JP2002308796A - リパーゼ阻害剤 - Google Patents

リパーゼ阻害剤

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JP2002308796A JP2001108935A JP2001108935A JP2002308796A JP 2002308796 A JP2002308796 A JP 2002308796A JP 2001108935 A JP2001108935 A JP 2001108935A JP 2001108935 A JP2001108935 A JP 2001108935A JP 2002308796 A JP2002308796 A JP 2002308796A
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Yoshie Ooshima
良恵 大島
Yoshishige Yamamoto
良重 山本
Katsuyuki Okamoto
勝之 岡本
Shinsuke Mitsuyoshi
新介 三吉
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Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リグニンの利用の拡大を目的に、肥満の予
防、治療に有用であるリグニンをリパーゼ阻害剤として
提供すること。 【解決手段】 リグニン含有植物体中のリグニン結合物
質の分解から生成させた単離リグニンを有効成分とする
リパーゼ阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心疾患、動脈硬
化、糖尿病などのいわゆる成人病の誘因である肥満の予
防、治療に有用なリパーゼ阻害剤に関する。また、それ
らを配合した食品、医薬品、飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】リパーゼ阻害剤としては、今まで、大豆
蛋白(K.Satouchi等、Agric.Bio1.Chem.38巻、97〜
101頁(1974年);K.Satouchi等、Agric.Bio1.Che
m.40巻、889〜897頁(1976年))、タンニン(S.Ahim
ura等、日食工、41巻、561〜564貢(1994年))、生薬
の溶媒抽出エキス(特開昭64−90131号公報)、穀物由
来の塩基性蛋白質(例えば、特開平3−284627号公
報)、トリテルペン類(特開平9−40689号公報)、フラ
ボノイド類(特開平9−143070号公報) などが知られて
いる。
【0003】リグニンを含有する植物、例えば小麦ふす
まのリパーゼ阻害活性については、微弱な活性の確認は
されているものの、実用的な阻害活性は認められていな
い(Digestion、44、200−210、1989)。
【0004】また、リグニンは、食物繊維の一種であっ
て、その用途としては、工業用の樹脂原料としての利用
が殆どであり、生理活性に関するものとしては、血中コ
レステロール上昇抑制剤(特開平6−87756号公報)等が
報告されている。
【0005】水溶性リグニンについては、免疫賦活作用
(特開平2−237934号公報)、抗ウイルス作用(特開平2
−286623号公報)などあることが知られている。このよ
うに、現状ではリグニンの用途は限られており、生理活
性、食品への利用などを含め利用の拡大が待たれている
のが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リグニンの
利用の拡大を目的に、肥満の予防、治療に有用であるリ
グニンをリパーゼ阻害剤として提供することである。ま
た、本発明は、上記リパーゼ阻害剤を配合した食品、医
薬品、飼料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、植物体中
のリグニンは、セルロースやヘミセルロースなどの炭水
化物と結合して存在する(プロトリグニン)が、その結
合を分解して得られる単離リグニンには優れたリパーゼ
阻害活性があることを見出し、更に研究を重ねた結果、
本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、以下の構成からなるもの
である。 (1)単離リグニンを有効成分とするリパーゼ阻害剤。 (2)単離リグニンが、リグニン含有植物体中のリグニ
