JPH05135332A - 磁気抵抗効果再生ヘツドおよびそれを用いた磁気記録装置 - Google Patents

磁気抵抗効果再生ヘツドおよびそれを用いた磁気記録装置

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JPH05135332A
JPH05135332A JP12447092A JP12447092A JPH05135332A JP H05135332 A JPH05135332 A JP H05135332A JP 12447092 A JP12447092 A JP 12447092A JP 12447092 A JP12447092 A JP 12447092A JP H05135332 A JPH05135332 A JP H05135332A
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magnetic
film
layer
magnetoresistive
hard magnetic
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JP12447092A
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Toshio Kobayashi
俊雄 小林
Masahiro Kitada
正弘 北田
Isamu Yuhito
勇 由比藤
Noboru Shimizu
昇 清水
Naoki Koyama
直樹 小山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】素子形成プロセスを簡略し得る構造で、バルク
ハウゼンノイズの発生を防止し、かつ、磁気抵抗効果素
子層及びその上に積層される記録ヘッドに段差が生じる
こと、及び応力が集中することを抑制し、薄い磁気抵抗
層が硬磁性体層の段差部で破断されることを防止するこ
と。 【構成】 中央部感磁領域102と端部磁区制御領域1
03を有する強磁性体材料の薄膜からなる磁気抵抗効果
膜3と、端部磁区制御領域103に重なって直接接する
硬磁性体材料の薄膜からなる硬磁性体層1を設け、磁気
抵抗効果膜3の中央部感磁領域102を単磁区状態に維
持するために、磁界および強磁性交換結合による縦方向
磁気バイアスを発生させることを特徴とする磁気抵抗効
果再生ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体から情報
信号を読み取るための再生ヘッドに関するものであり、
特に、バイアス磁界に特徴を持つ磁気抵抗効果再生ヘッ
ドおよびそれを用いた磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術において、磁気抵抗効果(M
R)素子またはヘッドと呼ばれる磁気読み取り変換器が
開示されている。これらのMR素子は、大きな線記録密
度を有する磁気表面からのデータを読み取ることができ
る。このMR素子は、磁気抵抗効果材料から作った読み
取り素子の抵抗変化を利用して、磁界信号を、素子が感
知する磁束の量および方向の関数として検出するもので
ある。また、MR素子を最適に動作させるためには、2
つのバイアス磁界をかける必要があることも開示されて
いる。
【0003】磁束に対する応答が線形になるようにMR
素子にバイアスをかけるため、一般に横方向のバイアス
磁界を使用する。このバイアス磁界は、磁気記録媒体の
面に垂直で、平坦なMR素子の表面に対し平行である。
このバイアス印加法には、シャントバイアス、ソフトバ
イアス、ソフトアジェイセントレーヤ(SAL)バイア
ス等、種々の方法がある(例えばUSP4,663,685)。
【0004】これらの横方向バイアスは、ヘッドをR−
H特性曲線の最も直線的な範囲にバイアスさせるのに充
分なレベルで発生される。
【0005】MR素子に使用されている他のバイアス磁
界としては、当該技術分野では縦方向バイアス磁界と呼
ばれているもので、磁気記録媒体の表面に平行、かつM
R素子の長手方向に平行である。縦方向バイアス磁界の
機能は、MR素子内の多磁区作用から生じるバルクハウ
ゼンノイズを抑えるものである。
【0006】また、従来技術ではMR素子用のバイアス
法および装置が数多く開発されている。しかし、記録密
度を大きくすることから、記録トラックをより狭くし、
トラックに沿った線形記録密度を大きくする必要が生じ
てきた。これらの要件を満たす小型のMR素子はいまだ
実現されていない。
【0007】これら従来技術における問題に対する概念
上の解決策は、パターン化した縦方向バイアスの実施に
よって得られることが、特開昭60−59518号公報
およびUSP5,005,096(特開平2−220213号公報)
に記述されている。端的に言えば、上記の従来技術は磁
気抵抗層(MR層)の端部領域内を適切な単磁区状態に
し、この結果、MR層の中央部感磁領域内に単磁区状態
を誘導するものである。これは、MR層の端部領域内だ
けに縦方向バイアスを発生させることによって実現でき
る。この従来技術における縦方向バイアスは、硬磁性体
層と軟磁性MR層の間の強磁性交換結合もしくは静磁結
合によって実現される。
【0008】特開昭60−59518号公報には、電極
とMR層の重なる部分にのみMR層よりも保磁力の大き
