JP2002302609A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2002302609A
JP2002302609A JP2001107065A JP2001107065A JP2002302609A JP 2002302609 A JP2002302609 A JP 2002302609A JP 2001107065 A JP2001107065 A JP 2001107065A JP 2001107065 A JP2001107065 A JP 2001107065A JP 2002302609 A JP2002302609 A JP 2002302609A
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polytetrafluoroethylene
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mixed powder
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JP2001107065A
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Mai Kojima
真衣 小島
Takashi Akita
隆 秋田
Yoshinori Fukuba
芳則 福場
Atsunori Koshirai
厚典 小白井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブロー成形、押出成形等における成形加工性
に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン粒子とエポ
キシ基を有する有機系重合体粒子とを含んで成るポリテ
トラフルオロエチレン含有混合粉体(a)を、ポリエス
テル樹脂等の熱可塑性樹脂(b)に配合して成る熱可塑
性樹脂組成物であって、270℃、角周波数1〜10r
ad/secでの動的粘弾性測定における該樹脂組成物
の貯蔵弾性率G'sと熱可塑性樹脂(b)単独の貯蔵弾性
率G'bとの比G's/G'bが3以上となる角周波数が存在
することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性の改良
された熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂の用途を拡大す
るために、種々の成形加工法に適合し得る溶融特性を熱
可塑性樹脂に付与することが望まれている。
【0003】ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレ
フタレートは、その優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品
性およびガスバリヤー性等を生かし、エンジニアリング
用成形材料等、様々な分野に用途を拡大している。また
近年、ポリエステル樹脂の用途は、一層高度化、特殊化
する傾向にあり、これをブロー成形法等により効率良く
経済的に成形して中空成形品を得る技術が期待されてい
る。例えば、自動車エンジンルーム内の配管、タンク類
等は、高温雰囲気化で使用され、しかも高度の機械的物
性等も要求されるので、従来は専ら金属製のものが用い
られてきた分野であるが、軽量化、防錆化、加工コスト
低減等のため、これらを上記の如き優れた特性を有する
熱可塑性ポリエステル樹脂のブロー成形により得ること
が望まれている。
【0004】しかしながら、ポリエステル樹脂は、これ
らの成形加工法を適用する上で最も重要とされる特性、
即ち溶融張力が低いので、ドローダウンが激しく、ブロ
ー成形法により所望の形状の成形品を得ることは至難で
ある。この改良法として、固有粘度の高い高重合度ポリ
エステル樹脂を用いる方法、分岐を有するポリエステル
を用いる方法、エポキシ基を分子中に有する特定の共重
合体を配合する方法、更にフィラーを添加する方法等が
提案されているが、いずれも改良効果は少なく、これら
の加工法に対する材料として不充分である。
【0005】一方、ポリテトラフルオロエチレンは、わ
ずかな応力で繊維化する性質を有しており、熱可塑性樹
脂に配合すると、成形加工性、機械的性質などが改良さ
れることが知られている。例えば、特開平5−2141
84号公報や特開平6−306212号公報に、ポリテ
トラフルオロエチレンをポリオレフィンに配合してなる
樹脂組成物が開示されている。しかしながら、ポリテト
ラフルオロエチレンはポリエステル樹脂に対して分散性
が不良であり、この方法をポリエステル樹脂に適用して
も、加工性を改良するには多量のポリテトラフルオロエ
チレンを必要とするという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の各従
来技術の課題を解決すべくなされたものであり、特に、
ブロー成形、押出成形等における成形加工性に優れた熱
可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリテトラフルオロエ
チレン粒子とエポキシ基を有する有機系重合体とからな
るポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を熱可塑性
樹脂に添加すると、特定の測定条件下での貯蔵弾性率が
向上し、このような貯蔵弾性率を示す熱可塑性樹脂組成
物が、非常に優れた成形性を示すことを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、ポリテトラフルオロエ
チレン粒子とエポキシ基を有する有機系重合体粒子とを
含んで成るポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体
(a)を、熱可塑性樹脂(b)に配合して成る熱可塑性
樹脂組成物であって、270℃、角周波数1〜10ra
d/secにおける動的粘弾性測定において、該樹脂組
成物の貯蔵弾性率G'sと熱可塑性樹脂(b)単独の貯蔵
弾性率G'bとの比G's/G'bが3以上となる角周波数