ン結合物質の分解から生成したものである上記1記載の
リパーゼ阻害剤。 (3)単離リグニンが、リグニン含有植物体の物理的処
理、化学的処理、微生物/酵素処理の何れか一つ又は二
種以上の処理の組み合わせにより生成したものである上
記1又は2記載のリパーゼ阻害剤。 (4)微生物/酵素処理が、ラッカーゼによる処理であ
る上記3記載のリパーゼ阻害剤。 (5)単離リグニンが、可溶性リグニンである上記1、
2、3又は4記載のリパーゼ阻害剤。 (6)可溶性リグニンが、水溶性リグニンである上記5
記載のリパーゼ阻害剤。 (7)上記1、2、3、4、5又は6記載のリパーゼ阻
害剤を含有する食品、医薬品、又は飼料。 ここで、可溶性リグニンとは、水、各種有機溶媒、油な
どの液体に溶解するものを示す。
【0009】本発明は、「単離リグニンには、リパーゼ
阻害作用がある」という新事実の発見に基づいてなされ
たものである。
【0010】植物組織中の成分としてリグニンが含まれ
ているものには、実用的なリパーゼ阻害活性はないこと
が公知の事実であることからみて(Digestion、44、200
−210、1989)、リグニン含有植物体から単離したリグ
ニンに顕著なリパーゼ阻害活性があるということは、全
く予想外の発見であった。
【0011】ところで、リグニンは、植物の新生組織に
は全くみられず、その組織がある期間を経過した後、即
ち、木化した後に初めて発現する。つまり、リグニン
は、セルロースやヘミセルロース等の炭水化物が存在す
るところしか発生せず、組織の木化にともなう産物であ
って、第二次代謝物としての性格を強く持っている。こ
のように、リグニンは、植物組織中ではセルロースやヘ
ミセルロース等の炭水化物と結合した状態で存在し、プ
ロトリグニンと称される。
【0012】本発明の単離リグニンは、リグニン含有植
物体中のリグニン結合物質の分解により生成したもので
ある。すなわち、リグニンとヘミセルロース、セルロー
スなどのリグニン以外の物質との結合が分解(切断)さ
れ、リグニンが単離あるいは分離、濃縮されたものであ
る。
【0013】リグニン結合物質の分解法としては、物理
的処理、化学的処理、又は酵素的処理等が採用し得る
が、該処理の違いに応じて、単離リグニンとしては、可
溶性、不溶性のもの等が得られるので、その使用目的に
応じて分解法を選択すればよい。
【0014】上述したように、プロトリグニンを含有す
る植物組織そのものにはリパーゼ阻害活性はなく、本発
明の単離リグニンには顕著なリパーゼ阻害活性があると
いう違いは、リグニン結合物質の分解に伴うところのリ
グニン自体に、その原因があるものと推察される。
【0015】いずれにしても、本発明は、上記のような
意外な事実の発見に基づいてなされたものであるので、
本発明の構成要件の選択には、格別の意義があることに
変わりはない。
【0016】以上のように、本発明によれば、心疾患、
動脈硬化、糖尿病などのいわゆる成人病の誘因である肥
満の予防、治療に有用なリパーゼ阻害剤が、安価な植物
原料から得られる点、単離リグニンとしては、可溶性、
不溶性のもの等、その使用目的に応じた溶解性のものが
自由に製造することができるので、その適用に制限がな
い点、また、有効成分である単離リグニンは、パルプ製
造の廃液や穀類副産物であるフスマなどからも得られる
ので、資源の有効利用にも資することができる点におい
て、価値が高いものである。
【0017】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明のリパーゼ阻害剤は、単離リグニンを有効成分とする
ことを特徴とするものであるが、本単離リグニンは、
(イ)リグニン含有植物体を、(ロ)物理的処理、
(ハ)化学的処理、(ニ)微生物/酵素処理、又は各処
理を併用することにより得ることができる。以下、これ
らの構成要件及び(ホ)単離リグニンの分離・精製や
(ニ)本リパーゼ阻害剤の用途等について、説明する。
【0018】(イ) リグニン含有植物体 本植物体としては、リグニンを含有するものであれば何
れのものでも良く、針葉樹、広葉樹、禾本科植物等の植
物体などが挙げられる。例えば、木材、穀類、豆類など
の植物体を好適に用いることができる。例えば、穀類や
豆類の植物体としては、小麦ふすまや大豆、大豆皮など
を用いることが出来る。
【0019】本植物体は、必要であれば粗紛糾すること
によって、単離リグニンの生成効率を高めることもでき
る。更に、植物体から不純物である澱粉や蛋白質を除去