い強磁性体層を設けた強磁性交換結合による縦方向バイ
アスの実現方法が記載されている。また、ここで用いら
れているそれぞれの薄膜の膜厚は、MR層が200〜1
000Å(=20〜100nm)、保磁力の大きい強磁
性体層が500〜3000Å(50〜300nm)と述
べられている。
【0009】USP5,005,096には、硬磁性体層とMR素子
の間の静磁結合によって、縦方向バイアスを実現する方
法が記載されている。この方法においては、軟磁性MR
層と交換結合した硬磁性体層の固有の保磁力が実質上消
失し、バイアスの永続性に問題があること、さらに、硬
磁性体層からの磁束によって、感度プロファイルに悪影
響を与えることを避けるため、硬磁性体層をMR層に平
行に設け、かつMR層から隔置させている。実際には、
硬磁性体薄膜とMR層の端部磁区制御領域の間に非磁性
スペーサ層を挿入し、硬磁性体薄膜の厚さをMR層の端
部磁区制御領域内の磁束と、MR層中央部感磁領域の縦
方向磁束との間の磁束比が望ましい比となるように選択
している。また、この目的には、50〜200nmのス
ペーサ層が適し、導電性の適切な非磁性体として、C
r、W、NbおよびTaが好ましいとしている。
【0010】また、USP4,663,685(特開昭62−406
10号公報)は、反強磁性体(MnFe)を使って縦方
向バイアスをかけ、MR層の磁区や磁壁を制御してノイ
ズを低減することが書かれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】反強磁性体膜を使用し
て磁区制御を行ったUSP4,663,685の場合には、ネール点
などの磁気特性から実用化出来る材料はMnFeに限ら
れる。しかし、MnFeは耐食性が低い問題があり、ま
た、MR膜と接触している部分での強磁性結合でしかM
R膜の磁区を制御しない。
【0012】硬磁性体層は接触している部分での強磁性
結合と硬磁性体層から漏れる磁界で磁区を制御すること
が出来る。従って、硬磁性体層によるMR膜の磁区制御
法は反強磁性体膜によるものより多様性があり、磁区制
御効果が高く、また、反強磁性体膜よりも適用が自由で
ある。
【0013】しかし、従来技術である特開昭60−59
518号公報及びUSP5,005,096号公報においては、軟磁
性であるMR層と電極の重なる部分にのみ保磁力の大き
い強磁性膜を設ける点、軟磁性MR層と交換結合した硬
磁性体層の固有の保持力が実質上消失しバイアスの永続
性に問題がある点、硬磁性体層からの磁束によって横方
向感度プロファイルに悪影響を与える点の問題があっ
た。
【0014】また、従来は硬磁性膜の一方の磁極から漏
れる磁界のみMR層に利用され、もう一方の磁極から漏
れる磁界は利用されず、場合によっては、MR層に侵入
して磁気状態を乱したり、ヘッドに対向している媒体に
影響して記録減磁を引き起こしたり、MR層を両側から
挾んでいる磁気シールド膜や隣接する誘導型記録ヘッド
のコアに侵入してノイズ発生の原因になっていた。
【0015】本願発明の目的は、従来技術の問題点を克
服した優れたMR素子を提供することにより、小型、低
雑音のMRヘッドを提供することにある。
【0016】本発明の目的は特に、薄いMR層に対し、
効率良く縦方向バイアスを印加し、バルクハウゼンノイ
ズを抑制したMRヘッドを実現することにある。
【0017】本発明の他の目的は、特に永久磁石などの
硬磁性材料を用いて、効率良く縦方向バイアスを印加す
ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明のMRヘッドは、中央部感磁領域と
端部磁区制御領域を有する強磁性体材料の薄膜からなる
MR層と、上記端部磁区制御領域に重なって直接接する
硬磁性体材料の薄膜からなる硬磁性体層を設けて、上記
磁気抵抗層の中央部感磁領域を単磁区状態に維持するた
め、磁界および強磁性交換結合による縦方向磁気バイア
スを発生させる構造のMRヘッドとするものである。
【0019】そして、好ましくは、強磁性体材料の薄膜
からなるMR層と、該MR層に直接接する硬磁性体材料
の薄膜からなる硬磁性体層とを少なくとも設け、上記磁
気抵抗層の膜厚が5nm以上、20nm未満であり、上
記硬磁性体層の膜厚を10ないし100nmの範囲と
し、かつMR層の膜厚に対する上記硬磁性体層の膜厚の
比を1以上とするものである。
【0020】また、好ましくは中央部感磁領域と端部磁
区制御領域を有する強磁性体材料の薄膜からなるMR層
と、上記端部磁区制御領域に重なって直接接する硬磁性
体材料の薄膜からなる硬磁性体層とを少なくとも設けた
MRヘッドにおいて、上記中央部感磁領域の長さをトラ
ック幅(電極の内端面間距離)より大きくするものであ
る。
【0021】さらに好ましくは、本発明の中央部感磁領
域と端部磁区制御領域を有する強磁性体材料の薄膜から
なるMR層と、上記端部磁区制御領域に重なって直接接
する硬磁性体材料の薄膜からなる硬磁性体層とを少なく
とも設けたMRヘッドにおいて、MR層の端部磁区制御
領域を上記硬磁性体層の上に存在させるものである。
【0022】さらに好ましくは、磁気抵抗効果膜を感磁
膜に用いた磁気抵抗効果型ヘッドにおいて、磁気抵抗効
果膜に隣接して設置された硬磁性層から漏れる磁界及び
磁気抵抗効果膜と硬磁性層の強磁性結合で磁気抵抗効果
膜の磁区を制御する磁気ヘッドで、硬磁性体膜から漏れ
