JP2002306128A - 脂肪酸エステルで微細カプセル化した水溶性鉄分の製造方法 - Google Patents

脂肪酸エステルで微細カプセル化した水溶性鉄分の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲食品に鉄分を強化するに際して、鉄分の添
加が容易であり、且つ体内での消化吸収が良く、更に鉄
分の添加により飲食品の品質に悪い影響を与えることが
なく、従って広い範囲の飲食品に適用することが可能な
鉄分の添加方法等を提供すること。 【解決手段】 脂肪酸エステルに水溶性鉄分を混合溶解
し、これを分散溶液に噴霧することにより、微細カプセ
ル化水溶性鉄分が得られ、このカプセル化水溶性鉄分
は、飲食品への添加時に分散し易く、安定であり、又体
内での消化吸収が良好で、飲食品に添加した場合に、飲
食品の品質に悪い影響を与えることがない。この微細カ
プセルは、その分散性が良好なことから、広い範囲の飲
食品に適用することが可能である。又、本発明の製造方
法は、脂肪酸エステルの混合溶液を、分散溶液中に噴霧
するという簡便な方法で、収率良く微細カプセル化した
水溶性鉄分を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪酸エステルで
微細カプセル化した水溶性鉄分の製造方法に係り、より
詳しくはポリグリセリンモノステアレート(PGMS;
polyglycerin monostearate)のような脂肪酸エステル
を用いて、硫酸鉄アンモニウム(ferric ammonium sulf
ate)、乳酸鉄(Ferrous lactate)或いはクエン酸鉄ア
ンモニウム(ferric ammonium citrate)のような水溶
性鉄分を微細カプセル化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄分は人体の微量無機質の中で最も欠乏
し易い成分である。栄養上鉄分欠乏を起こす原因として
は、鉄分含有食品の不適切な摂取による鉄分の吸収の不
良、速い成長および血液損失などを挙げることができ
る。特に、女性の場合は妊娠による蓄えられた鉄分の枯
渇も一つの原因として挙げることができる。人間におい
て鉄分が欠乏し易い時期は、急激な身体成長が行われる
生後6ヶ月から4才までの嬰幼児期、思春期、月経血の
損失がある可妊期、鉄分の要求が増加する妊娠期であ
り、嬰幼児と妊婦は特に鉄分が欠乏し易い。一般に、体
内に鉄分が欠乏すると、貧血、作業能力の低下、行動及
び知的能力の損傷、免疫と感染に対する抵抗力の減少、
鉛中毒の増加をもたらす。更に、妊婦において鉄分が足
りないと、奇形児出産のような結果を招くこともある。
【0003】最近、鉄分の欠乏に関する報告によれば、
男子学生の場合は、14才(16.8%)、15才(1
1.5%)、16才(8.2%)、17〜18才(6.
5%)など10代或いはそれ以下に止まったが、女子学
生の場合は、14才(31.7%)、15才(32.1
%)、16才(42%)、17才(35.8%)、18
才(39.3%)であって、全ての年齢にわたって男子
学生の2倍或いはそれ以上の数値を表している。女性の
鉄分の欠乏が上述したように生理に起因するものである
ことは公知であるが、特にダイエットによる不実な栄養
摂取も主な原因である。また、成長を止めた19才以後
にも鉄分の欠乏が30%以上であるのは深刻な問題であ
ると言える。そして、生牛乳を主食とする幼児の場合、
牛乳の鉄分含量が極めて低い(0.5mg/L)ことを
勘案する時、頭脳発達の低下などの健康問題を引き起こ
すこともある。
【0004】このように体内に欠乏し易い鉄分を供給す
るために、様々な形で食品或いは薬品に鉄分を添加して
いるが、鉄分は溶解度が極めて低いので、多量の鉄分を
食品に添加すると、別の問題点が生じる。すなわち、牛
乳に鉄分を直接添加すると、乳脂肪の酸化によって牛乳
が酸敗し、牛乳からの鉄分の匂い、牛乳の変色および鉄
分の沈殿などが発生する。また、鉄分の食品への添加
時、安定した塩形の鉄分を使用するが、食品毎に性質が
多様であるため、体内における鉄分の生体利用率を低め
る場合が多い。そして、鉄分は食品内に入っているカル
シウム、燐などの微量の無機質成分と競争関係にあるた
め、鉄分の体内吸収を阻害する要因となる。従って、鉄
