JP2002302909A - 連続桁橋梁における床版設置方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続桁橋梁建設における連続桁上への床版の
設置に際し、簡易な手順で床版へのプレストレス導入を
有効に行い、橋脚上の床版のひび割れ発生を効果的に防
止することのできる、連続桁橋梁における床版設置方法
を提供する。 【解決手段】 本発明による連続桁橋梁における床版設
置方法は、支点（橋脚）直上およびその近傍以外の箇所
に予め床版を設置し、次いで設置した床版に荷重を加え
て連続桁に曲げモーメントを発生させる。その後残りの
箇所、すなわち橋脚直上およびその近傍に床版を打設
し、さらに前述の荷重を除去することにより、橋脚上に
打設した床版にプレストレスを導入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製の連続した主
桁上にコンクリート床版を設置した連続桁橋梁の建設に
おける、床版の設置方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、河川に架設する橋梁や高速道路等
の橋梁の建設において、支間に設置する桁を、従来の支
間毎に設置する単純桁に代えて、複数の単純桁を一体に
連結等することにより形成した、複数支間に亘って設置
する連続桁が多用されるようになっている。

【０００３】しかしながら、こうした連続桁を使用した
橋梁の場合、橋梁に加わる荷重によって橋脚上で負の曲
げモーメントが生じ、それによって橋脚上の床版に引っ
張り応力が加わる結果ひび割れが発生すると言う問題が
あった。この床版のひび割れを防ぐため、床版の設置に
際しプレストレスを導入する工法や、床版打設時の引っ
張り応力発生を防ぐ工法が行われている。

【０００４】前者の例としては、支点（橋脚）上にジャ
ッキを設置し、桁材をジャッキアップした状態で床版を
打設し、コンクリート硬化後ジャッキダウンすることに
より床版にプレストレスを導入する方法があり、また後
者の例としては、支点間の桁材から水袋を吊り下げて荷
重を加えた状態で床版を打設し、床版打設の進行と共に
水抜きを行うことにより床版に引っ張り応力の残留を防
ぐ方法がある。

【０００５】ところが前者の場合、スパンが比較的長い
（数十ｍ〜100ｍ）橋梁においては大型のジャッキが必
要となる。そのため設置場所の確保が困難になったり、
設置箇所の補強等が必要となったり、さらにはジャッキ
ダウン時の応力を厳密に管理する必要が生じると言った
問題がある。また後者の場合、橋梁全長に亘って荷重
（水袋）を設ける必要があり、また橋梁の設置箇所によ
っては荷重用の水を確保することが困難であると言った
問題がある。

【０００６】これらの問題点を解決するため、例えば特
開平11-158818号公報において、桁材の下面からワイヤ
ロープによって撓み力を桁材に付与する方法が開示され
ているが、この方法はスパンが20〜30ｍ程度の橋梁に好
適なものであって、長スパンの橋梁に適しているとは言
い難い。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決し、連続桁上への床版の設置に際し、簡
易な手順で床版へのプレストレス導入を有効に行い、橋
脚上の床版のひび割れ発生を効果的に防止することので
きる、連続桁橋梁における床版設置方法を提供すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による連続桁橋梁
における床版設置方法は、橋台および橋台間に設けた少
なくとも一つの橋脚上に掛け渡した連続桁上に複数の床
版を設置した連続桁橋梁において、前記床版の設置に際
し、当該橋梁の支間の、橋脚直上およびその近傍の領域
以外の箇所に床版を打設する工程と、次いでこれら打設
した床版上に重量物を設置して前記連続桁に荷重を加え
る工程と、その後前記橋脚直上およびその近傍に床版を
打設する工程と、さらに前記重量物を撤去して荷重を除
去する工程とを具えることを特徴とする。

【０００９】本発明による連続桁橋梁における床版設置
方法は、支点（橋脚）直上およびその近傍以外の箇所に
予め床版を設置し、次いで設置した床版に荷重を加えて
連続桁に曲げモーメントを発生させる。その後残りの箇
所、すなわち橋脚直上およびその近傍に床版を打設し、
さらに前述の荷重を除去することにより、橋脚上に打設
した床版にプレストレスを導入するものである。

【００１０】それによって、橋脚上に打設した床版に対
して有効にプレストレスを与えることができ、この床版
のひび割れ発生を効果的に防ぐことができる。また、荷
重の載荷および除荷も、プレストレスを与えるべき床版
に先んじて設置した床版に重量物を設置・撤去すること
によって行うことから、そのための作業が非常に単純か
つ安全性の高いものとなる。

【００１１】本発明による連続桁橋梁における床版設置
方法は、前記橋脚直上およびその近傍の領域が、前記連
続桁全体に床版を設置した際に当該連続桁に引張応力が
生じる範囲であることを特徴とする。それによって、プ
レストレスを導入すべき床版の打設範囲を適切に設定す
ることができ、床版のひび割れ発生を効果的に抑止する
ことが可能となる。

【００１２】また本発明による連続桁橋梁における床版
設置方法は、前記重量物を橋軸方向に移動可能としたこ
とを特徴とする。そのため、連続桁への荷重の載荷およ
び除荷、すなわち重量物の設置および撤去作業を、工事
の進行に伴って効率良く行うことが可能となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施形態について説明する。

