JP2002308673A - 圧電電歪磁器 - Google Patents

圧電電歪磁器

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JP2002308673A
JP2002308673A JP2001161959A JP2001161959A JP2002308673A JP 2002308673 A JP2002308673 A JP 2002308673A JP 2001161959 A JP2001161959 A JP 2001161959A JP 2001161959 A JP2001161959 A JP 2001161959A JP 2002308673 A JP2002308673 A JP 2002308673A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな変位量を得ることができ、低公害化、
対環境性および生態学的見地からも優れた圧電電歪磁器
を提供する。 【解決手段】 x(Mi1-yMiiy ) Miv2 6 + (1-x)M
iii Mv O3 で表される酸化物を主成分として含有す
る。Mi はアルカリ土類金属元素、Miiはランタノイ
ド、Miii はアルカリ金属元素、MivおよびMv はN
b,TaおよびVからなる群のうちの少なくとも1種を
表す。xおよびyは0.05≦x≦0.8、0.1≦y
≦0.5の範囲内であることが好ましい。アルカリ土類
金属元素としてはMg,Ca,SrおよびBaからなる
群のうちの少なくとも1種、ランタノイドとしてはL
a,NdおよびGdからなる群のうちの少なくとも1
種、アルカリ金属元素としてはナトリウムを含むことが
好ましい。このようにランタノイドを含むことにより変
位量の向上が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアクチュエ
ータなどの電子部品に用いられる圧電電歪磁器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】圧電電歪材料は、従来より、電気エネル
ギーと機械エネルギーとを変換する素子の材料として用
いられている。中でも、チタン酸鉛(PbTiO3 ;P
T)とジルコン酸鉛(PbZrO3 ;PZ)との固溶体
系(PZT系)の圧電電歪材料は、高い電気機械結合係
数を有しており、フィルタあるいはアクチュエータなど
に広く利用されている。
【0003】ところが、このようなPZT系の圧電電歪
材料は、低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)
を多量に含んでいる。よって、PZT系の圧電電歪材料
を製造する際には、磁器であれば焼成工程、単結晶品で
あれば溶融工程などの熱処理工程において、工業レベル
で極めて多量の酸化鉛が大気中に揮発し拡散してしま
う。また、製造段階で放出される酸化鉛については回収
することも可能であるが、工業製品として市場に出され
た圧電電歪製品に含有される酸化鉛については現状では
回収が難しく、これらが広く環境中に放出されると、酸
性雨による鉛の溶出などが心配される。従って、今後、
圧電電歪磁器および単結晶の応用分野が広がり、使用量
が増大すると、無鉛化の問題が極めて重要な課題とな
る。
【0004】鉛を全く含有しない圧電電歪材料として
は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チタ
ン酸ビスマスナトリウム(Na0.5 Bi0.5 Ti
3 )、ニオブ酸バリウムストロンチウム(Sr1-x
x Nb2 6 )、ニオブ酸ナトリウムバリウムストロ
ンチウム(Sr2-x Bax NaNb5 15)(特開平1
0−297969号公報参照)、ニオブ酸ナトリウムス
トロンチウム(Sr2 NaNb5 15)(特開平11−
240759号公報参照)、あるいはニオブ酸ナトリウ
ムカルシウムストロンチウム(Sr2-x Cax NaNb
5 15)(特開2000−169229号公報参照)が
挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の鉛を含まない圧電材料は、鉛系の圧電材料に比べて圧
電特性が低く、大きな変位量を得るに至っていないとい
う問題があった。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、大きな変位量を得ることができ、低
公害化、対環境性および生態学的見地からも優れた圧電
電歪磁器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による圧電電歪磁
器は、第1の元素と、第2の元素と、酸素(O)とから
なる酸化物を含有するものであって、第1の元素は、ア
ルカリ土類金属元素と、ランタノイドと、アルカリ金属
元素とを含み、第2の元素は、ニオブ(Nb),タンタ
ル(Ta)およびバナジウム(V)からなる群のうちの
少なくとも1種を含むものである。
【0008】本発明による圧電電歪磁器では、第1の元
素として、アルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元
素に加えてランタノイドを含んでいるので、大きな変位
量が得られる。
【0009】なお、アルカリ土類金属元素に対するラン
タノイドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元
