JP2002304718A - 隠蔽層を改良した転写型磁気テープ - Google Patents

隠蔽層を改良した転写型磁気テープ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気カードの磁気ストライプ部分として使用
する彩色した磁気テープにおいて、磁気記録再生特性を
犠牲にすることなしに、磁気カードに対して、高い審美
性を与えることが可能な転写型磁気テープの提供。 【解決手段】 仮支持体フィルム、仮支持体フィルム上
に設けた保護層、保護層上に設けた着色層、着色層上に
設けた隠蔽層、隠蔽層上に設けた磁気記録層および磁気
記録層上に設けた接着層からなる転写型磁気テープにお
いて、該隠蔽層を、特定の金属薄膜細片を含有する樹脂
組成物層とし、さらに、その膜厚を1μm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転写型磁気テープに
関するものであり、さらに詳しくは、スペーシングロス
による出力ロスが小さいために記録再生特性に優れ、か
つ磁気カード化する際に、磁性材料固有の暗色を消し
て、磁気ストライプを鮮明に彩色することを可能にす
る、磁気ストライプ特性の改良技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】彩色された磁気ストライプをその一部に
有しているクレジットカード、銀行カード、IDカード
などの磁気カードを製造する際、その彩色磁気ストライ
プの付与手段としては、彩色された転写型磁気テープを
使用するというのが常法である。その際、磁気ストライ
プに彩色を施すため、すなわち、磁性材料に由来する磁
気記録層の一般的固有色である黒色ないし茶色を消して
それ以外の色彩とするときには、所望の色彩を持った一
層としての着色層を設けて、転写型磁気テープとしてい
る。さらにそれは、隠蔽層の有無により、2つのタイプ
の着色層保有・転写型磁気テープに区分される。すなわ
ち、着色層と磁気記録層との間に隠蔽層を設けない第1
のタイプ:安価だが彩色と磁気特性には満足できないタ
イプと、着色層と磁気記録層との間に隠蔽層を設ける第
2のタイプ:彩色と磁気特性は満足できるが高価や低耐
久性であったりするタイプの、以下の2タイプである。
先ず、第1のタイプであるが、この第1のタイプの転写
型磁気テープは、仮支持体フィルム上に、仮支持体フィ
ルムとの剥離性を有していてカード化後にはカードの最
表層として表面保護の機能を持つようになる保護層、磁
気ストライプを特定の色に彩色する着色層、磁気データ
の記録・再生を担う磁気記録層、カード基材との接着作
用を担う接着層を、この順に積層した構造を持つ。そし
て、磁気カードを製造する工程においては、この転写型
磁気テープの接着層とカード基材とを向かい合わせて重
ね、それを加熱および加圧して接着し、その後、仮支持
体フィルムを剥離・除去することにより、カード基材表
面に、保護層を最表層とした転写型磁気テープの層構成
を転写する。さらにその後、転写した磁気記録層を含む
層を、必要に応じ熱圧プレスして、カード基材内に埋め
込んで基材表面と面一にし、これを所定寸法に打ち抜い
て磁気カードを得る。
【0003】このようにして製造した磁気カードでの磁
気ストライプ部分の色彩は、透明な保護層を透して、着
色層ないしはそれより下層との混色として視覚される。
着色層は任意の色に彩色できるのが理想的である。しか
しこの場合には、着色層は、磁気記録層の色を隠蔽する
ための隠蔽用顔料と、彩色するための着色用染顔料とを
含んでいる。そこでは、次のようなことが起き、色彩を
良くすることは困難である。すなわち、磁気記録層の色
を隠蔽するための隠蔽用顔料を増やすと、相対的に、着
色用染顔料が減少し、鮮明な彩色を施すことができなく
なる。そこで逆に、色彩を良くしようとして着色用染顔
料を増やすと、今度は、相対的に隠蔽用顔料が減少する
こととなり隠蔽力が不十分なものとなる。隠蔽が不十分
であると、磁気ストライプ色として視覚される色彩は、
磁気記録層の黒色ないし茶色の影響を受けて混色し、暗
くて汚れた感じの色となり、色彩を良くすることができ
ないのである。
【0004】また、着色層の膜厚の大小は、磁気記録再
生特性へ影響する。着色層に十分な隠蔽力を持たせるた
めにその膜厚を大きくすると、カード化した際、磁気記
録層の表層側すなわち磁気ヘッド側に存在する層の総厚
み(この場合、保護層の膜厚と着色層の膜厚の和)が大
きくなることとなり、その結果、記録再生特性が低下
し、カード使用時におけるエラーの原因となる。これは
以下の理由による。磁気記録は、磁気ヘッドからの漏れ
磁束を利用して行われているが、この漏れ磁束の磁界強
度は、磁気ヘッドから離れるほどその分布が広くなり、
かつ磁界強度が弱くなる。すなわち、磁気ヘッドと磁気
記録層との距離が大きくなるほど、記録強度は弱くな
る。また、再生の際は磁気記録層からの漏れ磁束を磁気
ヘッドで検出することになるが、この場合も上述の理由
