JP2002308972A - エステル類の製法 - Google Patents

エステル類の製法

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JP2002308972A JP2001119252A JP2001119252A JP2002308972A JP 2002308972 A JP2002308972 A JP 2002308972A JP 2001119252 A JP2001119252 A JP 2001119252A JP 2001119252 A JP2001119252 A JP 2001119252A JP 2002308972 A JP2002308972 A JP 2002308972A
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ester
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Satoru Matsumoto
哲 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸価が低く分子量分布の狭いエステル類を
製造する方法に関する。 【解決手段】 活性化チタン触媒は、エステル化反応
及びエステル交換反応のいずれにも触媒活性を有し、特
にエステル化反応に優れた活性を有するため、この性質
を利用する。2塩基酸、ジオール及び1官能性アルコー
ルから活性化チタン触媒を用いて本発明の第一段階であ
る脱水エステル化反応を行う場合に、1官能性アルコー
ル(R)及びジオール(X)の必要量を分散し且つ継続
的に反応容器に導入することにより、ジエステル(RA
R)の生成をできる限り抑えて、反応系に複合エステル
(R(AX)AR、n≧1)とエステルアルコール
(RAX)とが共存できるような条件にする。即ち、活
性化チタン触媒を用いて2塩基酸、ジオール及び1官能
性アルコールに脱水エステル化反応及び次にエステル交
換反応を行ってエステル類を製造する方法において、該
エステル化反応の全期間に渡って該1官能性アルコール
及び該ジオールの必要量を分散し且つ継続的に反応容器
に導入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、活性化チタン触
媒の優れた脱水エステル化反応性とエステル交換能を有
効に利用して、酸価が低く分子量分布の狭いエステル類
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エステル化反応は酸触媒、塩基触
媒が使用され特にチタン触媒が優れた触媒として使用さ
れてきたが、本発明者は先に触媒能が著しく活性化され
るチタン触媒の活性化使用方法を見出して、特許出願を
行ってきた(特願2000−147554)。これは、
先にアルコキシチタンとポリオールと反応させた、ポリ
オールポリチタネート(特許第1795216)水と反
応したポリチタン酸(特許第1885395)の優れた
利用方法で、水溶性ポリオール水で活性化し優れた触媒
能があることが確認された。
【0003】チタン触媒を使用してエステル化反応を行
った従来の方法において、通常は脱水エステル化反応の
進行は、エステル交換反応が同時に進行し、チタン触媒
は優れたエステル交換反応触媒として働き、脱水エステ
ル化反応の触媒としても有用で、前記触媒は特に酸濃度
の1次反応として説明されているが、ポリオールと水混
合液をチタン溶液と混合することによって、活性化され
る。
【0004】一方、各種エステル類が製造され特にフタ
ル酸やアジピン酸更に3塩基酸のエステル類がポリ塩化
ビニールの可塑剤として使用され、更に含成潤滑材とし
て複合エステルが検討された。これらのエステル類は大
部分が酸の高級ジ又はトリエステル類であって、当初は
酸触媒次いでチタン触媒が使用されてきたが、ポリエス
テル類の製造に当たってはエステル交換反応が従属して
進行するために、特に本出願の末端アルコールポリエス
テル類の製造では、エステル交換反応による副生物、更
に分子量の制御が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エステル化反応におい
ては、酸当量に対してアルコール当量を過剰に使用する
ことは、従来の化学の常識であり、過剰量がどの程度で
反応が進行するのかが、経済的にもまた技術的にも大き
な問題点である。特に化学量論量の反応が要求される複
合エステルでは、酸を完全に反応させるために末端アル
コールを幾分過剰に使用せざるを得ずそのアルコールの
影響で、目的物から高分子量化合物へ大幅にずれ、複合
エステルn=1を狙って製造しても、生成物がn=1.
40%、n=2.25%、n=3.15%、n=4.7
%、n=5、6、更に極微量のn=7までも含まれる混
合物として級数的に重合度の高いものが少なくなる1〜
7までの分子量分布組成を有する生成物として製造され
る。従ってn=0に相当する2塩基酸ジエステルを多量
に副生する条件で製造する方法が取られるが、ジエステ
ルの除去が経済的にも問題で、複合エステル製造工場は
成り立っていない。
【0006】最近環境ホルモンとしてポリ塩化ビニール
の可塑剤として多量に使用されるフタル酸エステル類が
指摘されている。それらの可塑剤は室温使用では揮発性
が大きな問題とはならないが、高温下又は薄いフイルム
の屋外使用では、環境中に放出され広く使用量に応じて
多量に放出される点が問題となるため、低揮発性ないし
非揮発性の可塑剤が要求されている。これに対処する可
塑剤としでは前述のような低揮発性で可塑剤として使用
するための溶解性と低粘度エステルが必要である。
【0007】以下の説明において、2塩基酸をA、ジオ
ールをX、及び1官能性アルコール又は単にアルコール
をRと略記し、各反応基やエステル結合を省略する場合
がある。何故そのように生成物が目的からずれてくるの
か、本発明者の研究結果から以下のように考えられる。
エステル化反応において、過剰に使用されるアルコール
(R)は生成物である複合エステル(RAXAR)とエ
ステル交換反応をし、中間体としてエステルアルコール
(RAX)及びジエステル(RAR)を生成する。エス
テル化反応では過剰に使用される通常アルコール(R)
