JP2002310001A - 2ピースオイルリング - Google Patents

2ピースオイルリング

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Abstract

(57)【要約】 【課題】コイルエキスパンダ(2)がリング本体(1)
の円錐内面状の係合部(7)を弾圧してリング本体サイ
ドレール部(4)をシリンダ内壁面(13)に摺接させ
ると共に、リング本体燃焼室側外面(6)をオイルリン
グ溝(10)の燃焼室側内壁面(11)に当接させる方
式の2ピースオイルリングであって、ピストンへの組み
付けが容易なものを提供する。 【解決手段】リング本体(1)のクランク室側内周縁部
(5)に係合部(7)の最大内径よりも小さい最小内径
を有する抜け止め部(8)を形成して、ピストンへの組
み付け時に、その抜け止め部(8)がリング本体(1)
からクランク室側へ脱出しようとするコイルエキスパン
ダ(2)に当接してコイルエキスパンダ(2)の脱落を
阻止し、コイルエキスパンダ(2)がリング本体(1)
と共にオイルリング溝(10)に入るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外周に軸方向に間
隔をあけて並ぶ2本のサイドレール部を、内周に軸方向
の一方に先細る円錐内面状の係合部をそれぞれ一体に備
えたリング本体と、そのリング本体の係合部を弾圧して
2本のサイドレール部をシリンダ内壁面に摺接させると
共にリング本体の軸方向の一方の外面をオイルリング溝
の軸方向の一方の軸方向内壁面に当接させるコイルエキ
スパンダとからなる2ピースオイルリングに関する。
【0002】
【従来の技術】2ピースオイルリングのピストンへの組
み付けは、ピストンのオイルリング溝上において、オイ
ルリングの内側にコイルエキスパンダを配置して、リン
グ本体の外周を求心方向に押圧し、コイルエキスパンダ
とリング本体を同時にオイルリング溝に内装する作業で
ある。
【0003】リング本体の内周中央部にコイルエキスパ
ンダがはまり込む凹面状の係合部を有する従来のオイル
リングは容易にピストンリングに組み付けることができ
る。しかし、凹面状の係合部は、コイルエキスパンダの
径方向弾性力から軸方向分力を生じさせないから、リン
グ本体の燃焼室側外面をオイルリング溝の燃焼室側軸方
向内壁面に当接させることはできない。このため、従来
の2ピースオイルリングは、リング本体とオイルリング
溝燃焼室側内壁面との間に空隙が生じ、その空隙からオ
イルリング溝内のオイルが燃焼室に流入してオイル消費
量を増大させるという問題を起こしていた。
【0004】このオイル消費量増大の問題は、リング本
体の係合部を軸方向燃焼室側に先細る円錐内面状に形成
して、コイルエキスパンダの弾性力から軸方向分力を生
じさせリング本体の軸方向燃焼室側外面をオイルリング
溝の軸方向燃焼室側内壁面に当接させることにより解決
する。
【0005】しかしながら、コイルエキスパンダと、コ
イルエキスパンダの係合部が円錐内面状であるリング本
体とからなる2ピースオイルリングは、ピストンへの組
み付け時に、コイルエキスパンダが円錐内面状の係合部
によって軸方向に押し出されてリング本体の内周から外
れ易いため、組み付けが困難であるという問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの問題を解
決するためになされたものであり、その課題は、コイル
エキスパンダがリング本体の円錐内面状の係合部を弾圧
してリング本体の2本のサイドレール部をシリンダ内壁
面に摺接させると共に、リング本体の軸方向の一方の外
面をオイルリング溝の軸方向の一方の軸方向内壁面に当
接させる方式の2ピースオイルリングであって、容易に
ピストンに組み付けることができるものを提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明が採用する手段は、コイルエキスパンダがリ
ング本体内周の軸方向の一方に先細る円錐内面状の係合
部に当接する方式の2ピースオイルリングにおいて、リ
