨張に良好に追随することを助け、その上
部に積層された酸素イオン導電性固体電解質薄膜は、充
分に電気絶縁され、しかもヒータ薄膜で発生した熱を伝
達され、短時間に暖気される。
【0022】請求項7記載の発明は、請求項1記載の酸
素イオン導電性固体電解質薄膜が、酸化イットリウムの
8モル%と酸化ジルコニア92モル%が主成分である安
定化ジルコニア体であって、X線回折法による結晶構造
解析における(111)面検出ピーク強度をmとし、
(220)面検出ピーク強度をnとすると、その比率
(n/m)は0.5を越えないとしたものである。
【0023】この構成にすると、比率(n/m)が小さ
いので、(111)面検出ピーク強度mが(220)検
出ピーク強度nより大きくなり、動作温度の影響を受け
難い酸素イオン導電性と小さな内部抵抗が得られる。ま
た、凹凸の多い粗面の安定化ジルコニア体が形成されて
その表面に白金電極膜が良好に密着し、その結果、固体
電解質型ガスセンサは短時間に暖気される。
【0024】請求項8記載の発明は、請求項1記載の第
1電極薄膜および第2電極薄膜の電位検出用リード線接
合部が、絶縁性耐熱基板に形成されており、アルミナ、
チタン、クロム、ジルコニウム、銅より選択した少なく
とも1種材料からなる電極補助薄膜と、電極補助薄膜の
上部に積層した白金電極薄膜との積層膜からなるとした
ものである。
【0025】電位検出用リード線接合部は、絶縁性耐熱
基板の上部に形成されており、この絶縁性耐熱基板と上
部の白金電極薄膜とが密着性に優れた材料の電極補助薄
膜を介して接合されているため、白金電極薄膜が絶縁性
耐熱基板の表面に強固に密着する。そのため、ワイヤボ
ンディング法を用いて白金線を、電位検出用リード線接
合部に簡単に接合できしかも容易に外れない。
【0026】請求項9記載の発明は、第1電極薄膜およ
び第2電極薄膜が、(111)面に配向した白金が主成
分であり、その1部が請求項8記載の電位検出用リード
線接合部に積層されているとしたものである。
【0027】第1電極薄膜および第2電極薄膜が、(1
11)面に配向した白金が主成分であると、動作温度の
影響を受け難い小さな界面抵抗の白金電極薄膜が得られ
る。また、酸素イオン導電性固体電解質薄膜の表面に白
金電極薄膜が良好に密着するので、短時間に一酸化炭素
を吸着して二酸化炭素に酸化する特性に優れた白金電極
薄膜が得られ、固体電解質型ガスセンサは短時間に暖気
される。
【0028】請求項10記載の発明は、請求項1の接合
補助薄膜または請求項5のヒータ補助薄膜または請求項
8の電極補助薄膜が、石英硝子からなる絶縁性耐熱基板
に形成されているとしたものである。
【0029】各種の補助薄膜が石英硝子の絶縁性耐熱基
板の上部に形成されているため、各種白金薄膜は絶縁性
耐熱基板の表面に強固に密着する。そのため、ワイヤボ
ンディング法を用いて白金線を、リード線接合部に簡単
に接合できしかも容易に外れない。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0031】(実施例1)図1は本発明の実施例1であ
る固体電解質型ガスセンサの断面図である。固体電解質
型ガスセンサは、絶縁性耐熱基板13と、この絶縁性耐
熱基板13に積層したヒータ薄膜14と、ヒータ薄膜1
4に積層した耐熱性の絶縁性薄膜15と、絶縁性薄膜1
5に積層した耐熱性の酸素イオン導電性固体電解質薄膜
16と、酸素イオン導電性固体電解質薄膜16に形成さ
れている通気性の第1電極薄膜17および第2電極薄膜
18と、第1電極薄膜17に積層した酸化触媒膜19を
少なくとも備えた構成である。ヒータ薄膜14の両端部
に有る電圧電流供給用リード線接合部20、21は、ア
ルミナ、チタン、クロム、ジルコニウム、銅より選択し
た少なくとも1種材料からなる2個の接合補助薄膜22
a、22bと、この接合補助薄膜22a、22bの上部
に積層した2個の白金接合薄膜23a、23bとの積層
膜からなる。
【0032】この固体電解質型ガスセンサの一酸化炭素
検知メカニズムを説明する。まず、固体電解質型ガスセ
ンサは、ヒータ薄膜14より450℃まで加熱させる。
酸化触媒膜19の表面では、一酸化炭素ガスはその触媒
作用で酸素ガスと反応して二酸化炭素ガスとなり消耗し
て無くなるが、酸素濃度はその濃度が圧倒的に高いため
略雰囲気濃度のままで第1電極薄膜17に到達する。一
方、他方の第2電極薄膜18の表面では、その触媒作用
で一酸化炭素ガスと酸素ガスが反応して二酸化炭素ガス
となり、表面における酸素ガス濃度が減少する。このた
め、酸素濃度に着目すると、第1電極薄膜17側の方が
第2電極薄膜18より高濃度となり、第1電極薄膜17
側より第2電極薄膜18に向かって、酸素ガスが酸素イ
オン導電性固体電解質薄膜16の中を酸素イオンとなっ
て移動し、この酸素移動によって起電力が発生する。こ
の起電力がセンサ出力であり、一酸化炭素ガス濃度の対
数値に略比例した値が得られる。
【0033】本発明品を試作してその効果の確認を行っ
た。
【0034】絶縁性耐熱基板13は、石英硝子の板であ
り2mm角×厚み0.3mmの寸法を有する。その物性値
は、熱膨張係数が0.5×10-6(1/deg)、熱伝導
率が0.004cal/cmsecdeg、転移温度が1075
℃、軟化点が1580℃である。この石英硝子からなる
絶縁性耐熱基板13の熱膨張性は、後述する酸素イオン
導電性固体電解質薄膜16の0.05倍である。石英硝
子は、その組成は酸化珪素が99.99%で水酸基が
