JP2002287183A - 表示素子とその製造方法 - Google Patents

表示素子とその製造方法

Info

Publication number
JP2002287183A
JP2002287183A JP2001090227A JP2001090227A JP2002287183A JP 2002287183 A JP2002287183 A JP 2002287183A JP 2001090227 A JP2001090227 A JP 2001090227A JP 2001090227 A JP2001090227 A JP 2001090227A JP 2002287183 A JP2002287183 A JP 2002287183A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
display
side substrate
electric field
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001090227A
Other languages
English (en)
Inventor
Okitoshi Kimura
興利 木村
Tomohiro Inoue
智博 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2001090227A priority Critical patent/JP2002287183A/ja
Publication of JP2002287183A publication Critical patent/JP2002287183A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲルの変形により、入射する光を調節してコ
ントラストを出し、これによって表示を行なう表示素子
において、コントラストを明瞭にし、安定した表示を可
能とするため、ゲルの変形によっても各画素面積が均一
で安定した表示素子を提供する。 【解決手段】 電極3を付設した表示側基板1と、これ
に対向する電極4を付設した非表示側基板2の間に、表
示側基板1から順次、電界に応じて変形しないか、また
は変形の少ないゲル7を設け、次いでこれに隣接して電
界に応じて体積変化して変形するゲル5を設けることに
より、画素面積を均一とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部刺激に応じて
体積変化し変形するゲルにより、入射光を調整し、その
コントラストを利用して表示を行う表示素子とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、表示画面としてCRT、プラズマ
ディスプレイ、ELディスプレイ、蛍光表示管等の自発
光型のものと、反射光、透過光を利用する液晶ディスプ
レイのような非発光型のものが知られており、それぞれ
実用化されている。近年、情報システムの発展に伴い、
長時間にわたるVDT(Visual Data Te
rminal)作業が急増している。そのため、従事者
の眼の疲労をできるだけ軽減することが求められてお
り、眼の健康管理上、非発光型の表示画面が望ましいと
されている。この理由から液晶ディスプレイは、最近、
CRTに取って代わる勢いで普及が進んでいる。しか
し、液晶ディスプレイは視野角が狭く、明暗のコントラ
ストが十分ではないという問題があった。
【0003】このような問題を解決する方法として、外
部刺激に応じて膨潤/収縮、または屈曲するゲル(高分
子ゲルなど)の変形現象を利用し、入射する光を調節し
て表示を行なう表示素子が提案されている(例えば、特
開昭61―149926号公報、特開昭63―1302
1号公報、特開平9―160081号公報など)。これ
らの例は、ゲル(高分子ゲル)が温度、電界、光、p
H、イオン濃度、溶媒などの外部刺激によって、溶媒を
吸収して膨潤したり、排出して収縮する現象、または屈
曲する現象などを利用して、各画素ごとに入射する光を
調節してコントラストを出し、これによって表示を行な
うものである。
【0004】このような表示方式は、液晶ディスプレイ
とは異なり、視野角が広く、また偏向板等も必要がない
ため、光の利用効率が高く、明るいという特徴がある。
しかしながら、多数ある各画素のゲルの体積変化による
変形(膨潤/収縮、または屈曲等)を利用するため、繰
り返し表示により、画素が不揃いになってしまい、コン
トラストの低下を来すという問題がある。
【0005】また、ドットマトリクス状のフォトマスク
を介して、光を照射してドットマトリクス状に配列した
ゲルを得ることが特開昭63―13021号公報に開示
されている。これによれば、ドットマトリックス状のゲ
