JP2002285991A - ターボ分子ポンプ - Google Patents
ターボ分子ポンプInfo
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Abstract
効率よく、所定温度まで加熱することができるターボ分
子ポンプを提供する。 【解決手段】 ガス分子をガス排出口14に導く排気ガ
ス流路15の壁にヒータ16を設けて、排気ガス流路1
5の壁を直接加熱する。
Description
置、電子顕微鏡、表面分析装置、質量分析装置、粒子加
速器、核融合実験装置等に用いられるターボ分子ポンプ
に関する。
やCVD等のプロセスがあり、これらのプロセスはプロ
セスチャンバと称する真空容器内で行なわれる。この場
合、プロセスの過程で生じたガス状の生成物は、真空容
器に取り付けられているターボ分子ポンプを通じて外部
へ排気されるが、その排気ガスの種類によっては、ター
ボ分子ポンプ内の温度と圧力との関係から、ターボ分子
ポンプ内で固体化または液体化するものもあり、このよ
うに固体化または液体化した生成物がターボ分子ポンプ
内部に付着、堆積し、そのためターボ分子ポンプの正常
運転が妨げられる場合もある。このため、従来、ドライ
エッチングやCVD等のプロセスで使用されるターボ分
子ポンプの場合は、生成物の付着と堆積を防止するため
に、ターボ分子ポンプの排気ガスの流路壁をヒータによ
り、所望の温度に加熱して、排気ガスの固体化または液
体化を防ぐことが行なわれている。加熱用ヒータとして
は、例えば、図5に示すように、ターボ分子ポンプのポ
ンプケース101の外周に装着された上下のバンドヒー
タ116a、116bが用いられている。上部のバンド
ヒータ116aの熱は、熱伝導によりポンプケース10
1、ステータ翼110を通過してステータ翼110とロ
ータ翼109との間に形成された排気ガス流路115a
の壁を加熱し、また、下部のヒータ116bの熱は、熱
伝導によりポンプケース101のベース102内に形成
された排気ガス流路115bの壁を加熱する。なお、図
5において、103はベース102からポンプケース1
01内に突設されたステータコラム、105はステータ
コラム103の軸受107に保持されたロータ軸、10
6はロータ軸105と一体のロータ、104はガス吸気
口、114は吸気されたガス分子を排出するガス排出口
である。しかし、このような方式の加熱では、加熱によ
る熱がポンプ全体に拡がり、特に、高速回転により高温
となるロータ106、ロータ翼109、ロータ軸10
5、軸受107等が発する熱は、外部へ逃げられなくな
り、高温になって、アルミ合金製のロータ106、ロー
タ翼109がクリープや強度低下を起こして破壊する危
険が出てくる。また、外部からの加熱では、加熱を必要
としない部分まで昇温してしまうので、効率も応答性も
よくない。更に、バンドヒータ116a、116bは、
ゴム等の高分子材料を用いているから、それ自体100
℃以上に加熱することができず、ガスの種類によって
は、目標温度に昇温することができない。特許第286
5959号公報には、上記の問題を解決するべく、図6
に示すように、排気ガスが冷えて固体化または液体化し
やすいベース102内の排気ガス流路115の内壁12
0とポンプケース101の外周との間に熱の伝導が良い
熱伝導体121を設け、この熱伝導体121のポンプケ
ース101外周に露出した部分にヒータ116を取り付
けて、ポンプ外部に設けたヒータ116の熱を排気ガス
流路115に熱伝導によって効率よく伝えるようにした
ターボ分子ポンプが開示されている。しかし、この特許
第2865959号公報のポンプの場合も、熱伝導体1
21から周囲のポンプケース101の壁にも熱が漏れ、
エネルギー損が未だ多くて効率が悪く、応答性も悪く
て、排気ガス流路115の所定温度までの昇温に多くの
時間が必要であった。
を解決するためになされたものであり、その目的とする
ところは、少ない加熱エネルギーで、排気ガスの流路壁
を効率よく、所定温度まで加熱することができるターボ
分子ポンプを提供することにある。
に、この発明のターボ分子ポンプは、円筒部と底面のベ
ースを有するポンプケースと、上記ポンプケースの上面
側に設けられたガス吸気口と、上記ポンプケース内に回
転自在に設けられたロータ軸と、上記ロータ軸に一体化
されたロータと、上記ロータの外周に上記ガス吸気口側
