JP3991607B2 - 放射線画像変換パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関し、さらに詳しくは、鮮鋭性が良好で、かつ長期間にわたり良好な状態で使用することのできる放射線画像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線画像で代表される放射線画像は、病気診断用など多方面に亘り用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過した放射線を、蛍光体層(蛍光スクリーンとも言う)に照射し、蛍光体層で発生した可視光を、ハロゲン化銀写真感光材料(以降、単に感光材料とも言う)等に照射し、その後の現像処理を施して可視画像を得る、いわゆる放射線写真方式が主に利用されている。しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0003】
上記方法としては、被写体を透過した放射線を、蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例えば光又は熱エネルギーで励起することにより、この蛍光体が、X線の吸収により蓄積した放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し、画像化する方法である。具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法である。
【0004】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを利用するもので、詳しくは、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に、被写体を透過した放射線を当て、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、たとえば光電変換した電気信号として取り出し、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの既存の画像記録材料、あるいはCRTなどに代表される画像表示装置上に、可視像として再生する方法である。
【0005】
上記の放射線画像記録の再生方法は、従来の放射線用感光材料と増感紙とを組合せて用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0006】
放射線画像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層又は自己支持性の輝尽性蛍光体層からなり、輝尽性蛍光体層は、通常、輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。また、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。さらに、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には、通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0007】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。従来より放射線画像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、例えば、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−12144号に記載の希土類元素付活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78153号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相から析出させた14面体希土類金属付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;等が知られている。
【0008】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示す。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用できることが利点の一つである。すなわち、従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線用感光材料を消費するのに対して、この放射線画像変換方法では、放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
上記のような使用形態において、放射線画像変換パネルには、得られる放射線画像の画質を劣化させることなく、長期間の使用に耐える性能を付与することが強く要求される。
【0011】
しかしながら、放射線画像変換パネルの製造に用いられる上記輝尽性蛍光体の多くは、一般に吸湿性が高く、通常の気候条件の室内に長期間放置すると、空気中の水分を吸収し、時間の経過とともに著しく特性が劣化するという欠点を有している。たとえば、輝尽性蛍光体を高湿度条件下に置くと、吸収した水分の増大に伴って、輝尽性蛍光体の放射線感度が低下する。また、一般には輝尽性蛍光体に記録された放射線画像の潜像は、放射線照射後の時間経過に伴って退行するため、再生される放射線画像信号の強度は、放射線照射からの励起光による走査までの時間が長いほど、低下するという特性を有し、輝尽性蛍光体が吸湿すると前記潜像退行の速度が、更に加速され、大きな問題を起こす。この結果、吸湿した輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルを用いると、放射線画像の読み取り時において、再生信号の再現性が低下する。
【0012】
従来、輝尽性蛍光体の吸湿による前記の劣化現象を防止するには、透湿度の低い防湿性保護層で輝尽性蛍光体層を被覆することにより、該蛍光体層に到達する水分を低減させる方法が提案、実施されている。
【0013】
透湿度の低い防湿性保護層としては、ガラス板や高バリア性の厚手の樹脂フィルム使用する方法やポリエチレンテレフタレートフィルム上に、金属酸化物、窒化珪素などのガラス薄膜を蒸着したフィルムを2〜8枚積層してなる積層フィルムを使用する方法等が知られているが、これらの方法では保護フィルム自体の厚みが厚くなり、得られる放射線画像の鮮鋭性が劣化してしまうと言う深刻な問題があり、この様な問題を解決する為、特開平1−131499号では保護層と蛍光体層の間に空気などの低屈折率層を設けることが提案されている。また特開平11−249243号では保護層として樹脂フィルムを使用した場合の実施形態が記載されてる。しかしながら前記の特開平11−249243号には保護層として樹脂フィルムを使用した場合の低屈折率層の確保方法は記載さているが、適切な低屈折率層の形態が示されておらず。また示唆もされていない。つまり樹脂フィルムと保護層の接触状態が不良であると、接触状態が出力画像に出現し放射線画像変換パネルにとっては致命的な欠陥となる。
