JP2002293894A - 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステル及びその製造方法

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JP2002293894A JP2001101200A JP2001101200A JP2002293894A JP 2002293894 A JP2002293894 A JP 2002293894A JP 2001101200 A JP2001101200 A JP 2001101200A JP 2001101200 A JP2001101200 A JP 2001101200A JP 2002293894 A JP2002293894 A JP 2002293894A
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Yoshimichi Okano
善道 岡野
Kenji Nishimura
健二 西村
Hiroshi Katayama
弘 片山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム成形性、シート成形性および発泡成
形性に優れ、さらに力学特性に優れた成形体を与える脂
肪族ポリエステル。 【解決手段】 −(−CO−R−COO−R−O
−)−で表される繰り返し単位(P)、及び−(−CO
−R−O−)−で表される繰り返し単位(Q)から構
成される重量平均分子量40,000以上で、分岐点数
が(0.3〜50)×10-6mol/gの脂肪族ポリエステ
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ジカルボン
酸と脂肪族ジオール、及び、脂肪族ヒドロキシカルボン
酸またはその環状エステルを重合してなる、分岐構造を
有する脂肪族ポリエステルであって、成形性に優れ、さ
らに力学特性に優れた成形体を与える脂肪族ポリエステ
ル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックの特徴は、実用上十分な強
度を持ちながら、比重が小さいことや、腐食しにくい等
の性質にある。特に汎用プラスチックは、工業的に大量
生産されると同時に、日常生活や産業分野で広く利用さ
れ、その使用量が著しく増加している。多くのプラスチ
ックは自然環境中で分解されないため、近年プラスチッ
クの廃棄による環境破壊が問題とされるようになって来
た。そのため近年自然環境中で生分解可能なプラスチッ
クの開発が求められている。汎用性の高い生分解性樹脂
として脂肪族ポリエステルが注目されており、最近では
ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PB
S)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリカプ
ロラクトン(PCL)などが上市されている。これら生
分解性脂肪族ポリエステルの用途の一つとして、たとえ
ば、包装用、農業用などのフィルムの分野がある。ここ
では成形品としての高い強度と実用的な耐熱性および生
分解性の制御を同時に実現することが必要であるととも
に,ポリエチレン等の汎用樹脂並みの成形加工性を備え
ることが要求されている。通常の脂肪族ポリエステル
は,低せん断の溶融状態でニュートン流体として挙動す
るため、中空成形体を製造するのが困難であった。ま
た、延伸フィルム成形、シート成形、発泡成形時に、偏
肉が起こりやすく、これが原因で成形品の力学的特性が
損なわれるという問題があった。このように、ポリエチ
レンに近い力学特性と成形性を備えた、生分解性フィル
ムとして満足できる物性を持つポリエステルは、これま
でに開発されていなかった。例えば、特開平7−177
826号公報、特開平9−233956号公報等には、
乳酸単位を含む農業用フィルムが開示されている。これ
らのポリエステルの耐熱性は高いが、成形性が悪いとと
もに、成形時の熱による分解が激しく、満足できる力学
特性のフィルムは得られていない。また、特開平5−1
79016号公報、特開平5−179018号公報等に
は、ポリブチレンサクシネートを基本骨格とし、3官能
以上のモノマーを共重合したポリエステルを用いた生分
解性フィルムが開示されている。この方法では、成形性
は改善されているが、得られたフィルムの力学特性はポ
リエチレンと比較すると、引張り伸度が大幅に小さく、
硬くて割れやすいものであった。また、特開平11−1
52326号公報には、脂肪族ジオール、脂肪族ジカル
ボン酸、及びラクトン類を重縮合して得られる脂肪族ポ
リエステルが開示されおり、引張り強度に優れた成形品
が得られることが示されているが、この方法で得られる
ポリエステルは低分子量成分を多く含有しており、薄肉
フィルムにおいては裂けやすい性質が無視できなくなっ
てしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、成形加工性、特に、フィルム成形性、シート成形性
および発泡成形性に優れ、さらに力学特性に優れた成形
体を与える脂肪族ポリエステル及びその製造方法を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、直鎖状脂肪族ポリエ
ステルに分岐構造を導入すると共に高分子量化すること
により、樹脂の歪み硬化性が増加することを見出し、本
発明を完成した。
【0005】すなわち本発明の第1は、温度150℃、
ひずみ速度0.15〜0.20sec- 1の範囲における伸
長粘度測定において、下記数式(i)〜(iii) α=Δlnλn/Δε=(lnλn2−lnλn1)/(ε2−ε1)≧0.15 (i) λn=λ/λl (ii) ε=ln(I/I0) (iii) (式中、αはひずみ硬化性の程度を表すパラメーター、
λnは非線形パラメーター、λは非線形領域における伸
長粘度、λlは線形領域における伸長粘度を示し、εはH
enckyの伸長ひずみ量、I0及びIはそれぞれ伸長時間0
及びtにおける試料の長さを示す。λn2、λn1、ε2
ε1の下付文字2、1は伸長時間t2、t1における値を
示す。)で表わされる関係を充足する脂肪族ポリエステ
ルを提供する。本発明の第2は、1H-NMRで測定した
分岐点数が(0.3〜50)×10-6mol/gであること
を特徴とする本発明の第1に記載の脂肪族ポリエステル
を提供する。本発明の第3は、重量平均分子量Mwが
(0.4〜7)×105である本発明の第1又は2に記
載の脂肪族ポリエステルを提供する。本発明の第4は、
1H-NMRで測定した分岐点数が(0.3〜50)×1
-6mol/gであり、重量平均分子量Mwが(0.4〜
7)×105である脂肪族ポリエステルを提供する。本
発明の第5は、一つの分子鎖が、一般式(1)で表され
る繰り返し単位(P)、 (CO−R1−COO−R2−O) (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
素数2〜12の二価脂肪族基を表す)、及び一般式