と同様に磁気ヘッドと磁気記録層との距離が大きくなる
と再生出力が小さくなる。すなわち、全く同一の磁気記
録層であっても、磁気記録層と磁気ヘッドとの距離によ
りその記録再生特性は変化し、この距離が大きくなると
記録再生特性は低下する。さらに、記録周波数が大きく
なるとこの記録再生出力低下の度合いはより強くなり、
その結果、磁気記録媒体の重要な特性のひとつである低
周波域の再生出力と高周波域の再生出力の比、いわゆる
分解能も磁気ヘッドと磁気記録層との距離に従って低下
する。この磁気ヘッドと磁気記録層との距離を“スペー
シング”、これによる記録再生特性の損失を“スペーシ
ング・ロス”と呼ぶ。着色層の膜厚を厚くすると、この
スペーシングが大きくなってスペーシング・ロスが増大
し、記録再生特性が悪化する。
【0005】次に、第2のタイプであるが、これは、着
色層と磁気記録層との間に隠蔽層を設けるタイプであ
り、スペーシング・ロスの増大を防止し、かつ鮮明な彩
色を得ようとするものである。 ここでは、磁気ストラ
イプ彩色のための着色層と磁気記録層の暗い色調を隠蔽
する隠蔽層とを機能分離している。その上、各々の層
が、要求される特性に合わせて組成などを最適化でき
る。そのため、前記、着色層が隠蔽層と彩色化を兼ねて
いる第1のタイプに比較して、スペーシング・ロスを小
さくすることが可能である。
【0006】この第2のタイプにはさらに、以下のと
とに示す2つのタイプがある。としては、隠蔽層と
して金属蒸着膜層を使用する転写型磁気テープであっ
て、特開昭53−104203で開示されている。金属
蒸着膜層は、極めて薄い膜厚でも良好な隠蔽力を有する
ことから、スペーシングをあまり増大させることなし
に、磁気記録層の暗い色調を隠蔽することが可能とな
る。しかし、金属蒸着膜層は樹脂成分を全く含まないた
めに、着色層と金属蒸着膜層との層間および金属蒸着膜
層と磁気記録層との層間における層間密着力が不足する
場合が多い。その不足を補うために、着色層と金属蒸着
膜層との間および金属蒸着膜層と磁気記録層との間に、
結着樹脂を主成分とする一層ずつのアンカー層を設ける
必要がある。しかし、このことは、工程数の増大による
不良品および目欠ないしは生産コストの増大を招き、金
属蒸着膜層を使用した転写型磁気テープでは高コストに
なるという問題点がある。さらには、金属蒸着膜層は酸
化しやすいため、得られた転写型磁気テープおよびこの
転写型磁気テープを使用して製造した磁気カードでは、
耐候保存性(特に、耐酸化性)などの耐久性が、金属蒸
着膜層を設けていない転写型磁気テープおよび磁気カー
ドに比較して、劣るという問題点がある。
【0007】そのため、のタイプの隠蔽層として、さ
らに別の方法が提案されている。すなわちそれは、無機
顔料や金属粉末ないし金属酸化物粉末などのフィラーを
結着樹脂中に混合・分散させ、その樹脂組成物層を隠蔽
層として設ける方法である。この方法では、隠蔽層用塗
料を調製し、それを塗工もしくは印刷して、隠蔽層を得
る。そのため、製造コストは比較的安価である。また、
隠蔽層に結着樹脂を含有するため、着色層および磁気記
録層との層間密着性も良好であり、特別にアンカー層を
設ける必要がない。なお、フィラーとして金属粉末を使
用する場合でも、金属蒸着膜層を用いたものとは相違し
て、結着樹脂が金属粉末の表面をコーティングするた
め、耐候保存性は良好である。しかしながら、ここで使
用するフィラーの形状は、球状もしくは粒状ないしは板
状である。そのため、その形状要因から膜厚当りの隠蔽
能は小さく、この種のフィラー使用の樹脂組成物層で磁
気記録層の色を隠蔽しようとすると、薄膜層では不可能
であった。満足できる隠蔽力を得るためには隠蔽層の膜
厚を大きくすることが必要であって、板状のフィラーを
用いたときでさえもその配向性が低いことから、満足で
きる隠蔽力レベルを薄膜層で達成することは困難であっ
た。以上のように、彩色した磁気ストライプを得る場
合、従来の第1タイプおよび第2タイプ、のいずれ
の転写型磁気テープの構成としても、良好な磁気記録再
生特性を保持しながら、鮮明な彩色を持ったものを得る
ことは困難であるとの問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、磁気カードに使用した際に、優れた磁気記
録再生特性を保持しながら、鮮明な彩色を有する磁気ス
トライプが形成可能な転写型磁気テープの提供である。
同時に、該磁気テープの製造コストを増大させることな
く、それを達成することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、彩色され
た転写型磁気テープとして、仮支持体フィルム上に、そ
れに近い側から、少なくとも、仮支持体フィルムとの剥
離性を有する保護層、着色層、隠蔽層、磁気記録層およ
び接着層をこの順に設けた積層体において、該・隠蔽層
を、特定の金属薄膜細片を含有する薄膜の樹脂組成物層
とすることにより、上記課題が達成されることを見いだ
