JP2002293891A - ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法

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JP2002293891A
JP2002293891A JP2001101110A JP2001101110A JP2002293891A JP 2002293891 A JP2002293891 A JP 2002293891A JP 2001101110 A JP2001101110 A JP 2001101110A JP 2001101110 A JP2001101110 A JP 2001101110A JP 2002293891 A JP2002293891 A JP 2002293891A
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norbornene
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temperature
molded product
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JP2001101110A
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Tomoo Sugawara
智雄 菅原
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ルテニウム触媒の存在下、ノルボルネン系モノ
マーを成形型内において塊状開環メタセシス重合させて
ノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法であって、例
えば、成形型に装備した常圧の温調水ライン(100℃
以下)等で型温度を制御しても、外観性状等の良好な成
形品を製造するのに充分なピーク温度が得られ、しかも
薄肉部(厚みが15mm以下)を有する成形品の生産に
も適用できるノルボルネン系樹脂成形品の製造方法を提
供する。 【解決手段】ルテニウム触媒の存在下に、ノルボルネン
系モノマーを成形型内において塊状開環メタセシス重合
させてノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法であっ
て、前記触媒としてルテニウムに少なくとも1つのヘテ
ロ原子含有カルベン化合物が配位してなる錯体を用いる
ことを特徴とするノルボルネン系樹脂成形品の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルテニウム触媒の
存在下に、ノルボルネン系モノマーを成形型(以下、単
に「金型」ともいう。)内で塊状開環メタセシス重合し
てノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ノルボルネン系モノマーを開
環メタセシス重合することにより、エラストマーや室温
で軟質な樹脂、硬質樹脂等が得られることが知られてい
る。そして、これらの樹脂が各種成形品の製造に用いら
れている。かかる成形品の製造方法としては、ノルボル
ネン系モノマーを溶液重合して得られる重合体を、射出
成形やカレンダー成形等の熱成形法により成形品とする
方法がある。また、反応射出成形法(RIM法)のよう
に、金型内でノルボルネン系モノマーを塊状(バルク)
重合して成形品を得る方法も知られている。
【0003】このRIM法は、液状の原料から一挙に耐
熱性のよい熱硬化性樹脂が得られるため、各種成形品の
製造に適用されて注目を浴びている。その代表的な成形
品としては、バンパーやグローブボックスカバー等の車
輛部品、パイプの継手や浄化槽の筐体のような土木建築
用部材、浴槽パンや防水パン等の住宅設備部材等があ
る。
【0004】従来、ノルボルネン系モノマーの塊状開環
メタセシス重合は、モリブテンやタングステン等の化合
物からなるメタセシス触媒(主触媒)とアルキルアルミ
ニウムハライド等の共触媒からなる触媒系の存在下に行
われてきた。例えば、特開昭58−127728号公
報、特開昭58−1298013号公報等には、メタセ
シス触媒系の主触媒成分及びモノマーを含む反応液と、
メタセシス触媒系の共触媒及びモノマーを含む反応液を
衝突混合させ、その混合液を直ちに金型内に注入し、型
内で硬化させて成形物を製造する方法が記載されてい
る。
【0005】ところで、近年、水分や酸素等失活成分の
影響を受けにくい新しいタイプのメタセシス触媒とし
て、ルテニウム又はオスミウムの錯体化合物が注目され
ている。例えば、特表平10−508891号公報、特
表平9−512828号公報、特開平10−80933
号公報、特開平10−338739号公報、WO97/
14738号明細書、WO99/11454号明細書等
に、種々の配位子を有するルテニウム又はオスミウム金
属のカルベン錯体化合物が報告されている。
【0006】また、かかるカルベン錯体化合物とノルボ
ルネン系モノマーの混合物を金型内に導入して、成形品
を得る方法も報告されている。例えば、特開平11−3
22953号公報には、ノルボルネン型シクロオレフィ
ン類を含有する第1液、及びメタセシス重合触媒として
ルテニウム錯体を含有する第2液、の少なくとも2液
を、液の流れの中で混合しながら成形用型へ導入し、硬
化させる架橋重合体の製造方法が提案されている。
【0007】この方法においては、混合液を成形型へ注
入したあと、硬化を促進するために成形型を加熱してい
るが、加熱操作は1段階の加熱でも2段階の加熱でもよ
く、1段加熱する場合の型温度は通常80〜250℃と
記載されている。また、2段加熱する場合は、1段階目
の温度は通常20〜100℃であり、2段階目の温度は
通常80〜250℃とすることが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−322953号公報に開示されるような触媒、す
なわちルテニウムにそれぞれ独立して配位する2つ中性