【0014】
また輝尽性蛍光体プレートの励起光の光源としては一般にビーム収束性の高いレーザー光が用いられるが、PET等の高分子フィルムからなる保護層を介してレーザー光で走査された場合、保護層フィルム内部での励起レーザー光の散乱や、保護層と光検出装置間や周辺部材での励起レーザー光の乱反射により、励起光が走査された場所から離れた場所の輝尽性蛍光体面を励起させ輝尽発光を放出させる為に鮮鋭性が低下する。また蛍光体プレートが保護層を有しない場合にも蛍光体プレート表面と光検出装置間や周辺部材での励起レーザー光の乱反射により高い鮮鋭性は得られないという問題点があった。
【0015】
とくに、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムは、透明性、バリア性、強さの面で保護層として優れた物性を有するにも関わらず、屈折率が大であるために、保護フィルム内部に入射した励起光の一部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して走査された場所から離れた場所まで伝搬し、輝尽発光を放出させ鮮鋭性が低下する、また保護層の上下の界面で蛍光体面と反対方向に反射された励起光も光検出装置間や周辺部材で再反射して走査された場所からさらに遠く離れた場所の輝尽性蛍光体面を励起させ輝尽発光を放出させるため、これによりさらに鮮鋭性が低下する。励起光は赤から赤外の長波長のコヒーレントな光である為に、積極的に散乱光や反射光を吸収しない限り、保護フィルム内部や読み取り装置内部の空間で吸収される量は少なく離れた場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
【0016】
特に蛍光体シートの支持体面側より放射線が照射され、反対面の蛍光体面側より励起光で走査され読みとられるタイプの放射線画像変換パネルにおいては、放射線画像撮影後に放射線画像変換パネルを反転する必要が無いので、装置構造が簡略化され装置サイズがコンパクトになり、装置コストも安価になると言う利点がある反面、X線画像情報が蛍光体シートの支持体面近傍に高密度に記録されるため、励起光の蛍光体層内での散乱の影響も加わって、より鮮鋭性は悪化する。
【0017】
またこれらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等フィルムを保護層として使用した場合、被写体の放射線画像以外の濃淡すなわち画像ムラや、保護層の製造工程中に起因すると思われる線状のノイズ等が出現すると言う問題点もあった。これらの画像ムラや線状ノイズに対して、特開昭59−42500号や特公平1−57759号には保護層のヘイズ率を高くしてこれらの画像ムラや線状ノイズを解消する手段が示されている。しかしながら保護層のヘイズ率を高くすると鮮鋭性が低下してしまうと言う欠点がある。
【0018】
鮮鋭性の悪化を防止する為には保護フィルムを薄くし、保護フィルム内部での励起光の伝搬距離を短くする方法が考えられるが、効果は小さく、逆に保護層の薄膜化による防湿性や耐傷性の低下が問題となる。鮮鋭性の向上に関しては、特公昭59−23400号には放射線画像変換パネルの、支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層のいずれかを励起光を吸収する色で着色する方法、特開昭60−200200号では蛍光体層と保護層間の接着剤層を着色する方法が示されているが、これらの方法により鮮鋭性を高めると上記の画像ムラや線状ノイズがより顕著になってくると言う問題点がある。
【0019】
これらの鮮鋭性の悪化や画像ムラや線状ノイズがひどい場合は、病気診断用に使用される放射線画像変換パネルにとっては致命的な欠陥となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルにおいて、画像ムラがなく鮮鋭性に優れた放射線画像変換パネルを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0022】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートと、該蛍光体シートの上下に配置し、該輝尽性蛍光体層と実質的に接着せず、かつ周縁が該蛍光体シートの周縁より外側にあり、該蛍光体シートの全表面を被覆するように設けられた防湿性保護フィルムからなる放射線画像変換パネルにおいて、カットオフ値0.08mmで測定したJIS B 0601−1994で規定される該蛍光体シートに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び該蛍光体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μm≦Ra≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦2.50μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測定したJIS B 0601−1994で規定される該最外層の樹脂層の表面のSm値が、50μm〜500μmであることを特徴とする放射線画像変換パネル。
以下、JIS B 0601−1994をJIS B 0601と略す。
【0023】
2.防湿性保護フィルムが励起光を吸収するように着色された励起光吸収層を有していることを特徴とする前記1記載の放射線画像変換パネル。
【0024】
3.防湿性保護フィルムのヘイズ率が5%以上、60%未満であることを特徴とする前記2記載の放射線画像変換パネル。
【0025】
4.防湿性保護フィルムの励起光波長領域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率の97%〜50%であることを特徴とする前記2記載の放射線画像変換パネル。
【0026】
5.防湿性保護フィルムが2種以上の樹脂フィルムを少なくとも2層以上積層してなる積層フィルムであって、蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層が熱融着性を有する樹脂で構成されることを特徴とする前記1記載の放射線画像変換パネル。
【0027】