した。上記・金属薄膜細片としては、薄層の樹脂組成物
層中に在って高隠蔽力と高分散性を得るために、特定サ
イズと形状で、かつ特定物質によりその表面を表面処理
した物を使用する。また、隠蔽層である樹脂組成物層の
膜圧は、1μm以下の薄層とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の彩色された転写型
磁気テープについて、詳細に説明する。本発明の転写型
磁気テープは、仮支持体フィルム、仮支持体フィルムと
の剥離性を有しカードに転写された後は磁気カードの最
表面の層として表面を保護する保護層、保護層上に設け
られた着色層、着色層上に設けられた隠蔽層、隠蔽層上
に設けられた磁気記録層および磁気記録層上に設けられ
た接着層を必須とする。図1に本発明の転写型磁気テー
プの断面構成図を示す。本発明の転写型磁気テープは、
磁気カードを製造する工程において、転写型磁気テープ
の接着層とカード基材とを向かい合わせて重ね、加熱お
よび加圧してカード基材と磁気記録層を含む層とを接着
させ、その後、仮支持体フィルムを剥離・除去し、図2
に示すようにカード基材表面に、保護層を最表層として
転写型磁気テープの機能層部分を転写する。その後、必
要に応じて熱圧プレスを行なって、磁気記録層を含む機
能層部分を図3に示すようにカード基材内に埋め込み、
これを所定寸法に打ち抜くことにより磁気カードが完成
する。
【0011】本発明において、仮支持体フィルムとして
は公知慣用のフィルムが使用できる。例えば、ポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等
のセルロース誘導体、ポリアミド等のプラスチック等を
挙げることができる。中でも抗張力や耐熱性を兼ね備え
たポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、仮支
持体フィルムの厚さには特に制限はないが、通常3〜1
00μm、好ましくは5〜50μmである。
【0012】保護層は、例えば、結着樹脂およびフィラ
ー等を溶剤に溶解・分散して調製した保護層用塗料を、
リバース・グラビア・ダイコート等の公知慣用の方式
で、仮支持体フィルム上に塗布することにより得られ
る。
【0013】保護層を構成する結着樹脂としては、例え
ば、セルロース系樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル
と酢酸ビニルの共重合体、あるいは、ビニルアルコー
ル、無水マレイン酸ないしはアクリル酸などを加えた共
重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、およびこれらの樹脂の混合物を
挙げることができる。
【0014】保護層用塗布液に使用する溶剤としては、
例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル類、エタノール等のアルコール類、ヘキサ
ン、トルエン、キシレン等の炭化水素類を挙げることが
でき、これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用する
こともできる。
【0015】さらに、保護層中には、必要に応じて、皮
膜改質剤として大豆レシチン、マイクロシリカ、あるい
はワックス等を添加することができる。また、ポリイソ
シアネート化合物などの硬化剤を添加して、樹脂バイン
ダー分子間を架橋することは、保護層の耐久性を向上さ
せるために好ましい。
【0016】保護層の乾燥塗膜厚は、記録再生特性から
いえば薄いほど良いが、機械的強度、耐久性等とのバラ
ンスを考慮すると0.1〜5μmが好ましく、特に好ま
しくは0.3〜2μmである。
【0017】本発明の着色層は、結着樹脂と着色剤を必
須成分として含む。具体的には、染料や顔料等の着色剤
を、結着樹脂および結着樹脂を溶解する溶剤中に単独も
しくは2種類以上を混合し、二本ロールミル、三本ロー
ルミル、ボールミル、サンドミル、ディスパー等の公知
慣用の方法により溶解・分散させて着色層用塗料を作成
し、これをリバース方式、グラビア塗布方式、ダイコー
ト方式等の公知慣用の方式で塗布して乾燥することによ
り、着色層を得る。
【0018】着色層に用いる着色剤としては、一般に、
無機および有機の顔料を使用する。無機顔料としては、
アルミナ、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜
鉛、硫酸バリウムなどであり、有機顔料としては、アゾ
系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、
アントラキノン系、チオインジゴ系、インダンスレン系
などであって多々あるが特に限定されるものではない。
また、上記顔料に代えてあるいは併用してフタロシアニ
ン染料、アゾ染料、ニトロ染料、キノリン染料、メチン
染料、アジン染料、ファタレイン染料等の染料を用いる
こともできる。
