JP2002310072A - オイルユニット - Google Patents

オイルユニット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造を簡略化してコストダウンを図る。 【解決手段】 ケース2内には、スピンドルの大径部1
3との間で油室19が形成される。大径部13には、ブ
レード16,16とリブ15,15が形成され、ケース
2にはシール体18,18が固着されて、ケース2の回
転に伴うシール体18,18とリブ15,15との対向
により、オイルパルスを発生可能となっている。又、ケ
ース2の前後には、第1、第2カム溝23,24が夫々
形成され、一方のブレード16には、第1カム溝23に
遊挿する第1ピン25が、他方のブレード16には、第
2カム溝24に遊挿する第2ピン26が夫々突設され
て、オイルパルス発生後のケース2の回転に伴い、第
1、第2カム溝23,24が第1、第2ピン25,26
を案内して、ブレード16,16を大径部13内に没入
させてシール体18,18との干渉を回避させるように
なっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トルクレンチ等の
電動工具に使用され、伝達されたトルクを油圧によって
瞬間的なトルクとして出力するオイルユニットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】図3に従来のオイルユニット30を示
す。オイルユニット30は、筒状のケース31内に、モ
ータの出力軸等に連結されてトルク伝達されるライナ3
2を一体に収容し、軸方向前後を図示しないキャップで
閉塞して油室33を形成すると共に、キャップによって
油室33内でスピンドル34を軸支させている。このス
ピンドル34には、一対のブレード35,35をスピン
ドル34の半径方向で出没自在且つ図示しないコイルバ
ネによって突出方向へ付勢した状態で遊挿すると共に、
ブレード35,35と90°の位相差で一対のリブ3
6,36を突設している。一方、ライナ32の軸方向前
後には、ブレード35,35の先端面が摺接する長円形
状の案内孔37,37が夫々穿設され、案内孔37,3
7間には、端面を案内孔37の内周形状に合致させた第
1シール体38,38と、同じく端面を案内孔37の内
周形状に合致させた第2シール体39,39とが互いに
90°の位相差でライナ32の軸方向に形成されてい
る。よって、同図(A)〜(C)に示す如く、ケース3
1及びライナ32の矢印方向への回転に伴い、案内孔3
7,37の内周面に沿って相対回転するブレード35,
35が第1シール体38,38に、リブ36,36が第
2シール体39,39に夫々達すると、油室33が4つ
に仕切られて高圧室と低圧室とが交互に発生し、この圧
力差でスピンドル34に衝撃トルク(オイルパルス)が
発生するものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記オイルユニット3
0において、ライナ32は、案内孔37,37を3つの
円を組み合わせて形成する上、第1、第2シール体3
8,39も必要となるため、形状が複雑化する。特に、
案内孔37の短軸方向の対向面は、図3(D)〜(L)
に示すように、ライナ32の回転に伴ってブレード3
5,35をコイルバネの付勢に抗してスピンドル34内
に押し込み、第2シール体39,39を通過させること
となるが、この通過の際、円と円との交点の抵抗が大き
くなると、オイルパルスのトルクにロスが生じる。又、
3つの円で構成している案内孔37,37の内径に精度
の高い研磨作業が必要となり、製造工程の増加やコスト
アップを招いてしまう。
【0004】そこで、請求項1に記載の発明は、構成を
より簡略化してコスト面に優れるオイルユニットを提供
することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、作動油を充填した筒状の
ケース内にスピンドルを挿通させると共に、ケース両端
の閉塞部でスピンドルを同軸で回動可能に軸支させ、ス
ピンドルに、半径方向に突出付勢されてケース内面に当
接し、ケース内面とスピンドル外面との間に形成される
油室をスピンドルの軸方向に仕切るブレードを設ける一
方、ケース内面に、ケースの所定の回転位置でスピンド
ルの周面へ軸方向に形成されるシール面と対向して油室
をシール可能なシール体を軸方向に突設し、更に、ブレ
ードにおける軸方向前後の端面にピンを夫々突設する一