(2)で表される繰り返し単位(Q) (CO−R3−O) (2) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
で構成されることを特徴とする本発明の第1〜4のいず
れかに記載の脂肪族ポリエステルを提供する。本発明の
第6は、一般式(3)で表される脂肪族ジカルボン酸、
その酸無水物又はそのジエステル体(A)、 R4−OCO−R1−COO−R5 (3) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R4およ
びR5は水素原子、又は炭素数1〜12の脂肪族基もし
くは芳香族基を表す)一般式(4)で表される脂肪族ジ
オール(B)、 HO−R2−OH (4) (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す)
及び一般式(5)で表されるヒドロキシカルボン酸もし
くはそのエステル体、 R6OCO−R3−OH (5) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基、R6は水
素原子または炭素数1〜6の脂肪族基を表す) または、一般式(6)で表されるラクトン類(一般式
(5)又は一般式(6)で表されるものを(C)とす
る。)
【化2】 (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
の上記(A)と(B)、及び(C)成分の重合反応によ
って、分子鎖が、一般式(1)で表される繰り返し単位
(P)、 −(−CO−R1−COO−R2−O−)− (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
素数2〜12の二価脂肪族基を表す)、及び一般式
(2)で表される繰り返し単位(Q) −(−CO−R3−O−)− (2) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
で構成されることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製
造方法を提供する。本発明の第7は、脂肪族ジカルボン
酸、その酸無水物又はそのジエステル体(A)が、コハ
ク酸、アジピン酸、コハク酸ジメチル、およびアジピン
酸ジメチルからなる群から選ばれる少なくとも1種であ
ることを特徴とする本発明の第6に記載の脂肪族ポリエ
ステルの製造方法を提供する。本発明の第8は、脂肪族
ジオール(B)が、エチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ジエチレングリコール及び1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくと
も1種であることを特徴とする本発明の第6に記載の脂
肪族ポリエステルの製造方法を提供する。本発明の第9
は、ラクトン類(C)がε−カプロラクトンであること
を特徴とする本発明の第6に記載の脂肪族ポリエステル
の製造方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の脂肪族ポリエステルは、
温度150℃、ひずみ速度0.15〜0.20sec-1
範囲での伸長粘度測定において、下記数式(i)〜(ii
i)で表わされる関係を充足する。 α=Δlnλn/Δε=(lnλn2−lnλn1)/(ε2−ε1)≧0.15 (i) λn=λ/λ1 (ii) ε=ln(I/I0) (iii) (式中、αはひずみ硬化性の程度を表すパラメーター、
λnは非線形パラメーター、λは非線形領域における伸
長粘度、λlは線形領域における伸長粘度を示し、εはH
enckyの伸長ひずみ量、I0及びIはそれぞれ伸長時間0
及びtにおける試料の長さを示す。λn2、λn1、ε2
ε1の下付文字2、1は伸長時間t2、t1における値を
示す。なお、線形領域とは、伸長粘度が種々のひずみ速
度に依存せず、同一の時間依存性を示す領域をいい、非
線形領域とは伸張粘度が伸張時間とともに線形領域から
外れて増大する領域をいう。[小山清人、石塚修、日本レ
オロジー学会誌, 13, 93(1985)を参照]。) 伸長粘度測定時、樹脂の種類によっては高ひずみ領域に
おける伸長粘度が線形領域から外れ、急激に上昇する性
質(すなわちひずみ硬化性)を有する樹脂がある。このよ
うな樹脂においては、λnの対数(lnλn)はHenckyの伸長
ひずみ量εに対して直線的に増加することが知られてい
る[小山清人、石塚修、繊維学会誌, 37,T-258(1981)を参
照]。ひずみ硬化性を有さない樹脂の場合、任意の伸長
ひずみ量に対して、λnはλとなり、λnの対数(lnλn)
をHenckyの伸長ひずみ量εに対してプロットした直線の
傾きα(=Δlnλn/Δε)は0となる。このように、ひず
み硬化性を有する樹脂の場合、特に高ひずみ領域におい
て、前記直線プロットの傾きαが0にならない。本発明
においては、非線形性パラメーターλnの対数(lnλn)を
伸長ひずみ量εに対してプロットした直線の傾きαを、
ひずみ硬化性の程度を表すパラメーターとして定義す
る。即ち、ひずみ硬化性とは、伸長粘度のひずみ量依存
性をいい、伸ばせば伸ばすほど硬くなる性質である。し
たがって、歪み硬化性が大きいとブロー成形時に伸ばさ
れたところは粘度が大きくなるので伸びすぎず、伸びて
いないところは粘度が低いので伸ばされる結果、均一な
厚みが得られる。このように、ひずみ硬化性の程度を表
すαは、樹脂の流動性や成形性(延伸性、低偏肉性)を
示す指標となり、本発明の脂肪族ポリエステルにおい
て、温度150℃、ひずみ速度0.15〜0.20sec
-1の範囲での伸長粘度測定において、直線の傾きαが
0.15以上の場合には、樹脂は高い流動性及び成形性
を示す。傾きα(=Δlnλn/Δε)は、好ましくは
0.2〜2、さらに好ましく0.3〜1.5、特に0.
35〜1.0程度である。前記直線の傾きαが0.15
未満では、樹脂の流動性や成形性が低下する。
【0007】本発明の脂肪族ポリエステルは、上記範囲
のひずみ硬化性を与えるためにポリマー鎖中に(0.3
〜50)×10-6mol/gの分岐点を含む。分岐点の構造
は,脂肪族ポリエステルの原料として、3価以上の多価
カルボン酸またはそのエステル体,3価以上の多価アル
コール、又は、複数のOH基またはCOOH基を有する
多価ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル体または
該当する環状エステルであるラクトンを使用することに
よって形成されるものであってもよく、また、触媒の種
類と反応条件を選択することによって、重合反応中に分
岐構造を形成する反応が適度に起こるように設計するこ
とによって形成されるものであってもよい。このように
して形成される分岐点の構造および濃度はNMRによっ
て正確に決定することができる。分岐点の数が、(0.
3〜50)×10-6mol/gの範囲にあるとき、好ましく
は(1.0〜20)×10-6mol/gの範囲にあるとき,
脂肪族ポリエステルは良好な成形性を示し、得られる成
形体の力学特性は優れたものとなる。分岐点の数が0.
