JP2002298314A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents
薄膜磁気ヘッドInfo
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Abstract
化の影響を磁気検出素子のフリー磁性層が受けやすくな
り、バルクハウゼンノイズの発生など再生特性に悪影響
を与えた。 【解決手段】 シールド層25、35を積層フェリ構造
にし、第1磁性層22、34の磁気検出素子対向面と逆
面側に反強磁性層21、36を形成する。これによっ
て、前記シールド層25、35の磁化を効果的に単磁区
化でき、前記シールド層25、35の磁気的な可逆性を
良好にすることができる。従って狭ギャップ化が促進さ
れても、バルクハウゼンノイズの発生を適切に抑制でき
るなど再生特性の向上を効果的に図ることが可能になっ
ている。
Description
下にギャップ層を介してシールド層を有する薄膜磁気ヘ
ッドに係り、特に前記磁気検出素子の再生特性を向上さ
せることが可能な薄膜磁気ヘッドに関する。
体の対向面側から見た部分断面図である。
た下部シールド層である。前記下部シールド層1上に
は、例えばAl2O3で形成された下部ギャップ層2が形
成されている。
の上には磁気検出素子3が形成されている。前記磁気検
出素子3は、多層膜4とトラック幅方向(図示X方向)
の両側に形成されたハードバイアス層5と電極層6とで
構成される。
例えば反強磁性層9、固定磁性層10、非磁性導電層1
1及びフリー磁性層12で形成されたスピンバルブ型薄
膜素子である。
上には、例えばAl2O3などで形成された上部ギャップ
層7が形成され、前記上部ギャップ層7の上には、例え
ばNiFe合金で形成された上部シールド層8が形成さ
れている。前記下部シールド層1から上部シールド層8
までで再生用のMRヘッドが構成される。
ンダクティブヘッドの下部コア層も兼用しており、前記
上部シールド層8の上には、Al2O3などで形成された
ギャップ層13の上にNiFe合金などで形成された上
部コア層14が形成されている。
記固定磁性層10の磁化は反強磁性層9との間で発生す
る交換結合磁界によってハイト方向(図示Y方向)に固
定されている。
バイアス層5からの縦バイアス磁界を受けてトラック幅
方向(図示X方向)に揃えられている。
れ磁界が例えば図示Y方向に与えられると、前記フリー
磁性層12の磁化は図示X方向から図示Y方向に変動す
る。このフリー磁性層12内での磁化方向の変動と、固
定磁性層10の固定磁化方向との関係で、電気抵抗が変
化(これを磁気抵抗効果という)し、この電気抵抗値の
変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの漏れ磁界
が検出される。
は、図示しないコイル層に記録電流が与えられと、下部
コア層(上部シールド層8)および上部コア層14に記
録磁界が誘導され、記録媒体との対向面では、ギャップ
層13を介して対向する上部コア層14の先端部と下部
コア層間からの漏れ磁界により、記録媒体に磁気信号が
記録されるようになっている。
密度化に伴い、下部シールド層1と上部シールド層8間
のギャップ長Glを短くする必要があるが、これにより
以下のような問題点が発生した。
の影響を、磁気検出素子3のフリー磁性層12が受けや
すくなり、これによってバルクハウゼンノイズが発生す
るなど、再生特性に悪影響を及ぼしたのである。
おいて、外部ノイズが磁気検出素子3に流入しないよう
に、前記外部ノイズを吸収する点にある。
状態が適切に制御されていないと、再生時において、前
記シールド層1、8は、不規則に磁区変化を起し、この
不規則な磁区変化の影響を、ギャップ長Glが短くなる
ことにより前記シールド層1、8と距離的に短くなった
フリー磁性層12の磁化が受けてしまい、これによって
前記フリー磁性層12の単磁区化構造が崩れて、上記し
たバスクハウゼンノイズの発生など再生特性に悪影響を
及ぼすのである。
ならず記録用のインダクティブヘッドが複合形成された
薄膜磁気ヘッドでは、記録しているときに、下部コア層
(上部シールド層8)は、前記下部コア層に流れる記録
磁界によって不規則な磁区変化を起すため、その影響を
受けて前記フリー磁性層12の単磁区化構造は崩れてし
まい、その結果、再生時にバルクハウゼンノイズの発生
など再生特性が悪化しやすくなっていた。
ド層1、8の磁化方向を適切に磁化容易軸方向(図示X
方向)に揃えて単磁区化し、前記シールド層1,8の磁
化反転(磁気的な可逆性)を良好にする必要があると考
えられた。
るためには、従来では、例えば前記シールド層1、8を
形成するとき、図示X方向に磁界を与えながら磁場中成
膜や磁場中熱処理をしていた。
前記シールド層1、8は非常に厚い膜厚(例えば1μm
程度)であるために、完全に前記シールド層1、8を単
磁区化することはできない。このため前記シールド層
1、8内は微視的には磁気異方性が分散した状態(異方
性分散)となっており、依然として再生時や記録時に、
シールド層1、8は不規則な磁区変化を起しやすく、フ
リー磁性層12の磁化がこの影響を受けることによるバ
ルクハウゼンノイズの発生などの再生特性の悪化を適切
に解消することはできなかった。
ためのものであり、シールド層の構造を改良すること
で、前記シールド層の磁化を適切に単磁区化して磁化状
態の安定化を図ることができ、よってバルクハウゼンノ
イズの発生の抑制など再生特性の向上を効果的に図るこ
とが可能な薄膜磁気ヘッドを提供することを目的として
いる。
の上下にギャップ層を介してシールド層を有する薄膜磁
気ヘッドにおいて、少なくとも一方の前記シールド層
は、2層以上の磁性層と、前記磁性層間に介在する非磁
性の中間層とで構成される積層フェリ構造であり、最も
前記磁気検出素子から離れた磁性層の磁気検出素子対向
面と逆面側には反強磁性層が設けられていることを特徴
とするものである。
積層フェリ構造としている。これにより前記シールド層
を構成する2層以上の磁性層の磁化は、対向する磁性層
との間で生じるRKKY相互作用による交換結合磁界に
より互いに反平行にされる。
れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側に反強磁性層
を設けている。
性層と前記反強磁性層との間には交換異方性磁界が発生
し、前記磁性層は適切にトラック幅方向に単磁区化され
固定される。そして他の磁性層は上記したRKKY相互
作用による交換結合磁界によって、磁化が反平行状態に
なって適切に単磁区化される。
で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で発生するRK
KY相互作用における交換結合磁界との相乗効果によっ
