JP2002302721A - りん青銅条およびこれを用いた端子・コネクタ - Google Patents
りん青銅条およびこれを用いた端子・コネクタInfo
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Abstract
ん青銅条を提供する。 【解決手段】 圧延により厚さ0.4mm以下に加工さ
れたりん青銅条である。質量%で、Sn:3.5〜1
1.0%、P:0.03〜0.35%、残部がCuおよ
び不可避的不純物よりなり、圧延面においてX線回折を
用いて測定した下記式中4つの面(hkl)のうちの
(220)面の構成比率(r(220)%)、圧延方向
と平行に測定した引張強度(σB(MPa))、および
Snの濃度([%Sn])が、Co管球を用いて測定し
た場合の(hkl)面のX線回折強度の積分値をI
(hkl)としたときに、下記式を満足する関係にあ
る。 【数1】 r(220)≦0.18σB−4.5[%Sn]−14 r(220)=I(220)/(I(220)+I
(111)+I(200)+I(311))×100
Description
な曲げ加工性を兼ね備え、端子・コネクタ等の電子部品
用に適したりん青銅条に関するものである。また、本発
明は、そのようなりん青銅条を用いて製造した端子・コ
ネクタに関するものである。
著しく、これに対応し、電子部品用の銅合金条として、
より薄い材料が要求されている。材料が薄くなるとコネ
クタの接触圧は低下する。この接触圧低下を補うため
に、材料を高強度化する必要がある。また、電子部品の
小型化に伴い、材料により微細な加工が施されるため、
加工性の向上も必要である。加工性としては、特に、曲
げ加工性が重視される。これは、携帯電話、デジタルカ
メラ、ビデオカメラ等の高密度実装化の進展に伴い、端
子・コネクタ等の金属部材に、より過酷な曲げ成形が行
われるためである。以上のように、端子・コネクタ等で
用いられる銅合金条は、高強度化と曲げ性向上という矛
盾する課題に直面している。
チタン銅等の高強度型銅合金、また、導電性が要求され
る部位では、コルソン合金(Cu−Ni−Si)系、ク
ロム銅系(Cu−Cr、Cu−Cr−Zr、Cu−Cr
−Sn)等の中強度高導電型銅合金が使用されている。
しかしながら、これら銅合金は電子部品用銅合金として
は比較的新しいため、市場での需給や流通に制限があ
り、例えばグローバルスタンダード重視の市場では敬遠
される傾向にある。また、その価格はりん青銅、黄銅等
の従来型の銅合金と比較して高価である。このため、従
来の銅合金のなかでも比較的優れた機械的強度と加工性
を有するりん青銅に対して、強度および加工性のさらな
る改良が求められるようになった。
n濃度に応じ、JIS H 3110によってC521
0(8%Sn)、C5212(8%Sn)、C5191
(6%Sn)、C5102(5%Sn)、C5111
(4%Sn)等が規格化され、さらにASTMによって
C52400(10%Sn)等も規格化されている。一
般的に、金属の高強度化の機構として、固溶強化、析出
強化、転位強化、粒界強化などがある。りん青銅は固溶
強化型銅合金であり、規格化された成分範囲で強度を改
善することを前提とすると、転位強化または粒界強化を
利用することになる。この観点から、冷間圧延条件また
は焼鈍条件の最適化による高強度化が図られてきたもの
の、近年の急速な電子部品の軽薄・短小化の進展のニー
ズに遅れを取っているのが現状である。本発明は、以上
のような事情に鑑みてなされたもので、高い強度と良好
な曲げ加工性をあわせ持つりん青銅条およびそれを用い
た端子・コネクタを提供することを目的としている。
げ加工性は、その金属組織によって与えられる。すなわ
ち、 結晶粒界 圧延によって導入される転位 圧延によって生じるせん断帯、マイクロバンド等の変
形帯 結晶方位 等が固溶型金属の圧延材の機械的特性を決定する。に
ついては、圧延加工前の再結晶焼鈍で得られる結晶粒を
小さくすることにより、単位体積当たりの結晶粒界面積
を増やすことができる。また、については、圧延加
工度を高くすることにより、転位および変形帯の密度を
増やすことができる。これらの組織制御は強度を高くす
る方向に作用するが、曲げ加工性の低下を伴う場合があ
