JP2002294216A - シーラント用組成物およびその用途 - Google Patents

シーラント用組成物およびその用途

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JP2002294216A JP2001096827A JP2001096827A JP2002294216A JP 2002294216 A JP2002294216 A JP 2002294216A JP 2001096827 A JP2001096827 A JP 2001096827A JP 2001096827 A JP2001096827 A JP 2001096827A JP 2002294216 A JP2002294216 A JP 2002294216A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明のシーラント用組成物は、MFRが
0.1〜20g/10分のポリプロピレン(A)と、MF
Rが0.1〜25g/10分の1-ブテン・α-オレフィ
ン共重合体(B)と、高密度ポリエチレン(C)とを特定割
合で含有してなる。本発明のシーラントフィルムは、上
記組成物からなる無延伸または延伸フィルムをシーラン
ト層として有する単層フィルムまたは2層以上の積層フ
ィルムからなる。このシーラント層の厚みは、無延伸フ
ィルムの場合、1〜100μm、また延伸フィルムの場
合、0.1〜10μmである。このシーラント層は、結
晶性ポリプロピレン基材層の片面または両面に形成され
ていることが望ましい。 【効果】本発明によれば、低温ヒートシール性に優れ、
かつ、エージングによるヒートシール性の変動を抑制で
きるシーラント層を形成できるシーラント用組成物、お
よびその組成物を用いたシーラントフィルムを提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、シーラント用組成物およ
びその用途に関し、さらに詳しくは、包装材料として好
適に用いることができるシーラント用組成物、およびそ
の組成物からなる無延伸または延伸フィルムをシーラン
ト層として有する積層フィルムからなるシーラントフィ
ルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に、包装材料には、内容物の
充填性に優れる特性が必要とされる。このような包装材
料の中でも、ポリプロピレンフィルムは、剛性が高く、
耐熱性に優れ、かつヒートシールが可能であることか
ら、シーラント材を始めとする包装材料として広く使用
されている。
【0003】近年、内容物を充填する際の異物混入の防
止、包装の効率化が求められてきており、これらを解決
すべく、内容物の充填速度の向上、特にシーラントフィ
ルムの低温シール性の向上による充填速度の向上が試み
られている。ところで、特開昭58−67739号公報
には、1-ブテン・エチレンランダム共重合体と少量のポ
リプロピレン、および少量の高密度ポリエチレンからな
る組成物が開示されている。しかしながら、この公報に
記載されている配合割合の組成物では、1-ブテン系共重
合体の含量が多いため、その組成物から成形されるフィ
ルムはスリップ性が悪いという問題があり、また、高密
度ポリエチレンの含量が少ないため、エージングによっ
てそのフィルムのヒートシール性が変動するという問題
があった。
【0004】また、特開昭61−106648号公報に
は、結晶性ポリプロピレン基材の表面に、結晶性プロピ
レンランダム共重合体と1-ブテン・プロピレンランダム
共重合体とを含有する組成物からなる層を形成すること
により、低温ヒートシール性が改善されたポリプロピレ
ン複合積層体を成形することができるという記載があ
る。確かに成形後の低温ヒートシール性は優れるもの
の、成形後の上記組成物からなるフィルム層をエージン
グすると低温ヒートシール性が低下するという問題があ
った。つまり、このフィルム層を有するポリプロピレン
複合積層体を保管しておくと、特に気温が上昇する夏場
においてこのフィルム層の品質が変動するため、実用上
問題があった。
【0005】本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭
意研究し、ポリプロピレン、1-ブテン・α- オレフィン
共重合体および高密度ポリエチレンを特定の割合で配合
したシーラント用組成物からなる無延伸または延伸フィ
ルムをシーラント層とする積層フィルムを調製したとこ
ろ、この積層フィルムにより上記問題を解決することが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、低温ヒートシー
ル性に優れ、かつ、エージングによるヒートシール性の
変動を抑制することができるシーラント層を形成するこ
とができるシーラント用組成物、およびその組成物を用
いたシーラントフィルムを提供することを目的としてい
る。
【0007】
【発明の概要】本発明に係るシーラント用組成物は、メ
ルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16