て、前記シールド層を構成する全ての磁性層の磁化を効
果的に単磁区化でき、前記シールド層の磁気的な可逆性
を良好にすることができる。
ヘッドの狭ギャップ化が促進されても、前記シールド層
の磁気的な可逆性は良好で、従来のように前記シールド
層は、不規則な磁区変化を起さないので、磁気検出素子
を構成するフリー磁性層の単磁区化構造を適切に保つこ
とができ、バルクハウゼンノイズの発生を適切に抑制で
きるなど再生特性の向上を効果的に図ることが可能にな
っている。
磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、
他の磁性層の膜厚に比べて厚く形成されていることが好
ましい。
ールド機能を保ちながら、前記シールド層の磁化状態の
さらなる安定化を図ることが可能になっている。
位置に設けられた前記磁性層の膜厚は0.3μm以上で
3μm以下で形成されることが好ましい。
位置に設けられた磁性層の膜厚は、0.01μm以上で
0.1μm以下で形成されることが好ましい。
前記積層フェリ構造で形成され、一方のシールド層の合
成磁気モーメントの方向と、他方のシールド層の磁化方
向とがトラック幅方向に反平行状態となっていることが
好ましい。
方向の端部間を良好に静磁結合(カップリング)させる
ことができ、これにより前記シールド層の磁化状態のさ
らなる安定化を図ることができると共に、前記シールド
層から出る漏れ磁界が、前記磁気検出素子に流入するの
を最小限に抑えることができる。
積層フェリ構造で形成され、双方のシールド層の合成磁
気モーメントが互いにトラック幅方向に反平行状態とな
っていることが好ましい。
方向における端部間を良好に静磁結合(カップリング)
させることができ、これにより前記シールド層の磁化状
態のさらなる安定化を図ることができると共に、前記シ
ールド層から出る漏れ磁界が前記磁気検出素子に流入す
るのを最小限に抑えることができる。
ック幅方向における長さは等しい寸法で形成されている
ことが好ましい。これにより双方のシールド層のトラッ
ク幅方向における端部間を良好に静磁結合(カップリン
グ)させることができ、これにより前記シールド層の磁
化状態のさらなる安定化を図ることができると共に、前
記シールド層から出る漏れ磁界が、前記磁気検出素子に
流入するのを最小限に抑えることができる。
ック幅方向に所定の間隔を開けて形成されていてもよ
い。
形成された上部シールド層上には分離層を介して記録用
のインダクティブヘッドが設けられていることが好まし
い。
が、再生用のMRヘッドと記録用のインダクティブヘッ
ドとが複合形成された形態であっても、本発明における
シールド層の磁化状態は適切に単磁区化されて安定化し
ているため、前記インダクティブヘッドからの記録磁界
の影響を受けても前記シールド層の単磁区化構造は崩れ
ず、従って磁気検出素子のフリー磁性層の単磁区化構造
も適切に保たれ、良好な再生特性を維持することができ
る。
形成された上部シールド層は、記録用のインダクティブ
ヘッドの下部コア層として兼用され、前記上部シールド
層の上にギャップ層を介して上部コア層が対向している
構成であってもよい。
ドからの記録磁界の影響によって前記上部シールド層の
単磁区化構造が崩れ難く、前記上部シールド層の磁化状
態を安定に保つことができて、良好な再生特性を維持で
きると共に、製造工程を簡略化することができる。
Mn(ただしXは、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptのう
ちいずれか1種または2種以上)合金で形成されること
が好ましい。
理を施さなくても磁場中成膜で、磁性層との間で交換異
方性磁界を発生させることができる。このように熱処理
を必要としないことで製造行程を簡略化することができ
る。
下どちらに形成された場合でも前記磁性層との間で適切
に交換異方性磁界を発生させることが可能な材料であ
る。
Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるい
は2種以上の非磁性材料で形成されることが好ましい。
前記非磁性材料で形成された中間層を用いることで、前
記中間層の上下に形成される磁性層間で効果的に大きな
RKKY相互作用による交換結合磁界を発生させること
ができ、前記磁性層の磁化を互いに反平行状態にして適
切に単磁区化することができる。
薄膜磁気ヘッドを示すものであり、記録媒体の対向面側
から見た部分断面である。なお、ハードディスクなどの
磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気記録媒体
からの洩れ磁界の方向はY方向である。
ドを構成するスライダのトレーリング側端面に形成され
たものであり、再生用のMRヘッドh1と、記録用のイ
ンダクティブヘッドh2とが積層されたものとなってい
る。
てハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出
し、記録信号を読み取るものである。
は、スライダのトレーリング側端面に設けられたAl2
O3などで形成された絶縁層20であり、この絶縁層2
0の上に下部反強磁性層21が形成されている。
の上には、積層フェリ構造から成る下部シールド層25
が形成されている。
性層22、中間層23、および第2磁性層24の3層構
造から成る。
は、NiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、
Coなどの磁性材料で形成される。これら磁性材料は軟
磁気特性に優れる。シールド機能を発揮させるには軟磁
気特性が良好であることが重要であり、これら磁性材料
を使用することで下部シールド層25のシールド機能を
向上させることができる。
4間に形成された中間層23は、Ru、Rh、Ir、C
r、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材
料で形成されることが好ましい。
上にはAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成された
下部ギャップ層26が形成されている。
の上には磁気検出素子27が形成されている。この実施
形態では前記磁気検出素子27は多層膜28と、前記多
層膜28のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成
されたハードバイアス層29とその上に重ねられた電極
層30とで構成されている。
く説明するが、例えば前記多層膜28は、反強磁性層、
固定磁性層、非磁性導電層及びフリー磁性層の4層構造
で形成されたシングルスピンバルブ型構造である。
27上、および下部ギャップ層26上には、Al2O3や
SiO2などで形成された上部ギャップ層31が形成さ