が、1〜10rad/secの範囲内に存在することを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物にお
いては、その樹脂組成物[即ちポリテトラフルオロエチ
レン含有混合粉体(a)を含む樹脂組成物]の貯蔵弾性
率G'sと熱可塑性樹脂(b)単独[即ちポリテトラフル
オロエチレン含有混合粉体(a)を含まない樹脂]の貯
蔵弾性率G'bとの比G's/G'bが3以上となる角周波数
が、1〜10rad/secの範囲内に存在する。これ
ら各貯蔵弾性率G's、G'bは、270℃において、角周
波数1〜10rad/secにおける動的粘弾性測定か
ら算出測定した値である。このG's/G'bが3以上であ
ることにより、低周波数領域に長時間緩和機構が付与さ
れることで溶融張力が向上し、耐ドローダウン性が抑え
られ、その結果、低せん断速度領域での成形性が向上す
る。このG's/G'bは、7以上であることが更に好まし
い。
【0010】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(a)は、ポリテトラフルオロエチレン
粒子とエポキシ基を有する有機系重合体粒子とを含んで
成る。ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径は10
μm以下であること、すなわち混合粉体中でポリテトラ
フルオロエチレンが10μm以上の凝集体となっていな
いことが好ましい。また、ポリテトラフルオロエチレン
含量は、混合粉体(a)全質量の0.1〜90質量%で
あることが好ましく、1〜80質量%であることがより
好ましく、1〜50質量%であることが特に好ましい。
【0011】このようなポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体(a)の製造方法としては、(1)粒子径
0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子
の水性分散液と、エポキシ基を有する有機系重合体粒子
の水性分散液とを混合し、凝固またはスプレードライに
より粉体化する方法、(2)粒子径0.05〜1.0μm
のポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液の存在
下で、エポキシ基を有する有機系重合体を構成する単量
体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体
化する方法、(3)粒子径0.05〜1.0μmのポリテ
トラフルオロエチレン粒子の水性分散液とエポキシ基を
有する有機系重合体粒子の水性分散液とを混合した分散
液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重
合し、その後凝固またはスプレードライにより粉体化す
る方法、などが好ましい。
【0012】上述のポリテトラフルオロエチレン粒子の
水性分散液は、例えば、含フッ素界面活性剤を用いた乳
化重合によりテトラフルオロエチレンモノマーを重合さ
せることにより得られる。このテトラフルオロエチレン
モノマーの重合の際、所望の特性を損なわない範囲で、
他のモノマーを共重合させることもできる。この共重合
成分としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、ク
ロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレ
ン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素
オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレ
ート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが挙げ
られる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレン
100質量部に対して10質量部以下であることが好ま
しい。
【0013】市販のポリテトラフルオロエチレン粒子の
水性分散液としては、例えば、旭ICIフロロポリマー
社製のフルオンAD−1およびAD−936、ダイキン
工業社製のポリフロンD−1およびD−2、三井デュポ
ンフロロケミカル社製のテフロン30J(以上、全て商
品名)等が挙げられる。
【0014】ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体
(a)を構成するエポキシ基を有する有機系重合体は、
優位量のエポキシ基を有するものであれば特に制限され
ない。ただし、成形加工性を付与する対象となる熱可塑
性樹脂(b)の構造に応じてエポキシ基の含有量を調節
することが好ましい。
【0015】エポキシ基を有する有機系重合体は、例え
ば、エポキシ基を有する単量体とエポキシ基を有しない
単量体とを共重合して得ることができ、その共重合比に
よってエポキシ基の含有量を調整することができる。エ
ポキシ基を有する単量体としては、メタクリル酸グリシ
ジル等のグリシジル基含有単量体が好ましい。なお、熱
可塑性樹脂(b)としてポリエステル樹脂を用いる場
合、エポキシ基を有する単量体単位の量は、ポリテトラ
フルオロエチレン全量に対して、0.1質量%〜20質
量%の範囲であることが好ましい。
【0016】エポキシ基を有しない単量体の具体例とし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−
エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチ
レン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレ
ン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン
等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、
アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アク
リル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アク