kg荷重)が0.1〜20g/10分であるポリプロピレ
ン(A)20〜90重量%と、メルトフローレート(M
FR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)が0.1〜2
5g/10分である1-ブテン・α- オレフィン共重合体
(B)10〜80重量%とを含有し、さらに、ポリプロ
ピレン(A)および1-ブテン・α- オレフィン共重合体
(B)の合計量100重量部に対し、高密度ポリエチレ
ン(C)を0.5〜15重量部含有してなることを特徴
としている。
【0008】前記ポリプロピレン(A)は、プロピレン
とプロピレン以外の炭素原子数2〜20のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体であって、該共重合体の、示差
走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点が125
〜155℃であることが望ましい。前記1-ブテン・α-
オレフィン共重合体(B)は、1-ブテンと1-ブテン以外
の炭素原子数2〜10のα- オレフィンとの共重合体で
あって、該共重合体(B)中の1-ブテン以外の炭素原子
数2〜10のα- オレフィンから誘導される構成単位含
量が0.5〜30モル%であり、示差走査型熱量計(D
SC)を用いて測定した融点が50〜130℃であり、
密度(ASTM D 1505)が880〜920kg/m3であ
り、沸騰酢酸メチル可溶分量が3重量%以下であること
が望ましい。
【0009】前記高密度ポリエチレン(C)の密度(AS
TM D 1505)は、通常、940〜980kg/m3であ
り、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190
℃、2.16kg荷重)が0.01〜20g/10分である。
本明に係るシーラントフィルムは、上記の、本発明に係
るシーラント用組成物からなる無延伸フィルムをシーラ
ント層として有する単層フィルムまたは2層以上の積層
フィルムからなり、該シーラント層の厚みが1〜100
μmであることを特徴としている。
【0010】また、本発明に係る他のシーラントフィル
ムは、上記の、本発明に係るシーラント用組成物からな
る延伸フィルムをシーラント層として有する単層フィル
ムまたは2層以上の積層フィルムからなり、該シーラン
ト層の厚みが0.1〜10μmであることを特徴として
いる。これらの積層フィルムのシーラント層は、結晶性
ポリプロピレンからなる基材層の少なくとも片面に形成
されていることが望ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るシーラント用
組成物およびその用途について具体的に説明する。シーラント用組成物 本発明に係るシーラント用組成物は、ポリプロピレン
(A)と1-ブテン・α-オレフィン共重合体(B)と高
密度ポリエチレン(C)とを含有している。
【0012】[ポリプロピレン(A)]本発明で用いら
れるポリプロピレン(A)は、メルトフローレート(M
FR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が0.1〜2
0g/10分、好ましくは1〜15g/10分、さらに
好ましくは2〜10g/10分の範囲内にある。このよ
うなポリプロピレン(A)としては、プロピレンの単独
重合体、プロピレンとプロピレン以外の炭素原子数2〜
20のα- オレフィンとのランダムまたはブロック共重
合体が挙げられる。
【0013】プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα
- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウン
デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、
1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが
挙げられる。中でも、プロピレン以外の炭素原子数2〜
10のα- オレフィンが好ましく用いられる。これらの
α- オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0014】ポリプロピレン(A)におけるプロピレン
から誘導される構成単位含量(プロピレン含量)は、9
0〜100モル%、好ましくは92〜100モル%であ
る。ポリプロピレン(A)の具体例としては、プロピレ
ン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン
ブロック共重合体、プロピレン・1-ブテンランダム共重
合体、プロピレン・1-ブテンブロック共重合体などが挙
げられる。
【0015】プロピレン・α- オレフィンランダム共重
合体としては、示差走査型熱量計(DSC)で測定した
融点が125℃〜155℃、好ましくは125℃〜14
5℃の範囲にあることが望ましい。本発明で用いられる
ポリプロピレン(A)は、たとえば固体状チタン触媒成
分と有機金属化合物触媒成分とからなるオレフィン重合
用触媒、あるいはこれら両成分および電子供与体触媒成