ルを得ることはできるが、光照射によってゲルを形成
(製作)する際、ゲルを形成するための液状の原料が、
光が照射されるまで基板上に滞留することになり、蒸発
や気流、あるいは操作による影響で液面の変形が起こり
易いという難点がある。また、液の厚みが増すと、液内
でのモノマーの擾乱により、ゲルの形状を正確に制御す
ることが難しいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点に鑑みなされたもので、その目的はゲルの変形
により、入射する光を調節してコントラストを出し、こ
れによって表示を行なう表示素子において、繰り返し動
作によるコントラストを明瞭にし、安定した表示を可能
とするため、ゲルが変形しても各画素が均一で安定した
表示特性を示す表示素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】図1は従来型の表示素子
の例を示す断面模式図である。構成としては、電極3
(透明電極)を付設した表示側基板1と、これに対向す
る電極4を付設した非表示側基板2の間に、電界に応じ
て体積変化して変形するゲル5と、ゲルの変形によって
生ずる空隙を埋め得る液体収容部に収容された液体6を
備えている。そして、電界によってゲルが膨潤したり、
収縮する現象を利用して、各画素ごとに入射する光を調
節してコントラストを出すことにより表示を行なうもの
である。
【0008】図1の駆動方式の例では、電界OFFの時
がゲルの膨潤している状態で、電界ONの時がゲルの収
縮している状態である。駆動方式に関しては、ゲルの種
類によって選択する必要があり、例えば、ゲルが収縮す
る時に表示側の電極が陽極(プラス極)、対向している
非表示側の電極が負極(マイナス極)となるような電界
を印加したり、ゲルが膨潤する時に表示側の電極を負極
とし、対向している非表示側電極が陽極となるような電
界を印加することも可能である。
【0009】図1のような構成において、ゲルの種類、
構成材料を選択することにより反射型表示素子、あるい
は透過型表示素子とすることが可能である。また、ゲル
を白、液体を黒に着色したり、逆にゲルを黒、液体を白
に着色すると白黒表示ができる。一方、ゲル、または液
体を、RGB(Red Green Blue)の三原
色に着色すればカラー表示も可能であるし、カラーフィ
ルターを利用した表示素子とすることもできる。
【0010】本発明者らは、図1の従来型表示素子につ
いて、同一条件のON状態で画素の大きさ(画素面積)
を検討したところ、図2(a)、(b)、(c)の断面
模式図に示したように、表示側基板1から見た場合のゲ
ルの投影面積、即ち画素面積が、変形するゲル5の形状
によって異なってしまうことが分かった。これは、ゲル
形成(作製)のバラツキを始めとして、印加電圧のバラ
ツキ、セルギャップのバラツキ等が影響していると考え
られた。
【0011】この問題を解決するため検討した結果、電
極を付設した表示側基板と非表示側基板との間に、該表
示側基板の側から順次、電界に応じて変形しないか、ま
たは変形の少ないゲルを設け、次にこのゲルに隣接して
電界に応じて体積変化して変形するゲルを設ける構成と
することによって、画素が安定した均一な素子を作製で
きることを見出した。
【0012】即ち、本発明は、電極を付設した光透過性
の表示側基板と、該表示側基板に対向して設けられた電
極を付設した非表示側基板と、該表示側基板と該非表示
側基板との間に設けられ、電界に応じて体積変化して変
形するゲルと、該ゲルの変形により生ずる空隙を埋め得
る液体収容部に収容された液体とを備え、前記ゲルの変
形により入射光を調整して表示を行う表示素子におい
て、前記表示側基板と前記ゲルの間に電界に応じて変形
しないか、または変形の少ないゲルを備えることによ
り、画素面積を均一にし、繰り返し動作によっても画素
面積が安定で、コントラストを明瞭にしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。図3に本発明の断面模式図を示す。構成とし
て、電極3(透明電極)を付設した表示側基板1と、こ
れに対向する電極4を付設した非表示側基板2の間に、
表示側基板1の側から順次、電界に応じて体積変化して
変形しないか、または変形の少ないゲル(変形しないゲ
ル7)を設け、これと隣接して電界に応じて体積変化し
て変形するゲル(変形するゲル5)と、ゲルの変形によ
って生ずる空隙を埋め得る液体収容部に収容された液体
6を備えている。
【0014】図3では、電界によって変形しないか、ま
たは変形の少ないゲルが変形しているように記載されて
いるが、これは電界による変形ではなく、電界によって
変形するゲルの収縮力に影響され引きずられて変形して
いる様子を模式的に示しているものである。従って、電
界によって変形しないか、または変形の少ないゲルの厚