することが好ましいが、最終産物に不純物が混在して
も、その効果に差し支えない場合は、それを省くことが
できる。
【0020】本植物体から単離リグニンを得る方法とし
ては、リグニン含有植物体中のセルロースやヘミセルロ
ース等の炭水化物とリグニンとの結合を分解する方法で
あれば如何なる方法でもよく、以下の物理的処理、化学
的処理、又は酵素的処理などによって行うことができ
る。また、これらの方法を組み合わせて行うことも可能
である。
【0021】(ロ) 物理的処理 本物理的処理は、リグニン含有植物体中のセルロースや
ヘミセルロース等の炭水化物とリグニンとの結合を分解
させて、単離リグニンを生成するために行うものであ
り、該結合の分解を生起させるものであればその種類を
問わない。例えば、凍結粉砕、爆砕処理(密閉容器に原
料を入れ、高圧蒸気を導入した後、急激に常圧に戻
す)、マイクロ波処理などの方法がある。本処理におい
ては、通常水溶性の単離リグニンが得られる。
【0022】(ハ) 化学的処理 本化学的処理は、リグニン結合物質を分解させて、単離
リグニンを生成させるものである。本化学的処理の方法
としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0023】 重亜硫酸塩と亜硫酸の水溶液中で加圧
加熱し、リグニンをスルフォン化して、水溶性化する方
法。
【0024】 硫化ソーダや硫化水素の水溶液中で加
熱し、リグニンをチオリグニンとして、水溶性化する方
法。
【0025】 カセイソーダ水溶液中で加圧加熱し、
水溶性化する方法。 本処理で得られたものとしては、リグニンスルホン酸又
はその塩が代表的であるが、リグニンを水溶性化したも
のであれば、如何なるものでも使用可能であり、1種の
みならず、2種以上を組み合わせて用いることもでき
る。また、市販されているリグニンスルホン酸やリグニ
ンスルホン酸ソーダなどを用いることも、勿論、可能で
あるが、特に、化学パルプ製造時に生成する蒸解廃液中
の水溶性リグニンを用いれば、製紙・パルプ工場での副
生物の利用につながるので、一層有効である。
【0026】 エタノールやジオキサンなどの有機溶
剤に可溶化して、リグニンを得る方法。
【0027】 塩酸や硫酸などによって、リグニン含
有植物体中のセルロースやヘミセルロース等の炭水化物
を溶解除去し、リグニンを残査として得る方法。
【0028】このように、本処理においては、処理法
〜では可溶性のものが、処理法では不溶性のもの
が、それぞれ得られる。特に処理法〜では水溶性の
ものが得られる。
【0029】(ニ) 微生物/酵素処理 本酵素的処理は、リグニン含有植物体中のセルロースや
ヘミセルロース等の炭水化物とリグニンとの結合を分解
させて、単離リグニンを生成するものである。
【0030】本酵素的処理には、リグニンを可溶化する
方法として、微生物を用いてリグニンを可溶化する方
法又は酵素を用いてリグニンを可溶化する方法が、リ
グニン以外の炭化水素を分解除去する方法として、微
生物を用いてリグニン以外の成分を資化させる方法又は
酵素を用いてリグニン以外の成分を分解除去する方法
等が用いられる。
【0031】以下、上記の方法〜について説明す
る。 微生物を用いてリグニンを可溶化する方法 微生物としては、前記の分解活性を有していれば、その
種類は限定されない。例えば、担子菌、子嚢菌などが挙
げられる。
【0032】担子菌としては、カワラ茸、キンイロアナ
茸、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、タマ
ブシ茸、マンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカ
ケ、カワラ茸などが、子嚢菌としては、アミガサ茸など
が、それぞれ、挙げられる。
【0033】本方法では、上記の菌の菌糸体を培養し
て、その培養物から有効成分を抽出する。培地として
は、リグニンを含有する植物体から調製された培地が用
いられ、固体培地、液体培地の何れも使用できる。リグ
ニンを含有する植物体としては、禾本科植物、例えば、
バガス(さとうきびの搾り粕〉、トウモロコシの茎葉、
小麦ふすま、稲のう、茅などが好ましく用いられる.こ
の他に、熊笹、竹なども使用できる。また、必要に応じ
て他の栄養成分として、米糠、乾操酵母、イーストエキ
スなどを添加混合した培地が好ましく用いられる。
【0034】固体培地、液体培地の何れの場合も、常法
により培養を行う。得られた培養物に、必要に応じて水