分から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、プ
ロピレンを単独重合、またはプロピレンと少なくとも1
種のプロピレン以外の炭素原子数2〜20のα- オレフ
ィンとをランダムあるいはブロック共重合することによ
り製造することができる。
【0016】上記固体状チタン触媒成分としては、たと
えば三塩化チタンもしくは三塩化チタン組成物、さらに
はマグネシウム、ハロゲン、電子供与体(好ましくは芳
香族カルボン酸エステルまたはアルキル基含有エーテ
ル)およびチタンを必須成分とし、比表面積が好ましく
は100m2/g以上の担体付チタン触媒成分が挙げら
れる。特に、後者の担体付チタン触媒成分が好ましい。
【0017】上記有機金属化合物触媒成分としては、特
に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物
が好ましく、たとえばトリアルキルアルミニウム、ジア
ルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジ
ハライドなどが挙げられる。これらの有機アルミニウム
化合物は、上記固体状チタン触媒成分の種類によって好
適なものが異なるので、適宜好適なものを選択して使用
されることになる。
【0018】上記電子供与体触媒成分としては、窒素、
リン、硫黄、酸素、珪素、ホウ素などを含む有機化合物
であって、たとえばエステル、エーテルなどが好適な例
として挙げることができる。担体付チタン触媒成分を含
むオレフィン重合用触媒を用いたポリプロピレンの製造
方法に関しては、たとえば特開昭50−108385
号、特開昭50−126590号、特開昭51−202
97号、特開昭51−28189号、特開昭52−15
1691号などの各公報に開示されている。
【0019】ポリプロピレン(A)は、ポリプロピレン
(A)および1-ブテン・α- オレフィン共重合体(B)
の合計量100重量%に対して、20〜90重量%、好
ましくは25〜85重量%、さらに好ましくは30〜7
0重量%の割合で用いられる。ポリプロピレン(A)を
上記範囲内の割合で用いると、低温シール性に優れるシ
ーラント用組成物が得られる。
【0020】[1-ブテン・α- オレフィン共重合体
(B)]本発明で用いられる1-ブテン・α- オレフィン
共重合体(B)は、メルトフローレート(MFR;ASTM
D 1238,190℃、2.16kg荷重)が0.1〜25g/10
分、好ましくは0.5〜10g/10分である。本発明
で用いられる1-ブテン・α- オレフィン共重合体(B)
としては、1-ブテンと1-ブテン以外の炭素原子数2〜1
0のα- オレフィンとの共重合体であって、1-ブテン以
外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンから誘導され
る構成単位含量(α- オレフィン含量)が0.5〜30
モル%、好ましくは1〜25モル%であり、1-ブテンか
ら誘導される構成単位含量(1-ブテン含量)が70〜9
9.5モル%、好ましくは75〜99モル%であり、メ
ルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16
kg荷重)が0.1〜25g/10分、好ましくは0.5
〜10g/10分であり、示差走査型熱量計(DSC)
で測定した融点が50〜130℃、好ましくは60〜1
30℃であり、密度(ASTM D 1505)が880〜920
kg/m3、好ましくは880〜910kg/m3であ
り、沸騰酢酸メチル可溶分量が3重量%以下、好ましく
は2.5重量%以下にあることが望ましい。中でも、X
線回折法により求めた結晶化度が5〜60%、好ましく
は20〜50%の範囲にある1-ブテン・α- オレフィン
共重合体が適している。
【0021】上記の1-ブテンと共重合させる1-ブテン以
外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンとしては、具
体的には、エチレン、プロピレン、4-メチル-1- ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましい。こ
れらのα- オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以
上組み合わせて用いられる。上記のような1-ブテン・α
- オレフィン共重合体(B)は、たとえば(a)マグネ
シウム化合物、チタン化合物、ジエステルおよび必要に
応じてハロゲン化合物(マグネシウム化合物またはチタ
ン化合物がハロゲン原子を含む場合は、必ずしも必要で
はない)を相互に反応させ、それにより形成されるマグ
ネシウム、チタン、ハロゲン、およびジエステルを必須
成分とする固体状チタン触媒成分と、(b)有機金属化
合物からなる触媒成分とから調製されるオレフィン重合
用触媒、または上記の(a)固体状チタン触媒成分、
(b)有機金属化合物触媒成分、および電子供与体から
調製されるオレフィン重合用触媒を用いて製造すること
ができる。
【0022】また、(a)固体状チタン触媒成分は、特