6.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートの支持体面側より放射線が照射され、蛍光体面側より励起光で走査され読みとられることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の放射線画像変換パネル。
【0028】
本発明を更に詳しく説明する。一般に、輝尽性蛍光体層が設けられてなる蛍光体シートへの水分の浸透を防止、低減するためには、蛍光体シートの上下部に配置させる防湿性保護フィルムの周縁部を、蛍光体シートの周縁部より外側とし、蛍光体シートの周縁部より外側の領域で、該上下部に位置する防湿性保護フィルムが、融着あるいは接着剤により接着している、いわゆる封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分の浸透を阻止している。しかしながら、蛍光体面と防湿性保護フィルム間の空気層の存在状態によって、放射線画像の鮮鋭性に差がでてしまうという問題点があった。
【0029】
このような問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、防湿性保護フィルム表面の蛍光体シートに接する側の、カットオフ値0.08mmで測定したJIS B 0601で規定される該蛍光体シートに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び該蛍光体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μm≦Ra≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦2.50μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測定したJIS B 0601で規定される該最外層の樹脂層の表面のSm値が、50μm〜500μmにすることで鮮鋭性が高く、保護フィルムと蛍光体面の接触状態に関わる画像ムラも発生しない事が見いだされた。
【0030】
JIS B 0601で規定される粗さRa(中心線平均粗さ)は、粗さ曲線からその平均線の方向の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から、測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値である。また、JIS B 0601で規定される粗さRt(最大高さ粗さ)は、粗さ曲線からその平均線の方向の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線と山頂線及び平均線と谷底線との間隔の合計値の最大値である。更に、JIS B 0601で規定される粗さSm(凹凸の平均間隔)は、粗さ曲線からその平均線の方向の基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において、一つの山とその山と隣り合う一つの山に対応する平均線の長さの和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均である。
【0031】
本発明において、Ra、Rt及びSmは、東京精密(株)製のサーフコム1500Aで測定した。尚、Ra及びRtはカットオフ値0.08mmで測定し、Smはカットオフ値0.8mmで測定し得られた100ケの測定値の算術平均である。
【0032】
特開平01−131499号の記載にあるように、蛍光体面と保護層が密着している場合、保護層が厚いほど鮮鋭性が低下する。この原因としては、入射した励起光の輝尽性蛍光体面での反射散乱光が保護層−空気層界面で反射され輝尽性蛍光体面へ再入射し、このために鮮鋭性が劣化する。保護層が厚いほどこの反射光は遠くまで達し、より鮮鋭性が劣化する。
【0033】
本発明の実施形態では輝尽性蛍光体面と、保護層の間に空気からなる低屈折率層が存在する。この低屈折率層の存在により、輝尽性蛍光体面での反射散乱光の一部は保護層内に入射し、残りは低屈折率層と保護層の界面で反射し蛍光体面に再入射する。この散乱反射光のうち保護層内に入射した反射光は、空気層(低屈折率層)/保護層/空気層と言う光学的対照構造により、保護層−空気層界面で再反射することなく外部に放出される。また低屈折率層と保護層の界面で反射し蛍光体面に再入射する散乱反射光成分は、低屈折率層の厚みを保護層の厚みに対して十分に薄くしておくことで、遠くまで達しないうちに減衰する。つまり、低屈折率層(空気層)の厚みが実質的に保護層の厚みとなる。
【0034】
低屈折率層(空気層)の厚みは薄いほど鮮鋭性は向上するが、保護層と蛍光体面が接触すると逆に鮮鋭性は劣化する。保護層の蛍光体に接する側の表面を平滑にしていくと低屈折率層(空気層)の厚みが薄くなるが、蛍光体面の接触部も多くなり特定の面積にわたって完全接触していまう部分も出現してきて、プレート面内で画像ムラが出現する。
【0035】
つまり、本構成の封止構造には、蛍光体面と保護層の最適な接触状態が存在する。本発明はこの最適な接触状態を実現するものである。
【0036】
本発明で言う励起光を吸収するように着色された励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収する着色剤を含有する層のことであって、保護層樹脂フィルムの一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗設されてあってもよいし、あるいは保護層樹脂フィルム自体が着色されてあってもよい。
【0037】
本発明で言う、保護層の励起光波長領域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率の97%〜50%とは、励起光吸収層を備えていないこと以外は同一構成の保護フィルムの同じ波長領域における平均透過率に対して97%〜50%であることを意味する。
【0038】
本発明に使用する前記保護フィルムは必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができが、輝尽性蛍光体の吸湿劣化を考慮して少なくとも50g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、一般に知られているどのような方法でもかまわない。またこの場合は積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持できる。励起光吸収層は複数箇所に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し励起光吸収層としても良い。
【0039】