はジオール(X)よりも反応が早いため2塩基酸(A)
と反応してジエステル(RAR)を生成し、このジエス
テル(RAR)はエステルアルコール(RAX)とは反
応せず残存する。一方、生成したエステルアルコール
(RAX)は後段のエステル交換反応では複合エステル
(R(AX)AR、n≧1)を生成し、高重合度の生
成物となる。そのため、重合度分布が広がり、分子量分
布の狭い目的とする分子量に近いエステル類の製造はで
きなかった。
【0008】生成物であるエステル類を低酸価にするこ
とができる本発明の活性化チタン触媒を利用すると、残
存する酸の量が少ないので、次段のエステル交換反応が
容易で中間状態で部分的に生成するエステルアルコール
を経由して目的のエステルに変換できる。同時に副生す
る2塩基酸ジエステルの蒸留除去が可能になりそのリサ
イクル使用ができることになるが、酸が残存すると揮発
分中に酸が出て来るばかりではなく、熱分解に起因する
物性の低下が起こり、エステルアルコールを含めて利用
されない揮発分は、副生量に対応して原単位製品価格品
質に影響する。ポリエステルや重合度nの多い複合エス
テルでは、エステル副生量が無視できる微量に製造方法
で下げることができることは、本発明の趣旨であるが、
その複合エステルでn=1に相当するビス化合物は、副
生量を無くすることはできずその量は反応2塩墓酸の1
/4量にもなる場合があり、nの小さな複合エステルで
は副生するジエステルを循環使用することが必要とな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明では前記のよう
に、過剰の一官能性アルコールを少なくしたい、しかし
過剰量のアルコールがなければ、酸とアルコールの反応
では完全に酸を反応させることは理論的に不可能である
ので、最少限の使用にしたい。触媒活性が不足した従来
のチタン触媒ではエステル交換能は非常に優れている
が、脱水エステル化では問題があり、その反応ではチタ
ンと酸との吸着が律速であるので、活性点の極性を増加
させる目的で、水の共存下でジオールと反応させる活性
化触媒の検討を行った結果優れた方法を見いだして既に
活性化チタン触媒の特許出願を行った(特願2000−
147554等)。しかしアルコール量の多い条件では
優れた性能を示しても、理論量の反応では、過剰量の有
無の判断ができず使用方法にも疑問がもたれ、その解決
方法についての検討を行う必要があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の必須要素である
活性化チタン触媒については、特願2000-147554に詳説
してあるので、詳細については参照されたい。特願2000
-147554の記載はこの参照により本開示に含まれる。こ
の活性化チタン触媒は、エステル化反応及びエステル交
換反応のいずれにも触媒活性を有し、特にエステル化反
応に優れた活性を有するため、このような性質を利用す
ることにより、上記の課題を解決することが可能になっ
た。即ち、2塩基酸、ジオール及び1官能性アルコール
から活性化チタン触媒を用いて本発明の第一段階である
脱水エステル化反応を行う場合に、1官能性アルコール
(R)及びジオール(X)の必要量を分散し且つ継続的
に反応容器に導入することにより、ジエステル(RA
R)の生成をできる限り抑えて、反応系に複合エステル
(R(AX)AR、n≧1)とエステルアルコール
(RAX)とが共存できるような条件にすることが肝要
である。即ち、このエステル化反応において、アルコー
ル(R)の導入量を高濃度にすると、過剰アルコール
(R)はこのましくないジエステル(RAR)を生成す
る。好ましくないジエステル(RAR)が生成するため
に、この過剰量をエステルアルコール(RAX)が複合
エステルと共存する程度に抑えておくことが必要とな
る。
【0011】アルコールの添加については、当然過剰量
を少なくすると共に添加濃度の問題があり、二塩基酸
(A)とジオール(X)の反応時に少量ずつアルコール
(R)を添加する方法が採用され、反応温度を下げて1
50〜165℃で反応することが好ましく、アジピン酸
(A)を使用する反応ではこの段階では無触媒でも反応
速度は十分に反応が進行する。更に反応の進行状態に応
じて、必要量を反応させ過剰量は、目的生成物R(A
X)(AX)AR(m≧0、n≧1)を製造するに
あたって、R(AX)AX+R(AX)n−1ARを
得るに必要な理論計算量のアルコール(R)の量を過剰
量として使用してエステル化反応を行うことで目的が達
成され、目的生成物に対しては(R)の使用量は過剰で
あるが、全量が反応してもジオールを含むエステル化生
成物については理論量であって過剰使用ではない。更に
これらの反応は水を反応系から除く脱水条件で行われる
ため、特に低級のジオール(X)の定量的反応のコント
ールは容易ではない。反応速度と共に水の溜出速度に対
応してジオール成分は反応系外に除去されるので、反応
モル量によっても大幅に変動して、理論量の反応を行う
ことは難しいが、各成分の反応量をコントロールするこ
とが必要である。アルコールの反応量がジオール(X)
の溜出で不足するとアルコール(R)量をコントロール
してもアルコール量が不足し、酸価が下がらず、次段の
エステル交換反応も進行せずエステルアルコールを含め
て生成物の低揮発分が増大する。一方、アルコール
(R)の添加速度が早すぎまた過剰量が使用されると、
ジエステル(RAR)の生成量が増え、その結果除去量
が増えるばかりではなく、対応して生成物の重合度が大
きくなって目的重合度の生成物が得られない。本発明の
高活性触媒の使用によって、特に極少量の酸並びにアル
コールの反応が、1次反応として確認され早い速度で微
量成分まで反応が進行するので、定量的な反応を初めて
行うことが出来、その結果は高分子量のポリエステルか
ら低分子量の複合エステルでも分布が狭い目的重合度に
近いエステル類が製造される。
【0012】続いて、本発明の第二段階であるエステル
交換反応を行う。即ち複合エステル(R(AX)n−1
AR、n≧1)とエステルアルコール(R(AX)
X)との反応を進行させて所望のエステル(R(AX)
(AX)AR)を生成させる事が出来、エステルア
ルコール(R(AX)AX)の記載はmが大きな場合
にはポリエステルについてであり、複合エステルについ
