JP2002285388A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

複層塗膜形成方法

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JP2002285388A
JP2002285388A JP2001092694A JP2001092694A JP2002285388A JP 2002285388 A JP2002285388 A JP 2002285388A JP 2001092694 A JP2001092694 A JP 2001092694A JP 2001092694 A JP2001092694 A JP 2001092694A JP 2002285388 A JP2002285388 A JP 2002285388A
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acid
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electrodeposition coating
cationic
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Yoshio Kojima
与志夫 児島
Mitsuo Yamada
光夫 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 つきまわり性の改良された電着塗料を用いて
塗料使用量が低減され、形成される中塗り塗膜が平滑性
に優れ、その上に形成される上塗り塗膜の外観低下が生
じない複層塗膜形成方法を提供すること。 【解決手段】 カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
により、被塗物の表面上に未硬化の電着塗膜を形成する
工程;電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して未硬化の中
塗り塗膜を形成する工程;及び該電着塗膜及び中塗り塗
膜を同時に焼付け硬化させる工程を包含する複層塗膜形
成方法において、揮発性有機分含有量が1重量%以下で
あり、金属イオン濃度が500ppm以下であり、中和
酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10〜
30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料である、複
層塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複層塗膜を形成する
方法に関し、特に、揮発性有機分含有量(VOC)及び
金属イオン濃度が低い無鉛性カチオン電着塗料を用いて
平滑性に優れた複層塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塗装工程の短縮化、省エネルギ
ー、省資源および公害防止などの観点から、カチオン電
着塗料を塗装して形成した未硬化電着塗膜上に中塗り塗
料を塗装する、いわゆるウェット・オン・ウェットによ
って中塗り未硬化塗膜を形成し、両未硬化塗膜を同時に
加熱することにより複層塗膜を得る2コート1ベーク方
式が開発されている。
【0003】しかしながら、このような2コート1ベー
ク方式によって複層塗膜を形成する際に、電着塗膜の平
滑性が劣ると、その上に形成される中塗り塗膜の平滑性
が低下する問題があった。また、電着塗料のつきまわり
性が劣ると内部の最低膜厚を得るために、外部には必要
以上の膜厚がついてしまい不経済であった。
【0004】中塗り塗膜が平滑性に劣る欠陥を有する場
合、上塗り塗料をその上に塗装すると、上塗り塗膜の外
観まで低下してしまう問題がある。このように、電着塗
料と中塗り塗料との2コート1ベーク方式による複層塗
膜形成方法は、上塗り塗膜の外観低下をしばしば引き起
こし、実用性が低いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、つ
きまわり性の改良された電着塗料を用いて塗料使用量が
低減され、形成される中塗り塗膜が平滑性に優れ、その
上に形成される上塗り塗膜の外観低下が生じない複層塗
膜形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、カチオン電着
塗料を用いる電着塗装方法により、被塗物の表面上に未
硬化の電着塗膜を形成する工程;電着塗膜の上に中塗り
塗料を塗布して未硬化の中塗り塗膜を形成する工程;及
び該電着塗膜及び中塗り塗膜を同時に焼付け硬化させる
工程を包含する複層塗膜形成方法において、該カチオン
電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶
解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシア
ネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオン性エポキ
シ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、金属触媒を
含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下であり、金
属イオン濃度が500ppm以下であり、中和酸の量が
バインダー樹脂固形分100gに対して10〜30mg
当量である無鉛性カチオン電着塗料である、複層塗膜形
成方法を提供するものであり、そのことにより上記目的
が達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】無鉛性カチオン電着塗料 カチオン電着塗料は、水性媒体、水性媒体中に分散する
か又は溶解した、バインダー樹脂、中和酸、有機溶媒、
金属触媒等種々の添加剤を含有する。バインダー樹脂は
官能基を有するカチオン性樹脂とこれを硬化させるブロ
ックイソシアネート硬化剤とを含む。
【0008】ここで、「無鉛性」とは、実質上鉛を含ま
ないことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を
含まないことを意味する。具体的には、電着浴中の鉛化
合物濃度が50ppm、好ましくは20ppmを超える
量で鉛を含まないことをいう。
【0009】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料で
は、カチオン性樹脂としてエポキシ樹脂のエポキシ環に
アミン等活性水素化合物を反応させ、そのエポキシ基を
開環してカチオン性基を導入したカチオン性エポキシ樹
脂を用い、ブロックイソシアネート硬化剤としてポリイ
ソシアネートのイソシアネート基をブロックしたブロッ
クポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0010】カチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変
性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポ
キシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34
186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
【0011】カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、
ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカ
チオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、
または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環
し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性
水素化合物で開環して製造される。
【0012】ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例は
ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ
樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828
(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜19
0)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜
500)、エピコート1010(同、エポキシ当量30
00〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエ
ピコート807、(同、エポキシ当量170)などがあ
る。
【0013】特開平5−306327号公報第0004
段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有
エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよ
い。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからであ
る。
【0014】エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入す
る方法としては、例えば、メタノールのような低級アル
コールでブロックされたブロックポリイソシアネートと
ポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副
生する低級アルコールを系内より留去することで得られ
る。
【0015】特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリド
ン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優
れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからであ
る。
【0016】二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブ
ロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタ
ン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポ
キシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリ
ドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例え
ば、特開2000−128959号公報第0012〜0
047段落に記載されている。
【0017】ブロックイソシアネート硬化剤は、ポリイ
ソシアネートにブロック剤を付加して得られたものであ
る。上記ポリイソシアネートとは、1分子中にイソシア
ネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシア
ネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族
系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであ
ってもよい。
【0018】ポリイソシアネートの具体例には、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネ
ート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香
族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシ
アネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素
数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロ
ヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシク
ロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシク
ロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3
−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XD
I)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イ
ソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
ン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等
のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キ
シリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のよう
な芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジ
イソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミ
ド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/
又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これ
らは、単独で、または2種以上併用することができる。
【0019】ポリイソシアネートをエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、
ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/O
H比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリ
マーもブロックイソシアネート硬化剤に使用してよい。
【0020】ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付
加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると
遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
【0021】ブロック剤としては、ε−カプロラクタム
やブチルセロソルブ等通常使用されるものを用いること
ができる。しかしながら、これらの内、揮発性のブロッ
ク剤はHAPsの対象として規制されているものが多
く、使用量は必要最小限とすることが好ましい。
【0022】電着塗料には着色剤として一般に顔料を含
有させる。しかしながら、本発明で用いる無鉛性カチオ
ン電着塗料には着色顔料を含有させないことが好まし
い。電着塗料のつきまわり性が向上するからである。
【0023】塗膜に耐食性を付与するため防錆顔料や体
質顔料は含有させてもよい。但しその量は塗料中に含ま