れている。
シールド層35が形成されている。前記上部シールド層
35は、下部シールド層25と同じく積層フェリ構造で
ある。
5は、下から第2磁性層32、中間層33、および第1
磁性層34の順で積層形成されている。
材質は、下部シールド層25を構成する第1磁性層22
及び第2磁性層24と同じである。また前記上部シール
ド層35を構成する中間層33の材質は、下部シールド
層25を構成する中間層23の材質と同じである。
層35の第1磁性層34の上には上部反強磁性層36が
形成されている。
は、Al2O3やSiO2などの絶縁材料で形成された分
離層37を介して記録用のインダクティブヘッドh2が
設けられている。
e合金などで形成された下部コア層38と、前記下部コ
ア層38の上面中央に形成されたNiFe合金などの下
部磁極層39、NiPなどの非磁性のギャップ層40、
NiFe合金などの上部磁極層41と、前記下部磁極層
39から上部磁極層41のトラック幅方向(図示X方
向)の両側に形成されたAl2O3などの絶縁層42と、
前記上部磁極層41上から前記絶縁層42上にかけて形
成されたNiFe合金などの上部コア層43と、図示Y
方向後方に形成されたコイル層(図示しない)とを有し
て構成されている。
層25及び上部シールド層35が積層フェリ構造で形成
されている。なお積層フェリ構造にするには、各シール
ド層25、35を構成する磁性層22、24、32、3
4の単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×
膜厚t)を互いに異ならせることが必要である。
5を構成する最も磁気検出素子27から離れた位置の磁
性層、すなわち第1磁性層22、34の磁気検出素子対
向面22a、34aと逆面22b、34b側には、それ
ぞれ反強磁性層21、36が設けられている。
4の磁化は、前記反強磁性層21、36間で発生する交
換異方性磁界により、トラック幅方向に向けられ固定さ
れる。
された磁性層の磁化、すなわち第2磁性層24、32の
磁化は、前記第1磁性層22、34との間で働くRKK
Y相互作用による交換結合磁界によって前記第1磁性層
22、34とは反平行に磁化される。
5、35を積層フェリ構造にし、しかも磁気検出素子2
7から遠い側の第1磁性層22、34の磁気検出素子対
向面22a、34aと逆面22b、34b側に反強磁性
層21、36を設けたことで、前記反強磁性層21、3
6との間で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で働く
RKKY相互作用による交換結合磁界との相乗効果によ
って、前記シールド層25、35を構成する各磁性層2
2、24、32、34の磁化を適切に単磁区化でき、安
定した磁化状態を得ることが可能である。
層25、35の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にで
き、従来のように前記シールド層25、35に不規則な
磁区変化は生じず、よって今後の高記録密度化によりシ
ールド層25、35間のギャップ長Gl1が短くなって
も、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は適
切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウゼ
ンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄膜
磁気ヘッドを製造することが可能になる。
上部シールド層35の特徴的構造について説明する。
最も磁気検出素子27に近い磁性層、すなわち第2磁性
層24、32の膜厚t1、t2は、他の磁性層、すなわ
ち第1磁性層22、34の膜厚t3、t4に比べて厚く
形成されていることが好ましい。
4は、第2磁性層24、32に比べて薄い膜厚で形成さ
れているため、前記反強磁性層21、36との間で発生
する交換異方性磁界によって、前記第1磁性層22、3
4の磁化は適切にトラック幅方向に単磁区化され、そし
て強固に固定される。
第1磁性層22、34との間で働くRKKY相互作用に
よる交換結合磁界によって、前記第1磁性層22、34
の磁化方向とは反平行になって適切に単磁区化される。
t1、t2は、第1磁性層22、34に比べて厚く形成
されるため、第2磁性層24、32の磁気検出素子対向
面24a、32aと逆面側付近A、Bでは、磁化が上記
のRKKY相互作用の影響を強く受けてトラック幅方向
に強固に固定され、一方、前記逆面側付近A、B以外の
領域C、Dでは、領域AとCとの間、領域BとDとの間
で強磁性結合が存在し、また領域C、Dでは、RKKY
相互作用の影響は弱くなるが、ゼロにはならず残ってい
るので、前記領域C、Dの第2磁性層24、32もトラ
ック幅方向に適切に単磁区化された状態になる。この実
施形態では、前記逆面側付近A、B以外の領域C、Dの
第2磁性層24、32の磁化は、トラック幅方向に強く
固定されておらず、外部磁界に対し磁化反転しやすくな
っている。
ルド層25、35を構成する磁性層22、24、32、
34全てがシールドとしての機能を持ち合わせず、前記
第2磁性層24、32の前記磁気検出素子対向面24
a、32aに近い領域C、Dのみが実質的にシールド機
能を有するものとなっている。
5の磁化状態のさらなる安定化を図ることができる。
34を第2磁性層24、32よりも厚く形成すると、膜
厚の厚い第1磁性層22、34と反強磁性層21、36
との間で発生する交換異方性磁界は、前記第1磁性層2
2、34が薄い場合に比べて弱まることがわかってい
る。
交換異方性磁界のために全体が適切な単磁区化構造とな
らない可能性があり、このため特に前記第1磁性層2
2、34の磁気検出素子対向面付近には局部的に磁化分
散領域が生じやくなると考えられる。従って第2磁性層
24、32にも同様に局部的な磁化分散領域が生じ易く
なり、前記シールド層25、35は外部磁界の影響を受
けることで不規則な磁区変化が生じ易くなって、この影
響をフリー磁性層が受けることで再生特性の低下を招く
虞がある。
を積層フェリ構造にせず、単層構造で反強磁性層を用い
た場合でも、本発明に比べて前記シールド層25、35
の単磁区化を適切に促進させることはできない。
1と接する第1磁性層22、34を第2磁性層24、3
2よりも薄い膜厚とすると、前記第1磁性層22、34
と反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁
界は強まる。従って前記第1磁性層22、34全体の磁
化を前記反強磁性層21、36との交換異方性磁界によ
って適切に単磁区化し強固に固定できる。このため、第
2磁性層24、32の領域A、Bの磁化をRKKY相互
