JP2002309284A - カカオ脂の分別方法 - Google Patents

カカオ脂の分別方法

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JP2002309284A JP2001114169A JP2001114169A JP2002309284A JP 2002309284 A JP2002309284 A JP 2002309284A JP 2001114169 A JP2001114169 A JP 2001114169A JP 2001114169 A JP2001114169 A JP 2001114169A JP 2002309284 A JP2002309284 A JP 2002309284A
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olein
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Onori Ito
大典 伊藤
Toru Nezu
亨 根津
Sachiko Yamamoto
幸子 山本
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トリ飽和グリセリド含量が少なく、チョコレ
ートなどの製菓用油脂として優れた特徴をもつカカオ脂
分別ステアリンフラクション、およびソフトタイプのチ
ョコレートやチョコレートフィリングなどに利用できる
カカオ脂分別オレインフラクションが得られ、さらに該
オレインフラクションを分別することにより、トリグリ
セリド組成に特徴のあるカカオ脂中融点フラクションを
得ることができる、カカオ脂の分別方法を提供するこ
と。 【解決手段】 トリ飽和グリセリド含量を1重量%以下
としたカカオ脂を、ステアリンフラクションとオレイン
フラクションとに分別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、あらかじめカカオ
脂中のトリ飽和グリセリドを分別により除去した後、さ
らにステアリンフラクションとオレインフラクションと
に分別することを特徴とするカカオ脂の分別方法に関す
るものである。本発明の方法により得られたステアリン
フラクションは、トリ飽和グリセリド含量が少なく、従
来の方法により得られたステアリンフラクションと比較
して、チョコレートなどの製菓用としてより優れた特徴
をもつものである。また、本発明の方法により得られた
オレインフラクションは、ソフトタイプのチョコレート
やチョコレートフィリングなどに利用でき、さらに該オ
レインフラクションを分別することにより、トリグリセ
リド組成に特徴のあるカカオ脂中融点フラクションを得
ることが可能である。
【0002】
【従来の技術】カカオ脂の分別技術としては、ヘキサン
を使用して分別する方法が、英国特許第2117107
号明細書および特開2000−109879号公報に提
案されている。また、アセトンを使用して分別する方法
が、特開平8−34989号公報に提案されている。何
れの方法を利用してもステアリンフラクションとオレイ
ンフラクションとを得ることができる。これらの方法に
より得られたステアリンフラクションは、高いスナップ
性と良好な口溶けを有する品質の高いチョコレート用油
脂として利用でき、またオレインフラクションは、ソフ
トタイプのチョコレートやチョコレートフィリングなど
に利用できるとされている。
【0003】以上のような方法でカカオ脂を分別するこ
とにより主としてチョコレート用として優れた機能を有
するカカオ脂分別フラクションを得ることが可能である
が、これらの従来の方法では次のような欠点がある。
【0004】カカオ脂には少量のトリ飽和グリセリドが
含まれているが、そのまま使用しても、チョコレートを
製造する場合のテンパリング工程などに悪い影響を与え
る範囲ではない。しかしながら、カカオ脂を分別して得
られたステアリンフラクションは、カカオ脂中のトリ飽
和グリセリドが濃縮され、結果としてトリ飽和グリセリ
ド含量が高いものとなる。トリ飽和グリセリドは、テン
パリング工程においてチョコレート生地の粘度を上昇さ