ては、m=0に相当するエステルアルコール(RAX)
となる。このようにして、分子量分布が2以下のエステ
ル類を製造することが可能になる。この場合の分子量分
布とは、Pw/Pnをいう(Pwは重量平均重合度、P
nは数平均重合度を表す。)。本発明の方法の使用の結
果、優れた分子量分布を持ち、更に低重合度末端アルコ
ールポリエステルに相当する複合エステル(R(AX)
AR、n≧1)では、一番の課題であったn=0に相
当するジエステル(RAR)の副生も最小限にすること
ができる。
【0013】一方、本発明のような方法を取らず、エス
テル化反応においてアルコール(R)とジオール(X)
の導入量を制御しなかったり、あるいは強力なエステル
化反応とエステル交換反応の触媒活性を有しない従来の
触媒を用いたりすれば、このような生成物を安定して得
ることは困難となる。生成した複合エステルは高分子化
が抑えられて分子量分布が狭いばかりではなく、特に、
低い酸価にする事が出来、エステル交換反応が容易にな
り、また目的分子量を狙って製造出来るので、従来販売
されたポリエステルについての規格値を大幅に改善する
ことが可能となる。複合エステルでは高分子量の組成が
少なくなり、生成物の粘度が下がり、副生成物であるジ
エステルも少なくなって、優れた複合エステルの製造が
出来る。それらは可塑剤として使用する時は、低粘度高
可塑性で、特に揮発性がなく優れた環境非汚染性の可塑
剤として期待される。
【0014】更に、活性化チタン触煤を使用するにあた
って、触媒活性が低下する場合がある。ポリオール成分
の種類によってチタン触媒に吸着または反応して活性点
を被覆し、酸の吸着を抑制し触媒活性の低下を来す現象
と恩われる。エチレングリコールを触媒活性化に使用し
た場含は、その活性低下は比較的少ないので、高い活性
を持ち続け、結果として活性の優れた触媒となる。その
他のジオール成分を使って反応する際にエチレングリコ
ールの混入を避けるために例えばプロパンジオールも活
性化触媒に使用され、ジオールと酸のエステル化反応に
使用されるが、ジオールが残っていると思われるにも拘
わらず反応末期に活性が低下することがある。ジオール
成分が原因で活性が下がった反応系に同じジオール成分
を使用して活性化を行っても反応速度は再現しない、し
かしそのような場合でもエチレングリコール−水を使用
して、触媒調節にあたっては溶剤やアルコール中、更に
ジオールを使ってもよいがアルコキシチタンを溶解し添
加活性化して作った触媒を添加すると優れた活性を示
し、酸価は有効に下げることができる。
【0015】即ち、本発明の目的は、活性化チタン触媒
を用いて2塩基酸、ジオール及び1官能性アルコールに
脱水エステル化反応及び次にエステル交換反応を行って
エステル類を製造する方法において、該活性チタン触媒
がアルコキシチタン、水溶性ポリオール及び水の混合物
又は該混合物の反応生成物から成るゲル状物であり、該
チタン1モルに対する該水溶性ポリオール及び水のモル
数がそれぞれ2〜20モル及び4〜40モルであるエス
テル化反応又はエステル交換反応用触媒であって、該エ
ステル化反応の全期間に渡って該1官能性アルコール及
び該ジオールの必要量を分散し且つ継続的に反応容器に
導入することを特徴とするエステル類の製法を提供する
ことである。前記脱水エステル化反応は、複合エステル
とエステルアルコールとを共存して生成するような条件
で行われることが好ましい。
【0016】また、本発明の製法の目的生成物を、R
(AX)m+nAR(m≧0、n≧1、Aを2塩基酸、
Xをジオール、及びRを1官能性アルコールと略記し、
各反応基やエステル結合を省略する。)とする場合に
は、前記脱水エステル化反応において該1官能性アルコ
ール(R)を、目的生成物(即ち、R(AX)m+n
R)を得るのに必要な理論量に、該脱水エステル化反応
の生成物としてR(AX) AX+R(AX)n−1
Rを得るのに必要な量と該理論量との差の0.2〜2.
0倍量、特に0.5〜1.0倍量(即ち、過剰量)を加
えた量で使用することが好ましい。なおこの場合には上
記の差Rは1モルに相当する。R(AX)AXはR
(AX)とRAXとに分けて考えることができ、その
ときは理論量は2R増え2Rが過剰量として使用され
る。一方、目的物の重合度との対比m/nによって過剰
量は決まり、1以下の量から数倍量も過剰量として使用
可能になるが、0.33以下では分子量分布が広くな
り、更に0.2以下では少ない割合の取り扱いとなって
その効果が明らかにならないし、多すぎるとRARが増
えて効果がなく、前記理論量との差に対する量の0.2
〜2.0倍量を過剰量として使用することが好ましい。
このような量を、分散し且つ継続的に反応容器に導入す
ることにより、前記の脱水エステル化反応が、複合エス
テルとエステルアルコールとを共存して生成するような
条件で行われることになるものと考えられる。また、本
発明の方法によれば、生成するエステルの分子量分布は
2以下となり、分子量分布の狭い複合エステルを製造す
ることができる。なお、「エステル類」とは、詳説する
ポリエステル及び複合エステルの双方を含む概念として
用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で用いる活性化チタン触媒
については、特願2000-147554に詳説してあるが、アル
コキシチタン、水溶性ポリオール及び水の混合物又は該
混合物の反応生成物である。ここでアルコキシチタンは
テトラブトキシチタン及びその四量体、テトライソプロ
ピルオキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラオク
チルオキチチタン等の4官能性テトラアルコキシチタン
類、三塩化チタン、四塩化チタン等のアルコール溶液、
オルトチタン酸エステル類と呼ばれる化合物等を含む
が、テトラブトキシチタン、テトライソプロピルオキシ
チタン又はテトラオクチルオキシチタンが好ましく、テ
トラブトキシチタンがより好ましい。水溶性ポリオール
は2以上の水酸基を有する水溶性化合物であれば特に制
限は無いが、エチレングリコール、プロパンジオール、
ジエチレングリコール又はグリセリンが好ましい。
【0018】このアルコキシチタン中のチタン1モルに
対する水溶性ポリオールのモル数は1〜50モル、好ま
しくは2〜20モル、より好ましくは3〜15モルであ