からロータ軸軸線方向に設けられた複数のロータ翼と、
上記円筒部の内周面に設けられ、上記複数のロータ翼の
翼と翼の間に交互に配列された複数のステータ翼と、上
記ポンプケースのベース側に設けられたガス排出口と、
上記ロータ翼の回転により上記ガス吸気口から送られる
ガス分子を上記ガス排出口に導く排気ガス流路と、上記
排気ガス流路の壁に設けたヒータとを具備するものであ
る。また、この発明は、ターボ分子ポンプにおいて、上
記ガス排出口がポンプケースのベースに設けられ、上記
排気ガス流路が、上記ロータの外周に沿ってロータの下
側に形成されたリング状通路とベース内に形成されガス
排出口に通じる連通路とで構成され、上記リング状通路
の壁にヒータが配設されるようにする。上記リング状通
路の壁がリング状通路を上下に2分割しているようにし
てもよい。また、上記ヒータがシーズヒータであって、
このシーズヒータの周囲を熱伝導体が囲んでいるように
してもよい。この発明においては、ガス分子をガス排出
口に導く排気ガス流路の壁にヒータを設けて、排気ガス
流路壁を直接加熱し、効率よく、排気ガスの種類に応じ
た所定温度まで加熱する。
ポンプの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明に係るターボ分子ポンプの一実施形態
を示す縦断面図である。図1に示したターボ分子ポンプ
Pは、円筒部1aとその下端に取り付けられたベース2
とにより構成されるポンプケース1と、このポンプケー
ス1の内部に納められたポンプ機構部とを備えている。
上記ベース2は、ポンプケース円筒部1aの下端に気密
に結合されたベースリング2aと、このベースリング2
aの下端に気密に結合されたベースカバー2bとからな
り、その中央部には、ポンプケース円筒部1a内部に向
かって突出するステータコラム3が図示省略のネジによ
りネジ止めされている。ポンプケース1の上面は、開口
されていて、ガス吸気口4となっている。このガス吸気
口4には、プロセスチャンバ等が接続される。上記ポン
プケース1の内部には、ロータ軸5と筒型のロータ6と
を有する。上記ロータ軸5は、上記ステータコラム3を
貫通し、ステータコラム3に設けられた軸受(この実施
形態では、ボールベアリング)7、7によって回転自在
に保持されている。上記ロータ6は、上記ステータコラ
ム3を囲み、かつ、上端が上記ガス吸気口4付近まで延
長されていて、図示省略のネジにより上記ロータ軸5に
ネジ締めされて一体に取り付けられている。8は、ステ
ータコラム3とロータ軸5との間に設けられた駆動モー
タで、この駆動モータ8によりロータ軸5とロータ6と
は高速回転するようになっている。このターボ分子ポン
プPの上記ポンプ機構部は、以下に説明するように、上
記ロータ6の外周とポンプケース1との間に形成されて
いて、その上半分のターボ分子ポンプ機構部Aと下半分
のネジ溝ポンプ機構部Bとからなっている。先ず、ター
ボ分子ポンプとして機能するターボ分子ポンプ機構部A
(ロータ6の上半分側)の構成を説明する。ターボ分子
ポンプ機構部Aは、回転するロータ翼9と静止している
ステータ翼10とで構成される。ロータ6の上部側外周
には、複数枚の加工されたブレード状のロータ翼9、
9、‥‥が上記ガス吸気口4側からロータ軸5の軸線方
向に形成されている。また、上記ポンプケース円筒部1
aの上側内周面には、上記複数のロータ翼9、9、‥‥
の翼と翼の間に交互に配列された複数のステータ翼1
0、10、‥‥が設けられている。そして、ロータ6と
一体のロータ翼9、9、‥‥が高速回転し、ステータ翼
10、10、‥‥が静止していることにより、周知のタ
ーボ分子ポンプの作用により、ガス吸気口4からガス分
子がロータ6の下方に送られる。通常の使用状態では、
ガス吸気口4側は高真空となっていて、希薄なガス分子
がガス吸気口4からロータ6の下方に送られていく。次
に、ネジ溝ポンプとして機能するネジ溝ポンプ機構部B
(ロータ6の下半分側)の構成を説明する。ネジ溝ポン
プ機構部Bは、回転する円筒面11と静止しているネジ
溝12とで構成される。ロータ6の下部側外周は、円筒
面11となっており、この円筒面11と狭い間隔で対向
して、円筒形のネジステータ13が配置されている。こ
のネジステータ13はポンプケース円筒部1a内壁下側
とベースリング2aとに取り付け固定されている。この
ネジステータ13に上記ネジ溝12が形成されている。
