JP2002286895A - 放射線画像変換パネル - Google Patents

放射線画像変換パネル

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JP2002286895A
JP2002286895A JP2001085031A JP2001085031A JP2002286895A JP 2002286895 A JP2002286895 A JP 2002286895A JP 2001085031 A JP2001085031 A JP 2001085031A JP 2001085031 A JP2001085031 A JP 2001085031A JP 2002286895 A JP2002286895 A JP 2002286895A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネル
において、画像ムラがなく鮮鋭性に優れた放射線画像変
換パネルを提供する。 【解決手段】 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光
体シートと、該蛍光体シートの上下に配置し、該蛍光体
シートの全表面を被覆するように設けられた防湿性保護
フィルムからなる放射線画像変換パネルにおいて、JI
S B 0601で規定される該蛍光体シートに接する
側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び該蛍光体面の表面
粗さがそれぞれ独立に、0.10μm≦Ra≦1.00
μmで、かつ0.10μm≦Rt≦2.50μmであ
り、更に該最外層の樹脂層の表面のSm値が、50μm
〜500μmであることを特徴とする放射線画像変換パ
ネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体を用
いた放射線画像変換パネルに関し、さらに詳しくは、鮮
鋭性が良好で、かつ長期間にわたり良好な状態で使用す
ることのできる放射線画像変換パネルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】X線画像で代表される放射線画像は、病
気診断用など多方面に亘り用いられている。このX線画
像を得る方法としては、被写体を通過した放射線を、蛍
光体層(蛍光スクリーンとも言う)に照射し、蛍光体層
で発生した可視光を、ハロゲン化銀写真感光材料(以
降、単に感光材料とも言う)等に照射し、その後の現像
処理を施して可視画像を得る、いわゆる放射線写真方式
が主に利用されている。しかしながら、近年では、ハロ
ゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わ
り、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案
されている。
【0003】上記方法としては、被写体を透過した放射
線を、蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例
えば光又は熱エネルギーで励起することにより、この蛍
光体が、X線の吸収により蓄積した放射線エネルギーを
蛍光として放射し、この蛍光を検出し、画像化する方法
である。具体的には、例えば、米国特許第3,859,
527号及び特開昭55−12144号公報などに記載
されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換
方法である。
【0004】この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射
線画像変換パネルを利用するもので、詳しくは、この放
射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に、被写体を透過
した放射線を当て、被写体各部の放射線透過密度に対応
する放射線エネルギーを蓄積させ、その後、輝尽性蛍光
体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列
的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積され
ている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、こ
の光の強弱による信号を、たとえば光電変換した電気信
号として取り出し、この信号をハロゲン化銀写真感光材
料などの既存の画像記録材料、あるいはCRTなどに代
表される画像表示装置上に、可視像として再生する方法
である。
【0005】上記の放射線画像記録の再生方法は、従来
の放射線用感光材料と増感紙とを組合せて用いる放射線
写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量
で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという
利点がある。
【0006】放射線画像変換パネルは、支持体とその表
面に設けられた輝尽性蛍光体層又は自己支持性の輝尽性
蛍光体層からなり、輝尽性蛍光体層は、通常、輝尽性蛍
光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着
法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体の
みから構成されるものがある。また、該凝集体の間隙に
高分子物質が含浸されているものも知られている。さら
に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には、
通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護
層膜が設けられる。
【0007】このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射
した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であ
るが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲に
ある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝
尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。従来より放
射線画像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例
としては、例えば、特開昭55−12145号、同55
−160078号、同56−74175号、同56−1
16777号、同57−23673号、同57−236
75号、同58−206678号、同59−27289
号、同59−27980号、同59−56479号、同
59−56480号等に記載の希土類元素付活アルカリ
土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75
200号、同60−84381号、同60−10675
2号、同60−166379号、同60−221483
号、同60−228592号、同60−228593
号、同61−23679号、同61−120882号、
同61−120883号、同61−120885号、同
61−235486号、同61−235487号等に記
載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン
化物系蛍光体;特開昭59−12144号に記載の希土
類元素付活オキシハライド蛍光体;特開昭58−692
81号に記載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍
光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス付活
アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−14
1783号、同60−157100号に記載の2価のユ
ーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特
開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム
付活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;特開昭60−
217354号に記載の2価のユーロピウム付活アルカ
リ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−2
1173号、同61−21182号に記載のセリウム付
活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−403
90号に記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;
特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム
付活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭6
0−78153号に記載の2価のユーロピウム付活ハロ
ゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相か
ら析出させた14面体希土類金属付活アルカリ土類金属
弗化ハロゲン化物系蛍光体;等が知られている。
【0008】上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含
有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロ
ゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム
付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を
含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍
光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金
属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示す。
【0009】これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画
像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光
の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後
に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使
用できることが利点の一つである。すなわち、従来の放
射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線用感光材料を
消費するのに対して、この放射線画像変換方法では、放
射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保
護、経済効率の面からも有利である。
【0010】上記のような使用形態において、放射線画
像変換パネルには、得られる放射線画像の画質を劣化さ
せることなく、長期間の使用に耐える性能を付与するこ
とが強く要求される。
【0011】しかしながら、放射線画像変換パネルの製
造に用いられる上記輝尽性蛍光体の多くは、一般に吸湿
性が高く、通常の気候条件の室内に長期間放置すると、
空気中の水分を吸収し、時間の経過とともに著しく特性
が劣化するという欠点を有している。たとえば、輝尽性
蛍光体を高湿度条件下に置くと、吸収した水分の増大に
伴って、輝尽性蛍光体の放射線感度が低下する。また、
一般には輝尽性蛍光体に記録された放射線画像の潜像
は、放射線照射後の時間経過に伴って退行するため、再
生される放射線画像信号の強度は、放射線照射からの励
起光による走査までの時間が長いほど、低下するという
特性を有し、輝尽性蛍光体が吸湿すると前記潜像退行の
速度が、更に加速され、大きな問題を起こす。この結
果、吸湿した輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネ
ルを用いると、放射線画像の読み取り時において、再生
信号の再現性が低下する。
【0012】従来、輝尽性蛍光体の吸湿による前記の劣
化現象を防止するには、透湿度の低い防湿性保護層で輝
尽性蛍光体層を被覆することにより、該蛍光体層に到達
する水分を低減させる方法が提案、実施されている。
【0013】透湿度の低い防湿性保護層としては、ガラ
ス板や高バリア性の厚手の樹脂フィルム使用する方法や
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、金属酸化
物、窒化珪素などのガラス薄膜を蒸着したフィルムを2
〜8枚積層してなる積層フィルムを使用する方法等が知
られているが、これらの方法では保護フィルム自体の厚
みが厚くなり、得られる放射線画像の鮮鋭性が劣化して
しまうと言う深刻な問題があり、この様な問題を解決す
る為、特開平1−131499号では保護層と蛍光体層
の間に空気などの低屈折率層を設けることが提案されて
いる。また特開平11−249243号では保護層とし
て樹脂フィルムを使用した場合の実施形態が記載されて
る。しかしながら前記の特開平11−249243号に
は保護層として樹脂フィルムを使用した場合の低屈折率
層の確保方法は記載さているが、適切な低屈折率層の形
態が示されておらず。また示唆もされていない。つまり
樹脂フィルムと保護層の接触状態が不良であると、接触
状態が出力画像に出現し放射線画像変換パネルにとって
は致命的な欠陥となる。
【0014】また輝尽性蛍光体プレートの励起光の光源
としては一般にビーム収束性の高いレーザー光が用いら
れるが、PET等の高分子フィルムからなる保護層を介
してレーザー光で走査された場合、保護層フィルム内部
での励起レーザー光の散乱や、保護層と光検出装置間や
周辺部材での励起レーザー光の乱反射により、励起光が
走査された場所から離れた場所の輝尽性蛍光体面を励起
させ輝尽発光を放出させる為に鮮鋭性が低下する。また
蛍光体プレートが保護層を有しない場合にも蛍光体プレ
ート表面と光検出装置間や周辺部材での励起レーザー光
の乱反射により高い鮮鋭性は得られないという問題点が
あった。
【0015】とくに、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工
されたフィルムは、透明性、バリア性、強さの面で保護
層として優れた物性を有するにも関わらず、屈折率が大
であるために、保護フィルム内部に入射した励起光の一
部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して走査され
た場所から離れた場所まで伝搬し、輝尽発光を放出させ
鮮鋭性が低下する、また保護層の上下の界面で蛍光体面
と反対方向に反射された励起光も光検出装置間や周辺部
材で再反射して走査された場所からさらに遠く離れた場
所の輝尽性蛍光体面を励起させ輝尽発光を放出させるた
め、これによりさらに鮮鋭性が低下する。励起光は赤か
ら赤外の長波長のコヒーレントな光である為に、積極的
に散乱光や反射光を吸収しない限り、保護フィルム内部
や読み取り装置内部の空間で吸収される量は少なく離れ
た場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
【0016】特に蛍光体シートの支持体面側より放射線
が照射され、反対面の蛍光体面側より励起光で走査され
読みとられるタイプの放射線画像変換パネルにおいて
は、放射線画像撮影後に放射線画像変換パネルを反転す
る必要が無いので、装置構造が簡略化され装置サイズが
コンパクトになり、装置コストも安価になると言う利点
がある反面、X線画像情報が蛍光体シートの支持体面近
傍に高密度に記録されるため、励起光の蛍光体層内での
散乱の影響も加わって、より鮮鋭性は悪化する。
【0017】またこれらのポリエチレンテレフタレート
フィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等フィル
ムを保護層として使用した場合、被写体の放射線画像以
外の濃淡すなわち画像ムラや、保護層の製造工程中に起
因すると思われる線状のノイズ等が出現すると言う問題
点もあった。これらの画像ムラや線状ノイズに対して、
特開昭59−42500号や特公平1−57759号に
は保護層のヘイズ率を高くしてこれらの画像ムラや線状
ノイズを解消する手段が示されている。しかしながら保
護層のヘイズ率を高くすると鮮鋭性が低下してしまうと
言う欠点がある。
【0018】鮮鋭性の悪化を防止する為には保護フィル
ムを薄くし、保護フィルム内部での励起光の伝搬距離を
短くする方法が考えられるが、効果は小さく、逆に保護
層の薄膜化による防湿性や耐傷性の低下が問題となる。
鮮鋭性の向上に関しては、特公昭59−23400号に
は放射線画像変換パネルの、支持体、下引き層、蛍光体
層、中間層、保護層のいずれかを励起光を吸収する色で
着色する方法、特開昭60−200200号では蛍光体
層と保護層間の接着剤層を着色する方法が示されている
が、これらの方法により鮮鋭性を高めると上記の画像ム
ラや線状ノイズがより顕著になってくると言う問題点が
ある。
【0019】これらの鮮鋭性の悪化や画像ムラや線状ノ
イズがひどい場合は、病気診断用に使用される放射線画
像変換パネルにとっては致命的な欠陥となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたものであり、その目的は、輝尽性蛍光体を
用いた放射線画像変換パネルにおいて、画像ムラがなく
鮮鋭性に優れた放射線画像変換パネルを提供することに
ある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成された。
【0022】1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍
光体シートと、該蛍光体シートの上下に配置し、該輝尽
性蛍光体層と実質的に接着せず、かつ周縁が該蛍光体シ
ートの周縁より外側にあり、該蛍光体シートの全表面を
被覆するように設けられた防湿性保護フィルムからなる
放射線画像変換パネルにおいて、カットオフ値0.08
mmで測定したJIS B 0601で規定される該蛍
光体シートに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及
び該蛍光体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μ
m≦Ra≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦
2.50μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測
定したJIS B 0601で規定される該最外層の樹
脂層の表面のSm値が、50μm〜500μmであるこ
とを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0023】2.防湿性保護フィルムが励起光を吸収す
るように着色された励起光吸収層を有していることを特
徴とする前記1記載の放射線画像変換パネル。
【0024】3.防湿性保護フィルムのヘイズ率が5%
以上、60%未満であることを特徴とする前記2記載の
放射線画像変換パネル。
【0025】4.防湿性保護フィルムの励起光波長領域
における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護
フィルムの光透過率の97%〜50%であることを特徴
とする前記2記載の放射線画像変換パネル。
【0026】5.防湿性保護フィルムが2種以上の樹脂
フィルムを少なくとも2層以上積層してなる積層フィル
ムであって、蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層
が熱融着性を有する樹脂で構成されることを特徴とする
前記1記載の放射線画像変換パネル。
【0027】6.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍
光体シートの支持体面側より放射線が照射され、蛍光体
面側より励起光で走査され読みとられることを特徴とす
る前記1〜5のいずれか1項記載の放射線画像変換パネ
ル。
【0028】本発明を更に詳しく説明する。一般に、輝
尽性蛍光体層が設けられてなる蛍光体シートへの水分の
浸透を防止、低減するためには、蛍光体シートの上下部
に配置させる防湿性保護フィルムの周縁部を、蛍光体シ
ートの周縁部より外側とし、蛍光体シートの周縁部より
外側の領域で、該上下部に位置する防湿性保護フィルム
が、融着あるいは接着剤により接着している、いわゆる
封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水
分の浸透を阻止している。しかしながら、蛍光体面と防
湿性保護フィルム間の空気層の存在状態によって、放射
線画像の鮮鋭性に差がでてしまうという問題点があっ
た。
【0029】このような問題点を解決すべく、本発明者
らは鋭意検討した結果、防湿性保護フィルム表面の蛍光
体シートに接する側の、カットオフ値0.08mmで測
定したJIS B 0601で規定される該蛍光体シー
トに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び該蛍光
体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μm≦Ra
≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦2.50
μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測定したJ
IS B 0601で規定される該最外層の樹脂層の表
面のSm値が、50μm〜500μmにすることで鮮鋭
性が高く、保護フィルムと蛍光体面の接触状態に関わる
画像ムラも発生しない事が見いだされた。
【0030】JIS B 0601で規定される粗さR
a(中心線平均粗さ)は、粗さ曲線からその平均線の方
向の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線
から、測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値
である。また、JIS B0601で規定される粗さR
t(最大高さ粗さ)は、粗さ曲線からその平均線の方向
の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線と
山頂線及び平均線と谷底線との間隔の合計値の最大値で
ある。更に、JIS B 0601で規定される粗さS
m(凹凸の平均間隔)は、粗さ曲線からその平均線の方
向の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分におい
て、一つの山とその山と隣り合う一つの山に対応する平
均線の長さの和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平
均である。
【0031】本発明において、Ra、Rt及びSmは、
東京精密(株)製のサーフコム1500Aで測定した。
尚、Ra及びRtはカットオフ値0.08mmで測定
し、Smはカットオフ値0.8mmで測定し得られた1
00ケの測定値の算術平均である。
【0032】特開平01−131499号の記載にある
ように、蛍光体面と保護層が密着している場合、保護層
が厚いほど鮮鋭性が低下する。この原因としては、入射
した励起光の輝尽性蛍光体面での反射散乱光が保護層−
空気層界面で反射され輝尽性蛍光体面へ再入射し、この
ために鮮鋭性が劣化する。保護層が厚いほどこの反射光
は遠くまで達し、より鮮鋭性が劣化する。
【0033】本発明の実施形態では輝尽性蛍光体面と、
保護層の間に空気からなる低屈折率層が存在する。この
低屈折率層の存在により、輝尽性蛍光体面での反射散乱
光の一部は保護層内に入射し、残りは低屈折率層と保護
層の界面で反射し蛍光体面に再入射する。この散乱反射
光のうち保護層内に入射した反射光は、空気層(低屈折