せ作業性を損ねたり、チョコレートの口溶けに望ましく
ない影響を与えるため、トリ飽和グリセリド含量は少な
いことが望まれる。
【0005】また、一般的に分別温度が高くなるに従い
オレインフラクションの収率が増加し、ステアリンフラ
クションの収率が低下し、ステアリンフラクションのS
OS(S:ステアリン酸、O:オレイン酸)含量が高ま
り、耐熱性に優れたステアリンフラクションを得ること
ができる。しかし、トリ飽和グリセリド含量も同時に高
まるためチョコレート用として適さないものとなる。
【0006】また、特開平3−146594号公報に
は、二不飽和および三不飽和のトリグリセリドを除去す
る分別によって、元のカカオ脂よりも固いフラクション
を製造する方法が提案されているが、この方法により得
られたステアリンフラクションは、トリ飽和グリセリド
含量が高いものになるため、チョコレートに多量に使用
する用途には適さないものとなる。
【0007】また、特開2000−273482号公報
には、二段分別によりトリグリセリド組成に特徴のある
カカオ脂中融点フラクションを得る方法が提案されてお
り、この方法により得られたカカオ脂中融点フラクショ
ンは、チョコレート用として優れた機能を有するとされ
ている。しかしながら、該方法は、中融点フラクション
が得られる反面、ステアリンフラクションのトリ飽和グ
リセリド含量が多いため、チョコレートの利用に適さな
いものとなるという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、トリ飽和グリセリド含量が少なく、チョコレートな
どの製菓用油脂として優れた特徴をもつカカオ脂分別ス
テアリンフラクション、およびソフトタイプのチョコレ
ートやチョコレートフィリングなどに利用できるカカオ
脂分別オレインフラクションが得られ、さらに該オレイ
ンフラクションを分別することにより、トリグリセリド
組成に特徴のあるカカオ脂中融点フラクションを得るこ
とができる、カカオ脂の分別方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、トリ飽和グリ
セリド含量を1重量%以下としたカカオ脂を、ステアリ
ンフラクションとオレインフラクションとに分別するこ
とを特徴とするカカオ脂の分別方法を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明のカカオ脂の分別方
法について詳述する。本発明で用いられるトリ飽和グリ
セリド含量を1重量%以下、好ましくは0.7重量%以
下としたカカオ脂は、以下のような方法で得ることがで
きる。
【0011】本発明で原料となるカカオ脂の産地や規格
については特に限定はないが、水分・夾雑物が多いと以
下の分別工程での障害となるため、充分に取り除くこと
が必要である。通常はカカオ脂を濾過もしくは漂白し、
異物などを除去する。チェックフィルターやフィルター
プレスなど濾紙や濾布などを使用しても良いし、珪藻土
などの濾過助剤もしくは漂白処理に使用する活性白土を
カカオ脂に対して0.1〜1重量%程度添加して処理を
行っても良い。
【0012】次に、上記カカオ脂のトリ飽和グリセリド
含量を1重量%以下とするために、分別を行う。この分
別は溶剤分別でもドライ分別でもよいが、ドライ分別の
ほうがカカオ脂中のトリ飽和グリセリドを効率的に結晶
化できるため収率が高く、溶剤を蒸留する工程も不要な
ため有利である。
【0013】カカオ脂をドライ分別によりトリ飽和グリ
セリド含量を1重量%以下とする場合、50〜80℃で
完全に融解したカカオ脂を撹拌しながら28〜38℃、
好ましくは30〜36℃まで徐冷し、結晶化させる。こ
のときの冷却速度は、0.02〜20℃/分が望まし
い。結晶化の時間は、温度や冷却速度によって異なる
が、融解したカカオ脂を冷却しはじめたときから、結晶
化が終了するまで、通常24〜60時間である。
【0014】結晶化を促進し、濾過に適した結晶状態と
するには、結晶核となる種晶をカカオ脂に対して0.0
1〜0.1重量%添加すると良い。種晶の種類に特に制
限はない。大豆極度硬化油・なたね極度硬化油・パーム
ステアリン・パーム極度硬化油などを微細な粉末として