みとしては、この電界によって変形するゲルの収縮力に
及ぼされて発生する変形が、電界によって変形しない
か、または変形の少ないゲルの上面部(表示側基板面に
対応する側)に達することなく緩和できる厚みに設定す
ることが好ましい。
【0015】本発明に使用されるゲルとしては、化学ゲ
ルが好ましい。化学ゲルとしては、ゲルが動作する周辺
環境の外乱、例えば、温度変化、pH変化、イオン強度
の変化等に対して、ゲルの網目構造を形成する架橋部分
が安定であり、変化しないことが必要である。また、網
目構造を形成する架橋部分の安定性は、適用する外部刺
激(本発明では、電界)に対して維持される必要があ
る。
【0016】化学ゲルとしては、合成高分子ゲルが好ま
しい。合成高分子ゲルを作製する方法は、三次元網目構
造(架橋構造)の形成をモノマー類の重合時に同時に形
成する方法と、線状高分子を用いて、高分子の一部を後
から架橋する方法とがあり、いずれでも適用することが
できる。本発明でいうゲルとは三次元網目構造に液体
(溶媒等)が取り込まれた状態を指す。前者の一般的な
方法としては、ビニルモノマーにジビニルモノマーを架
橋剤として共存させ重合する方法がある。反応の開始に
は、熱、光、あるいは放射線が使用できる。後者の方法
としては、反応性官能基を持つ高分子溶液に反応種(架
橋剤:反応性官能基と反応できるもの)を加え、熱、光
により反応性官能基と反応種を反応させ、三次元構造を
形成するものである。
【0017】電界に応じて体積変化して変形するゲル5
としては、化学ゲルが好適である。変形する化学ゲル
は、一対の基板間に備えられた電界に応じて変形しない
か、または変形の少ないゲルと非表示側基板との間に設
けられるが、この化学ゲルの厚みとしては、図3に示す
ように、化学ゲルの収縮時に表示側基板とこれに対向す
る電界に応じて変形しないか、または変形の少ないゲル
面との間に液体6が進入した場合(図3:電界ON状
態)と、ゲル膨潤時(図3:電界OFF状態)に、十分
光のコントラストがとれるような厚さにすることが必要
である。その厚みはゲルの種類、及び使用する液体によ
り適宜設定されるもので、一概には決められないが、通
常、電界によるゲルの収縮時、電界により変形しない
か、または変形の少ないゲルと表示側基板面との間にで
きる間隙(液体6が進入してくる隙間)に収容された液
体の400nm〜700nmにおける可視光の平均透過
率が50%以下になるように設定することが好ましい。
【0018】電界によって変形するゲルとしては、例え
ば、液体を吸収して膨潤し、排出して収縮する液体吸収
性ポリマーがある。この液体吸収性ポリマーとしては、
アクリル化合物やジビニルベンゼン、N,N−メチレン
ビスアクリルアミドなどの架橋性モノマーなどをグラフ
ト重合したポリエーテル、ポリビニルアルコール、セル
ロース、デンプン、ポリアクリル酸系の材料が挙げら
れ、中でもアクリルアミド誘導体を主成分とし、イオン
解離モノマー、および架橋性モノマーを重合させた架橋
性ポリマーやメタクリル酸メチルとアクリル酸 との共
重合体、あるいはポリアクリル酸塩などが好ましく用い
られる。また、外部刺激に対して屈曲が起こるポリマー
としては、ポリアクリル酸とポリビニルアルコール複合
体などが挙げられる。
【0019】本発明の電界に応じて変形しないか、また
は変形の少ないゲルとしては、まったく変形しないもの
が理想的であるが、電界により変形するゲルと比較し
て、表示素子セル内での変形量が小さいものであれば、
本発明の課題に対して改善の効果はある。この場合、変
形量が小さいことの条件が満たされれば、電界によって
変形するゲルに用いられる各種ポリマー類の例中からも
選択することが可能である。
【0020】通常、電界によって変形しないか、または
変形の少ないゲルと電界によって変形するゲルとは同一
系列の材料(例えば、アクリレート系材料)を使用する
ことが好ましい。このような構成とすることにより電界
によって変形しないか、または変形の少ないゲルと電界
によって変形するゲルの界面での親和性(密着性)をよ
り良くすることができ、素子の耐久性を向上することが
できる。最も好ましくは電界によって変形しないゲルと
してポリアクリルアミド系架橋ゲル、電界によって変形
するゲルとしてはアクリルアミド系材料にアクリル酸ナ
トリウム等の高分子イオン部を持つ材料を共重合した架
橋ゲルを使用することができる。ゲルを着色するには、
カーボン、顔料など色素粒子をゲル中、あるいはゲルの
表示面側に吸着、結合等により固定化すればよい。
【0021】次に、電界によって変形しないか、または
変形の少ないゲル、および電界によって変形するゲルを
形成する方法としては、例えば、非表示側基板の電極面
側に電界によって変形するゲルのプレ溶液を塗布した
後、熱や紫外線等のエネルギーを付与してゲル膜を形成