【0019】着色層用塗料に使用する結着樹脂として
は、公知慣用の結着樹脂が使用できる。例えば、保護層
のところで述べた結着樹脂に加え、ポリイミド樹脂、ポ
リアミド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、セラック、アルキッド樹脂等が挙げられる。ま
た、イソシアネート化合物を用いて熱硬化することもで
きる。着色層用塗料に使用する溶剤としては、公知慣用
の溶剤が使用でき、例えば、既に保護層のところで述べ
た溶剤等が使用できる。
【0020】着色層は、カード化した際に磁気記録層よ
りもカードの表層側に位置することになる。そのため、
着色層の膜厚を大きくし過ぎると、スペーシングが大き
くなって出力ロスが増大し、磁気記録媒体として要求さ
れる記録再生特性を保持できなくなる。
【0021】その保持のため、磁気記録層の膜厚を厚く
して再生出力の低下を補う必要が生じるが、磁気記録の
もうひとつの重要な特性である分解能は、スペースシン
グが大きくなることと同時に、磁気記録層自体の膜厚が
増加することによっても低下するため、磁気記録層の厚
膜化による再生出力補充にも限界がある。
【0022】また、着色層は、その機能からあまり薄く
することは意味がない。そのため、これらを勘案しての
膜厚は、0.3〜5μmであることが好ましく、特に好
ましくは0.5〜2.5μmである。
【0023】本発明において、隠蔽層は、結着樹脂およ
び金属薄膜細片を必須成分とする。この層は、結着樹
脂、金属薄膜細片、溶剤を含有させて調製した隠蔽層用
塗料を、公知慣用の塗布・印刷方式により、塗布もしく
は印刷して得ることができる。隠蔽性用塗料には、添加
剤、硬化剤など含有させても良い。また、本発明の金属
薄膜細片を使用した場合、金属薄膜細片の平面部分が塗
工物面に対して平行に高度に配向する、すなわち均一面
を形成するように並ぶ結果、隠蔽層用としてボールミル
等で調製した通常の板状フィラー金属粉等に比較して、
高い隠蔽力を得ることができる。
【0024】金属薄膜細片の金属としては、アルミニウ
ム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニ
ッケルクロム、ステンレス等を使用することができる。
金属を薄膜にする方法としては、アルミニウムのように
融点の低い金属の場合は蒸着、アルミニウム、金、銀、
銅など展性を有する場合は箔、融点が高く展性も持たな
い金属の場合は、スパッタリング等を挙げることができ
る。金属薄膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好まし
く、さらに好ましくは0.03〜0.08μmである。
隠蔽層用塗料中に分散させる金属薄膜細片の面方向の大
きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは1
0〜15μmである。しかし、大きさが5μm未満の場
合は、隠蔽層塗膜の輝度が不十分となって、隠蔽層自身
が暗い色調になってしまうため、逆に、25μmを超え
る場合は、金属薄膜細片が配向し難くなるため隠蔽力が
低下し、それぞれ不適である。
【0025】以下に、本発明における金属薄膜細片の作
成方法を、蒸着法の例で説明する。先ず、基材フィルム
上に、塗布によって剥離剤層を形成したのち、所定の厚
さになるよう金属を蒸着して金属薄膜を得る。基材フィ
ルムには、ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィ
ルムなどを使用することができる。蒸着面には、酸化を
防ぐためトップコート層を形成する。剥離剤層およびト
ップコート層形成用のコーティング剤は同一のものを使
用することができる。
【0026】剥離剤層およびトップコート層に使用する
樹脂は、特に限定されない。具体的には、例えば、セル
ロース樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、EVA樹脂、塩素化ポリプロピ
レン樹脂、塩素化EVA樹脂、石油系樹脂等を挙げるこ
とができる。また溶剤としては、トルエン、キシレン等
の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等
の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロ
ピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を
使用することができる。
【0027】次に、上記・金属薄膜は、剥離剤層および
トップコート層を溶解する溶剤中に、前記・金属蒸着し
たフィルムを浸積して攪拌することにより、基材フィル
ムから脱離して得ることができる。その後、その懸濁液
を金属薄膜の面方向の大きさが約150μmになるまで
撹拌し、濾別・乾燥して金属薄膜を得る。その溶剤とし
ては、剥離剤層およびトップコート層樹脂を溶解するも