る磁界が当該磁気ヘッドを構成する強磁性体の中で実効
的に閉じていることを特徴とする。
【0023】本発明のMRヘッドに設ける硬磁性体層
は、例えば耐食性の良好なCo−Pt、Co−Pt−C
r、Co−Pt−Pd、Co−Pt−NiまたはCo−
Cr−Ta合金薄膜などを用いることができるので、耐
環境性に優れた再生用ヘッドを構成することができ、こ
れを記録装置に搭載し高密度磁気記録再生装置を実現す
るものである。
【0024】
【作用】従来技術においては、硬磁性体層と端部磁区制
御領域との強磁性交換結合と、硬磁性体層の発生した磁
界とによって磁気抵抗効果層に必要な縦方向バイアスを
与えるという構造の磁気抵抗効果素子は知られていなか
つた。本発明は、従来技術である特開昭60−5951
8号公報およびUSP5,005,096において、軟磁性MR層
と、電極の重なる部分にのみ保磁力の大きい強磁性膜を
設ける点、および軟磁性MR層と交換結合した硬磁性体
層の固有の保持力が実質上消失し、バイアスの永続性に
問題があること、さらに、硬磁性体層からの磁束によっ
て横方向感度プロファイルに悪影響を与えるとして問題
視されていた点に関し、さらに詳細な検討を行った結
果、本発明のMRヘッドは、軟磁性MR層と電極の重な
る部分にのみ硬磁性体層を設けなくても、また軟磁性M
R層と硬磁性体層との間に非磁性層を挿入して軟磁性M
R層と硬磁性体層を静磁結合させなくても、バルクハウ
ゼンノイズを抑制できることを見出したことに基づくも
のである。この作用は、特にMR層が20nm以下と薄
い場合に有効である。
【0025】また、従来の技術では図9で示すように、
MR膜3に絶縁膜6を介して設けられた硬磁性体層であ
る永久磁石1から漏れる磁界2は2個ある磁極の一つか
ら漏れる磁界だけが磁気抵抗効果膜3に利用され、もう
一方の磁極から漏れる磁界は利用されず、場合によって
は、MR膜2に侵入して磁気状態を乱し、磁区制御効果
が低減する。また、空間に漏れた磁界はヘッドに対向し
ている媒体にも影響して記録減磁を引き起こし、MR膜
を両側から挾んでいる磁気シールド膜や隣接する誘導型
記録ヘッドのコアに侵入してノイズ発生の原因になる。
【0026】従って、永久磁石から漏れる磁界を空間に
漏れないようにすることが必要である。
【0027】本発明においては、MR膜に近接して形成
された硬磁性体層から漏れる磁界をバイアス用に使用す
る軟磁性膜や磁気シールド膜に侵入させて、磁界が磁性
体のなかで閉じるようにし、MR膜の磁区制御と同時に
硬磁性体層からの磁界の漏れによる悪影響を取り除く。
この方法の適用によって、新たにバイアス用軟磁性膜や
磁気シールド膜の磁区制御効果も付加され、この作用に
よりヘッドのノイズ低減を図ることができる。
【0028】硬磁性体層から漏れる磁界をバイアス用に
使用する軟磁性膜や磁気シールド膜に侵入させることに
より、硬磁性体層からの磁界により、軟磁性膜の磁化も
制御できるため、安定なヘッド出力波形が得られる。さ
らに、磁気シールド膜と記録用誘導型磁気ヘッドのコア
を共用した構造のヘッドにおいては、コアの磁化状態も
制御されるので、記録ヘッドの特性も一定に制御でき
る。
【0029】
【実施例】
(実施例1)本発明の磁気抵抗効果(MR)再生ヘッド
の構成を図1に示す。
【0030】図1において、MR層3、シャント膜4、
SAL層105、硬磁性体層1、電極層12から磁気ヘ
ッドが構成される。MR層3は、媒体からの情報磁界を
検出する中央部感磁領域102と、中央部感磁領域10
2の磁区構造を制御してバルクハウゼンノイズの発生を
抑制するための端部磁区制御領域103に分けられる。
【0031】本発明は、特開昭60−59518号公報
および特開平2−220213号公報で開示された方法
とは異なる方法でMR層3をバイアスする。すなわち、
縦方向バイアスおよび横方向バイアス共に、中央部感磁
領域102をバイアスするものである。ここで、縦方向
バイアスはMR層3に平行とし、端部磁区制御領域10
3に直接接する硬磁性体層1によって発生させる。ま
た、横方向バイアスは、MR層3に平行するシャント膜
4およびSAL層105によって発生させる。電極層1
2は、信号検出電流およびバイアス電流を、MR層3お
よびシャント膜4に伝え、出力信号を外部電気回路に伝
えるための電気経路である電極層12の内端の間で出力
信号が検知される。
【0032】本実施例では、MR層3の厚さを5〜20
nm、硬磁性体層1の厚さを10〜100nm、シャン
ト膜4の厚さを10〜40nmとした。
【0033】また、MR層3はNi−Fe合金薄膜、硬
磁性体層106はCo−Pt−Cr合金薄膜、シャント
膜4はNb薄膜とした。硬磁性体層1はCo−Pt合金
薄膜、Co−Pt−Pd合金薄膜、Co−Pt−Ni合
金薄膜、Co−Cr−Ta合金薄膜等の磁気記録媒体材
料もしくは他の硬磁性体材料も有効であった。この方法
により、バルクハウゼンノイズの無い高再生出力の磁気
抵抗効果再生ヘッドを得ることができた。
【0034】なお、MR層3の厚さは、薄いほど信号の
検出に必要な電流密度を大きくすることが可能となり、
信号の再生出力は増加することになるので好ましい。実
質的に、高再生出力が得られる膜厚は20nm未満であ
った。これは、MR層3の厚さが薄くなると、流れる電
流によって発生する熱量が減少し、エレクトロマイグレ