電子供与基が、−P(シクロヘキシル)、−P(シク
ロペンチル)、−P(イソプロピル)等のホスフィ
ン系のもの、あるいはピリジン、パラフルオロピリジン
等のルイス塩基である触媒は、重合反応速度の温度依存
性が小さく、反応場を高温にしても一般的に反応速度が
遅い。そのため、反応液の側から成形型の側へ反応熱が
奪われやすい成形型内重合においては、型温を高温にし
なければ、目的とする成形品が完全に硬化するのに充分
なピーク温度が得られないという問題があった。とりわ
け、薄肉部を有する成形品の製造においては、重合途中
で薄肉部からの放熱が著しいので硬化不良が生じ、工業
生産上の大きな問題となっている。
【0009】また一方では、型温度をあまりにも高め過
ぎると、上記したような従来のルテニウム触媒は失活し
やすくなる。そのため、型温度の最適範囲が極めて狭く
なり、外気温等の影響を受けやすい成形型の温度管理が
煩雑になるという別の問題点もあった。
【0010】そこで、本発明は、このような従来技術の
実状と問題点に鑑み、例えば、成形型に装備した常圧の
温調水ライン(100℃以下)等により温度調節しなが
ら低い型温度で成形しても、各種の特性値及び外観性状
の良好な成形品を製造するのに充分なピーク温度(最高
温度)が得られ、しかも薄肉部を有する成形品の生産に
も適用できるノルボルネン系樹脂成形品の製造方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに、本発明は、ルテニウム触媒の存在下に、ノルボル
ネン系モノマーを成形型内において塊状開環メタセシス
重合させてノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法に
おいて、前記触媒としてルテニウムに少なくとも1つの
ヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなる錯体を用
いることを特徴とするノルボルネン系樹脂成形品の製造
方法を提供する。本方法においては、型温度が40〜1
00℃の成形型を使用することが好ましい。また、本方
法は、厚みが15mm以下の薄肉部を有する成形品の製
造に好ましく適用される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、ルテニウ
ム触媒、ノルボルネン系モノマー、成形品の製造方法及
び成形型、成形品の項目に分けて詳細に説明する。
【0013】(ルテニウム触媒)本発明において使用さ
れる触媒は、ルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子
含有カルベン化合物が配位してなる錯体であれば特に限
定されないが、通常、下記の一般式1又は一般式2で表
わされるルテニウムカルベン錯体である。
【0014】
【化1】
【0015】(式1及び式2のR並びにRは、それ
ぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒
素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んで
もよいC〜C20の炭化水素基を表す。X及びX
は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。
はヘテロ原子含有カルベン化合物を表し、Lはヘ
テロ原子含有カルベン化合物又は任意の中性の電子供与
性化合物を表す。また、R、R、X、X、L
及びLの2個、3個、4個、5個、6個は、互いに結
合して多座キレート化配位子を形成してもよい。)
【0016】本発明の文脈において、ヘテロ原子とは、
周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的
には、N、O、P、S、As、Se原子等を挙げること
ができる。中でも、N、O、P、S原子等が安定なカル
ベン化合物を得るためには好ましく、N原子が特に好ま
しい。
【0017】また、カルベン化合物とは、メチレン遊離
基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表される
ような電荷のない2価の炭素原子を持つ化合物のことで
ある。一般的にカルベンは、反応中に生じる不安定な中
間体として存在するが、ヘテロ原子を有すると比較的安
定なカルベン化合物として単離することができる。
【0018】ヘテロ原子含有カルベン化合物の例として
は、下記の式3又は式4で示される化合物が挙げられ
る。
【0019】
【化2】
【0020】(上記式3及び式4のR、Rは、それ
ぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、
窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含
んでもよいC〜C20の炭化水素基を表す。)
【0021】前記式3の具体例としては、1,3−ジイ
ソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ
シクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3
−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデ
ン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2
−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−
イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2
−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−
イリデン、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジ
ン−2−イリデン等が挙げられる。
【0022】前記式4の具体例としては、1,3−ジイ
ソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3
−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリン
−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4−
イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4
−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチ
ル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェ
ニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,
5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、
1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−
2−イリデン等が挙げられる。
【0023】また、前記式3及び式4で示される化合物
のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5
−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5
−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)
−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリ
デン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジ
ン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプ
ロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニ
ル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾー
ル−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェ
ニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン等
のヘテロ原子含有カルベン化合物も挙げることができ
る。
【0024】ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、
カルベンに隣接するヘテロ原子が嵩高い置換基を有する
飽和環状化合物が特に好ましい。その具体例としては、
1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデ
ン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イ
リデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン
−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダ
ゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾ
リジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダ
ゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾ
リジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニ
ルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4−トリフ
ェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,
2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−
ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒ
ドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキ
シルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン等が挙げら
れる。
【0025】前記式1及び式2のアニオン(陰イオン)
性配位子X、Xは、中心金属から引き離されたとき
に負の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよ
い。例えば、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子;水
素;アセチルアセトナト基、ジケトネート基、置換シク
ロペンタジエニル基、置換アリル基、アルケニル基、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキ
ル又はアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、ア
ルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル
基、アルキルスルフィニル基等を挙げることができる。
これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がよ
り好ましい。
【0026】また、中性の電子供与性化合物は、中心金
属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、す
なわちルイス塩基であればいかなるものでもよい。その
具体例としては、酸素、水、カルボニル、アミン類、ピ
リジン類、エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホス
フィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビ
ン類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳
香族化合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソ
シアニド類、チオシアネ−ト類等が挙げられる。これら
の中でも、ホスフィン類が好ましく、トリアルキルホス
フィン又はトリアリールホスフィンがより好ましい。
【0027】前記式1及び式2のR、Rとしては、
水素、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキ
ニル基、C〜C20アルキル基、アリール基、カルボ
キシル基、C〜C20アルケニルオキシ基、C〜C
20アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、C〜C
20アルコキシカルボニル基、C〜C20アルキルチ
オ基、アリールチオ基、C〜C20アルキルスルホニ
ル基、C〜C20アルキルスルフィニル基等が挙げら
れる。
【0028】前記式1で表わされる錯体化合物として
は、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシク
ロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリ
シクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジ
クロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−
イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミ
ダゾリジン−2−イリデン)(トリフェニルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジ
メシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2
−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニ
ル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−
イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5−テトラ
フェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド等のヘテロ原子含有
カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が配位したル
テニウム錯体化合物;
【0029】ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−
2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビ
ス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス
(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド等の2つ
のヘテロ原子含有カルベン化合物が配位したルテニウム
錯体化合物;等が挙げられる。
【0030】前記式2で表わされる錯体化合物として
は、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−
ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシク
ロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウ
ムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−
ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン]
(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデ
ンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルナフチ
ル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキ
シルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロ
リド、(1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3
−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリ
デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニ
リデンルテニウムジクロリド等のヘテロ原子含有カルベ
ン化合物と中性の電子供与性化合物が配位したルテニウ
ム錯体化合物;
【0031】ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジ
クロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウム
ジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミ
ダゾリン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニ
ウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4
−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンル
テニウムジクロリド等の2つのヘテロ原子含有カルベン
化合物が配位したルテニウム錯体化合物;等が挙げられ
る。
【0032】さらに、本発明においては、前記式1又は
式2で表わされる錯体化合物を、ジ−μ−クロロビス
[(p−シメン)クロロルテニウム]、ジ−μ−クロロ
ビス[(p−シメン)クロロオスミウム]、ジクロロ
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウムダイマ
ー等の複核金属錯体と反応させて得られる複核ルテニウ
ム−カルベン錯体化合物を用いることもできる。
【0033】かかる触媒の使用量は、触媒中の金属ルテ
ニウム/ノルボルネン系モノマーのモル比として、通常
1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは
1:5,000〜1,000,000、より好ましくは
1:10,000〜1:500,000の範囲である。
【0034】また、触媒は必要に応じて、少量の不活性
溶剤に溶解して使用することができる。かかる溶媒とし
ては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキ
サン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ
ン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、
ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロイ
ンデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化
水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等
の含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフ
ラン等のエ−テル類;等が挙げられる。これらの中で
も、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、
脂環式炭化水素の使用が好ましい。
【0035】(ノルボルネン系モノマー)本発明におい
ては、前記の触媒の存在下に塊状開環メタセシス重合さ
れるモノマーとして、ノルボルネン環構造を有するノル
ボルネン系モノマーを用いる。かかるノルボルネン系モ
ノマーとしては、置換及び未置換の二環又は三環以上の
多環ノルボルネンの使用が好ましい。
【0036】その具体例としては、ノルボルネン、ノル
ボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボル
ネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリ
メチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シ
アノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカ
ルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂッ
ク酸無水物、ナヂック酸イミド等の二環ノルボルネン
類;
【0037】ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロ
ペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデ
ン、アリール置換体等の三環ノルボルネン類;ジメタノ
ヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタ
レンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリ
ール置換体等の四環ノルボルネン類;トリシクロペンタ
ジエン等の五環ノルボルネン類、ヘキサシクロヘプタデ
セン等の六環ノルボルネン類;ジノルボルネン、二個の
ノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基等で結合し
た化合物、これらのアルキル、アリール置換体等のノル
ボルネン環を含む化合物等が挙げられる。
【0038】また、上記ノルボルネン系モノマーに、シ
クロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロ
ドデセン等の単環シクロオレフィン及び置換基を有する
それらの誘導体を共重合させることもできる。
【0039】前記ノルボルネン系モノマーは単独でも二
種以上を使用してもよいが、二種以上の使用が好まし
い。二種以上使用する場合には、熱可塑性樹脂となる1
つの二重結合を有するモノマーと、熱硬化性樹脂となる
複数の二重結合を有するモノマーとを適宜組合せると、
種々の物性を有する樹脂を入手することができる。ま
た、モノマーを単独で使用する場合と比較して、二種以
上併用する場合には、凝固点降下により、凝固点温度が
高いモノマーでも液状として取扱えるという利点があ
る。
【0040】(成形品の製造方法及び成形型)本発明方
法における重合様式は、塊状開環メタセシス重合であ
る。用いることができる成形法は、注入、射出、注型、
回転、遠心、押出、引抜、射出圧縮、ハンドレイアップ
等の成形で、通常は成形型を用いる。特にレジントラン
スファーモールディング(RTM)法や反応射出成形
(RIM)法により、ノルボルネン系モノマーを成形型
内において塊状で重合する方法が推奨される。これらの
成形方法は、実質的に塊状であればよく、触媒を溶解又
は懸濁させるために少量の不活性溶剤が存在していても
よい。本方法では、モノマーや触媒を含有する反応液又
は触媒液を混合するために、公知のRTM機、RIM機
等の成形機を使用することができる。
【0041】RTM機は、一般的にモノマー配合液タン
ク、触媒配合液タンク、計量ポンプ及びミキサー等から
なる。計量ポンプにより、モノマー配合液と触媒配合液
を1000:1〜10:1の容量比でミキサー内に送り