分を食品に添加する際、食品の品質を低下することなく
体内で生体利用率が阻害されない、安定で且つ効果的な
方法により鉄分を供給し得る方案が求められる。
【0005】従来の食品に鉄分を強化する方法は、前述
したように、食品に鉄分を直接添加する方法が一般に用
いられてきたが、これらの短所を補完するために、最近
は鉄分を微細カプセル化してヨーグルトや調製粉乳、チ
ーズ、食品等に適用するための試みが部分的に行われて
きたが、これら方法は様々な食品への適用には制限的で
ある。すなわち、ヨーグルトと調製粉乳に適用した微細
カプセルは75μm〜100μm以上の大きさであるた
め、ヨーグルトのような粥状或いは粉末には適用可能で
あるかも知れないが、牛乳や飲料の如く粘度の低い食品
への適用には粒子の大きい鉄分微細カプセルであって、
よく沈殿して商品性を低下させる。更に、飲料内の沈殿
物は消費者の嗜好に不適である。また、チーズに適用す
るための研究では乳脂肪にステアリン、乳化剤(sorbit
an monostearate)を混合するので、乳化剤から異臭が
発生する。この際、製造された微細カプセル鉄分を牛乳
や飲料に適用する場合にもカプセルの寸法(5〜10μ
m)が不適であり、乳化剤による異臭が発生し且つ沈殿
が生じるため、様々な食品への適用は問題がある。
【0006】本発明者は、このように従来の鉄分微細カ
プセル化の短所を改善するための研究中に、従来の鉄分
微細カプセルの活用を極大化し、食品の品質低下を防止
し、乳化液の製造と微細カプセルの製造に必要な工程を
短縮し、鉄分コーティング材として無味、無臭な乳化剤
の脂肪酸エステルを使用することにより別の乳化剤の使
用を必要とせず、微細カプセルの直径をできる限り小さ
くして歩留まりを増加させ、この微細カプセルを牛乳に
添加する際に均一に分散し、牛乳の有効期間(12日)
中に物理的、化学的変化が殆どなく、処理した牛乳の全
体的な味と色が処理していない牛乳のものと非常に類似
しており、処理した牛乳の異味、異臭、沈殿がないこと
に着眼した。また、オレンジジュースにおいても牛乳と
同様の結果を得た。更に、肉類への適用時、微細カプセ
ル鉄分を肉類の内部に容易に注入させることが可能であ
ることに注視することにより、本発明を完成した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、飲食
品に鉄分を強化するに際して、鉄分の添加が容易であ
り、且つ体内での消化吸収が良く、更に鉄分の添加によ
り飲食品の品質に悪い影響を与えることがなく、従って
広い範囲の飲食品に適用することが可能な鉄分の添加方
法を提供すること、及び、尚且つ簡便で、収率の良い鉄
分の添加方法を提供することにある。
【0008】また、本発明の他の目的は、微細カプセル
の牛乳や飲料への添加時に分散し易くし、牛乳や肉類の
脂肪による酸化を防止し、体内で消化吸収の生体利用率
を極大化することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、鋭意研究した結果、脂肪酸エステルに水溶性鉄分を
混合溶解し、これを分散溶液に噴霧することにより、微
細カプセル化水溶性鉄分が得られ、このカプセル化水溶
性鉄分は、飲食品への添加時に分散し易く、安定であ
り、又体内での消化吸収が良好で、更に飲食品に添加し
た場合に、飲食品の品質に悪い影響を与えることがない
ことを見い出し、本発明をなした。本発明の、微細カプ
セル化水溶性鉄分は、その分散性が良好なことから、広
い範囲の飲食品に適用することが可能である。又、本発
明の製造方法は、脂肪酸エステルの混合溶液を、分散溶
液中に噴霧するという簡便な方法で、且つ収率良く微細
カプセル化した水溶性鉄分を得ることができるものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、上述した本発明の脂肪酸エ
ステルで微細カプセル化した水溶性鉄分及びその製造方
法について、具体的に説明する。
【0011】1)コーティング材と鉄分の混合 本発明において、鉄分の微細カプセル化に使用したコー
ティング材は脂肪酸エステル、鉄分は水溶性鉄分として
の硫酸鉄アンモニウムであり、これらはいずれも食品添
加物であって、これら成分の他にも食品への使用が許可