ーションによるMR層3の劣化が抑制されるためである
と考えられる。ただし、MR層3は膜厚が薄くなるほど
欠陥が増加し、ピンホール等が発生しやすくなる。実質
的に使用可能な膜厚は、5nm以上であった。
【0035】本実施例では、磁気抵抗効果再生ヘッドを
作製する前に、Co-Pt-Cr硬磁性体層1とNi-FeMR層3
の各々単独の薄膜のB−Hカーブを測定した結果、それ
ぞれ72〜112kA/m、40〜120A/mの保磁
力を示したのに対し、硬磁性体層1とMR層3の端部磁
区制御領域103の2層膜部のB−Hカーブを測定した
ところ、保磁力は図2に示すように、両層の値の中間の
値を示し、硬磁性体層1の膜厚が減少するに従って2層
膜の保磁力も減少する傾向を示した。また、B−Hカー
ブは段差のないスムーズなカーブを示し、硬磁性体層1
と磁気抵抗層3が強磁性交換結合していることが確認さ
れた。
【0036】さらに、Ni−Fe薄膜をCo−Pt−C
r薄膜の上に形成する場合と、下に形成する場合では異
なる保磁力を示すことが明らかになった。Ni−Fe薄
膜をCo−Pt−Cr薄膜の下に形成した場合を示すカ
ーブ201は、Co−Pt−Cr薄膜が薄くなるにつれ
て急激に保磁力が減少するのに対して、Ni−Fe薄膜
を上に形成した場合を示すカーブ202は、保磁力の減
少がゆるやかであった。この2層膜の結晶状態をX線回
折法で調べると、Ni−Fe薄膜上置きと下置きで異な
る結晶状態を示しており、この差が保磁力に反映したも
のと推察される。
【0037】また、予備検討として、図1のシャント膜
4およびSAL層105を省略した磁気抵抗効果素子を
作製し、硬磁性体層1によってMR層3に加わる縦方向
バイアスを測定した。すなわち、トラック幅(電極内端
面間距離)を4μm、MR層1の横幅を4μmとし、M
R層3と平行に縦方向(磁気抵抗層の長手方向)に外部
交流磁界を印加し、リスポンスカーブにあらわれる磁界
のシフト幅を測定した。
【0038】図3に縦方向バイアスとNi-FeMR膜に対
するCo-Pt-Cr硬磁性膜の厚さの比の関係を示す。301
は中央感磁領域の長さが10μmでMR層を上置きにし
た場合、302は中央感磁領域の長さが50μmでMR
層を上置きにした場合、303は中央感磁領域の長さが
50μmでMR層を下置きにした場合である。
【0039】図3に示すように、縦方向バイアスはMR
層3の厚さに対する硬磁性体層1の厚さの比が1以上の
ときに印加されることが明らかである。この結果を使用
することによって、磁気抵抗効果再生ヘッドの硬磁性体
層1の厚さを選択して、望ましい縦方向バイアスを実現
することができる。縦方向バイアスのレベルは、MR層
3の中央部感磁領域102を単磁区状態に維持するのに
充分な程度とすることが好ましい。この結果を基にし
て、磁気抵抗効果再生ヘッドを作製し、バルクハウゼン
ノイズの無い磁気抵抗効果再生ヘッドが得られることが
判った。
【0040】なお、図3の303に示されるように、M
R層3を下側に形成した場合は十分な素子縦方向のバイ
アスを得ることが困難である。この場合は、MR層3の
厚さに対する硬磁性体層1の厚さの比が2以上、好まし
くは3以上必要であることが明らかになった。すなわ
ち、MR層3は硬磁性体層1の上に形成する方が、薄い
硬磁性膜で十分なバイアスを得やすい。
【0041】なお、本実施例では、トラック幅(電極内
端面間距離)よりMR層3の中央部感磁領域102の長
さを長く形成したが、このことによつて、縦方向バイア
スにより磁区が完全に制御されたMR層3の内側だけか
らMR出力を得ることができ、バルクハウゼンノイズの
無い磁気抵抗効果再生ヘッドが得られた。
【0042】一般に、磁気抵抗効果再生ヘッドを記録用
誘導型ヘッドと組み合わせて用いる場合、磁気抵抗効果
再生ヘッドと記録用誘導型ヘッドが互いに悪影響を及ぼ
さないようにするため、および信号再生の位置分解能を
確保するため、磁気抵抗効果再生ヘッドの上下にシール
ド層とよばれる軟磁性体層を形成する。従来の磁区制御
法では硬磁性体層とシールド層間の距離によって異なる
が、硬磁性体層が発生する磁束をシールド層が吸収する
ため、磁気抵抗層との静磁結合が弱められ、十分な縦方
向バイアスを印加することができないことがあった。
【0043】本発明の磁区制御法では硬磁性体層1とM
R層3が強磁性交換結合しており、さらに硬磁性体層1
の磁界が複合されて縦方向バイアスを印加している。し
たがって、硬磁性体層1から外部に漏れる磁界が少ない
ため、前述のシールド層による磁束の吸収といった問題
がほとんど無く、十分な縦方向バイアスをMR層3の中
央部感磁領域102に印加することができた。
【0044】(実施例2)図1においてMR層3の中央
部感磁領域102内の磁化の方向は、端部磁区制御領域
103に接する硬磁性体層1からくる縦方向磁界、硬磁
性体層1とMR層3の端部磁区制御領域103の間の強
磁性交換結合によって決められるMR層3の端部磁区制
御領域103の磁化の方向、さらに、シャント膜4およ
びSAL層105からくる横方向バイアス磁界と、媒体
からくる高周波信号磁界の影響を受ける。MR層3の中
央部感磁領域102内の磁化は硬磁性体層1からくる縦
方向磁界および硬磁性体層1とMR層3の間の強磁性交
換結合によって生ずる縦方向バイアスが不必要に大きい
と、信号の再生出力を減少させる結果になり好ましくな