ネジステータ13の上部側は、最下段のステータ翼10
と接触するように形成されており、また、ネジステータ
13の下端面13aは、ベースリング2aのステータコ
ラム取付面2cと隙間gを保たせてある。この隙間gは
ロータ6の外周下部に沿ったリング状となっていて、排
気ガスのリング状通路を形成している。ロータ6の円筒
面11が高速回転し、ネジ溝12が静止していることに
より、ターボ分子ポンプ機構部Aから送られてくるガス
分子は、ネジ溝12に沿うようにしてらせん状にロータ
6の下方、リング状通路gに送られていく。上記ベース
リング2aの側面には、ガス排出口14が設けられてい
て、ネジ溝ポンプ機構部Bから送られてくるガス分子
は、排気ガス流路15経由で上記ガス排出口14に導か
れ、高圧側に排気される。上記の排気ガス流路15と
は、この実施形態では、ネジ溝ポンプ機構部B出口から
ガス排出口14入口までのガス流路を意味する。すなわ
ち、円筒面11とネジ溝12との隙間から円環状に送り
出されてくるガス分子を受け入れる上記リング状通路g
と、ベースリング2a内に穿設されていて、上記リング
状通路gのガス排出口14に隣接する部分からガス排出
口14に通じる連通穴h(図2参照)とで、排気ガス流
路15が構成されている。上記リング状通路gの下側壁
を形成するベース上面(ステータコラム取付面)2cの
壁にはシーズヒータ16が埋め込まれている。このシー
ズヒータ16は、上記連通穴hを避け、リング状通路g
に沿わせて電源配線17から、例えば、図2(a)(平
行往復環型)、図2(b)(2分割平行往復環型)、図
2(c)(ジグザグ環型)に示すようなパターンに敷設
され、リング状通路gの壁を直接加熱する。シーズヒー
タ16の周囲は熱伝導体製のヒータ保持板18で囲んで
あって、シーズヒータ16から発生する熱はその周囲の
ヒータ保持板18によく伝熱し、これによりリング状通
路gの壁が一層効率よく加熱され、また、一方、シーズ
ヒータ16自体の温度上昇は速やかな伝熱によって適宜
抑えられ、高温によるシーズヒータ16の劣化が避けら
れるから、シーズヒータ16に印加する電力を十分大き
くすることができる。なお、上記連通穴hは、ヒータ保
持板18の部分では「穴」でなく、「切欠き」形状とす
ることもできる。ところで、上記ベース2、ステータコ
ラム3、ロータ6、ロータ翼9、ステータ翼10、ネジ
ステータ13等は、通常、アルミ合金で作成されてい
る。上記ヒータ保持板18の材料としては、ベース2や
ステータコラム3等と同じアルミ合金が好適である。ベ
ース2はアルミ合金であるから熱伝導体であり、シーズ
ヒータ16からの熱はヒータ保持板18、その周辺のベ
ース2に伝熱してリング状通路gの周囲の壁全体を加熱
する。排気ガス流路15では、排気されるガス中の、半
導体製造プロセスチャンバで生じるガス状の生成物が冷
却して、その壁に生成物が付着、堆積しやすいのである
が、この発明においては、上述のように、壁に設けたヒ
ータ16とその周囲のヒータ保持板18からの熱が、排
気ガス中の生成物の付着、堆積を効率よく防止する。な
お、図1において、19は、ガス排出口14の外周に配
設したガス排出口ヒータで、このガス排出口ヒータ19
は、ガス排出口14内での生成物の付着、堆積を防止す
るためのものである。図3は、 排気ガス流路15の壁
にシーズヒータ16を設ける例を示す断面図で、図3
(a)は、排気ガス流路15の壁内にシーズヒータ16
を埋め込んで、熱伝導により排気ガス流路15の壁を加
熱する構造、図3(b)は、排気ガス流路15の壁の表
面を窪ませてシーズヒータ16を埋め込んだヒータ保持
板18を埋め込んで、ヒータ保持板18の露出表面を排
気ガス流路15の壁の一部とし、周囲の排気ガス流路1
5の壁を熱伝導により加熱する構造、図3(c)は、排
気ガス流路15の壁の上にヒータ保持板18を取り付
け、ヒータ保持板18自体が排気ガス流路15の壁とな
る構造を示している。なお、図3(c)においては、ヒ
ータ保持板18から周囲の壁にも伝熱するから、排気ガ
ス流路15の壁の加熱と、シーズヒータ16の過熱防止
作用は得られる。図4は、この発明に係るターボ分子ポ
ンプの他の実施形態を示す縦断面図である。図4のター
ボ分子ポンプは、図1のターボ分子ポンプとほぼ同一で
あるから、同一の部分には同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。図4の実施形態では、シーズヒー
