JP2002307597A - 突き刺し強度耐性のあるガスバリア積層体 - Google Patents

突き刺し強度耐性のあるガスバリア積層体

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JP2002307597A
JP2002307597A JP2001113656A JP2001113656A JP2002307597A JP 2002307597 A JP2002307597 A JP 2002307597A JP 2001113656 A JP2001113656 A JP 2001113656A JP 2001113656 A JP2001113656 A JP 2001113656A JP 2002307597 A JP2002307597 A JP 2002307597A
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昇 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、透明性に優れると共に、金属箔並の
高いガスバリア性をもち且つ優れた突き刺し強度耐性を
持つ実用性の高い包装材料の提供を目的とする。 【解決手段】プラスチック材料からなる基材の少なくと
も片面に、少なくとも無機酸化物からなる蒸着薄膜層及
びガスバリア性被膜層を順次積層した積層体において、
該ガスバリア性被膜層を、水溶性高分子と、少なくとも
1種以上の金属アルコキシド或いはその加水分解物との
混合物で、且つ水溶性高分子/金属アルコキシド或いは
その加水分解物との配合比が重量比で40/60〜70
/30の範囲のもので形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品や非食品及び
医薬品等の包装分野に用いられる包装用の積層体に関す
るもので、その中でも特に突き刺し強度耐性に優れるガ
スバリア積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品や非食品及び医薬品等の包装に用い
られる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能
や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水
蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止
する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバ
リア性を備えることが求められている。そのため従来か
ら、温度・湿度などの影響が少ないアルミニウム等の金
属からなる金属箔やそれらの金属蒸着フィルム、高分子
の中では比較的にガスバリア性に優れるポリビニルアル
コールやエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩
化ビニリデン、ポリアクリルニトリル等の樹脂のフィル
ムまたはそれらをコーティングしたフィルム等がガスバ
リア包装材料として一般的に良く用いられてきた。
【0003】ところが、アルミニウム等の金属からなる
金属箔やそれらの金属蒸着フィルム等を用いた包装材料
は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性を持つ
が、包装材料を透視して内容物を確認することができな
い、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければな
らない、検査の際金属探知器が使用できないなど多くの
欠点を有し問題があった。またガスバリア性樹脂フィル
ムやそれらをコーティングしたフィルム等を用いた包装
材料は、温度や湿度の影響が大きく高度なガスバリア性
を維持できない、さらにはポリ塩化ビニリデン等を用い
ているものは廃棄・焼却の際に有害ガスを発生する恐れ
があり、昨今の環境意識の高まりにより使用出来にくい
等の問題がある。
【0004】そこで、これらの欠点を克服した包装材料
として、例えば米国特許第3442686号明細書、特
公昭63−28017号公報等に記載されているような
酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無
機酸化物からなる蒸着膜をプラスチックフィルム上に、
真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により形成
したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルム
は透明性及び酸素、水蒸気等のガスバリア性を有してい
ることが知られ、包装材料として好適とされている。
【0005】しかしながら、上述した包装材料に適する
フィルムであっても、包装容器または包装材として、蒸
着フィルム単体で用いられることはほとんどなく、蒸着
後の後加工として蒸着フィルム表面に文字・絵柄等を印
刷加工またはフィルム等との貼り合わせ、容器等の包装
体への形状加工などさまざまな工程を経て包装体を完成
させている。
【0006】そこで、上述した蒸着フィルム等を用いて
シーラントフィルムと貼り合わせ製袋後、一般的に包装
材料として必要とされる各種試験を実施したところ、ガ
スバリア性等は申し分ないが、蒸着層がセラミックであ
るためか突き刺し強度耐性が弱く、通常の包装材料と比
較して破袋しやすいことが判明した。
【0007】すなわち、上記の様な包装材料として用い
られる条件として、内容物を直接透視することが可能な
だけの透明性、内容物に対して影響を与える気体等を遮
断する金属箔並みの高いガスバリア性、重量物が充填さ
れても破袋することがない突き刺し強度耐性等を要求さ
れているが、現在のところこれらを満足する包装材料は
見いだされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の様な状
況に鑑みなされたものであり、透明性に優れるととも
に、金属箔並みの高度なガスバリア性をもち、且つ優れ
た突き刺し強度耐性を持つ実用性の高い包装材料を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためのもので、請求項1に記載される発明は、プラ
スチック材料からなる基材の少なくとも片面に、少なく
とも無機酸化物からなる蒸着薄膜層及びガスバリア性被
膜層を順次積層した積層体において、該ガスバリア性被
膜層が、水溶性高分子と、少なくとも1種以上の金属ア
ルコキシド或いはその加水分解物との混合物からなり、
且つ水溶性高分子/金属アルコキシド或いはその加水分
解物との配合比が重量比で40/60〜70/30の範
囲にあることを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載の突き刺し強度耐性
のあるガスバリア積層体は、請求項1の突き刺し強度耐
性のあるガスバリア積層体において、前記無機酸化物
が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或
いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0011】さらにまた、請求項3に記載の突き刺し強
度耐性のあるガスバリア積層体は、請求項1または請求
項2に記載の突き刺し強度耐性のあるガスバリア積層体
において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシ
ランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそ
れらの混合物であることを特徴とする。
【0012】さらにまた、請求項4に記載の突き刺し強
度耐性のあるガスバリア積層体は、請求項1乃至3記載
のいずれか1項に記載の突き刺し強度耐性のあるガスバ
リア積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニル
アルコールであることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて更に
詳細に説明する。図1は本発明の突き刺し強度耐性のあ
るガスバリア積層体を説明する断面図である。
【0014】まず図1の本発明の突き刺し強度耐性のあ
るガスバリア積層体を説明する。図1における基材
(1)はプラスチック材料からなるフィルム基材であ
り、その少なくとも片面上に、少なくとも無機酸化物か
らなる蒸着薄膜層(2)及び水溶性高分子と少なくとも
1種以上の金属アルコキシド或いはその加水分解物との
混合物からなるガスバリア性被膜層(3)が順次積層さ
れている。
【0015】上述した基材(1)はプラスチック材料で
あり、蒸着薄膜層の透明性を生かすために透明なフィル
ムであることがより好ましい。例えば、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレー
トなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプ
ロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレン
フィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィ
ルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィ
ルム等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、ま
た機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。これら
はフィルム状に加工して用いられる。特に耐熱性や加工
適性等の面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレ
ンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。また
この基材(1)の表面に、周知の種々の添加剤や安定
剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤な
どが使用されていても良く、薄膜との密着性を良くする
ために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、
イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施し
ても一向に構わない。
【0016】基材(1)の厚さはとくに制限を受けるも
のではないが、包装材料としての適性、他の層を積層す
る場合も在ること、無機酸化物からなる蒸着薄膜層
(2)、水溶性高分子と少なくとも1種以上の金属アル
コキシド或いはその加水分解物との混合物からなるガス
バリア性被膜層(3)を形成する場合の加工性を考慮す
ると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によっ
て6〜30μmとすることが好ましい。
【0017】また、量産性を考慮すれば、連続的に各層
を形成できるように長尺フィルムとすることが望まし
い。
【0018】一方、無機酸化物からなる蒸着薄膜層
(2)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化
マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物
の蒸着膜からなり、透明性を有し且つ酸素、水蒸気等の
ガスバリア性を有するものであれば良い。その中でも、
特に酸化アルミニウム及び酸化珪素は酸素透過率及び水
蒸気透過率に特に優れるのでより好ましい。ただしこの
蒸着薄膜層(2)は、上述した無機酸化物に限定され
ず、上記条件に適合する材料であれば用いることができ
る。
【0019】蒸着薄膜層(2)の厚さは、用いられる無
機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般
的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適
宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な
膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、
ガスバリア層としての機能を十分に果たすことができな
い場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄
膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜
後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に
亀裂を生じる恐れがある。特に好ましいのは、5〜10
0nmの範囲内である。
【0020】無機酸化物からなる蒸着薄膜層(2)を基
材(1)上に形成する方法としては種々在り、通常の真
空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜
形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティン
グ法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いること
も可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真
空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着
装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方
式、誘導加熱方式等が好ましく、薄膜と基材の密着性及
び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト
法やイオンビームアシスト法を用いることも可能であ
る。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸
素ガスなどを吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向
に構わない。
【0021】また、ガスバリア性被膜層(3)は、金属
箔並の高度なガスバリア性を付与し、更に優れた突き刺
し強度耐性を付与することを目的に、無機酸化物からな
る蒸着薄膜層(2)上に設けられるものである。
【0022】上述目的を達成するために鋭意検討の結
果、ガスバリア性被膜層(3)として用いることができ
るのは、水溶性高分子と少なくとも1種以上の金属アル
コキシド或いはその加水分解物との混合物からなり、更
には水溶性高分子/金属アルコキシド或いはその加水分
解物との配合比が重量比で40/60〜70/30の範
囲にある必要がある。ガスバリア性被膜層(3)に含ま
れる各成分について更に詳細に説明する。
【0023】本発明でガスバリア性被膜層(3)に用い
られる水溶性高分子は、薄膜にガスバリア性及び柔軟性
を持たせることを目的に使用され、例えばポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナ
トリウム等の樹脂が使用可能である。その中でも特にポ
リビニルアルコール(以下、PVAとする)を本発明の
積層体のガスバリア被膜層に用いた場合にガスバリア性
が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAとは、一
般的にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢
酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVA
から酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを
含み、特に限定されるものではない。
【0024】ガスバリア性被膜層に用いられるもう一つ
の成分である金属アルコキシド或いはその加水分解物
は、無機酸化物からなる蒸着膜との密着性を向上させる
ことを主目的に用いられるもので、テトラエトキシシラ
ン〔Si(OC254〕、トリイソプロポキシアルミ
ニウム〔Al(O−2’−C3H7 )3〕などの一般
式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金
属、R:CH3,C25等のアルキル基)で表すことが
できるものを用いることができる。その中でも特にテト
ラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが
加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるの
で好ましい。
【0025】水溶性高分子と金属アルコキシド或いはそ
の加水分解物との配合比は、無機酸化物からなる蒸着薄
膜層(2)との密着性、高度なガスバリア性の付与及び
突き刺し強度耐性を考慮すると、水溶性高分子/金属ア
ルコキシド或いはその加水分解物が重量比換算で40/
60〜70/30の範囲にあることが好ましい。水溶性
高分子配合比が40以下の場合は、金属アルコキシド或
いはその加水分解物の配合比が多くなると同じことにな
り、無機成分が多くなるため突き刺し耐性が不十分にな
るので好ましくない。また水溶性高分子が70以上の場
合は、金属アルコキシド成分が少なくなり、無機酸化物
からなる蒸着薄膜層との密着性が乏しくなるので好まし
くない。配合方法は、特に指定なく、通常の方法で可能
である。
【0026】上述した成分の他に、ガスバリア性や突き
刺し強度耐性等の各種特性を損なわない範囲で他の成分
を加えることも可能である。例えば、イソシアネート化
合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化
剤、粘度調整剤、着色剤などの添加剤等である。
【0027】上述のイソシアネート化合物とは、その分
子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を含有
するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以
下TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート
(以下TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネー
ト(以下TMXDI)などのモノマー類や、これらの重
合体、誘導体などが用いることが可能である。
【0028】ガスバリア性被膜層(3)の形成方法とし
ては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティ
ング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷
法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の
厚さは、要求品質や加工機や加工条件によって異なる
が、乾燥後の厚さが、0.01μm未満の場合は、均一
な塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場
合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超え
る場合はフレキシビリティを保持させることが難しく膜
にクラックが生じ易くなるため好ましくない。好ましく
は0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることであ
る。
【0029】更にガスバリア性被膜層(3)上に他の層
を積層することも可能である。例えば印刷層、中間層、
ヒートシール層等である。印刷層は包装袋などとして実
用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン
系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビ
ニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹
脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等
の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される
層であり、文字、絵柄等が形成されている。インキタイ
プとしては、表刷りタイプ及び裏刷りタイプ等どちらで
も構わない。印刷層の形成方法としては、例えばオフセ
ット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法
等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコ
ート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いるこ
とができる。厚さは0.1〜2.0μmで良い。
【0030】また中間層は、袋状包装体とした場合の破
袋強度や突き刺し強度を更に高めるために設けられるも
ので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸
ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの内から
選ばれる一種であることが好ましい。
【0031】中間層の厚さは、材質や要求品質に応じて
決められるが、一般的に5〜50μmの範囲内である。
またその形成方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂
等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、
ノンソルベントラミネート法、エキストルージョンラミ
ネート法等の公知の方法により積層できる。
【0032】またヒートシール層は袋状包装体などを形
成する際に接着層として設けられるものである。例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン
−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル
酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及
びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目
的に応じて決められるが、一般的には15〜200μm
の範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフ
ィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤
を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いるこ
とが一般的であるが、いずれも公知の方法により積層す
ることができる。
【0033】
【実施例】本発明の突き刺し強度耐性を有するガスバリ
ア積層体を、更に具体的な実施例を挙げて説明する。
【0034】〈実施例1〉厚さ12μmの2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる基
材(1)の片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置
により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを
導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着して無
機酸化物からなる蒸着薄膜層(2)を形成した。次いで
下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法に
より厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層(3)を蒸着
薄膜層(2)上に形成し、本発明の突き刺し強度耐性の
あるガスバリア積層体を得た。コーティング剤の組成
は、下記A液とB液を配合比(wt%)で50/50に
混合したものである。(注:A液・・・テトラエトキシ
シラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加
え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(S
iO2 換算)の加水分解溶液。B液・・・ポリビニルア
ルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液
(水:イソプロピルアルコール重量比で90:1
0)。)
【0035】〈比較例1〉ガスバリア性被膜層として下
記組成のコーティング剤を用いた以外は、実施例1と同
様の条件にて積層体を得た。コーティング剤の組成は、
下記C液とD液を配合比(wt%)で10/90に混合
したものである。(注:C液・・・テトラエトキシシラ
ン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、3
0分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2
換算)の加水分解溶液。D液・・・ポリビニルアルコー
ルの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イ
ソプロピルアルコール重量比で90:10)。)
【0036】〈比較例2〉ガスバリア性被膜層として下
記組成のコーティング剤を用いた以外は、実施例1と同
様の条件にて積層体を得た。コーティング剤の組成は、
下記E液とF液を配合比(wt%)で90/10に混合
したものである。(注:E液・・・テトラエトキシシラ
ン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、3
0分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2
換算)の加水分解溶液。F液・・・ポリビニルアルコー
ルの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イ
ソプロピルアルコール重量比で90:10)。)
【0037】〈ドライラミネート〉実施例及び比較例に
係る積層体のガスバリア性被膜層側に、ウレタン系アン
カーコート剤を塗布後、ヒートシール層として厚さ20
μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを加熱溶融された
ポリエチレン15μmを介して押し出しラミネート法に
より積層し、実施例及び比較例に係る積層体からそれぞ
れ積層体を得た。
【0038】〈テスト〉実施例及び比較例に係る積層体
のそれぞれについて、(1)酸素透過率(cm3/m2
day・atm)及び(2)透明性の指標として光線透
過率(%−350nm)、(3)突き刺し強度の指標と
して落錘試験による衝撃強度(N)、(4)ラミネート
強度(N/15mm)を測定した。その結果を表1に示
す。
【0039】(1)酸素透過率 酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製 OXT
RAN−10/50A)を用いて、30−70%RHの
雰囲気下で測定した。
【0040】(2)光線透過率 光線透過率測定装置(島津製作所社製 UV−310
0)を用いて、350nmの波長における透過率を測定
した。
【0041】(3)衝撃強度 落錘衝撃試験機(東洋精機社製)を用いて、下記条件に
より衝撃強度を測定した。 ・落下速度:300mm ・ウエイト重量:6500
【0042】(4)ラミネート強度 テンシロン引張試験機(オリエンテック社製)を用い
て、下記条件によりラミネート強度を測定した。 ・引張速度:300mm/min ・測定方法:T型剥
【0043】
【表1】
【0044】実施例に係る積層体に対して比較例に係る
積層体は上述した包装材料として用いられる条件とし
た、内容物を直接透視することが可能なだけの透明性、
内容物に対して影響を与える気体等を遮断する金属箔並
の高度なガスバリア性、重量物が充填されても破袋する
ことがない高度な突き刺し強度耐性を全て満たすもので
はないが、実施例はそれを全て満たしていると言える。
【0045】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の突き刺し
強度耐性のあるガスバリア積層体は、透明性に優れ、包
装材料を通しての内容物の確認が可能で、且つ金属箔並
の高度なガスバリア性を持ち、更に実用性の高い突き刺
し強度耐性を持つ汎用性のある包装材料であり、包装分
野において巾広く使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の突き刺し強度耐性のあるガスバリア積
層体の断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 蒸着薄膜層 3 ガスバリア性被膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 BA04 BA13 BA15 CA01 CA28 4F100 AA17B AA19B AA20B AH06C AH06H AH08C AH08H AK42 AT00A BA10A BA10C EH46 EH462 EH66 EH66B EH662 GB15 GB23 JD02 JD02C JD09C JK20 JM02B JM02C JN01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック材料からなる基材の少なくと
    も片面に、少なくとも無機酸化物からなる蒸着薄膜層及
    びガスバリア性被膜層を順次積層した積層体において、
    該ガスバリア性被膜層が、水溶性高分子と、少なくとも
    1種以上の金属アルコキシド或いはその加水分解物との
    混合物からなり、且つ水溶性高分子/金属アルコキシド
    或いはその加水分解物との配合比が重量比で40/60
    〜70/30の範囲にあることを特徴とする突き刺し強
    度耐性のあるガスバリア積層体。
  2. 【請求項2】前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸
    化珪素単体或いはそれらの混合物であることを特徴とす
    る請求項1に記載の突き刺し強度耐性のあるガスバリア
    積層体。
  3. 【請求項3】前記金属アルコキシドが、テトラエトキシ
    シランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いは
    それらの混合物であることを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載に記載の突き刺し強度耐性のあるガスバ
    リア積層体。
  4. 【請求項4】前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコー
    ルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れか1項に記載の突き刺し強度耐性のあるガスバリア積
    層体。
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