に限定されるものではないが、比表面積が100m2
g以上である担体付チタン触媒成分が好ましい。本発明
においては、担体付チタン触媒成分を用いて製造した1-
ブテン・α- オレフィン共重合体(B)が好ましい。上
記有機金属化合物触媒成分としては、特に限定されるも
のではないが、有機アルミニウム化合物が好ましい。有
機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリアル
キルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、
アルキルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。こ
れらの有機アルミニウム化合物は、チタン触媒成分の種
類によって好適なものが異なるので、適宜好適なものを
選択して使用されることになる。
【0023】上記電子供与体触媒成分としては、窒素、
リン、硫黄、酸素、珪素、ホウ素などを含む有機化合物
であって、たとえばエステル、エーテルなどが好適な例
として挙げることができる。本発明で用いられる1-ブテ
ン・α- オレフィン共重合体(B)は、上記触媒を用い
て20〜200℃の温度範囲で、1-ブテンと1-ブテン以
外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンとを共重合さ
せることによって調製することができる。
【0024】1-ブテン・α- オレフィン共重合体(B)
は、ポリプロピレン(A)および1-ブテン・α- オレフ
ィン共重合体(B)の合計量100重量%に対して、1
0〜80重量%、好ましくは15〜75重量%、さらに
好ましくは30〜70重量%の割合で用いられる。1-ブ
テン・α- オレフィン共重合体(B)を上記範囲内の割
合で用いると、低温ヒートシール性に優れるシーラント
フィルムを得ることができる。
【0025】[高密度ポリエチレン(C)]本発明で用
いられる高密度ポリエチレン(C)は、密度(ASTM D 1
505)が940〜980kg/m3、好ましくは950〜
980kg/m3、さらに好ましくは955〜980k
g/m3であり、メルトフローレート(MFR;ASTM D
1238,190℃、2.16kg荷重)が0.01〜20g/10
分、好ましくは0.1〜15g/10分、さらに好まし
くは1〜15g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0026】本発明では、高密度ポリエチレン(C)と
して、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原
子数3〜10のα- オレフィンとの共重合体を使用する
ことができる。本発明で用いられる高密度ポリエチレン
(C)は、従来公知の方法で製造することができ、たと
えば公知のチーグラー触媒を用い、スラリー法、気相法
等により製造することができる。現在、各種の高密度ポ
リエチレンが市販されており、その中から適宜選択して
使用することができる。
【0027】高密度ポリエチレン(C)は、ポリプロピ
レン(A)および1-ブテン・α- オレフィン共重合体
(B)の合計量100重量部に対して、0.5〜15重
量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2
〜10重量部の割合で用いられる。高密度ポリエチレン
(C)を上記範囲内の割合で用いると、エージングによ
るヒートシール性の変動を抑制することができる。
【0028】[シーラント用組成物]本発明に係るシー
ラント用組成物は、前記のポリプロピレン(A)、1-ブ
テン・α- オレフィン共重合体(B)および高密度ポリ
エチレン(C)を前記した割合で含有している。本発明
に係るシーラント用組成物は、これらの成分の他に、必
要に応じて、従来公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、核
剤、滑剤、スリップ剤、帯電防止剤、アンチブロッキン
グ剤、防曇剤、顔料、染料などの添加剤を、本発明の目
的を損なわない範囲で添加することができる。
【0029】本発明に係るシーラント用組成物は、ポリ
プロピレン(A)、1-ブテン・α-オレフィン共重合体
(B)、高密度ポリエチレン(C)および必要に応じて
上記添加剤等をタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェ
ルミキサー等で均一に混合することにより調製すること
ができるが、混合後さらに押出機、バンバリーミキサ
ー、ニーダー、ロール等で混練りしてもよい。
【0030】シーラントフィルム 本発明に係るシーラントフィルムには、無延伸シーラン
トフィルムと延伸シーラントフィルムとがある。 [無延伸シーラントフィルム]本発明に係る無延伸シー
ラントフィルムは、前述のシーラント用組成物からなる
無延伸フィルムをシーラント層として有する単層フィル
ムまたは2層以上の積層フィルムであって、このシーラ
ント層の厚みが1〜100μm、好ましくは1〜80μ
m、さらに好ましくは1〜75μmの範囲内にある。
【0031】本発明に係る無延伸シーラントフィルムが