り、また同様に水のモル数は1〜60モル、好ましくは
4〜40モル、より好ましくは10〜20モルである。
これらを単に室温で又は加熱して混合するか又は溶媒中
で溶解させてもよく、またその混合順序についても制限
は無い。アルコキシチタン、水溶性ポリオール及び水の
混合物は室温で反応しゲル状になる。この構造は内部に
水を含み外側をポリオールポリチタネートのゲルで覆わ
れた球状構造をとると考えられ、その外表面には多数の
OH基が表出し、触媒活性を発揮するものと考えられ
る。
【0019】本発明の目的として製造されるエステル構
造は下の反応式及び一般式(A)で表される反応組成物
である。 R+n(A+X)+A+R → R(AX)AR (A) ここでR(即ち、ROH)は一官能性アルコールで炭素数
4以上の直鎖ないし側鎖を有するアルコールで、従来一
般的に使用されるものとして、実施例では2エチルヘキ
サノールを使用した。更にアルキルアルコールに限定さ
れるものでは無く、エチレングリコールモノアルキルエ
ーテルと呼ばれるエーテルアルコールではアルキル墓の
異なるものは抗菌性目的で、またジエチレングリコール
ベースのエーテルグリコールも使用可能である。A(即
ち、HOCOACOOH)で表現される二塩基酸はアジピン酸フ
タル酸に限定されるものでは無く、琥珀酸グルタール酸
コルク酸更に部分的にはテレフタル酸やそれらの水素添
加酸無水マレイン酸に代表される不飽和酸も実施可能で
あるが、2種以上の混合使用も有る。X(即ち、HOXO
H)として表されるジオールは可塑剤として要求される
低温特性と価格面から選別して使用されるが、炭素数が
2〜6の直鎖ジオール類又は1,2−プロパンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2−エチル1,3−ヘキ
サンジオールで代表される側鎖を有するジオール類がそ
れぞれの特性重視目的で使用され更にジ−(ポリ)エチ
レングリコール、ジプロピレングリコールで代表される
エーテルアルコールは親水親和性を含めて目的に応じて
使用可能である。
【0020】これらの化合物は、特に重合度nに対応し
て、従来のポリエステル製造ではその組成が問題で酸価
を下げることが難しくそのために高分子量エステルでは
エステル交換反応の効果が少なく低級のエステルアルコ
ールが残って分布が好ましくないポリエステルとなる。
これらの末端アルコールポリエステル類では、鎖状構造
の長さは分子量に対応することになるが、剛直性を求め
ては直鎖の短いユニットが、柔軟性耐水性からは側鎖を
有する鎖状ジオールやその混合ユニットが使用され、高
級高分子ポリエステルの素材として使うことができ、そ
の粘度極性に対応して可塑剤として有用で、両末端アル
コールのポリエチレンアジペートはポリエチレンテレフ
タレート(PET)樹脂の可塑剤として優れた性能を示
し、またエステル交換反応を利用して、高分子化が可能
で生物分解性プラスチックスの素材として使用可能であ
る。また複合エステルは末端アルコールで幾分異なる
が、n=1の分子量は最低でも500程度でポリ塩化ビ
ニールの可塑剤として使用する時は、80℃1ヵ月の連
続使用でも全く揮発しないことが分かっている。副生し
て共存する2塩基酸ジエステル除去が問題であったが、
その副生が実質的に無視できる程度に少なくすることが
できるかどうかが問題で、定量的な製造はできないので
副生するジエステルを再使用することが必要となってく
る。
【0021】エステル化反応におけるアルコールの過剰
使用量 酸に対して過剰にアルコールを使用しなければ、化学反
応の平衡理諭からも、絶対に酸を完全に反応させること
は不可能であるが、これらの反応では過剰量を最少限に
しなければならない。従って、本発明では、部分的にエ
ステルアルコールを経由して反応を行って生成物を得
る。前記反応式(A)において、R+A+X+A+R→RAXARと説明
した時に反応量は2Rと2AとXとの反応であるが、反応の
一部を{R+A+X}+{R+A+R}→RAX+RARになるように計画して
反応を行うと反応量は3Rと2AとXとの反応でRを多く使用
できる。この反応を行っても同時に前の反応も進行する
ので、過剰のRを使用しても全部がRAXを生成すると
は限らないが、一般的には、ジオールより一官能性アル
コールの方が反応速度が速いので大部分がRAX+RARとな
るが、RAXは後段のエステル交換反応によって脱RしR
AX+RAR→RAXAR+Rとすることになる。この反応は定量的
に行うことはできず、RAX+RAXAR→RAXAXARの逐次反応が
従属して進行し、未反応のRARが残りR(AX)nARのnが
増大する。従って高分子量になる程目的物に近い生成物
が得られることになるが、低級の複合エステルでは、逐
次反応を防止することができない。従ってRAXARを
純粋に製造することはできないが、使用過剰量を最低限
にするような反応条件を作ることができる。次にn=1を
目的にした場含にnの数が大きくなるので、予めnの大き
いものを目的に、Xの過剰量を使用することとなる。2X
の使用ではRAX+RAX+RAで3R+3A+2Xの反応となり、n=1の
時(RAXARを1.5モル)の3R+3A+1.5Xに対比すると、0.5X多
くアルコール成分を使用することになる。n=1を生成す
ることはできないが、よりnの高いものができるように
計画して反応させることによって、アルコールの過剰使
用が可能となり、反応速度の低下が起こらずに、反応を
進行させることが可能となり、此のような反応条件の選
択によって、アルコールの不足に起因する触媒活性の低
下と反応速度の低下が防止され、目的に近い生成物を製
造することができる。
【0022】ポリエステルの製造 分子量コントロールの手段として、ジオールと2塩基酸
ユニットの反応コントロールが大事である、ジオール成
分によっては脱水エステル化反応に当たって、水と共沸
で溜出する。従って途中までに組成を調整することが必
要である。また、一挙に反応を進めると組成が変わる可
能性がある。一官能性アルコールは分子量コントロール
のために必要量が使用されるが、均一生成物を目的に
は、酸の半分量が反応する前に少量ずつ添加し最後に残
り半量を添加してポリエステル化することが好ましい。
当量の添加反応では酸価は十分には下がらない。90〜