3×10-6mol/gより小さいと,通常の脂肪族ポリエス
テルと実質的に同様の流動挙動を示して成形性が悪く、
成形品に無視できない程度の偏肉が見られるようにな
る。一方、分岐点の数が50×10-6mol/gより大きい
場合、インフレーション成形性、発泡成形性等は良好で
あるが、成形品の力学特性が損なわれるようになる。特
に、フィルムやシート等の成形品においては,伸度が大
幅に低下し弾性率が高くなり、もろくて割れやすいもの
になる。
【0008】分岐点を与えるために、必要に応じて直鎖
状の脂肪族ポリエステルの合成時に3官能以上の多官能
化合物を反応させてもよい。多官能化合物としては3官
能以上のポリオール、ポリカルボン酸、ポリヒドロキシ
カルボン酸もしくはそのエステル体、又はそのラクトン
体等が挙げられる。前記ポリカルボン酸の具体例として
は、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸
が挙げられる。前記ポリアルコールの具体例としては、
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオールが
挙げられる。前記ポリヒドロキシカルボン酸もしくはそ
のエステル体、又はそのラクトン体の具体例としては、
ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の
脂肪族ヒドロキシカルボン酸;これらのエステル形成性
誘導体などから誘導される構造単位を有する化合物;そ
れらの環状エステル、環状二量体エステル等が挙げられ
る。
【0009】本発明の脂肪族ポリエステルの重量平均分
子量Mwは(0.4〜7)×105、好ましくは(0.
7〜3)×105である。Mwが0.4×105以下であ
ると、流動性は高くなるが、成形品の強度が小さすぎる
ようになる。一方、Mwが7×105以上になると、溶
融時の粘度が高くなりすぎて、成形性が大幅に悪くな
る。
【0010】本発明で用いる脂肪族ジカルボン酸、その
酸無水物又はそのエステル体としては、次の一般式
(3)で表されるものを挙げることができる。 R4−OCO−R1−COO−R5 (3) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R4およ
びR5は水素原子、又は炭素数1〜6の脂肪族基もしく
は芳香族基を表す。) 前記R1で示される二価脂肪族基としては、炭素数1〜
12、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基
が挙げられる。好ましいアルキレン基は、−(CH2)
2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−等の炭素数2〜6の
直鎖状低級アルキレン基である。また、二価脂肪族基R
1は反応に不活性な置換基、たとえば、アルコキシ基や
ケト基等を有することができる。また、その分子中に酸
素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することもでき
る。R4およびR5が水素原子であるときには脂肪族ジカ
ルボン酸を表わしており、具体例としては、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、
スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン
酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マ
ロン酸、メチルマロン酸などである。R4およびR5で示
される脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ましくは1
〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の他、シクロヘ
キシル基等の炭素数5〜12のシクロアルキル基を挙げ
ることができる。またR4およびR5で示される芳香族基
としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。R
4およびR5としては炭素数1〜6が好ましく、1〜3の
低級アルキル基がより好ましい。脂肪族ジカルボン酸ジ
エステルの具体例としては、例えば、コハク酸ジメチ
ル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン
酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチ
ル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、デカン
ジカルボン酸ジメチル、ジグリコール酸ジメチル、ケト
ヒメリン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、メチルマロン
酸ジメチル等が挙げられる。これらのものは単独で用い
てもよいし2種以上組合わせて用いてもよい。本発明で
用いる脂肪族ジオールとしては、次の一般式(4)で表
わされるものを挙げることができる。 HO−R2−OH (4) (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す) 二価脂肪族基としては、炭素数2〜12、好ましくは2
〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。好ま
しいアルキレン基は、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−
(CH2)4−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基
である。また、二価脂肪族基R2は反応に不活性な置換
基、たとえば、アルコキシ基やケト基等を有することが
できる。また、その分子中に酸素やイオウ等のヘテロ原
子を主鎖に含有することもできる。脂肪族ジオールの具
体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,3‐プロパンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ペンダメチレング
リコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレン
グリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレン
グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等を用いることができ
る。これらのものは単独で用いてよいし、2種以上組合
せて用いてもよい。本発明で用いるヒドロキシカルボン
酸もしくはヒドロキシカルボン酸エステル又はラクトン
類(以下、成分(C)とする)の中で、ヒドロキシカル
ボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸エステルとして
は、次の一般式(5)で表されるものを挙げることがで
きる。 R6OCO−R3−OH (5) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基、R6は水
素原子または炭素数1〜6の脂肪族基を表す) 二価脂肪族基としては、炭素数2〜10、好ましくは2
〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。ま
た、二価脂肪族基R3は反応に不活性な置換基、たとえ
ば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。ま
た、その分子中に酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に
含有することもできる。R6は水素、脂肪族基又は芳香
族基であるが、脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ま
しくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基
や、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアル
キル基、芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等
が挙げられる。このヒドロキシカルボン酸エステル及び
ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸
メチル、グリコール酸エチル、L−乳酸メチル、L−乳
酸エチル、D−乳酸メチル、D−乳酸エチル、D,L−
乳酸メチル、D,L−乳酸エチル等のヒドロキシカルボ
ン酸エステル;グリコール酸、L−乳酸、ヒドロキシピ
バリン酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボ
ン酸を挙げることができる。上記ラクトン類としては、
前記一般式(6)で表されるものを挙げることができ
る。一般式(6)中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪
族基を表す。二価脂肪族基としては、炭素数4〜10、
好ましくは4〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基
が挙げられる。また、二価脂肪族基R3は反応に不活性
な置換基、たとえば、アルコキシ基やケト基等を有する
ことができる。また、その分子中に酸素やイオウ等のヘ
テロ原子を主鎖に含有することもできる。ラクトン類の
具体例としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−
ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−バレロラク
トン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−
カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,
5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチ
ルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン;
β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、
ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体
エステル;グリコリド、L−ラクチド、D−ラクチド等
の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル;そ
の他、1,3−ジオキソラン−4−オン、1,4−ジオ
キサン−3−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン等
の環状エステル−エーテル等を挙げることができる。こ
れらは2種以上のモノマーを混合して使用してもよい。
【0011】本発明における上記(A)、(B)及び
(C)の3成分の重縮合反応によって得られる脂肪族ポ
リエステル共重合体は、ランダムであっても、ブロック
であってよい。上記モノマーの仕込は、一括仕込み(ラ
ンダム)、分割仕込み(ブロック)、あるいは、ジカル
ボン酸−ジオールのポリマーにラクトン類を重合させた
り、あるいは、ポリラクトンにジカルボン酸とジオール
を重合させてもよい。
【0012】脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン
酸ジエステル(A)と脂肪族ジオール(B)、及びヒド
ロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エステルもし
くはラクトン類(C)とを触媒の存在下で重合反応させ
る場合、これらの成分(A)、(B)、(C)の割合を
以下の条件式に合致するように選択することが好まし
い。 0.02≦C/(A+C)≦0.40 (8) 1.0≦B/A≦2.0 (9) これらの式において、Aは(A)成分の使用モル数、B
は(B)成分の使用モル数、Cは(C)成分の使用モル
数を示している。前記式中のC/(A+C)は、これは
共重合体中に含まれる(C)成分由来の繰り返し単位の
モル分率を表している。C/(A+C)の値が0.02
より小さい場合は、得られるポリマーは結晶性が高く柔
軟性のない硬いものとなり、さらに生分解性の点でも未
だ不十分のものとなる。また、0.40より大きい場合
は、得られるポリマーの融点が低く、さらに結晶性が極
端に低下するために耐熱性が無く実用に不向きである。
【0013】本発明により前記成分(A)と(B)、及
び(C)を重合反応させる場合、反応初期の段階では8
0℃〜250℃、好ましくは100℃〜240℃、さら
に好ましくは145℃〜230℃で、0.5〜5時間、
好ましくは1〜4時間、窒素気流下、常圧で反応させ、
次いで反応系を減圧しながら反応温度を高めて反応を行
い、最終的には180℃〜270℃、好ましくは190
℃〜240℃の反応温度で減圧度3Torr以下、好ま
しくは1Torr以下で3〜10時間、反応を行う。
【0014】本発明の脂肪族ポリエステルは、一般式
(7): X1−R7−X2 (7) (式中、X1、X2は水酸基またはカルボキシル基と作用
して共有結合を形成可能な反応基、R7は単結合、炭素
数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、X1、X2
同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい)で
表される連結剤(E)を用いて低分子量の脂肪族ポリエ
ステルを高分子量化してもよい。低分子量の脂肪族ポリ
エステル100重量部に対し、0.1〜5重量部の連結
剤(E)を用いる。連結剤(E)の反応基X1、及びX2
としては、実質上水酸基とのみ反応して共有結合を形成
可能な式(9)〜(11):
【0015】
【化3】
【0016】で表される反応基群及び/又は、実質上カ
ルボキシル基とのみ反応して共有結合を形成可能な式
(12)〜(15)
【0017】
【化4】
【0018】(R8〜R10は2価の脂肪族基または芳香
族基を表し、環に直接結合している水素は脂肪族及び/
又は芳香族基で置換されてもよい)で表される3〜8員
環の環状反応基群から選ぶことができる。X1とX2は同
一の化学構造であってもよいし、異なってもよい。2官
能性の連結剤(E)の反応基は、例えばイソシアネート
基;イソチオシアネート基;エポキシ基;オキサゾリン
基;オキサゾロン基もしくはオキサジノン基;アジリジ
ン基;又はこれらの混基である。
【0019】連結剤(E)の反応基X1とX2を、実質上
水酸基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式
(9)〜(11)で表される反応基群から選ぶ場合、前
駆体となる低分子量脂肪族ポリエステルの酸価は2.0
以下、好ましくは1.0以下である。酸価が2.0より
大きい場合は、低分子量脂肪族ポリエステルの水酸基末
端濃度が小さく、連結反応が効率的に行えなかったり、
連結反応後、すなわち最終生成物の酸価が大きく、成形
加工時の分子量低下が起こり易いなどの問題が生じる。
連結剤(E)の反応基X1とX2を、実質上カルボキシル
基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式(12)
〜(15)で表される3〜8員環の環状反応基群から選
ぶ場合、低分子量脂肪族ポリエステルの酸価は0.5以
上30以下であることが好ましい。酸価が0.5より小
さい場合は、連結剤の使用量も極少量となるために均一
に反応させることが困難となる。酸価が30より大きい
と、最終生成物の酸価を低くすることができなかった
り、多量の連結剤を用いてゲル化が生じる危険があるな
どの問題が生じる。
【0020】連結剤(E)を用いて高分子量化する反応
は、低分子量脂肪族ポリエステルの融点以上で行い、2
70℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましく
は、230℃以下で行うことができる。この反応は、低
分子量脂肪族ポリエステルを製造した反応器に連結剤
(E)を添加することにより、重縮合反応と同じ反応器
内で実施することができる。また、低分子量脂肪族ポリ
エステルと連結剤を、通常の押出機あるいはスタティッ
クミキサー等を用いて混合することにより実施すること
もできる。
【0021】本発明の脂肪族ポリエステルの分子量は、
重量平均分子量で40,000以上であり、通常、10
0,000〜700,000の範囲である。また、本発
明の脂肪族ポリエステルの融点は、通常80℃以上と高
く、しかもその融点と分解温度との差は100℃以上と
大きく、熱成形も容易である。本発明の脂肪族ポリエス
テルにおいて、特に、前記一般式(1)におけるR1
2、R3が(CH22、(CH24、(CH25である
ものは、融点が高くかつ結晶性の高いものである。
【0022】本発明において、脂肪族ポリエステルを合
成する際、エステル化反応工程では,触媒を用いなくて
もよいが、一般的に知られているエステル交換触媒を用
いてもよい。脱グリコール工程では、触媒を用いること
が好ましい。本発明の脂肪族ポリエステルを製造するに
際して用いられる触媒は、リチウム、カリウムなどのア
ルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなど
のアルカリ土類金属、スズ、アンチモン、ゲルマニウム
等の典型金属、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、
ジルコニウム、チタン、鉄等の遷移金属、ランタン、サ
マリウム、ユウロピウム、エルビウム、イッテルビウム
等のランタノイド金属の各種化合物、例えば、カルボン
酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、水素化合
物、アルコラート、アセチルアセトネートキレート等を
挙げることができる。また、含窒素塩基性化合物や、ホ
ウ酸、またはホウ酸エステルなども用いられる。アルカ
リ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢
酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リ
チウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナ
トリウム、安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素リチウムなど
が挙げられる。また、アルカリ土類金属化合物として
は、具体的には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、
水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素
カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウ
ム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バ
リウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸
カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ス
トロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ス
トロンチウムなどが挙げられる。典型金属化合物として
は、具体的には、ジブチルスズヒドロキシド、ジブチル
スズジラウレート、三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウ
ム、炭酸ビスマスヒドロキシド、酢酸ビスマスヒドロキ
シドなどが挙げられる。遷移金属化合物としては、具体
的には、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラブトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムヒドロキシアセチルアセトネ
ート、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄などが挙げられ
る。希土類化合物としては、酢酸ランタン、酢酸サマリ
ウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢酸イッテ
ルビウムなどが挙げられる。含窒素塩基性化合物として
は、具体的には、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルア
ンモニウヒドロキシドなどの脂肪族アミンや芳香族アミ
ンから誘導された有機アンモニウムヒドロキシド類;ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジル
アミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン類;R2
NH(式中Rはメチル、エチルなどのアルキル、フェニ
ル、トルイルなどのアリール基などである。)示される
二級アミン類、RNH2(式中Rは上記と同じであ
る。)で示される一級アミン類;アンモニア、テトラメ
チルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアン
モニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウム
テトラフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムテ
トラフェニルボレートなどの塩基性化合物などが挙げら
れる。これらの内、テトラアルキルアンモニウムヒドロ
キシド類が特に好ましい。ホウ酸エステルとしては、具
体的には、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホ
ウ酸トリヘプチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリト
リル、ホウ酸トリナフチルなどが挙げられる。これらの
触媒は単独で用いても、2種以上組合せて用いてもよ
い。使用する触媒量に特に制限はないが、原料として用
いられる脂肪族ジカルボン酸又はジエステル1モルに対
して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6〜5×1
-4モルの量で用いる。この範囲より触媒量が少なくな
ると反応に長時間を要するようになる。一方、この範囲
より多くなると重合時のポリマーの熱分解、架橋、着色
等の原因となり、また、ポリマーの成形加工において熱
分解等の原因となり好ましくない。
【0023】本発明の脂肪族ポリエステルにおいては、
その重合体製造における反応系に、分岐構造を形成させ
る目的で、リン化合物の種類と量、反応温度、重合時間
等の調節によって、直鎖重合反応以外に起こる分岐反応
の速度を調節することができる。上記分岐構造を導入す
るために用いることができるリン化合物の具体例として
は,次亜リン酸、ピロ亜リン酸、亜リン酸、次リン酸、
リン酸、ピロリン酸、三リン酸、メタリン酸、ペルオク
ロリン酸、及び、次亜リン酸マグネシウム、ピロ亜リン
酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、次リン酸マグ
ネシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウ
ム、三リン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシウム、
ペルオクロリン酸マグネシウム,次亜リン酸カルシウ
ム、ピロ亜リン酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、次
リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カル
シウム、三リン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、
ペルオクロリン酸カルシウム等,これらの塩やエステル
等が挙げられる。これらのリン化合物の働きは、触媒に
配位して触媒活性を変え、縮合反応と分岐点形成反応の
程度を変える役割を果たす。上記リン化合物の使用量
は、触媒の種類や量、反応温度によって選択されるが、
一般的には、使用する触媒1モルに対して0.1〜50
モルの範囲であることが望ましい。0.1モル以下の場
合、実質的に添加効果が見られない。また、50モル以
上の場合、重縮合反応が抑制され、反応時間が長くなる
傾向が現れる。また、必要に応じて前記の3官能以上の
多価カルボン酸、多価アルコール、多価ヒドロキシカル
ボン酸類の原料を用いることもできる。
【0024】樹脂添加剤としては可塑剤、熱安定剤、滑
剤、ブロッキング防止剤、核剤、光分解剤、生分解促進
剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、
流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤、又はこれら
の混合物が挙げられる。
【0025】可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステ
ル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エス
テル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキ
シ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的
には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フ
タル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(D
IDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸−ジ−2−
エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル
(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼライン酸−
ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エ
ステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、
アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボ
ン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジピン酸エ
ステル等のポリエステル系可塑剤であり、これらは一種
または二種以上の混合物で用いられる。これら可塑剤の
添加量としては、用途によって異なるが、一般には共重
合体100重量部に対して、3〜30重量部の範囲が好
ましい。フィルムであると、5〜15重量部の範囲が好
ましい。3重量部未満であると、破断伸びや衝撃強度が
低くなり、また30重量部を超えると、破断強度や衝撃
強度の低下を招く場合がある。
【0026】本発明で用いる熱安定剤としては、脂肪族
カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に
脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天
然に存在するものが好ましい。塩としては、ナトリウ
ム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウ
ム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられ
る。これらは、一種または二種以上の混合物として用い
ることができる。添加量としては、共重合体100重量
部に対して、0.5〜10重量部の範囲である。上記範
囲で熱安定剤を用いると、衝撃強度(アイゾット衝撃
値)が向上し、破断伸び、破断強度、衝撃強度のばらつ
きが小さくなる効果がある。
【0027】本発明で用いる滑剤としては、内部滑剤、
外部滑剤として一般に用いられるものが使用可能であ
る。たとえば、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフ
ィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アル
キレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級ア
ルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂
肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価
アルコール、ポリグリコール、ポリクリセロール、金属
石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げられ
る。好ましくは、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂等が挙
げられる。滑剤を選択する場合には、ラクトン樹脂やそ
の他の生分解性樹脂の融点に応じて、その融点以下の滑
剤を選択する必要がある。例えば、脂肪族ポリエステル
樹脂の融点を考慮して、脂肪酸アミドとしては160℃
以下の脂肪酸アミドが選ばれる。配合量は、フィルムを
例にとると、共重合体100重量部に対し、滑剤を0.