タ16とこれを囲む円環状の熱伝導体製ヒータ保持板1
8を、ネジステータ下端面13aに取り付けてある。そ
して、この円環状のヒータ保持板18の上側と下側に
は、リング状通路g1、g2が形成されて、排気ガス流
路15は、円環状のヒータ保持板18の上側リング状通
路g1、円環状のヒータ保持板18の内側とステータコ
ラム3との円環状の部分、下側リング状通路g2および
連通穴hで構成される。ネジ溝ポンプBの円筒面11と
ネジ溝12との間から排気ガス流路15に送り込まれて
くるガス分子は、円環状のヒータ保持板18の上面に当
たり、向きを変えてヒータ保持板18の下面に沿って移
動し、その間、円環状のヒータ保持板18に接する機会
が上面と下面とで約2倍に増すことになる。従って、図
4の実施形態では、排気ガス流路15壁面からの排気ガ
ス流路15のガス分子加熱効率が一層良くなる。図4の
実施形態においても、図2のような形にシーズヒータを
敷設できる。ただし、ヒータ保持板18には連通穴hが
ないから、これを避けた形状にする必要はもちろんな
い。また、埋め込んだり、嵌め込んだりして、ヒータ保
持板18にシーズヒータ16を設けることができる。上
述の実施形態では、いずれもヒータとしてシーズヒータ
を用いたが、他の周知の発熱体シートやパターン印刷さ
れた発熱体等を使用することもできる。例えば、排気ガ
ス流路の壁をセラミックスまたは金属で形成し、この表
面に絶縁セラミックスを溶射し、その表面に高抵抗の金
属をパターン溶射または印刷等してヒータ線を作成し、
更にその表面を絶縁物で被覆してヒータとすることもで
きる。上記のセラミックスとしては、特に熱伝導性のよ
い窒化アルミニウム(AlN)が望ましいが、アルミナ
(Al2 O3 )等でもよい。
ては、上述のように、排気ガスが接触するリング状通路
等の排気ガス流路の壁にヒータを埋め込んだり、嵌め込
んだりして、排気ガスの生成物が付着、堆積しやすい排
気ガス流路壁を直接加熱するから、応答性、効率ともに
優れた加熱ができて、加熱に必要な熱エネルギーが少な
くて済み、しかも、少ない応答時間で排気ガスの種類に
適した目標温度、例えば、100℃以上に昇温すること
ができる。また、ヒータが必要部分を局所的に加熱する
から、ロータ翼等の冷却に要するエネルギーを低減する
こともできる。また、上記ヒータをシーズヒータとし
て、シーズヒータの周囲を熱伝導体が囲むようにする
と、シーズヒータの熱が、熱伝導体を通して排気ガス流
路壁面全面に速やかに伝わって昇温させるとともに、シ
ーズヒータ自体の温度が上がり過ぎることがなくなり、
供給電力密度を高くすることができる。また、リング状
通路にヒータを配設すると、ポンプの運転中、ロータ外
周をロータ軸線方向に送られてくるガス分子が、充分に
昇温されたリング状通路に直接当たって温められ、排気
ガスの固体化、液体化を効率よく防止する。また、更
に、リング状通路の壁がリング状通路を上下に2分割す
るようにすると、ガス分子がリング状通路の壁に接する
時間が長くなって、一層充分にガス分子が加熱されて排
気ガスの固体化、液体化防止作用が向上する。
に示したターボ分子ポンプにおけるリング状排気ガス流
路のヒータの配置例を示す平面図。
に示したターボ分子ポンプの排気ガス流路壁におけるヒ
ータの配置パターン例を示す平面図。
8)
置、電子顕微鏡、表面分析装置、質量分析装置、粒子加
速器、核融合実験装置等に用いられるターボ分子ポンプ
に関する。
やCVD等のプロセスがあり、これらのプロセスはプロ
セスチャンバと称する真空容器内で行なわれる。この場
合、プロセスの過程で生じたガス状の生成物は、真空容
器に取り付けられているターボ分子ポンプを通じて外部
へ排気されるが、その排気ガスの種類によっては、ター
ボ分子ポンプ内の温度と圧力との関係から、ターボ分子
ポンプ内で固体化または液体化するものもあり、このよ
うに固体化または液体化した生成物がターボ分子ポンプ
内部に付着、堆積し、そのためターボ分子ポンプの正常
運転が妨げられる場合もある。
D等のプロセスで使用されるターボ分子ポンプの場合
は、生成物の付着と堆積を防止するために、ターボ分子
ポンプの排気ガスの流路壁をヒータにより、所望の温度
に加熱して、排気ガスの固体化または液体化を防ぐこと
が行なわれている。
すように、ターボ分子ポンプのポンプケース101の外
周に装着された上下のバンドヒータ116a、116b