95%反応が進んだ時に活性化触媒と同時にジオール過
剰量を添加して反応を進める。活性化触媒では、酸価か
ら計算される未反応酸量はその対数値は時間に対応して
一次であるので反応終了時点を予測することができる。
一方触媒活性はジオール成分が活性点を埋めて不活性化
することがある。従って残存ジオール量の確認と同時に
活性化触媒の添加が必要になる場合がある。ジオール成
分によって不活性化は異なり、エチレングリコールの使
用が最も不活性化の時間が長く、活性化の際の水との濃
度比も影響する。活性化触煤を使用して十分に酸価を下
げた後活性化助剤として使用した過剰ジオールによって
生成したエステルアルコールとポリエステルの間でエス
テル交換反応を行う。反応容器に蒸留装置を設置し減圧
にして揮発分を除去最後は180〜200℃に上げ減圧
度も0.3mmHg程度まで上げて生成するオクタノール(末
端アルコール成分)を除く。分子量は予め触媒と同時に
添加するジオール成分を含めて計算する3成分の組成割
合で反応を進めることになる。対応する末端アルコール
は加えて添加反応される。後添加のジオール量は触媒と
共に添加されることが有利で、その量は高分子量ポリエ
ステル程少量で影響が大きくなる。使用されるジオール
量は僅かでもエステル交換反応前の平均分子量がエステ
ル交換反応後2倍になることもある。脱水エステル化反
応で使用され過剰に使用されたジオール成分は、エステ
ル交換反応も平行して進み、エステルアルコールとなっ
ているものと考えられ、対応する末端アルコールが次段
のエステル交換反応で回収されエステルは高分子化する
ことになる。
【0023】反応モル量を2nモルとし、過剰ジオール
として、(1/2n)相当の1モル使用では途中生成物並
びに生成物は下式で示される。 2(n+1)A+2nX → 2nAX+2A → Rの添加重合エステル
化 → 2R(AX)nA+R→ 完全エステル化中間過程{2R(A
X)nAR} 次いでXEと触媒添加 → R(AX)nAXE+R(AX)nAR
→ エステル交換反応 → R(AX)nAXE(AX)nAR エステル化反応生成物のモル数と過剰使用されるジオー
ルのモルの比に対応して、エステル交換反応後の分子量
が上がるのでその精度に対応して、目的生成物の平均重
合度が変った生成物が得られることになる。
【0024】2塩基酸複合エステルの製造 アジピン酸を例とする2塩基酸複合エステル製法につい
て述べると、酸とジオールの反応を選択的に行うことは
非常に困難であるが、特に遊離の酸が残らないように作
ることが最も重要である。n=1の複合エステルを完全に
作ることは実質的に不可能であるとして、前記の条件を
満たす条件下で反応を行うことになる。相当モルの2塩
基酸とジオールをできるだけ緩やかな条件で反応を行
う。幸いにしてアジピン酸等の2塩墓酸は酸強度が高く
単なる加熱で脱水エステル化反応が進行する。ここでは
140〜150℃のトルエン溶媒中での反応を期待す
る。最後は160まであげ等モルの反応を行うが同時に
末端アルコールの半量を徐々に添加し末端の酸を残して
酸の大部分が反応するのを待って残りのアルコールを添
加して反応を進める。90〜95%酸を反応させたと
き、ジオール成分の中にアルコキシチタン約2.5ミリ
モル/酸モル量を入れて溶解し、次いで予め混合調製し
たエチレングリコール1gと水0.5〜1g混合液を添
加混合して調製した活性化触媒を添加して反応を継続す
る。既に述べたが活性化触媒の不活性化はエチレングリ
コールに変えてジオール成分を使用した時に認められる
が、その種類によって影響の度合いが異なる。順調に反
応が進むと反応温度で進行が異なるが酸の半減期は15
〜30分程度にすることができ、最終酸価を得る時刻が
推定できることになる。過剰アルコール量が少ない時は
進行が当然遅くなるので同様に調製した過剰ジオール触
媒液を部分的に添加して反応を進める。
【0025】この反応で酸ジオール反応物が酸と反応し
てAXAの形になることを期待するが、同時にAXAXの反応
が進行するとAが余って残ることになる。厳密に100
%後者の反応を防止することはできないが、緩徐な条件
で反応を行い少量ずつ一官能性アルコールRを添加しな
がら反応を行うことによって、目的を達成することにな
る。一方過剰量のジオールは残ったAとの反応も考えら
れるが恐らく一旦できた生成物と反応してエステルァル
コールとなっている物と思われ、ジオール過剰量の2倍
モル相当の一官能性アルコールがエステル交換反応で生
成する
【0026】過剰に使用する量の影響について、反応様
式の違いで、反応の終わりの段階で使用する場合を考察
する。今末端アルコール(R)2モル、2塩基酸(A)2モ
ル、ジオール(X)1モルの反応で10%量の過剰量0.
1モルのXが反応すると A+X → AX → Rの部分添加反応{RAX+A,RA} → RA
XA+R+0.1XEエステル化→ 0.9RAXAR+0.1RAX+0.1RAXE
→ エステル交換反応 → 0.7RAXAR+0.2RAXAXAR(即
ち、R(AX)1.22AR) もし酸の10%がRARとなって副生するとnは1.22×
1.25=1.53となる。従って過剰量の反応の仕方が問題と
なり、具体的には(RAXAR+RAXAXAR)又は更にRAXAXARを目
的にAに対してXは過剰量を使用して反応し、対応して少
ないRで反応を進め、少なくなったRの量を過剰量として
使用することによって、反応速度を対応する一次反応で
進行させることができる。
【0027】異種複含エステルの製造 アジピン酸に対比するとフタル酸は複合エステルになっ
た場合にフタレートフタレート(-PXPX-)の構造が生成す
ると生成物の粘度が急激に増加することが分かってい
る。本発明では対応する成分を定量的に反応する方法が
提起され、活性化触媒の採用することによって、アルコ
ール成分が不足するときは、反応速度が遅くなるので、
速度を確認することで、反応が定量的に進んでいるかが
確認される。定量的に反応させるために中間にエステル
アルコールを考えて経由することによって、過剰分を得
て、エステル化する方法を採用した。フタル酸について
も同様方式を採用するが、前記のフタレートフタレート
構造をなくすことができなかった。しかしフタレートア
ジペート構造にすると粘度の上昇が少ないことを利用す
ることができる。反応としては(RPXAR+RPXAR+RPXAXAR+R