0.01%弱含有されており、表面を研磨して中心線表
面粗さRaが0.1〜0.2μmである。なお、特に言
及しない限り以後はこの材質を使用した。
【0035】電圧電流供給用リード線接合部20、21
は、絶縁性耐熱基板13の片側表面に形成されており、
アルミナ、チタン、クロム、ジルコニウム、銅より選択
した少なくとも1種材料からなる接合補助薄膜22a、
22bと、この上部に積層した白金からなる白金接合薄
膜23a、23bとの積層膜からなる。
【0036】ヒータ薄膜14は、白金でありスパッタ法
を用いて膜厚0.5μmの抵抗膜が絶縁性耐熱基板13
の片側表面に形成され、その両端部が圧電流供給用リー
ド線接合部20、21に接続されている。その物性値
は、熱膨張係数が9×10-6(1/deg)、熱伝導率が
0.166cal/cmsecdegである。
【0037】絶縁性薄膜15は、アルミナ(純度99%
以上)でありスパッタ法を用いて形成された2μm膜厚
がヒータ薄膜14に積層されている。その物性値は、熱
膨張係数が7×10-6(1/deg)、熱伝導率が0.0
6cal/cmsecdegである。
【0038】酸素イオン導電性固体電解質薄膜16は、
酸化イットリウム8モル%と酸化ジルコニウム92モル
%の固溶体である安定化ジルコニア体であり、スパッタ
法を用いて形成された2μm膜厚が絶縁性薄膜15に積
層されている。その物性値は、熱膨張係数が10×10
-6(1/deg)、熱伝導率が0.014cal/cmsecdegで
ある。また、その結晶構造を解析すると、2θ=30°
に(111)面の大きな検出ピークが、2θ=50°に
(220)面の中程度の検出ピークが現われ、(11
1)面の検出ピーク強度をmとし、(220)面の検出
ピーク強度をnとすると、(111)面検出ピーク強度
mと(220)面検出ピーク強度nの比率(n/m)は
0.33であった。
【0039】第1電極薄膜17および第2電極薄膜18
は、白金をスパッタして形成した白金の通気性多孔質薄
膜であり、酸素イオン導電性固体電解質薄膜16の同一
表面に0.3μmの膜厚で形成されている。その物性値
は、熱膨張係数が9×10-6(1/deg)、熱伝導率が
0.166cal/cmsecdegである。その結晶構造をX線
回折法回折装置で解析すると、2θ=40°に(11
1)面の大きな検出ピークと、2θ=46°に(20
0)面の中程度の検出ピークと、2θ=67°に(22
0)面の小さな検出ピークが現れる。(111)面検出
ピーク強度aと(200)面検出ピーク強度bを測定
し、その検出ピーク強度の比率(b/a)を算出する
と、0.03であった。
【0040】酸化触媒膜19は、白金触媒を結晶化硝子
の表面に担持させた通気性の多孔質膜であり、第1電極
薄膜17の上部に10μmの膜厚で積層されている。そ
の物性値は、熱膨張係数が10×10-6(1/deg)、
熱伝導率が0.006cal/cmsecdegである。
【0041】本発明品に使用した材料の物性値を整理す
ると、(表1)の様になる。絶縁性耐熱基板13の熱膨
張性は酸素イオン導電性固体電解質薄膜16の0.05
倍であり、絶縁性薄膜15の熱膨張性は酸素イオン導電
性固体電解質薄膜16より小さくかつ絶縁性耐熱基板1
3より大きく、絶縁性薄膜15の熱伝導性は絶縁性耐熱
基板13より大きい。
【0042】
【表1】
【0043】最後に、ヒータ薄膜14の両端部に有る電
圧電流供給用リード線接合部20、21に白金リード線
を接続したのち、実装ケースに収納しその端子に白金リ
ード線の他端を接続して完成である。
【0044】電圧電流供給用リード線接合部20、21
の構成と材料について検討した。電圧電流供給用リード
線接合部20、21は、接合補助薄膜22a、22bと
その上部に積層した白金薄膜からなる白金接合薄膜23
a、23bからなる。
【0045】本発明1は、アルミナ薄膜からなる接合補
助薄膜22a、22bと、その上部に積層した白金薄膜
からなる白金接合薄膜23a、23bで、電圧電流供給
用リード線接合部20、21を構成した。この接合補助
薄膜22a、22bとその上部の白金接合薄膜23a、
23bは、スパッタ法を用いて石英硝子の絶縁性耐熱基
板13の片側表面に形成したものであり、その後にヒー
タ薄膜14を白金のスパッタ法で形成して電気的に導通
させた。そして、絶縁性薄膜15を形成し高温で数時間
焼成した後、酸素イオン導電性固体電解質薄膜16と第
1電極薄膜17および第2電極薄膜18、さらに酸化触
媒膜19を前述の様に順々に積層している。
【0046】本発明2は、接合補助薄膜22a、22b
としてチタン薄膜を使用したものであり、他は発明1と
同じである。
【0047】本発明3は、接合補助薄膜22a、22b
としてクロム薄膜を使用したものであり、他は発明1と
同じである。
【0048】本発明4は、接合補助薄膜22a、22b
としてジルコニウム薄膜を使用したものであり、他は発
明1と同じである。
【0049】本発明5は、接合補助薄膜22a、22b
として、銅薄膜を使用したものであり、他は発明1と同
じである。
【0050】本発明の効果の判定を行った。その結果を
(表2)に示す。リード線の接続時間は、白金リード線
の片端を電圧電流供給用リード線接合部に接続した後、
実装ケースに収納してその端子に白金リード線の他端を
接続するに要する総時間であり、溶接法を用いて白金リ
ード線を接続して計測した。ヒータ部の抵抗変化は、実
装ケースの端子に直流電圧電流を印加してヒータ薄膜を
動作温度450℃まで20ミリ秒で到達させそののち電