保護フィルムにより蛍光体プレートを封止するにあたっては既知どのような方法でもかまわないが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることで防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される。
【0040】
具体的には蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で該上下の防湿性保護フィルムが融着している封止構造とすることで蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止できる。さらに支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすること(図1参照)でより確実に水分の進入を低減できる。
【0041】
本発明の実質的に接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムは点接触しているが、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。
【0042】
本発明でいう熱融着性フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、たとえばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロペレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等があげられるがこれに限られたものではない。
【0043】
保護フィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整できる。任意のヘイズ率の樹脂フィルムは工業的に容易に入手可能である。
【0044】
放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料としては、ヘイズ値が2〜3%の範囲にあるようなプラスチックフィルムが各種市販されている。
【0045】
特開昭59−42500号や特公平1−57759号には保護層のヘイズ率を高くして画像ムラや線状ノイズを解消する手段が示されているが鮮鋭性が低下してしまっていた。本発明に従えば、画像ムラや線状ノイズを解消し、さらに鮮鋭性を向上することができる。
【0046】
本発明の効果を得るためのヘイズ率としては5%以上、60%未満が好ましく、さらに好ましくは、5%以上、40%未満である。ヘイズ率としては5%未満では画像ムラや線状ノイズを解消する効果が小さく、60%以上であると本発明の鮮鋭性向上効果が小さくなる。
【0047】
放射線像変換パネルの保護フィルムを着色し、鮮鋭性を向上する方法については、特公昭59−23400号では放射線画像変換パネルの、支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された場合の種々の実施形態の一例として記載されているが、具体的な保護フィルムについての記載はなく示唆もされていない。
【0048】
本発明の放射線像変換パネルの保護フィルムに使用される色剤としては、該放射線像変換パネルの励起光の波長領域で励起光を吸収する特性を有するものが用いられる。
【0049】
好ましくは、保護フィルムの励起光波長領域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率の97%〜50%となるように励起光吸収層を設けることが望ましい。光透過率の97%以上では本発明の効果は小さく、50%以下では放射線像変換パネルの輝度が急激に低下してくる。
【0050】
いかなる着色剤を用いるかは放射線像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、放射線像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が用いられる。このため、着色剤としては通常、青色〜緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が用いられる。
【0051】
青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルーNo603(オリエント(株)製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるがこれに限られたものではない。
【0052】
本発明の保護層には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、とくにこれらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムや上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0053】
また本発明で言う励起光を吸収するように着色された励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収する着色剤を含有する層のことであって、保護層樹脂フィルムの一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗設されてあってもよいし、あるいは保護層樹脂フィルム自体が着色されてあってもよい。
【0054】
本発明で言う、保護層の励起光波長領域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率の97%〜50%とは、励起光吸収層を備えていないこと以外は同一構成の保護フィルムの同じ波長領域における平均透過率に対して97%〜50%であることを意味する。
【0055】
本発明に使用する前記保護フィルムは必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができが、輝尽性蛍光体の吸湿劣化を考慮して少なくとも50g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、一般に知られているどのような方法でもかまわない。またこの場合は積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持できる。励起光吸収層は複数箇所に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し励起光吸収層としても良い。
【0056】