が用いられている。上部のバンドヒータ116aの熱
は、熱伝導によりポンプケース101、ステータ翼11
0を通過してステータ翼110とロータ翼109との間
に形成された排気ガス流路115aの壁を加熱し、ま
た、下部のヒータ116bの熱は、熱伝導によりポンプ
ケース101のベース102内に形成された排気ガス流
路115bの壁を加熱する。
2からポンプケース101内に突設されたステータコラ
ム、105はステータコラム103の軸受107に保持
されたロータ軸、106はロータ軸105と一体のロー
タ、104はガス吸気口、114は吸気されたガス分子
を排出するガス排出口である。
による熱がポンプ全体に拡がり、特に、高速回転により
高温となるロータ106、ロータ翼109、ロータ軸1
05、軸受107等が発する熱は、外部へ逃げられなく
なり、高温になって、アルミ合金製のロータ106、ロ
ータ翼109がクリープや強度低下を起こして破壊する
危険が出てくる。また、外部からの加熱では、加熱を必
要としない部分まで昇温してしまうので、効率も応答性
もよくない。更に、バンドヒータ116a、116b
は、ゴム等の高分子材料を用いているから、それ自体1
00℃以上に加熱することができず、ガスの種類によっ
ては、目標温度に昇温することができない。
問題を解決するべく、図6に示すように、排気ガスが冷
えて固体化または液体化しやすいベース102内の排気
ガス流路115の内壁120とポンプケース101の外
周との間に熱の伝導が良い熱伝導体121を設け、この
熱伝導体121のポンプケース101外周に露出した部
分にヒータ116を取り付けて、ポンプ外部に設けたヒ
ータ116の熱を排気ガス流路115に熱伝導によって
効率よく伝えるようにしたターボ分子ポンプが開示され
ている。
のポンプの場合も、熱伝導体121から周囲のポンプケ
ース101の壁にも熱が漏れ、エネルギー損が未だ多く
て効率が悪く、応答性も悪くて、排気ガス流路115の
所定温度までの昇温に多くの時間が必要であった。
を解決するためになされたものであり、その目的とする
ところは、少ない加熱エネルギーで、排気ガスの流路壁
を効率よく、所定温度まで加熱することができるターボ
分子ポンプを提供することにある。
に、この発明のターボ分子ポンプは、円筒部と底面のベ
ースを有するポンプケースと、上記ポンプケースの上面
側に設けられたガス吸気口と、上記ポンプケース内に回
転自在に設けられたロータ軸と、上記ロータ軸に一体化
されたロータと、上記ロータの外周に上記ガス吸気口側
からロータ軸軸線方向に設けられた複数のロータ翼と、
上記円筒部の内周面に設けられ、上記複数のロータ翼の
翼と翼の間に交互に配列された複数のステータ翼と、上
記ポンプケースのベース側に設けられたガス排出口と、
上記ロータ翼の回転により上記ガス吸気口から送られる
ガス分子を上記ガス排出口に導く排気ガス流路と、上記
排気ガス流路の壁に設けたヒータとを具備するものであ
る。
いて、上記ガス排出口がポンプケースのベースに設けら
れ、上記排気ガス流路が、上記ロータの外周に沿ってロ
ータの下側に形成されたリング状通路とベース内に形成
されガス排出口に通じる連通路とで構成され、上記リン
グ状通路の壁にヒータが配設されるようにする。
下に2分割しているようにしてもよい。
て、このシーズヒータの周囲を熱伝導体が囲んでいるよ
うにしてもよい。
口に導く排気ガス流路の壁にヒータを設けて、排気ガス
流路壁を直接加熱し、効率よく、排気ガスの種類に応じ
た所定温度まで加熱する。
ポンプの実施形態について、図面を参照して説明する。
の一実施形態を示す縦断面図である。図1に示したター
ボ分子ポンプPは、円筒部1aとその下端に取り付けら
れたベース2とにより構成されるポンプケース1と、こ
のポンプケース1の内部に納められたポンプ機構部とを
備えている。
の下端に気密に結合されたベースリング2aと、このベ
ースリング2aの下端に気密に結合されたベースカバー
2bとからなり、その中央部には、ポンプケース円筒部
1a内部に向かって突出するステータコラム3が図示省
略のネジによりネジ止めされている。
て、ガス吸気口4となっている。このガス吸気口4に
は、プロセスチャンバ等が接続される。
5と筒型のロータ6とを有する。上記ロータ軸5は、上
記ステータコラム3を貫通し、ステータコラム3に設け
られた軸受(この実施形態では、ボールベアリング)
7、7によって回転自在に保持されている。上記ロータ