る。一方、の結晶方位がりん青銅の機械的特性に及ぼ
す影響については、従来ほとんど研究されていない。
および曲げ加工性との関係に着目し、そのデータを蓄積
し解析した。その結果、圧延面への(220)面の集合
を抑制したりん青銅は、従来のりん青銅に対し、同レベ
ルの強度でより優れた曲げ加工性を示すことを見出し
た。いいかえれば、りん青銅条において、曲げ性を低下
させることなく強度を改善する方策を見出したのであ
る。
変化するため、金属材料の弾性的変形挙動は結晶方位に
よって変化する。また、金属結晶は固有のすべり面とす
べり方向を持つことから、金属材料の塑性的変形挙動も
結晶方位によって変化する。圧延面への(220)面の
集合度が曲げ加工性に影響を及ぼすメカニズムの詳細は
明らかでないが、金属材料の変形挙動が結晶方位に依存
することと関係していると思われる。
されたもので、圧延により厚さ0.4mm以下に加工さ
れたりん青銅条であって、質量%で、Sn:3.5〜1
1.0%、P:0.03〜0.35%、残部がCuおよ
び不可避的不純物よりなり、圧延面においてX線回折を
用いて測定した下記式中4つの面(hkl)のうちの
(220)面の構成比率(r(220)%)、圧延方向
と平行に測定した引張強度(σB(MPa))、および
Snの%濃度([%Sn])が、Co管球を用いて測定
した場合の(hkl)面のX線回折強度の積分値をI
(hkl)としたときに、下記式を満足する関係にある
ことを特徴としている。
(111)+I(200)+I(311))×100
とともに説明する。A.結晶方位と曲げ性 りん青銅の圧延材の曲げ加工性は、曲げの方向によって
異なり、曲げ軸が圧延方向と平行になる方向(Bad
Way)の曲げ性が最も悪く、この方向の曲げ加工性の
改善が最大の課題である。本発明は、圧延面への(22
0)面の集合度を制御し、Bad Wayの曲げ性を改
善することを趣旨とする。本発明では、(220)面の
集合度を、銅合金圧延材での主要4面((220)、
(111)、(200)、(311))に対する構成比
率で定義している。すなわち、(220)面の集合度
(r(220))を、I(220)/(I(220)+
I(1 11)+I(200)+I(311))×100
とする。ここで、I(hkl)は、X線ディフラクトメ
ータでCo管球を使用して測定した(hkl)面のX線
強度の積分値である。
(220))が小さいほど曲げ性は向上することが判明
している。また、一般的には、強度が高くなるほど曲げ
性は低下し、Sn濃度が高くなるほど強度が高くなる。
そこで、本発明者等は、種々の実験データに基づき、従
来のりん青銅に対し明らかに曲げ性が向上したといえる
集積度(r(220))の範囲を、引張り強度(σB
(MPa))およびSnの濃度([%Sn])との関係
で次式のように規定した。
強度材と認められる引張り強度の範囲は、σB≧400
+25[%Sn]であることが判明している。この関係
を満たさない範囲では従来材においても曲げ性は良好で
あり、集積度(r(220))を制御したことの効果が
発揮されない。一方、σBが550+25[%Sn]よ
り高い範囲では、集積度(r(220))の制御により
曲げ性は相対的に向上するものの、端子・コネクタ素材
として実用に耐え得る曲げ性を得ることができない。し
たがって、引張り強度は下記式の範囲にあることが望ま
しい。
[%Sn]
Snりん青銅(C5210)のデータを用いてより詳し
く説明する。Snの濃度[%Sn]を8とすると、上記
数値限定の規定範囲は、それぞれ下記式で表される。
での測定データとともに図1に示す。次に、図1の各試
料について、曲げ加工性を調査した結果を図2に示す。
曲げ加工性の評価は、日本伸銅協会技術標準“銅および
銅合金薄板の曲げ加工性評価方法”(JBMA、T30
7(1999年))に準じ、Bad way方向に採取
した幅10mm、長さ50mmの試料に、各種曲げ半径
にてW曲げを施し、割れが発生しない最小の曲げ半径を
求め、このときの(曲げ半径/板厚)の値を算出して評
価した。なお、調査した材料のPの濃度は約0.1%で
ある。図2から明らかなように、本発明のりん青銅は、
従来のりん青銅と比較して、割れが発生しない限界の曲