保護フィルムにより蛍光体プレートを封止するにあたっては既知の、どのような方法でもかまわないが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることで防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される。
【0057】
本発明のに関わる封止構造は蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で該上下の防湿性保護フィルムが融着している形態である。この形態により蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止できる。
【0058】
またこの場合、防湿性保護フィルムの蛍光体面に接する側の最外層の熱融着性を有する樹脂層と蛍光体面は実質的に接着していない。
【0059】
実質的に接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムは点接触してはいたとしても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。
【0060】
放射線像変換パネルの保護フィルムを着色し、鮮鋭性を向上する方法については、特公昭59−23400号にては放射線画像変換パネルの、支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された場合の種々の実施形態の一例として記載されているが、具体的な保護フィルムについての記載はなく示唆もされていない。
【0061】
本発明の放射線画像変換パネルにおいて用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0062】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
【0063】
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0064】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0065】
本発明において輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0066】
このような結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下塗層上に形成することができる。
【0067】
まず輝尽性蛍光体、および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0068】
一般に結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0069】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0070】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0071】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0072】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。ただし、この層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。
【0073】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。
【0074】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0075】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートを所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0076】
所定の大きさに断裁された蛍光体シートを防湿性保護フィルムで封止するには既知のいかなる方法も使用できるが、例をあげると蛍光体シートを上下の防湿性保護フィルムの間に挟み周縁部をインパルスシーラーで加熱融着する方法や、2本の加熱したローラー間で加圧加熱するラミネート方式等が挙げられる。
【0077】
上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0078】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
【0079】
実施例1
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
【0080】
蛍光体層形成材料として、上記で得たユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて厚さ100μmの黒色PET支持体上に塗布したのち、乾燥させて、270μmの厚さの蛍光体層を形成した。またこのとき乾燥条件(温度、風量)を調節することで表1に示す表面粗さの蛍光体シートを作製した。
【0081】
(保護フィルムの作製)
蛍光体シートの蛍光体面側の保護フィルムは下記(A)で示された構成のものを使用した。
【0082】
構成(A)
VMPET12//VMPET12//PET12//シーラントフィルム
PET:ポリエチレンテレフタレート
シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャステングポリプロプレ)又はLLDPE(低密度線状ポリエチレン)を使用
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)を示す。
【0083】
上記“//”はドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味する。使用したドライラミ用の接着剤は2液反応型のウレタン系接着剤である。
【0084】
この時使用した接着剤溶液に、あらかじめメチルエチルケトンに分散溶解させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト社製)を添加しておくことで、接着剤層の全てを励起光吸収層とした。またこのときの添加量を調節することで励起光吸収層の光線透過率を調節した。
【0085】
ここで言う励起光吸収層の光線透過率とは、He−Neレーザー光(633nm)の光波長領域における光透過率を励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率と比較した場合の値とした。
【0086】
また同時にシーラントフィルムの品種を変更することで表面粗さを調節し、表1に示す各種の粗さの積層保護フィルムを作製した。
【0087】