ング本体の軸方向の他方の内周縁部に係合部の最大内径
よりも小さい最小内径を有する抜け止め部を形成し、オ
イルリングのピストンへの組み付け時に、その抜け止め
部を係合部に沿って軸方向の他方へ逃げるコイルエキス
パンダに当接させてコイルエキスパンダがリング本体か
ら外れることを防止したことにある。
【0008】抜け止め部はリング本体の軸方向の他方に
先細る円錐内面状に形成するか、又は、リング本体から
径方向内側に突出する環状突起として形成することが好
ましい。この環状突起は周方向に連続する形状でも、断
続する形状でもよい。
【0009】特殊な内燃機関用オイルリングの場合は、
軸方向の一方がクランク室側となり、リング本体のクラ
ンク室側外面をオイルリング溝のクランク室側軸方向内
壁面に当接させてオイルリングとオイルリング溝のクラ
ンク室側軸方向内壁面との間隙の発生を防止することも
ある。この場合、上記とは逆に考えれば問題なく対応す
ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のオイルリングを図面に示
す第1実施例に基づいて説明する。
【0011】図1は第1実施例オイルリングを内装した
内燃機関の要部断面図であり、(a)は組み付け後の状
態を、(b)は組み付け中の状態をそれぞれ示す。
【0012】図1(a)に示すように、2ピースオイル
リングは、径方向外側に突出する2本のサイドレール部
4を一体に備えたリング本体1と、そのリング本体の内
側に位置するコイルエキスパンダ2とからなる。
【0013】リング本体1の内周に軸方向一方の燃焼室
側外面6へ先細る円錐内面状の係合部7と、軸方向他方
のクランク室側外面9に先細る円錐内面状の抜け止め部
8を形成する。コイルエキスパンダ2が当接する係合部
7はリング本体1の内周の大半を占め、抜け止め部8は
リング本体1のクランク室側の内周縁部5とその近くに
位置する係合部7と抜け止め部8は最大径の裾において
合致するから、抜け止め部8の最小内径は係合部7の最
大内径よりも小さい。
【0014】この2ピースオイルリングをピストンに組
み付けると、コイルエキスパンダ2はリング本体1の円
錐内面状の係合部7を径方向外側に弾圧してサイドレー
ル部4をシリンダ内壁面に摺接させると共に、軸方向の
分力により、リング本体1の燃焼室側外面6をオイルリ
ング溝の燃焼室側内壁面11に当接させる。これによ
り、オイルリング溝10内のオイルの燃焼室への流入は
抑制され、オイル消費量の増大は未然に防止される。
【0015】図1(b)に示すように、2ピースオイル
リングをピストンに組み付けるとき、ピストンのオイル
リング溝10上においてコイルエキスパンダ2を内側に
配置して外側のリング本体1を求心方向に押圧すると、
コイルエキスパンダ2はリング本体1の係合部7の円錐
内面を裾側へすべり、リング本体1から軸方向クランク
室側へ逃げ出そうとするが、リング本体1の抜け止め部
8がコイルエキスパンダ2に当接し、コイルエキスパン
ダ2のリング本体1からの脱落を阻止する。その結果、
コイルエキスパンダ2はリング本体1と共に巻き締めら
れてオイルリング溝10の内部へ押し込まれる。このよ
うに、第1実施例オイルリングは比較的容易にピストン
に組み付けることができる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の第2実施例を図面に基づいて
説明する。
【0017】図2は第2実施例オイルリングを内装した
内燃機関の要部断面図であり、(a)は組み付け後の状
態を、(b)は組み付け中の状態をそれぞれ示す。
【0018】図2(a)に示すように、リング本体1a
の内周の中央部分から軸方向一方の燃焼室側内周縁部3
へ先細る円錐内面状の係合部7aを形成する。リング本
体1aの内周の軸方向他方のクランク室側内周縁部5に
は径方向内側に突出する環状突起状の抜け止め部8aを
形成し、抜け止め部8aと係合部7aの間には円柱内面
状の周辺部12を形成する。抜け止め部8aの最小内径
は係合部7aの最大内径よりも小さく設定する。