05〜5重量部を添加する。0.05重量部未満である
と効果が充分でなく、5重量部を超えるとロールに巻き
つかなくなり、物性も低下する。フィルム用としては、
環境汚染を防止する観点から、安全性が高く、且つFD
A(米国食品医薬品局)に登録されているエチレンビス
ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸
アミド、エルカ酸アミドが好ましい。
【0028】上記光分解促進剤としては、例えば、ベン
ゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェ
ノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
などのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、
α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノ
ンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロ
シアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エ
チレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩と
の増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、
1種又は2種以上併用できる。
【0029】上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸
(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカ
ルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コ
ハク酸、グルタル酸などの炭素数2〜6程度の低級飽和
ジカルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸と炭
素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステル
が含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒
石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び
椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1
種又は2種以上併用できる。
【0030】上記充填剤(増量剤を含む)としては、種
々の充填剤、例えば炭酸カルシウム、マイカ、珪酸カル
シウム、タルク、微粉末シリカ(無水物)、ホワイトカ
ーボン(含水物)、石綿、陶土(焼成)、麦飯石、各種
の酸化チタン、ガラス繊維等の無機添加剤(無機充填剤
ともいう。)や、天然素材の粒子等の有機添加剤(有機
充填剤ともいう。)を挙げることができる。充填剤を添
加することにより生分解性が更に向上するとともに溶融
強度(粘度)が大きくなるので、溶融成形時のドローダ
ウンが防がれ、真空成形、ブロー成形、インフレーショ
ン成形等の成形性が向上する。充填剤の添加量は、共重
合体に対して、充填剤/共重合体の重量比が5〜50/
95〜50、好ましくは10〜45/90〜55、更に
好ましくは20〜40/80〜60、特に好ましくは2
5〜35/75〜65である。充填剤の量が過大では、
樹脂が粉を吹き、過小では成形時にドローダウン、ネッ
キング、厚みむら、目やに発生が著しい。無機充填剤と
しての微粉末シリカは、湿式法でつくられたシリカや、
四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水分解により製造
されたシリカでもよいが、粒径が50nm以下のものが
よい。有機充填剤としては、直径が50ミクロン以下
の、紙より製造した微粉末粒子が挙げられる。有機充填
剤の添加量は無機充填剤の場合と同じである。増量剤と
しては、木粉、ガラスバルーン等が挙げられる。増量剤
の添加量は無機充填剤の場合と同じである。
【0031】本発明の脂肪族ポリエステルを成形して各
種成形品を得ることができる。成形はペレット、板、パ
リソン等のプリフォームへの1次成形、それらをシー
ト、フィルム、テープ(これらは一軸または二軸延伸物
を含み、延伸により透明性、機械的強度が向上す
る。)、薄肉容器、厚肉容器、繊維(延伸物を含み、延
伸により透明性、機械的強度が向上する。)への2次成
形、さらにフィルムを袋、特に分解性ゴミ袋、水切り
袋、シュリンクフィルム(直接製膜してもよい。)孔あ
きフィルム、農業用マルチ(防草)フィルム、植生フィ
ルム、ベタ掛けフィルム、根巻きシート、排水シート、
養生シート等に;積層フィルムをカード等に、気泡入り
緩衝シート、襞付き緩衝材;繊維を糸、ロープ、使い捨
て織物、釣り糸、ネット、漁網、寒冷紗、不織布等に;
不織布を使い捨ておむつ用、生理用品用、おしぼり、吸
油材、フィルタ等に;テープを梱包用テープ、ネット、
バンド等に;ネットを土木用補強用、植栽用、医療品用
に;薄肉容器をトレイ、ブリスターパック等に;厚肉容
器をボトル、植栽容器等に;ホース、パイプ等の日用
品、産業資材に;発泡体にしてクッション材、農業用資
材等に;徐放性や緩効性にするために粒状肥料の被覆
や、医薬、農薬などのマイクロカプセル;通常の成形体
としてドレーン材、土留め、型枠、植物保護材等の産業
資材、容器(飲料、食品、機械・電気製品、農産物、医
薬品、苗木ポット);食器類、ナイフ、フォーク、スプ
ーン、トレー等の家庭用品;骨折固定材等の医療用品;
ペンの胴部、ファイル等の事務用品;カード類などの情
報メディア材料;アウトドア用品、ゴルフティー等のス
ポーツ用品、レジャー用品胴部;樹脂又は樹脂組成物を
接着剤、塗料等に加工することができる。成形法として
は押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、
圧縮成型、トランスファー成形、熱成形、流動成形、押
出し発泡成形、押出しコーティング又は積層成形等が可
能である。フィルムやシートなどの場合にはT−ダイ成
形、インフレーション成形、カレンダー成形が通常用い
られ、また、無延伸でも、一軸もしくは二軸延伸するこ
ともできる。
【0032】以下に、フィルム、特にインフレーション
法によるフィルムを製膜する場合の好適例について説明
する。まず、脂肪族ポリエステルでラクトン由来の繰り
返し単位(Q)と脂肪族ポリエステル樹脂に由来する繰
り返し単位(P)の比は、前者の70〜5重量%に対し
て後者の30〜95重量%(両者の合計100重量%)
が好ましいが、この場合前者の上限を60重量%以下に
とることが特に好ましく、前者の40〜10重量%に対
して後者の60〜90重量%の範囲が好適である。この
場合、(Q)が70重量%を超えるとフィルム等成形物
の高温時の機械的物性が低下傾向を示し、5重量%未満
