JP3600545B2 - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気検出素子の上下にギャップ層を介してシールド層を有する薄膜磁気ヘッドに係り、特に前記磁気検出素子の再生特性を向上させることが可能な薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来の薄膜磁気ヘッドを記録媒体の対向面側から見た部分断面図である。
【0003】
符号1は、例えばNiFe合金で形成された下部シールド層である。前記下部シールド層1上には、例えばAlで形成された下部ギャップ層2が形成されている。
【0004】
図8に示すように、前記下部ギャップ層2の上には磁気検出素子3が形成されている。前記磁気検出素子3は、多層膜4とトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成されたハードバイアス層5と電極層6とで構成される。
【0005】
前記磁気検出素子3は、前記多層膜4が、例えば反強磁性層9、固定磁性層10、非磁性導電層11及びフリー磁性層12で形成されたスピンバルブ型薄膜素子である。
【0006】
図8に示すように、前記磁気検出素子3の上には、例えばAlなどで形成された上部ギャップ層7が形成され、前記上部ギャップ層7の上には、例えばNiFe合金で形成された上部シールド層8が形成されている。前記下部シールド層1から上部シールド層8までで再生用のMRヘッドが構成される。
【0007】
また前記上部シールド層8は、記録用のインダクティブヘッドの下部コア層も兼用しており、前記上部シールド層8の上には、Alなどで形成されたギャップ層13の上にNiFe合金などで形成された上部コア層14が形成されている。
【0008】
ところで図8に示す磁気検出素子では、前記固定磁性層10の磁化は反強磁性層9との間で発生する交換結合磁界によってハイト方向(図示Y方向)に固定されている。
【0009】
また前記フリー磁性層12の磁化はハードバイアス層5からの縦バイアス磁界を受けてトラック幅方向(図示X方向)に揃えられている。
【0010】
前記磁気検出素子3に、記録媒体からの漏れ磁界が例えば図示Y方向に与えられると、前記フリー磁性層12の磁化は図示X方向から図示Y方向に変動する。このフリー磁性層12内での磁化方向の変動と、固定磁性層10の固定磁化方向との関係で、電気抵抗が変化(これを磁気抵抗効果という)し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの漏れ磁界が検出される。
【0011】
また、記録用のインダクティブヘッドでは、図示しないコイル層に記録電流が与えられと、下部コア層(上部シールド層8)および上部コア層14に記録磁界が誘導され、記録媒体との対向面では、ギャップ層13を介して対向する上部コア層14の先端部と下部コア層間からの漏れ磁界により、記録媒体に磁気信号が記録されるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで今後の高記録密度化に伴い、下部シールド層1と上部シールド層8間のギャップ長Glを短くする必要があるが、これにより以下のような問題点が発生した。
【0013】
すなわち前記シールド層1、8の磁区変化の影響を、磁気検出素子3のフリー磁性層12が受けやすくなり、これによってバルクハウゼンノイズが発生するなど、再生特性に悪影響を及ぼしたのである。
【0014】
前記シールド層1、8の役割は、再生時において、外部ノイズが磁気検出素子3に流入しないように、前記外部ノイズを吸収する点にある。
【0015】
しかしながら前記シールド層1、8の磁化状態が適切に制御されていないと、再生時において、前記シールド層1、8は、不規則に磁区変化を起し、この不規則な磁区変化の影響を、ギャップ長Glが短くなることにより前記シールド層1、8と距離的に短くなったフリー磁性層12の磁化が受けてしまい、これによって前記フリー磁性層12の単磁区化構造が崩れて、上記したバスクハウゼンノイズの発生など再生特性に悪影響を及ぼすのである。
【0016】
また図8のように再生用のMRヘッドのみならず記録用のインダクティブヘッドが複合形成された薄膜磁気ヘッドでは、記録しているときに、下部コア層(上部シールド層8)は、前記下部コア層に流れる記録磁界によって不規則な磁区変化を起すため、その影響を受けて前記フリー磁性層12の単磁区化構造は崩れてしまい、その結果、再生時にバルクハウゼンノイズの発生など再生特性が悪化しやすくなっていた。
【0017】
上記した問題を解決するには、前記シールド層1、8の磁化方向を適切に磁化容易軸方向(図示X方向)に揃えて単磁区化し、前記シールド層1,8の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にする必要があると考えられた。
【0018】
前記シールド層1、8の単磁区化を実現するためには、従来では、例えば前記シールド層1、8を形成するとき、図示X方向に磁界を与えながら磁場中成膜や磁場中熱処理をしていた。
【0019】
しかし磁場中で成膜や熱処理を施しても、前記シールド層1、8は非常に厚い膜厚(例えば1μm程度)であるために、完全に前記シールド層1、8を単磁区化することはできない。このため前記シールド層1、8内は微視的には磁気異方性が分散した状態(異方性分散)となっており、依然として再生時や記録時に、シールド層1、8は不規則な磁区変化を起しやすく、フリー磁性層12の磁化がこの影響を受けることによるバルクハウゼンノイズの発生などの再生特性の悪化を適切に解消することはできなかった。
【0020】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、シールド層の構造を改良することで、前記シールド層の磁化を適切に単磁区化して磁化状態の安定化を図ることができ、よってバルクハウゼンノイズの発生の抑制など再生特性の向上を効果的に図ることが可能な薄膜磁気ヘッドを提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気検出素子の上下にギャップ層を介してシールド層を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、
少なくとも一方の前記シールド層は、2層以上の磁性層と、前記磁性層間に介在する非磁性の中間層とで構成される積層フェリ構造であり、最も前記磁気検出素子から離れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側には反強磁性層が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
上記のように本発明では前記シールド層を積層フェリ構造としている。これにより前記シールド層を構成する2層以上の磁性層の磁化は、対向する磁性層との間で生じるRKKY相互作用による交換結合磁界により互いに反平行にされる。
【0023】
また本発明では、最も磁気検出素子から離れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側に反強磁性層を設けている。
【0024】
これにより最も磁気検出素子から離れた磁性層と前記反強磁性層との間には交換異方性磁界が発生し、前記磁性層は適切にトラック幅方向に単磁区化され固定される。そして他の磁性層は上記したRKKY相互作用による交換結合磁界によって、磁化が反平行状態になって適切に単磁区化される。
【0025】
このように本発明では、反強磁性層との間で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界との相乗効果によって、前記シールド層を構成する全ての磁性層の磁化を効果的に単磁区化でき、前記シールド層の磁気的な可逆性を良好にすることができる。
【0026】