を添加し浸潤させる等して有効成分を抽出する。抽出時
に加温、加圧して抽出効率を上げることができる。ま
た、事前に培養物を粉砕したり、自己消化させておいて
もよい。抽出物は必要に応じて濾過又は遠心分離して濾
液又は上清を採取し、有効成分を得る。
【0035】 酵素を用いてリグニンを可溶化する方
法 酵素としては、ラッカーゼ、リグニンペルオキシダー
ゼ、マンガンペルオキシダーゼなどが挙げられる。これ
らの酵素は、微生物から抽出し、必要に応じて単離して
使用できる。
【0036】例えば、ラッカーゼを用いた場合、その添
加量は、0.01〜10%、好ましくは0.1〜10%
の範囲がよく、反応時間は、通常6〜48時間である。
本処理においては、通常水溶性の単離リグニンを得るこ
とができる。
【0037】 微生物を用いてリグニン以外の成分を
資化させる方法 本方法は、微生物を用いて、リグニン含有植物体中のセ
ルローズやヘミセルローズ等の炭化水素を資化させるも
のである。
【0038】本方法での微生物の接種、培養自体は、上
記と同様な方法で行うことができるが、該微生物とし
ては、その目的を達成できるものであれば良く、その種
類は限定されない。例えば、食品へ利用する場合、麹菌
(例えば、Aspergillus Oryzae、Aspergillus nigerな
ど)が好適に用いられる。なお、本処理法は、前処理的
に、即ち原料のリグニン含有植物体中のリグニン濃度を
高める方法としても有用である。
【0039】 酵素を用いてリグニン以外の成分を分
解除去する方法 酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼなどの糖質
分解酵素を使用することができる。
【0040】以上のように、処理法(イ)〜(ニ)によ
り、その溶解性が異なるので、使用目的に応じて、その
処理法を選択すればよい。
【0041】(ホ) 分離・精製 以上の方法により得られた単離リグニンは、中和、脱
塩、精製などの必要な処理を行なった後、所望により濃
縮、乾燥などの処理を行ない、本発明のリパーゼ阻害剤
として供することができる。あるいは固液分離等を行な
わずに、そのまま乾燥して、本発明のリパーゼ阻害剤と
することも可能である。
【0042】(ヘ) 用途 本リパーゼ阻害剤は、食品、医薬品、飼料等に添加し、
その利用を図ることができる。この場合の添加量は、
0.001%〜99%、好ましくは0.01%〜50
%、より好ましくは0.05%〜20%であれば良く、
その形態は限定されない。例えば、食品の場合には、パ
ン、クッキー、ビスケット、飲料、ドレッシング等が挙
げられる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、実施例をあげて具体的に説
明するが、これらは本発明を限定するものではない。な
お、「%」は、特に断らない限り、「重量%」を意味す
る。
【0044】(A) リグニンの調製 1. 単離リグニン 実施例の単離リグニンの調製は、以下の方法で行った。 (1)硫酸法 (2)酵素法 (3)抽出法 (4)クラフト蒸煮法
【0045】
【実施例1】(硫酸法)小麦ふすま10gを、平均粒度
300μm程度にまで粉砕し、粉砕した小麦ふすまに、
72%硫酸150mlを加え、よく撹拌した後、4℃で
24時間放置する。その後、得られた硫酸溶液に水を加
えて5%硫酸溶液とし、該硫酸溶液中で、沸騰温度下、
2.5時間処理して、可溶性成分を溶解させた。次い
で、不溶性残査が沈澱した硫酸処理液を濾過し、濾取し
た沈澱物を熱水で洗浄した後、乾燥して、不溶性の単離
リグニン生成物(単離リグニン100%)0.41gを
得た。
【0046】
【実施例2】(硫酸法)リグニン含有植物体として、小
麦ふすまの代わりに、大豆皮を用いた以外は、実施例1
と同様の方法により、不溶性の単離リグニン生成物(単
離リグニン100%)0.27gを得た。
【0047】
【実施例3】(酵素法)60℃の温水で洗浄した小麦ふ
すま500gに、蒸留水5Lを加え、塩酸でpH5.5に
調整した。次いで、ラッカーゼ(新日本化学製、LACCAS
E POWDER)5gを添加し、攪拌しながら55℃で24時間
反応させてリグニン以外の成分を分解した後、沸騰水浴
中に20分間おいて酵素反応を停止させた。酵素反応を
終えた反応液は、遠心分離(6000g、20分間)に
よって上清を回収し、凍結乾燥に供して、茶褐色粉末で
ある水溶性の単離リグニン生成物20gを得た。得られ