し、次いでこの膜上に電界によって変形しないか、また
は変形の少ないゲルのプレ溶液を塗布し、熱や紫外線等
のエネルギーを付与してゲル膜を形成することにより、
本発明の構成のゲル膜が作製できる。光エネルギーを利
用する場合には、フォトマスクにより、ゲルの形状を制
御することが可能であるし、熱を利用する場合であれ
ば、集光、あるいはレーザー等の微小スポットを持つも
のにより、ゲルの形状を制御することが可能である。使
用するゲルとしては外部環境に対して安定な化学ゲルを
用いることが好ましい。
【0022】一方、物理ゲルのマトリクス中で化学ゲル
を形成することによって、より安定してゲルの形状を制
御することができる。これは見かけ上固体状態にある物
理ゲル中で、化学ゲルの液状原料を固定化し、形を整え
ておいてゲル化させるため、安定した形に形成できるの
でゲルの形状制御が自由に行える。更に、化学ゲルを形
成した後、物理ゲルをゾル化することにより効率よく形
状制御されたゲルを形成することができる。また、化学
ゲルの作製を光により行うことで効率よく形状制御され
たゲルを形成することができる。
【0023】本発明に使用される物理ゲルとは、ゲル状
態からゾル状態(溶液状態)への変化が可能なものを指
す。ゲル状態からゾル状態への変化が可能であれば、三
次元網目構造の架橋部分の構造には限定を受けない。一
般的に、物理ゲルの架橋構造は共有結合以外の二次的結
合力によるものの場合が多く、分子間力結合(水素結
合、分子配向、ヘリックス形成、ラメラ形成等)、イオ
ン結合などによって形成されている。 分子間力結合に
よるゲル状態からゾル状態(ゾル化)への変化は、通
常、温度を上げることによって引き起こすことができ
る。
【0024】物理ゲルに使用できる材料としては、後述
する化学ゲルの形成に悪影響をもたらさないものであれ
ばよい。具体的には、天然高分子ゲル(多糖ゲル、DN
Aゲル等)、低分子ゲル化剤(アルキルアミド化合物
等)などのゲル等が使用できる。イオン結合により形成
されるゲルの溶液への変化(ゾル化)は、一般的にpH
やイオン強度を変化させることによって引き起こすこと
ができる。具体的には、天然高分子ゲル(多糖ゲルでイ
オン種を含むもの等)、合成高分子電解質ゲル(高分子
電解質に多価イオンをふくむ物、ポリイオンコンプレッ
クス等)などが使用できる。更に、架橋部分が共有結合
性のものでも例えば、アセタール結合やエステル結合に
基づくゲルの場合、pH変化で加水分解を起して溶液状
態にすることが可能であり、このような材料も使用可能
である。
【0025】以下に製造方法の概念を示す。まず物理ゲ
ルを生成できるような材料を用意し、その材料の物理ゲ
ルからゾル転移への温度以上、即ち物理ゲルが流動性の
ある状態に保ち、材料中に化学ゲルを生成するモノマー
類(通常、単官能性モノマーと多官能性モノマーの混合
物)、及び必要により反応開始剤(光開始剤、熱開始
剤)、溶媒、添加物等を加えて均一な状態にする。材料
が物理ゲルに転移する温度以下に温度を下げると、化学
ゲル生成モノマー類を含んだ材料系はゲル状態となり、
見かけ上固体状態を呈する。
【0026】次に、化学ゲル生成モノマー類が光によっ
て重合するものでは、固体状態に光を照射すれば、光が
当たった個所のみが化学反応を起し、化学ゲルが生成す
る。即ち、光を当てる場所を制御すれば化学ゲルの形状
制御が可能となる。光としてレーザー光等の微小スポッ
トを持つ光源を使用すれば、微細加工も可能である。ま
た、化学ゲル生成モノマー類が熱によって重合する場合
には、レンズを用いて光を集光し、極所的に温度を上げ
れば、温度が上がった個所のみが反応を起し、化学ゲル
が生成する。これにより、集光場所を制御すれば化学ゲ
ルの形状制御が可能となる。このようにして物理ゲルマ
トリクスを利用して化学ゲルの形状を制御して作製する
ことが可能である。
【0027】上記のようにして作製されたゲルを物理ゲ
ルがゾル転移を起こす温度以上に加熱すれば、物理ゲル
は再びゾル化し、流動性を持つようになる。これに対し
て化学ゲルが生成された部分は化学結合(共有結合)し
てゲル状態の固体となっているため、温度を上昇しても
形状を維持し、このため、物理ゲルを除去してもそのま
ま残る。即ち、物理ゲルを流し取ってしまうことによ
り、形状制御された化学ゲルのみを得ることができる。
【0028】物理ゲルをゾル化させるのに温度変化を利
用する場合は、その温度は基本的には任意の温度を取り
得る。物理ゲルのゾル化温度は、化学ゲルが形成される
時の温度以上であることが好ましい。この温度の関係で
あれば化学ゲルが作製される時点で物理ゲルは固体状態
を保つため、より精度の高い化学ゲルの形状制御ができ
ることとなる。物理ゲル中での化学ゲルの生成は熱、光
等により行うことができるが、光を用いることが微細加
工の点から好ましい。