方、閉塞部の互いの対向面に、ケースの回転に伴ってピ
ンを案内し、シール体がブレードを通過する際にブレー
ドをスピンドル内に没入させるカム溝を夫々設けて、ケ
ースとスピンドルとの相対回転により、ブレードの先端
面をケース内面側と摺接させ、シール面とシール体とが
対向する位置で複数に分割される油室内に圧力差を生じ
させて、スピンドルへ瞬間的なトルクを発生可能とした
オイルユニットであって、ケースの内面の形状を、スピ
ンドルと同軸の円形としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1はオイルユニット1の軸方向
の断面説明図、図2(A)は横断面説明図で、オイルユ
ニット1において、2は円筒状のケースで、ケース2に
は、後方(図1の左側を前方として説明する。)から閉
塞部として円盤状のボトムキャップ4が遊挿されてケー
ス2前端のストッパ部3に当接し、図示しない係止手段
によって回転を規制された状態でケース2の前方を閉塞
している。一方、ケース2の後方に形成されるやや大径
の開口5には、後方の閉塞部として円盤状のトップキャ
ップ6が遊挿され、図示しない係止手段によって回転を
規制されると共に、トップキャップ6の後方には、トッ
プナット7が螺合されて、トップナット7のケース2へ
のねじ込みによりトップキャップ6を固定可能となって
いる。8は、トップキャップ6の後方に突設されてトッ
プナット7を貫通し、後端に六角穴を開口する筒状の連
結部である。
【0007】9はスピンドルで、前端の出力部10はボ
トムキャップ4を貫通してケース2の前方に突出し、後
端の円柱部11は、トップキャップ6前面の有底孔12
に遊挿して、ケース2の円形内面と同軸で回動自在に軸
支されている。又、スピンドル9の中央部には、断面円
形の大径部13がボトムキャップ4とトップキャップ6
との間一杯に形成され、大径部13には、半径方向で大
径部13を直線状に貫通し、大径部13の軸方向前後で
連通する一対の収納溝14,14と、その収納溝14,
14と周方向に90°の位相差を有し、端面がシール面
となる一対のリブ15,15とが夫々軸方向に形成さ
れ、収納溝14,14に、大径部13と軸方向が同じ長
さのブレード16,16が周方向へ若干揺動可能に収納
されている。このブレード16,16は、大径部13を
貫通して両者間に介在された2つのコイルバネ17,1
7によって互いの離反方向へ付勢されて、先端面をケー
ス2の内面に当接させている。一方、ケース2内面に
は、点対称の位置に一対のシール体18,18がボトム
キャップ4とトップキャップ6との間に亘ってケース2
の軸線と平行に、且つ軸線側の端面をスピンドル9の大
径部13の外面に摺接させた状態で固着されている。
【0008】よって、スピンドル9のブレード16,1
6とケース2のシール体18,18との間に周方向で9
0°の位相差が生じる状態(図2(C)の位置)では、
ブレード16,16がケース2の内面と当接すると共
に、シール体18,18は大径部13のリブ15,15
と対向して、ケース2内面と大径部13外面との間に形
成される油室19を4つに分割可能となっている。但
し、大径部13におけるリブ15,15の周方向両側
は、互いに平行となる面取部20,20が形成されてい
ることから、ケース2のシール体18,18が大径部1
3のリブ15,15から周方向へずれると、面取部2
0,20により形成される大径部13の凹部によって、
シール体18,18とリブ15,15とによるシールは
解除される。尚、図1において21は、スピンドル9の
出力部10の前方からスピンドル9の軸心に形成され、
収納溝14,14の前方連通部分と連通する作動油の供
給孔、22はその閉塞ネジである。
【0009】一方、ボトムキャップ4とトップキャップ
6との互いの対向面には、長円形の第1カム溝23と第
2カム溝24とが夫々形成される。第1カム溝23は、
長軸の中央をスピンドル9の軸心と一致させた長円形の
溝、第2カム溝24は、第1カム溝23よりも長軸の長
さが短い長円形の溝であるが、ここでは第2カム溝24
をスピンドル9の軸心から一方の長軸方向にずらせて当
該方向で第1カム溝23と重合させて、他方の長軸方向
では、第1カム溝23を第2カム溝24との重合部分よ
りも浅く形成している。この第1カム溝23と第2カム
溝24との向き及び重合方向は、ボトムキャップ4とト
ップキャップ6共に同じである。そして、一方のブレー
ド16の前後端面には、第1カム溝23に遊挿し、第
1、第2カム溝23,24の重合部分の深さより短い第