源を切るON―OFF試験を200回行った際の、白金
リード線付きヒータ薄膜の抵抗変化である。
【0051】
【表2】
【0052】本発明1〜5は、絶縁性耐熱基板と白金接
合薄膜とが、両者との密着性に優れた材料の接合補助薄
膜を介して接合されているため、白金接合薄膜が絶縁性
耐熱基板の表面に強固に密着する。そのため、ワイヤボ
ンディング法を用いた白金リード線の白金接合薄膜への
接合が、白金リード線が白金接合薄膜から容易に外れな
いので、簡単にできてリード線の接続時間が短い。ま
た、この様にして密着性を増してリード線接合したもの
は、ヒータ部の抵抗が増加しにくい。また、本発明は、
接合補助薄膜22a、22bとしてアルミナ、チタン、
クロム、ジルコニウム、銅を種々に組み合わせて使用し
ても、リード線の接続時間が短く、ヒータ部の抵抗変化
も微少であった。
【0053】一方、接合補助薄膜を形成していない白金
接合薄膜だけの比較例は、白金接合薄膜が絶縁性耐熱基
板の表面に充分に密着していない。そのため、白金リー
ド線が簡単に白金接合薄膜から外れ易く、複雑で高度な
接続技術と品質管理技術を必要とするので、リード線接
続時間が長い。また、密着性が不充分でリード線接合し
たものは、ヒータ部の抵抗が大きく増加した。
【0054】また、接合補助薄膜を形成していない金の
接合薄膜だけの参考例は、金の接合薄膜が絶縁性耐熱基
板の表面に充分に密着するので、金リード線が金の接合
薄膜に簡単に接合して外れ難く、リード線接続時間が短
い。しかしながら、金の接合薄膜は、ヒータ膜の白金と
の親和力に乏しく接合不良が発生していたので、ヒータ
部の抵抗が増加し易い。
【0055】なお、本発明は、上記実施例以外の次の様
な実施例でも同様な効果が得られた。絶縁性耐熱基板1
3は、窒化珪素や、フォルステライト、ステアライト、
ジルコニア系材料、アルミナの基板。ヒータ薄膜14
は、酸化ルテニウムやパラジウム等の各種金属の印刷膜
もしくはスパッタ膜さらに蒸着膜。絶縁性薄膜15は、
窒化珪素や石英硝子さらに各種セラミックおよび硝子
の、印刷膜およびスパッタ膜もしくはゾルゲル膜。酸素
イオン導電性固体電解質薄膜16は、酸化イットリウム
3モル%と酸化ジルコニウム97モル%の部分安定化ジ
ルコニア体に代表される各種ジルコニア系酸素イオン導
電性固体電解質やセリウム系酸素イオン導電性固体電解
質のスパッタ膜およびゾルゲル膜。第1電極薄膜17お
よび第2電極薄膜18は、白金系の通気性印刷膜および
スパッタ膜もしくは蒸着膜。酸化触媒膜19は、結晶化
硝子に白金等の貴金属を混合させた通気性多孔質膜。
【0056】(実施例2)実施例2は、絶縁性耐熱基板の
物性について検討した。
【0057】検討は、材質を異ならして物性を変化させ
た絶縁性耐熱基板を用いその上部に、アルミナ薄膜から
なる接合補助薄膜22a、22bと、その上部に白金薄
膜からなる白金接合薄膜23a、23bを積層して電圧
電流供給用リード線接合部20、21を形成した、固体
電解質型ガスセンサを前述と同様に試作して行った。検
討に使用した絶縁性耐熱基板は、その熱伝導率が0.0
01〜0.004cal/cmsecdegであり、アルミナ系絶
縁性薄膜の熱伝導率0.06cal/cmsecdegや安定化ジ
ルコニア系酸素イオン導電性固体電解質薄膜の熱伝導率
0.014cal/cmsecdegと比較して、その値が小さ
い。
【0058】ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合
部に白金リード線を接続するに要したリード線接続時間
と、動作温度450℃に到達してセンサ出力が得られる
最速の暖気時間を測定した。その結果を(表3)に示す。
暖気時間は、ヒータ薄膜に高い電圧値を印加して急減に
動作温度を上昇させて450℃まで到達させ、大気中で
のゼロ点センサ出力が得られる最短時間であり、この時
間を求めるために第1電極薄膜17および第2電極薄膜
18にもリード線を測定している。
【0059】
【表3】
【0060】本発明品は、熱膨張率が4.5×10
-6(1/deg)を越えないとともに転移温度が750℃
を越える硝子を絶縁性耐熱基板として使用しているた
め、リード線接続時間および暖気時間が短い。また、こ
の固体電解質型ガスセンサは動作温度が450℃である
ため、本発明品の絶縁性耐熱基板は、動作温度の300
℃以上に転移温度が有る硝子材であった。
【0061】リード線の接続時間が短い理由は、絶縁性
耐熱基板と白金接合薄膜とが、両者との密着性に優れた
材料の接合補助薄膜を介して接合されているため、白金
接合薄膜が絶縁性耐熱基板の表面に強固に密着し、ワイ
ヤボンディング法を用いた白金リード線の白金接合薄膜
への接合が、白金リード線が容易に外れないので簡単に
できるためである。また、この様にして密着性を増して
リード線接合したものは、0.02秒の暖気時間でON
−OFF試験を200回行ってもヒータ部の抵抗変化が
2%以内でありその増加は微少であった。
【0062】本発明品が短い暖気時間を有する理由は、
下記の3つ原因に起因する。
【0063】1つ目は、硝子を使用したため熱伝導率が
約0.001〜0.004cal/cmsecdegの絶縁性耐熱
基板となり、その上に積層された絶縁性薄膜や酸素イオ
ン導電性固体電解質薄膜そして酸化触媒膜など汎用セラ
ミックの熱伝導率0.006〜0.07cal/cmsecdeg
と比較して、その値が小さいことである。そのため、ヒ
ータ薄膜で発生した熱は、絶縁性耐熱基板の表面を僅か