されている別の脂肪酸エステルと鉄塩を微細カプセル化
に使用することも可能である。コーティング材として使
用する脂肪酸エステルとしてポリグリセリンモノステア
レート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノス
テアレート、グリセロールモノステアレート、MCT
(medium chain triglyceride)などがあるが、本発明
では無味、無臭、無毒の食品添加物であるポリグリセリ
ンモノステアレート(PGMS, polyglycerin monostearat
e, II Shin Emulsifier Co., Ltd.の製品)を鉄分のコー
ティング材として使用した。鉄分はヘミ鉄(hemi ferro
us)、クエン酸鉄(ferric citrate)、ピロリン酸鉄
(ferric pyrophosphate)、硫酸鉄アンモニウム(ferr
ic ammonium sulfate)、乳酸鉄(ferrous lactate)な
どがあるが、その中でも水溶性、即ち水に対する溶解度
の良い鉄分である硫酸鉄アンモニウム(ferric ammoniu
m sulfate, Sigma Chemical Co.,St Louis, Mo USA)を
使用した。室温で固体状態のPGMSに一定量の精製水
を加えた後、PGMSを完全に溶かすため45〜60℃
で定置させ、PGMSと硫酸鉄アンモニウムを25:
1、20:1、15:1、10:1、5:1にして混合
する。鉄分とPGMSとの混合を容易にするため、混合
液を500〜1200×gで30秒〜2分間攪拌した。
PGMSと鉄分との混合において温度が高過ぎると、噴
霧器に無理を与えることになるので、45〜60℃で混
合し、5〜20分定置した後、高速にて攪拌する。
【0012】2)分散噴霧液の分離 高圧力により脂肪酸エステルが保護性カプセルに作られ
るためには、PGMSと硫酸鉄アンモニウム及び精製水
が混合された溶液を0.01〜0.1%Tween-60(polyo
xyethylene sorbitan monostearate)の分散液に噴霧器
で噴霧し、この噴霧液を10,000〜30,000×
gで5〜20分間遠心分離してカプセル化されていない
上澄液と余液に分離する。
【0013】3)微細カプセルの製造 前記余液を取って同量のTween-60分散液を加えた後、カ
プセル化されてない鉄分を除去するために遠心分離を1
〜2回実施して寸法2〜5μmの微細カプセル化された
鉄分を製造する。
【0014】4)鉄分の微細カプセル化歩留まり測定 鉄分の微細カプセル化歩留まり測定は、カプセル化のた
めに噴霧液を遠心分離して得た上層液を取って、カプセ
ル化されていない鉄分を、最も定量分析に優れているI
CP(inductively coupled plasma spectrometer)で
測定して間接的に微細カプセル鉄分を定量分析する。
【0015】5)鉄分微細カプセルの酸化度測定 一定量の微細カプセル化鉄分を牛乳に混合して均一に分
散させた後、4℃で貯える間(5日間)の牛乳の酸化程
度を測定するため、TBA(thiobarbituric acid)方
法(J. Agric. Food Chem., Vol.27.NO.4, 1979)を使
用して、ここで生成されるMDA(malondial dehyde)量
をμmにて算出してそれぞれの比で表わす。
【0016】6)人工胃液における微細カプセルの安定
性調査 酸性領域で鉄分微細カプセルの安定性を調査するため
に、鉄分の濃度が100ppmとなるように蒸留水と混
合し、ここにペプシン溶液(pH1.2)を添加した
後、2N NaOHでpH2.0、pH3.0、pH
4.0、pH5.0、pH6.0、に調整した。この溶
液を37℃で1時間振盪しながら反応させた後、放出さ
れた鉄分の量を測定する。
【0017】7)人工腸液における微細カプセルの安定
性調査 人工胃液からそれぞれ異なるpHで得られた溶液に胆汁
(bile salt)とパンクレアチン(pancreatin)溶液を
添加し、この溶液を37℃で1時間振盪しながら反応さ
せた後、20分間隔で放出された鉄分量を測定する。
【0018】8)鉄分吸収評価方法 カプセル化された鉄分の生体利用率(bioavailabilit
y)を評価するために、フェロジン分析(ferrozine ass