た単離リグニン生成物中の単離リグニン含量は、ニトロ
ソリグニン法(The Chemistry of Lignin, Marcel Dck
ker Inc., New York,P.37(1967))での定量により測
定したところ、4.6%であった。
【0048】
【実施例4】(酵素法+抽出法)実施例3で得られた単
離リグニン生成物10gを、ジオキサン100mlに懸
濁し、溶解した画分を回収し、水溶性の単離リグニン生
成物0.57gを得た。得られた単離リグニン生成物中
の単離リグニン含量は、実施例3と同様の方法により測
定したところ、19%であった。
【0049】
【実施例5】(クラフト蒸煮法)一般にパルプ製造工程
に用いられるパルプ原料を、水酸化ナトリウムと硫化ナ
トリウムからなる薬液で蒸煮する、いわゆるクラフト蒸
煮により得られるリグノスルホン酸塩を水溶性リグニン
として用いたが、具体的には、試薬として市販されてい
るリグノスルホン酸塩(関東化学社製)を用いて、リパ
ーゼ阻害剤とした。
【0050】2. プロトリグニンの調製 植物組織中のあるがままのリグニンであるプロトリグニ
ンは、リグニン含有植物体を粉砕して調製した。
【0051】
【比較例1】小麦ふすまを、平均粒度300μm程度に
まで粉砕したものを、プロトリグニン含有物とした。な
お、このプロトリグニン含有物中のリグニン含量は、
D.A.T.Southgateらの方法(J.Sci.Food Agric., 2
0,331(1996))により測定したところ、5.0%(単
離リグニンとして)であった。
【0052】
【比較例2】リグニン含有植物体として、小麦ふすまの
代わりに、大豆皮を用いた以外は、比較例1と同様の方
法により行った。なお、このリグニン含有物中のリグニ
ン含量は、2.3%(単離リグニンとして)だった。
【0053】(B) リパーゼ阻害活性 実施例の単離リグニン又は比較例のプロトリグニンのリ
パーゼ阻害活性は、以下の方法(Duncombe法 (Bioche
m.J.,88, 7-10 (1963))により測定したが、測定用
の「大豆油の乳化液の調製」と「リパーゼ液の調製」
は、以下のように調製した。
【0054】(大豆油の乳化液の調製)大豆油1gに対
して、アラビアゴム0.5gと蒸留水10mlを加え、
5時間以上攪拌し、大豆油の乳化液を調製した。
【0055】(リパーゼ液の調製)トリス−塩酸緩衝液
(pH7.4)10mlに豚膵臓リパーゼ(シグマ社製L
0382)10mgを溶解して調製した。
【0056】[リパーゼ阻害活性の測定]上記の調製液
を用いて、リパーゼ阻害活性の測定は、以下のようにし
て行った。
【0057】(試験区1)2mM酢酸カルシウムを含有
する200mMトリス−塩酸緩衝液250μl、リパー
ゼ液50μlに、蒸留水150μlを混合して、37℃
で5分間プレインキュベートした後、大豆油の乳化液5
0μlを加えて、37℃で20分間振盪した試料液をコ
ントロールとした。
【0058】次いで、試料液に、クロロホルム3.5m
lを加えて攪拌した後、回転数3000rpmで5分間
遠心分離した。下層を2ml回収し、それに対して着色
試薬(1Mトリエタノールアミン:1N酢酸:6.45%
硝酸銅三水和物=9:1:10)を1.5ml加えて1
5分間攪拌した後、回転数3000rpmで5分間遠心
分離した。下層を回収、ろ紙濾過した液1mlに対して
発色試薬(0.1%ジチオカルバネート塩/n−ブタノ
ール溶液)を500μl加え、440nmの吸収を測定
して、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0059】(試験区2)2mM酢酸カルシウムを含有
する200mMトリス−塩酸緩衝液250μl、リパー
ゼ液50μlに、実施例1の単離リグニン濃度100μ
g/mlの溶液50μl、蒸留水100μlを混合し
て、37℃で5分間プレインキュベートした後、大豆油
の乳化液50μlを加えて、37℃で20分間振盪した
ものを試料とした。試験区1と同様にして、リパーゼ阻
害活性を測定した。
【0060】(試験区3)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例1
の単離リグニン濃度1000μg/ml」に代えた以外
は、試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定し
た。