従って、今後の高記録密度化においてMRヘッドの狭ギャップ化が促進されても、前記シールド層の磁気的な可逆性は良好で、従来のように前記シールド層は、不規則な磁区変化を起さないので、磁気検出素子を構成するフリー磁性層の単磁区化構造を適切に保つことができ、バルクハウゼンノイズの発生を適切に抑制できるなど再生特性の向上を効果的に図ることが可能になっている。
【0027】
また本発明では、前記磁性層のうち、最も磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、他の磁性層の膜厚に比べて厚く形成されていることが好ましい。
【0028】
これによって、前記シールド層は適切にシールド機能を保ちながら、前記シールド層の磁化状態のさらなる安定化を図ることが可能になっている。
【0029】
なお本発明では、最も磁気検出素子に近い位置に設けられた前記磁性層の膜厚は0.3μm以上で3μm以下で形成されることが好ましい。
【0030】
また本発明では、最も磁気検出素子に遠い位置に設けられた磁性層の膜厚は、0.01μm以上で0.1μm以下で形成されることが好ましい。
【0031】
また本発明では、一方のシールド層のみが前記積層フェリ構造で形成され、一方のシールド層の合成磁気モーメントの方向と、他方のシールド層の磁化方向とがトラック幅方向に反平行状態となっていることが好ましい。
【0032】
これにより双方のシールド層をトラック幅方向の端部間を良好に静磁結合(カップリング)させることができ、これにより前記シールド層の磁化状態のさらなる安定化を図ることができると共に、前記シールド層から出る漏れ磁界が、前記磁気検出素子に流入するのを最小限に抑えることができる。
【0033】
また本発明では、両方のシールド層が前記積層フェリ構造で形成され、双方のシールド層の合成磁気モーメントが互いにトラック幅方向に反平行状態となっていることが好ましい。
【0034】
これにより双方のシールド層をトラック幅方向における端部間を良好に静磁結合(カップリング)させることができ、これにより前記シールド層の磁化状態のさらなる安定化を図ることができると共に、前記シールド層から出る漏れ磁界が前記磁気検出素子に流入するのを最小限に抑えることができる。
【0035】
また本発明では、両方のシールド層のトラック幅方向における長さは等しい寸法で形成されていることが好ましい。これにより双方のシールド層のトラック幅方向における端部間を良好に静磁結合(カップリング)させることができ、これにより前記シールド層の磁化状態のさらなる安定化を図ることができると共に、前記シールド層から出る漏れ磁界が、前記磁気検出素子に流入するのを最小限に抑えることができる。
【0036】
また本発明では、前記反強磁性層は、トラック幅方向に所定の間隔を開けて形成されていてもよい。
【0037】
また本発明では、前記磁気検出素子の上に形成された上部シールド層上には分離層を介して記録用のインダクティブヘッドが設けられていることが好ましい。
【0038】
このように本発明における薄膜磁気ヘッドが、再生用のMRヘッドと記録用のインダクティブヘッドとが複合形成された形態であっても、本発明におけるシールド層の磁化状態は適切に単磁区化されて安定化しているため、前記インダクティブヘッドからの記録磁界の影響を受けても前記シールド層の単磁区化構造は崩れず、従って磁気検出素子のフリー磁性層の単磁区化構造も適切に保たれ、良好な再生特性を維持することができる。
【0039】
また本発明では、前記磁気検出素子の上に形成された上部シールド層は、記録用のインダクティブヘッドの下部コア層として兼用され、前記上部シールド層の上にギャップ層を介して上部コア層が対向している構成であってもよい。
【0040】
かかる場合であってもインダクティブヘッドからの記録磁界の影響によって前記上部シールド層の単磁区化構造が崩れ難く、前記上部シールド層の磁化状態を安定に保つことができて、良好な再生特性を維持できると共に、製造工程を簡略化することができる。
【0041】
また本発明では、前記反強磁性層は、X−Mn(ただしXは、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptのうちいずれか1種または2種以上)合金で形成されることが好ましい。
【0042】
これら反強磁性材料は組成比によって熱処理を施さなくても磁場中成膜で、磁性層との間で交換異方性磁界を発生させることができる。このように熱処理を必要としないことで製造行程を簡略化することができる。
【0043】
またこれら反強磁性層材料は、磁性層の上下どちらに形成された場合でも前記磁性層との間で適切に交換異方性磁界を発生させることが可能な材料である。
【0044】
また本発明では、前記非磁性の中間層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材料で形成されることが好ましい。前記非磁性材料で形成された中間層を用いることで、前記中間層の上下に形成される磁性層間で効果的に大きなRKKY相互作用による交換結合磁界を発生させることができ、前記磁性層の磁化を互いに反平行状態にして適切に単磁区化することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態の薄膜磁気ヘッドを示すものであり、記録媒体の対向面側から見た部分断面である。なお、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向はY方向である。
【0046】
図1に示す薄膜磁気ヘッドは、浮上式ヘッドを構成するスライダのトレーリング側端面に形成されたものであり、再生用のMRヘッドh1と、記録用のインダクティブヘッドh2とが積層されたものとなっている。
【0047】
MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用してハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出し、記録信号を読み取るものである。
【0048】
図1に示すように、最も下に形成された層は、スライダのトレーリング側端面に設けられたAlなどで形成された絶縁層20であり、この絶縁層20の上に下部反強磁性層21が形成されている。
【0049】
図1に示すように前記下部反強磁性層21の上には、積層フェリ構造から成る下部シールド層25が形成されている。
【0050】
前記下部シールド層25は、下から第1磁性層22、中間層23、および第2磁性層24の3層構造から成る。
【0051】
前記第1磁性層22及び第2磁性層24は、NiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料で形成される。これら磁性材料は軟磁気特性に優れる。シールド機能を発揮させるには軟磁気特性が良好であることが重要であり、これら磁性材料を使用することで下部シールド層25のシールド機能を向上させることができる。
【0052】
一方、前記第1磁性層22と第2磁性層24間に形成された中間層23は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材料で形成されることが好ましい。
【0053】
図1に示すように、前記第2磁性層24の上にはAlやSiOなどの絶縁材料で形成された下部ギャップ層26が形成されている。
【0054】
図1に示すように前記下部ギャップ層26の上には磁気検出素子27が形成されている。この実施形態では前記磁気検出素子27は多層膜28と、前記多層膜28のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成されたハードバイアス層29とその上に重ねられた電極層30とで構成されている。
【0055】
前記多層膜28の構造については後で詳しく説明するが、例えば前記多層膜28は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー磁性層の4層構造で形成されたシングルスピンバルブ型構造である。
【0056】
次に図1に示すように、前記磁気検出素子27上、および下部ギャップ層26上には、AlやSiOなどで形成された上部ギャップ層31が形成されている。