添加しても良いし、カカオ脂への分散性を高めるため、
これらの油脂を大豆油・なたね油・パームオレイン・ス
ーパーオレインなどの常温で液状であるような油脂にあ
らかじめ溶解したものを冷却し結晶を析出させペースト
状としたものを添加しても良い。種晶を添加するタイミ
ングは、種晶が溶解しない温度まで冷却した後に、望ま
しくは結晶化させる温度に達する直前に添加するのが良
い。
【0015】また、結晶核となる大豆極度硬化油・なた
ね極度硬化油・パームステアリン・パーム極度硬化油な
どの油脂を、あらかじめ分別に供するカカオ脂に対して
0.1〜2重量%添加し、これを50〜80℃にて完全
に融解し均一とした後、分別を行っても良い。この方法
によっても、後から種晶を添加した場合と同じ効果があ
る。
【0016】上記結晶化後、濾過を行い結晶部と液状部
とに分離する。濾過は減圧・常圧・加圧の何れであって
も良いが、効率良く濾過するためには減圧もしくは加圧
濾過が望ましい。ドライ分別の場合、液状部の粘度が高
いため加圧濾過が好ましい。この場合の加圧濾過は、圧
力0.1〜5MPaで圧搾し、液状部と結晶部とを分離
する。
【0017】このようにして得られた液状部は、トリ飽
和グリセリド含量が1重量%以下となり、本発明におけ
る分別対象のカカオ脂として用いられる。
【0018】本発明では、上述のようにしてトリ飽和グ
リセリド含量を1重量%以下としたカカオ脂を、オレイ
ンフラクションとステアリンフラクションとに分別す
る。この分別は、ドライ分別でも溶剤分別でも良いが、
溶剤分別のほうが好ましい。溶剤分別の溶剤としては、
ヘキサンやアセトンを用いることができる。
【0019】まず溶剤としてアセトンを用いる場合の上
記溶剤分別について説明する。アセトンは、無水・含水
の何れでも使用可能であるが、油脂の溶解度を確保する
ために水分2重量%以下、特に0.5重量%以下である
ことが好ましい。アセトンの使用量は、トリ飽和グリセ
リドを1重量%以下としたカカオ脂1重量部に対して、
好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは3〜
7重量部である。
【0020】アセトンによる溶剤分別は、次のようにし
て実施される。まず、トリ飽和グリセリドを1重量%以
下としたカカオ脂とアセトンとを35〜45℃程度に加
熱混合し、次いで、混合物を撹拌しながら、好ましくは
0.02〜20℃/分の速度で−10〜25℃、さらに
好ましくは−5〜20℃に冷却し、結晶を析出させる。
【0021】結晶化時間は、カカオ脂とアセトンとの加
熱混合物を冷却しはじめたときから、結晶化が終了する
まで、好ましくは0.5〜5時間程度、さらに好ましく
は1〜3時間程度で終了させるのが良い。結晶化を促進
させるために、カカオ脂とアセトンとの加熱混合物の冷
却時に、該加熱混合物にシードとして、トリ飽和グリセ
リドを1重量%以下としたカカオ脂とアセトンとの予備
冷却物を添加することが好ましい。具体的には、予めト
リ飽和グリセリドを1重量%以下としたカカオ脂とアセ
トンとの加熱混合物の一部を取り出し、これを−2〜2
℃に冷却して予備冷却物とし、この予備冷却物を、上記
加熱混合物が冷却により好ましくは20〜27℃、さら
に好ましくは22〜25℃になった時に、カカオ脂に対
して0.2〜2.0重量%添加すると良い。
【0022】結晶の析出後、ステアリンフラクション
(結晶部)とオレインフラクション(液状部)とに分離
する。分離の方法としては、真空濾過・圧搾濾過の方法
を用いるのが一般的である。分離時に少量の溶剤で結晶
部を洗浄することが、ステアリンフラクションへのオレ
インフラクションの混入を防止して、ステアリンフラク
ションの品質を向上させ、オレインフラクションの収率
を向上させる点で好ましい。
【0023】溶剤としてヘキサンを用いる場合も、上述
のアセトンを用いる場合と同様の方法で溶剤分別を行う
ことができるが、良好な状態の結晶を析出させ濾過性を
高めるためには、トリ飽和グリセリドを1重量%以下と
したカカオ脂とヘキサンとの加熱混合物を好ましくは−
20〜20℃、さらに好ましくは−15〜10℃に冷却
するのが良い。
【0024】上述のようにして分別されたカカオ脂分別