では生化学的分解に基づく崩壊性が低下する可能性を有
する。この傾向は40〜10重量%の範囲から外れた場
合も同様のことが言える。一方、(P)の量が95重量
%を超えると生分解性が遅くなる傾向にあり、逆に30
重量%未満では、例えばフィルムに加工した場合には耐
熱性が低下する可能性がある。この傾向は60〜90重
量%の範囲から外れた場合も同様のことが言える。又、
滑剤としての脂肪酸アミドの配合割合は、脂肪族ポリエ
ステルの100重量部に対し0.2〜5重量部が好まし
いが、0.3〜1.5重量部の範囲がより好ましい。脂
肪酸アミドが0.2重量部未満ではインフレーションフ
ィルムのチューブ内のブロッキングとかフィルムとニッ
プロールやガイドロール間のブロッキング防止効果がや
や低くなり、一方、5重量部を超えるとフイルムの滑り
性が必要以上に高くなり易く、ロール巻きの崩れ問題の
他、印刷適性、接着性等も低下傾向を示し始める。更に
必要に応じて液状滑剤、微粉末シリカ、澱粉等を添加す
ることができる。液状滑剤の使用目的は、脂肪族ポリエ
ステル又はその組成物が通常ペレットもしくはビーズ状
でインフレーション製膜工程に供給され、これに後記の
ような嵩比重の極めて小さい微粉末シリカ等を均一に混
合しようとする場合と、該ペレットやビーズの表面を可
及的ウェットにしておくことが好ましいためである。こ
のような使用目的を有する液状滑剤の添加量は、脂肪族
ポリエステル100重量部に対して、好ましくは0.1
〜3重量部、より好ましくは0.2〜0.7重量部の範
囲で添加される。添加量が3重量部を超えると液状滑剤
が混合用タンブラーの内面に多量に付着し、べたついて
安定な混合が難しくなることがあり、0.1重量部未満
ではウェッティング剤としての効果が充分には発揮でき
ないことがある。この傾向は、より好ましい0.2〜
0.7重量部の範囲外についても見られる。一方、ウェ
ッティング剤としての液状滑剤は融点が70℃以下が好
ましく、常温で液状のものがより好ましく使用される。
例えば流動パラフイン、パラフィンワックス,ステアリ
ルアルコール,ステアリン酸等の他,ステアリン酸ブチ
ル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレート、ステアリルステアレート等のス
テアリン酸エステル類などを挙げることができる。な
お、上記液状滑剤中最も好ましい流動パラフインは経口
急性毒性(ラット)LD50が5g/kgであるので非
常に安全であり、食品衛生法の食品添加物として認めら
れていて、フィルムの使用後に廃棄された場合の環境汚
染防止の点で非常に好都合の材料である。上述のごとく
滑剤としては液状滑剤を選択したが、若し固体滑剤を使
用する場合は、樹脂組成物を含む全体の系が、該固体滑
剤の融点以上である必要があり、該融点以下の低温では
使用困難である。室温において液体である流動パラフィ
ンはこの点で好ましい滑剤である。微粉末シリカの使用
目的は、本発明に係るインフレーションフィルム及びイ
ンフレーション製膜時の前記ブロッキング防止を図るこ
とにある。使用される微粉末シリカは、湿式法でつくら
れたシリカや、四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水
分解により製造されたシリカ等が充当されるが、特に粒
径が50nm以下のものが好ましい。添加方法として
は、本発明に係る脂肪族ポリエステル、その組成物又は
更に脂肪酸アミドを添加してなる樹脂組成物に加熱混練
される方法が最も好ましく、かなりの高い剪断力が作用
し二次凝集粒子がほぐされ、フイルム間及びフィルムと
各ロール間のブロッキングとかべたつきの防止効果を発
揮する。なお、微粉末シリカの添加量は、脂肪族ポリエ
ステル100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲が
上記効果の発揮の点で最も好ましい。脂肪族ポリエステ
ルに前記各種添加剤を加えて配合組成物を得る方法とし
ては、従来使用されてきた各種方法が適用でき、特に限
定されるものではない。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、脂肪族ポリエステルの物性は下記の方法で測定し
た。 (1)直線プロットの傾きα 下記の条件下、平板状の試料の両端をピンチローラ又は
キャタピラにより支持した後、一定の歪み速度で回転さ
せて試料に伸長変形を加え、変形中の試料断面積及びピ
ンチローラ又はキャタピラにかかるトルクを検出するこ
とにより伸長粘度を求めた。得られた伸長粘度と、この
伸長粘度と同一伸長時間にある線形領域の伸長粘度とか
ら前記数式(ii)に従って非線形パラメーターを算出し
た。さらに、前記数式(iii)に従って、伸長時間0及
びtにおける試料の長さからひずみ量を算出し、伸長時
間の異なる複数の点について、非線形パラメーターの対
数とひずみ量とを図1のようにプロットし、前記数式
(i)に従って傾きαを算出した。 測定温度:150℃ ひずみ速度:0.01〜0.5sec-1 測定機器:MELTEN RHEOMETER[東洋精
機(株)製] (2)分岐点数1 H-NMRにより、エステル基に結合したメチレンのプ
ロトンと分岐により形成されたメチンプロトンの面積と
比較することにより、分岐点数を求めた。また、ポリマ
ー中のカプロラクトン含有率も、1H-NMRにより求
めた。 (3)分子量の測定 得られた脂肪族ポリエステルを、クロロホルムに溶解し
た試料を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GP
C)法により、示差屈折率検出器と差圧粘度検出器を用
いて40℃で測定し、標準ポリスチレンで較正したユニ
バーサル検量線により重量平均分子量を算出した。 (4)成形性の評価 得られた脂肪族ポリエステルを用いて、インフレーショ
ン成形したフィルムの外観、平均厚み差(成形したフィ
ルムを約2cm間隔で厚みを測定し、各測定点の厚みと
平均厚みの差の二乗和の平方根を測定総点数で割ったも
のを平均厚み差に用いた。)、引張り伸度等の総合評価
結果に基づいて成形性の評価を行なった。評価基準は次
の通りである。 ◎:成形加工性が特に優れている ○:成形加工性が優れている ×:成形加工性に劣る
【0034】[実施例1]窒素雰囲気下、予備重合槽に、
1,4−ブタンジオール3.02kg、コハク酸3.4
1kg、ε−カプロラクトン0.88kg、チタン酸テ
トライソプロピルエステル7.27g、リン酸カルシウ
ム0.51gを一括仕込みした。常圧下、145〜22
5℃の温度にて攪拌し、エステル化反応を行った。留出
液の量が1.0kgを超えたところで予備重合工程を終
了し、脂肪族ポリエステル共重合体プレポリマーを得
た。続いて、反応液を235℃の温度に保ち攪拌しなが
ら常圧から徐々に減圧し,最終的に1.0torrの減圧度
で5.5時間,重縮合反応を続けた。反応生成物を重合
槽から排出し、水槽で冷却し、カッターで裁断してペレ
ット状のポリエステルを得た。このポリエステルの重量
平均分子量は156,000であった、融点は109.