に加熱するだけであって、絶縁性薄膜の側の方に多く伝
達されて、その上に積層された酸素イオン導電性固体電
解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜を主に加熱する。
【0064】2つ目は、熱膨張率が0.4〜4.4×1
-6(1/deg)の絶縁性耐熱基板としたため、その上
に積層された絶縁性薄膜や酸素イオン導電性固体電解質
薄膜そして酸化触媒膜などの汎用セラミックの熱膨張係
数5〜10×10-6(1/deg)と比較して、膨張係数
が小さいことである。そのため、ヒータ薄膜の発熱に伴
ない、その両側に接合された絶縁性耐熱基板および絶縁
性薄膜は熱膨張するが、絶縁性耐熱基板は低熱膨張性の
基材であるため熱膨張に強く、絶縁性薄膜および酸素イ
オン導電性固体電解質薄膜は薄膜であるため絶縁性耐熱
基板の熱膨張に追随してひび割れや破壊を生じることが
ない。
【0065】3つ目は、固体電解質型ガスセンサの適正
動作温度450℃より300℃高い、750℃以上の転
移温度(軟化により体積膨張が起こり始める温度)を有
する耐熱性の硝子を絶縁性耐熱基板として使用したた
め、その上部に積層される絶縁性薄膜の形成に、硝子の
転移温度750℃以上の高温処理を施こすことができ、
欠陥の少ない絶縁性薄膜が生成されて優れた絶縁特性が
確保できることである。そのため、酸素イオン導電性固
体電解質薄膜は、ヒータ薄膜からの電場の影響が小さい
ので良好に動作し、適正動作温度450℃で良好な酸素
イオン導電性を発揮する。
【0066】この上記3つの効果により、酸素イオン導
電性固体電解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜は、そ
の下部に配置したヒータ薄膜により短時間で加熱されて
動作状態となり、短時間に暖気されている。なお、実施
例は、絶縁性耐熱基板の全体が硝子材で有るが、ヒータ
薄膜の側にこの様な硝子材の皮膜が存在する基板(例え
ば、フォルステライト、ステアライト、ジルコニア系材
料などの低熱伝導率の材料)を用いても同様の効果が得
られることは言うまでもない。
【0067】一方、転移温度が750℃未満の硝子を絶
縁性耐熱基板として使用した比較例は、絶縁性薄膜の絶
縁特性が実用規格限度であるため酸素イオン導電性固体
電解質薄膜の酸素イオン導電性が実用規格限度レベルと
なり、やや長い暖気時間を必要とした。
【0068】(実施例3)実施例3は、絶縁性耐熱基板
に用いる石英硝子の組成について検討した。石英硝子
は、珪酸(SiO2)を主成分とする硝子であるが、水
酸基(OH基と称す)を微量含有する。そこで、水酸基
の含有量を異ならした石英硝子の絶縁性耐熱基板を用い
その上部に、アルミナ薄膜からなる接合補助薄膜22
a、22bと、その上部に白金薄膜からなる白金接合薄
膜23a、23bを積層して、電圧電流供給用リード線
接合部20、21を形成した固体電解質型ガスセンサを
前述と同様に試作し、その検討を行った。
【0069】ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合
部に白金リード線を接続するに要したリード線接続時間
と、動作温度450℃に到達してセンサ出力が得られる
最速の暖気時間を測定した。その結果を(表4)に示す。
【0070】
【表4】
【0071】本発明品は、水酸基が0.2wt%を越えな
い耐熱性の優れた石英硝子を絶縁性耐熱基板として使用
したため、リード線接続時間および暖気時間が短い。リ
ード線の接続時間が短い理由は、絶縁性耐熱基板と白金
接合薄膜とが、両者との密着性に優れた材料の接合補助
薄膜を介して接合されているため、白金接合薄膜が絶縁
性耐熱基板の表面に強固に密着し、ワイヤボンディング
法を用いた白金リード線の白金接合薄膜への接合が、白
金リード線が容易に外れないので簡単にできるためであ
る。また、この様にして密着性を増してリード線接合し
たものは、0.02m秒の暖気時間でON−OFF試験
を200回行ってもヒータ部の抵抗変化が2%以内であ
りその増加は微少であった。
【0072】また、本発明品は、その上部に積層される
絶縁性薄膜の形成に、高温処理を施こすことができ、欠
陥の少ない絶縁性薄膜が生成されて優れた絶縁特性が確
保できる。そのため、酸素イオン導電性固体電解質薄膜
は、ヒータ薄膜からの漏れ電流の影響を全く受けること
なく正常に動作し、適正動作温度450℃で良好な酸素
イオン導電性を発揮する。この効果により、酸素イオン
導電性固体電解質薄膜や電極薄膜そして酸化触媒膜は、
その下部に配置したヒータ薄膜により短時間で加熱され
て動作状態となり、極めて短時間に暖気されている。
【0073】一方、水酸基を0.2wt%以上含む石英硝
子を絶縁性耐熱基板として使用した比較品は、積層され
る絶縁性薄膜の形成に充分な高温処理を施こすことがで
きないため、絶縁特性が実用規格限度となっている。そ
のため、酸素イオン導電性固体電解質薄膜の酸素イオン
導電性が実用規格限度レベルとなり、やや長い暖気時間
を必要とした。
【0074】(実施例4)実施例4は、絶縁性耐熱基板
の中心線表面粗さ(Ra)について検討した。中心線表
面粗さRaを異ならした石英硝子の絶縁性耐熱基板を用
いその上部に、アルミナ薄膜からなる接合補助薄膜22
a、22bと、その上部に白金薄膜からなる白金接合薄
膜23a、23bを積層して、電圧電流供給用リード線
接合部20、21を形成した固体電解質型ガスセンサを
前述と同様に試作し、その検討を行った。