ステアリンフラクションおよびカカオ脂分別オレインフ
ラクションは、それぞれ常法(蒸留など)により、溶剤
(アセトン・ヘキサン)を完全に除去する。さらに漂白
・脱臭をしても良い。その場合、漂白は、減圧下でステ
アリンフラクションあるいはオレインフラクションに対
して、活性白土1〜3重量%を添加して行うことが好ま
しい。また、脱臭は、その処理条件に特に制限はない
が、180℃以下の低温で脱臭することが、風味が良好
となる点で好ましい。
【0025】上述の本発明の方法により得られるカカオ
脂分別ステアリンフラクションは、トリ飽和グリセリド
含量を1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下、さ
らに好ましくは0.7重量%以下とすることができ、こ
のカカオ脂分別ステアリンフラクションを用いてチョコ
レートを製造した場合、テンパリング工程において粘度
の上昇がなく作業性が良好で、かつ口どけが良好なチョ
コレートが得られる。また、上述の本発明の方法により
得られるカカオ脂分別オレインフラクションは、例え
ば、チョコレート、フィリング、スプレッド、冷菓用チ
ョココーティング用の油脂として好適に使用することが
できる。
【0026】また、上記カカオ脂分別オレインフラクシ
ョンをさらに分別、好ましくは溶剤分別することにより
中融点フラクションと液状フラクションとを得ることが
できる。溶剤分別に用いる溶剤は、アセトンでもヘキサ
ンでも良い。
【0027】アセトンを用いる場合、アセトンの使用量
は、上記オレインフラクション1重量部に対して、好ま
しくは0.5〜10重量部、更に好ましくは3〜7重量
部である。そして上記のオレインフラクションとアセト
ンとを35〜45℃程度に加熱混合し、次いで、混合物
を撹拌しながら、好ましくは0.02〜20℃/分の速
度で−2〜5℃、さらに好ましくは−1〜2℃に冷却
し、結晶を析出させる。
【0028】結晶化時間は、オレインフラクションとア
セトンとの加熱混合物を冷却しはじめたときから、結晶
化が終了するまで、好ましくは0.5〜5時間程度、さ
らに好ましくは1〜3時間程度で終了させるのが良い。
結晶化を促進させるために、オレインフラクションとア
セトンとの加熱混合物の冷却時に、シードとして、オレ
インフラクションとアセトンとの予備冷却物を添加する
ことが好ましい。例えば、−2〜2℃に冷却した予備冷
却物を、上記加熱混合物が冷却により好ましくは10〜
25℃、さらに好ましくは14〜20℃になった時に、
上記オレインフラクションに対して0.2〜2.0重量
%添加すると良い。
【0029】溶剤としてヘキサンを用いる場合も、上述
のアセトンを用いる場合と同様の方法で行うことができ
るが、良好な状態の結晶を析出させ濾過性を高めるため
には、上記オレインフラクションとヘキサンとの加熱混
合物を好ましくは−20〜−5℃、さらに好ましくは−
15〜−10℃に冷却するのが良い。
【0030】結晶の析出後、真空濾過・圧搾濾過の方法
にて、中融点フラクション(結晶部)と液状フラクショ
ン(液状部)とに分離する。本発明の方法により得られ
るカカオ脂分別ステアリンフラクションおよびカカオ脂
分別オレインフラクションには、酸化安定性を高めるた
めに、トコフェロール・茶抽出物・ローズマリーなどの
酸化防止剤やアスコルビン酸・レシチンなどの酸化防止
助剤を添加することができる。特に茶抽出物の添加は、
戻り臭の抑制に効果が高い。
【0031】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を
さらに詳しく説明する。
【0032】(実施例1)カカオ脂に活性白土1重量%
を添加し常法により漂白処理を行い、異物などを除去し
た。このカカオ脂を60℃で完全に融解し、50rpm
で撹拌しながら0.1℃/分の冷却速度で33℃まで冷
却し、33℃に達した時に、パームスーパーオレインに
大豆極度硬化油を10重量%溶解し、あらかじめ冷却し
ペースト状とした種晶を、大豆極度硬化油が上記カカオ
脂に対して0.025重量%になるように添加した。撹
拌しながら33℃で48時間保持して結晶を析出させ、
1.5MPaにて加圧濾過を行い、液状部と結晶部とに