積層フィルムである場合には、結晶性ポリプロピレンか
らなる基材層の少なくとも片面に、上記無延伸フィルム
からなるシーラント層を形成してなる積層フィルムが望
ましい。この基材層に用いられる結晶性ポリプロピレン
としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピ
レン以外の炭素原子数2〜20のα- オレフィンとのラ
ンダム共重合体またはブロック共重合体、およびこれら
のブレンド物が望ましい。
【0032】プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα
- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウン
デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、
1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが
挙げられる。中でも、プロピレン以外の炭素原子数2〜
10のα- オレフィンが好ましく用いられる。これらの
α- オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0033】このような結晶性ポリプロピレンのX線回
折法により測定される結晶化度は、通常40〜60%で
あることが望ましい。また、この結晶性ポリプロピレン
のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、
2.16kg荷重)は、通常0.5〜10g/10分である。
本発明に係る無延伸シーラントフィルムが単層フィルム
である場合、このフィルムは、たとえば従来より一般的
に用いられているキャスト成形機、インフレーション成
形機などを用いて製造することができる。
【0034】また、本発明に係る無延伸シーラントフィ
ルムが、上記シーラント層を結晶性ポリプロピレンから
なる基材層の少なくとも片面に形成された積層フィルム
である場合、このフィルムは、多層キャスト成形機、あ
るいは多層インフレーション成形機を用いて共押出法に
より製造することが望ましい。 [延伸シーラントフィルム]本発明に係る延伸シーラン
トフィルムは、前述のシーラント用組成物からなる延伸
フィルムをシーラント層として有する単層フィルムまた
は2層以上の積層フィルムであって、このシーラント層
の厚みが0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μ
m、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲内にある。
【0035】本発明に係る延伸シーラントフィルムが積
層フィルムである場合には、結晶性ポリプロピレンから
なる基材層の少なくとも片面に、上記延伸フィルムから
なるシーラント層を形成してなる積層フィルムが望まし
い。この基材層に用いられる結晶性ポリプロピレンとし
ては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン
以外の炭素原子数2〜20のα- オレフィンとのランダ
ム共重合体またはブロック共重合体、およびこれらのブ
レンド物が望ましい。
【0036】プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα
- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウン
デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、
1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが
挙げられる。中でも、プロピレン以外の炭素原子数2〜
10のα- オレフィンが好ましく用いられる。これらの
α- オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0037】このような結晶性ポリプロピレンのX線回
折法により測定される結晶化度は、通常40〜60%で
ある。また、この結晶性ポリプロピレンのメルトフロー
レート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)
は、通常0.5〜4g/10分である。本発明に係る延
伸シーラントフィルムが単層フィルムである場合、この
フィルムは、たとえば従来より一般的に用いられている
キャスト成形機、インフレーション成形機などを用いて
無延伸フィルムを製造した後に、従来より一般的に使用
されているテンター方式もしくはダブルバブル方式によ
る延伸を行なうことにより製造することができる。
【0038】また、本発明に係る延伸シーラントフィル
ムが、上記シーラント層を結晶性ポリプロピレンからな
る基材層の少なくとも片面に形成された積層フィルムで
ある場合、このフィルムは、多層キャスト成形機、ある
いは多層インフレーション成形機を用いて共押出法によ
り無延伸フィルムを製造した後に、テンター方式もしく
はダブルバブル方式等による延伸を行なって製造するこ