作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化し固定
でき、このとき前記第2磁性層24、32の膜厚を厚く
しても、領域C、Dの第2磁性層24、32を適切な単
磁区化状態にでき、しかも前記第2磁性層24、32の
磁気検出素子対向面24a、32a付近の領域C、Dの
磁化は、外部磁界に対して磁化反転しやすく、この部分
にシールド機能を持たせることが可能となるのである。
このように本発明では、シールド機能を有するとともに
磁化状態の安定化をより促進させることが可能なシール
ド構造を提供することができるのである。
置に設けられた磁性層、すなわち第1磁性層22、34
の膜厚t3、t4は、0.01μm以上で0.1μm以
下であることが好ましい。
小さくなると第1磁性層22、34の単位面積当たりの
磁気モーメント(Ms×t)と第2磁性層24、32の
単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)との差が
大きくなりすぎ、第2磁性層24、32の磁化方向を所
定方向に揃えきれないといった問題が発生する。
りも大きくなると、前記反強磁性層21、36との間で
生じる交換異方性磁界が急激に弱くなって前記第1磁性
層22、34の磁化を単磁区化して強固に固定できなく
なる。
位置に設けられた磁性層、すなわち第2磁性層24、3
2の膜厚t1、t2は、0.3μm以上で3.0μm以
下であることが好ましい。
さくなると、前記第2磁性層24、32全体の磁化が固
定されやすくなり、前記第2磁性層24、32に適切に
シールド機能を持たせることができなくなる。
も大きくなると、第1磁性層22、34の単位面積当た
りの磁気モーメント(Ms×t)と第2磁性層24、3
2の単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)との
差が大きくなりすぎ、第2磁性層24、32の磁化方向
を所定方向に揃えきれないといった問題が発生する。
いて説明する。図1に示す実施形態では、下部シールド
層25の第1磁性層22がトラック幅方向の図示左方向
に磁化されており、そのため前記下部シールド層25の
第2磁性層24は図示右側に磁化された状態になってい
る。
4の磁化はトラック幅方向の図示右方向に磁化されてお
り、そのため前記上部シールド層35の第2磁性層32
の磁化は図示左方向に磁化された状態になっている。
性層22、34よりも厚い膜厚で形成されているから、
前記第2磁性層24、32の方が第1磁性層22、34
よりも単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms
×膜厚t)は大きくなっている。
性層24、32の単位面積当たりの磁気モーメントのベ
クトル和からなる合成磁気モーメントは、下部シールド
層25では、図示右側に、上部シールド層35では図示
左側に向いている。
ルド層35とで合成磁気モーメントの方向を反平行にす
ることで、下部シールド層25と上部シールド層35の
トラック幅方向における端部間を、静磁結合(カップリ
ング)E、Fさせることが可能になる。図1に示す実施
形態では、磁気モーメントの支配的な前記第2磁性層2
4、32のトラック幅方向(図示X方向)における端部
間が、静磁結合(カップリング)しているものと考えら
れる。
静磁結合させることで、前記シールド層25、35を構
成する磁性層22、24、32、34、の磁化状態の安
定化をさらに促進させることができると共に、前記第2
磁性層24、32から漏れる磁界が前記磁気検出素子2
7に流入することを抑制でき、さらなる再生特性の向上
を図ることができる。
することで、さらに下部シールド層25と上部シールド
層35間における静磁結合を強めることができる。
ド層25を構成する第1磁性層22、第2磁性層24、
および前記上部シールド層35を構成する第1磁性層3
4、第2磁性層32のトラック幅方向(図示X方向)に
おける長さ寸法は等しくL1である。
ールド層35とのトラック幅方向における端部間での静
磁結合を強めることができ、前記シールド層25、35
を構成する磁性層22、24、32、34の磁化状態の
安定化をさらに促進させることができると共に、前記第
2磁性層24、32から漏れる磁界が前記磁気検出素子
27に流入することを抑制でき、さらなる再生特性の向
上を図ることができる。
は、例えば磁場中で下部反強磁性層21と下部シールド
層25の第1磁性層22を成膜して、図1のような下部
シールド層25の磁化状態を得る。このときの磁場の大
きさはいくらでも良い。
2と第2磁性層24とのフェリ状態が崩れるときの磁界
(スピンフロップ磁界)よりも十分に大きな磁場(飽和
磁界以上)を与え、磁場方向を図示左方向とすると第1
磁性層22と第2磁性層24は共に図示左方向を向く。
このとき第1磁性層22の磁化は下部反強磁性層21と
の間での交換異方性磁界によって、図示左方向に固定さ
れる。一方、第2磁性層24は、磁場を取り除くと第1
磁性層22とのRKKY相互作用による交換結合磁界に
よって図示右方向を向く。
を成膜してその上に上部反強磁性層36を成膜すると
き、下部シールド層25の第1磁性層22と第2磁性層
24とのフェリ状態が崩れるときの磁界(スピンフロッ
プ磁界)よりも十分に小さい磁場を与え、また磁場の向
きを図示左方向とする。
界であれば、下部シールド層25のフェリ状態は崩れる
ことはない。一方、上部シールド層35では、支配的な
磁気モーメントを有する第2磁性層32は、左磁場の影
響で左方向を向き、RKKY相互作用によって第1磁性
層34は図示右方向を向く。そして前記第1磁性層34
の磁化は上部反強磁性層36との間で発生する交換異方
性磁界によって強く固定されるのである。
比について説明する。本発明では前記反強磁性層21、
36はX−Mn(ただしXは、Ir、Ru、Rh、P
d、Ptのうちいずれか1種または2種以上)合金で形
成されることが好ましい。
熱処理を施さなくても、磁場中成膜のみで前記第1磁性
層22、34との間で交換異方性磁界を発生させること
ができる材質である。
の組成比は、10原子%以上で40原子%以下であるこ
とが好ましい。
の組成比は10原子%以上で45原子%以下であること
が好ましい。
の組成比は、10原子%以上で40原子%以下であるこ
とが好ましい。
の組成比は、10原子%以上で25原子%以下であるこ
とが好ましい。
の組成比は、10原子%以上で25原子%以下であるこ
とが好ましい。
種以上の原子の総合組成比は10原子%以上で45原子
%以下であることが好ましい。
耐食性に優れるとともに、前記第1磁性層22、34間
で発生する交換異方性磁界の温度変化による変化を小さ
くでき、よって使用環境の変化に強い薄膜磁気ヘッドを
製造できる。
処理を施さなくても、磁場中成膜によって、第1磁性層