【0075】ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合
部に白金リード線を接続するに要したリード線接続時間
と、動作温度450℃に到達してセンサ出力が得られる
最速の暖気時間を測定した。その結果を(表5)に示す。
【0076】
【表5】
【0077】本発明品は、中心線表面粗さRaが0.0
5〜1.0μmである絶縁性耐熱基板を使用しているた
め、リード線接続時間および暖気時間が短い。リード線
の接続時間が短い理由は、絶縁性耐熱基板と白金接合薄
膜とが、両者との密着性に優れた材料の接合補助薄膜を
介して接合されているため、白金接合薄膜が絶縁性耐熱
基板の表面に強固に密着し、ワイヤボンディング法を用
いて白金リード線を白金接合薄膜に簡単に接合でき容易
に外れないためである。また、この様にして密着性を増
してリード線接合したものは、0.02秒の暖気時間で
ON−OFF試験を200回行ってもヒータ部の抵抗変
化が2%以内でありその増加は微少であった。
【0078】また、本発明品は、その上部に積層される
絶縁性薄膜が絶縁性耐熱基板に良好に密着してその熱膨
張に良好に追随する。これにともない、その上部に積層
された酸素イオン導電性固体電解質薄膜は、絶縁性耐熱
基板の表面粗さの影響で絶縁性薄膜に充分に密着するの
で、ヒータ薄膜で発生した熱を伝達され、短時間に暖気
される。
【0079】一方、中心線表面粗さRaが0.05μm
未満もしくは1.0μmを越える絶縁性耐熱基板の比較
品は、その上部に積層される絶縁性薄膜が絶縁性耐熱基
板に密着やや不充分となってその熱膨張に良好に追随で
きず、固体電解質型ガスセンサはやや長時間で暖気され
た。
【0080】(実施例5)実施例5は、ヒータ薄膜に用
いる材料とその構成について検討した。その実施例は、
図1に示す通りであり、白金薄膜からなるヒータ薄膜1
4(以下、白金ヒータ薄膜と称する)の下部に、ヒータ
補助薄膜を配置したものである。
【0081】本発明1は、白金薄膜からなる白金ヒータ
薄膜14の下部に、アルミナ薄膜からなるヒータ補助薄
膜24を配置したものである。その製法はまず、アルミ
ナ薄膜からなるヒータ補助薄膜24と接合補助薄膜22
a、22bを、スパッタ法を用いて石英硝子の絶縁性耐
熱基板13の片側表面に同時に形成し、その上部に白金
薄膜からなるヒータ薄膜14と白金接合薄膜23a、2
3bをスパッタ法を用いて形成して積層した。そして、
石英硝子からなる絶縁性薄膜15を形成し高温で数時間
焼成した後、酸素イオン導電性固体電解質薄膜16と第
1電極薄膜17および第2電極薄膜18、さらに酸化触
媒膜19を前述の様に順々に積層した。
【0082】本発明2は、ヒータ補助薄膜24としてチ
タン薄膜を使用したものであり、スパッタ法を用いて接
合補助薄膜22a、22bとともに同時形成した以外
は、発明1と同じである。
【0083】本発明3は、ヒータ補助薄膜24としてク
ロム薄膜を使用したものであり、スパッタ法を用いて接
合補助薄膜22a、22bとともに同時形成した以外
は、発明1と同じである。
【0084】本発明4は、ヒータ補助薄膜24としてジ
ルコニウム薄膜を使用したものであり、スパッタ法を用
いて接合補助薄膜22a、22bとともに同時形成した
以外は、発明1と同じである。
【0085】本発明5は、ヒータ補助薄膜24として銅
薄膜を使用したものであり、スパッタ法を用いて接合補
助薄膜22a、22bとともに同時形成した以外は、発
明1と同じである。
【0086】比較例は、ヒータ補助薄膜24および接合
補助薄膜22a、22bを形成せずに、ヒータ薄膜14
と白金接合薄膜23a、23bをスパッタ法を用いて形
成しした以外は、発明1と同じである。
【0087】暖気時間とヒータ部の抵抗変化を測定した
結果を(表6)に示す。
【0088】
【表6】
【0089】本発明1〜5は、絶縁性耐熱基板と白金ヒ
ータ薄膜とが、両者との密着性に優れた材料のヒータ補
助薄膜を介して接合されているため、白金ヒータ薄膜が
絶縁性耐熱基板の表面に強固に密着する。また、ヒータ
薄膜をこの材料と構成にすることにより、接合補助薄膜
および白金接合薄膜も同時に形成される。そのため、ワ
イヤボンディング法を用いた白金リード線の白金接合薄
膜への接合が、白金リード線が白金接合薄膜から容易に
外れないので、簡単にできてリード線接続時間が0.8
〜1秒と短くなり、これにともないヒータ部の抵抗変化
も小さくなった。なお、本発明は、接合補助薄膜22
a、22bとしてアルミナ、チタン、クロム、ジルコニ
ウム、銅を種々に組み合わせて使用しても、リード線の
接続時間が短く、ヒータ部の抵抗変化も微少であった。
【0090】また、この組成のヒータ膜であると、その
両側に接合された絶縁性耐熱基板および絶縁性薄膜との
密着性が向上して、絶縁性薄膜がひび割れや破壊を生じ
ることなく絶縁性耐熱基板の熱膨張に良好に追随する。
またこのことで、その上部に積層された酸素イオン導電
性固体電解質薄膜は、ヒータ薄膜で発生した熱を効果的
に伝達させ、短時間に暖気された。また、ヒータ補助薄
膜は白金薄膜の上部にまたは上下部に配置しても同様の
効果が得られることは言うまでもない。
【0091】一方、接合補助薄膜を形成していない白金
接合薄膜だけの比較例は、白金接合薄膜が絶縁性耐熱基
板の表面に充分に密着していない。そのため、白金リー
ド線が簡単に白金接合薄膜から外れ易く、複雑で高度な
接続技術と品質管理技術を必要とするので、リード線接
続時間が長い。また、密着性が不充分でリード線接合し