PXAXPR)を目標にすると、P(フタル酸)5モル、A
(アジピン酸)5モルに対しX(ジオール)6モル、R
(末端アルコール)8モルとなり、A1モルに対して比
較するとXは1.2、Rは1.6となる。(5RPXAR)では
A1モルにX1モルR2モルであるが、Xは0.2多
く、Rは0.4少なく反応を始め、最後にRが2となる
ように追加すると、アルコール量0.4は過剰分とな
る。エステル化を進め、酸が全部エステルとなった後エ
ステル交換することによって、過剰分相当する0.4の
Rが除かれて生成物が得られることになる。
【0028】(RPXAR+RPXAR+RPXAXAR+RPXAXPR)記載の
構造の組成物が完全にできればRARもRPRも副生し
ないが、フタル酸の反応速度は遅くアジピン酸が先に低
温で反応するので、副生するのは主としてRPRでその
混合物ができる。この方法では先に述べた様にアジペー
トフタレートが主となるためその粘度は比較的低く50
0センチポイズ程度で、従来の複合エステル可塑剤の評
価結果からポリ塩化ビニールの可塑剤として使用したと
きの可塑化効率はジオクチルフタレートDOP50部使
用時と同等の硬度を示す可塑剤量として表現されその値
は51〜52と推測される、目標とする(RPXAR+RPXAR+
RPXAXAR+RPXAXPR)記載の構造はこれらの組み合わせに
限定されるものではなく、RPXAXAXPRの様な更に高重合
度のものになると副生するRPRが少なくなるが、フタ
ル酸量が多いと粘度が上がるし、更に重合度が高いと粘
度が高くなって、可塑化効率が悪くなる。
【0029】この改良触媒の使用によって始めて3成分
更に異種複合エステルでは4成分の定量的反応の進行が
確認され、単に触媒の使用のみではその特長が分からな
いが定量的反応を行うことができる点が特長で、得られ
るエステル類は対応して、低酸価低アルコール末端の然
も分子量分布の狭いポリエステル及び複合エステル並び
に異種複含エステルを製造することが可能となる。実施
例記載は低分子量ジオール程揮発性で水と共沸溜出し易
くコントールがし難いがそれらについての結果を実施例
に記載したが、ジオール成分の種類を限定するものでは
ない。
【0030】実施例1 ジ2エチルヘキシルポリ(15)エタンジイルアジペー
ト(n=15分子量3000を目的として) 5モルのアジピン酸730gと分子量2000に見合う
量5×10/11モルのエチレングリコール281.8
g及び過剰量として18.2gを含む計300gエチレ
ングリコールの混合物並びにトルエン100gを反応容
器に入れ窒素置換を行った後脱水エステル化反応を開始
した。130〜150℃で共沸で溜出した水を反応容器
に循環して戻しながら反応を行って生成水を除去した。
分子量2000に対応する末端アルコール量として5×
2/11モルの2エチルヘキサノール118.2gを3
分し半量を最初から少量づつ添加溜出する水が半量10
0gを過ぎてから徐々に温度を上げ22.5gを追加し
90%過ぎに最後に残り2エチルヘキサノール379を
添加した。温度を下げ、分子量3000に見合うエチレ
ングリコール量5×15/16、290.6gとの差
8.8gにテトラブトキシチタン5gを溶解しエチレン
グリコール2gと水1.5gの混合液を加えて撹搾活性
化チタンを析出させた活性化触媒懸濁液を添加して脱水
エステル化を行った。反応温度を200℃に保ってエス
テル化を進め、最後の酸価の価から計算される残存酸量
の対数値と時間から計算される一次反応の速度は半減期
ほぼ20分で残存酸量0.002となり30分後反応を
終了した。
【0031】次いで溜出管を取り付け減圧を0.3mm
Hgまで上げ溜出するオクタノールを除去した。エステ
ル交換反応液は冷却してトルエン及び水1gを加えて攪
拌活性白土40gを加えて放置触媒を吸着沈降させ上澄
液から濾過次いでトルエンを蒸留して除き920gの生
成物[P]を得た。重合度nは{[P]−370×51
/{5×172−[P]}として計算されn=15分子
量2950に対応して生成物はn=15.5分子量は3
036であった。GPCによる数平均分子量は314
0、重量平均分子量6020で、分散は1.917で優
れた分布を持つポリエステルを、分子量3000を目標
にして製造することができた。
【0032】このポリエチレンアジペートは酸価が低く
末端アルコールの殆どないポリエステルで、ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂との相溶性に優れ、10インチの
混練機による押し出し試験では8%まで添加混入可能で
10%では溶解不十分でフィード部に逆流蓄積する現象
が認められた。その他の可塑剤ではジ2エチルヘキシル
フタレート及びその他の複合エステルでも3部以上を混
入できるものは見いだせなかった。なお分子量3000
のポリエチレンアジペートより調整したポリエチレンテ
レフタレートとのブロックポリエステルでは上記の条件
下で45部まで混入可能であり、それとの混合では8部
が15部まで上がることが確認されている。
【0033】実施例2 ジ2エチルヘキシルポリ(6)1,2−プロパンジイル
アジペート(n=6分子量1486を目的にとして) 3モルのアジピン酸438gと分子量1114対応する
量として12プロパンジオール3×4/5モル182g
及び水との共沸溜出分として35gを余分に加えた混合
物にトルエン80gを入れ窒素置換を行って脱水エステ
ル化反応を開始した。130〜150℃で水を除去しな
がら2エチルヘキサノール3×2/7モルの111gを
少章ずつ添加、途中で溜出するプロパンジオールと共に
溜出する水を反応液に循環して戻し計算量の半分60g
の水が溜出するまで反応を進めた。その後温度を170
℃まで上げて反応を進め最後に2エチルヘキサノールを
(2/5−2/7)モル相当量40gを添加し、95%
以上のエステル化が進行した後温度を下げ、分子量15
00に対応するプロパンジオール量との差76×3×
(6/7−4/5)量13g中に4gのテトラブトキシ
チタンを溶解し、エチレングリコール1g水1gの混含
液を添加攪拌してできる活性化触媒を添加し、200℃
前後でエステル化を進め、1次反応に従って酸価を下げ
その半減期は約25分であった。
【0034】生成物は次いで減圧にして210℃/0.