い。
【0045】図4には、図1の構造においてトラック幅
を4μm、MR層1の横幅を4μmとし、硬磁性体層1
の膜厚および磁気抵抗層3の中央部感磁領域102の長
さを変えて、横方向交流磁界を印加したときのリスポン
スカーブの半値幅を測定した結果を示す。401はCo
−Pt−Cr層の厚さを80nmとした場合。402C
o−Pt−Cr層の厚さを40nmとした場合である。
【0046】図4から半値幅は、MR層3の中央部感磁
領域102の長さが10μm以上では大きな変化を示さ
ず、また、硬磁性体層1の膜厚による影響も小さいこと
が明らかになった。これは磁気ヘッド作製プロセス上有
利なことであり、中央部感磁領域102の長さを10μ
m以上にすれば、MR層3の膜厚を厳密に制御する必要
が無いことを示している。しかし、中央部感磁領域10
2の長さが長いと、縦方向バイアス磁界が小さくなり、
バルクハウゼンノイズは発生しやくすくなる。
【0047】一方、中央部感磁領域102の長さが10
μm以下では半値幅が急俊に増加しており、縦方向バイ
アス磁界が大きくバルクハウゼンノイズの抑制が出来る
が、再生出力の低下と磁気ヘッド作製プロセスの困難さ
が示唆される。
【0048】以上の結果を基に、トラック巾3μmの磁
気抵抗効果再生ヘッドを作製し、磁気ディスク装置に装
備して記録再生波形を検出した。この結果を図5に示
す。図5で501はバルクハウゼンノイズ抑制率、50
2は再生出力を示す。
【0049】501のカーブが示すように再生波形にバ
ルクハウゼンノイズの発生しない、抑制率の高い中央感
磁領域の長さは50μm以下である。502のカーブが
示すように、必要な再生出力が得られる中央部感磁領域
の長さは、トラック巾(この場合4μm)より大きい場
合であった。
【0050】このとき、再生出力は中央部感磁領域の長
さがトラック巾より小さくなると急激に減少し、必要な
再生出力を得ることは困難になった。以上の結果MR層
3の中央部感磁領域102の長さがトラック巾より大き
い場合にバルクハウゼンノイズが無く、しかも必要な再
生出力の磁気抵抗効果再生ヘッドを得ることができた。
また、この結果200Mb/in2以上の記録密度を得
る磁気ディスク装置を得ることが出来た。
【0051】(実施例3)本発明の他の実施例について
説明する。図6、図7は、電極形状が異なる2種類の磁
気抵抗効果再生ヘッドの構成を示し、図8には、硬磁性
体層1が媒体対向面に現れない構造の磁気抵抗効果再生
ヘッドの構成を示す。これらの磁気抵抗効果再生ヘッド
においても、本発明のMR層3と直接接する硬磁性体層
1を備えた構造の磁区制御手段は有効であり、MR層3
の膜厚に対する硬磁性体層1の膜厚の比を1以上とする
ことにより、バルクハウゼンノイズが無く、作製プロセ
スが容易な磁気抵抗効果再生ヘッドを得ることができ
た。なお、4はシャント膜、105はSAL膜である。
【0052】これらの磁気抵抗効果再生ヘッドでは、電
極層12と硬磁性体層1の形成位置をずらしており、こ
れにより、電極層12の内端面の段差が減少し、MR層
3やその上に形成する記録ヘッド層に与える影響を軽減
させることができたばかりか、電極層12や硬磁性体層
1の形成によって電極部の内端面に集中する応力をも減
少させることができ、バルクハウゼンノイズの発生しに
くい磁気抵抗効果再生ヘッドを得ることが可能になっ
た。
【0053】なお、以上の実施例においては、横方向バ
イアス印加手段として、シャント膜4、およびSAL膜
105を用いた。しかし、本発明の磁気抵抗効果再生ヘ
ッドは、当技術分野で公知の他の横方向バイアス印加手
段、たとえば、シャントバイアス単独、磁気抵抗層とシ
ャント膜の間に電気的絶縁層を挿入した電流バイアス、
バーバーポール(barberpole)と呼ばれる手段を任意に
組み合わせて用いることが出来る。これらの、公知の横
方向のバイアス印加手段は、従来技術を踏襲することと
する。
【0054】(実施例4)本発明の他の実施例のMR素
子の基本構造原理を図10に例示する。
【0055】この素子では、MR3に隣接した同一基板
上に硬磁性体層1が形成されており、シャント膜4を介
して軟磁性膜5が設置されている。
【0056】硬磁性体層1はMR膜3の磁化容易軸方向
に平行に着磁されており、硬磁性体層である永久磁石膜
の一方の磁極から漏れる磁界2はMR膜3に侵入し、他
方の磁極から漏れる磁界2は軟磁性膜5に侵入する。従
って、図9で示した従来の素子に比較して、空間に漏れ
る磁界は実効的になく、媒体を始めとする他の磁性材料
への影響がない。
【0057】図10で示したMR素子を含むMRヘッド
の実施例を図11に示す。図11中の8および9は磁気
シールド膜で、これらの間にMR素子が形成されてい
る。基板10の材料はジルコニアでこの上に磁気シール
ド膜8としてNi-19%Fe膜を約1μmスパッタ法で形成し、
必要部分だけをリソグラフィ法で残してこの上に絶縁膜
としてアルミナ膜11を形成した。磁気シールド膜8は
Co系アモルファス膜やFe系磁性膜で実施してもよいが、
再生特性などは若干異なる。
【0058】アルミナ膜11の厚さは所望とする磁気ヘ
ッドの記録周波数によって異なるが、本実施例では0.1-
0.5μmである。この上に厚さ3-45nmのNi-19%Fe膜(磁歪
定数5×10-7)をMR層3として形成し、素子として必要