たものは、ヒータ部の抵抗が大きく増加した。
【0092】(実施例6)実施例6は、絶縁性薄膜の材
料について検討した。
【0093】本発明1は、絶縁性薄膜15として石英硝
子を使用したものである。その製法は、以下の通りであ
る。まず、チタン薄膜からなるヒータ補助薄膜24およ
び接合補助薄膜22a、22bを、スパッタ法を用いて
石英硝子の絶縁性耐熱基板13の片側表面に同時に形成
し、その上部に白金薄膜からなるヒータ薄膜14および
白金接合薄膜23a、23bをスパッタ法を用いて同時
形成し積層した。そしてヒータ薄膜14の上部に、スパ
ッタ法を用いて石英硝子の絶縁性薄膜15を積層し、1
000で3時間焼成した。その後、酸素イオン導電性固
体電解質薄膜16と第1電極薄膜17および第2電極薄
膜18、さらに酸化触媒膜19を実施例1の様に順々に
積層した。
【0094】本発明2は、絶縁性薄膜15として、下層
に石英硝子を上層にアルミナをスパッタ法を用いて形成
し積層したものであり、白金ヒータ薄膜14に接する側
に石英硝子の絶縁性薄膜を配置している。他の製法は発
明1と同じである。
【0095】比較例は、絶縁性薄膜15として、窒化珪
素をスパッタ法を用いて形成したものであり、他の製法
は発明1と同じである。
【0096】暖気時間とヒータ部の抵抗変化を測定した
結果を(表7)に示す。
【0097】
【表7】
【0098】本発明1〜2は、白金ヒータ薄膜に接する
側に石英硝子の絶縁性薄膜が配置されているため、白金
ヒータ薄膜が良好に密着し、白金ヒータ薄膜の抵抗変化
が抑制させてその変化が微少である。また、この組成の
絶縁性薄膜であると、これら薄膜が絶縁性耐熱基板の熱
膨張に良好に追随することを助け、その上部に積層され
た酸素イオン導電性固体電解質薄膜は、充分に電気絶縁
され、しかもヒータ薄膜で発生した熱を伝達され、短時
間に暖気される。
【0099】一方、比較例は、白金ヒータ薄膜に接する
側に石英硝子の絶縁性薄膜が配置されていないため、白
金ヒータ薄膜と絶縁性薄膜の密着性が不充分であり、白
金ヒータ薄膜の抵抗変化が少し大きい。
【0100】(実施例7)実施例7は、酸素イオン導電
性固体電解質薄膜16の結晶構造について検討した。
【0101】酸素イオン導電性固体電解質薄膜16とし
て使用する安定化ジルコニア体は、酸化イットリウム8
モル%と酸化ジルコニウム92モル%の固溶体であり、
スパッタ法で形成したのちに1000℃前後で数時間熱
処理した薄膜である。この安定化ジルコニア体をX線回
折法回折装置で結晶構造解析すると、2θ=30°に
(111)面の大きな検出ピークが、2θ=50°に
(220)面の中程度の検出ピークが現れる。そして、
(111)面の検出ピーク強度をmとし、(220)面
の検出ピーク強度をnとすると、その比率(n/m)に
より起電力の安定時間が異なることが判明した。そこ
で、スパッタ条件を変化させて比率(n/m)が異なる
安定化ジルコニア体を形成した固体電解質型ガスセンサ
を、前述の実施例1の様に試作した。比率(n/m)と
安定化ジルコニア体の抵抗、センサの暖気時間との関係
を測定した結果を(表8)に示す。
【0102】
【表8】
【0103】暖気時間は、比率(n/m)0.5を境に
大きく変化し、本発明の比率(n/m)が0.5未満の
場合には短い暖気時間が得られた。これは、比率(n/
m)が0.5未満であると、安定化ジルコニア体の抵抗
が小さくなるとともに、結晶構造が凹凸の多い多孔質と
なって白金電極膜を良好に密着させ、酸素分子の吸脱着
が円滑に進行するためと思われる。この安定化ジルコニ
ア体は、動作温度の影響を受け難い酸素イオン導電性が
得られた。そこで、以後の検討は、比率(n/m)が
0.5未満である安定化ジルコニア体を使用して行なっ
た。
【0104】一方、比率(n/m)が0.5を越える比
較品(例えば、比率n/mが0.58である標準的結晶
構造体)は、起電力が安定しないので暖気がやや遅い。
これは、凹凸の少ない緻密な焼成体の安定化ジルコニア
体であるため、その抵抗が大きいとともに、白金電極膜
との密着が不充分となって、酸素分子の吸脱着が円滑に
進行しないためと思われる。また、この安定化ジルコニ
ア体は、動作温度の影響を受け易い酸素イオン導電性が
得られた。
【0105】(実施例8)実施例8は、第1電極薄膜1
7および第2電極薄膜18の電位検出用リード線接合部
25、26の構成について検討した。この電位検出用リ
ード線接合部25、26は、絶縁性耐熱基板13に形成
した電極補助薄膜27a、27bと、この上部に積層し
た白金電極薄膜28b、28bとの積層膜からなる。そ
の実施例を図2に示す。
【0106】本発明1は、アルミナ薄膜からなる電極補
助薄膜27a、27bと、その上部に積層した白金薄膜
からなる白金電極薄膜28b、28bで、電位検出用リ
ード線接合部25、26を構成した。その製法は、以下
の通りである。まず、石英硝子の絶縁性耐熱基板13の
片側表面にスパッタ法を用いて、アルミナ薄膜からなる
電極補助薄膜27a、27bと、その上部に積層して白
金薄膜からなる白金電極薄膜28b、28bを形成し
て、電位検出用リード線接合部25、26を構成した。
またそれと同時に、石英硝子の絶縁性耐熱基板13の中
央部に、白金のヒータ薄膜14と、アルミナの絶縁性薄
膜15と、安定化ジルコニア体の酸素イオン導電性固体
電解質薄膜16を、スパッタ法を用いて順々に積層して
いった。そして、白金薄膜からなる第1電極薄膜17お
よび第2電極薄膜18を、その端部が電位検出用リード