込んで混合し、次いで所定温度に加熱した成形型内に注
入し、そこで即座に塊状重合させて成形品を得ることが
できる。
【0042】RTM機を用いた好ましい成形法は、ノル
ボルネン系モノマーを含有するモノマー配合液と、ルテ
ニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合
物が配位してなる錯体触媒を、少量の溶媒に溶解させた
触媒配合液を用意し、これらを混合して成形する方法で
ある。
【0043】RIM機を用いる場合は、二種類以上の反
応原液をミキシングヘッドに送り込んで、その衝突エネ
ルギーによって混合させ、次いで成形型内へ注入し、そ
こで即座に塊状重合させて成形品を得る。RIM機を用
いた好ましい成形法は、ノルボルネン系モノマーを二つ
の部分に分け、三液目としてルテニウムに少なくとも1
つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなる錯体
触媒を少量の溶媒に溶解させた液を用意し、これらの三
液を衝突混合させて反応射出成形する方法である。
【0044】本発明では、所定形状の成形品を得るため
に成形型を使用することが必須である。成形型は従来公
知のものを使用すればよいが、通常、割型構造すなわち
コア型とキャビティー型を有する成形型を用い、それら
の空隙部(キャビティー)に反応液を注入して塊状重合
させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品
の形状にあった空隙部を形成するように作製される。
【0045】成形型の形状、材質、大きさ等は特に制限
されない。本方法は比較的低粘度の反応液を用い低温低
圧で成形できるため、金属製の成形型だけでなく、各種
合成樹脂、レジコン等種々の材料で作成されたものが使
用できる。金属製の金型としては、例えば、鍛造アルミ
ニウム製型、ニッケル電鋳製型等が挙げられる。
【0046】成形型の内部には、通常、熱媒体用流路が
形成してあり、例えば、コア型及びキャビティー型の温
度を個別に調節できるようにしてある。熱媒体用流路
は、金型内部を穿孔して流路を直接形成してもよいが、
パイプ等を埋め込むことにより形成してもよい。熱媒体
用流路は、反応液の温度を制御するために、できる限り
型内の空隙部に近い位置に設けることが好ましい。
【0047】この熱媒体用流路にはポンプ等の循環手段
が装着してあり、熱交換部で一定温度に加熱された熱媒
体を循環させるようになっている。熱交換部では、ヒー
ター等の加熱手段より、また必要に応じて冷却手段を設
けることにより、流路に流れる熱媒体の温度を一定に保
つように制御する。このように成形型の温度制御手段
は、通常、金型の内部を循環する熱媒体用流路と、その
流路に熱媒体を循環させるポンプと、熱媒体を一定温度
に保持する熱交換部とを含む。
【0048】熱媒体としては、例えば、温水、オイル、
スチーム等が用いられ、温水が好ましく使用される。こ
れらの熱媒体により制御される成形型の温度は特に限定
されないが、通常、常圧の温水により温度制御可能な範
囲である。より具体的には、通常40〜100℃、好ま
しくは40〜95℃、より好ましくは45〜90℃であ
る。成形型として、コア型とキャビティー型のような割
型構造のものを用いる場合、両方の型温は同じでも、異
なっていてもよい。一般的に、目的とする成形品の製品
面側に当接する型の温度を、非製品面側に当接する型よ
りも高く制御する。この場合の温度差は、通常5℃〜6
0℃の範囲である。
【0049】成形型内の空隙部へ注入される前の反応液
の温度は、好ましくは20〜80℃である。反応液の粘
度は、例えば30℃において、通常、2〜1000c
P、好ましくは、5〜500cPである。反応液をキャ
ビティー内に充填する際の充填圧力(射出圧)は、通常
0.1〜100kgf/cm、好ましくは0.2〜5
0kgf/cmである。充填圧力が低すぎると、キャ
ビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行わ
れない傾向にあり、充填圧が高すぎると、金型の剛性を
高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常
0.1〜100kgf/cm2 の範囲内である。重合時
間は適宜選択すればよいが、通常、10秒〜20分、好
ましくは5分以内である。
【0050】前記したRTM機又はRIM機等で混合し
た反応液を金型の空隙部に注入すると、即座に塊状重合
反応が始まって硬化する。重合は発熱反応である。本発
明の方法によれば、成形型の温度を40〜100℃に設
定してあっても、反応液の温度が急激に上昇し、短時間
(例えば、10秒〜5分程度)で140〜230℃のピ
ーク温度に到達して、成形品を完全硬化させることがで
きる。その後、硬化時間(キュアー時間)が長くなるに
つれて、金型内の成形品の温度は徐々に低下する。
【0051】塊状重合させて得た成形品は、通常、コア
型に付着させた状態で金型を開いて成形体を脱型するこ
とができる。成形品のコア型への付着は、成形条件を制
御することによって行われる。型温度を高くする程、あ
るいはキュアー時間を長くする程、コア型に付着するよ
うになる。キュアー時間が短い場合には、金型を開ける
と、成形品はキャビティー型に付着して残る。しかし、
コア型に付着させても、キュアー時間が長すぎると成形
品の冷却による収縮がかなりの程度まで進むため、過度
に成形体が冷却しない状態で、エアーエジェクター又は
金型に設けた脱型装置により脱型すればよい。
【0052】本発明の製造法においては、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、エラストマー、高分子
改質剤、充填剤、着色剤、難燃剤、架橋剤、摺動化剤、
着臭剤、軽量化のためのフィラー類、発泡剤、表面平滑
化のためのウィスカー等種々の添加剤を反応液へ配合す
ることによって、成形体の特性や外観性状を改質又は改
善することができる。これらの添加剤は、予めノルボル
ネン系モノマーに溶解又は分散させて、少なくとも一つ
の反応液に混合しておいて金型内で重合させる。