とが望ましい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、低温ヒートシール性に
優れ、かつ、エージングによるヒートシール性の変動を
抑制することができるシーラント層を形成することがで
きるシーラント用組成物、およびその組成物を用いたシ
ーラントフィルム(単層および積層構造の無延伸シーラ
ントフィルム、ならびに単層および積層構造の延伸シー
ラントフィルム)を提供することができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例により何ら限定されるものではな
い。なお、実施例、比較例で使用した成分を以下に示
す。 1)プロピレン・エチレン・1-ブテンランダム共重合体
(以下、PPと略す。) MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重):7g/1
0分 DSCにて測定した融点:141℃ エチレン含量:2.7モル% 1-ブテン含量:1.2モル% 2)1-ブテン・プロピレンランダム共重合体(以下、B
Pと略す。) MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重):4g/1
0分 共重合体中のプロピレン含量:24モル% DSCにて測定した融点:75℃ 密度(ASTM D 1505):900kg/m3 沸騰酢酸メチル可溶分量:1.2重量% 3)1-ブテン・エチレンランダム共重合体(以下、BE
と略す。) MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重):4g/1
0分 共重合体中のエチレン含量:5モル% DSCにて測定した融点:104℃ 密度(ASTM D 1505):900kg/m3 沸騰酢酸メチル可溶分量:1.1重量% 4)高密度ポリエチレン(以下、PEと略す。) MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重):1g/1
0分 密度(ASTM D 1505):950kg/m3 また、実施例、比較例において得られたシーラントフィ
ルムは、以下の方法に従い評価した。 (1)スリップ性 ASTM D1894に準じて、シーラントフィルムの
静摩擦係数および運動摩擦係数を測定した。 (2)耐ブロッキング性 ASTM D1893に準じて評価した。シーラントフ
ィルムを幅10cm、長さ15cmに切り出して、重ね
合わせ(シーラントフィルムが積層フィルムである場合
は、積層フィルムのシーラント層の面同士を重ね合わ
せ)、次いで、重ね合わせたフィルム(サンプル)を2
枚のガラス板で挟み10kgの荷重をかけ、50℃のエ
アーオーブン中に1日間放置した。その後 そのサンプ
ルを取り出し、剥離強度を万能試験機で測定し、1cm
当たりの剥離強度をブロッキング値とした。 (3)ヒートシール性 (a)実施例1〜3および比較例1、2におけるヒート
シール性 シーラントフィルムを重ね合わせ(シーラントフィルム
が積層フィルムである場合は、積層フィルムのシーラン
ト層の面同士を重ね合わせ)、次いで、80℃、90
℃、100℃、120℃の各温度で2kg/cm2の圧
力で1秒間、幅5mmのシールバーでヒートシールした
後、放冷した。
【0041】次いで、この試料から15mm幅の試験片
を切り取り、クロスヘッドスピード200mm/分でヒ
ートシール部分を剥離した際の強度を万能試験機で測定
した。また、上記シーラントフィルムを、40℃の空気
雰囲気下で1週間エージングした後に、前記方法と同様
にしてヒートシール部分の剥離した際の強度を万能試験
機で測定し、測定した強度の値をエージング後のヒート
シール強度とした。
【0042】なお、このエージング後のヒートシール強
度の測定用サンプルとして、130℃でヒートシールし
たサンプルを追加した。 (b)実施例4および比較例3におけるヒートシール性 シーラントフィルムを重ね合わせ(シーラントフィルム
が積層フィルムである場合は、積層フィルムのシーラン
ト層の面同士を重ね合わせ)、次いで、80℃、85
℃、90℃、95℃、100℃の各温度で2kg/cm
2の圧力で1秒間、幅5mmのシールバーでヒートシー
ルした後、放冷した。
【0043】次いで、この試料から15mm幅の試験片
を切り取り、クロスヘッドスピード200mm/分でヒ
ートシール部分を剥離した際の強度を万能試験機で測定
した。また、上記シーラントフィルムを、40℃の空気
雰囲気下で1週間エージングした後に、前記方法と同様
にしてヒートシール部分の剥離した際の強度を万能試験
機で測定し、測定した強度の値をエージング後のヒート
シール強度とした。
【0044】
【実施例1】前記PP 40重量%と、前記BP 60重
量%と、前記PE 5重量%とをヘンシェルミキサーで
均一に混合し、キャスト成形機を用いて、厚さ70μm
の単層の無延伸シーラントフィルムを製造した。この無
延伸シートフィルムについて、静止摩擦係数、運動摩擦
係数、ブロッキング値、ヒートシール強度およびエージ
ング後のヒートシール強度を上記方法に従って測定し
た。結果を第1表に示す。
【0045】