【0057】
次に前記上部ギャップ層31上には、上部シールド層35が形成されている。前記上部シールド層35は、下部シールド層25と同じく積層フェリ構造である。
【0058】
図1に示すように、前記上部シールド層35は、下から第2磁性層32、中間層33、および第1磁性層34の順で積層形成されている。
【0059】
前記第1磁性層34及び第2磁性層32の材質は、下部シールド層25を構成する第1磁性層22及び第2磁性層24と同じである。また前記上部シールド層35を構成する中間層33の材質は、下部シールド層25を構成する中間層23の材質と同じである。
【0060】
次に図1に示すように、前記上部シールド層35の第1磁性層34の上には上部反強磁性層36が形成されている。
【0061】
そして、前記上部反強磁性層36の上には、AlやSiOなどの絶縁材料で形成された分離層37を介して記録用のインダクティブヘッドh2が設けられている。
【0062】
前記インダクティブヘッドh2は、NiFe合金などで形成された下部コア層38と、前記下部コア層38の上面中央に形成されたNiFe合金などの下部磁極層39、NiPなどの非磁性のギャップ層40、NiFe合金などの上部磁極層41と、前記下部磁極層39から上部磁極層41のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成されたAlなどの絶縁層42と、前記上部磁極層41上から前記絶縁層42上にかけて形成されたNiFe合金などの上部コア層43と、図示Y方向後方に形成されたコイル層(図示しない)とを有して構成されている。
【0063】
上記したように本発明では、下部シールド層25及び上部シールド層35が積層フェリ構造で形成されている。なお積層フェリ構造にするには、各シールド層25、35を構成する磁性層22、24、32、34の単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)を互いに異ならせることが必要である。
【0064】
さらに本発明では、各シールド層25、35を構成する最も磁気検出素子27から離れた位置の磁性層、すなわち第1磁性層22、34の磁気検出素子対向面22a、34aと逆面22b、34b側には、それぞれ反強磁性層21、36が設けられている。
【0065】
上記構成により、前記第1磁性層22、34の磁化は、前記反強磁性層21、36間で発生する交換異方性磁界により、トラック幅方向に向けられ固定される。
【0066】
一方、磁気検出素子27に近い位置に形成された磁性層の磁化、すなわち第2磁性層24、32の磁化は、前記第1磁性層22、34との間で働くRKKY相互作用による交換結合磁界によって前記第1磁性層22、34とは反平行に磁化される。
【0067】
このように本発明では、前記シールド層25、35を積層フェリ構造にし、しかも磁気検出素子27から遠い側の第1磁性層22、34の磁気検出素子対向面22a、34aと逆面22b、34b側に反強磁性層21、36を設けたことで、前記反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で働くRKKY相互作用による交換結合磁界との相乗効果によって、前記シールド層25、35を構成する各磁性層22、24、32、34の磁化を適切に単磁区化でき、安定した磁化状態を得ることが可能である。
【0068】
従って、再生時や記録時に、前記シールド層25、35の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にでき、従来のように前記シールド層25、35に不規則な磁区変化は生じず、よって今後の高記録密度化によりシールド層25、35間のギャップ長Gl1が短くなっても、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は適切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウゼンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能になる。
【0069】
次に図1における下部シールド層25及び上部シールド層35の特徴的構造について説明する。
【0070】
まず前記シールド層25、35を構成する最も磁気検出素子27に近い磁性層、すなわち第2磁性層24、32の膜厚t1、t2は、他の磁性層、すなわち第1磁性層22、34の膜厚t3、t4に比べて厚く形成されていることが好ましい。
【0071】
前記第1磁性層22、34の膜厚t3、t4は、第2磁性層24、32に比べて薄い膜厚で形成されているため、前記反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界によって、前記第1磁性層22、34の磁化は適切にトラック幅方向に単磁区化され、そして強固に固定される。
【0072】
一方、前記第2磁性層24、32の磁化は第1磁性層22、34との間で働くRKKY相互作用による交換結合磁界によって、前記第1磁性層22、34の磁化方向とは反平行になって適切に単磁区化される。
【0073】
このとき前記第2磁性層24、32の膜厚t1、t2は、第1磁性層22、34に比べて厚く形成されるため、第2磁性層24、32の磁気検出素子対向面24a、32aと逆面側付近A、Bでは、磁化が上記のRKKY相互作用の影響を強く受けてトラック幅方向に強固に固定され、一方、前記逆面側付近A、B以外の領域C、Dでは、領域AとCとの間、領域BとDとの間で強磁性結合が存在し、また領域C、Dでは、RKKY相互作用の影響は弱くなるが、ゼロにはならず残っているので、前記領域C、Dの第2磁性層24、32もトラック幅方向に適切に単磁区化された状態になる。この実施形態では、前記逆面側付近A、B以外の領域C、Dの第2磁性層24、32の磁化は、トラック幅方向に強く固定されておらず、外部磁界に対し磁化反転しやすくなっている。
【0074】
すなわち図1に示す実施形態では、各シールド層25、35を構成する磁性層22、24、32、34全てがシールドとしての機能を持ち合わせず、前記第2磁性層24、32の前記磁気検出素子対向面24a、32aに近い領域C、Dのみが実質的にシールド機能を有するものとなっている。
【0075】
上記の構成により前記シールド層25、35の磁化状態のさらなる安定化を図ることができる。
【0076】
例えば本発明とは逆に、第1磁性層22、34を第2磁性層24、32よりも厚く形成すると、膜厚の厚い第1磁性層22、34と反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界は、前記第1磁性層22、34が薄い場合に比べて弱まることがわかっている。
【0077】
このため前記第1磁性層22、34は弱い交換異方性磁界のために全体が適切な単磁区化構造とならない可能性があり、このため特に前記第1磁性層22、34の磁気検出素子対向面付近には局部的に磁化分散領域が生じやくなると考えられる。従って第2磁性層24、32にも同様に局部的な磁化分散領域が生じ易くなり、前記シールド層25、35は外部磁界の影響を受けることで不規則な磁区変化が生じ易くなって、この影響をフリー磁性層が受けることで再生特性の低下を招く虞がある。
【0078】
また本発明のようにシールド層25、35を積層フェリ構造にせず、単層構造で反強磁性層を用いた場合でも、本発明に比べて前記シールド層25、35の単磁区化を適切に促進させることはできない。
【0079】