3mmHgでエステル交換反応を行い揮発分のオクタノ
ールを除去した。100℃に下げた後トルエン及び水1
gを添加攪拌してできる活性化触媒を添加して析出する
チタンを凝集沈降させ濾過して触媒を除き溶剤を蒸留除
去して残留液として生成物[P]631.5gを得た。
重合度nは{[P]−3×370}/{3×186−
[P]}として計算され、得られたポリエステルはn=
6.51平均分子量1581でGPC分析ではほぼ平均
分子量1600分散は1.98の値で優れた分布を示し
20℃の粘度は1440センチポイズであった。目的分
子量に対する誤差はプロパンジオールの共沸溜出分の補
正量に関連し、共沸溜出による過剰量は実験的に補正量
を確認して得た量で、循環量並びに反応温度によって修
正されるべき値で、特にプロパンジオールでは分子量を
目的に適合するためには補正量を算出することが必要で
ある。ポリ塩化ビニール用可塑剤としてポリエステル可
塑剤が使用されその低揮発牲能は良く分かったことであ
るが、ジエステル可塑剤に対比して価格が高く、また粘
度も高く可塑化効率が悪く多量の使用量が必要という短
所から利用範囲が限定され、1000程度のポリエステ
ルと他樹脂との併用目的に可塑剤の非移行性の高分子量
2000〜4000の分子量のポリエステルが作られて
販売されている。本発明の方法は高活性触媒使用によっ
て低酸価であり、エステル交換反応効果によって低分子
量フラクシヨンのない分子量規正の優れたポリエステル
を選択的に製造することができまたジオール成分の選択
で低温特性や粘度特性の優れたポリエステルが製造でき
る。
【0035】実施例3 ジ2−エチルヘキシル1,2−プロパンジイルアジペー
ト 組成から来る反応モル比はアジピン酸2、ジオール1、
オクタノール2であるが、目的生成物をアジピン酸2、
ジオール1.25、オクタノール1.5(RAXAR+2RAXAXA
R)の反応組成として反応を行った。中間組成として(2RA
X+3RAXAR)を考えるとRの使用量は+2Rとなり追加使
用してエステル化反応を行い、エステル交換反応で2R
に対応する量を除いて目的生成物を得たその実施例を以
下に示す。アジピン酸1モル146gに12−プロパン
ジオール47.5g過剰分として7gを反応容器に入れ
脱水エステル化反応を140〜150℃で行いプロパン
ジオールの回収目的で水層を反応容器に戻しながらエス
テル化を進め、水の溜出量理論量の約半分20m1まで
に2−エチルサノールの65gを添加し、その後温度を
上げて180〜200℃にして残りの38gを添加エス
テル化を行った。最後に追加分として38g(総量は酸
に対し等モル量)の2エチルヘキサノールを加えた。そ
の後温度を下げ、トルエン10m1にテトラブトキシチ
タン1.5gを溶解し、エチレングリコール0.8g水
0.8gの混液を添加攪拌して生成する活性化チタン触
媒を添加してエステル化反応を進め略半減期20分の反
応を行った。
【0036】最後に減圧として200℃/0.3mmH
gでエステル交換を行って揮発分を除去して反応を終え
た。トルエン水を加え活性白土を加え触媒を濾別し溶剤
を蒸留除去し滅圧0.3mmHgで最高270℃まで上
げて蒸留してDOAを除去64g残留液として生成物
[P]201.5gを得た。20℃における粘度は14
0センチポイズであった。1モルのアジピン酸からn=
1として計算される収得量278との差がDOAモル数
として76.5/370=0.206更に複合エステル
として反応したモル数として1−0.206=0.79
3の値を使用してn={[P]−370×(1−0.2
06)}/{186×(1−0.206)−[P]}と
して計算され重合度はn=1.70であった。過剰使用
のプロパンジオールは経験的に先行実験から水と共に共
沸成分として蒸留される量である。理論的には目的組成
か得られればn=1.66であるが、共沸分を除いて定
量的に反応させることは非常に難しく1.70の重合度
を直接製造することが此のような方法で始めて製造する
ことができた。なおnの小さな複合エステルその他のジ
オールを使用した場合に直接法でn=1.4が得られて
いる。この反応はアルコール量が定量的に反応しないと
不足になり、或いはエステルアルコールの中間生成物が
残り、一次反応の速度が著しく遅くなり、逆に速度から
反応が定量的に進行したかの判定ができる。得られた生
成物の粘度からポリ塩化ビニールの可塑剤として使用し
たときの可塑化効率は1割少なくても同等の表面硬度を
示す優れた性能が予測され、低温特性を持ち、長時間使
用しても揮発性が著しく少ない可塑剤として使用される
ものと期待される。
【0037】実施例4 プロパンジオールを使用する循環方式による製造ジ2−
エチルヘキシルポリ(1.7)1,2−プロパンジイル
アジペート 1,2−プロパンジオールは沸点が低く
また水と共沸で溜出し、定量的に反応を行う製造は特に
難しいが、ジオクチルアジペートDOA(RARと略記し
た場合がある)副生を前提に、副生DOAを使用する実施
例を記載するRAXに対応するエステルアルコールを使
用して、回収DOAと反応することは本実施例と同じ意味
で、この実施例は部分的にDOAを同時に作りながらRA
Xを作り、回収リサイクルRARと反応して複合エステ
ルを製造する際の製造例である。 1.5 HOCOACOOH + HOXOH + 2 C8H17OH →1 C8H17OCOACOO
XOH + 0.5 C8H17OCOACOOC8H17 →+ 2 C8H17OCOACOOC8H
17 →C8H17O(COACOOXO)1.70COACOOC8H17 + C8H17OCOAC
OOC8H17 1.5モル219gのアジピン酸に1モルの1,2−プ
ロパンジオール76g及び共沸溜出分として過剰量15
gを反応容器にいれ窒素置換後140〜160℃で反応
を開始した。溜出する水を循環して反応容器にもどしな
がら反応を進め同時にオクタノールの半量1モル130
gを少量ずつ添加した。プロパンジオールを十分反応さ
せ理論量の約半分量の水が出た後温度を上げ180〜2
00℃で90gのオクタノールを添加しながら、反応を
進め最後に温度を一旦下げ、40gのオクタノールにテ
トラブトキシチタン3gを溶解し、エチレングリコール
1g水1gの混合液を添加攪拌して生じる活性化チタン
懸濁液を添加して脱水エステル化反応を行った。アルコ
ールの過剰量はジオールのモル量に相当し、半減期は約
20分で進行した。
【0038】酸価を十分に下げた後回収されたDOA74
0gの中に入れ攪拌しながら温度を180〜200℃で
減圧にし、溶剤及びエステル交換によって生成するオク
タノールを除いた。最後は0.3mmHgまで下げ十分
脱オクタノールを行って反応を終了した。100℃に下
がった時トルエン400mlと水2mlを加えて攪拌し
活性白土40gを添加攪拌静置触媒を沈降させ、その後
濾過更に溶剤を蒸留し、最後に減圧下にDOAを最高2
70℃/0.3mmHgで除いた。その量は674gで
あった。残留液として生成物は406gで反応したアジ