【0019】上記以外の構成は第1実施例と同じであ
る。
【0020】図2(b)に示すように、ピストンに組み
付けるときに、コイルエキスパンダ2aと内側に配置し
て外側のオイルリング1aを求心方向に押圧すると、コ
イルエキスパンダ2aはリング本体1aの係合部7aの
円錐内面を裾側へすべり、リング本体1aから軸方向ク
ランク室側へ脱出しようとするが、環状突起状の抜け止
め部8aがコイルエキスパンダ2aに当接してコイルエ
キスパンダ2aのリング本体1aからの脱落を阻止する
から、コイルエキスパンダ2aはリング本体1aと共に
オイルリング溝10内に押し込まれる。
【0021】上記以外の効果は、第1実施例と同じであ
る。
【0022】
【発明の効果】上記のとおり、本発明の2ピースオイル
リングは、外周に2本のサイドレール部を一体に備え、
内周に円錐内面状の係合部を、その係合部の裾側にその
係合部の最大内径より最小内径が小さい抜け止め部を有
するリング本体と、その係合部を径方向外側に弾圧する
コイルエキスパンダとからなるから、内燃機関の稼動時
には、リング本体の燃焼室側外面をオイルリング溝の燃
焼室側軸方向内壁面に当接させて、オイルリング溝内の
オイルの燃焼室内への流入は抑制することにより、オイ
ル消費量を低減することが可能であり、ピストンへの組
み付け時には、抜け止め部がコイルエキスパンダのリン
グ本体からの脱落を阻止するから、ピストンへの組み付
けも容易であるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例のオイルリングを内装した内
燃機関の要部断面図であり、(a)はピストンに組み付
けた状態を、(b)はピストンに組み付け中の状態をそ
れぞれ示す。
【図2】第2実施例のオイルリングを内装した内燃機関
の要部断面図であり、(a)はピストンに組み付けた状
態を、(b)はピストンに組み付け中の状態をそれぞれ
示す。
【符号の説明】
1,1a:リング本体 2,2a:コイルエキスパンダ 3:内周縁部(燃焼室側) 4:サイドレール部 5:内周縁部(クランク室側) 6:外面(燃焼室側) 7,7a:係合部 8,8a:抜け止め部 9:外面(クランク室側) 10:オイルリング溝 11:内壁面(燃焼室側) 12:周辺部 13:シリンダ内壁面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 光夫 埼玉県与野市本町西5−2−6 日本ピス トンリング株式会社与野工場内 Fターム(参考) 3J044 AA18 BA01 CB09 CB16 CB30 DA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周に突出する2本のサイドレール部
    (4)を、内周に軸方向の一方に先細る円錐内面状の係
    合部(7,7a)をそれぞれ一体に備えるリング本体
    (1,1a)と、前記リング本体の内側に位置するコイ
    ルエキスパンダ(2,2a)とからなり、前記コイルエ
    キスパンダが前記係合部(7,7a)を径方向外側に弾
    圧して前記サイドレール部をシリンダ内壁面(13)に
    摺接させると共に、前記リング本体の軸方向一方の外面
    (6)をオイルリング溝(10)の軸方向の一方の軸方
    向内壁面(11)に当接させる方式の2ピースオイルリ
    ングにおいて、前記リング本体の軸方向の他方の内周縁
    部に最小内径が前記係合部の最大内径よりも小さい抜け
    止め部(8,8a)を形成したことを特徴とする2ピー
    スオイルリング。
  2. 【請求項2】 抜け止め部(8)はリング本体(1)の
    軸方向の他方に先細る円錐内面状であることを特徴とす
    る請求項1記載の2ピースオイルリング。
  3. 【請求項3】 抜け止め部(8a)はリング本体(1
    a)から径方向内側に突出する環状突起状であることを
    特徴とする請求項1記載の2ピースオイルリング。
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