素)は、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内である
ことが好ましく、アルカリ金属元素に対するアルカリ土
類金属元素とランタノイドとの合計の組成比(アルカリ
土類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元
素)は、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内であ
ることが好ましい。これらの場合に、より大きな変位量
が得られる。
【0010】また、アルカリ土類金属元素としては、マ
グネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチ
ウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうち
の少なくとも1種を含むことが好ましい。ランタノイド
としては、ランタン(La),ネオジム(Nd)および
ガドリウム(Gd)からなる群のうちの少なくとも1種
を含むことが好ましく、特にランタンを含むことが好ま
しい。アルカリ金属元素としては、ナトリウム(Na)
を含むことが好ましい。第2の元素に対する第1の元素
の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成
におけるモル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲
内であることが好ましい。
【0011】更に、この酸化物を主成分とし、副成分と
して、遷移金属元素および希土類金属元素のうちの少な
くとも1種を含む酸化物、特にマンガン(Mn)を含む
酸化物を、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の
範囲内で含有することが好ましい。
【0012】本発明による他の圧電電歪磁器は、アルカ
リ土類金属元素およびアルカリ金属元素を含む第1の元
素と、ニオブ,タンタルおよびバナジウムからなる群の
うちの少なくとも1種を含む第2の元素と、酸素とから
なる酸化物を含有するものであって、ランタノイドを、
前記酸化物を含む全体の構成元素として含んでおり、そ
の全体における含有量は、前記アルカリ土類金属元素に
対するモル比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)
で、1/9以上5/5以下の範囲内であるものである。
【0013】本発明による他の圧電電歪磁器では、ラン
タノイドを、前記酸化物を含む全体の構成元素として、
アルカリ土類金属元素に対するモル比(ランタノイド/
アルカリ土類金属元素)で、1/9以上5/5以下の範
囲内において含んでいるので、大きな変位量が得られ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0015】本発明の一実施の形態に係る圧電電歪磁器
は、主成分として、第1の元素と第2の元素と酸素とか
らなる酸化物を含有している。第1の元素は、アルカリ
土類金属元素と、ランタノイドと、アルカリ金属元素と
を含み、第2の元素は、ニオブ,タンタルおよびバナジ
ウムからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。
この圧電電歪磁器では、このように第1の元素としてア
ルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元素に加えてラ
ンタノイドを含むことにより、変位量を大きくすること
ができるようになっている。
【0016】第1の元素のうちアルカリ土類金属元素と
しては、例えば、マグネシウム,カルシウム,ストロン
チウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1
種を含むことが好ましい。ランタノイドとしては、例え
ば、ランタン,ネオジムおよびガドリウムからなる群の
うちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、ラ
ンタンを含むことが好ましい。アルカリ金属元素として
は、例えば、ナトリウムを含むことが好ましい。これら
の場合に、優れた圧電電歪特性を得ることができるから
である。
【0017】この酸化物の組成は、例えば下記の化1で
表される。
【化1】 x(Mi1-yMiiy ) Miv2 6 + (1-x)Miii Mv O3 式中、Mi はアルカリ土類金属元素、Miiはランタノイ
ド、Miii はアルカリ金属元素、MivおよびMv はニオ
ブ,タンタルおよびバナジウムからなる群のうちの少な
くとも1種をそれぞれ表す。MivとMv とは同一でもよ
く、異なっていてもよい。xおよびyはそれぞれ0<x
<1,0<y<1の範囲内の値である。Miv,Mv およ
び酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量
論組成からずれていてもよい。
【0018】すなわち、この酸化物は、例えば、タング
ステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構
造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶した