一方、本発明のように反強磁性層36、21と接する第1磁性層22、34を第2磁性層24、32よりも薄い膜厚とすると、前記第1磁性層22、34と反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界は強まる。従って前記第1磁性層22、34全体の磁化を前記反強磁性層21、36との交換異方性磁界によって適切に単磁区化し強固に固定できる。このため、第2磁性層24、32の領域A、Bの磁化をRKKY相互作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化し固定でき、このとき前記第2磁性層24、32の膜厚を厚くしても、領域C、Dの第2磁性層24、32を適切な単磁区化状態にでき、しかも前記第2磁性層24、32の磁気検出素子対向面24a、32a付近の領域C、Dの磁化は、外部磁界に対して磁化反転しやすく、この部分にシールド機能を持たせることが可能となるのである。このように本発明では、シールド機能を有するとともに磁化状態の安定化をより促進させることが可能なシールド構造を提供することができるのである。
【0080】
また本発明では最も磁気検出素子に遠い位置に設けられた磁性層、すなわち第1磁性層22、34の膜厚t3、t4は、0.01μm以上で0.1μm以下であることが好ましい。
【0081】
前記膜厚t3、t4が0.01μmよりも小さくなると第1磁性層22、34の単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)と第2磁性層24、32の単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)との差が大きくなりすぎ、第2磁性層24、32の磁化方向を所定方向に揃えきれないといった問題が発生する。
【0082】
一方、前記膜厚t3、t4が0.1μmよりも大きくなると、前記反強磁性層21、36との間で生じる交換異方性磁界が急激に弱くなって前記第1磁性層22、34の磁化を単磁区化して強固に固定できなくなる。
【0083】
次に、本発明では最も磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層、すなわち第2磁性層24、32の膜厚t1、t2は、0.3μm以上で3.0μm以下であることが好ましい。
【0084】
前記膜厚t1、t2が0.3μmよりも小さくなると、前記第2磁性層24、32全体の磁化が固定されやすくなり、前記第2磁性層24、32に適切にシールド機能を持たせることができなくなる。
【0085】
また前記膜厚t1、t2が3.0μmよりも大きくなると、第1磁性層22、34の単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)と第2磁性層24、32の単位面積当たりの磁気モーメント(Ms×t)との差が大きくなりすぎ、第2磁性層24、32の磁化方向を所定方向に揃えきれないといった問題が発生する。
【0086】
次にシールド層25、35の磁化方向について説明する。
図1に示す実施形態では、下部シールド層25の第1磁性層22がトラック幅方向の図示左方向に磁化されており、そのため前記下部シールド層25の第2磁性層24は図示右側に磁化された状態になっている。
【0087】
一方、上部シールド層35の第1磁性層34の磁化はトラック幅方向の図示右方向に磁化されており、そのため前記上部シールド層35の第2磁性層32の磁化は図示左方向に磁化された状態になっている。
【0088】
ここで、第2磁性層24、32は、第1磁性層22、34よりも厚い膜厚で形成されているから、前記第2磁性層24、32の方が第1磁性層22、34よりも単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)は大きくなっている。
【0089】
このため、第1磁性層22、34と第2磁性層24、32の単位面積当たりの磁気モーメントのベクトル和からなる合成磁気モーメントは、下部シールド層25では、図示右側に、上部シールド層35では図示左側に向いている。
【0090】
このように下部シールド層25と上部シールド層35とで合成磁気モーメントの方向を反平行にすることで、下部シールド層25と上部シールド層35のトラック幅方向における端部間を、静磁結合(カップリング)E、Fさせることが可能になる。図1に示す実施形態では、磁気モーメントの支配的な前記第2磁性層24、32のトラック幅方向(図示X方向)における端部間が、静磁結合(カップリング)しているものと考えられる。
【0091】
このように前記シールド層25、35間を静磁結合させることで、前記シールド層25、35を構成する磁性層22、24、32、34、の磁化状態の安定化をさらに促進させることができると共に、前記第2磁性層24、32から漏れる磁界が前記磁気検出素子27に流入することを抑制でき、さらなる再生特性の向上を図ることができる。
【0092】
さらに上記構成に加えて、以下の構成を有することで、さらに下部シールド層25と上部シールド層35間における静磁結合を強めることができる。
【0093】
図1に示す実施形態では、前記下部シールド層25を構成する第1磁性層22、第2磁性層24、および前記上部シールド層35を構成する第1磁性層34、第2磁性層32のトラック幅方向(図示X方向)における長さ寸法は等しくL1である。
【0094】
これにより、下部シールド層25と上部シールド層35とのトラック幅方向における端部間での静磁結合を強めることができ、前記シールド層25、35を構成する磁性層22、24、32、34の磁化状態の安定化をさらに促進させることができると共に、前記第2磁性層24、32から漏れる磁界が前記磁気検出素子27に流入することを抑制でき、さらなる再生特性の向上を図ることができる。
【0095】
上記のシールド層の磁化方向を調整するには、例えば磁場中で下部反強磁性層21と下部シールド層25の第1磁性層22を成膜して、図1のような下部シールド層25の磁化状態を得る。このときの磁場の大きさはいくらでも良い。
【0096】
例えば下部シールド層25の第1磁性層22と第2磁性層24とのフェリ状態が崩れるときの磁界(スピンフロップ磁界)よりも十分に大きな磁場(飽和磁界以上)を与え、磁場方向を図示左方向とすると第1磁性層22と第2磁性層24は共に図示左方向を向く。このとき第1磁性層22の磁化は下部反強磁性層21との間での交換異方性磁界によって、図示左方向に固定される。一方、第2磁性層24は、磁場を取り除くと第1磁性層22とのRKKY相互作用による交換結合磁界によって図示右方向を向く。
【0097】
次に上部シールド層35の第1磁性層34を成膜してその上に上部反強磁性層36を成膜するとき、下部シールド層25の第1磁性層22と第2磁性層24とのフェリ状態が崩れるときの磁界(スピンフロップ磁界)よりも十分に小さい磁場を与え、また磁場の向きを図示左方向とする。
【0098】
スピンフロップ磁界よりも十分に小さい磁界であれば、下部シールド層25のフェリ状態は崩れることはない。一方、上部シールド層35では、支配的な磁気モーメントを有する第2磁性層32は、左磁場の影響で左方向を向き、RKKY相互作用によって第1磁性層34は図示右方向を向く。そして前記第1磁性層34の磁化は上部反強磁性層36との間で発生する交換異方性磁界によって強く固定されるのである。
【0099】
次に反強磁性層21、36の材質及び組成比について説明する。
本発明では前記反強磁性層21、36はX−Mn(ただしXは、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptのうちいずれか1種または2種以上)合金で形成されることが好ましい。
【0100】
これら反強磁性材料は、組成比によっては熱処理を施さなくても、磁場中成膜のみで前記第1磁性層22、34との間で交換異方性磁界を発生させることができる材質である。
【0101】
前記元素Xに、Irを選択した場合、Irの組成比は、10原子%以上で40原子%以下であることが好ましい。
【0102】
また元素Xに、Ruを選択した場合、Ruの組成比は10原子%以上で45原子%以下であることが好ましい。
【0103】
また元素Xに、Rhを選択した場合、Rhの組成比は、10原子%以上で40原子%以下であることが好ましい。
【0104】
また元素Xに、Pdを選択した場合、Pdの組成比は、10原子%以上で25原子%以下であることが好ましい。
【0105】