【0053】酸化防止剤としては、例えば、ヒンダード
フェノール系、リン系、アミン系等の各種のプラスチッ
ク・ゴム用酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防
止剤は単独で用いてもよいが、併用することが好まし
い。酸化防止剤の配合割合は、通常、ノルボルネン系モ
ノマー100重量部に対して0.5重量部以上、好まし
くは1〜3重量部である。また酸化防止剤はモノマーと
共重合可能なものでもよく、その具体例として5−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベ
ンジル−2−ノルボルネン等のごときノルボルネニルフ
ェノール系化合物等が例示される(特開昭57−835
22号公報参照)。
【0054】エラストマーとしては、前記ノルボルネン
系モノマーに可溶なものであれば特に限定されない。例
えば、天然ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー
(EPDM)、スチレン系ブロック共重合体等が挙げら
れるが、EPDM、スチレン系ブロック共重合体等が好
ましい。これらのエラストマーは、平均分子量が500
〜数千の液状のものから、数万〜数十万の固体状のもの
まで広範な範囲のものを用いることができる。また、エ
ラストマーは単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。
【0055】着色剤としては、染料、顔料等が用いられ
る。染料は成形品に鮮やかな染料色を付与できるので好
ましい。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選
択して使用すればよい。例えば、ニトロ染料、ニトロソ
染料、アゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン
染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染
料、メチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、ア
ジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、
アミノケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド
染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。また、顔料
としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黄鉛、酸
化鉄黄色、二酸化チタン、酸化亜鉛、四酸化三鉛、鉛
丹、酸化クロム、紺青、チタンブラック等が挙げられ
る。
【0056】充填剤としては、例えば、ガラス粉末、タ
ルク、炭酸カルシウム、雲母、水酸化アルミニウム等の
無機質充填剤が挙げられる。かかる充填剤はシランカッ
プリング剤等で表面処理したものが好ましい。架橋剤と
してイオウ又は過酸化物を用いると耐熱性が向上する。
【0057】(ノルボルネン系樹脂成形品)本発明によ
り製造される成形品は特に限定されるものではない。本
製造方法は、あらゆる用途、形状、大きさの成形品の製
造に適用できるが、厚みが15mm以下の薄肉部を有す
る成形品が好ましく、10mm以下の薄肉部を有する成
形品がより好ましい。薄肉部の成形品全体に占める割合
も特に限定されず、成形品の全部分が薄肉部から構成さ
れていても、部分的に薄肉部を有していてもよい。
【0058】成形品の「薄肉部」としては、例えば、浄
化槽筐体の側壁面、底面、天井面、棒状リブ、上下槽の
フランジ部等;浴槽パン、洗場パン又は防水パンの底
面、底面裏側の補強リブ等;洗面ボールのボール部、ト
レー部、カウンター部等が挙げられる。本発明の方法に
より製造されるノルボルネン系樹脂成形品は、耐衝撃
性、耐熱性、寸法安定性、耐吸水性等に優れており、し
かも薄肉成形ができるので軽量であるという優れた特長
を有する。
【0059】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの
実施例に限定されるものではない。
【0060】実施例1 100mlのポリエチレン製の瓶(外径50mm)に、
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2
−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニ
ウムジクロリド(Org.Lett.,1999年、第
1巻、953頁の記載に基づいて合成したもの)を5.
1mg(塊状重合物全体に対してルテニウム濃度10p
pm)と攪拌子を入れ、トルエン0.3mlを加えて、
マグネチックスターラーで攪拌してルテニウム触媒を溶
解させた。これに、ジシクロペンタジエン(10%のシ
クロペンタジエン3量体を含む)を60ml加え攪拌
し、後述する金型内に圧送した。以上の操作は、室温、
窒素雰囲気下で行った。また、このときの室温及びジシ
クロペンタジエン(10%のシクロペンタジエン3量体
を含む)の液温は25℃であった。
【0061】ここで、金型は、4×80×80mmの平
板成形用で、ヒーター付きクロームメッキ鉄板にコの字
型スペーサーをはさんだものである。金型温度は、製品
面側は80℃、裏面側は60℃に予め調節した。また、
金型内の重合反応中の樹脂温度を測定するために、金型
中央部、厚み中央部にK型熱電対(直径0.1mm、二
本の線の先端を溶接したもの)を取り付けた。
【0062】配合液を金型内に圧送した後は、金型内の
樹脂温度を測定し、注入後3分で脱型し、平板を取り出
した。この平板成形品(厚み4.0mm)は、示差走査
熱量計によりそのガラス転移温度(Tg)を測定した。
また、熱天秤により室温から400℃まで加熱して求め
た重量の残分率を求めた。これらの測定結果を第1表に
示す。
【0063】実施例2 ルテニウム触媒としてベンジリデン(1,3−ジメシチ