ピン酸1モルからの理論生成量556gとの差150g
はDOA0.405モルでアジピン酸の複合エステルとし
て反応した量は2−0.405=1.595モル次式よ
り(186n+370)×1.595/n+1=406
n=1.68従って分子量は682と計算される。こ
の実施例は循環消費されるRARを一部作りながらRA
Xを作って反応させる例である。RAXを目的に作って
もよく、その際部分的にRAXARに相当する目的物が
同時にでき、エステル交換反応の際に、RAXARを含
む反応液となる点が幾分異なるが、RARの過剰量とエ
ステル交換しなければ、nの数の少ない複合エステルを
得ることができない点は、本実施例と同じであって、反
応時のRARの割合が多いほどnの値が小さくなる。
【0039】実施例5 ジ2−エチルヘキシルポリ(1.4)1,2−プロパン
オキシ1,2−プロパンジイルアジペート (ジプロピ
レングリコールビス2エチルヘキシルアジペート) アジピン酸2モル292.2gジプロピレングリコール
1.1モル(0.1モル過剰使用)147gを脱水エス
テル化反応装置に入れ窒素置換した後140〜160℃
で反応を進め、水の溜出に合わせ40m1までに2−エ
チルヘキサノール130gを少量ずつ添加した。温度を
上げ残りの100g量を継続的に少量づつ添加90%以
上になったところで30gの2−エチルヘキサノールに
テトラブトキシチタン3gを溶かしエチレングリコール
1g水1gの混合液を添加攪拌して生成する活性化チタ
ン触媒を添加200℃で反応を行った。一次反応の半減
期は20分であった。
【0040】200℃でエステル交換反応を行った後、
トルエン及び水を加え加水分解活性白土を加え触媒を沈
降濾過分離し濃縮最後に0.3mmHgで最高260℃
まで上げて揮発分DOAを除き414gを得た。生成物の
平均重合度は2.17と計算されその粘度は460セン
チポイズであった。揮発性の少ないジオールでは速度の
速い反応はできるが反応組成が不十分では、目的組成か
ら外れてくる。
【0041】実施例6 ジ2−エチルヘキシル1,2−プロパンジイルアジペー
トフタレート(異種複合エステルの製造例) 目的反応物として(2RPXAR+RPXAXAR+RPXAXPR)とするとP
及びAは5モルXは6モルRは8(5+3)モルでその
中間体として(2RAX+3RPXAR+RPXPR)を考えると、R2モ
ルの過剰使用で良くその量の対応量2Rをエステル交換
反応で除くと目的組成物が得られる。1/5モルスケー
ルのフタル酸1モルの反応例を以下に示す。フタル酸無
水物148gに2−エチルヘキシルアルコール130g
及び溶剤としてトルエン80gを加え窒素置換後80〜
95℃で4時間加熱攪拌して無水物を反応した。アジピ
ン酸146g及び1,2−プロパンジオール91.2g
(1.2倍モル)及び共沸で水と共に溜出する量として
5.8gを追加し脱水エステル化反応を開始し、140
〜150℃でエステル化を進め、溜出する水を4回循環
して反応容器に戻しその度に温度を下げ水を蒸留して除
いた。その間に78gの2−エチルヘキサノールを少量
ずつ添加し、36mlの水が出た後で温度を190〜2
10℃まで上げて反応した。90%の水が出た後オクタ
ノール52gを追加し、次いで温度を下げ、別途トルエ
ン10gオクタノール15g中にテトラブトキシチタン
3gを溶解、エチレングリコール1.5g水1.5gの
混合液を添加攪拌して生成する活性化チタン触媒液を作
って反応容器に加えてエステル化を続行し、3時間後反
応を終えた。
【0042】冷却後トルエン300mlを加え水2ml
と共に攪拌し、活性白土を加え触媒を吸着沈降させ、濾
過、溶液を濃縮して減圧下に0.3mmHgで蒸留液温
220〜240℃沸点210〜220℃のジオクチルフ
タレート溜分を得た。残留液として407.2gを得
た。RPXARの理論生成量576との差168.8を
RPRとみてモル数0.432モルから複合エステルと
して反応したモル量は、2−0.432=1.568、
n={390×1.568−407.2}/{186×
1.568−407.2}として計算され、n=1.7
6、分子量717.7となった。組成式R(AXP)1.76PRで
示され20℃の粘度は540センチポイズで可塑剤とし
て使用するときはフタル酸ジエステルと略同等の性能を
示し、全く揮発性がない特長をもった可塑剤となるもの
と期待される。なお異種複合エステルは、実施例4に示
した循環方式によって、そのRAXに代えてRPXフタ
ル酸エステルアルコールを使用することによっても製造
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AD01 AE15 BA02 BA03 BA04 BA07 BA08 BA09 BF09 BF10 BF25 CA04 CA05 CA06 CB04A FA04 FA13 FC03 GA13 HA01 HB01 HB06 JA091 JB131 JF321 KB02 KB12 KE02 KE03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性化チタン触媒を用いて2塩基酸、ジ
    オール及び1官能性アルコールに脱水エステル化反応及
    び次にエステル交換反応を行ってエステル類を製造する
    方法において、該活性チタン触媒がアルコキシチタン、
    水溶性ポリオール及び水の混合物又は該混合物の反応生
    成物から成るゲル状物であり、該チタン1モルに対する
    該水溶性ポリオール及び水のモル数がそれぞれ2〜20
    モル及び4〜40モルであるエステル化反応又はエステ
    ル交換反応用触媒であって、該エステル化反応の全期間
    に渡って該1官能性アルコール及び該ジオールの必要量
    を分散し且つ継続的に反応容器に導入することを特徴と
    するエステル類の製法。
  2. 【請求項2】 前記脱水エステル化反応が、複合エステ
    ルとエステルアルコールとを共存して生成するような条
    件で行われることを特徴とする請求項1に記載のエステ
    ル類の製法。
  3. 【請求項3】 前記エステル類をR(AX)m+nAR
    (m≧0、n≧1、Aを2塩基酸、Xをジオール、及び
    Rを1官能性アルコールと略記し、各反応基やエステル
    結合を省略する。)として、前記脱水エステル化反応に
    おいて該1官能性アルコール(R)を、前記R(AX)
    m+nARを得るのに必要な理論量に、該脱水エステル
    化反応の生成物としてR(AX)AX+R(AX)
    n−1ARを得るのに必要な量と該理論量との差の0.
    2〜2.0倍量(過剰量)を加えた量で使用することを
    特徴とする請求項1に記載のエステル類の製法。
  4. 【請求項4】 前記エステル類の分子量分布が2以下で
    ある請求項1又は2に記載のエステル類の製法。
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