【００１４】図1は、本発明による連続桁橋梁における
床版設置方法の手順を概略示すものである。以下、本図
を参照してその手順を説明する。

【００１５】ここでは、図示のように、橋台10，11間に
二本の橋脚12，13を設けた橋梁の建設を行う場合を考え
る。まず、図1(a)に示すように橋台10，11間に連続桁14
を掛け渡す。次いで図1(b)に示すように、連続桁14上に
コンクリート床版15〜17を打設する。ここで、各床版は
橋脚12，13直上およびその近傍以外の箇所のみに打設す
ることとしている。

【００１６】各床版15〜17を養生した後、図1(c)に示す
ようにこれら床版にウェイトを載荷し、それによって連
続桁14に荷重を加える。このウェイトは、例えば鉄板、
水槽等に収容した水等、所望の重量（例えば床版１箇所
当たり数十トン）が得られるもので、かつ搬入・搬出が
容易なものであれば良く、この他橋梁建設のための資材
や建機を用いても良い。

【００１７】各床版15〜17にウェイトを載荷することに
より、連続桁14には、図1(c)に線図で示すような曲げモ
ーメントが発生する。それによって、連続桁14には、床
版を打設した箇所では圧縮応力が、床版を打設していな
い箇所には引っ張り応力がそれぞれ発生する。

【００１８】ここで、後に床版を打設する範囲、すなわ
ち橋脚12，13直上およびその近傍の範囲とは、図1(c)に
示すように、曲げモーメントによって連続桁14に引張応
力が発生する範囲である。この範囲は、橋梁を設計する
際に、床版を連続桁14全体に亘って設置した場合の、連
続桁14に生じる曲げモーメントの計算を行うことによ
り、予め求めておくことができる。なお、この範囲に
は、設置済みの各床版15〜17にウェイトを載荷したこと
により、より強い引張応力が加わっている。

【００１９】その後図1(d)に示すように、床版未打設箇
所、すなわち橋脚12，13直上およびその近傍の箇所に床
版18，19を打設する。最後に、床版18，19を養生した
後、図1(e)に示すように床版15〜17上に載荷していたウ
ェイトを撤去し、荷重を除荷する。それによって床版1
8，19には、それまで加わっていた引張応力が小さくな
ることにより逆に圧縮応力が加わるため、その結果、圧
縮力すなわちプレストレスが与えられることとなる。

【００２０】連続桁14に荷重を加えるために載荷するウ
ェイトは、作業の進行に伴って容易に移動できるように
することが望ましい。そのため、例えば図2に示すよう
に、床版（ここでは符号15で示すもののみを図示する）
上にレール20，20を設置し、このレール20，20上を車輪
21，21により走行する台車22上にウェイト23を載せるこ
ととしても良い。これによって、台車22をレール20上を
走行させるだけで、所定の載荷位置にウェイト23を移動
させ、除荷時には直ちに撤去することが可能となる。

【００２１】なお、このレール20，20は、ウェイト23の
移動のために新たに設置することとしても良いが、例え
ば床版打設のための移動型枠を移動させるためのレール
を利用することも可能である。

【００２２】以上説明したように、本発明による連続桁
橋梁における床版設置方法によれば、床版、特に橋脚上
に打設した床版に有効にプレストレスを与えることがで
き、床版のひび割れ発生を効果的に防ぐことができる。
また、荷重の載荷および除荷のための作業を非常に単純
化し、かつ安全性を高めることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による連続桁橋梁における床版設置方
法の手順を概略示す図である。

【図２】 本方法におけるウェイトの移動方法の一例を
示す図である。

【符号の説明】

10，11 橋台 12，13 橋脚 14 連続桁 15，16，17，18，19 コンクリート床版 20 レール 21 車輪 22 台車 23 ウェイト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 直好 東京都豊島区西巣鴨４丁目14番５号 横河 工事株式会社内 Ｆターム(参考） 2D059 AA07 AA14 BB35 CC04 GG55

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 橋台および橋台間に設けた少なくとも一
   つの橋脚上に掛け渡した連続桁上に複数の床版を設置し
   た連続桁橋梁において、前記床版の設置に際し、 当該橋梁の支間の、橋脚直上およびその近傍の領域以外
   の箇所に床版を打設する工程と、 次いでこれら打設した床版上に重量物を設置して前記連
   続桁に荷重を加える工程と、 その後前記橋脚直上およびその近傍の領域に床版を打設
   する工程と、 さらに前記重量物を撤去して荷重を除去する工程とを具
   えることを特徴とする、連続桁橋梁における床版設置方
   法。
2. 【請求項２】 前記橋脚直上およびその近傍の領域が、
   前記連続桁全体に床版を設置した際に当該連続桁に引張
   応力が生じる範囲であることを特徴とする、請求項１記
   載の連続桁橋梁における床版設置方法。
3. 【請求項３】 前記重量物を橋軸方向に移動可能とした
   ことを特徴とする、請求項１または２記載の連続桁橋梁
   における床版設置方法。