また元素Xに、Ptを選択した場合、Ptの組成比は、10原子%以上で25原子%以下であることが好ましい。
【0106】
また原子Xに2種以上を選択した場合、2種以上の原子の総合組成比は10原子%以上で45原子%以下であることが好ましい。
【0107】
上記組成比で形成されたX−Mn合金は、耐食性に優れるとともに、前記第1磁性層22、34間で発生する交換異方性磁界の温度変化による変化を小さくでき、よって使用環境の変化に強い薄膜磁気ヘッドを製造できる。
【0108】
また上記したように、X−Mn合金は、熱処理を施さなくても、磁場中成膜によって、第1磁性層22、34との間で交換異方性磁界を発生し得る材料である。したがって薄膜磁気ヘッドの製造工程の簡略化を図ることができる。
【0109】
さらに上記したX−Mn合金は、第1磁性層22、34の上下のどちらに形成された場合でも前記第1磁性層22、34との間で適切に交換異方性磁界を発揮し得る材料である。したがって、下部反強磁性層21と上部反強磁性層36に同じ材質のX−Mn合金を使用することが可能であり、薄膜磁気ヘッドの製造工程の簡略化を図ることができる。
【0110】
なお熱処理を施さなくても、第1磁性層22、34との間で交換異方性磁界を発生し得る反強磁性材料としては、他にFeMn、α−Fe、NiOなどがある。これら反強磁性材料を使用してもかまわないが、X−Mn合金のように第1磁性層22、34の上下のどちらでも交換異方性磁界を発生し得る材料ではないので、下部反強磁性層21と上部反強磁性層36とで反強磁性材料を変える必要がある。
【0111】
なお熱処理の必要が無い上記X−Mn合金で反強磁性層21、36を形成するとき、前記反強磁性層21、36を磁場中成膜で形成する。
【0112】
また熱処理を施さなければ第1磁性層22、34との間で交換異方性磁界を発生し得ない材料、具体的にはNiMn合金やPtMn合金などを使用してもかまわない。なおPtMn合金は熱処理なしでも上記組成範囲であれば交換異方性磁界を発生させることができるが、熱処理をすることでさらに大きな交換異方性磁界を発生させることができ、また交換異方性磁界を発生し得る組成範囲を広げることができる。
【0113】
次に第1磁性層22、34と第2磁性層24、32との間に形成された中間層23、33について以下に説明する。
【0114】
上記したように、前記中間層23、33は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種または2種以上の非磁性材料で形成されることが好ましい。前記非磁性材料を中間層23、33に使用することで、前記第1磁性層22、34と第2磁性層24、32間にRKKY相互作用による交換結合磁界を適切に発生させることができ、前記第1磁性層22、34の磁化方向と第2磁性層24、32の磁化方向を適切に反平行状態に保つことができる。
【0115】
また前記中間層23、33の膜厚は3Å以上で12Å以下であることが好ましい。これにより前記第1磁性層22、34と第2磁性層24、32間に発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を大きくでき、前記第1磁性層22、34の磁化方向と第2磁性層24、32の磁化方向を適切に反平行状態に保つことができる。
【0116】
以下、本発明における他の薄膜磁気ヘッドの構造について説明する。
図2は本発明における第2実施形態の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1に示す符号と同じ符号がつけられている層は図1と同じ層を示している。
【0117】
図2に示す実施形態は、上部反強磁性層44の構造、およびインダクティブヘッドの構造が図1に示す実施形態と異なっている。
【0118】
図2に示すように前記上部反強磁性層44は、トラック幅方向(図示X方向)に所定の間隔L2を開けて、上部シールド層35の第1磁性層34の両側端部上に形成されている。
【0119】
また前記上部反強磁性層44上から前記第1磁性層34上にかけて、Alなどで形成された非磁性のギャップ層45が形成され、前記ギャップ層45の上に上部コア層46が形成されている。
【0120】
この実施形態においても図1と同様の効果を得ることができる。すなわち本発明では、前記シールド層25、35を積層フェリ構造にし、しかも磁気検出素子27から遠い側の第1磁性層22、34の磁気検出素子対向面と逆面側に反強磁性層21、44を設けたことで、前記反強磁性層21、44との間で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で働くRKKY相互作用による交換結合磁界との相乗効果によって、前記シールド層25、35を構成する各磁性層22、24、32、34の磁化を適切に単磁区化でき、安定した磁化状態を得ることが可能である。
【0121】
従って、再生時や記録時に、前記シールド層25、35の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にでき、従来のように前記シールド層25、35に不規則な磁区変化が起こらず、よって今後の高記録密度化によりシールド層25、35間のギャップ長Gl1が短くなっても、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は適切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウゼンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能になる。
【0122】
また図2に示すように磁気検出素子27に近い側の第2磁性層24、32の膜厚を、第1磁性層22、34の膜厚よりも厚くすることで、薄い膜厚の第1磁性層22、34の磁化を、前記反強磁性層21、44との間で発生する交換異方性磁界によって適切に単磁区化し強固に固定できる。このため、第2磁性層24、32の第1磁性層22、34に近い付近の磁化をRKKY相互作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化し固定でき、しかも前記第2磁性層24、32の磁気検出素子対向面付近の磁化は、外部磁界に対して磁化反転しやすく、この部分にシールド機能を持たせることが可能となる。このように本発明では、シールド機能を有するとともに磁化状態の安定化をより促進させることが可能なシールド構造を提供することができる。
【0123】
また図2のように、上部シールド層35の第1磁性層34上における反強磁性層44間に所定の間隔L2を空けることで、前記間隔L2内から露出する第1磁性層34上にギャップ層45を介して上部コア層46を対向させることができる。
【0124】
このときインダクティブヘッドh2を構成する下部コア層は、前記上部シールド層35の第1磁性層34であり、前記インダクティブヘッドh2は、前記第1磁性層34、ギャップ層45、および上部コア層46を有して構成されることになる。図1の場合は、上部反強磁性層36上に分離層37を設けて下部コア層38を設ける必要があったが、図2の実施形態は図1の実施形態に比べて薄膜磁気ヘッドの製造工程を簡略化することができる。
【0125】
なお、前記上部反強磁性層44間の間隔L2は、前記上部コア層46のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法で決定されるトラック幅Twよりも大きいことが好ましい。これにより前記間隔L2内に露出する第1磁性層34上にギャップ層45を介して上部コア層46を適切に対向させることができ、前記ギャップ層45の膜厚で決定されるギャップ長Gl2の狭ギャップ化を実現することができる。
【0126】
なお図2に示す下部反強磁性層21が、所定の間隔を空けて前記下部シールド層25を構成する第1磁性層22の両側端部下に形成されていてもよい。
【0127】
また図2に示すように、前記上部反強磁性層44が、所定の間隔L2を空けて上部シールド層35を構成する第1磁性層34の両側端部上に形成されている場合でも、図1と同じように分離層37を設けてインダクティブヘッドh2を形成してもよい。