な部分を残して除去した。このMR層3の両側にCo-20%
Pt合金膜からなる硬磁性体層1を蒸着したのち同様の手
法で微細加工し、シャント膜4としてNb、軟磁性膜5と
してCo-Zr-Ta-Ru系アモルファス合金を形成した。CoPt
合金膜の厚さは3から100nmである。さらに当該素子に通
電するための電極12を形成し、再びアルミナ膜11お
よび磁気シールド膜9を付けた。トラック幅は0.5から1
0μmである。膜厚は下部のアルミナ膜および磁気シール
ド膜8と同じであるが、ヘッドの使用目的によっては膜
厚が異なってもよい。
【0059】以上のようにして作成したヘッドをMR層
3の高さが所望の寸法、例えば1から10μmとなるように
機械加工してヘッドとなし、その再生特性を評価した。
評価に用いた記録媒体はCoCrTa系、CoPtCr系スパッタ媒
体などである。
【0060】また、比較実験として硬磁性体層1からの
漏れ磁界が軟磁性膜に侵入しにくい図12で示すMRヘ
ッドを作成した。図12の例ではシャント膜4で硬磁性
体層1が覆われており、軟磁性体層5がMR膜3より短
い。
【0061】図11と、図12の再生出力を比較した結
果、再生出力のS/N比は図11のヘッドで3.0、図
12で1.5であった。
【0062】(実施例5)次に、図11のヘッドにおい
て硬磁性体層の上にMR膜が一部重なる構造のヘッド、
および、硬磁性体層の下にMR膜の一部をを置く構造の
ヘッドを試作して、S/Nを測定した。
【0063】これらの磁気ヘッドにおいても共に、磁束
の漏れが無くS/Nの向上がみられるが、実施例1で述
べたように、MR層が上置きのヘッドの方が優れた特性
を示す。
【0064】図13はMR層3が硬磁性体層1の上に置
かれる構造のヘッドである。軟磁性膜4と硬磁性体層1
の接合構造は図11と異なるが、このヘッドのS/Nも
高い値が得られた。
【0065】以上の実施例で、同一の構成は同一の番号
で示し、説明は省略した。
【0066】なお、図10及び図11の構造を有するヘ
ッドでは、バイアス磁界印加のための軟磁性膜5の磁化
容易軸方向にも硬磁性体層1からの磁界が侵入するた
め、MR膜3だけではなく、バイアス磁界印加用軟磁性
膜5の磁区あるいは磁化状態を制御できる。バイアス膜
5はMR膜3に常に一定の磁界を印加する必要があり、
これにはバイアス磁界印加用軟磁性膜全体の透磁率を一
定にする必要がある。透磁率は軟磁性膜の磁区が単一で
あれば常に一定になるが、多磁区であったり、磁化の分
散が大きく不安定な場合には一定にならない。従って、
軟磁性膜に磁束を導入して磁気ヘッドの再生特性を安定
化することができる。
【0067】(実施例6)図14は同様な効果を有する
他の例で、この素子では、MR膜3に隣接した同一平面
上に硬磁性体層1が形成されており、絶縁膜6を介して
軟磁性膜5が設置されている。12は電極である。硬磁
性体層1はMR膜3の磁化容易軸方向に平行に着磁され
ており、硬磁性体層の一方の磁極から漏れる磁界はMR
膜3に侵入し、他方の磁極から漏れる磁界は軟磁性膜5
に侵入する。従って、図10で示した例と同様空間に漏
れる磁界は実効的になく、媒体を始めとする他の磁性材
料への影響がない。なお、8は下部シールド、9は上部
シールド、10は基板である。
【0068】このヘッドのS/Nも図11の実施例と同
様の高い値が得られた。
【0069】図15および図16は軟磁性体層5の形状
を変えた実施例で、このヘッドのS/Nも図11の実施
例と同様の高い値が得られた。
【0070】(実施例7)図17はMR膜3の磁区制御
のために付与した硬磁性体層1の磁極からの漏れ磁界を
磁気シールド膜8に導くようにしたもので、上述の例と
同じく空間に漏れる磁界は実効的になく、媒体を始めと
する他の磁性材料への影響がない。このヘッドのS/N
も図11の実施例と同様の高い値が得られた。図17で
示した実施例では、バイアス用の軟磁性膜はないが、軟
磁性膜が設置されていても、磁気抵抗効果膜の磁化状態
の制御効果は同じである。また、この構造のヘッドで
は、磁気シールド膜8に磁束が導入されて磁区が制御さ
れているので、磁気シールド効果が増大し、磁区制御し
た側の再生波形が急峻かつばらつきが低減する。従っ
て、両側の磁気シールド膜の磁区を硬磁性体層で制御し
たヘッドの実施例では、再生波形が急峻でかつ左右対称
性が向上した。
【0071】以上の実施例および図面において、同一の
構成には、同一の符号を付した。
【0072】次に、本願発明において、留意すべき点を
あげる。
【0073】硬磁性体層を用いてMR膜の磁区を制御す
る場合、MR膜の磁歪定数の値が問題になる。すなわ
ち、MRヘッドの出力波形の歪みの原因となるMR膜の
多磁区化は、磁歪定数の値によって異なり、磁歪定数が
非常に大きい場合には硬磁性体層を使っても単磁区化は
できない。
【0074】本発明の構造を有するMRヘッドでMR膜
の磁歪定数の影響をNi-Fe系磁気抵抗効果膜のNi-19%Fe
近傍の組成で磁歪定数を+5×10-6から-5×10-6の範囲で
調べたところ、図18で示すようにMRヘッドの出力波
形歪の出現頻度は、磁歪定数が+3×10-6から-3×10-6
は非常に低いが、この値の範囲を越えると急激に高くな
ることが明らかになった。従って、本発明の磁区制御構
造を有するMRヘッドに使用するMR膜の磁歪定数は、