ものである。タングステンブロンズ構造を有する酸化物
とペロブスカイト構造を有する酸化物とは完全に固溶し
ている必要はなく、いずれか一方が偏析していてもよ
い。
【0019】なお、第1の元素におけるアルカリ土類金
属元素に対するランタノイドの組成比(ランタノイド/
アルカリ土類金属元素)は、モル比で1/9以上5/5
以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、化1に
おけるyは0.1≦y≦0.5の範囲内であることが好
ましい。この範囲内においてより大きな変位量を得るこ
とができるからである。
【0020】第1の元素におけるアルカリ金属元素に対
するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組
成比(アルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計/
アルカリ金属元素)は、モル比で5/95以上8/2以
下の範囲内であることが好ましい。すなわち、化1にお
けるxは0.05≦x≦0.8の範囲内であることが好
ましい。組成比が8/2よりも大きいと十分に大きな変
位量を得ることができず、5/95よりも小さいと焼結
密度を十分に向上させることができないからである。
【0021】第2の元素に対する第1の元素の組成比
(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成でなくて
もよいが、化学量論組成におけるモル比の0.95倍以
上1.05倍以下の範囲内であることが好ましい。化学
量論組成からのずれが大きくなると、優れた圧電特性を
得ることができないからである。例えば化1の場合、第
2の元素に対する第1の元素の組成比は化学量論組成で
あり1/1+xとなるが、この値からずれていてもよ
く、0.95/1+x以上1.05/1+x以下の範囲
内であれば好ましい。この場合のxは、タングステンブ
ロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有す
る酸化物とが完全固溶している場合に限らず、0<x<
1の範囲内の全ての値を表す。
【0022】この圧電電歪磁器は、また、主成分である
上記酸化物に加え、副成分として、遷移金属元素および
希土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む酸化物
を、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内
で含有することが好ましい。焼結性を向上させることが
できるからである。中でも、遷移金属元素のマンガンを
含む酸化物が好ましい。この副成分の酸化物は、主成分
の酸化物の粒界に存在していることもあるが、主成分の
酸化物の一部に拡散して存在していることもある。
【0023】このような構成を有する圧電電歪磁器は、
例えば、次のようにして製造することができる。
【0024】まず、主成分の出発原料として、例えば、
主成分となるアルカリ土類金属元素,ランタノイドおよ
びアルカリ金属元素を含む酸化物粉末をそれぞれ、並び
に必要に応じてニオブ,タンタルおよびバナジウムを含
む酸化物粉末をそれぞれ用意する。また、副成分の出発
原料として、必要に応じて例えば遷移金属および希土類
元素を含む酸化物粉末をそれぞれ用意する。次いで、こ
れら出発原料を十分に乾燥させたのち、最終組成が上述
した範囲となるように秤量する。なお、出発原料には酸
化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成に
より酸化物となるものを用いてもよい。
【0025】続いて、例えば、秤量した出発原料をボー
ルミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合し
たのち、乾燥し、プレス成形して、900℃〜1200
℃で1時間〜4時間仮焼する。仮焼したのち、例えば、
この仮焼物をボールミルなどにより有機溶媒中または水
中で十分に粉砕し、再び乾燥して、一軸プレス成型機あ
るいは静水圧成型機(CIP)などを用いプレス成形す
る。
【0026】その後、例えば、この成形体を1200℃
〜1450℃で2時間〜6時間焼成する。焼成ののち、
得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設け、加
熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を
行う。これにより、上述した圧電電歪磁器が得られる。
【0027】このように本実施の形態によれば、第1の
元素としてアルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元
素に加えてランタノイドを含む酸化物を含有するように
したので、変位量を向上させることができる。よって、
鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電電歪
磁器の利用の可能性を高めることができる。すなわち、
焼成時における鉛の揮発が少なく、圧電電歪部品として
市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出される危
険性が低い、低公害化、対環境性および生態学的見地か
ら極めて優れた圧電電歪磁器の活用を図ることができ
る。