率層)/保護層/空気層と言う光学的対照構造により、
保護層−空気層界面で再反射することなく外部に放出さ
れる。また低屈折率層と保護層の界面で反射し蛍光体面
に再入射する散乱反射光成分は、低屈折率層の厚みを保
護層の厚みに対して十分に薄くしておくことで、遠くま
で達しないうちに減衰する。つまり、低屈折率層(空気
層)の厚みが実質的に保護層の厚みとなる。
【0034】低屈折率層(空気層)の厚みは薄いほど鮮
鋭性は向上するが、保護層と蛍光体面が接触すると逆に
鮮鋭性は劣化する。保護層の蛍光体に接する側の表面を
平滑にしていくと低屈折率層(空気層)の厚みが薄くな
るが、蛍光体面の接触部も多くなり特定の面積にわたっ
て完全接触していまう部分も出現してきて、プレート面
内で画像ムラが出現する。
【0035】つまり、本構成の封止構造には、蛍光体面
と保護層の最適な接触状態が存在する。本発明はこの最
適な接触状態を実現するものである。
【0036】本発明で言う励起光を吸収するように着色
された励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収する着
色剤を含有する層のことであって、保護層樹脂フィルム
の一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗設さ
れてあってもよいし、あるいは保護層樹脂フィルム自体
が着色されてあってもよい。
【0037】本発明で言う、保護層の励起光波長領域に
おける光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フ
ィルムの光透過率の97%〜50%とは、励起光吸収層
を備えていないこと以外は同一構成の保護フィルムの同
じ波長領域における平均透過率に対して97%〜50%
であることを意味する。
【0038】本発明に使用する前記保護フィルムは必要
とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィル
ムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積
層することで最適な防湿性とすることができが、輝尽性
蛍光体の吸湿劣化を考慮して少なくとも50g/m2
day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層
方法としては、一般に知られているどのような方法でも
かまわない。またこの場合は積層された樹脂フィルム間
に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が
物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレ
ート性能が長期間維持できる。励起光吸収層は複数箇所
に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有
し励起光吸収層としても良い。
【0039】保護フィルムにより蛍光体プレートを封止
するにあたっては既知どのような方法でもかまわない
が、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最
外層の樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとするこ
とで防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シート
の封止作業が効率化される。
【0040】具体的には蛍光体シートの上下に防湿性保
護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周
縁より外側にある領域で該上下の防湿性保護フィルムが
融着している封止構造とすることで蛍光体シートの外周
部からの水分進入も阻止できる。さらに支持体面側の防
湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネ
ートしてなる積層防湿フィルムとすること(図1参照)
でより確実に水分の進入を低減できる。
【0041】本発明の実質的に接着していない状態と
は、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムは点接触
しているが、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性
保護フィルムは不連続体として扱える状態のことであ
る。
【0042】本発明でいう熱融着性フィルムとは、一般
に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィ
ルムのことで、たとえばエチレン酢酸ビニルコポリマー
(EVA)やポリプロペレン(PP)フィルム、ポリエ
チレン(PE)フィルム等があげられるがこれに限られ
たものではない。
【0043】保護フィルムのヘイズ率は、使用する樹脂
フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき
る。任意のヘイズ率の樹脂フィルムは工業的に容易に入
手可能である。
【0044】放射線画像変換パネルの保護フィルムとし
ては光学的に透明度の非常に高いものが想定されてい
る。そのような透明度の高い保護フィルム材料として
は、ヘイズ値が2〜3%の範囲にあるようなプラスチッ
クフィルムが各種市販されている。
【0045】特開昭59−42500号や特公平1−5
7759号には保護層のヘイズ率を高くして画像ムラや
線状ノイズを解消する手段が示されているが鮮鋭性が低
下してしまっていた。本発明に従えば、画像ムラや線状
ノイズを解消し、さらに鮮鋭性を向上することができ
る。
【0046】本発明の効果を得るためのヘイズ率として
は5%以上、60%未満が好ましく、さらに好ましく
は、5%以上、40%未満である。ヘイズ率としては5
%未満では画像ムラや線状ノイズを解消する効果が小さ
く、60%以上であると本発明の鮮鋭性向上効果が小さ
くなる。
【0047】放射線像変換パネルの保護フィルムを着色
し、鮮鋭性を向上する方法については、特公昭59−2
3400号では放射線画像変換パネルの、支持体、下引
き層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された場
合の種々の実施形態の一例として記載されているが、具
体的な保護フィルムについての記載はなく示唆もされて
いない。
【0048】本発明の放射線像変換パネルの保護フィル
ムに使用される色剤としては、該放射線像変換パネルの
励起光の波長領域で励起光を吸収する特性を有するもの
が用いられる。
【0049】好ましくは、保護フィルムの励起光波長領
域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保
護フィルムの光透過率の97%〜50%となるように励
起光吸収層を設けることが望ましい。光透過率の97%
以上では本発明の効果は小さく、50%以下では放射線
像変換パネルの輝度が急激に低下してくる。
【0050】いかなる着色剤を用いるかは放射線像変換
パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、
放射線像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、
波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって
300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体
が用いられる。このため、着色剤としては通常、青色〜
緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が用いられる。
【0051】青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、
ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エスト
ロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、
スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、
D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、ス
ピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルー
No603(オリエント(株)製)、キトンブルーA
(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGL
H(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H
(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和
産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業
(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化
学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ
(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)
製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例とし
ては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化
クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙
げられるがこれに限られたものではない。
【0052】本発明の保護層には、ポリエステルフィル
ム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフ
ィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できる
が、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレ
ンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルム
が、透明性、強さの面で保護層として好ましく、とくに
これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエ
チレンテレフタレートフィルムや上に金属酸化物、窒化
珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面か
らより好ましい。
【0053】また本発明で言う励起光を吸収するように
着色された励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収す
る着色剤を含有する層のことであって、保護層樹脂フィ
ルムの一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗
設されてあってもよいし、あるいは保護層樹脂フィルム
自体が着色されてあってもよい。
【0054】本発明で言う、保護層の励起光波長領域に
おける光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フ
ィルムの光透過率の97%〜50%とは、励起光吸収層
を備えていないこと以外は同一構成の保護フィルムの同
じ波長領域における平均透過率に対して97%〜50%
であることを意味する。
【0055】本発明に使用する前記保護フィルムは必要
とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィル
ムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積
層することで最適な防湿性とすることができが、輝尽性
蛍光体の吸湿劣化を考慮して少なくとも50g/m2
day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層
方法としては、一般に知られているどのような方法でも
かまわない。またこの場合は積層された樹脂フィルム間
に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が
物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレ
ート性能が長期間維持できる。励起光吸収層は複数箇所
に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有
し励起光吸収層としても良い。
【0056】保護フィルムにより蛍光体プレートを封止
するにあたっては既知の、どのような方法でもかまわな
いが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の
最外層の樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとする
ことで防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シー
トの封止作業が効率化される。
【0057】本発明のに関わる封止構造は蛍光体シート
の上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記
蛍光体シートの周縁より外側にある領域で該上下の防湿
性保護フィルムが融着している形態である。この形態に
より蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき
る。
【0058】またこの場合、防湿性保護フィルムの蛍光
体面に接する側の最外層の熱融着性を有する樹脂層と蛍
光体面は実質的に接着していない。
【0059】実質的に接着していない状態とは、微視的
には蛍光体面と防湿性保護フィルムは点接触してはいた
としても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保
護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。
【0060】放射線像変換パネルの保護フィルムを着色
し、鮮鋭性を向上する方法については、特公昭59−2
3400号にては放射線画像変換パネルの、支持体、下
引き層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された
場合の種々の実施形態の一例として記載されているが、
具体的な保護フィルムについての記載はなく示唆もされ
ていない。
【0061】本発明の放射線画像変換パネルにおいて用
いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。
特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシー
トあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この
点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエス
テルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、
ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィル
ム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポ
リカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好
ましい。
【0062】また、これら支持体の層厚は用いる支持体
の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜10
00μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましく
は80μm〜500μmである。
【0063】これらの支持体の表面は滑面であってもよ