蛍光体シートの支持体面側の保護フィルムは、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。またこの場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0088】
(蛍光体シートの封止)
塗布サンプルを45cm×45cmの正方形に断裁し、上記の各種のヘイズと励起光吸収層を有する積層保護フィルムを使用し、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着することで封止した。図1に本発明の放射線画像変換パネルの断面図を示す。
【0089】
尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用した。
【0090】
《放射線画像変換パネルの評価》
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭度については、放射線画像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換してハードディスクに記録し、記録をコンピューターで分析してハードディスクに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%)を測定した。MTF値が高いほど良好な鮮鋭性が得られるので好ましい。また、放射線画像変換パネルとして実用するためには鮮鋭性は65%を越えることが必要である。
【0091】
(画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラの評価)
放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を目視により観察して画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラのそれぞれについて、下記のように0〜5までの6段階のランク評価を行った。
【0092】
0:画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがない
1:面内の1〜2個所に淡い画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがある
2:面内の3〜4個所に淡い画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがある
3:面内の3〜4個所に画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラが見られ、その中の1〜2個所は濃い画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがある
4:面内の5個所以上に画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがある
5:面内の5個所以上に濃い画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラがある
(輝度の評価)
感度の測定は放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(光電子像倍管)で受光してその強度を測定することで行った。輝度は、試料No.1の輝度を1.00とした場合の相対輝度である。
【0093】
得られた結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 0003991607
【0095】
表1から、比較と比べて本発明の試料は良好な鮮鋭性を示し、画像ムラ、線状ノイズ、保護層と蛍光体の接触ムラが少なく、且つ、実用的に十分な輝度を示すことが判る。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルにおいて、画像ムラがなく鮮鋭性に優れた放射線画像変換パネルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの断面図である。
【符号の説明】
11 蛍光体
12 支持体
13 積層保護フィルム
14 アルミラミネートフィルム

Claims (6)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートと、該蛍光体シートの上下に配置し、該輝尽性蛍光体層と実質的に接着せず、かつ周縁が該蛍光体シートの周縁より外側にあり、該蛍光体シートの全表面を被覆するように設けられた防湿性保護フィルムからなる放射線画像変換パネルにおいて、カットオフ値0.08mmで測定したJIS B 0601−1994で規定される該蛍光体シートに接する側の該最外層の樹脂層の表面粗さ及び該蛍光体面の表面粗さがそれぞれ独立に、0.10μm≦Ra≦1.00μmで、かつ0.10μm≦Rt≦2.50μmであり、更にカットオフ値0.8mmで測定したJIS B 0601−1994で規定される該最外層の樹脂層の表面のSm値が、50μm〜500μmであることを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 防湿性保護フィルムが励起光を吸収するように着色された励起光吸収層を有していることを特徴とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
  3. 防湿性保護フィルムのヘイズ率が5%以上、60%未満であることを特徴とする請求項2記載の放射線画像変換パネル。
  4. 防湿性保護フィルムの励起光波長領域における光透過率が励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率の97%〜50%であることを特徴とする請求項2記載の放射線画像変換パネル。
  5. 防湿性保護フィルムが2種以上の樹脂フィルムを少なくとも2層以上積層してなる積層フィルムであって、蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層が熱融着性を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
  6. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートの支持体面側より放射線が照射され、蛍光体面側より励起光で走査され読みとられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の放射線画像変換パネル。
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