のであれば良く、特に限定はない。金属薄膜をスパッタ
リングで作成した場合も、上記と同様の方法で金属蒸着
膜を得ることができる。また、金属箔を用いる場合は、
溶剤中においてそのまま攪拌機で所定の大きさに調製す
ればよい。
【0028】金属薄膜は、隠蔽層用塗料中における分散
性を高めるために表面処理する。表面処理剤としては、
ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の有機脂肪
酸、メチルシリルイソシアネート、ニトロセルロース、
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセ
テートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘
導体が挙げられ、公知慣用の方法で金属薄膜に吸着させ
る。最後に、以上の金属薄膜は、後述する隠蔽層用塗料
の調製時に、所定の面方向の大きさになるように、さら
にサイズ制御して、最終形状とする。そして、本発明の
金属薄膜細片とは、上記でサイズ制御した、最終形状の
ものを指す。
【0029】結着樹脂は、従来の塗料、グラビアイン
キ、フレキソインキ、あるいはスクリーンインキ等に通
常使われているものを使用することができる。具体的に
は、例えば、着色層のところで述べた結着樹脂等が使用
できる。
【0030】本発明の隠蔽性用塗料には、必要に応じ
て、従来の塗料、グラビアインキ、フレキソインキ、あ
るいはスクリーンインキ等に使用されている各種添加剤
を使用することができる。このような添加剤としては、
着色用顔料、染料、ワックス、可塑剤、レベリング剤、
界面活性剤、分散剤、消泡剤、等を挙げることができ
る。
【0031】本発明の隠蔽層用塗料には、形成される隠
蔽層の耐熱性、耐溶剤性等の諸耐性向上を目的として、
従来の塗料、グラビアインキ、フレキソインキ、あるい
はスクリーンインキ等に使用されている各種硬化剤を使
用することができる。このような硬化剤としては、チタ
ン・アルミニウム・亜鉛系の金属キレート化剤、シラン
・チタン系のカップリング剤、イソシアネート系硬化
剤、エポキシ系硬化剤、エチレンイミン系硬化剤等を挙
げることができる。
【0032】本発明の隠蔽層用塗料に使用する溶剤もま
た、従来の塗料、グラビアインキ、フレキソインキ、あ
るいはスクリーンインキ等に使われている公知慣用の溶
剤を使用することができる。具体的には、例えば、保護
層のところで述べた溶剤等が挙げられる。
【0033】以下に、隠蔽層用塗料の調製方法を述べ
る。本発明の隠蔽層用塗料においては、良好な隠蔽力を
発現させるために、金属薄膜細片の面方向サイズは5〜
25μmの大きさである。このため、本発明の分散調製
工程においては、通常の塗料調製に使用する分散機ない
し練肉機は使用しない。単に、上記した配合原料を混合
し、攪拌機による攪拌のみで、隠蔽層用塗料を調製す
る。一般に、顔料などの塗料用原料を分散して塗料調製
するには、ロールミル、ボールミル、ビーズミルあるい
はサンドミル等の分散機を使用する。それにより、原料
はサブミクロン・オーダーまで微粒子化する。本発明に
おいて、このような一般的な塗料分散機を使用して金属
薄膜懸濁液を分散した場合には、所定サイズの金属薄膜
細片を得ることはできず、通常は、過破砕となり、該金
属薄膜を不必要に微粒子化・不均一化してしまうことと
なる。このように、攪拌のみで隠蔽層用塗料を調製する
ため、金属薄膜細片は、高分散性となるように、前述の
表面処理をしておく必要がある。
【0034】隠蔽層用塗料の塗布あるいは印刷方式とし
ては、ロールコート、グラビアコート、カーテンコー
ト、スプレーコート、ダイコート等、通常の塗装方式、
およびグラビア印刷、フレキソ印刷、あるいはスクリー
ン印刷等の印刷方式を使用することができる。
【0035】隠蔽層の乾燥塗膜厚は、磁気記録層の色を
隠蔽するという観点からは厚いほど良く、また、記録再
生特性からいえば薄いほど良い。これらのバランスを勘
案してその膜厚は、0.1〜3μmが好ましく、さらに
好ましくは0.1〜1μmである。
【0036】本発明の磁気記録層は、例えば磁性粉末、
結着樹脂および結着樹脂を溶解する溶剤を含有する磁気
記録層用塗料を、仮支持体フィルム上に保護層、着色層
および隠蔽層をこの順に形成した上に塗布し、磁性粉末
の配向処理後、乾燥することにより形成する。
【0037】磁気記録層の乾燥膜厚は、2〜50μmが
好ましく、さらに好ましくは5〜20μmである。
【0038】磁性粉末としては、γ−酸化鉄、マグネタ
イト、コバルト被着酸化鉄、2酸化クロム、鉄系メタル
磁性粉、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト等の公知の磁性粉末を用いることができる。保磁力が
20〜320kA/mの範囲のものが好ましい。
【0039】磁気記録層に用いる結着樹脂としては、公
知慣用の結着樹脂が使用できる。例えば一般的に、隠蔽
層のところで述べた結着樹脂等を使用することができ