分離した。得られた液状部および結晶部の分析結果を下
記表1に示した。なお、融解したカカオ脂を冷却しはじ
めたときから、結晶化が終了するまでの結晶化時間は、
52.5時間であった。得られた液状部とアセトンとを
1:6(重量比)の比率として40℃にて完全に溶解
し、100rpmで撹拌しながら0.2℃/分の冷却速
度で18℃まで冷却した。21℃に達した時点で、液状
部とアセトンとの混合物をあらかじめ冷却したものを種
晶として上記液状部に対して0.25重量%添加した。
さらに18℃で1時間保持し結晶を析出させた。なお、
得られた液状部とアセトンとを完全に溶解し、冷却しは
じめたときから、結晶化が終了するまでの結晶化時間
は、3時間であった。結晶の析出後、真空濾過によりス
テアリンフラクションとオレインフラクションとに分離
した。得られたステアリンフラクションおよびオレイン
フラクションは、溶剤を除去した後、常法により漂白・
脱臭を行った。得られたステアリンフラクションおよび
オレインフラクションの分析結果を下記表1に示した。
なお、原料のカカオ脂の分析結果も併せて下記表1に示
した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例2)実施例1で用いた原料のカカ
オ脂と同様のカカオ脂に活性白土1重量%を添加し常法
により漂白処理を行い、異物などを除去した。このカカ
オ脂に大豆極度硬化油1.4重量%を添加し完全に溶解
した後、60℃とし、50rpmで撹拌しながら0.1
℃/分の冷却速度で33℃まで冷却し、33℃で30時
間保持して結晶を析出させ、1.5MPaにて加圧濾過
を行い、液状部と結晶部とに分離した。得られた液状部
および結晶部の分析結果を下記表2に示した。なお、融
解したカカオ脂を冷却しはじめたときから、結晶化が終
了するまでの結晶化時間は、34.5時間であった。得
られた液状部とアセトンとを1:6(重量比)の比率と
して40℃にて完全に溶解し、100rpmで撹拌しな
がら0.2℃/分の冷却速度で18℃まで冷却した。2
1℃に達した時点で、液状部とアセトンとの混合物をあ
らかじめ冷却したものを種晶として上記液状部に対して
0.25重量%添加した。さらに18℃で1時間保持し
結晶を析出させた。なお、得られた液状部とアセトンと
を完全に溶解し、冷却しはじめたときから、結晶化が終
了するまでの結晶化時間は、3時間であった。結晶の析
出後、真空濾過によりステアリンフラクションとオレイ
ンフラクションとに分離した。得られたステアリンフラ
クションおよびオレインフラクションは、溶剤を除去し
た後、常法により漂白・脱臭を行った。得られたステア
リンフラクションおよびオレインフラクションの分析結
果を下記表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】(比較例1)実施例1で用いた原料のカカ
オ脂と同様のカカオ脂に活性白土1重量%を添加し常法
により漂白処理を行い、異物などを除去した。このカカ
オ脂とアセトンとを1:6(重量比)の比率で混合し4
0℃にて完全に溶解した後、100rpmで撹拌しなが
ら0.2℃/分の冷却速度で18℃まで冷却した。21
℃に達した時点で、カカオ脂とアセトンとの混合物をあ
らかじめ冷却したものを種晶として上記カカオ脂に対し
て0.25重量%添加した。さらに18℃で1時間保持
し結晶を析出させた。結晶の析出後、真空濾過によりス
テアリンフラクションとオレインフラクションとに分離
した。得られたステアリンフラクションおよびオレイン
フラクションは、溶剤を除去した後、常法により漂白・
脱臭を行った。得られたステアリンフラクションおよび
オレインフラクションの分析結果を下記表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】(実施例3)実施例1で得られたステアリ
ンフラクションを用い、下記表4に示す配合にて常法に
従ってチョコレートを作製した。
【0039】
【表4】
【0040】(比較例2)比較例1で得られたステアリ
ンフラクションを用いる以外は、実施例3と同様にして
チョコレートを作製した。