リル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等
の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量
体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N
−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シ
クロへキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリ
シジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビ
ニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニル
エーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボ
ン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチ
レン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレ
ン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等が挙げら
れる。これらの単量体は、それぞれ単独であるいは2種
以上の混合物として用いることができる。
【0017】例えば、以上説明したポリテトラフルオロ
エチレン粒子と有機系重合体粒子を含む水性分散液を、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解し
た熱水中に投入し、塩析し、凝固した後に乾燥すること
により、あるいはスプレードライ法により粉体化して、
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(a)を得る
ことができる。
【0018】以上説明したポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(a)は、その具体的な形態について特に
制限はない。例えば、顆粒状粉体、ペレット状粒子、ま
たは熱可塑性樹脂が配合されたペレット状粒子など、そ
の形態は必要に応じて選択すればよい。
【0019】通常のポリテトラフルオロエチレンファイ
ンパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収す
る工程で100μm以上の凝集体となってしまうので、
熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難である。一
方、本発明で用いるポリテトラフルオロエチレン含有混
合粉体(a)は、ポリテトラフルオロエチレン単独では
大きな粒子径のドメインは形成しないので、熱可塑性樹
脂(a)に対する分散性がきわめて優れている。この結
果、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、ポリテト
ラフルオロエチレン含有混合粉体(a)のポリテトラフ
ルオロエチレンが、樹脂中に効率良く繊維化して分散し
ており、種々の成形性が優れる上に、表面性にも優れる
ものである。
【0020】本発明に用いる熱可塑性樹脂(b)は、従
来より知られる各種の熱可塑性樹脂を使用できる。代表
的には、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレ
フィン樹脂などが挙げられるが、これらに制限されるも
のではない。
【0021】熱可塑性樹脂(b)としてポリエステル樹
脂を用いる場合には、構成成分として、テレフタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、α,β−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタ
ン、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジ
カルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、ダイマー酸等のジカルボン酸またはそれら
のエステル形成誘導体の1種または2種以上と、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ビスフェ
ノールA、2,2−ビス(4'−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、キシレングリコール、ポリエチレンエ
ーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ール、両末端が水酸基である脂肪族ポリエステルオリゴ
マー等の1種または2種以上から選ばれたグリコール類
とを用い、それらの重縮合反応によって得られるポリエ
ステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、ホモポ
リエステル、コポリエステルの何れでもよい。
【0022】コポリエステルの場合、そのコモノマー成
分としては、上記の各成分以外に、グリコール酸、ヒド
ロキシ酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル酢
酸、ナフチルグリコール酸等のヒドロキシカルボン酸、
プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトン、
バレロラクトン等のラクトン化合物も使用することがで
きる。また、熱可塑性を保持しうる範囲でトリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリト
ール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸
等の多官能性エステル形成成分を使用した分岐または架
橋構造を有するポリエステルであってもよい。
【0023】また、ジブロモテレフタル酸、テトラブロ
モテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、1,4−
ジメチロールテトラブロモベンゼン、テトラブロモビス
フェノールA、テトラブロモビスフェノールAのエチレ
ン若しくはプロピオンオキサイド付加物等の芳香族核に
ハロゲン化合物を置換基として有し、かつエステル形成
性基を有する化合物を用いたハロゲンを有するポリエス
テルコポリマーも使用できる。
【0024】また、高融点ハードセグメントと低融点ソ
フトセグメントのブロック共重合体を構成するポリエス
テル系エラストマーも使用することができる。このポリ
エステル系エラストマーとしては、例えば、アルキレン
テレフタレート単位を主体とするハードセグメントと脂
肪族ポリエステルもしくはポリエーテルから成るソフト
セグメントとのブロック共重合体が挙げられる。
【0025】以上の各熱可塑性ポリエステル樹脂は、1
種または2種以上を混合して使用することができる。
【0026】特に好ましい熱可塑性ポリエステル樹脂
は、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフ
タレートおよびこれらを主たる繰り返し単位とする共重
合体である。この共重合体を形成するコモノマー成分と
しては、イソフタル酸、ビスフェノールA、2,2−ビ
ス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(β−ヒドロキシエトキシテトラブロモフェニ
ル)プロパン等が好ましい。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
樹脂(b)100質量部に対して、ポリテトラフルオロ
エチレン含有混合粉体(a)が所望の加工性を付与する
のに必要な量配合したものである。その配合量は、所望
の加工性等、種々の条件に応じて適宜決定すれば良く、
本発明において特に限定されない。ただし一般的には、
熱可塑性樹脂100質量部に対して、ポリテトラフルオ
ロエチレン含有混合粉体(a)の配合量は、0.1〜2
0質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリテト
ラフルオロエチレン含有混合粉体(a)、熱可塑性樹脂
(b)、および必要に応じて任意の各成分を所望量配合
し、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押
出機等の従来より知られる各種の混練機で混練して得る
ことができる。かかる各成分を溶融混練して一旦ペレッ
ト化し、このペレットをブロー成形、押出成形等に供す
ることができ、また例えば、溶融混練後直ちにブロー成
形用のパリソンとし成形に供すること、あるいは押出成
形に供することも可能である。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶融弾性
が高いので、ブロー成形、押し出し成形、カレンダー成
形性、熱成形における耐ドローダウン性、発泡成形時の
セルの均一性などが改良され、種々の成形加工性に適し
た優れたものである。また、ポリテトラフルオロエチレ
ンのマクロな凝集物がなく成形品の表面性も優れてい
る。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物の加工法とし
ては、特に制限はないが、ブロー成形、押出成形、カレ
ンダー成形、熱成形、発泡成形、射出成形、溶融紡糸な
どが挙げられる。これら加工法によって得られる有用成
形体としては、特に制限はないが、中空成形体、パイ
プ、角棒、異形品、シート、フィルム、熱成形体、発泡
体、射出成形品、繊維などが挙げられる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は実施例により何ら限定されるもので
はない。なお、以下の記載中、「部」および「%」は質
量基準で示した。また、貯蔵弾性率およびドローダウン
性の測定は、具体的には以下の方法で実施した。
【0032】(1)貯蔵弾性率: 樹脂組成物のペレッ
トをパラレルプレート式動的粘弾性測定装置(レオメト
リック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製R
DA−700)を使用して加熱溶融し、せん断を加えて
貯蔵弾性率変化を測定することにより実施した。測定条
件は、温度270℃、角周波数1〜10rad/se
c、試料厚1mmとした。
【0033】(2)ドローダウン性 :キャピログラフ
(東洋精機製)を使用してストランドを吐出し、オリフ
ィス下40cm到達時間を測定することにより実施し
た。測定条件は、温度270℃、シェアレート60.8
sec-1、オリフィス径1mm、L/D=10、ピスト
ン降下速度5mm/minとした。
【0034】[参考例1:ポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(a−1)の製造]攪拌翼、コンデンサ
ー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコ
に、蒸留水190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム1.5部、ブチルアクリレート11.5部、スチレ
ン88.5部、t−ブチルヒドロペルオキシド0.5部を
仕込み、窒素気流下に40℃に昇温した。次いで、硫酸
鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水
10部の混合液を加えラジカル重合を開始させた。発熱
が終了した後、系内の温度を40℃で1時間保持して重
合を完了させ、ブチルアクリレート−スチレン共重合体
粒子分散液(P−1)を得た。この分散液(P−1)の
固形分濃度は33.3%で、粒子径分布は単一のピーク
を示し、重量平均粒子径は96nm、表面電位は−32
mVであった。
【0035】一方、ポリテトラフルオロエチレン系粒子
分散液として、旭硝子フロロポリマーズ社製商品名フル
オンAD936を用意した。この分散液(フルオンAD
936)の固形分濃度は63.0%であり、ポリテトラ
フルオロエチレン100部に対して5部のポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。ま