ル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘ
キシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Tetra
hedron Lett.,1999年、第40巻、2
247頁の記載に基づいて合成したもの)を10mg
(塊状重合物全体に対してルテニウム濃度20ppm)
使用する以外は、実施例1と同様に操作した。測定結果
を第1表に示す。
【0064】比較例1 100mlのポリエチレン製の瓶(外径50mm)にベ
ンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテ
ニウムジクロリド(Strem Chemical社
製)を25mg(塊状重合物全体に対してルテニウム濃
度50ppm)と攪拌子を入れ、トルエン0.3mlを
加えて、マグネチックスターラーで攪拌してルテニウム
触媒を溶解させた。これに、ジシクロペンタジエン(1
0%のシクロペンタジエン3量体を含む)を59ml
と、ビス(1,3−ジクロロ−2−プロポキシ)アルミ
ニウムクロリドのジシクロペンタジエン溶液(0.1モ
ル/リットル)を0.6ml加えて攪拌し、実施例1と
同じ金型内に圧送した。以上の操作は、室温、窒素雰囲
気下で行った。以下、実施例1と同様に操作した。測定
結果を第1表に示す。
【0065】また、本比較例においては、金型に圧送後
にポリエチレン製の瓶に残った液(約25ml)につい
ても、金型に使用した熱電対と同じものを液の中心に入
れて自己発熱による温度上昇を測定し、更に硬化物のT
g、加熱残分を測定した。測定結果を第1表に示す。な
お、本比較例において、アルミニウム化合物を添加して
いるのは、反応率を上げるためである。
【0066】比較例2 ルテニウム触媒としてベンジリデンビス(トリシクロペ
ンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Strem
Chemical社製)を22mg(塊状重合物全体
に対してルテニウム濃度50ppm)だけ添加する以外
は、比較例1と同様に操作した。測定結果を第1表に示
す。
【0067】
【表1】
【0068】第1表から明らかなように、実施例1、2
は最高温度(ピーク温度)が200℃を超え、自己の反
応熱で充分にキュアーされるためにTgが高くなること
が分かる。これは、実施例1、2の触媒系では、重合反
応速度の温度依存性が大きく、一旦自己発熱により温度
が上昇すると反応速度が非常に大きくなり、一挙に反応
が進行するためと考えられる。
【0069】一方、比較例1、2では、金型内では最高
温度(ピーク温度)が低く、キュアーが不充分であるた
め低Tgとなる。これは、比較例1、2の触媒系では、
重合反応速度の温度依存性が小さく、高温での反応速度
が実施例と比較して小さくなり、金型に反応熱を奪われ
るためと考えられる。特に、実施例2と比較すると、最
高温度に至るまでの時間が短いにもかかわらず、最高温
度が低くなっている。ただし、比較例1、2において
も、瓶内(金型内ではない)で硬化させた場合は、反応
熱が奪われにくいために最高温度が高くなり、充分にキ
ュアーされてTgが高くなっている。
【0070】以上の実施例1、2及び比較例1、2よ
り、ヘテロ原子含有カルベン化合物が配位したルテニウ
ム触媒を使用すれば、厚みが約4mmの平板状成形品を
低い金型温度(製品面側:80℃、非製品面側:60
℃)で成形しても、良好な特性値が得られることが分か
った。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のノルボル
ネン系樹脂成形品の製造方法によれば、比較的低い型温
度の成形型を用いて成形しても、反応液の自己発熱によ
り温度が急激に上昇して、充分に高いピーク温度が得ら
れる。また、反応液から成形型への放熱が著しく、反応
熱が蓄熱しにくい薄肉部を有する成形品の生産にも適用
することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA69 AH03 AH11 BB05 BC07 4F206 AA12 AR064 JA01 JQ81 4J032 CA34 CA35 CA36 CA38 CA43 CA46 CB01 CB03 CC03 CD02 CE06 CE22 CG07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルテニウム触媒の存在下に、ノルボルネン
    系モノマーを成形型内において塊状開環メタセシス重合
    させてノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法であっ
    て、前記触媒としてルテニウムに少なくとも1つのヘテ
    ロ原子含有カルベン化合物が配位してなる錯体を用いる
    ことを特徴とするノルボルネン系樹脂成形品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】型温度が40〜100℃の成形型を使用す
    る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】前記成形品は、厚みが15mm以下の薄肉
    部を有するものである請求項1又は2に記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016035716A1 (ja) * 2014-09-04 2016-03-10 日本ゼオン株式会社 メタセシス重合触媒液の評価方法、およびシクロオレフィンポリマーの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016035716A1 (ja) * 2014-09-04 2016-03-10 日本ゼオン株式会社 メタセシス重合触媒液の評価方法、およびシクロオレフィンポリマーの製造方法

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