る。また、イソシアネート化合物を用いて熱硬化するこ
ともできる。また、磁気記録層用塗料に用いる溶剤とし
ては、例えば一般的に保護層のところで述べた溶剤等を
使用することができる。
【0040】磁性塗料には、必要に応じて界面活性剤、
シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーン
オイル等の助剤類、さらにはカーボンブラックその他の
フィラー類を添加することもできる。
【0041】磁気記録層用塗料は、例えば上記磁性粉
末、結着樹脂、溶剤を、公知慣用の方法により、混練分
散して得ることができる。混練分散機としては、例えば
二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ヘンシ
ェルミキサー、コボルミル、サンドミル、ディスパー、
ホモジナイザー、ニーダー、等が使用できる。
【0042】磁気記録層用塗料の塗布においては、特に
制限はなく、公知慣用の塗布方式を使用して良く、磁気
塗料を所定量塗布後、磁性粉末の磁化容易方向が磁気記
録層の塗布長手方向になるように配向処理を行って乾燥
を行う。塗布方式としては、例えばグラビア方式、リバ
ース方式、トランスファロールコーター方式、キスコー
ター方式、ダイコーター方式等が使用できる。
【0043】配向方法は、公知の方式、例えば反発対向
永久磁石、ソレノイド型電磁石等を用いることができ
る。磁場強度としては1000〜6000Gの範囲が好
ましい。
【0044】本発明に用いられる接着層は、一般的に
は、感熱接着性を示す樹脂を溶剤に溶解させ、混合攪拌
して接着剤塗料を調整し、この接着剤塗料を磁気記録層
上にリバース方式、グラビア方式、ダイコート方式など
の公知の方式により塗布、乾燥することによって得るこ
とができる。
【0045】感熱接着性を示す樹脂としては、例えば、
塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体あるいは、さらに
ビニルアルコール、無水マレイン酸ないしはアクリル酸
などを加えた共重合体等の塩化ビニル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン
樹脂等を挙げることができる。また、接着層に用いる溶
剤としては、例えば保護層のところで述べた溶剤を使用
することができる。
【0046】接着層の膜厚は0.5〜15μmが好まし
く、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0047】転写型磁気テープにおいて、仮支持体フィ
ルムと磁気記録層との間に存在する保護層、着色層およ
び隠蔽層の膜厚の合計は、カード化した際の磁気記録再
生特性の観点から、なるべく小さくする必要があり、そ
の合計は、0.8〜10μmであることが好ましく、よ
り好ましくは1.5〜6.0μmである。
【0048】
【実施例】以下に、実施例および比較例を用いて本発明
をさらに詳細に説明する。しかし、本発明は実施例に限
定されるものではない。なお、以下において「部」は、
質量部を表すものとする。
【0049】まず、本発明の隠蔽層用塗料1の調整方法
について述べる。 1)アルミニウム薄膜細片 ニトロセルロース(HIG7)を、酢酸エチル:イソプ
ロピルアルコール=6:4の混合溶剤に溶解して6%溶
液とした。該溶液を、スクリーン線数175線/イン
チ、セル深度25μmのグラビア版でポリエステルフィ
ルム上に塗布して剥離剤層を形成し、十分乾燥した。そ
の剥離剤層上に、厚さが0.04μmとなるようにアル
ミニウムを蒸着し、蒸着膜面に、剥離剤層に使用したも
のと同じニトロセルロース溶液を、剥離剤層の場合と同
じ条件で塗布し、トップコート層を形成した。上記蒸着
フィルムを、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=
6:4の混合溶剤中に浸積して、ポリエステルフィルム
からアルミニウム蒸着膜を脱離させたのち、面方向の大
きさが約150μmとなるまで攪拌機で攪拌し、その
後、濾別・乾燥することにより、アルミニウム薄膜を調
製した。
【0050】 2)アルミニウム薄膜細片スラリーの調製 アルミニウム薄膜(面方向サイズ:150μm) 10部 酢酸エチル 35部 メチルエチルケトン 30部 イソプロピルアルコール 30部 上記を混合し、撹拌しながら、下記組成のニトロセルロ
ース溶液5部を加えた。 ニトロセルロース(HIG1/4) 25部 酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4混合溶剤 75部 上記・混合物を、温度を35℃以下に保ちながら、ター
ボミキサーを使用して、アルミニウム薄膜の大きさが1
0〜15μmになるまで攪拌し、アルミニウム薄膜細片
スラリーを調製した。