【0029】更に、物理ゲルのゾル化温度を比較的低い
温度に設定した場合には、熱による化学ゲルの形成操作
は微妙となるため、熱の発生しにくい光によって、化学
ゲルの形成を行うのが好ましい。作業環境温度を室温と
する場合には、ゲル状態を40℃以上に設定するのが好
ましい。更に好ましくは、40〜80℃であり、この範
囲であればゾル化するため必要なエネルギーが小さく、
また使用する昇温装置等も汎用的なものが使用できるの
で好適である。物理ゲル中での化学ゲルの形成に関して
は、化学ゲル形成用モノマーが物理ゲル構成材料と反応
しても、形成された化学ゲルは外部刺激に対して体積変
化を起すことが可能である。
【0030】使用される液体(溶媒等)は、扱い易さ、
安全性、コストを考慮すると水が好ましいが、ゲル内に
取り込まれる(吸収される)ことが可能であれば有機溶
媒等の使用が可能である。具体的には、メタノール、エ
タノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類、N−メチルピロリドン、N,N
−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒
類、四塩化炭素、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水
素類、テトラヒドラフラン、ジエチルエーテルなどのエ
ーテル類、イソペンタン、ベンゼンなどの炭化水素類な
どが挙げられる。水、有機溶媒を問わず化学ゲルの作製
時の温度は使用する溶剤の凝固点以上沸点以下であるこ
とが好ましい。
【0031】液体(溶媒等)を着色して用いる場合に
は、着色のための色素がゲル内に入り込まないように設
定する必要がある。色素は、必要に応じて界面活性剤な
どを用いて液体中へ分散させることができる。用いる色
素としては、親水性インク、親油性インクなどが挙げら
れる。また、液体中には、必要に応じて塩化物塩、過塩
素酸塩、四フッ化硼酸塩、アンモニウム塩などの電解質
塩を添加して用いることができる。
【0032】表示側基板については、透明であることが
必要であり、ガラス、透明プラスチックフィルムなどが
用いられる。透過型表示素子の場合には、表示側基板、
および非表示側基板として透明基板を用いる。この場合
に用いるゲルは光を通すタイプとなる。反射型表示素子
では、ゲル自身に光の反射機能を持たせる場合(光散乱
性の有色ゲル(白など))とゲルに反射機能を持たせない
場合(光を透過)がある。ゲル自身に光の反射機能を持
たせる場合、非表示側基板は、表示側基板と同様な透明
基板を用いてもよい。一方、ゲルに反射機能を持たせな
い場合、非表示側基板として、Al、SUSなどの金属
板や、ガラスやプラスチックフィルム上にAlやCrな
どの金属膜を形成して反射効果を高めた基板などが用い
られる。
【0033】基板に付設する電極として、表示側基板で
は透明電極が必要となり、In23、SnO2、Zn
O、CdO、TiO2、In23―Sn、SnO2―Sb
などの酸化物薄膜、TiN、ZrNなどの導電性窒化物
薄膜等が用いられる。一方、非表示側基板上に付与する
電極としては、上記透明電極の他にPt、Au、Cu、
Alなどの金属薄膜などが挙げられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 図4に示した断面模式図のように、それぞれ透明電極
3、4を付設したガラス製の表示側基板1とガラス製の
非表示側基板2を用意した。まず、アクリルアミド/ア
クリル酸ナトリウム/N,N―メチレンビスアクリルア
ミドを100/6/1のモル比で混合した水溶液を非表
示側基板上に塗布した。この塗布面にフォトマスクを介
して低圧水銀灯の光を照射し、円型のアクリルアミド/
アクリル酸ナトリウム/N,N―メチレンビスアクリル
アミド共重合体ゲル(変形するゲル)を形成した。次に
アクリルアミド/N,N―メチレンビスアクリルアミド
をモル比で100/1になるように純水に溶解し、これ
に酸化チタン微粒子を分散させた液を調製した。この液
を先に形成した共重合体ゲルの上に塗布し、フォトマス
クを介して先のゲル形状に重なるように調整し、光を照
射、アクリルアミド/N,N―メチレンビスアクリルア
ミドゲル(白色の変形しないゲル8)を形成した。
【0035】次に、ガラス製の表示側基板とガラス製の
非表示側基板との間の両側周辺部にスペーサーとしてポ
リエステルフィルム(マイラーフィルム)を挟み、基板
を重ね合わせてシール固定したセルを作製した。このセ
ル内に黒色の水性インク(黒色インク液9)を満たし、
図4に示したような評価セルとした。ゲルが液体と接し
て十分に膨潤し、平衡状態となるまで評価セルを放置し
た。この状態で、ゲルが表示側基板の電極に接触してお
り、白表示を示している。その後、電圧を印加すると、