れる顔料と樹脂固形分との重量比(P/V)が1/9以
下になる量とする。塗料中の顔料の量が樹脂固形分との
重量比1/9を越えると電着塗料のつきまわり性が低下
するため、塗料の使用量が増大し不経済となる。
【0024】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料に
含有させてよい顔料の例としては、カオリン、タルク、
ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー
及びシリカのような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、
リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜
鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニ
ウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、
モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニ
ウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆
顔料等が挙げられる。
【0025】顔料を電着塗料の成分として用いる場合、
一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させてペース
ト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料で用い
る低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だから
である。一般にこのようなペーストを顔料分散ペースト
という。
【0026】顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂
と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂
としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子
量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スル
ホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオ
ン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や
少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料
分散樹脂は5〜40重量部、顔料は20〜50重量部の
固形分比で用いる。
【0027】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料に
は、塗膜の耐食性を改良するための触媒として、金属触
媒を金属イオンとして含有させる。金属イオンとして
は、セリウムイオン、ビスマスイオン、銅イオン、亜鉛
イオンが好ましい。これらは適当な酸と組み合わせた塩
や金属イオンを含有する顔料からの溶出物として電着塗
料に配合される。酸としては、カチオン性エポキシ樹脂
を中和するための中和酸として後に説明する塩酸、硝
酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有
機酸のいずれかであればよい。好ましい酸は酢酸であ
る。
【0028】金属触媒の配合量は、電着塗料中の金属イ
オン濃度が500ppm以下になる量とする。環境への
影響をより少なくするためである。好ましくは、電着塗
料中の金属イオン濃度は200〜400ppmである。
但し、塗料組成物に顔料を含ませる場合は、顔料から溶
出する金属イオンの量も考慮して、上記範囲内に制御す
る必要がある。顔料から溶出する金属イオンの例として
は、亜鉛イオン、モリブデンイオン、アルミニウムイオ
ン等がある。
【0029】電着塗料中の金属イオン濃度が500pp
mを越えると環境に対して与える影響が大きくなり、ま
た、金属イオンの濃度が高くなると塗膜の析出性も低下
することとなるため、塗料のつきまわり性も低下する。
電着塗料中の金属イオン濃度は、遠心分離処理により得
られた上澄み液を原子吸光分析することにより測定す
る。
【0030】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料
は、上に述べた金属触媒、カチオン性エポキシ樹脂、ブ
ロックイソシアネート硬化剤、及び顔料分散ペーストを
水性媒体中に分散することによって調製される。また、
通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和し
て、バインダー樹脂エマルションの分散性を向上させる
ために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン
酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸であ
る。
【0031】塗料に含有させる中和酸の量が多くなると
カチオン性エポキシ樹脂の中和率が高くなり、バインダ
ー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が高くなり、分散
安定性が増加する。このことは、電着塗装時に被塗物に
対してバインダー樹脂が析出し難い特性を意味し、塗料
固形分の析出性は低下する。
【0032】逆に、塗料に含有させる中和酸の量が少な
いとカチオン性エポキシ樹脂の中和率が低くなり、バイ
ンダー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が低くなり、
分散安定性が減少する。このことは、塗装時に被塗物に
対してバインダー樹脂が析出し易い特性を意味し、塗料
固形分の析出性は増大する。
【0033】従って、電着塗料のつきまわり性を改良す
るためには、塗料に含有させる中和酸の量を減らしてカ
チオン性エポキシ樹脂の中和率を低レベルに抑えること
が好ましい。
【0034】具体的には、中和酸の量は、カチオン性エ
ポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバ
インダー樹脂固形分100gに対して10〜30mg当
量、好ましくは15〜25mg当量とする。中和酸の量
が10mg当量未満であると水への親和性が十分でな
く、水への分散ができないか、著しく安定性に欠ける状
態となり、30mg当量を越えると析出に要する電気量
が増加し、塗料固形分の析出性が低下し、つきまわり性
が劣る状態となる。
【0035】尚、本明細書において中和酸の量は塗料に
含まれているバインダー樹脂固形分100gに対するm
g当量数で表わし、MEQ(A)と表示する。
【0036】ブロックイソシアネート硬化剤の量は、硬
化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級又は/及
び3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応
して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければなら
ず、一般にカチオン性エポキシ樹脂のブロックイソシア
ネート硬化剤に対する固形分重量比で表して一般に90
/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/3
5の範囲である。
【0037】塗料は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブ
チルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレ
タン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まな
いため、その量は樹脂固形分の0.1〜5重量%とする
ことが好ましい。
【0038】有機溶媒はカチオン性エポキシ樹脂、ブロ
ックイソシアネート硬化剤、顔料分散樹脂等の樹脂成分
を合成する際に溶剤として必ず必要であり、完全に除去
するには煩雑な操作を必要とする。また、バインダー樹
脂に有機溶媒が含まれていると造膜時の塗膜の流動性が
改良され、塗膜の平滑性が向上する。
【0039】塗料に通常含まれる有機溶媒としては、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2
−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等
が挙げられる。
【0040】従って、従来、樹脂成分からこれらの有機
溶媒を完全には除去せず、また、別途有機溶媒を加える
ことにより、電着塗料のVOCをある程度高め、重量基
準で1〜5%程度に調節されている。ここで、VOC
(揮発性有機分含有量)で表現されている、揮発性有機
分とは、沸点250℃以下の有機溶媒のことをいい、上
記で具体的に列挙したものが該当する。
【0041】これに対し、本発明の無鉛性カチオン電着
塗料組成物では、有機溶媒の含有量を従来と比較して低
くするすることが好ましい。環境に対して悪影響を与え
るのを防止するためである。具体的には、塗料組成物の
VOCを1重量%以下、好ましくは0.5〜0.8重量
%、より好ましくは0.2〜0.5重量%とする。塗料
組成物のVOCが1重量%を越えると環境に対して与え
る影響が大きくなり、また、析出塗膜に対する流動性改
良により塗膜抵抗値も減少するので、塗料のつきまわり
性も低下する。
【0042】VOCを1重量%以下にする方法としては、
反応時の粘度調整に使用される有機溶媒については、反
応温度を上げ低溶剤又は無溶剤で反応させることで削減
する。また反応時にどうしても必要な有機溶媒について
は、脱ソルベントなどの工程で回収されるよう低沸点の
溶媒を使用するなどして、最終製品の揮発性有機分含有
量を削減することができる。塗装時の粘性調整などに用
いる有機溶媒については、ソフトセグメントによる変性
等、樹脂を低粘度化するなどして、その含有量を削減す
ることができる。
【0043】VOCの測定は、内部標準法によるガスク
ロ測定を実施し、有機溶媒として配合されているVOC
成分量を測定することにより行なうことができる。
【0044】塗料は、上記のほかに、可塑剤、界面活性
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの常用の
塗料用添加剤を含むことができる。
【0045】中塗り塗料 本発明で用いられる中塗り塗料としては、特に限定され
るものではなく、自動車用中塗り塗料として使用されて
いるものを用いることができる。これらのものは、付着
性、平滑性、鮮映性、耐オーバーベイク性、耐候性など
の自動車中塗り塗料として必要な性能を有しているもの
であり、バインダーと硬化剤とを含んだ熱硬化型のもの
が一般的に用いられる。上記バインダーとしては、例え
ば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂お
よびエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0046】上記アクリル樹脂としては、エチレン性不
飽和基含有単量体を通常の方法により共重合したものを
挙げることができる。このようなエチレン性不飽和基含
有単量体としては、特に限定されず、例えば、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルア
クリレート、プラクセルFMシリーズ(商品名、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラク
トンとの付加物、ダイセル化学工業社製)、ポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート類などの水酸
基含有単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレートな
どのエポキシ基含有単量体、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレートなどのアミノ基含有単量体、(メタ)アクリル
アミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミドなどのアクリルアミド系単量体などを挙げるこ
とができる。なお、その他の単量体として、アクリロニ
トリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i
so−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、
スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレンなどを
用いることができる。これらは単独で用いてもよいが、
2種以上併用してもよい。
【0047】ポリエステル樹脂としては、多価カルボン
酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分と
したアルコール成分とを通常の方法により縮重合するこ
とにより得ることができる。上記酸成分としては、特に
限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸およびこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族
ジカルボン酸類およびこれらの無水物、コハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族
ジカルボン酸類およびこれらの無水物、γ−ブチロラク
トン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、p−オキシ
エトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類、
これらに対応するヒドロキシカルボン酸等を挙げること
ができる。これらは単独で用いてもよいが、2種以上併
用してもよい。
【0048】上記アルコール成分としては、特に限定さ
れず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェ
ノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジ
オール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタン
ジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオ
ール等の側鎖を有する脂肪族グリコール類、トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
3価以上の多価アルコール類等を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよ
い。
【0049】アルキド樹脂としては、上記ポリエステル
樹脂の製造に用いられる酸成分およびアルコール成分の
他に、1価のアルコール成分を用いて通常の方法により
縮重合することにより得ることができる。1価のアルコ
ール成分としては、特に限定されないが、例えば、大豆