いし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマ
ット面としてもよい。
【0064】さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層
との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けら
れる面に下引層を設けてもよい。
【0065】本発明において輝尽性蛍光体層に用いられ
る結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキスト
ラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのよう
な天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポ
リ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、
塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル
(メタ)アクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリ
マー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレー
ト、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのよ
うな合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げ
ることができる。
【0066】このような結合剤の中で特に好ましいもの
は、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキ
ル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリ
エステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル
(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンと
ポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これら
の結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよ
い。輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により
下塗層上に形成することができる。
【0067】まず輝尽性蛍光体、および結合剤を適当な
溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に
蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布
液を調製する。
【0068】一般に結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に対
して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかし
ながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の
点では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの
兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ま
しい。
【0069】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられ
る溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールと
のエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルな
どのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化
合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの
ハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げら
れる。
【0070】なお、塗布液には、該塗布液中における蛍
光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後
の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結
合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混
合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散
剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン
酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そし
て可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリク
レジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸
ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エス
テル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール
酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;
そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリ
エステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエ
ステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸
とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0071】上記のようにして調製された塗布液を、次
に下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗
膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例え
ば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコータ
ーなどを用いることにより行なうことができる。
【0072】次いで、形成された塗膜を徐々に加熱する
ことにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形
成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放
射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合
剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は2
0μm乃至1mmとする。ただし、この層厚は50乃至
500μmとするのが好ましい。
【0073】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボール
ミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高
速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散
機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布