ゲルは収縮して表示側基板から離れ、空隙が生じ、そこ
に黒色インクが流入し満たされ、表示基板側からは黒色
表示が示された(図5)。次に電界を切ると、ゲルはも
との膨潤状態にもどり、空隙は無くなって黒色インクが
排除され、再び最初の白表示が確認できた(図4)。こ
の状態で白い部分の面積を測定し、駆動させる前の面積
と比較すると、駆動後の面積は駆動前の面積に対して
1.05倍であり、均一な表示であることが確認され
た。
【0036】比較例1 実施例1において、アクリルアミド/N,N−メチレン
ビスアクリルアミド共重合体のゲルを設けない以外は実
施例1と同様にして評価セルを作製した。駆動前の面積
に対する駆動後の面積比は1.21倍であり、変化が大
きく不均一な表示であった。
【0037】比較例2 実施例1において、アクリルアミド/N,N−メチレン
ビスアクリルアミドの替りにアクリルアミド/アクリル
酸ナトリウム/N,N−メチレンビスアクリルアミドを
用いる以外は実施例1と同様にして評価セルを作製し
た。駆動前の面積に対する駆動後の面積比は1.25倍
であり、変化が大きく不均一な表示でであった。
【0038】実施例2 それぞれに透明電極を付設した、40mm×30mmの
大きさのガラス製表示側基板とガラス製非表示側基板を
用意した。表示側基板の電極面にパーフルオル構造を持
つ熱可塑性樹脂(サイドトップCTX―805A(旭化
成))の5%溶液を、CT―solv.100(旭化
成)で0.1%まで希釈して、この溶液をスピン塗布
し、150℃で2時間加熱した。なお、電極取り出し用
として、電極面の端部10mm×30mmの面積はスピ
ン塗布せずに残した。熱可塑性樹脂膜は、表示側基板上
の電極と変形するゲルが接着するのを防止するために設
けたものである。次に、非表示側基板の電極側面上に実
施例1と同様にアクリルアミド/アクリル酸ナトリウム
/N,N―メチレンビスアクリルアミドを100/6/
1のモル比で混合した水溶液を塗布し、その後フォトマ
スクを介して光を照射して円形のゲルを形成した。次い
で、厚み500μmで2mm×30mmの大きさのポリ
プロピレン製スペーサを表示側基板の電極面の両側に設
置した状態で非表示側基板を重ね合わせた。重ね方は、
それぞれの基板の長手方向同士が直行し、対向する電極
部の熱可塑性樹脂をスピン塗布せずに残した端部が見え
るように重ね合わせた。基板間端部にスペーサを挟んだ
状態で基板の上から両側をクランプで固定した。更に、
寒天を温水に溶解した液を用意し、この液にアクリルア
ミド/N、N′―メチレンビスアクリルアミドを112
/1のモル比で溶解させた。この液を寒天液がゲル化し
ないように保温しながらクランプで固定した基板間に導
入した後、10℃度まで冷却したところ液はゲル化し、
見かけ上固体となった。
【0039】表示側基板表面にフォトマスクを置き、非
表示側基板上の先に形成したゲル部分に重なるように、
低圧水銀灯の253.7nmの紫外線を照射し、化学ゲ
ルを形成しセルを作製した。次に、クランプで固定した
基板ごと加温した黒色水性インク中に浸漬し、物理ゲル
をゾル化する共に、ゾル液と黒色インクの置換を行っ
た。クランプで固定した基板を取り出すと、室温状態で
化学ゲルを形成した部分のみ透明で他の部分は黒いこと
が確認できた。この状態でサイドトップで処理した側の
電極基板をマイナス、他方をプラスとして電界を印加し
たところゲルが収縮し、空隙に黒インクが満たされ、表
示側基板面からは黒表示しか見えなくなった。その後、
電界を切るとゲルは元の膨潤状態に戻り、再び最初の白
表示が確認できた。駆動前の面積に対する駆動後の面積
比は1.06倍であり、均一な表示であることが確認さ
れた。
【0040】比較例3 実施例2においてアクリルアミド/N,N−メチレンビ
スアクリルアミドの替りにアクリルアミド/アクリル酸
ナトリウム/N,N−メチレンビスアクリルアミドを用
いる以外は同様に評価セルを作製した。駆動前の面積に
対する駆動後の面積比は1.26倍であり、不均一な表
示であることが確認された。
【0041】
【発明の効果】請求項1に係る発明では、電極を付設し
た光透過性の表示側基板と、該表示側基板に対向して設
けられた電極を付設した非表示側基板と、該表示側基板
と該非表示側基板との間に設けられ、電界に応じて体積
変化して変形するゲルと、該ゲルの変形により生ずる空
隙を埋め得る液体収容部に収容された液体とを備え、前
記ゲルの変形により入射光を調整して表示を行う表示素
子において、前記表示側基板と前記ゲルの間に電界に応
じて変形しないか、または変形の少ないゲルを備えるこ
とにより、画素の大きさが均一な表示素子を提供するこ
とができる。
【0042】請求項2に係る発明では、前記電界に応じ
て変形しないか、または変形の少ないゲルが着色されて
いることにより、コントラストの良い反射表示素子を提