【0028】特に、アルカリ土類金属元素に対するラン
タノイドの組成比が、モル比で1/9以上5/5以下の
範囲内となるようにすれば、より大きな変位量を得るこ
とができる。また、アルカリ金属元素に対するアルカリ
土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比が、モル
比で5/95以上8/2以下の範囲内となるようにすれ
ば、同様により大きな変位量を得ることができる。
【0029】更に、ランタノイドとして、ランタン,ネ
オジムおよびガドリウムからなる群のうちの少なくとも
1種を含むようにすれば、より大きな変位量を得ること
ができ、特に、ランタンを含むようにすれば、更に大き
な変位量を得ることができる。
【0030】加えて、アルカリ土類金属元素としてマグ
ネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウム
からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれ
ば、また、アルカリ金属元素としてナトリウムを含むよ
うにすれば、優れた圧電電歪特性を得ることができる。
【0031】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0032】実施例1〜3として、まず、主成分の出発
原料である炭酸ストロンチウム(SrCO3 )粉末、炭
酸バリウム(BaCO3 )粉末、酸化ランタン(La2
3)粉末、酸化ネオジム(Nd2 3 )粉末、酸化ガ
ドリニウム(Gd2 3 )粉末、炭酸ナトリウム(Na
2 CO3 )粉末、および酸化ニオブ(Nb2 5 )粉末
と、副成分の出発原料である炭酸マンガン(MnC
3 )粉末とをそれぞれ用意した。次いで、これら出発
原料を十分に乾燥させ秤量したのち、ボールミルにより
5時間湿式混合し、乾燥して原料混合粉末を得た。
【0033】その際、実施例1〜3で、主成分の最終組
成が表1に示したようになるように混合比を調整した。
すなわち、主成分については、実施例1〜3でランタノ
イドの種類を変えたことを除き、他は同一とした。ちな
みに、アルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組
成比は2/8であり、アルカリ金属元素に対するアルカ
リ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比は2/
1であり、第2の元素に対する第1の元素の組成比は化
学量論組成の3/5である。また、炭酸マンガン粉末の
混合量は、主成分の出発原料のうち炭酸塩をCO2 が解
離した酸化物に換算し、その換算した主成分の原料の合
計質量の0.5質量%となるようにした。すなわち、圧
電電歪磁器における酸化マンガンの含有量は、実施例1
〜3で表1に示したように、主成分の0.31質量%と
なる。
【0034】
【表1】
【0035】続いて、この原料混合粉末をプレス成形し
て、950℃で2時間仮焼した。仮焼したのち、ボール
ミルを用いて15時間粉砕し、再び乾燥して、約3.9
×107 Paの圧力で直径17mmの円柱状に成形し、
更に約3.9×108 Paの圧力で静水圧成型した。
【0036】成形したのち、この成形体を1325℃で
4時間焼成し、スライス加工およびラップ加工により厚
さ0.3mmまたは0.6mmの円板状として、両面に
銀ペーストを印刷し650℃で焼き付けた。その後、1
50℃のシリコーンオイル中で8kV/mmの電界を2
0分間印加して分極処理を行った。これにより、実施例
1〜3の圧電電歪磁器を得た。
【0037】得られた実施例1〜3の圧電電歪磁器につ
いて、24時間放置したのち、図1に示したような渦電
流による変位測定装置を用いて変位率を測定した。この
変位測定装置は、一対の電極1,2の間に試料3を挟
み、直流電流を印加した場合の試料3の変位を変位セン
サ4により検出し、変位検出器5によりその変位量を求
めるものである。その際、印加電界を1kV/mm、2
kV/mmおよび3kV/mmと変化させ、それぞれに
ついて変位率を求めた。なお、変位率というのは、測定
した変位量を試料の厚さで割ったもの(変位量/試料の
厚さ)である。また、実施例1〜3の圧電電歪磁器につ
いて、LCRメータ(ヒユレットパッカード社製;42
84A)により比誘電率を測定した。それらの結果を表
2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】また、本実施例に対する比較例1,2とし
て、主成分の最終組成が表1に示したようになるように
混合比を変えたことを除き、本実施例と同様にして圧電
電歪磁器を作製した。なお、比較例1はランタノイドを
削除し、比較例2はランタノイドに代えてイットリウム
(Y)を添加したものである。圧電電歪磁器における酸
化マンガンの含有量は、本実施例と同様に、比較例1,
2で表1に示したように主成分の0.31質量%とな
る。比較例1,2についても、本実施例と同様にして、
変位率および比誘電率をそれぞれ測定した。それらの結
果についても表2に合わせて示す。
【0040】表2に示したように、実施例1〜3によれ
ば、比較例1,2に比べて大きな変位率および比誘電率
を得られた。すなわち、第1の元素にランタノイドを含
むようにすれば、変位量を大きくすることができると共
に、誘電率も大きくできることが分かった。
【0041】また、実施例1〜3の中でも、ランタンを