液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコータ
ーなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥するこ
とにより輝尽性蛍光体層が形成される。
【0074】本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍
光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特
性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混
合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範
囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの
範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0075】支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シ
ートを所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては一般
のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面
から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0076】所定の大きさに断裁された蛍光体シートを
防湿性保護フィルムで封止するには既知のいかなる方法
も使用できるが、例をあげると蛍光体シートを上下の防
湿性保護フィルムの間に挟み周縁部をインパルスシーラ
ーで加熱融着する方法や、2本の加熱したローラー間で
加圧加熱するラミネート方式等が挙げられる。
【0077】上記インパルスシーラーで加熱融着する方
法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光
体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大
気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0078】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
【0079】実施例1 ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前
駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol
/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/
L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母
液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム
水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にロー
ラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入
終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行な
った。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した
後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム
の結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒
子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するため
に、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミ
キサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子
粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填し
て、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で
2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍
光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することに
より平均粒径7μmの粒子を得た。
【0080】蛍光体層形成材料として、上記で得たユー
ロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリ
ウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラッ
ク4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:
1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散
し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。この
塗布液をドクターブレードを用いて厚さ100μmの黒
色PET支持体上に塗布したのち、乾燥させて、270
μmの厚さの蛍光体層を形成した。またこのとき乾燥条
件(温度、風量)を調節することで表1に示す表面粗さ
の蛍光体シートを作製した。
【0081】(保護フィルムの作製)蛍光体シートの蛍
光体面側の保護フィルムは下記(A)で示された構成の
ものを使用した。
【0082】構成(A) VMPET12//VMPET12//PET12//
シーラントフィルム PET:ポリエチレンテレフタレート シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャ
ステングポリプロプレ)又はLLDPE(低密度線状ポ
リエチレン)を使用 VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタラ
イジング社製) 各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)
を示す。
【0083】上記“//”はドライラミネーション接着
層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味す
る。使用したドライラミ用の接着剤は2液反応型のウレ
タン系接着剤である。
【0084】この時使用した接着剤溶液に、あらかじめ
メチルエチルケトンに分散溶解させた有機系青色着色剤
(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト社製)を添加
しておくことで、接着剤層の全てを励起光吸収層とし
た。またこのときの添加量を調節することで励起光吸収
層の光線透過率を調節した。
【0085】ここで言う励起光吸収層の光線透過率と
は、He−Neレーザー光(633nm)の光波長領域
における光透過率を励起光吸収層を有しない同等の保護
フィルムの光透過率と比較した場合の値とした。
【0086】また同時にシーラントフィルムの品種を変
更することで表面粗さを調節し、表1に示す各種の粗さ
の積層保護フィルムを作製した。
【0087】蛍光体シートの支持体面側の保護フィルム
は、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポ
リエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成
のドライラミネートフィルムとした。またこの場合の接
着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接
着剤を使用した。
【0088】(蛍光体シートの封止)塗布サンプルを4
5cm×45cmの正方形に断裁し、上記の各種のヘイ