油、サフラワー油、ヤシ油、ヒマシ油、安息香酸等を挙
げることができる。自動車用中塗り塗料として用いる場
合、塗料の貯蔵安定性や塗膜の耐候性の観点から、上記
アルキド樹脂は、油長30%以下の短油もしくは超短油
アルキド樹脂を用いることが好ましい。
【0050】さらに、エポキシ樹脂としては、例えば、
1分子内に2個以上のグリシジル基(オキシランを含
む)を有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、
グリシジルエステル樹脂、ビスフェノールAとエピクロ
ロヒドリンとの縮合反応物や、ビスフェノールFとエピ
クロロヒドリンとの縮合反応物などのグリシジルエーテ
ル型樹脂、脂環式エポキシ樹脂、綿状脂肪族エポキシ樹
脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など
を用いることができる。
【0051】上記硬化剤としては、上記バインダーが有
する硬化性官能基に応じて、種々のものを選択すること
ができる。例えば、上記バインダーが硬化性官能基とし
て水酸基を有している場合に硬化剤として利用できるも
のとして、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合
物、脂肪族多価カルボン酸およびその無水物、エポキシ
樹脂を挙げることができる。これらは単独で用いてもよ
いが、硬化性に問題が生じない限り、異なる種類および
同じ種類の中で2種以上を併用してもよい。
【0052】上記アミノ樹脂としては、例えば、メラミ
ン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、グリコール
ラウリル樹脂などを挙げることができる。さらにメラミ
ン樹脂としては、メラミンやアルキルエーテル基で置換
したアルキルエーテル化メラミンを挙げることができ
る。上記アルキルエーテル基としては、メトキシ基およ
びブトキシ基が好ましい。
【0053】上記ブロックイソシアネート化合物として
は、ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロック
したものを用いることができる。ポリイソシアネート化
合物としては、1分子中に少なくとも2個のイソシアネ
ート基を持つ化合物であれば特に限定されず、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート
類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシア
ネート類、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、等の芳香族ジイソシアネ
ート類、ダイマー酸ジイソシアネート、水添ジイソシア
ネート類、これらのジイソシアネート化合物の2量体、
3量体、さらに高分子量のポリイソシアネート類、トリ
メチロールプロパン等の多価アルコールもしくは水、ま
たは低分子量ポリエステル樹脂との付加物等を挙げるこ
とができる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以
上を併用してもよい。上記ブロック剤としては特に限定
されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキ
シム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキ
シム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、m−ク
レゾール、キシレノール等のフェノール類、メタノー
ル、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノー
ル、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル等のアルコール類、ε−カプロラクタム等の
ラクタム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等
のジケトン類、チオフェノール等のメルカプタン類、チ
オ尿素等の尿素類、イミダゾール類、カルバミン酸類等
を挙げることができる。
【0054】上記脂肪族多価カルボン酸としては、上記
ポリエステル樹脂のところで挙げた脂肪族ジカルボン酸
類を挙げることができる。上記エポキシ樹脂としては、
上記硬化剤のところで述べたエポキシ樹脂およびトリグ
リシジルイソシアヌレートなどのポリエポキシ化合物を
挙げることができる。
【0055】一方、上記バインダーが硬化性官能基とし
て酸基を有する場合には、通常上記エポキシ樹脂が用い
られる他、ポリヒドロキシ化合物やヒドロキシアルキル
アミドなども使用可能である。
【0056】本発明で用いられる中塗り塗料としては、
溶剤、水性または水分散型、粉体などの種々の形態をと
ることができる。この形態は当業者によってよく知られ
た方法によって制御することが可能である。例えば、水
性または水分散型の形態は、バインダーに酸基などの水
溶性基を導入し、アミンなどの塩基性物質で中和する方
法をとることにより可能となる。また、粉体の形態は、
バインダーおよび硬化剤のガラス転移温度を室温より高
く設定することにより可能となる。
【0057】なお、本発明で用いられる中塗り塗料は、
上記熱硬化性樹脂および硬化剤以外に、必要に応じて、
着色顔料、体質顔料、表面調整剤、レベリング剤、紫外
線吸収剤、光安定剤、帯電制御剤、チキソトロピー性付
与剤等を含んでもよい。
【0058】本発明で用いられる中塗り塗料の硬化温度
は、110〜200℃に設定されていることが好まし
い。硬化温度が110℃より低温である場合は、得られ
る複層塗膜の平滑性が低下したり、複層塗膜またはそれ
に上塗り塗料を塗装して得られる複層塗膜の外観が低下
する恐れがある。硬化温度が200℃より高温である場
合は、得られる複層塗膜の物性が低下したり、それに上
塗り塗料を塗装して得られる複層塗膜の外観が低下する
恐れがある。硬化温度の設定は、硬化官能基、硬化剤お
よび触媒の種類や量などの調製といった当業者によって
知られた方法で行うことができる。
【0059】ここで、(上記中塗り塗料の硬化温度)−
(上記カチオン電着塗料の硬化温度)で計算される値
が、−35〜15℃以内であることが好ましい。上記値
が15℃より大きい場合は、得られる複層塗膜の物性が
低下する恐れがある。上記値が−35℃より小さい場合
は、得られる複層塗膜の平滑性が低下したり、色差が発
生したりする恐れがある。
【0060】複層塗膜形成方法 本発明の複層塗膜形成方法では、まず、上記無鉛性カチ
オン電着塗料を被塗物に電着塗装して電着塗膜(未硬
化)を形成する。被塗物としては導電性のあるものであ
れば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウ
ム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等
を挙げることができる。
【0061】電着塗装は、まず、無鉛性カチオン電着塗
料を電着槽に満たし、被塗物を陰極として塗料に浸漬し
た状態で、陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧
を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が
不充分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異
常外観となる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、
通常10〜45℃に調節される。
【0062】電着過程は、(i)カチオン電着塗料に被