【0128】
図3は本発明における第3実施形態の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号がつけられている層は図1と同じ層を示している。
【0129】
この実施形態では、下部シールド層47が、図1の下部シールド層25のように積層フェリ構造ではなく、従来と同じ単層構造である。
【0130】
すなわち図3における実施形態では、上部シールド層35側のみが積層フェリ構造になっている。
【0131】
上部シールド層35には、その上に形成されるインダクティブヘッドh2からの記録磁界が一部流入しやすい。記録磁界は数千Oe(数万(A/m)〜数十万(A/m))の非常に大きな磁界であるためにシールド層のどちらか一方を積層フェリ構造とする場合、下部シールド層47よりも上部シールド層35側を積層フェリ構造にして、前記上部シールド層35の磁化状態を安定化させた方が、再生時のみならず記録時においても、磁気検出素子27を構成するフリー磁性層の単磁区化構造を適切に保つことができ、バルクハウゼンノイズの発生などを低減できる再生特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0132】
また図3のように、前記上部シールド層35を構成する第2磁性層32は図示左方向に磁化され、第1磁性層34は図示右方向に磁化されており、膜厚が大きな第2磁性層32は第1磁性層34よりも単位面積当たりの磁気モーメントが支配的となっているので、前記第1磁性層34と第2磁性層32との単位面積当りの磁気モーメントのベクトル和で求めることができる合成磁気モーメントは図示左方向を向いている。
【0133】
このため図1と同様に、上部シールド層35と下部シールド層47との端部間を静磁結合を生じさせるために、前記下部シールド層47の磁化を図示右方向に磁化して、前記上部シールド層35の合成磁気モーメントと下部シールド層47の磁化方向とを反平行状態にすることが好ましい。これにより前記上部シールド層35及び下部シールド層47の磁化状態をより安定化させることができ、また前記下部シールド層47及び上部シールド層35から漏れる磁界が前記磁気検出素子27に流入するのを抑制することができ、再生特性の向上をより適切に図ることができる。
【0134】
また図3に示す実施形態では、前記下部シールド層47が単層構造で形成されているが、前記下部シールド層47の下に反強磁性層を設けることが、前記反強磁性層を設けない場合に比べて、前記下部シールド層47の磁化状態を安定化させることができるので好ましい。また前記下部シールド層47の下に形成される前記反強磁性層は、図2のようにトラック幅方向に所定の間隔を空けて形成されてもよい。
【0135】
またMRヘッドh1とインダクティブヘッドh2とが形成された複合型薄膜磁気ヘッドにおいて、上部シールド層が従来と同じ単層構造でも、下部シールド層47側を積層フェリ構造にすることで、従来に比べれば再生特性の安定性を図ることができる。またかかる場合、上部シールド層を下部コア層と兼用させて、前記上部シールド層の上にギャップ層を介して上部コア層を形成してもよいし、また前記上部シールド層の上に反強磁性層を設けてもよい。
【0136】
図4は本発明における第4実施形態の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号がつけられている層は図1と同じ層を示している。
【0137】
この実施形態では、下部シールド層50及び上部シールド層52は共に積層フェリ構造であるが、前記下部シールド層50及び上部シールド層52を構成する磁性層はそれぞれ3層となっている。
【0138】
前記下部シールド層50では、磁性層22(図1では第1磁性層22と呼んでいたがここでは単に磁性層22と呼ぶ)、磁性層48及び磁性層24(図1では第2磁性層24と呼んでいたがここでは単に磁性層24と呼ぶ)が設けられ、各磁性層の間にRuなどで形成された中間層23、49が設けられている。磁気検出素子27から最も離れた位置にある磁性層22の磁気検出素子対向面と逆面側には下部反強磁性層21が設けられている。
【0139】
下部反強磁性層21と前記磁性層22間で発生する交換異方性磁界によって前記磁性層22の磁化はトラック幅方向に、例えば図4の場合では図示右方向に単磁区化され固定される。そうすると中間層23を介して前記磁性層22に対向する磁性層48の磁化はRKKY相互作用による交換結合磁界によって図示左方向に単磁区化され固定される。
【0140】
さらに前記磁性層48と中間層49を介して対向する磁性層24の磁化は、RKKY相互作用による交換結合磁界によって図示右方向に単磁区化されるのである。
【0141】
一方、上部シールド層52には、磁性層32(図1では第2磁性層32と呼んでいたがここでは単に磁性層と呼ぶ)、磁性層51、及び磁性層34(図1では第1磁性層34と呼んでいたがここでは単に磁性層と呼ぶ)が設けられ、前記磁性層間にはRuなどで形成された中間層33、55が介在している。そして磁気検出素子27から最も離れた位置にある磁性層34の磁気検出素子対向面と逆面側には上部反強磁性層36が設けられている。
【0142】
上部反強磁性層36と前記磁性層34間で発生する交換異方性磁界によって前記磁性層34の磁化はトラック幅方向に、例えば図4の場合では図示左方向に単磁区化され固定される。そうすると中間層33を介して前記磁性層34に対向する磁性層51の磁化はRKKY相互作用による交換結合磁界によって図示右方向に単磁区化され固定される。
【0143】
さらに前記磁性層51と中間層55を介して対向する磁性層32の磁化は、RKKY相互作用による交換結合磁界によって図示左方向に単磁区化されるのである。
【0144】
図4のように、各シールド層50、52を構成する磁性層を3層にすることで図1のように各シールド層25、35を構成する磁性層を2層にした場合に比べて、さらに各シールド層50、52を構成する磁性層の磁化を適切に単磁区化でき、磁化状態の安定性を図ることができる。
【0145】
従って、再生時や記録時に、前記シールド層50、52の磁化反転(磁気的な可逆性)を良好にでき、従来のように前記シールド層50、52に不規則な磁区変化が起こらず、よって今後の高記録密度化によりシールド層50、52間のギャップ長Glが短くなっても、前記磁気検出素子27を構成するフリー磁性層は適切に単磁区化構造を維持することができ、バルクハウゼンノイズの発生などを抑制できる再生特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能になる。
【0146】
また図4に示すように磁気検出素子27に近い側の磁性層24、32の膜厚を、前記磁気検出素子27から遠い磁性層22、34の膜厚よりも厚くすることで、薄い膜厚の第1磁性層22、34の磁化を、前記反強磁性層21、36との間で発生する交換異方性磁界によって適切に単磁区化し強固に固定できる。このため、中間に位置する磁性層48、51を介して、磁気検出素子に最も近い磁性層24、32の磁化もRKKY相互作用による交換結合磁界によって適切に単磁区化でき、しかも前記磁性層24、32の磁気検出素子対向面付近の磁化は、外部磁界に対して磁化反転しやすく、この部分にシールド機能を持たせることが可能となる。このように本発明では、シールド機能を有するとともに磁化状態の安定化をより促進させることが可能なシールド構造を提供することができる。
【0147】
なお中間に位置する磁性層48、51の膜厚であるが、この磁性層48、51の膜厚は、少なくとも磁気検出素子27に最も近い位置に形成された磁性層24、32よりも薄い膜厚とする。ただし、適切なフェリ構造を保つようにするには、対向する磁性層との間で単位面積当たりの磁気モーメントを異ならせる必要があり、例えば各磁性層の材質が同じである場合に、対向する磁性層の膜厚を異ならせなければならない。このため例えば中間に位置する磁性層48、51の膜厚を、磁気検出素子27から最も遠い位置に形成された磁性層22、34よりも若干、厚い膜厚とする。