【0041】(試験例1)実施例3のチョコレートおよ
び比較例2のチョコレートについて、同一条件でテンパ
リング試験を行った。その結果、実施例4のチョコレー
トは、テンパリングの作業性が良好であり、また口溶け
の良いものであった。これに対し、比較例2のチョコレ
ートは、実施例4のチョコレートと比較して粘度が高く
テンパリングの作業がしがたいものであり、また実施例
4のチョコレートと比較して口溶け感の劣るものであっ
た。
【0042】(実施例4)実施例2で得られたオレイン
フラクションとアセトンとを1:6(重量比)の比率と
して40℃にて完全に溶解し、100rpmで撹拌しな
がら0.3℃/分の冷却速度で0℃まで冷却した。14
℃に達した時点で、実施例2で得られたオレインフラク
ションとアセトンとの混合物をあらかじめ冷却したもの
を種晶として上記オレインフラクションに対して0.2
5重量%添加した。さらに0℃で1時間保持し結晶を析
出させた。なお、実施例2で得られたオレインフラクシ
ョンとアセトンとを完全に溶解し、冷却しはじめたとき
から、結晶化が終了するまでの結晶化時間は、3時間で
あった。結晶の析出後、真空濾過により中融点フラクシ
ョンと液状フラクションとに分離した。得られた中融点
フラクションおよび液状フラクションは、溶剤を除去し
た後、常法により漂白・脱臭を行った。得られた中融点
フラクションおよび液状フラクションの分析結果を下記
表5に示した。
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】本発明のカカオ脂の分別方法によれば、
トリ飽和グリセリド含量が少なく、チョコレートなどの
製菓用油脂として優れた特徴をもつカカオ脂分別ステア
リンフラクション、およびソフトタイプのチョコレート
やチョコレートフィリングなどに利用できるカカオ脂分
別オレインフラクションが得られ、さらに該オレインフ
ラクションを分別することにより、トリグリセリド組成
に特徴のあるカカオ脂中融点フラクションを得ることが
できる。
フロントページの続き (72)発明者 山本 幸子 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B014 GB01 GL07 4B026 DG01 DH02 DX02 4H059 BA01 BA22 BA33 BB02 BB03 BC13 CA06 CA13 DA02 DA22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリ飽和グリセリド含量を1重量%以下
    としたカカオ脂を、ステアリンフラクションとオレイン
    フラクションとに分別することを特徴とするカカオ脂の
    分別方法。
  2. 【請求項2】 上記のトリ飽和グリセリド含量を1重量
    %以下としたカカオ脂が、カカオ脂をドライ分別するこ
    とにより得られた液状部である請求項1記載のカカオ脂
    の分別方法。
  3. 【請求項3】 さらに上記オレインフラクションを中融
    点フラクションと液状フラクションとに分別する請求項
    1または2記載のカカオ脂の分別方法。
  4. 【請求項4】 トリ飽和グリセリド含量が1.5重量%
    以下であるカカオ脂分別ステアリンフラクション。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のカカオ脂分別ステアリン
    フラクションを含有するチョコレート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011504951A (ja) * 2007-11-27 2011-02-17 グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー 油のような脂肪物質の精製
JP2013236602A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Nisshin Oillio Group Ltd 冷菓用チョコレート

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