22、34との間で交換異方性磁界を発生し得る材料で
ある。したがって薄膜磁気ヘッドの製造工程の簡略化を
図ることができる。
層22、34の上下のどちらに形成された場合でも前記
第1磁性層22、34との間で適切に交換異方性磁界を
発揮し得る材料である。したがって、下部反強磁性層2
1と上部反強磁性層36に同じ材質のX−Mn合金を使
用することが可能であり、薄膜磁気ヘッドの製造工程の
簡略化を図ることができる。
2、34との間で交換異方性磁界を発生し得る反強磁性
材料としては、他にFeMn、α−Fe2O3、NiOな
どがある。これら反強磁性材料を使用してもかまわない
が、X−Mn合金のように第1磁性層22、34の上下
のどちらでも交換異方性磁界を発生し得る材料ではない
ので、下部反強磁性層21と上部反強磁性層36とで反
強磁性材料を変える必要がある。
で反強磁性層21、36を形成するとき、前記反強磁性
層21、36を磁場中成膜で形成する。
2、34との間で交換異方性磁界を発生し得ない材料、
具体的にはNiMn合金やPtMn合金などを使用して
もかまわない。なおPtMn合金は熱処理なしでも上記
組成範囲であれば交換異方性磁界を発生させることがで
きるが、熱処理をすることでさらに大きな交換異方性磁
界を発生させることができ、また交換異方性磁界を発生
し得る組成範囲を広げることができる。
4、32との間に形成された中間層23、33について
以下に説明する。
は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種ま
たは2種以上の非磁性材料で形成されることが好まし
い。前記非磁性材料を中間層23、33に使用すること
で、前記第1磁性層22、34と第2磁性層24、32
間にRKKY相互作用による交換結合磁界を適切に発生
させることができ、前記第1磁性層22、34の磁化方
向と第2磁性層24、32の磁化方向を適切に反平行状
態に保つことができる。
上で12Å以下であることが好ましい。これにより前記
第1磁性層22、34と第2磁性層24、32間に発生
するRKKY相互作用における交換結合磁界を大きくで
き、前記第1磁性層22、34の磁化方向と第2磁性層
24、32の磁化方向を適切に反平行状態に保つことが
できる。
の構造について説明する。図2は本発明における第2実
施形態の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図である。なお図1に示す符号と同じ符号が
つけられている層は図1と同じ層を示している。
4の構造、およびインダクティブヘッドの構造が図1に
示す実施形態と異なっている。
は、トラック幅方向(図示X方向)に所定の間隔L2を
開けて、上部シールド層35の第1磁性層34の両側端
部上に形成されている。
1磁性層34上にかけて、Al2O3などで形成された非
磁性のギャップ層45が形成され、前記ギャップ層45
の上に上部コア層46が形成されている。
を得ることができる。すなわち本発明では、前記シール
ド層25、35を積層フェリ構造にし、しかも磁気検出
素子27から遠い側の第1磁性層22、34の磁気検出
素子対向面と逆面側に反強磁性層21、44を設けたこ
とで、前記反強磁性層21、44との間で発生する交換
異方性磁界と、磁性層間で働くRKKY相互作用による
交換結合磁界との相乗効果によって、前記シールド層2
5、35を構成する各磁性層22、24、32、34の
磁化を適切に単磁区化でき、安定した磁化状態を得るこ
とが可能である。
層25、35の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にで
き、従来のように前記シールド層25、35に不規則な
磁区変化が起こらず、よって今後の高記録密度化により
シールド層25、35間のギャップ長Gl1が短くなっ
ても、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は
適切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウ
ゼンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄
膜磁気ヘッドを製造することが可能になる。
近い側の第2磁性層24、32の膜厚を、第1磁性層2
2、34の膜厚よりも厚くすることで、薄い膜厚の第1
磁性層22、34の磁化を、前記反強磁性層21、44
との間で発生する交換異方性磁界によって適切に単磁区
化し強固に固定できる。このため、第2磁性層24、3
2の第1磁性層22、34に近い付近の磁化をRKKY
相互作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化し
固定でき、しかも前記第2磁性層24、32の磁気検出
素子対向面付近の磁化は、外部磁界に対して磁化反転し
やすく、この部分にシールド機能を持たせることが可能
となる。このように本発明では、シールド機能を有する
とともに磁化状態の安定化をより促進させることが可能
なシールド構造を提供することができる。
第1磁性層34上における反強磁性層44間に所定の間
隔L2を空けることで、前記間隔L2内から露出する第
1磁性層34上にギャップ層45を介して上部コア層4
6を対向させることができる。
する下部コア層は、前記上部シールド層35の第1磁性
層34であり、前記インダクティブヘッドh2は、前記
第1磁性層34、ギャップ層45、および上部コア層4
6を有して構成されることになる。図1の場合は、上部
反強磁性層36上に分離層37を設けて下部コア層38
を設ける必要があったが、図2の実施形態は図1の実施
形態に比べて薄膜磁気ヘッドの製造工程を簡略化するこ
とができる。
2は、前記上部コア層46のトラック幅方向(図示X方
向)における幅寸法で決定されるトラック幅Twよりも
大きいことが好ましい。これにより前記間隔L2内に露
出する第1磁性層34上にギャップ層45を介して上部
コア層46を適切に対向させることができ、前記ギャッ
プ層45の膜厚で決定されるギャップ長Gl2の狭ギャ
ップ化を実現することができる。
定の間隔を空けて前記下部シールド層25を構成する第
1磁性層22の両側端部下に形成されていてもよい。
層44が、所定の間隔L2を空けて上部シールド層35
を構成する第1磁性層34の両側端部上に形成されてい
る場合でも、図1と同じように分離層37を設けてイン
ダクティブヘッドh2を形成してもよい。
磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図
である。なお図1と同じ符号がつけられている層は図1
と同じ層を示している。
が、図1の下部シールド層25のように積層フェリ構造
ではなく、従来と同じ単層構造である。
シールド層35側のみが積層フェリ構造になっている。