【0148】
ここで、下部シールド層50の各磁性層の単位面積当たりの磁気モーメントのベクトル和からなる合成磁気モーメントは図示右側方向を向いており、上部シールド層52の各磁性層の単位面積当たりの磁気モーメントのベクトル和からなる合成磁気モーメントは図示左方向を向いており、すなわち下部シールド層50と上部シールド層52とで合成磁気モーメントの方向を反平行にすることで、下部シールド層50と上部シールド層52との端部間を、静磁結合(カップリング)E、Fさせることが可能になる。なお図4に示す実施形態では、磁気モーメントの支配的な前記磁性層24、32のトラック幅方向(図示X方向)における端部間が、静磁結合(カップリング)されるものと考えれる。このように前記シールド層50、52間を互いに静磁結合させることで、前記シールド層25、35を構成する磁性層の磁化状態の安定化を促進させることができると共に、前記シールド層50、52から漏れる磁界が前記磁気検出素子27に流入するのを適切に抑制でき、さらなる再生特性の向上を図ることができる。
【0149】
なお図1で説明した材質や組成比、あるいは図1のみにおいて説明した好ましい構造等は、図2ないし図4のいずれの実施形態でも適用できるものである。
【0150】
なお図1ないし図4ではいずれもMRヘッドh1の他にインダクティブヘッドh2が設けられているが、本発明では前記インダクティブヘッドh2が設けられていなくてもよい。
【0151】
また本発明では、シールド層を構成する磁性層は2層以上であればよい。
最後に、本発明における磁気検出素子27の具体的な構造を図面を参照しながら説明する
図5は、本発明の一実施形態の磁気検出素子27の構成を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0152】
図5に示す磁気検出素子27はシングルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる構造である。
【0153】
図5に示す多層膜28は下から反強磁性層60、固定磁性層61、非磁性導電層62、フリー磁性層63の順で形成されている。
【0154】
前記反強磁性層60は例えばPtMn合金などで形成される。またこの実施形態では前記固定磁性層61が、磁性層64/非磁性中間層65/磁性層66の膜構成で形成された積層フェリ構造となっている。前記磁性層64、66は、NiFe合金、CoFeNi合金、CoFe合金、Coなどの磁性材料で形成される。また非磁性中間層65は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材料で形成される。
【0155】
積層フェリ構造では、磁性層64と磁性層66の磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)が互いに異なるように調整され、磁性層64の磁化は例えば図示Y方向と逆方向に磁化され、反強磁性層60との間で発生する交換結合磁界によってピン止めされると、もう一方の磁性層66の磁化は、磁性層64との間で発生するRKKY相互作用による交換結合磁界によって、図示Y方向を向き前記磁性層64の磁化と反平行状態になってピン止めされる。
【0156】
またこの実施形態ではフリー磁性層63も固定磁性層61と同じように積層フェリ構造となっている。前記フリー磁性層63は例えば磁性層67/非磁性中間層68/磁性層69の3層構造である。
【0157】
前記磁性層67及び69は互いに異なる磁気モーメントを有している。図5に示すように前記磁性層67のトラック幅方向(図示X方向)の両側にはCoPtなどで形成されたハードバイアス層29が形成され、前記ハードバイアス層29からの縦バイアス磁界の影響を受けて前記磁性層67の磁化が図示X方向と逆方向に向くと、前記磁性層69の磁化は、前記磁性層67との間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界によって図示X方向を向き、前記磁性層67の磁化と反平行状態にされる。
【0158】
図5に示すように、前記ハードバイアス層29の下には例えばCrなどで形成された配向膜71が形成されており、また前記ハードバイアス層29の上にはW(タングステン)やCuなどで形成された電極層30が形成されている。
【0159】
なおこの図5に示す磁気検出素子27では、多層膜28の順番が下から反強磁性層60、固定磁性層61、非磁性中間層62、およびフリー磁性層63となっているが、これが逆の順番であってもよい。
【0160】
また固定磁性層61及び/またはフリー磁性層63は積層フェリ構造である必要はなく、例えば磁性材料の単層構造あるいは多層構造であってもよい。
【0161】
また電極層30は、ハードバイアス層29の上に形成されているが、前記多層膜28の両側に下から電極層30、ハードバイアス層29の順に積層形成されていてもよい。
【0162】
図6は本発明における別の実施形態の磁気検出素子27の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0163】
図6に示す磁気検出素子27の構造はトンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる構造である。図5との違いは、図5における非磁性中間層62はCuなどの非磁性導電材料で形成されていたが、図6では固定磁性層61とフリー磁性層63との間にAlやSiOなどの絶縁材料で形成された中間層73が形成されている。
【0164】
また図6に示す磁気検出素子27では、前記多層膜28の上下に電極層74、74が形成されている。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、2つの磁性層(ここでは固定磁性層61とフリー磁性層63)に電圧を印加すると、中間層73を電流(トンネル電流)が流れ、トンネル効果が発揮される。
【0165】
前記トンネル型磁気抵抗効果型素子は、このトンネル効果の原理を利用して記録媒体からの洩れ磁界を検出するものである。
【0166】
この実施形態でも図5と同様に多層膜28のトラック幅方向の両側にはハードバイアス層29が形成されているが、前記ハードバイアス層29と電極層74間には絶縁層75、75が形成されており、前記絶縁層75により前記電極層74からのセンス電流が前記ハードバイアス層29に分流しないようになっている。
【0167】
なお図6と同じ構造であって、中間層73の部分が図5と同じ非磁性中間層62で形成されたCPP型のスピンバルブ型薄膜素子というものがある。かかる磁気検出素子でも本発明を適用できる。
【0168】
図7は、本発明における他の実施形態の磁気検出素子27の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0169】
図7に示す実施形態では、フリー磁性層63の上下に非磁性中間層62、62、固定磁性層61、61、および反強磁性層60、60が1層づつ形成された、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる構造である。
【0170】
この実施形態では、前記フリー磁性層63は、CoFe合金やCoなどで形成された磁性層76、76、およびNiFe合金などで形成された磁性層77の3層構造である。前記磁性層76は、前記非磁性中間層62と前記磁性層77間で金属元素が拡散することを防止するための拡散防止層であり、抵抗変化量(ΔR)及び抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることができる。なお前記フリー磁性層63は、図5と同じように積層フェリ構造で形成されていてもよい。
【0171】
この実施形態でも前記多層膜28のトラック幅方向における両側には、下からCrなどの配向膜71、ハードバイアス層29、および電極層30が形成されている。
【0172】