ズと励起光吸収層を有する積層保護フィルムを使用し、
減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着するこ
とで封止した。図1に本発明の放射線画像変換パネルの
断面図を示す。
【0089】尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの
距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したイ
ンパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用し
た。
【0090】《放射線画像変換パネルの評価》 (鮮鋭性の評価)鮮鋭度については、放射線画像変換パ
ネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVp
のX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作
して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と
同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナロ
グ/デジタル変換してハードディスクに記録し、記録を
コンピューターで分析してハードディスクに記録されて
いるX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。空間周
波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%)を測定し
た。MTF値が高いほど良好な鮮鋭性が得られるので好
ましい。また、放射線画像変換パネルとして実用するた
めには鮮鋭性は65%を越えることが必要である。
【0091】(画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体
の接触ムラの評価)放射線画像変換パネルに管電圧80
kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザ
ー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放
射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像
倍管)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装
置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大し
てプリントアウトし、得られたプリント画像を目視によ
り観察して画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接
触ムラのそれぞれについて、下記のように0〜5までの
6段階のランク評価を行った。
【0092】0:画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光
体の接触ムラがない 1:面内の1〜2個所に淡い画像ムラ、線状ノイズ、保
護層と蛍光体の接触ムラがある 2:面内の3〜4個所に淡い画像ムラ、線状ノイズ、保
護層と蛍光体の接触ムラがある 3:面内の3〜4個所に画像ムラ、線状ノイズ、保護層
と蛍光体の接触ムラが見られ、その中の1〜2個所は濃
い画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラが
ある 4:面内の5個所以上に画像ムラ、線状ノイズ、保護層
と蛍光体の接触ムラがある 5:面内の5個所以上に濃い画像ムラ、線状ノイズ、保
護層と蛍光体の接触ムラがある (輝度の評価)感度の測定は放射線画像変換パネルに管
電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−N
eレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体
層から放射される輝尽発光を受光器(光電子像倍管)で
受光してその強度を測定することで行った。輝度は、試
料No.1の輝度を1.00とした場合の相対輝度であ
る。
【0093】得られた結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1から、比較と比べて本発明の試料は良
好な鮮鋭性を示し、画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍
光体の接触ムラが少なく、且つ、実用的に十分な輝度を
示すことが判る。
【0096】
【発明の効果】本発明により、輝尽性蛍光体を用いた放
射線画像変換パネルにおいて、画像ムラがなく鮮鋭性に
優れた放射線画像変換パネルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの断面図であ
る。
【符号の説明】
11 蛍光体 12 支持体 13 積層保護フィルム 14 アルミラミネートフィルム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光
    体シートと、該蛍光体シートの上下に配置し、該輝尽性
    蛍光体層と実質的に接着せず、かつ周縁が該蛍光体シー
    トの周縁より外側にあり、該蛍光体シートの全表面を被
    覆するように設けられた防湿性保護フィルムからなる放
    射線画像変換パネルにおいて、カットオフ値0.08m
    mで測定したJIS B 0601で規定される該蛍光
    体シートに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び
    該蛍光体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μm
    ≦Ra≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦
    2.50μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測
    定したJIS B 0601で規定される該最外層の樹
    脂層の表面のSm値が、50μm〜500μmであるこ
    とを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 【請求項2】 防湿性保護フィルムが励起光を吸収する
    ように着色された励起光吸収層を有していることを特徴
    とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
  3. 【請求項3】 防湿性保護フィルムのヘイズ率が5%以
    上、60%未満であることを特徴とする請求項2記載の
    放射線画像変換パネル。
  4. 【請求項4】 防湿性保護フィルムの励起光波長領域に
    おける光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フ
    ィルムの光透過率の97%〜50%であることを特徴と
    する請求項2記載の放射線画像変換パネル。
  5. 【請求項5】 防湿性保護フィルムが2種以上の樹脂フ
    ィルムを少なくとも2層以上積層してなる積層フィルム
    であって、蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層が
    熱融着性を有する樹脂で構成されることを特徴とする請
    求項1記載の放射線画像変換パネル。
  6. 【請求項6】 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光
    体シートの支持体面側より放射線が照射され、蛍光体面
    側より励起光で走査され読みとられることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項記載の放射線画像変換パネ
    ル。
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