げ半径が小さい。両者の曲げ性の差は、引張り強度が高
くなるほど大きくなる。
くなると、従来材においても曲げ半径0(折り曲げの状
態)でも割れが発生しなくなる。すなわち、600MP
a以下の引張り強度の範囲では、曲げ性改善の観点から
集積度(r(220))を制御する意義が減少する。ま
た、小型電子部品で用いられる端子・コネクタ用の素材
としては、(曲げ半径/板厚)が1以下の条件で割れが
発生しないことが望まれる。本発明のりん青銅において
も、引張り強度が750MPaを超えると、(最小曲げ
半径/板厚)≦1を達成できなくなる。以上のように、
引張り強度が600〜750MPaの範囲で、本発明は
大きな効果を発揮する。
面の集積度(r(220))は、圧延加工度が高くなる
とともに増加する。したがって、集積度
(r(220))を低く抑えるための一つの方策は、り
ん青銅の高強度化手段として、冷間加工度を高くするだ
けではなく、他の手段を併用することが必要である。例
えば、粒界強化、析出強化等を利用すれば良い。
再結晶焼鈍で再結晶粒を小さく仕上げる方法がある。そ
のためには、焼鈍条件を低温化あるいは短時間化する必
要があり、また、再結晶粒の核生成サイトを増やすこと
も有効である。再結晶核は圧延で導入された変形帯、圧
延前の粒界等で生成するので、一般的には焼鈍前の圧延
加工度を高くし、この圧延の前に実施する再結晶焼鈍で
再結晶粒を小さく仕上げることが効果的である。
低く抑えるために、上記以外には以下の方策がある。 鋳塊表面への(220)面集合の抑制:鋳塊の結晶方
位は圧延後も残留するので、凝固速度の制御によって鋳
塊表面に(220)面が集積するのを抑制する。 クロス圧延:圧延の途中で圧延方向を変えてやれば、
(220)の集合度が低下する。ただし、そのためには
クロス圧延が可能な圧延機が必要である。いずれにして
も、製造プロセスを厳密に調整し最適化する必要があ
り、図1に示した本発明における集積度
(r(220))のレベルは、従来の製造プロセスでは
得られなかったものある。
を、合計で0.03〜0.3%含有することが望まし
い。りん青銅中にこのような活性な金属元素を微量に添
加すると、この元素がりん化物を形成する。このりん化
物は結晶粒界を固定するため、焼鈍の際の再結晶粒の成
長が抑制され、結晶粒が微細化する(粒界強化)。さら
に、りん化物が転位の運動を阻害することによる強度増
加(析出強化)も期待できる。これら両強化機構により
圧延加工度を低くすることが可能となり、その結果とし
て集積度(r(220))が低下し曲げ性が向上する。
りん化物を生成する金属元素として、これら以外にT
i、Zr、Cr、Mg、Ca等があるが、大気中で合金
を溶製する現状のりん青銅の製造プロセスを考慮する
と、Fe、CoまたはNiを利用することが現実的であ
る。Fe、CoおよびNiのうちの1種以上の合計量が
0.03%以上になると上記効果が現われ、合計量が
0.3%を超えると圧延の際に粗大なりん化物を起点と
して割れが生じ製造歩留が低下する。そこで、合計添加
量を0.03〜0.3%の範囲に規定している。
ことによって向上する。したがって、製造コストの増加
が許されるのであれば、りん青銅条を冷間圧延により加
工した後、最後に歪取り焼鈍を行なうことが望ましい。
定している。Sn濃度が3.5%未満では端子・コネク
タ材に必要な強度が得られず、11.0%を超えると端
子・コネクタ材に必要な導電率が得られないことに加
え、合金の製造が困難となるためである。次に、引張り
強度が同じ場合で比較すると、Sn濃度が高いほど、r
(220)値が低くなり、その結果として曲げ性が向上
する。また、r(220)値が同じ場合で比較すると、
Sn濃度が高いほど、引張り強度が高くなる。このよう
に、曲げ性と強度を同時に改善する手段としてSn濃度
を高くすることは有効であるが、原料コストが高くな
る、導電率が低下する、鋳塊のSn偏析が大きくなり製
造性が低下する等の問題がある。したがって、素材に要
求される諸特性や許容できるコスト等を考慮し、Sn濃
度が決定されることになる。
は3.5〜5.5%であり、この場合には、強度および
曲げ性よりも導電率が重視されている。また、本発明の
他の態様によれば、Snの濃度は、5.5%を超え9.