8℃であった。1H-NMR法により求めたカプロラク
トン含量は15重量%、分岐点数は5.2×10-6mol/
gであった。
【0035】[実施例2]実施例1と同様に、窒素雰囲気
下、予備重合槽に、1,4−ブタンジオール2.76k
g、コハク酸3.41kg、ε−カプロラクトン1.2
6kg、チタン酸テトライソプロピルエステル7.27
g、リン酸マグネシウム0.51gを一括仕込みした。
常圧下、145〜225℃の温度にて攪拌し、エステル
化反応を行った。留出液の量が1.0kgを超えたとこ
ろで予備重合工程を終了し、脂肪族ポリエステル共重合
体プレポリマーを得た。続いて、反応液を230℃の温
度に保ち攪拌しながら常圧から徐々に減圧し,最終的に
1.0torrの減圧度で6.5時間、重縮合反応を続け
た。反応生成物を重合槽から排出し、水槽で冷却し、カ
ッターで裁断してペレット状のポリエステルを得た。こ
のポリエステルの重量平均分子量は132,000、融
点は106.8℃であった。1H-NMR法により求め
たカプロラクトン含量は19重量%,分岐点数は3.2
×10-6mol/gであった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、成形加工性、特に、フ
ィルム成形性、シート成形性および発泡成形性に優れ、
さらに力学特性に優れた成形体を与える脂肪族ポリエス
テルが得られる。これらの一定のひずみ硬化性を示す脂
肪族ポリエステルを使用すると、均一な延伸や発泡を容
易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】伸長粘度測定により、ひずみ硬化性の程度を表
すパラメーターαを求める方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA02 AA03 AB01 AD01 AD10 AE01 AE03 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA09 BA10 BD04A BD07A BF09 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CA09 CD03 EA01 EA02 EA03 EA05 EC10 EG02 EG05 EG07 EG09 EG10 EH02 EH03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度150℃、ひずみ速度0.15〜
    0.20sec-1の範囲における伸長粘度測定において、
    下記数式(i)〜(iii) α=Δlnλn/Δε=(lnλn2−lnλn1)/(ε2−ε1)≧0.15 (i) λn=λ/λl (ii) ε=ln(I/I0) (iii) (式中、αはひずみ硬化性の程度を表すパラメーター、
    λnは非線形パラメーター、λは非線形領域における伸
    長粘度、λlは線形領域における伸長粘度を示し、εはH
    enckyの伸長ひずみ量、I0及びIはそれぞれ伸長時間0
    及びtにおける試料の長さを示す。λn2、λn1、ε2
    ε1の下付文字2、1は伸長時間t2、t1における値を
    示す。)で表わされる関係を充足する脂肪族ポリエステ
    ル。
  2. 【請求項2】 1H-NMRで測定した分岐点数が(0.
    3〜50)×10-6mol/gであることを特徴とする請求
    項1に記載の脂肪族ポリエステル。
  3. 【請求項3】 重量平均分子量Mwが(0.4〜7)×
    105である請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステ
    ル。
  4. 【請求項4】 1H-NMRで測定した分岐点数が(0.
    3〜50)×10-6mol/gであり、重量平均分子量Mw
    が(0.4〜7)×105である脂肪族ポリエステル。
  5. 【請求項5】 一つの分子鎖が、一般式(1)で表され
    る繰り返し単位(P) 、 (CO−R1−COO−R2−O) (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
    素数2〜12の二価脂肪族基を表す)、及び一般式
    (2)で表される繰り返し単位(Q) (CO−R3−O) (2) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
    で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の脂肪族ポリエステル。
  6. 【請求項6】 一般式(3)で表される脂肪族ジカルボ
    ン酸、その酸無水物又はそのジエステル体(A)、 R4−OCO−R1−COO−R5 (3) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R4およ
    びR5は水素原子、又は炭素数1〜12の脂肪族基もし
    くは芳香族基を表す)一般式(4)で表される脂肪族ジ
    オール(B)、 HO−R2−OH (4) (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す)
    及び一般式(5)で表されるヒドロキシカルボン酸もし
    くはそのエステル体、 R6OCO−R3−OH (5) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基、R6は水
    素原子または炭素数1〜6の脂肪族基を表す) または、一般式(6)で表されるラクトン類(一般式
    (5)又は一般式(6)で表されるものを(C)とす
    る。) 【化1】 (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
    の上記(A)と(B)、及び(C)成分の重合反応によ
    って、分子鎖が、一般式(1)で表される繰り返し単位
    (P)、 −(−CO−R1−COO−R2−O−)− (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
    素数2〜12の二価脂肪族基を表す)、及び一般式
    (2)で表される繰り返し単位(Q) −(−CO−R3−O−)− (2) (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す)
    で構成され、分岐構造を有することを特徴とする脂肪族
    ポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 脂肪族ジカルボン酸、その酸無水物又は
    そのジエステル体(A)が、コハク酸、アジピン酸、コ
    ハク酸ジメチル、およびアジピン酸ジメチルからなる群
    から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項6に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 脂肪族ジオール(B)が、エチレングリ
    コール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコー
    ル及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群
    から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項6に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 ラクトン類(C)がε−カプロラクトン
    であることを特徴とする請求項6に記載の脂肪族ポリエ
    ステルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006274256A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル樹脂組成物、成形品及びフィルム
JP2006274257A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度脂肪族ポリエステル共重合体組成物、成形品及びフィルム

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