線接合部25、26に接続される様に、酸素イオン導電
性固体電解質薄膜16の同一面にスパッタ法を用いて形
成した。最後に、酸化触媒膜19を第1電極薄膜17を
覆う様に積層し、白金リード線を接続して完成である。
【0107】本発明2は、電極補助薄膜27a、27b
としてチタン薄膜を使用したものであり、他は発明1と
同じである。
【0108】本発明3は、電極補助薄膜27a、27b
としてクロム薄膜を使用したものであり、他は発明1と
同じである。
【0109】本発明4は、電極補助薄膜27a、27b
としてジルコニウム薄膜を使用したものであり、他は発
明1と同じである。
【0110】本発明5は、電極補助薄膜27a、27b
として、銅薄膜を使用したものであり、他は発明1と同
じである。
【0111】本発明の効果の判定を行った。その結果を
(表9)に示す。リード線の接続時間は、白金リード線
の片端を電位検出用リード線接合部25、26に接続し
た後、実装ケースに収納してその端子に白金リード線の
他端を接続するに要する総時間であり、溶接法を用いて
白金リード線を接続して計測した。
【0112】
【表9】
【0113】本発明1〜5は、絶縁性耐熱基板と白金電
極薄膜とが、両者との密着性に優れた材料の電極補助薄
膜を介して接合されているため、白金電極薄膜が絶縁性
耐熱基板の表面に強固に密着する。そのため、ワイヤボ
ンディング法を用いた白金リード線の白金電極薄膜への
接合が、白金リード線が白金電極薄膜から容易に外れな
いので、簡単にできてリード線の接続時間が短い。ま
た、本発明は、電極補助薄膜27a、27bとしてアル
ミナ、チタン、クロム、ジルコニウム、銅を種々に組み
合わせて使用しても、リード線の接続時間が短かった。
【0114】一方、電極補助薄膜を形成していない白金
電極薄膜だけの比較例は、白金電極薄膜が絶縁性耐熱基
板の表面に充分に密着していない。そのため、白金リー
ド線が簡単に白金電極薄膜から外れ易く、複雑で高度な
接続技術と品質管理技術を必要とするので、リード線接
続時間が長い。
【0115】(実施例9)実施例9は、第1電極薄膜お
よび第2電極薄膜に用いる白金の結晶構造について検討
した。
【0116】第1電極薄膜17および第2電極薄膜18
の白金をX線回折法回折装置で結晶構造を解析すると、
2θ=40°に(111)面の大きな検出ピークと、2
θ=46°に(200)面の中程度の検出ピークと、2
θ=67°に(220)面の小さな検出ピークが現れ
る。そこで、スパッタ条件を変化させて結晶構造の異な
る各種の白金を試作し、X線回折法により(111)面
検出ピーク強度aと(200)面検出ピーク強度bを測
定して、検出検出ピーク強度ピーク強度の比率(b/
a)を算出した。そして、この固体電解質型ガスセンサ
を起動させたところ、検出ピーク強度の比率(b/a)
により、センサ出力の安定時間が異なることが判明し
た。そこで、検出ピーク強度の比率(b/a)と暖気時
間との関係を測定した。
【0117】(表10)は、白金の(111)面検出ピ
ーク強度aと(200)面検出ピーク強度bの比率(b
/a)と、暖気時間の関係を測定した結果である。
【0118】
【表10】
【0119】検出ピーク強度の比率(b/a)が0.0
1〜0.1の本発明は、暖気時間が短った。これは、
(200)面と(111)面の検出ピーク強度の比率
(b/a)がこの範囲にある時に、一酸化炭素を吸着し
て二酸化炭素に酸化する特性に優れた白金電極薄膜が得
られるためと思われる。一方、比率(b/a)が0.0
1未満の比較例は暖気時間がやや長い。これは、(20
0)面が少ないため一酸化炭素を吸着して二酸化炭素に
酸化する特性に劣る白金電極薄膜が得られるためと思わ
れる。また、比率(b/a)が0.1を超える比較例
(例えば、比率b/aが0.54である標準的結晶構
造)は暖気時間がやや長い。これは(111)面が少な
いため一酸化炭素を吸着して二酸化炭素に酸化する特性
に劣る白金電極薄膜が得られるためと思われる。このこ
とより、以後の検討は、比率(b/a)が0.01〜
0.1である(111)に配向した白金を使用して行っ
た。
【0120】(実施例10)実施例10は、接合補助薄
膜22a、22b、ヒータ補助薄膜24、電極補助薄膜
27a、27bの構成について検討した。
【0121】これら補助薄膜が、石英硝子からなる絶縁
性耐熱基板13の表面に形成されていると、実施例1や
実施例5さらに実施例8に記載した様に、この絶縁性耐
熱基板と上部の各種白金薄膜とが密着性に優れたこれら
の各種補助薄膜を介して接合されているため、各種白金
薄膜は絶縁性耐熱基板の表面に強固に密着する。そのた
め、ワイヤボンディング法を用いて白金線を、リード線
接合部に簡単に接合できしかも容易に外れない。また、
製法も簡単になる。
【0122】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜10に記載の
発明は、ヒータ薄膜の電圧電流供給用リード線接合部
が、絶縁性耐熱基板の上部に形成されており、この絶縁
性耐熱基板と上部の白金接合薄膜とは、密着性に優れた
アルミナ、チタン、クロム、ジルコニウムより選択した
少なくとも1種からなる材料の接合補助薄膜を介して接
合されている。そのため、白金接合薄膜が絶縁性耐熱基
板の表面に強固に密着し、ワイヤボンディング法を用い
て白金線を白金接合薄膜に簡単に接合でき、しかも白金
線は白金接合薄膜から容易に外れない。また、この様に
して密着性を増してリード線接合したガスセンサは、ヒ