なお図7に示す多層膜28を利用して、前記多層膜28の上下に電極層30、30が形成されたCPP(current perpendicular to the plane)型のデュアルスピンバルブ型薄膜素子においても本発明を適用でき、また多層膜28の非磁性中間層62を絶縁層の中間層73に代えて前記多層膜28の上下に電極層30、30が形成されたデュアル型のトンネル型磁気抵抗効果型素子においても本発明を適用できる。
【0173】
また図5ないし図7以外の磁気検出素子の構造としては、NiFe合金などで形成された磁気抵抗層(MR層)と、Taなどで形成されたシャント層と、NiFe合金などで形成されたSAL層との3層で形成された異方性磁気抵抗効果を用いたAMR型磁気抵抗効果素子であってもよい。
【0174】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、少なくとも一方のシールド層を2層以上の磁性層と、磁性層間に非磁性の中間層が介在する積層フェリ構造としている。これにより前記シールド層を構成する2層以上の磁性層の磁化は、対向する磁性層との間で生じるRKKY相互作用による交換結合磁界により互いに反平行にされる。
【0175】
また本発明では、最も磁気検出素子から離れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側に反強磁性層を設けている。
【0176】
これにより最も磁気検出素子から離れた磁性層と前記反強磁性層との間には交換異方性磁界が発生し、前記磁性層は適切にトラック幅方向に単磁区化され固定される。そして他の磁性層は上記したRKKY相互作用による交換結合磁界によって、磁化が反平行状態になって適切に単磁区化される。
【0177】
このように本発明では、反強磁性層との間で発生する交換異方性磁界と、磁性層間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界との相乗効果によって、前記シールド層を構成する全ての磁性層の磁化を効果的に単磁区化でき、前記シールド層の磁気的な可逆性を良好にすることができる。
【0178】
従って、今後の高記録密度化においてMRヘッドの狭ギャップ化が促進されても、前記シールド層の磁気的な可逆性は良好で、従来のように前記シールド層は、不規則な磁区変化を起さないので、磁気検出素子を構成するフリー磁性層の単磁区化構造を適切に保つことができ、バルクハウゼンノイズの発生を適切に抑制できるなど再生特性の向上を効果的に図ることが可能になっている。
【0179】
また本発明では、前記磁性層のうち、最も磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、他の磁性層の膜厚に比べて厚く形成されていることが好ましい。これによって、前記シールド層は適切にシールド機能を保ちながら、前記シールド層の磁化状態の安定化をさらに図ることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構造の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明の第2実施形態の構造の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明の第3実施形態の構造の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明の第4実施形態の構造の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明における磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明における別の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明における別の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【符号の説明】
21 下部反強磁性層
22、34 第1磁性層
23、33 中間層
24、32 第2磁性層
25、47、50 下部シールド層
26 下部ギャップ層
27 磁気検出素子
31 上部ギャップ層
35、52 上部シールド層
36、44 上部反強磁性層
h1 MRヘッド
h2 インダクティブヘッド

Claims (12)

  1. 磁気検出素子の上下にギャップ層を介してシールド層を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、
    少なくとも一方の前記シールド層は、2層以上の磁性層と、前記磁性層間に介在する非磁性の中間層とで構成される積層フェリ構造であり、最も前記磁気検出素子から離れた磁性層の磁気検出素子対向面と逆面側には反強磁性層が設けられていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記磁性層のうち、最も磁気検出素子に近い位置に設けられた磁性層の膜厚は、他の磁性層の膜厚に比べて厚く形成されている請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 最も磁気検出素子に近い位置に設けられた前記磁性層の膜厚は0.3μm以上で3μm以下で形成される請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 最も磁気検出素子に遠い位置に設けられた磁性層の膜厚は、0.01μm以上で0.1μm以下で形成される請求項2または3に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 一方のシールド層のみが前記積層フェリ構造で形成され、一方のシールド層の合成磁気モーメントの方向と、他方のシールド層の磁化方向とがトラック幅方向に反平行状態となっている請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 両方のシールド層が前記積層フェリ構造で形成され、双方のシールド層の合成磁気モーメントが互いにトラック幅方向に反平行状態となっている請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 両方のシールド層のトラック幅方向における長さは等しい寸法で形成されている請求項5または6に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 前記反強磁性層は、トラック幅方向に所定の間隔を開けて形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 前記磁気検出素子の上に形成された上部シールド層上には分離層を介して記録用のインダクティブヘッドが設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 前記磁気検出素子の上に形成された上部シールド層は記録用のインダクティブヘッドの下部コア層として兼用され、前記上部シールド層の上にギャップ層を介して上部コア層が対向している請求項8記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 前記反強磁性層は、X−Mn(ただしXは、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptのうちいずれか1種または2種以上)合金で形成される請求項1ないし10のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 前記非磁性の中間層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の非磁性材料で形成される請求項1ないし11のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
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