供することができる。
【0043】請求項3に係る発明では、前記電界に応じ
て体積変化して変形するゲル、および電界に応じて変形
しないか、または変形の少ないゲルを化学ゲルとするこ
とにより、環境安定性に優れた表示素子を提供すること
ができる。
【0044】請求項4、5、6、7に係る発明では、電
極を付設した光透過性の表示側基板と、該表示側基板に
対向して設けられた電極を付設した非表示側基板と、該
表示側基板と該非表示側基板との間に、該表示側基板か
ら順次設けられた電界に応じて変形しないか、または変
形の少ないゲルと、これに隣接して設けられた電界に応
じて体積変化して変形するゲルと、該変形するゲルの変
形により生ずる空隙を埋め得る液体収容部に収容された
液体とを備え、該変形するゲルの変形により入射光を調
整して表示を行う表示素子の製造方法であって、該ゲル
を物理ゲルのマトリックス中で形成すること、該ゲルを
化学ゲルとすること、該ゲルを形成する温度が物理ゲル
のゾル化する温度以下であること、該ゲルを形成した
後、物理ゲルをゾル化することなどにより、形状の制御
された表示素子の製造方法を提供することができる。
【0045】請求項8に係る発明では、前記化学ゲルを
物理ゲルのマトリックス中で形成する際、光により形成
することにより、高率的に微細構造を持つゲルから構成
される表示素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来型表示素子の断面模式図である。
【図2】従来型表示素子のゲルの形状を示す断面模式図
である。
【図3】本発明の表示素子の断面模式図である。
【図4】実施例1の表示素子の白表示を示す断面模式図
である。
【図5】実施例1の表示素子の黒表示を示す断面模式図
である。
【符号の説明】
1 表示側基板 2 非表示側基板 3 電極 4 電極 5 変形するゲル 6 液体 7 変形しないゲル 8 白色の変形しないゲル 9 黒色インク液

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を付設した光透過性の表示側基板
    と、該表示側基板に対向して設けられた電極を付設した
    非表示側基板と、該表示側基板と該非表示側基板との間
    に設けられ、電界に応じて体積変化して変形するゲル
    と、該ゲルの変形により生ずる空隙を埋め得る液体収容
    部に収容された液体とを備え、前記ゲルの変形により入
    射光を調整して表示を行う表示素子において、前記表示
    側基板と前記ゲルの間に電界に応じて変形しないか、ま
    たは変形の少ないゲルを備えたことを特徴とする表示素
    子。
  2. 【請求項2】 前記電界に応じて変形しないか、または
    変形の少ないゲルが着色されていることを特徴とする請
    求項1記載の表示素子。
  3. 【請求項3】 前記電界に応じて体積変化して変形する
    ゲル、あるいは電界に応じて変形しないか、または変形
    の少ないゲルが化学ゲルであることを特徴とする請求項
    1記載の表示素子。
  4. 【請求項4】 電極を付設した光透過性の表示側基板
    と、該表示側基板に対向して設けられた電極を付設した
    非表示側基板と、該表示側基板と該非表示側基板との間
    に、該表示側基板の側から順次設けられた電界に応じて
    変形しないか、または変形の少ないゲルと、これに隣接
    して設けられた電界に応じて体積変化して変形するゲル
    と、該変形するゲルの変形により生ずる空隙を埋め得る
    液体収容部に収容された液体とを備え、該変形するゲル
    の変形により入射光を調整して表示を行う表示素子の製
    造方法であって、該ゲルを物理ゲルのマトリックス中で
    形成することを特徴とする表示素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電界に応じて体積変化して変形する
    ゲル、あるいは電界に応じて変形しないか、または変形
    の少ないゲルが化学ゲルであることを特徴とする請求項
    4記載の表示素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記化学ゲルを物理ゲルのマトリックス
    中で形成する温度が物理ゲルのゾル化する温度以下であ
    ることを特徴とする請求項5記載の表示素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記化学ゲルを物理ゲルのマトリックス
    中で形成した後、物理ゲルをゾル化することを特徴とす
    る請求項5記載の表示素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記化学ゲルを物理ゲルのマトリックス