塗物を浸漬する過程、及び(ii)上記被塗物を陰極とし
て、陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過
程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電
着条件によって異なるが、一般には、2〜4分とするこ
とができる。電着塗装時、塗料の浴液温度は、通常10
〜45℃に調節される。
【0063】電着塗膜の膜厚は10〜20μmとするこ
とが好ましい。膜厚が10μm未満であると、防錆性が
不充分であり、20μmを超えると、塗料の浪費につな
がる。このようにして得られるカチオン電着未硬化被膜
は、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、セッ
ティングされる。
【0064】本発明の方法では、次いで、得られたカチ
オン電着未硬化塗膜上に、上記中塗り塗料を塗装する。
中塗り塗料の塗装方法としては、特に限定されるもので
はなく、中塗り塗料の形態に応じて、当業者によって知
られた塗装方法を用いることができ、例えば、スプレー
塗装法、ハケ塗り塗装法、浸漬塗装法、静電塗装法など
が挙げられる。特に、自動車車体製造ラインにおける塗
装工程では、静電塗装法が好適に用いられる。上記中塗
り塗料の塗装膜厚は、乾燥膜厚として10〜50μm、
好ましくは20〜30μmである。このようにして得ら
れたカチオン電着未硬化塗膜および中塗り未硬化塗膜を
形成された被塗装物は、所定時間セッティングされる。
【0065】被塗装物の表面上に形成された電着塗膜及
び中塗り塗膜を、次いで、焼付け硬化させる。塗膜の焼
付け方法としては、電着塗膜の硬化温度より0〜15℃
高い温度に設定された乾燥炉に、被塗装物を投入し、1
0〜60分間加熱するものである。このようにして、複
層塗膜を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】本発明の複層塗膜形成方法では、電着塗
料組成物として、VOC及び金属イオン濃度が低く、つ
きまわり性が高い無鉛性カチオン電着塗料組成物を用い
るため経済性に優れ、形成される中塗り塗膜が平滑性に
優れ、その上に形成される上塗り塗膜の外観低下も生じ
ない
【0067】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、
「部」および「%」は、ことわりのない限り、重量基準
による。
【0068】製造例1 アミン変性エポキシ樹脂の製造 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイ
ソシアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブ
チルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブ
チル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を
攪拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温か
ら始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30
分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−
エチルヘキシルエーテル57部を滴下漏斗より滴下し
た。更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレ
ンオキシド5モル付加体42部を添加した。反応は主
に、60〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定
において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するま
で継続した。
【0069】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410になるまで130℃で反
応させた。
【0070】続いて、ビスフェノールA87部を加えて
120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190
となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノール
アミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およ
びアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79
重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反
応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるま
で希釈し、ガラス転移温度が22℃のアミン変性エポキ
シ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
【0071】製造例2 ブロックイソシアネート硬化剤の製造 ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびM
IBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃
まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加
えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセ
ロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間か
けて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、I
Rスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づ
く吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK33
6.1部を加えてブロックイソシアネート硬化剤を得
た。
【0072】製造例3 顔料分散樹脂の製造 まず、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装
備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以
下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK3
9.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート
0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した
後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾
燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却す
ることにより、反応温度を50℃に維持した。その結
果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI
(樹脂固形分90.0%)が得られた。
【0073】次いで、適当な反応容器に、ジメチルエタ
ノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6
部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.