れるインダクティブヘッドh2からの記録磁界が一部流
入しやすい。記録磁界は数千Oe(数万(A/m)〜数
十万(A/m))の非常に大きな磁界であるためにシー
ルド層のどちらか一方を積層フェリ構造とする場合、下
部シールド層47よりも上部シールド層35側を積層フ
ェリ構造にして、前記上部シールド層35の磁化状態を
安定化させた方が、再生時のみならず記録時において
も、磁気検出素子27を構成するフリー磁性層の単磁区
化構造を適切に保つことができ、バルクハウゼンノイズ
の発生などを低減できる再生特性に優れた薄膜磁気ヘッ
ドを製造することができる。
5を構成する第2磁性層32は図示左方向に磁化され、
第1磁性層34は図示右方向に磁化されており、膜厚が
大きな第2磁性層32は第1磁性層34よりも単位面積
当たりの磁気モーメントが支配的となっているので、前
記第1磁性層34と第2磁性層32との単位面積当りの
磁気モーメントのベクトル和で求めることができる合成
磁気モーメントは図示左方向を向いている。
5と下部シールド層47との端部間を静磁結合を生じさ
せるために、前記下部シールド層47の磁化を図示右方
向に磁化して、前記上部シールド層35の合成磁気モー
メントと下部シールド層47の磁化方向とを反平行状態
にすることが好ましい。これにより前記上部シールド層
35及び下部シールド層47の磁化状態をより安定化さ
せることができ、また前記下部シールド層47及び上部
シールド層35から漏れる磁界が前記磁気検出素子27
に流入するのを抑制することができ、再生特性の向上を
より適切に図ることができる。
ールド層47が単層構造で形成されているが、前記下部
シールド層47の下に反強磁性層を設けることが、前記
反強磁性層を設けない場合に比べて、前記下部シールド
層47の磁化状態を安定化させることができるので好ま
しい。また前記下部シールド層47の下に形成される前
記反強磁性層は、図2のようにトラック幅方向に所定の
間隔を空けて形成されてもよい。
ドh2とが形成された複合型薄膜磁気ヘッドにおいて、
上部シールド層が従来と同じ単層構造でも、下部シール
ド層47側を積層フェリ構造にすることで、従来に比べ
れば再生特性の安定性を図ることができる。またかかる
場合、上部シールド層を下部コア層と兼用させて、前記
上部シールド層の上にギャップ層を介して上部コア層を
形成してもよいし、また前記上部シールド層の上に反強
磁性層を設けてもよい。
磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図
である。なお図1と同じ符号がつけられている層は図1
と同じ層を示している。
び上部シールド層52は共に積層フェリ構造であるが、
前記下部シールド層50及び上部シールド層52を構成
する磁性層はそれぞれ3層となっている。
(図1では第1磁性層22と呼んでいたがここでは単に
磁性層22と呼ぶ)、磁性層48及び磁性層24(図1
では第2磁性層24と呼んでいたがここでは単に磁性層
24と呼ぶ)が設けられ、各磁性層の間にRuなどで形
成された中間層23、49が設けられている。磁気検出
素子27から最も離れた位置にある磁性層22の磁気検
出素子対向面と逆面側には下部反強磁性層21が設けら
れている。
発生する交換異方性磁界によって前記磁性層22の磁化
はトラック幅方向に、例えば図4の場合では図示右方向
に単磁区化され固定される。そうすると中間層23を介
して前記磁性層22に対向する磁性層48の磁化はRK
KY相互作用による交換結合磁界によって図示左方向に
単磁区化され固定される。
て対向する磁性層24の磁化は、RKKY相互作用によ
る交換結合磁界によって図示右方向に単磁区化されるの
である。
2(図1では第2磁性層32と呼んでいたがここでは単
に磁性層と呼ぶ)、磁性層51、及び磁性層34(図1
では第1磁性層34と呼んでいたがここでは単に磁性層
と呼ぶ)が設けられ、前記磁性層間にはRuなどで形成
された中間層33、55が介在している。そして磁気検
出素子27から最も離れた位置にある磁性層34の磁気
検出素子対向面と逆面側には上部反強磁性層36が設け
られている。
発生する交換異方性磁界によって前記磁性層34の磁化
はトラック幅方向に、例えば図4の場合では図示左方向
に単磁区化され固定される。そうすると中間層33を介
して前記磁性層34に対向する磁性層51の磁化はRK
KY相互作用による交換結合磁界によって図示右方向に
単磁区化され固定される。
て対向する磁性層32の磁化は、RKKY相互作用によ
る交換結合磁界によって図示左方向に単磁区化されるの
である。
構成する磁性層を3層にすることで図1のように各シー
ルド層25、35を構成する磁性層を2層にした場合に
比べて、さらに各シールド層50、52を構成する磁性
層の磁化を適切に単磁区化でき、磁化状態の安定性を図
ることができる。
層50、52の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にで
き、従来のように前記シールド層50、52に不規則な
磁区変化が起こらず、よって今後の高記録密度化により
シールド層50、52間のギャップ長Glが短くなって
も、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は適
切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウゼ
ンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄膜
磁気ヘッドを製造することが可能になる。
近い側の磁性層24、32の膜厚を、前記磁気検出素子
27から遠い磁性層22、34の膜厚よりも厚くするこ
とで、薄い膜厚の第1磁性層22、34の磁化を、前記
反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界
によって適切に単磁区化し強固に固定できる。このた
め、中間に位置する磁性層48、51を介して、磁気検
出素子に最も近い磁性層24、32の磁化もRKKY相
互作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化で
き、しかも前記磁性層24、32の磁気検出素子対向面
付近の磁化は、外部磁界に対して磁化反転しやすく、こ
の部分にシールド機能を持たせることが可能となる。こ
のように本発明では、シールド機能を有するとともに磁
化状態の安定化をより促進させることが可能なシールド
構造を提供することができる。
厚であるが、この磁性層48、51の膜厚は、少なくと
も磁気検出素子27に最も近い位置に形成された磁性層
24、32よりも薄い膜厚とする。ただし、適切なフェ
リ構造を保つようにするには、対向する磁性層との間で