    中で形成する際、光により形成することを特徴とする請
    求項5記載の表示素子の製造方法。
JP2001090227A 2001-03-27 2001-03-27 表示素子とその製造方法 Pending JP2002287183A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090227A JP2002287183A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 表示素子とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090227A JP2002287183A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 表示素子とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002287183A true JP2002287183A (ja) 2002-10-03

Family

ID=18945040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001090227A Pending JP2002287183A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 表示素子とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002287183A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010095743A1 (ja) * 2009-02-23 2012-08-30 シャープ株式会社 表示素子、及び電気機器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010095743A1 (ja) * 2009-02-23 2012-08-30 シャープ株式会社 表示素子、及び電気機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3779392B2 (ja) ライトバルブ用の改善された紫外線安定性光変調フィルム
US5739946A (en) Display device
US7351506B2 (en) Polymerization-encapsulated cholesteric liquid crystal for bistable reflective displays
US7826124B2 (en) Flexible panel based on electrochromic polymers
US10698285B2 (en) Electrochromic device and method for manufacturing electrochromic device
Kang et al. Actively operable thermoresponsive smart windows for reducing energy consumption
JPH11236559A (ja) 体積変調型発色材料、体積変調型発色組成物、それを用いた光学素子、及び光変調方法
WO2003001289A1 (fr) Dispositif d'affichage et son procede de fabrication
JP2004519711A (ja) 光学素子及び該光学素子の製造方法
JP4720079B2 (ja) 調光素子の製造方法
JP2002296625A (ja) 表示素子、及びその製造方法
JP2002287183A (ja) 表示素子とその製造方法
JP2002156665A (ja) 化学ゲル、その作製方法、並びにゲルを用いた表示方法及び表示装置
JP3925964B2 (ja) 表示装置
JP2003091025A (ja) 表示素子およびその製造方法
JP4604484B2 (ja) 光学素子
JP2003098558A (ja) 表示素子
JPH04134325A (ja) 表示素子
JP2003131271A (ja) 表示素子の製造方法
JPH04274480A (ja) 表示素子
JP2001188261A (ja) エレクトロクロミック素子
KR101726612B1 (ko) 광결정 표시장치 및 이의 제조 방법
JP2004285203A (ja) 高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに高分子ゲル組成物を用いた光学素子
JP2006011000A (ja) 光学素子
JPH02156228A (ja) 表示装置