【実施例2】実施例1において、PEの配合量を8重量
%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ70
μmの単層の無延伸シーラントフィルムを製造した。こ
の無延伸シートフィルムについて、静止摩擦係数、運動
摩擦係数、ブロッキング値、ヒートシール強度およびエ
ージング後のヒートシール強度を上記方法に従って測定
した。結果を第1表に示す。
【0046】
【実施例3】実施例1において、PPの配合量を50重
量%に変更し、BP60重量%の代わりに前記BEを5
0重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚
さ70μmの単層の無延伸シーラントフィルムを製造し
た。この無延伸シーラントフィルムについて、静止摩擦
係数、運動摩擦係数、ブロッキング値、ヒートシール強
度およびエージング後のヒートシール強度を上記方法に
従って測定した。結果を第1表に示す。
【0047】
【比較例1】実施例1において、PE 5重量%を用い
なかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ70μm
の単層の無延伸シーラントフィルムを製造した。この無
延伸シーラントフィルムについて、静止摩擦係数、運動
摩擦係数、ブロッキング値、ヒートシール強度およびエ
ージング後のヒートシール強度を上記方法に従って測定
した。結果を第1表に示す。
【0048】
【比較例2】実施例3において、PE 5重量%を用い
なかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ70μm
の単層の無延伸シーラントフィルムを製造した。この無
延伸シーラントフィルムについて、静止摩擦係数、運動
摩擦係数、ブロッキング値、ヒートシール強度およびエ
ージング後のヒートシール強度を上記方法に従って測定
した。結果を第1表に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【実施例4】シーラント層形成用樹脂として前記PP
75重量%、前記BE 25重量%および前記PE 2重
量%に、さらにスリップ剤[商品名 アルフローP−1
0、日本油脂(株)製]をPP、BEおよびPEの合計
量に対して2400重量ppm、アンチブロッキング剤
[商品名 サイロイド244、富士デビソン(株)製]
をPP、BEおよびPEの合計量に対して2200重量
ppm添加し、ヘンシェルミキサーで均一に混合し、シ
ーラント用組成物を得た。
【0051】次いで、このシーラント用組成物と基材層
形成用のホモポリプロピレン(MFR;ASTM D 1238,2
30℃、2.16kg荷重)=2g/10分)を、多層成形機を
用いて共押出して2層フィルムを成形した。次いで、こ
の2層フィルムを、テンター方式の2軸延伸機を用い
て、延伸フィルムを製造した。この延伸は、MD方向の
延伸倍率を5倍、TD方向の延伸倍率10倍とし、MD
延伸ロール温度130℃、TD延伸オーブン温度170
℃の条件で行なった。
【0052】上記のようにして得られた延伸シーラント
フィルムにおける基材層の厚さが27μmであり、シー
ラント層の厚さが3μmであった。この延伸シーラント
フィルムについて、静止摩擦係数、運動摩擦係数、ブロ
ッキング値、ヒートシール強度およびエージング後のヒ
ートシール強度を上記方法に従って測定した。結果を第
2表に示す。
【0053】
【比較例3】実施例4において、PE 2重量%を用い
なかった以外は、実施例4と同様にして、延伸フィルム
を製造した。上記のようにして得られた延伸シーラント
フィルムにおける基材層の厚さが27μmであり、シー
ラント層の厚さが3μmであった。
【0054】この延伸シーラントフィルムについて、静
止摩擦係数、運動摩擦係数、ブロッキング値、ヒートシ
ール強度およびエージング後のヒートシール強度を上記
方法に従って測定した。結果を第2表に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【実施例5】多層キャスト成形機にて、10μm厚のシ
ーラント層および60μm厚の基材層からなる2層無延
伸フィルムを成形した。基材層形成用樹脂として、MF
R(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が7g/10分
のホモポリプロピレンを使用した。また、シーラント層
用組成物として、前記PP、BP、PEを第3表に示す
割合で配合した組成物を使用した。
【0057】この無延伸フィルムのシーラント面の静止
摩擦係数、運動摩擦係数、フィルムのブロッキング値、
ヒートシール強度、40℃で一週間エージングした後の
ヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度は、シ
ール温度を第3表に示す温度にした以外は、実施例1〜
3と同様の方法で測定した。結果を第3表に示す。
【0058】
【比較例4】実施例5において、PEを用いなかった以
外は、実施例5と同様にして、10μm厚のシーラント
層および60μm厚の基材層からなる2層無延伸フィル