単位面積当たりの磁気モーメントを異ならせる必要があ
り、例えば各磁性層の材質が同じである場合に、対向す
る磁性層の膜厚を異ならせなければならない。このため
例えば中間に位置する磁性層48、51の膜厚を、磁気
検出素子27から最も遠い位置に形成された磁性層2
2、34よりも若干、厚い膜厚とする。
単位面積当たりの磁気モーメントのベクトル和からなる
合成磁気モーメントは図示右側方向を向いており、上部
シールド層52の各磁性層の単位面積当たりの磁気モー
メントのベクトル和からなる合成磁気モーメントは図示
左方向を向いており、すなわち下部シールド層50と上
部シールド層52とで合成磁気モーメントの方向を反平
行にすることで、下部シールド層50と上部シールド層
52との端部間を、静磁結合(カップリング)E、Fさ
せることが可能になる。なお図4に示す実施形態では、
磁気モーメントの支配的な前記磁性層24、32のトラ
ック幅方向(図示X方向)における端部間が、静磁結合
(カップリング)されるものと考えれる。このように前
記シールド層50、52間を互いに静磁結合させること
で、前記シールド層25、35を構成する磁性層の磁化
状態の安定化を促進させることができると共に、前記シ
ールド層50、52から漏れる磁界が前記磁気検出素子
27に流入するのを適切に抑制でき、さらなる再生特性
の向上を図ることができる。
は図1のみにおいて説明した好ましい構造等は、図2な
いし図4のいずれの実施形態でも適用できるものであ
る。
ドh1の他にインダクティブヘッドh2が設けられてい
るが、本発明では前記インダクティブヘッドh2が設け
られていなくてもよい。
性層は2層以上であればよい。最後に、本発明における
磁気検出素子27の具体的な構造を図面を参照しながら
説明する図5は、本発明の一実施形態の磁気検出素子2
7の構成を記録媒体との対向面側から見た部分断面図で
ある。
ピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる構造である。
60、固定磁性層61、非磁性導電層62、フリー磁性
層63の順で形成されている。
などで形成される。またこの実施形態では前記固定磁性
層61が、磁性層64/非磁性中間層65/磁性層66
の膜構成で形成された積層フェリ構造となっている。前
記磁性層64、66は、NiFe合金、CoFeNi合
金、CoFe合金、Coなどの磁性材料で形成される。
また非磁性中間層65は、Ru、Rh、Ir、Cr、R
e、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材料で形
成される。
66の磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)が互い
に異なるように調整され、磁性層64の磁化は例えば図
示Y方向と逆方向に磁化され、反強磁性層60との間で
発生する交換結合磁界によってピン止めされると、もう
一方の磁性層66の磁化は、磁性層64との間で発生す
るRKKY相互作用による交換結合磁界によって、図示
Y方向を向き前記磁性層64の磁化と反平行状態になっ
てピン止めされる。
固定磁性層61と同じように積層フェリ構造となってい
る。前記フリー磁性層63は例えば磁性層67/非磁性
中間層68/磁性層69の3層構造である。
気モーメントを有している。図5に示すように前記磁性
層67のトラック幅方向(図示X方向)の両側にはCo
Ptなどで形成されたハードバイアス層29が形成さ
れ、前記ハードバイアス層29からの縦バイアス磁界の
影響を受けて前記磁性層67の磁化が図示X方向と逆方
向に向くと、前記磁性層69の磁化は、前記磁性層67
との間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁
界によって図示X方向を向き、前記磁性層67の磁化と
反平行状態にされる。
29の下には例えばCrなどで形成された配向膜71が
形成されており、また前記ハードバイアス層29の上に
はW(タングステン)やCuなどで形成された電極層3
0が形成されている。
は、多層膜28の順番が下から反強磁性層60、固定磁
性層61、非磁性中間層62、およびフリー磁性層63
となっているが、これが逆の順番であってもよい。
性層63は積層フェリ構造である必要はなく、例えば磁
性材料の単層構造あるいは多層構造であってもよい。
の上に形成されているが、前記多層膜28の両側に下か
ら電極層30、ハードバイアス層29の順に積層形成さ
れていてもよい。
検出素子27の構造を記録媒体との対向面側から見た部
分断面図である。
ネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる構造である。図5
との違いは、図5における非磁性中間層62はCuなど
の非磁性導電材料で形成されていたが、図6では固定磁
性層61とフリー磁性層63との間にAl2O3やSiO
2などの絶縁材料で形成された中間層73が形成されて
いる。
記多層膜28の上下に電極層74、74が形成されてい
る。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、2つの磁性層
(ここでは固定磁性層61とフリー磁性層63)に電圧
を印加すると、中間層73を電流(トンネル電流)が流
れ、トンネル効果が発揮される。
のトンネル効果の原理を利用して記録媒体からの洩れ磁
界を検出するものである。
のトラック幅方向の両側にはハードバイアス層29が形
成されているが、前記ハードバイアス層29と電極層7
4間には絶縁層75、75が形成されており、前記絶縁
層75により前記電極層74からのセンス電流が前記ハ
ードバイアス層29に分流しないようになっている。
の部分が図5と同じ非磁性中間層62で形成されたCP
P型のスピンバルブ型薄膜素子というものがある。かか
る磁気検出素子でも本発明を適用できる。
気検出素子27の構造を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
3の上下に非磁性中間層62、62、固定磁性層61、
61、および反強磁性層60、60が1層づつ形成され
た、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれ
る構造である。
は、CoFe合金やCoなどで形成された磁性層76、
76、およびNiFe合金などで形成された磁性層77
の3層構造である。前記磁性層76は、前記非磁性中間
層62と前記磁性層77間で金属元素が拡散することを
防止するための拡散防止層であり、抵抗変化量(ΔR)
及び抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることができ
る。なお前記フリー磁性層63は、図5と同じように積