含むようにした実施例1は特に優れた値を得ることがで
きた。すなわち、ランタノイドとして特にランタンを含
むようにすれば、変位量をより大きくすることができる
と共に、誘電率もより大きくできることが分かった。
【0042】なお、ここでは詳細に説明しないが、主成
分および副成分の組成を上記実施の形態で説明したよう
に変化させても、同様の結果を得ることができる。
【0043】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実
施例に限定されるものではなく、種々変形することがで
きる。例えば、上記実施の形態および実施例では、添加
したランタノイドが全て第1の元素として主成分の酸化
物に含まれる場合について説明したが、一部が主成分の
酸化物に含まれ、他の一部が副成分の酸化物に含まれて
いてもよい。すなわち、ランタノイドを、主成分の酸化
物に限らず圧電電歪磁器全体の構成元素として含んでい
ればよい。その場合、ランタノイドの圧電電歪磁器全体
における含有量は、アルカリ土類金属元素に対するモル
比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)で、1/9
以上5/5以下の範囲内であることが好ましい。この範
囲内においてより大きな変位量を得ることができるから
である。
【0044】また、上記実施の形態および実施例では、
主成分の酸化物が第1の元素としてアルカリ土類金属元
素とランタノイドとアルカリ金属元素とを含み、第2の
元素としてニオブ,タンタルおよびバナジウムからなる
群のうちの少なくとも1種を含む場合について説明した
が、本発明は、第1の元素または第2の元素として他の
元素を含む場合についても適用することができる。
【0045】更に、上記実施の形態および実施例では、
主成分の酸化物が、タングステンブロンズ構造を有する
酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なく
とも一部において固溶したものである場合について説明
したが、他の結晶構造を有していてもよい。
【0046】加えて、上記実施の形態および実施例で
は、主成分の酸化物に加えて副成分を含む場合について
説明したが、本発明は、主成分の酸化物を含んでいれば
副成分を含まない場合についても広く適用することがで
きる。また、他の副成分を含む場合についても同様に適
用することができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項10のいずれか1に記載の圧電電歪磁器によれば、
第1の元素としてアルカリ土類金属元素およびアルカリ
金属元素に加えてランタノイドを含む酸化物を含有する
ようにしたので、また、請求項11記載の圧電電歪磁器
によれば、ランタノイドを全体の構成元素として含み、
その全体における含有量が、アルカリ土類金属元素に対
するモル比で、1/9以上5/5以下の範囲内となるよ
うにしたので、変位量を向上させることができる。よっ
て、鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電
電歪磁器の利用の可能性を高めることができる。すなわ
ち、焼成時における鉛の揮発が少なく、圧電電歪部品と
して市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出され
る危険性が低い、低公害化、対環境性および生態学的見
地から極めて優れた圧電電歪磁器の活用を図ることがで
きるという効果を奏する。
【0048】特に、請求項2ないし請求項10のいずれ
か1に記載の圧電電歪磁器によれば、アルカリ土類金属
元素に対するランタノイドの組成比が、モル比で1/9
以上5/5以下の範囲内となるようにしたので、より大
きな変位量を得ることができる。
【0049】また、請求項3ないし請求項10のいずれ
か1に記載の圧電電歪磁器によれば、アルカリ金属元素
に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計
の組成比が、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内
となるようにしたので、より大きな変位量を得ることが
できる。
【0050】更に、請求項4ないし請求項10のいずれ
か1に記載の圧電電歪磁器によれば、アルカリ土類金属
元素としてマグネシウム,カルシウム,ストロンチウム
およびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含
むようにしたので、また、請求項7ないし請求項10の
いずれか1に記載の圧電電歪磁器によれば、アルカリ金
属元素としてナトリウムを含むようにしたので、より優
れた圧電電歪特性を得ることができる。
【0051】加えて、請求項5ないし請求項10のいず
れか1に記載の圧電電歪磁器によれば、ランタノイドと
して、ランタン,ネオジムおよびガドリウムからなる群
のうちの少なくとも1種を含むようにしたので、より大
きな変位量を得ることができ、請求項6ないし請求項1
0のいずれか1に記載の圧電電歪磁器によれば、ランタ
ノイドとしてランタンを含むようにしたので、特に大き
な変位量を得ることができる。
【0052】更にまた、請求項9または請求項10記載
の圧電電歪磁器によれば、副成分として遷移金属元素お
よび希土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む酸化