【0051】 3)隠蔽層用塗料1 アルミニウム薄膜細片スラリー 30部 アクリル樹脂 10部 (三菱レーヨン社製『ダイヤナール BR−106』) トルエン 30部 酢酸エチル 30部 上記を混合し、隠蔽層用塗料1を調製した。
【0052】(実施例1)仮支持体フィルムとして、厚
さ24μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用
い、このフィルムの片面上に下記aの保護層用塗料、下
記bの着色層用塗料、上述の隠蔽層用塗料1、下記cの
磁気記録層用塗料、および下記dの接着剤塗料をこの順
に、いずれもリバースコーターを使用して塗布、乾燥
し、それぞれ保護層、着色層、隠蔽層、磁気記録層およ
び接着層を設けた。各層の乾燥後の膜厚は、保護層が1
μm、着色層が3μm、隠蔽層が0.5μm、磁気記録層
が7μm、そして接着層が1.5μmとなるようにした。
上記各層を設けたフィルムを1/2インチ幅に裁断して
転写型磁気テープを作成した。
【0053】 a 保護層用塗料 ポリビニルブチラール樹脂 10部 (積水化学社製『エスレック BM−1』) MEK 35部 トルエン 35部 エタノール 20部
【0054】 b 着色層用塗料 フタロシアニン顔料 5部 (大日本インキ化学社製『ファーストゲンブルーTGR』) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 25部 (ユニオンカーバイド社製『VAGH』) MEK 35部 トルエン 25部 酢酸エチル 10部
【0055】 c 磁気記録層用塗料 バリウムフェライト磁性粉 40部 (戸田工業社製;保磁力 220kA/m) 塩化ビニル系樹脂 6部 (日本ゼオン社製『MR−110』) ポリウレタン樹脂 11部 (大日本インキ化学工業社製『L7−750』) MEK 18部 トルエン 18部 シクロヘキサノン 7部
【0056】 d 接着層用塗料 ポリウレタン樹脂 1部 (大日本インキ化学工業社製『TS−03』) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 4部 (電気化学社製『1000LT3』) MEK 45部 トルエン 50部
【0057】(実施例2)実施例1において、隠蔽層の
乾燥後膜厚を1.5μmとした以外は実施例1と同様に
して転写型磁気テープを作成した。
【0058】(実施例3)実施例1において、隠蔽層の
乾燥後膜厚を2.5μmとした以外は実施例1と同様に
して転写型磁気テープを作成した。
【0059】(比較例1)実施例1において、隠蔽層と
して下記eの隠蔽層用塗料2を使用して、隠蔽層を作成
した以外は実施例1と同様にして転写型磁気テープを作
成した。隠蔽層の乾燥後膜厚は0.5μmである。な
お、隠蔽層用塗料2に使用しているアルミニウム粉は、
本発明における“金属薄膜細片”に該当しない、通常の
シルバー色インキ用のアルミニウム粉である。 e 隠蔽層用塗料2 アルミニウム粉末 20部 (昭和アルミパウダー社製『210EA』) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 10部 (ユニオンカーバイド社製『VAGH』) MEK 35部 トルエン 25部 酢酸エチル 10部
【0060】(比較例2)比較例1において、隠蔽層の
乾燥後膜厚を1.5μmとした以外は比較例1と同様に
して転写型磁気テープを作成した。
【0061】(比較例3)比較例1において、隠蔽層の
乾燥後膜厚を2.5μmとした以外は比較例1と同様に
して転写型磁気テープを作成した。
【0062】(比較例4)実施例1における塗工法樹脂
組成物層からなる隠蔽層の代わりに、隠蔽層として、保
護層の上に直接蒸着した金属蒸着膜そのものを隠蔽層と
した。用いた金属はアルミニウムであり、その蒸着膜厚
は0.05μmとした。それ以外は実施例1と同様にし
て転写型磁気テープを作成した。
【0063】(磁気カード)実施例1〜3および比較例
1〜4で作製した転写型磁気テープを使用し、カード作
成機(インターライン社製『LX−EM4』)によりポ
リ塩化ビニル製のカード基体(太平化学社製)に積層物
を転写した後、仮支持体フィルムを除去し、140℃、
0.13MPaの条件下で熱プレス加工し、その後、カ
ード状に打ち抜いて磁気カードを作製した。
【0064】(試験項目および結果) (鮮明性)作成した磁気カードにおける磁気ストライプ
部分の色彩の鮮明さを目視にて評価した。実施例1〜実
施例3、比較例4はいずれも磁気記録層の暗色色調が完
全に隠蔽され、磁気ストライプ部分は本来の着色層の色
彩である鮮明なブルーとなっていた。一方、比較例1〜
比較例3では、隠蔽層の膜厚が厚くなるに従い、順次、
隠蔽力が良好とはなるものの、その膜厚が2.5μmで
も未だ隠蔽力は不十分であって、磁気ストライプ部分の
鮮明性は一部阻害されている状態であった。この膜厚以
下である比較例1(0.5μm)および比較例2(1.5
μm)の磁気ストライプ部分は、より強く濁ったブルー
となっていて、不適であった。
【0065】(層間密着性)作成した磁気カードの磁気