6は、上記ステータコラム3を囲み、かつ、上端が上記
ガス吸気口4付近まで延長されていて、図示省略のネジ
により上記ロータ軸5にネジ締めされて一体に取り付け
られている。
間に設けられた駆動モータで、この駆動モータ8により
ロータ軸5とロータ6とは高速回転するようになってい
る。
部は、以下に説明するように、上記ロータ6の外周とポ
ンプケース1との間に形成されていて、その上半分のタ
ーボ分子ポンプ機構部Aと下半分のネジ溝ポンプ機構部
Bとからなっている。
ーボ分子ポンプ機構部A(ロータ6の上半分側)の構成
を説明する。ターボ分子ポンプ機構部Aは、回転するロ
ータ翼9と静止しているステータ翼10とで構成され
る。
されたブレード状のロータ翼9、9、‥‥が上記ガス吸
気口4側からロータ軸5の軸線方向に形成されている。
また、上記ポンプケース円筒部1aの上側内周面には、
上記複数のロータ翼9、9、‥‥の翼と翼の間に交互に
配列された複数のステータ翼10、10、‥‥が設けら
れている。
9、‥‥が高速回転し、ステータ翼10、10、‥‥が
静止していることにより、周知のターボ分子ポンプの作
用により、ガス吸気口4からガス分子がロータ6の下方
に送られる。通常の使用状態では、ガス吸気口4側は高
真空となっていて、希薄なガス分子がガス吸気口4から
ロータ6の下方に送られていく。
ポンプ機構部B(ロータ6の下半分側)の構成を説明す
る。ネジ溝ポンプ機構部Bは、回転する円筒面11と静
止しているネジ溝12とで構成される。
っており、この円筒面11と狭い間隔で対向して、円筒
形のネジステータ13が配置されている。このネジステ
ータ13はポンプケース円筒部1a内壁下側とベースリ
ング2aとに取り付け固定されている。このネジステー
タ13に上記ネジ溝12が形成されている。
テータ翼10と接触するように形成されており、また、
ネジステータ13の下端面13aは、ベースリング2a
のステータコラム取付面2cと隙間gを保たせてある。
この隙間gはロータ6の外周下部に沿ったリング状とな
っていて、排気ガスのリング状通路を形成している。
溝12が静止していることにより、ターボ分子ポンプ機
構部Aから送られてくるガス分子は、ネジ溝12に沿う
ようにしてらせん状にロータ6の下方、リング状通路g
に送られていく。
出口14が設けられていて、ネジ溝ポンプ機構部Bから
送られてくるガス分子は、排気ガス流路15経由で上記
ガス排出口14に導かれ、高圧側に排気される。
態では、ネジ溝ポンプ機構部B出口からガス排出口14
入口までのガス流路を意味する。すなわち、円筒面11
とネジ溝12との隙間から円環状に送り出されてくるガ
ス分子を受け入れる上記リング状通路gと、ベースリン
グ2a内に穿設されていて、上記リング状通路gのガス
排出口14に隣接する部分からガス排出口14に通じる
連通穴h(図2参照)とで、排気ガス流路15が構成さ
れている。
ース上面(ステータコラム取付面)2cの壁にはシーズ
ヒータ16が埋め込まれている。このシーズヒータ16
は、上記連通穴hを避け、リング状通路gに沿わせて電
源配線17から、例えば、図2(a)(平行往復環
型)、図2(b)(2分割平行往復環型)、図2(c)
(ジグザグ環型)に示すようなパターンに敷設され、リ
ング状通路gの壁を直接加熱する。
ータ保持板18で囲んであって、シーズヒータ16から
発生する熱はその周囲のヒータ保持板18によく伝熱
し、これによりリング状通路gの壁が一層効率よく加熱
され、また、一方、シーズヒータ16自体の温度上昇は
速やかな伝熱によって適宜抑えられ、高温によるシーズ
ヒータ16の劣化が避けられるから、シーズヒータ16
に印加する電力を十分大きくすることができる。
の部分では「穴」でなく、「切欠き」形状とすることも
できる。
3、ロータ6、ロータ翼9、ステータ翼10、ネジステ
ータ13等は、通常、アルミ合金で作成されている。
ース2やステータコラム3等と同じアルミ合金が好適で
ある。ベース2はアルミ合金であるから熱伝導体であ
り、シーズヒータ16からの熱はヒータ保持板18、そ
の周辺のベース2に伝熱してリング状通路gの周囲の壁
全体を加熱する。
の、半導体製造プロセスチャンバで生じるガス状の生成
物が冷却して、その壁に生成物が付着、堆積しやすいの
であるが、この発明においては、上述のように、壁に設
けたヒータ16とその周囲のヒータ保持板18からの熱
が、排気ガス中の生成物の付着、堆積を効率よく防止す