1ピン25,25が夫々突設され、他方のブレード16
の前後端面には、第1、第2カム溝23,24の重合部
分に遊挿し、第1カム溝23の深さより長い第2ピン2
6,26が夫々突設されている。
【0010】よって、ブレード16,16は、一方が第
1ピン25,25と第1カム溝23の内周面との干渉に
より、他方が第2ピン26,26と第2カム溝24の内
周面との干渉により夫々突出位置を規制されることにな
るが、第2ピン26が第1、第2カム溝23,24の重
合側にあって、第1、第2ピン25,26が第1、第2
カム溝23,24の長軸上に位置する図2(C)の状態
では、ブレード16,16がケース2の内面に当接して
突出位置を規制されることで、第1、第2ピン25,2
6は夫々第1、第2カム溝23,24の内周面と離反す
る。又、第1、第2ピン25,26が第1、第2カム溝
23,24の短軸上に略位置する同図(L)の状態で
は、第1、第2ピン25,26が夫々第1、第2カム溝
23,24の内周面に当接してブレード16,16の突
出が規制される。このときブレード16,16の端面
は、大径部13の周面より奥に没入する。
【0011】以上の如く構成されたオイルユニット1
は、インパルスドライバ等の電動工具のハウジング内に
収容して、トップキャップ6の連結部8に、電動工具内
のモータから回転伝達される出力軸を一体に連結する一
方、スピンドル9の出力部10は、ハウジングから前方
へ突出させてチャック等を介してビットを装着可能とす
る。よって、モータの回転に伴い、トップキャップ6が
回転すると、これと一体のケース2が図2の矢印方向へ
左回転し、油室19を介してスピンドル9を一体回転さ
せる。そして、出力部10への負荷が高まり、スピンド
ル9の回転がケース2よりも遅れるようになると、図2
(A)(B)のようにブレード16,16がケース2の
回転方向へ傾いた姿勢で相対的にケース2の内面を摺動
する。そして、同図(C)のようにシール体18,18
が大径部13のリブ15,15の位置に到達して油室1
9をシールすると、ブレード16,16の傾きにより収
納溝14,14を介して互いに連通するシール体18,
18の回転方向前方側の油圧が高まって油室19内に高
圧室と低圧室とが交互に発生し、その圧力差によってブ
レード16,16を介してスピンドル9への出力トルク
を瞬間的に増大させてスピンドル9を回転させる(オイ
ルパルス発生)。
【0012】その後更にケース2が回転を続けること
で、ボトムキャップ4とトップキャップ6の第1、第2
カム溝23,24も回転し、同図(D)〜(F)のよう
に、一方のブレード16の第1ピン25が第1カム溝2
3の内周面に、他方のブレード16の第2ピン26が第
2カム溝24の内周面に沿って夫々摺動するため、ブレ
ード16,16は回転に伴ってスピンドル9の軸心との
距離が徐々に近くなる第1、第2カム溝23,24の内
周面によって徐々に大径部13内に引き込まれ、同図
(G)の位置では、ブレード16,16はケース2の内
面から夫々離反する。そして、更にケース2の回転に伴
って同図(H)〜(K)のようにブレード16,16
は、第1、第2カム溝23,24の案内によって大径部
13内に没入し、ケース2が同図(C)から90°回転
した同図(L)の位置では、第1、第2カム溝23,2
4の短軸方向の寸法によって、前述の如くブレード1
6,16は大径部13内へ完全に没入し、シール体1
8,18を干渉することなく通過させる。
【0013】尚、ケース2が更に回転を続けると、一方
のブレード16は、上記作用と逆に、短い第1ピン25
が第1カム溝23の内周面に案内されることで徐々に大
径部13から突出し、再びケース2の内面に当接するこ
とになるが、他方のブレード16は、長い第2ピン26
が長軸の短い第2カム溝24の内周面に案内されること
で、そのまま大径部13から突出することなく回転し、
ケース2の内面に当接しない。よって、同図(L)から
ケース2が90°回転してシール体18,18がリブ1
5,15の位置に達しても、油室19が他方のブレード
16側でシールされないため、オイルパルスは発生せ
ず、更にケース2がここから180°回転して第2ピン
26が再び第1、第2カム溝23,24の重合側にあっ
て第1、第2ピン25,26が両溝の長軸上に当接する
図2(C)の位置でオイルパルスが発生する。即ち、ブ
レード16,16が一対あってもケース2の一回転で一
回のオイルパルスが発生するようにしたものである。
【0014】このように上記形態によれば、ケース2の