0%以下であり、この場合には、強度、曲げ性および導
電率ともに重視されている。また、本発明のさらに他の
態様によれば、Sn濃度は9.0を超え11.0%以下
であり、この場合には、導電率よりも強度および曲げ性
が重視されている。
りん青銅はSn濃度に応じて分類され、JISやAST
Mにより規格化されている。それぞれのりん青銅に対し
て本発明を適用すると、集積度(r(220))および
σBの範囲は次のようになる。 C5111(JIS):[%Sn]=3.5〜4.5 Sn濃度[%Sn]を4とすると、r(220)≦0.
18σB−32、500≦σB≦650となる。 C5102(JIS):[%Sn]=4.5を超え
5.5以下 Sn濃度[%Sn]を5とおくと、r(220)≦0.
18σB−36.5、525≦σB≦675となる。 C5191(JIS):[%Sn]=5.5を超え
7.0以下 Sn濃度[%Sn]を6とすると、r(220)≦0.
18σB−41、550≦σB≦700となる。 C5210、C5212(JIS):[%Sn]=
7.0を超え9.0以下 Sn濃度[%Sn]を8とすると、r(220)≦0.
18σB−50、600≦σB≦750となる。 C52400(ASTM):[%Sn]=9.0を超
え11.0以下 Sn濃度[%Sn]を10とすると、r(220)≦
0.18σB−59、650≦σB≦800となる。
〜0.35%の範囲とする。P濃度が低すぎると、りん
青銅を溶製する際に溶湯の脱酸が不十分となり、溶湯の
粘度が高くなって健全な鋳塊を製造できなくなる。ま
た、条を製造できたとしても、粗大な酸化物介在物が発
生し曲げ性が劣化する。一方、P濃度が高すぎると導電
率が低下する。
困難となるため、素材の厚みを0.4mm以下に限定す
る。なお、以上は本発明のりん青銅条であるが、本発明
は上記のようなりん青銅条を用いて製造した端子・コネ
クタでもある。
ん青銅について、引張り強度と曲げ加工性を評価した。
引張り強度の評価では、JISZ2241に準じ、JI
S5号引張り試験片を用い、圧延方向と平行に引張試験
を実施した。曲げ加工性の評価では、日本伸銅協会技術
標準“銅および銅合金薄板の曲げ加工性評価方法”(J
BMA、T307(1999年))に準じ、Badwa
y方向に採取した幅10mm、長さ50mmの試料に、
各種曲げ半径にてW曲げを施した。ただし、曲げ加工性
の評価では、図2には割れが発生しない最小の曲げ半径
を示したが、本実施例における評価では所定の曲げ条件
(曲げ半径/板厚)のときの曲げ部外観を、図4に示す
外観写真を基準としてA〜Eでランク付けした。
線回折では、X線回折装置として(株)リガク製RIN
T2500を用い、Co管球(λ=17.899nm)
を使用して、管電圧30kv、管電流100mA、発散
スリット1°、散乱スリット:1°、受光スリット:
0.3°、発散縦制限スリット10mm、モノクロ受光
スリット0.8mm、走査速度7°/min、ステップ
幅0.02°の条件で測定を行なった。各面において回
折強度を測定した2θの範囲(θは回折角度)は、(1
11):48.0〜53.0°、(200):56.0
〜61.0°、(220):85.5〜90.5°、
(311):106.0〜111.0°とし、回折強度
の積分値を求めた。以上の条件は、図1および図3の測
定においても同じである。
ん青銅のデータである。これら合金のP濃度は、JIS
に従い0.03〜0.35%の範囲に調整してある。こ
の濃度範囲で、Pは曲げ性に影響を及ぼさない。
銅であり、No.12〜15は従来のりん青銅であり、
従来のものはいずれもr(220)値が本発明で規定す
る境界値を上回っている。厚みが等しく引張り強度が同
レベルであるNo.1、2、3、12、13を比較する
と、従来のりん青銅では曲げ部に割れが発生し、割れの
程度は歪取り焼鈍を行なわなかった方が悪い。一方、
(220)面の集合度(r(220))を下げた本発明
のりん青銅では、肌荒れは発生したものの、割れは生じ
ていない。肌荒れの程度は歪取り焼鈍行なうことにより
小さくなっている。また、Fe、Niを添加することに
より、r(220)をより低いレベルまで下げることが
可能となり、肌荒れの程度がさらに小さくなっている。
+25[%Sn]を超える例である。図2で示したよう
に、本発明合金でも(曲げ半径/板厚)=1の条件で曲
げると割れが発生するが、曲げ半径が大きい条件下での
曲げ性を従来のりん青銅と比較すると、r(220)の
低減による明らかな曲げ性の改善が認められる。
+25[%Sn]より低い例である。従来のりん青銅で
も割れが発生しておらず、通常は問題なく使用できる。
ただし、r(220)を低減することにより肌荒れが小
さくなっているため、外観が重視される用途に対しては
本発明は有効である。No.8、9、10、11、16