ータ膜との接続抵抗が増加しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における固体電解質型ガスセ
ンサの断面図
【図2】本発明の実施例2における固体電解質型ガスセ
ンサの断面図
【図3】(a)従来の触媒層の構成図 (b)従来の固体電解質型ガスセンサの断面図
【符号の説明】
13 絶縁性耐熱基板 14 ヒータ薄膜 15 絶縁性薄膜 16 酸素イオン導電性固体電解質薄膜 17 第1電極薄膜 18 第2電極薄膜 19 酸化触媒膜 20、21 電圧電流供給用リード線接合部 22a、22b 接合補助薄膜 23a、23b 白金接合薄膜 24 ヒータ補助薄膜 25、26 電位検出用リード線接合部 27a、27b 電極補助薄膜 28a、28b 白金電極薄膜
フロントページの続き (72)発明者 宇野 克彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丹羽 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 梅田 孝裕 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 渋谷 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BE21 BF07 BH20 BJ03 BM07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性耐熱基板と、その上部に順々に積
    層した耐熱性のヒータ薄膜と絶縁性薄膜と酸素イオン導
    電性固体電解質薄膜と、前記酸素イオン導電性固体電解
    質薄膜の同一面上に形成された通気性の第1電極薄膜お
    よび第2電極薄膜と、前記第1電極薄膜を覆って積層し
    た通気多孔性の酸化触媒膜を少なくとも備え、前記ヒー
    タ薄膜はその電圧電流供給用リード線接合部が、アルミ
    ナ、チタン、クロム、ジルコニウム、銅より選択した少
    なくとも1種材料からなる接合補助薄膜と、前記接合補
    助薄膜の上部に積層した白金接合薄膜との積層膜からな
    る固体電解質型ガスセンサ。
  2. 【請求項2】 絶縁性耐熱基板は、その熱膨張係数が
    4.5×10-6(1/deg)を越えないでしかも、その
    転移温度が動作温度の300℃を越える硝子材が少なく
    ともヒータ薄膜の側に存在する基板である請求項1記載
    の固体電解質型ガスセンサ。
  3. 【請求項3】 絶縁性耐熱基板は、水酸基を0.2wt%
    超えないで含有する石英硝子である請求項1記載の固体
    電解質型ガスセンサ。
  4. 【請求項4】 絶縁性耐熱基板は、その中心線表面粗さ
    Raが0.05〜1.0μmである石英硝子である請求
    項1記載の固体電解質型ガスセンサ。
  5. 【請求項5】 ヒータ薄膜は、白金薄膜からなり、少な
    くともその下部または上部にアルミナ、チタン、クロ
    ム、ジルコニウム、銅より選択した少なくとも1種材料
    からなるヒータ補助薄膜を配置した請求項1記載の固体
    電解質型ガスセンサ。
  6. 【請求項6】 石英硝子が少なくともヒータ薄膜の側に
    存在する絶縁性耐熱基板に、少なくとも石英硝子の絶縁
    性薄膜を、前記ヒータ薄膜の側に積層した請求項5記載
    の固体電解質型ガスセンサ。
  7. 【請求項7】 酸素イオン導電性固体電解質体は、酸化
    イットリウムの8モル%と酸化ジルコニア92モル%が
    主成分である安定化ジルコニア体であって、X線回折法
    による結晶構造解析における(111)面検出ピーク強
    度をmとし、(220)面検出ピーク強度をnとする
    と、その比率(n/m)は0.5を越えない請求項1記
    載の固体電解質型ガスセンサ。
  8. 【請求項8】 第1電極薄膜および第2電極薄膜の電位
    検出用リード線接合部は、絶縁性耐熱基板に形成されて
    おり、アルミナ、チタン、クロム、ジルコニウム、銅よ
    り選択した少なくとも1種材料からなる電極補助薄膜
    と、前記電極補助薄膜の上部に積層した白金電極薄膜と
    の積層膜からなる請求項1記載の固体電解質型ガスセン
    サ。
  9. 【請求項9】 第1電極薄膜および第2電極薄膜は、
    (111)面に配向した白金が主成分であり、その1部
    が電位検出用リード線接合部に積層されている請求項8
    記載の固体電解質型ガスセンサ。
  10. 【請求項10】 接合補助薄膜またはヒータ補助薄膜ま
    たは電極補助薄膜は、石英硝子からなる絶縁性耐熱基板
    に形成されている請求項1、5、8いずれか1項記載の
    固体電解質型ガスセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100397665C (zh) * 2005-01-14 2008-06-25 财团法人工业技术研究院 发光二极管
JP2018049011A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 セウォン ハードフェイシング カンパニー リミテッド 窒素酸化物センサー及びこれの製造方法

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