ay, Anal.Biochem., 10, 450-458, 1971)を使用した
が、アスコルビン酸(Ascorbic acid)0.02gを
0.01N HClに溶解した溶液3mlを試料1mlに混
合した後、10分間室温に放置する。前記混合溶液に1
0%酢酸アンモニウム(ammoniumu acetate)を加えて
混合した後、フェロジン試薬(ferrozine color reagen
t ; 3-2(pyridyl)-5,6-diphenyl-1, 2,4-triazone-p,
p'-disulfonic acid, Aldrich Chem. Co., Milwaukee,
Wl)に蒸留水を使用して1mMに製造し3mlを加えて
暗室で20分間放置し、その後蒸留水2mlを加えて5
62nmで吸光度を測定する。
【0019】以下、本発明を実施例及び試験例によって
具体的に説明する。ところが、これらは本発明を説明す
るためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例及び
試験例に限定されないことは当業界で通常の知識を有す
る者には明らかなことである。
【0020】〈実施例〉PGMSと鉄分の混合比率によ
る鉄分微細カプセルの歩留まりを測定するために、PG
MSと、鉄分としての硫酸鉄アンモニウムを25:1、
20:1、15:1、10:1、5:1にして一定量の
精製水に溶解した。このPGMS溶液を50℃で10分
間定置させた後、1,000×gで2分間攪拌した。P
GMSと硫酸鉄アンモニウム及び精製水が混合された溶
液を8℃の0.05%界面活性剤(Tween-60或はTween-
80)分散溶液にスプレーガン(spray gun)で噴霧し、
この噴霧液を20,000×gで10分間遠心分離して
上澄液と余液に分離した。前記余液を取って同量の界面
活性剤分散溶液に混ぜて遠心分離作業を2回行なって微
細カプセル100mlを製造した。
【0021】鉄分の微細カプセルの歩留まりを測定した
ところ、PGMS対鉄分の比率が25:1の場合は9
5.2%、20:1の場合は94.6%、15:1の場
合は93.0%、10:1の場合は91.5%、5:1
の場合は90.6%であって、PGMS添加量が高いほ
ど鉄分微細カプセルの歩留まりが良いことが分る。その
結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】〈試験例1〉前記実施例の方法によりPG
MSに鉄分を微細カプセル化し、鉄分が150ppmの
濃度で含有された牛乳を5℃で12日間貯えた後、この
牛乳を一般市販牛乳と比較してみた。貯蔵期間1日目〜
6日目「全く沈殿しない」、9日目「やや沈殿する」、
12日目「普通程度沈殿する」といる優れた結果が出
た。この結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】〈試験例2〉実施例によって製造された鉄
分濃度150ppmの微細カプセルが含有された牛乳を
5℃で5日間貯える間、この牛乳を一般市販牛乳と異臭
の面で比較するために、20名の官能検査要員をして官
能検査を行なわせた。その検査結果、「一般市販牛乳と
同様である」が1日目20名、3日目19名、6日目1
7名、9日目15名、12日目13名であり、「一般市
販牛乳よりやや異臭が出る」が1日目0名、3日目1
名、6日目3名、9日目3名、12日目5名であり、
「一般市販牛乳より普通程度異臭が出る」が1日目〜6
日目0名、9日目2名、12日目2名であった。その官
能検査結果を表3に示した。
【0026】
【表3】
【0027】〈試験例3〉実施例で製造された鉄分濃度
60ppm、150ppmの微細カプセルが含有された
牛乳を4℃で貯えてカプセル化された鉄によって脂肪酸
化度が影響を受けるものと思料され、脂肪酸化度をTB
A数値で評価した。貯蔵期間5日目、カプセル化してい
ない鉄分を含有している牛乳では60ppmで0.0
5、150ppmで0.77であり、カプセル化した鉄
分を含有している牛乳では60ppmで0.15、15
0ppmで0.3であって、カプセル化した鉄を含有し
ている牛乳のTBA数値が一層高く、微細カプセル化さ
れた鉄分によって脂肪酸化が徐々に行なわれて脂肪安定