内面形状をスピンドル9の大径部13と同軸の円形とし
て、ケース2を従来のライナと兼用させ、スピンドル9
側に設けたリブ15,15とブレード16,16と、ケ
ース2内面に設けたシール体18,18とによって油室
19をシールさせると共に、第1、第2カム溝23,2
4による第1、第2ピン25,26の案内でブレード1
6,16とシール体18,18との干渉を避ける構造と
したことで、部品点数が減少するのと共に、ケース2の
内面は円形の孔の加工で足りるから、精度の高い研磨は
不要となる。よって、構造や製造工程が簡略化して大幅
なコストダウンが可能となる。
【0015】尚、上記形態では、第1カム溝23と第2
カム溝24との深さと長さとを相違させて、各ブレード
16ごとの第1、第2ピン25,26との摺接により、
一回転で一回のオイルパルスを発生させる構造としてい
るが、このような相違をなくして、カム溝を1つとする
と共に、そのカム溝に摺接する同じ長さのピンを夫々の
ブレードに突設して、一回転で二回のオイルパルスを発
生させる構造であっても本発明は適用可能である。又、
ブレードの数は2つに限らず、1つであったり3つであ
ったりしても差し支えないし、カム溝の形状も、長円形
全面を凹部とした上記形態に限らず、ピンが遊挿可能な
幅の凹条を長円形に連続形成するものでも良い。更に長
円形以外に楕円形も採用可能である。
【0016】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ケース
の内面の形状をスピンドルと同軸の円形としたことで、
ケースを従来のライナと兼用できて部品点数が減少する
のと共に、ケースの内面は円形の孔の加工で足りるか
ら、精度の高い研磨は不要となる。よって、構造や製造
工程が簡略化して大幅なコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オイルユニットの軸方向の断面説明図である。
【図2】(A)〜(L)ケースの回転に伴うブレードの
動きをケースの10°回転ごとに示す横断面説明図であ
る。
【図3】(A)〜(L)従来のオイルユニットでのブレ
ードの動きをケースの10°回転ごとに示す横断面説明
図である。
【符号の説明】
1・・オイルユニット、2・・ケース、4・・ボトムキ
ャップ、6・・トップキャップ、9・・スピンドル、1
3・・大径部、15・・リブ、16・・ブレード、18
・・シール体、19・・油室、23・・第1カム溝、2
4・・第2カム溝、25・・第1ピン、26・・第2ピ
ン。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動油を充填した筒状のケース内にスピ
    ンドルを挿通させると共に、前記ケース両端の閉塞部で
    前記スピンドルを同軸で回動可能に軸支させ、前記スピ
    ンドルに、半径方向に突出付勢されて前記ケース内面に
    当接し、前記ケース内面と前記スピンドル外面との間に
    形成される油室を前記スピンドルの軸方向に仕切るブレ
    ードを設ける一方、前記ケース内面に、前記ケースの所
    定の回転位置で前記スピンドルの周面へ前記軸方向に形
    成されるシール面と対向して前記油室をシール可能なシ
    ール体を前記軸方向に突設し、更に、前記ブレードにお
    ける前記軸方向前後の端面にピンを夫々突設する一方、
    前記閉塞部の互いの対向面に、前記ケースの回転に伴っ
    て前記ピンを案内し、前記シール体が前記ブレードを通
    過する際に前記ブレードを前記スピンドル内に没入させ
    るカム溝を夫々設けて、前記ケースとスピンドルとの相
    対回転により、前記ブレードの先端面を前記ケース内面
    側と摺接させ、前記シール面とシール体とが対向する位
    置で複数に分割される前記油室内に圧力差を生じさせ
    て、前記スピンドルへ瞬間的なトルクを発生可能とした
    オイルユニットであって、 前記ケースの内面の形状が、前記スピンドルと同軸の円
    形であることを特徴とするオイルユニット。
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WO2018198369A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 株式会社ミクニ ベーンポンプ
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