層フェリ構造で形成されていてもよい。
ク幅方向における両側には、下からCrなどの配向膜7
1、ハードバイアス層29、および電極層30が形成さ
れている。
記多層膜28の上下に電極層30、30が形成されたC
PP(current perpendicular to the plane)型の
デュアルスピンバルブ型薄膜素子においても本発明を適
用でき、また多層膜28の非磁性中間層62を絶縁層の
中間層73に代えて前記多層膜28の上下に電極層3
0、30が形成されたデュアル型のトンネル型磁気抵抗
効果型素子においても本発明を適用できる。
構造としては、NiFe合金などで形成された磁気抵抗
層(MR層)と、Taなどで形成されたシャント層と、
NiFe合金などで形成されたSAL層との3層で形成
された異方性磁気抵抗効果を用いたAMR型磁気抵抗効
果素子であってもよい。
も一方のシールド層を2層以上の磁性層と、磁性層間に
非磁性の中間層が介在する積層フェリ構造としている。
これにより前記シールド層を構成する2層以上の磁性層
の磁化は、対向する磁性層との間で生じるRKKY相互
作用による交換結合磁界により互いに反平行にされる。
れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側に反強磁性層
を設けている。
性層と前記反強磁性層との間には交換異方性磁界が発生
し、前記磁性層は適切にトラック幅方向に単磁区化され
固定される。そして他の磁性層は上記したRKKY相互
作用による交換結合磁界によって、磁化が反平行状態に
なって適切に単磁区化される。
で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で発生するRK
KY相互作用における交換結合磁界との相乗効果によっ
て、前記シールド層を構成する全ての磁性層の磁化を効
果的に単磁区化でき、前記シールド層の磁気的な可逆性
を良好にすることができる。
ヘッドの狭ギャップ化が促進されても、前記シールド層
の磁気的な可逆性は良好で、従来のように前記シールド
層は、不規則な磁区変化を起さないので、磁気検出素子
を構成するフリー磁性層の単磁区化構造を適切に保つこ
とができ、バルクハウゼンノイズの発生を適切に抑制で
きるなど再生特性の向上を効果的に図ることが可能にな
っている。
磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、
他の磁性層の膜厚に比べて厚く形成されていることが好
ましい。これによって、前記シールド層は適切にシール
ド機能を保ちながら、前記シールド層の磁化状態の安定
化をさらに図ることが可能になっている。
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
との対向面側から見た部分断面図、
媒体との対向面側から見た部分断面図、
媒体との対向面側から見た部分断面図、
向面側から見た部分断面図、
Claims (12)
- 【請求項1】 磁気検出素子の上下にギャップ層を介し
てシールド層を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、 少なくとも一方の前記シールド層は、2層以上の磁性層
と、前記磁性層間に介在する非磁性の中間層とで構成さ
れる積層フェリ構造であり、最も前記磁気検出素子から
離れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側には反強磁
性層が設けられていることを特徴とする薄膜磁気ヘッ
ド。 - 【請求項2】 前記磁性層のうち、最も磁気検出素子に
近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、他の磁性層の膜
厚に比べて厚く形成されている請求項1記載の薄膜磁気
ヘッド。 - 【請求項3】 最も磁気検出素子に近い位置に設けられ
た前記磁性層の膜厚は0.3μm以上で3μm以下で形
成される請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項4】 最も磁気検出素子に遠い位置に設けられ
た磁性層の膜厚は、0.01μm以上で0.1μm以下
で形成される請求項2または3に記載の薄膜磁気ヘッ
ド。 - 【請求項5】 一方のシールド層のみが前記積層フェリ
構造で形成され、一方のシールド層の合成磁気モーメン
トの方向と、他方のシールド層の磁化方向とがトラック
幅方向に反平行状態となっている請求項1ないし4のい
ずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項6】 両方のシールド層が前記積層フェリ構造
で形成され、双方のシールド層の合成磁気モーメントが
互いにトラック幅方向に反平行状態となっている請求項
1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項7】 両方のシールド層のトラック幅方向にお
ける長さは等しい寸法で形成されている請求項5または
6に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項8】 前記反強磁性層は、トラック幅方向に所
定の間隔を開けて形成されている請求項1ないし7のい
ずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項9】 前記磁気検出素子の上に形成された上部
シールド層上には分離層を介して記録用のインダクティ
ブヘッドが設けられている請求項1ないし8のいずれか
に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項10】 前記磁気検出素子の上に形成された上
部シールド層は記録用のインダクティブヘッドの下部コ
ア層として兼用され、前記上部シールド層の上にギャッ
プ層を介して上部コア層が対向している請求項8記載の
薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項11】 前記反強磁性層は、X−Mn(ただし
Xは、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptのうちいずれか1
種または2種以上)合金で形成される請求項1ないし1
0のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項12】 前記非磁性の中間層は、Ru、Rh、
Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の
非磁性材料で形成される請求項1ないし11のいずれか
に記載の薄膜磁気ヘッド。
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