ムを成形した。この無延伸フィルムのシーラント面の静
止摩擦係数、運動摩擦係数、フィルムのブロッキング
値、ヒートシール強度、40℃で一週間エージングした
後のヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度
は、シール温度を第3表に示す温度にした以外は、実施
例1〜3と同様の方法で測定した。結果を第3表に示
す。
【0059】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/12 C08L 23/12 23/20 23/20 //(C08L 23/12 C08L 23:06 23:06) Fターム(参考) 4F071 AA15X AA20 AA20X AA21X AA76 AA88 AF59 AH04 BC01 BC12 4F100 AK05A AK05C AK07A AK07B AK07C AK63A AK63C AL05A AL05C BA02 BA03 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C EH20 GB90 JA06A JA06C JA11B JL12 YY00A YY00C 4H017 AA04 AB07 AC02 AC19 AD06 AE04 AE05 4J002 BB033 BB12W BB17X GJ00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メルトフローレート(MFR;ASTM D 123
    8,230℃、2.16kg荷重)が0.1〜20g/10分であ
    るポリプロピレン(A)20〜90重量%と、 メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.
    16kg荷重)が0.1〜25g/10分である1-ブテン・
    α- オレフィン共重合体(B)10〜80重量%とを含
    有し、さらに、 ポリプロピレン(A)および1-ブテン・α- オレフィン
    共重合体(B)の合計量100重量部に対し、高密度ポ
    リエチレン(C)を0.5〜15重量部含有してなるこ
    とを特徴とするシーラント用組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリプロピレン(A)が、プロピレン
    とプロピレン以外の炭素原子数2〜20のα- オレフィ
    ンとのランダム共重合体であって、該共重合体の、示差
    走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点が125
    〜155℃であることを特徴とする請求項1に記載のシ
    ーラント用組成物。
  3. 【請求項3】前記1-ブテン・α- オレフィン共重合体
    (B)が、1-ブテンと1-ブテン以外の炭素原子数2〜1
    0のα- オレフィンとの共重合体であって、該共重合体
    (B)中のα- オレフィンから誘導される構成単位含量
    が0.5〜30モル%であり、示差走査型熱量計(DS
    C)を用いて測定した融点が50〜130℃であり、密
    度(ASTM D 1505)が880〜920kg/m3であり、
    沸騰酢酸メチル可溶分量が3重量%以下であることを特
    徴とする請求項1に記載のシーラント用組成物。
  4. 【請求項4】前記高密度ポリエチレン(C)の密度(AS
    TM D 1505)が940〜980kg/m3であり、メルト
    フローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷
    重)が0.01〜20g/10分であることを特徴とす
    る請求項1に記載のシーラント用組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のシーラン
    ト用組成物からなる無延伸フィルムをシーラント層とし
    て有する単層フィルムまたは2層以上の積層フィルムか
    らなり、該シーラント層の厚みが1〜100μmである
    ことを特徴とするシーラントフィルム。
  6. 【請求項6】前記積層フィルムのシーラント層が、結晶
    性ポリプロピレンからなる基材層の少なくとも片面に形
    成されていることを特徴とする請求項5に記載のシーラ
    ントフィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載のシーラン
    ト用組成物からなる延伸フィルムをシーラント層として
    有する単層フィルムまたは2層以上の積層フィルムから
    なり、該シーラント層の厚みが0.1〜10μmである
    ことを特徴とするシーラントフィルム。
  8. 【請求項8】前記積層フィルムのシーラント層が、結晶
    性ポリプロピレンからなる基材層の少なくとも片面に形
    成されていることを特徴とする請求項7に記載のシーラ
    ントフィルム。
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