る。
14の外周に配設したガス排出口ヒータで、このガス排
出口ヒータ19は、ガス排出口14内での生成物の付
着、堆積を防止するためのものである。
ヒータ16を設ける例を示す断面図で、図3(a)は、
排気ガス流路15の壁内にシーズヒータ16を埋め込ん
で、熱伝導により排気ガス流路15の壁を加熱する構
造、図3(b)は、排気ガス流路15の壁の表面を窪ま
せてシーズヒータ16を埋め込んだヒータ保持板18を
埋め込んで、ヒータ保持板18の露出表面を排気ガス流
路15の壁の一部とし、周囲の排気ガス流路15の壁を
熱伝導により加熱する構造、図3(c)は、排気ガス流
路15の壁の上にヒータ保持板18を取り付け、ヒータ
保持板18自体が排気ガス流路15の壁となる構造を示
している。
板18から周囲の壁にも伝熱するから、排気ガス流路1
5の壁の加熱と、シーズヒータ16の過熱防止作用は得
られる。
の他の実施形態を示す縦断面図である。図4のターボ分
子ポンプは、図1のターボ分子ポンプとほぼ同一である
から、同一の部分には同一の符号を付して、その詳細な
説明を省略する。
これを囲む円環状の熱伝導体製ヒータ保持板18を、ネ
ジステータ下端面13aに取り付けてある。そして、こ
の円環状のヒータ保持板18の上側と下側には、リング
状通路g1、g2が形成されて、排気ガス流路15は、
円環状のヒータ保持板18の上側リング状通路g1、円
環状のヒータ保持板18の内側とステータコラム3との
円環状の部分、下側リング状通路g2および連通穴hで
構成される。
との間から排気ガス流路15に送り込まれてくるガス分
子は、円環状のヒータ保持板18の上面に当たり、向き
を変えてヒータ保持板18の下面に沿って移動し、その
間、円環状のヒータ保持板18に接する機会が上面と下
面とで約2倍に増すことになる。従って、図4の実施形
態では、排気ガス流路15壁面からの排気ガス流路15
のガス分子加熱効率が一層良くなる。
形にシーズヒータを敷設できる。ただし、ヒータ保持板
18には連通穴hがないから、これを避けた形状にする
必要はもちろんない。また、埋め込んだり、嵌め込んだ
りして、ヒータ保持板18にシーズヒータ16を設ける
ことができる。
てシーズヒータを用いたが、他の周知の発熱体シートや
パターン印刷された発熱体等を使用することもできる。
例えば、排気ガス流路の壁をセラミックスまたは金属で
形成し、この表面に絶縁セラミックスを溶射し、その表
面に高抵抗の金属をパターン溶射または印刷等してヒー
タ線を作成し、更にその表面を絶縁物で被覆してヒータ
とすることもできる。上記のセラミックスとしては、特
に熱伝導性のよい窒化アルミニウム(AlN)が望まし
いが、アルミナ(Al2 O3 )等でもよい。
ては、上述のように、排気ガスが接触するリング状通路
等の排気ガス流路の壁にヒータを埋め込んだり、嵌め込
んだりして、排気ガスの生成物が付着、堆積しやすい排
気ガス流路壁を直接加熱するから、応答性、効率ともに
優れた加熱ができて、加熱に必要な熱エネルギーが少な
くて済み、しかも、少ない応答時間で排気ガスの種類に
適した目標温度、例えば、100℃以上に昇温すること
ができる。また、ヒータが必要部分を局所的に加熱する
から、ロータ翼等の冷却に要するエネルギーを低減する
こともできる。
シーズヒータの周囲を熱伝導体が囲むようにすると、シ
ーズヒータの熱が、熱伝導体を通して排気ガス流路壁面
全面に速やかに伝わって昇温させるとともに、シーズヒ
ータ自体の温度が上がり過ぎることがなくなり、供給電
力密度を高くすることができる。
と、ポンプの運転中、ロータ外周をロータ軸線方向に送
られてくるガス分子が、充分に昇温されたリング状通路
に直接当たって温められ、排気ガスの固体化、液体化を
効率よく防止する。
通路を上下に2分割するようにすると、ガス分子がリン
グ状通路の壁に接する時間が長くなって、一層充分にガ
ス分子が加熱されて排気ガスの固体化、液体化防止作用
が向上する。
に示したターボ分子ポンプにおけるリング状排気ガス流
路のヒータの配置例を示す平面図。
に示したターボ分子ポンプの排気ガス流路壁におけるヒ
ータの配置パターン例を示す平面図。
Claims (6)
- 【請求項1】 円筒部と底面のベースを有するポンプケ
ースと、 上記ポンプケースの上面側に設けられたガス吸気口と、 上記ポンプケース内に回転自在に設けられたロータ軸
と、 上記ロータ軸に一体化されたロータと、 上記ロータの外周に上記ガス吸気口側からロータ軸軸線