+3×10-6から-3×10-6の範囲あるいは少なくとも+4×10
-6から-4×10-6の範囲が望ましい。
【0075】これは、Co-Ni系およびNi-Fe-Co系MR膜
についても同様であった。
【0076】本発明のMRヘッドには、Ni-Fe系等の極
薄MR膜が使われるが、良く知られているように、磁区
構造あるいは磁壁の構造など磁化状態は、膜厚によって
大きく異なる。膜厚が35nmを超えるとMR膜の磁区構造
は比較的安定し、70から80nmをこえると再び不安定にな
る。35nm以下では、膜厚の薄くなるほど磁化状態は不安
定になる。本発明の磁区制御に関する効果が特に著しい
のは、膜厚35nm以下の場合である。
【0077】膜厚の低減は通電によるMR膜の発熱を逃
すのに有利になり、この結果膜厚の低減とともに許容電
流値は増大し、ヘッドの出力は増大する。従って、膜厚
は薄いほうが望ましいが、5nm以下になると膜の連続性
が悪くなり、通常の薄膜形成法では実用レベルの良質な
膜を作ることができない。したがって、本発明の構造を
有するMRヘッドでのMR膜の最適範囲は5nm以上であ
り、特に5から35nmの範囲で著しい効果が得られるもの
である。
【0078】バイアス手段としてシャントバイアス法と
軟磁性膜を用いた場合、MR膜とシャント+軟磁性膜と
に流す電流の比R(磁気抵抗効果膜の電流を1とする)は0.
2から1.3の間であることが望ましい。0.2以下であると
高電気抵抗の金属膜をシャントに用いても、軟磁性膜と
MR膜の距離が近づき過ぎてMR膜と軟磁性膜を閉磁路
とする本発明の構造が成り立たなくなり、MR膜と軟磁
性膜の磁区を同時に制御することができなくなる。0.2
とした場合の実施例では、出力波形の抑止効果が十分で
はなかった。
【0079】一方、1.3以上の場合にはシャントバイア
スと軟磁性膜によるバイアス磁界が強くなり過ぎ、MR
膜の電流が相対的に低下するので、出力が低下する。従
って、Rは0.2から1.3の間が望ましい。Ni-Fe系MR膜の
比抵抗は15から30μΩcmであり、上述のRを満足するシ
ャント膜の比抵抗は20から80μΩcm、軟磁性膜の比抵抗
は80から150μΩcmが適当な範囲内となる。
【0080】これらを満足するシャント膜としてNb、T
i、Ta、V、Mo、W、Hfおよびこれらの合金例えばNb-15%T
i合金、Nb-5Ru合金などを用い、軟磁性膜としてCoTaZ
r、CoNbZr等のアモルファス合金、CoNiFe系やセンダス
ト等の結晶性合金膜を用いた実施例では、MR膜の電流
密度が5×106から 3×107A/cm2で出力波形対称性が5%以
下のヘッドが得られた。
【0081】当該MRヘッドの上に絶縁膜としてAl2O3
をスパッタ法で形成し、この上に誘導型記録ヘッドを形
成した複合型磁気ヘッドで記録・再生特性を測定した結
果、既に述べたように、歪みがなくS/N比の高い出力が
得られた。更にMRヘッドの磁気シールド膜と記録用誘
導型ヘッドのコア膜を兼用した複合型磁気ヘッドの記録
・再生特性を測定した結果、歪みがなくS/N比の高い出力
が得られた。
【0082】本発明の手法は、MR膜の磁区制御だけで
はなく、シールド膜およびコア膜にも適用できる。図1
9はシールド膜8,9の両端に硬磁体層10を設置して
シールド膜の磁区を制御したもので、シールド膜の磁区
が安定しているために、シールド膜の突発的な磁壁移動
に伴うようなノイズがなくなり、かつオフトラックノイ
ズの入りかたも一定になる。
【0083】MRヘッドのMR膜の磁化状態制御ととも
に、バイアス磁界印加用軟磁性膜およびシールド膜等の
磁化状態制御が可能になり、硬磁性体層から漏れる磁界
は実効的に媒体方向の空間や硬磁性体層からの漏れ磁界
の印加が不必要な部分には磁界が侵入せず、ヘッド全体
の磁気的特性が安定になる。この結果、ヘッドの出力波
形のひずみが完全に除去されるとともに、他のノイズも
著しく低減される。従って、高密度磁気記録装置用とし
て最適な特性をもつ磁気ヘッドを提供できる。
【0084】
【発明の効果】本発明は、非磁性体層の挿入の必要がな
く、したがって素子形成プロセスを簡略化した構造の磁
気抵抗効果(MR)素子を提供することができる。ま
た、本発明の他の効果は、端部磁区制御領域に接する硬
磁性体層が形成される部位の高さを減少させることがで
き、磁気抵抗効果(MR)素子層およびこの上に続いて
積層される記録用ヘッドに段差が生じること、および応
力が集中することを極力避けることが可能である。この
効果は、特に硬磁性体層上に重ねて磁気抵抗層の端部磁
区制御領域を形成する場合に極めて有効であり、薄い磁
気抵抗層が硬磁性体層の段差部(中央部感磁領域と端部
磁区制御領域の境界に生ずる)で破断されるのを効果的
に防止することができ高性能で信頼性の高い磁気抵抗効
果再生ヘッドおよびそれを用いた磁気記録再生装置を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において例示した磁気抵抗効
果(MR)再生ヘッド構成一例を示す模式図。
【図2】本発明の実施例1で例示したMR再生ヘッドに
おいて硬磁性体層と磁気抵抗層の端部磁区制御領域の2
層膜部の保磁力に及ぼす硬磁性体層の膜厚の影響を示す
図。
【図3】本発明の実施例1で例示したMR再生ヘッドに
おいて縦方向バイアスに及ぼす磁気抵抗層の厚さに対す
る硬磁性体層の厚さの影響を示す図。