【0061】(試験区4)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例2
の単離リグニン濃度100μg/ml」に代えた以外
は、試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定し
た。
【0062】(試験区5)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例2
の単離リグニン濃度1000μg/ml」に代えた以外
は、試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定し
た。
【0063】(試験区6)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例3
の単離リグニン濃度10μg/ml」に代えた以外は、
試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0064】(試験区7)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例4
の単離リグニン濃度10μg/ml」に代えた以外は、
試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0065】(試験区8)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例5
の単離リグニン濃度100μg/ml」に代えた以外
は、試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定し
た。
【0066】(試験区9)試験区2において、「実施例
1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「実施例5
の単離リグニン濃度1000μg/ml」に代えた以外
は、試験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定し
た。
【0067】(試験区10)試験区2において、「実施
例1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「比較例
1の試料濃度100μg/ml」に代えた以外は、試験
区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0068】(試験区11)試験区2において、「実施
例1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「比較例
1の試料濃度1000μg/ml」に代えた以外は、試
験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0069】(試験区12)試験区2において、「実施
例1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「比較例
2の試料濃度100μg/ml」に代えた以外は、試験
区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0070】(試験区13)試験区2において、「実施
例1の単離リグニン濃度100μg/ml」を「比較例
2の試料濃度1000μg/ml」に代えた以外は、試
験区2と同様にして、リパーゼ阻害活性を測定した。
【0071】測定結果は、表1の通りであった。阻害剤
を添加しない時の活性を100%として、阻害剤を添加
した時の相対活性を示した。即ち、その数値が小さいほ
ど阻害活性は強いといえる。
【0072】
【表1】
【0073】表1の結果から、比較例のような、植物組
織中のあるがままのリグニン、即ち、プロトリグニンで
はリパーゼ阻害活性は殆どなく、実施例のように、リグ
ニン結合物質を分解して単離リグニンにすると、初めて
優れたリパーゼ阻害活性を呈することが分かる。特に可
溶性リグニン、さらには水溶性リグニンにその効果が高
い。
【0074】
【実施例6】 クッキー 小麦粉100g、無塩バター60g、砂糖270g、全卵
140g、食塩3g、実施例3の単離リグニン0.3gを
用いて、常法により生地を調製し、成形、焼成した。焼
成後も、リパーゼ阻害活性は保たれていた。
【0075】
【実施例7】 パン 小麦粉100g、イースト3g、砂糖5g、食塩2g、イー
ストフード0.1g、実施例5の単離リグニン0.3g、