た、この分散液(フルオンAD936)の粒子径分布は
単一のピークを示し、重量平均粒子径は290nm、表
面電位は−20mVであった。
【0036】この分散液(フルオンAD936)833
部に、蒸留水1167部を添加し、固形分濃度26.2
%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)
を得た。この分散液(F−1)は、25%のポリテトラ
フルオロエチレン粒子と、1.2%のポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルを含むものである。
【0037】80部の分散液(F−1)[ポリテトラフ
ルオロエチレン20部]と、180.2部の分散液(P
−1)[ブチルアクリレート−スチレン共重合体60
部]とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口
を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に8
0℃で1時間攪拌し、メチルメタクリレート15部、グ
リシジルメタクリレート5部、t−ブチルヒドロペルオ
キシド0.1部の混合液を30分かけて滴下し、滴下終
了後内温を80℃で1時間保持してラジカル重合を完了
させた。この一連の操作を通じて固形物の分離は見られ
ず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度
は35.6%で、粒子径分布は比較的ブロードで、重量
平均粒子径は220nmであった。
【0038】この粒子分散液280.9部を塩化カルシ
ウム5部を含む75℃の熱水600部に投入し、固形物
を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(a−1)98部を得た。この混合粉体
(a−1)を、220℃でプレス成形機により短冊状に
賦形し、その後、ミクロトームで超薄切片としたものを
無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラ
フルオロエチレンは暗部として観察されたが、10μm
を超える凝集体は観察されなかった。
【0039】[参考例2,3:混合粉体(a−2),(a
−3)の製造]参考例1において、分散液(F−1)と
分散液(P−1)を仕込んで、攪拌した後に、滴下重合
せしめるメチルメタクリレート(MMA)とグリシジル
メタクリレート(GMA)の量を下記表1に示すように
変更したこと以外は、参考例1と同様にしてポリテトラ
フルオロエチレン含有混合粉体(a−2),(a−3)
を得た。
【0040】
【表1】 混合粉体(a−2),(a−3)においても、混合粉体
(a−1)と同様、ポリテトラフルオロエチレンの10
μmを越える凝集体は観察されなかった。
【0041】[実施例1〜4、比較例1〜4]熱可塑性ポ
リエステル樹脂(PET)100質量部に対して、各参
考例で得たテトラフルオロエチレン含有混合粉体(a−
1)(a−2)(a−3)を、下記表2に示す割合で配
合し、二軸押出機(WERNER&PFLEIDERER社製ZSK3
0)により、280℃、スクリュー回転速度200rp
mにて押し出し、ペレットを調製した。なお、比較例1
では熱可塑性ポリエステル樹脂のみを二軸押し出しし、
比較例2では熱可塑性ポリエステル樹脂を二軸押し出し
せず、原料ペレットのまま用いた。比較例3、4では、
エポキシ基を有さないポリテトラフルオロエチレン含有
混合粉体(C)を用いた。これらのペレットを用いて、
動的粘弾性測定および耐ドローダウン性能の評価を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】 (a−1):PTFE−(BA/St)−(MMA/GMA) = 20−(6.9
/53.1)−(15/5) (a−2):PTFE−(BA/St)−(MMA/GMA) = 20−(6.9
/53.1)−(18/2) (a−3):PTFE−(BA/St)−(MMA/GMA) = 20−(6.9
/53.1)−(20/0)
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ブロー成形、押出成形等における成形加工性に優れた熱
可塑性樹脂組成物を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福場 芳則 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 小白井 厚典 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 BB001 BD152 BG072 BN032 CF051 CF061 CF071 CL001 GN00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリテトラフルオロエチレン粒子とエポ
    キシ基を有する有機系重合体粒子とを含んで成るポリテ
    トラフルオロエチレン含有混合粉体(a)を、熱可塑性
    樹脂(b)に配合して成る熱可塑性樹脂組成物であっ
    て、270℃、角周波数1〜10rad/secにおけ
    る動的粘弾性測定において、該樹脂組成物の貯蔵弾性率
    G'sと熱可塑性樹脂(b)単独の貯蔵弾性率G'bとの比
    G's/G'bが3以上となる角周波数が、1〜10rad
    /secの範囲内に存在することを特徴とする熱可塑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 G's/G'bが7以上となる角周波数が、
    1〜10rad/secの範囲内に存在することを特徴
    とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(b)が、ポリエステル樹
    脂である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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