の比較においても、本発明のりん青銅の曲げ性が、従来
のりん青銅の曲げ性より優れることがわかる。
データを表2に示す。これら合金のP濃度も、Pが曲げ
性に影響を及ぼさない0.03〜0.35%の範囲に調
整してある。No.1〜4はSn濃度が4%の例、N
o.5〜8はSn濃度が5%の例、No.9〜12はS
n濃度が6%の例、No.13〜16はSn濃度が8%
の例、No.17〜20はSn濃度が10%の例であ
る。No.21はSn濃度が3.5%よりも低い比較例
である。
ると、r(220)を下げると曲げ性が著しく向上す
ること、歪取り焼鈍を行なうと曲げ性が向上するこ
と、Fe、Co、Niを添加するとより低いレベルま
でr(220)を下げることが可能になること、がわか
る。
は、Feを添加してr(220)の抑制を試みたが、引
張り強度が560MPaと低いにもかかわらず、曲げ部
に大きな割れが発生した。
較すると、引張り強さが同じ場合には、Sn濃度が高い
方がr(220)が低く曲げ性が良好であることがわか
る。
%のデータを比較すると、Sn濃度を高くすることによ
り、r(220)を増加させることなく、すなわち曲げ
性を低下させることなく、引張り強度を高めることが可
能であることがわかる。
ことなく強度を改善することができるが、図5に示すよ
うにSn濃度の上昇とともに導電率が低下し、Snが本
発明での上限値である11%を超えると導電率は10%
IACSを下回る。また、Sn濃度が増えると原料コス
トが増大する問題もある。一方、本発明による曲げ性の
改善方法は、このようなデメリットを伴わないため、工
業的に極めて有用である。
銅の結晶方位と曲げ加工性および強度との関係にはじめ
て着眼し、良好な曲げ加工性と高い強度を同時に得るた
めの結晶方位条件を定量的に明らかにしたものである。
本発明のりん青銅条は、小型電子部品で使用される端子
・コネクタ用の素材として好適であり、従来のりん青銅
と同様のコストで製造でき、また、強度、曲げ性以外の
特性が従来のりん青銅と同等であることから、工業的に
極めて有用である。
を示す線図である。
の関係を示す線図である。
係を示す線図である。
真である。
関係を示す線図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 圧延により厚さ0.4mm以下に加工さ
れたりん青銅条であって、質量百分率(%)に基づいて
(以下、%と表記する)、Sn:3.5〜11.0%、
P:0.03〜0.35%、残部がCuおよび不可避的
不純物よりなり、圧延面においてX線回折を用いて測定
した下記式中4つの面(hkl)のうちの(220)面
の構成比率(r(220)%)、圧延方向と平行に測定
した引張強度(σB(MPa))、およびSnの濃度
([%Sn])が、Co管球を用いて測定した場合の
(hkl)面のX線回折強度の積分値をI(hkl)と
したときに、下記式を満足する関係にあることを特徴と
するりん青銅条。 【数1】 r(220)≦0.18σB−4.5[%Sn]−14 r(220)=I(220)/(I(220)+I
(111)+I(200)+I(311))×100 - 【請求項2】 圧延方向と平行に測定した引張強度(σ
B(MPa))が、Snの%濃度([%Sn])と下記
式を満足する関係にあることを特徴とする請求項1に記
載のりん青銅条。 【数2】400+25[%Sn]≦σB≦550+25
[%Sn] - 【請求項3】 冷間圧延により加工された後、最後に歪
取り焼鈍が行われたことを特徴とする請求項1または2
に記載のりん青銅条。 - 【請求項4】 Fe、CoおよびNiのうちの1種以上
を、合計で0.03〜0.3%含有することを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載のりん青銅条。 - 【請求項5】 Snの濃度が3.5〜5.5%である請
求項1〜4のいずれかに記載のりん青銅条。 - 【請求項6】 Sn濃度が5.5%を超え9.0%以下
である請求項1〜4のいずれかに記載のりん青銅条。 - 【請求項7】 Sn濃度が9.0を超え11.0%以下
である請求項1〜4のいずれかに記載のりん青銅条。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のりん青
銅条を用いて製造された端子・コネクタ。
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JP2001-23131 | 2001-01-31 | ||
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2001
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