ストライプ部分について、JIS K5600−5−6
(付着性−クロスカット方)に従って、その層間密着性
を試験した。その結果、隠蔽層用塗布液を塗工すること
によって得られた隠蔽層である実施例1〜実施例3、比
較例1〜比較例3については、着色層と隠蔽層との層
間、隠蔽層と磁気記録層との層間のいずれも剥離は認め
られず、層間密着性は良好であった。一方、蒸着法によ
って隠蔽層を設けた比較例4では、隠蔽層と磁気記録層
との層間において剥離が生じ、この層間の密着性は不十
分であった。
【0066】(耐候保存性)作成した磁気カードを室内
で6ヶ月間保存してその磁気ストライプ部分の外観の変
化を観察した。その結果、実施例1〜実施例3、比較例
1〜比較例3においてはその外観に変化は見られなかっ
た。一方、隠蔽層を蒸着膜とした比較例4では、その磁
気ストライプ表面に金属蒸着膜層の劣化が原因であると
考えられる微少な黒い斑点が生じていた。
【0067】(分解能)作成した磁気カードについてI
SO/IEC7811−6に準拠し、BARNES社製
MAGTESTER2000を用いてその記録再生特性
の測定を行った。なお、この磁気カードサンプルを作成
するために使用した転写型磁気テープに関しては、磁気
記録層の膜厚は単一ではなく、それぞれのスペーシング
にあわせてUa1値がURの100%となるように調整
を行った。その結果、スペーシングの大きい実施例3、
比較例3では分解能が90%以下に低下している。一
方、スペーシングの小さな実施例1、比較例1および比
較例4では、その分解能は95%以上であって、良好な
値を示していた。
【0068】
【表1】
【0069】 鮮明性 ○:着色層本来の色彩が出ていて、鮮明である。 △:着色層本来の色彩が一部阻害され、やや不鮮明である。 ×:着色層本来の色彩が阻害されていて、有濁で不鮮明である。 層間接着性 ○:セロテープ(登録商標)剥離試験にて剥離せず。 ×:セロテープ剥離試験にて剥離。 耐候保存性 ○:外観に変化無し。 ×:微少斑点発生。 分解能 ○:95%以上 △:90%以上、95%未満 ×:90%未満
【0070】この結果から、実施例1が最適であり、本
発明の金属薄膜細片を含有させて形成した隠蔽層の膜圧
は、1μm以下にするのが適当と判断できた。
【0071】
【発明の効果】仮支持体フィルム上に、仮支持体フィル
ムに近い側から、少なくとも、仮支持体フィルムとの剥
離性を有する保護層、着色層、隠蔽層、磁気記録層およ
び接着層を設けた転写型磁気テープにおいて、隠蔽層に
含有させるフィラーとして、本発明の金属薄膜細片を使
用することにより、従来よりも薄い膜厚で磁気記録層の
暗色色調を隠蔽することが可能となった。これにより、
色彩が良好であって審美性に優れた磁気ストライプを、
その磁気記録再生特性を犠牲にすることなしに得ること
が可能となった。また、製造方法が容易であることや不
良品発生の低減化が期待できること等により、彩色され
た転写型磁気テープおよびこれを使用した磁気カードで
の大幅なコストダウンが期待できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の転写型磁気テープの断面構成図で
ある。
【図2】は、本発明の転写型磁気テープを用いてカード
基材上に磁気記録層を含む層を転写した場合の断面構成
図である。
【図3】は、磁気記録層を含む層を転写した後カード基
材を熱圧プレスし、磁気記録層を含む層をカード基材内
に埋め込んだ場合の断面構成図である。
【符号の説明】
1 仮支持体フィルム 2 保護層 3 着色層 4 隠蔽層 5 磁気記録層 6 接着層 7 カード基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮原 鉄州 埼玉県上尾市緑丘4−12−8 富吉コーポ 206 Fターム(参考) 2C005 HA06 HB09 JA02 KA09 KA10 LA14 5D006 AA01 AA02 AA05 DA01 DA06 FA00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮支持体フィルム上に、仮支持体フィル
    ムに近い側から、保護層、着色層、隠蔽層、磁気記録
    層、接着層が積層された転写型磁気テープにおいて、隠
    蔽層が結着剤樹脂および金属薄膜細片を含有することを
    特徴とする転写型磁気テープ。
  2. 【請求項2】 隠蔽層に含有させた金属薄膜細片が、有
    機脂肪酸、メチルシリルイソシアネートまたはセルロー
    ス誘導体で表面処理されていることを特徴とする請求項
    1記載の転写型磁気テープ。
  3. 【請求項3】 隠蔽層の膜厚が、1μm以下であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の転写型磁
    気テープ。
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