水50gをよく混捏して焼成した。焼成後も、リパーゼ
阻害活性は保たれていた。
【0076】
【実施例8】 ペットフード 小麦粉6Kg、脱脂大豆1Kg、牛脂500g、ミートミー
ル360g、ビタミン・ミネラル類200g、小麦ふす
ま(実施例1で、リグニン抽出処理を行なった後、固液
分離せずに噴務乾燥した、ふすま)500gに対して2
Kgの水を加え、常法により、ドウを調製し、成形後、焼
成して、ビスケットタイブのペットフードを得た。リパ
ーゼ阻害活性は保たれていた。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、心疾患、動脈硬化、糖
尿病などのいわゆる成人病の誘因である肥満の予防、治
療に有用なリパーゼ阻害剤が、安価な植物原料から得ら
れる点において、非常に優れてたものである。
【0078】また、単離リグニンとしては、可溶性、不
溶性のもの等、その使用目的に応じた溶解性のものが自
由に製造することができるので、その適用に制限がない
点で、有利である。
【0079】更に、有効成分の単離リグニンは、パルプ
製造時の廃液や穀類副産物であるフスマなどからも得ら
れるので、資源の有効利用にも資することができる点に
おいても、価値がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07G 1/00 C07G 1/00 C12N 9/99 C12N 9/99 (72)発明者 岡本 勝之 茨城県つくば市桜1丁目16番 昭和産業株 式会社総合研究所バイオ研究センター内 (72)発明者 三吉 新介 茨城県つくば市桜1丁目16番 昭和産業株 式会社総合研究所バイオ研究センター内 Fターム(参考) 2B150 AA06 AB10 BB03 BC02 BD01 DD31 DD56 4B018 LB01 MD48 ME01 4C088 AB01 AB11 AC01 BA19 CA01 CA21 MA52 NA14 ZA70 ZC20 4H055 AA01 AA02 AA03 AB10 AB20 AC60 CA60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離リグニンを有効成分とするリパーゼ
    阻害剤。
  2. 【請求項2】 単離リグニンが、リグニン含有植物体中
    のリグニン結合物質の分解から生成したものである請求
    項1記載のリパーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】 単離リグニンが、リグニン含有植物体の
    物理的処理、化学的処理、微生物/酵素処理の何れか一
    つ又は二種以上の処理の組み合わせにより生成したもの
    である請求項1又は2記載のリパーゼ阻害剤。
  4. 【請求項4】 微生物/酵素処理が、ラッカーゼによる
    処理である請求項3記載のリパーゼ阻害剤。
  5. 【請求項5】 単離リグニンが、可溶性リグニンである
    請求項1、2、3又は4記載のリパーゼ阻害剤。
  6. 【請求項6】 可溶性リグニンが、水溶性リグニンであ
    る請求項5記載のリパーゼ阻害剤。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    リパーゼ阻害剤を含有する食品、医薬品、又は飼料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009155339A (ja) * 2009-03-31 2009-07-16 Toshiba Corp 木質成分の分離方法、木質成分、工業材料及び木質成分の分離装置
JP2009221116A (ja) * 2008-03-13 2009-10-01 Nagaoka Koryo Kk 天然素材の抗酸化作用および/またはリパーゼ阻害活性を増強させる方法、ならびに当該活性が増強された天然素材
JP2010100631A (ja) * 2009-12-08 2010-05-06 Toshiba Corp 木質成分の分離方法、木質成分、工業材料及び木質成分の分離装置
JP2010273569A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Wasaburo Sato メタボリックシンドローム改善作用を有する飲料及びサプリメント

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