性を増加させることが可能なことが表4から分かる。
【0028】
【表4】
【0029】〈試験例4〉実施例で製造された鉄分濃度
150ppmの微細カプセルが含有されたオレンジジュ
ースを5℃で30日間貯えた後、鉄分の沈殿度を観察し
た。貯蔵期間5日目〜15日目は「全く沈殿しない」、
20日目は「やや沈殿する」、30日目は「普通程度沈
殿する」という良好な結果が出た。その結果を表5に示
した。
【0030】
【表5】
【0031】〈試験例5〉実施例によって製造された鉄
分濃度150ppmの微細カプセルが含有されたオレン
ジジュースを5℃で30日間貯えた後、20名の官能検
査要員をして官能検査を行なわせた。その検査結果、
「一般オレンジジュースと同様である」が5日目20
名、10日目20名、15日目20名、20日目18
名、30日目15名であり、「一般オレンジジュースよ
りやや沈殿する」が5日目0名、10日目0名、15日
目0名、20日目2名、30日目4名であり、「一般オ
レンジジュースより普通程度沈殿する」が5日目〜20
日目0名、30日目1名であった。その官能検査結果を
表6に示した。
【0032】
【表6】
【0033】〈試験例6〉実施例で製造された鉄分微細
カプセルの酸安定性調査のために人工胃液を製造し、微
細カプセルから放出された鉄分の量(%)を測定した。
飲食物を摂取していない場合の酸性pHと飲食物を摂取
した場合の中性に近いpHで放出された鉄分の量を調査
した結果、pH2.0の条件下で放出された鉄分の量が
15%であって、pH6.0の場合より多く放出され
た。このような結果から低いpHで放出された鉄分量が
多い原因は、酸による脂肪酸エステルが若干不安定であ
るものと思料され、普通の場合は飲食物と一緒に摂取す
るので、酸による鉄分放出は極めて微量で、ほぼ5%に
過ぎなかった。その結果を表7に示した。
【0034】
【表7】
【0035】〈試験例7〉実施例で製造された鉄分微細
カプセルの安定性調査のために37℃人工小腸液を製造
し、微細カプセルから放出された鉄分の量(%)を20
分間隔で1時間測定した。鉄分の吸収は大部分小腸の十
二指腸内で行われるが、脂肪酸分解酵素や蛋白質分解酵
素、そして別の酵素の活性によってカプセル化された鉄
分を放出することに有利である。人工小腸から放出され
た鉄分の量は、pHが中性部分の時に更に多く放出さ
れ、反応時間が長いほど酵素の活性によって放出された
鉄分の量が多かった。放出された鉄分の量を測定した結
果、初期pH2で放出された鉄分の量が3%、60分後
pH6で放出された鉄分の量が91%であって、カプセ
ル化した鉄分が30倍程度有利であった。その結果を表
8に示した。
【0036】
【表8】
【0037】〈試験例8〉鉄分は生体内で行われる殆ど
全ての代謝に必須的な成分であり、その含量も重要であ
るが、実際に用いられる程度を評価する生体利用率が非
常に重要であると思料され、実施例で製造された鉄分微
細カプセルの生体内鉄分吸収度を評価した。
【0038】カプセル化していない鉄分(200pp
m)を添加した牛乳と、鉄分微細カプセル(200pp
m)を添加した牛乳をそれぞれ20名の成人に500c
c服用させた後、6時間経過後血液を採取してフェロジ
ン分析法で標準曲線により鉄分濃度を測定し、平均化し
た。カプセル化していない鉄分を服用した後の鉄分吸収
度は15.33±0.15%であって、カプセル化鉄分
を服用した後の鉄分吸収度は36.67±0.25%で
あって、カプセル化していない鉄分を服用した場合より
吸収度が2倍程高かった。その結果を表9に示した。
【0039】
【表9】
【0040】前記結果から、食品中に鉄分の吸収を容易
にする成分と妨害因子が存るので、これに関連した相互
作用も多様であって鉄分の生体利用作用に影響を及ぼす
可能性があるが、鉄分の生体利用率に最も重要なことは
溶解度であり、小腸の粘液質でカプセル化された鉄分が
効率良く吸収されたものと思料される。
【0041】
【発明の効果】本発明の鉄分が含有された微細カプセル
は、酸性領域では安定であり且つ脂肪分解酵素の最適条
件によってのみ分解されるので、人体への投与時、体内
で鉄分吸収の効率が高い。しかも、微細カプセルを食品
に添加すると均一に分散し食品の物性に変化を与えない
ので、広い範囲の飲食品に適用することが可能であり、