物を、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲
内で含有するようにしたので、焼結性を向上させること
ができ、圧電特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において変位率の測定に用いた
変位測定装置を表す構成図である。
【符号の説明】
1,2…電極、3…試料、4…変位センサ、5…変位検
出器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA01 AA03 AA05 AA07 AA08 AA09 AA10 AA11 AA13 AA19 AA20 AA21 AA25 BA10 GA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の元素と、第2の元素と、酸素
    (O)とからなる酸化物を含有する圧電電歪磁器であっ
    て、 前記第1の元素は、アルカリ土類金属元素と、ランタノ
    イドと、アルカリ金属元素とを含み、 前記第2の元素は、ニオブ(Nb),タンタル(Ta)
    およびバナジウム(V)からなる群のうちの少なくとも
    1種を含むことを特徴とする圧電電歪磁器。
  2. 【請求項2】 アルカリ土類金属元素に対するランタノ
    イドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)
    は、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内であること
    を特徴とする請求項1記載の圧電電歪磁器。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属元素に対するアルカリ土類
    金属元素とランタノイドとの合計の組成比(アルカリ土
    類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元
    素)は、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧電
    電歪磁器。
  4. 【請求項4】 アルカリ土類金属元素として、マグネシ
    ウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム
    (Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少
    なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし請
    求項3のいずれか1に記載の圧電電歪磁器。
  5. 【請求項5】 ランタノイドとして、ランタン(L
    a),ネオジム(Nd)およびガドリウム(Gd)から
    なる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする
    請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載の圧電電歪
    磁器。
  6. 【請求項6】 ランタノイドとして、ランタンを含むこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に
    記載の圧電電歪磁器。
  7. 【請求項7】 アルカリ金属元素として、ナトリウム
    (Na)を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項
    6のいずれか1に記載の圧電電歪磁器。
  8. 【請求項8】 第2の元素に対する第1の元素の組成比
    (第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成における
    モル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1
    に記載の圧電電歪磁器。
  9. 【請求項9】 前記酸化物を主成分とし、更に、副成分
    として、遷移金属元素および希土類金属元素のうちの少
    なくとも1種を含む酸化物を、前記主成分の0.01質
    量%以上1質量%以下の範囲内で含有することを特徴と
    する請求項1ないし請求項8のいずれか1に記載の圧電
    電歪磁器。
  10. 【請求項10】 遷移金属としてマンガン(Mn)を含
    む酸化物を含有することを特徴とする請求項9記載の圧
    電電歪磁器。
  11. 【請求項11】 アルカリ土類金属元素およびアルカリ
    金属元素を含む第1の元素と、ニオブ(Nb),タンタ
    ル(Ta)およびバナジウム(V)からなる群のうちの
    少なくとも1種を含む第2の元素と、酸素(O)とから
    なる酸化物を含有する圧電電歪磁器であって、 ランタノイドを、前記酸化物を含む全体の構成元素とし
    て含んでおり、その全体における含有量は、前記アルカ
    リ土類金属元素に対するモル比(ランタノイド/アルカ
    リ土類金属元素)で、1/9以上5/5以下の範囲内で
    あることを特徴とする圧電電歪磁器。
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