【図4】本発明の実施例2で例示したMR再生ヘッドに
おいて抵抗変化の半値幅に及ぼす磁気抵抗層の中央感磁
領域の長さの影響を示す図。
【図5】は中央部感磁領域長さと再生出力、バルクハウ
ゼンノイズの関係を示すグラフ図。
【図6】電極層形状を変えたMR再生ヘッドの構成の一
例を示す斜視図。
【図7】電極層形状を変えたMR再生ヘッドの構成の一
例を示す斜視図。
【図8】硬磁性体層が媒体対向面に現われない構造のM
R再生ヘッドの構成の一例を示す斜視図。
【図9】磁気抵抗効果膜の磁区を永久磁石膜で制御した
従来の磁気抵抗効果型ヘッドの断面図。
【図10】本発明の実施例を示す断面図。
【図11】本発明の実施例を示す断面図。
【図12】本発明の実施例を示す断面図。
【図13】本発明の実施例を示す断面図。
【図14】本発明の実施例を示す断面図。
【図15】本発明の実施例を示す断面図。
【図16】本発明の実施例を示す断面図。
【図17】本発明の実施例を示す断面図。
【図18】磁歪定数と波形歪みの関係を示すグラフ図。
【図19】本発明の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1…硬磁性体層 2…漏れ磁界 3…磁気抵抗効果膜 4…シャント膜 5…軟磁性膜 11…絶縁膜 7…磁気シールド膜 8…磁気シールド膜 9…磁気シールド膜 102…中央部感磁領域 103…端部磁区制御領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 昇 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小山 直樹 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中央部感磁領域と端部磁区制御領域を有す
    る強磁性体材料の薄膜からなる磁気抵抗効果膜と、上記
    端部磁区制御領域に重なって直接接する硬磁性体材料の
    薄膜からなる硬磁性体層を設け、上記磁気抵抗効果膜の
    中央部感磁領域を単磁区状態に維持するために、磁界お
    よび強磁性交換結合による縦方向磁気バイアスを発生さ
    せることを特徴とする磁気抵抗効果再生ヘッド。
  2. 【請求項2】前記磁気抵抗効果膜に電流を流す1対の電
    極を有し、上記中央部感磁領域の長さが電極間距離より
    も大きい請求項1記載の磁気抵抗効果再生ヘッド。
  3. 【請求項3】前記中央部感磁領域の長さが10μm以上
    である請求項1または2記載の磁気抵抗効果再生ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】前記磁気抵抗効果膜の膜厚が5nm以上、
    20nm未満であり、上記硬磁性体層の膜厚を10ない
    し100nmの範囲とし、かつ上記磁気抵抗効果膜の膜
    厚に対する上記硬磁性体層の膜厚の比を1以上としたこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の
    磁気抵抗効果再生ヘッド。
  5. 【請求項5】前記磁気抵抗効果膜の端部磁区制御領域が
    上記硬磁性体層の上に存在することを特徴とする請求項
    1乃至4のうちいずれかに記載の磁気抵抗効果再生ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】硬磁性体層は、Co−Pt、Co−Pt−
    Cr、Co−Pt−Pd、Co−Pt−NiまたはCo
    −Cr−Ta合金薄膜からなる請求項1乃至5のうちい
    ずれかに記載の磁気抵抗効果型再生ヘッド。
  7. 【請求項7】磁気抵抗効果膜と、該磁気抵抗効果膜に検
    出電流を流すための1対の電極膜と、上記磁気抵抗効果
    膜の磁区を制御する1対の硬磁性体膜を有し、該1対の
    硬磁性体膜の間隔は上記1対の電極膜の間隔よりも広
    く、該電極膜に挟まれた上記磁気抵抗効果膜に上記硬磁
    性体膜から磁界を印加する磁気抵抗効果型ヘッド。
  8. 【請求項8】前記硬磁性体膜の上に直接前記磁気抵抗効
    果膜が積層され、該磁気抵抗効果膜の上に前記電極膜が
    積層される請求項7記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  9. 【請求項9】前記硬磁性体膜からの磁束を導入して上記
    磁気抵抗効果膜とともに閉磁路を構成する部材を有する
    請求項7または8記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  10. 【請求項10】前記閉磁路を構成する部材は、前記磁気
    抵抗効果膜に略平行に配置された軟磁性体層である請求
    項9記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  11. 【請求項11】前記閉磁路を構成する部材は、前記磁気
    抵抗効果膜に略平行に配置された磁気シールド層である
    請求項9または10記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
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