牛乳、飲料、加工食品等への栄養源補強として、鉄分強
化に効果的な長所を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B018 LE02 MD06 MD10 MF02 MF08 4B035 LC06 LE01 LG01 LG08 LG09 LG11 LK13 LK19 LP21 LP36 4G005 AA01 AB15 BA06 DA04X DB22X DC28Y DC32Z EA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸エステルに水溶性鉄分を混合溶解
    させ、これを微細カプセル化したことを特徴とする微細
    カプセル化水溶性鉄分。
  2. 【請求項2】 脂肪酸エステルが、ポリグリセリンモノ
    ステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタ
    ンモノラウレート、グリセロールモノステアレート及び
    MCTから選択される1種又は2種以上であることを特
    徴とする請求項1記載の微細カプセル化水溶性鉄分。
  3. 【請求項3】 水溶性鉄分が、ヘミ鉄、硫酸鉄アンモニ
    ウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸鉄及び乳酸
    鉄から選択される1種又は2種以上であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の微細カプセル化水溶性鉄分。
  4. 【請求項4】 微細カプセル化が、脂肪酸エステルと水
    溶性鉄分の混合溶液を、分散溶液中に噴霧することによ
    り行われたものであることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか記載の微細カプセル化水溶性鉄分。
  5. 【請求項5】 カプセルの寸法が2〜5μmであること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の微細カプセ
    ル化水溶性鉄分。
  6. 【請求項6】 脂肪酸エステル溶液に、水溶性鉄分を混
    合溶解させる工程と、該混合溶液を、分散溶液に噴霧す
    る工程と、該噴霧液からカプセルを分離する工程からな
    ることを特徴とする微細カプセル化水溶性鉄分の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 脂肪酸エステルに一定量の精製水を加
    え、40〜60℃で定置して脂肪酸エステル溶液を得る
    ことを特徴とする請求項6記載の微細カプセル化水溶性
    鉄分の製造方法。
  8. 【請求項8】 脂肪酸エステル溶液に、水溶性鉄分を混
    合溶解した混合溶液を、45〜60℃で、5〜20分間
    定置した後、500〜1200×gで30秒〜2分間攪
    拌することを特徴とする請求項6又は7記載の微細カプ
    セル化水溶性鉄分の製造方法。
  9. 【請求項9】 脂肪酸エステル溶液と水溶性鉄分の混合
    溶液を、5〜10℃で、0.01〜0.1%の界面活性
    剤分散溶液に噴霧することを特徴とする請求項6〜8の
    いずれか記載の微細カプセル化水溶性鉄分の製造方法。
  10. 【請求項10】 噴霧液を10、000〜30,000
    ×gで、5〜20分間遠心分離し、カプセルから余液を
    分離することを特徴とする請求項6〜9のいずれか記載
    の微細カプセル化水溶液鉄分の製造方法。
  11. 【請求項11】 余液を分離したカプセルに、更に界面
    活性剤分散溶液を添加し、遠心分離する工程を1〜2回
    実施し、カプセル化していない鉄分を除去することを特
    徴とする請求項6〜10のいずれか記載の微細カプセル
    化水溶性鉄分の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜5のいずれか記載の微細カ
    プセル化水溶性鉄分を、飲食品素材又は飲食品に添加し
    たことを特徴とする鉄分強化飲食品素材又は飲食品。
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