方向に設けられた複数のロータ翼と、 上記円筒部の内周面に設けられ、上記複数のロータ翼の
翼と翼の間に交互に配列された複数のステータ翼と、 上記ポンプケースのベース側に設けられたガス排出口
と、 上記ロータ翼の回転により上記ガス吸気口から送られる
ガス分子を上記ガス排出口に導く排気ガス流路と、 上記排気ガス流路の壁に設けたヒータとを具備するター
ボ分子ポンプ。 - 【請求項2】 上記ガス排出口がポンプケースのベース
に設けられ、 上記排気ガス流路が、上記ロータの外周に沿ってロータ
の下側に形成されたリング状通路とベース内に形成され
ガス排出口に通じる連通路とで構成され、 上記リング状通路の壁にヒータが配設された請求項1記
載のターボ分子ポンプ。 - 【請求項3】 上記リング状通路の壁がリング状通路を
上下に2分割している請求項2記載のターボ分子ポン
プ。 - 【請求項4】 上記ヒータが排気ガス流路の壁に埋め込
まれた請求項1、2または3に記載のターボ分子ポン
プ。 - 【請求項5】 上記ヒータが排気ガス流路の壁に取り付
けられた請求項1、2または3に記載のターボ分子ポン
プ。 - 【請求項6】 上記ヒータがシーズヒータであって、こ
のシーズヒータの周囲を熱伝導体が囲んでいる請求項1
ないし5のいずれかに記載のターボ分子ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001090745A JP2002285991A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ターボ分子ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001090745A JP2002285991A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ターボ分子ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
ID=18945491
Family Applications (1)
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JP2001090745A Pending JP2002285991A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ターボ分子ポンプ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2002285991A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010138741A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Edwards Kk | 真空ポンプ |
CN110382877A (zh) * | 2017-03-23 | 2019-10-25 | 埃地沃兹日本有限公司 | 真空泵和用于该真空泵的叶片零件及转子以及固定的叶片 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH01267391A (ja) * | 1988-04-15 | 1989-10-25 | Hitachi Ltd | 真空ポンプ |
JPH05106808A (ja) * | 1991-10-14 | 1993-04-27 | Sanyo Electric Co Ltd | 気化式石油燃焼装置 |
JPH09324789A (ja) * | 1996-06-05 | 1997-12-16 | Daikin Ind Ltd | 真空ポンプ |
JPH11262454A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-09-28 | Sanyo Electric Co Ltd | 電気調理器 |
-
2001
- 2001-03-27 JP JP2001090745A patent/JP2002285991A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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