2部を順に加え、65℃で約半時間攪拌して、4級化剤
を調製した。
【0074】次に、エポン(EPON)829(シェル
・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部と
ビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕
込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したとこ
ろ、初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜16
0℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した
後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロッ
ク化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
【0075】反応混合物を110〜120℃に約1時間
保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル
1390.2部を加え、混合物を85〜95℃に冷却
し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部
を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜9
5℃に保持した後、脱イオン水37.0部を加えて、エ
ポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了さ
せ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を
得た(樹脂固形分50%)。
【0076】製造例4 顔料分散ペーストの製造 サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂
を120部、カーボンブラック2.0部、カオリン10
0.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸
アルミニウム18.0部およびイオン交換水221.7
部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料
分散ペーストを得た(固形分48%)。
【0077】製造例5 カチオン電着塗料組成物の製造 製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2
で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比
で70/30で均一になるよう混合した。その後、エチ
レングリコール−2−エチルヘキシルエーテルを固形分
に対して2重量%になるよう添加した。これに樹脂固形
分100g当たり酸のミリグラム当量(MEQ(A))
が21になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水
をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去
することにより、固形分が36%のエマルションを得
た。
【0078】このエマルション2220部に、イオン交
換水1740部と10%酢酸セリウム水溶液40部およ
びジブチル錫オキサイド16部とを混合して、固形分2
0重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオ
ン電着塗料組成物において実質的に顔料は含まず、塗料
中の溶剤量(VOC)は0.4%、樹脂固形分100g
当たり酸のミリグラム当量は25.2、溶出しているセ
リウムイオンと亜鉛イオンの合計濃度は405ppmで
あった。
【0079】得られたカチオン電着塗料組成物のつきま
わり性をフォードパイプ法により評価した。そのときの
評価基準は以下の通りとした。その結果は表1に示し
た。
【0080】 ○:つきまわり性良好(21cm以上) ×:つきまわり性不良(21cm未満)
【0081】製造例6 製造例5と同様にして製造例1で得られたアミン変性エ
ポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネー
ト硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるよう混
合した。その後、エチレングリコール−2−エチルヘキ
シルエーテルを固形分に対して2重量%になるよう添加
した。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム
当量が18になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交
換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを
除去することにより、固形分が36%のエマルションを
得た。
【0082】このエマルション2220部に、イオン交
換水1760部と10%酢酸セリウム水溶液20部およ
びジブチル錫オキサイド16部とを混合して、固形分2
0重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオ
ン電着塗料組成物において実質的に顔料は含まず、塗料
中の溶剤量は0.4%、樹脂固形分100g当たり酸の
ミリグラム当量は20.1、溶出しているセリウムイオ
ンと亜鉛イオンの合計濃度は205ppmであった。得
られたカチオン電着塗料組成物のつきまわり性を製造例
5と同様にして評価した。その結果は表1に示した。
【0083】比較製造例1 製造例5と同様にして製造例1で得られたアミン変性エ
ポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネー
ト硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるよう混
合した。その後、エチレングリコール−2−エチルヘキ
シルエーテルを固形分に対して1重量%になるよう添加
した。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム
当量が35になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交
換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを
除去することにより、固形分が36%のエマルションを
得た。
【0084】このエマルション1500部および製造例
4で得られた顔料分散ペースト540部と、イオン交換
水1900部と10%酢酸セリウム水溶液60部および
ジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20
重量%のカチオン電着塗料組成物1を得た。このカチオ
ン電着塗料組成物における顔料と樹脂固形分との比率は
1/3、塗料中の溶剤量は1.5%、樹脂固形分100
g当たり酸のミリグラム当量は30.3、溶出している
セリウムイオンと亜鉛イオンの合計濃度は610ppm
であった。得られたカチオン電着塗料組成物のつきまわ
り性を製造例5と同様にして評価した。その結果は表1
に示した。
【0085】実施例1 製造例5で得られたカチオン電着塗料をステンレス容器
に移して電着浴とし、ここに被塗装物として、リン酸亜
鉛処理した冷間圧延鋼板(JIS G3141SPCC
−SD、日本ペイント社製のリン酸亜鉛処理剤サーフダ
インSD−5000で処理)が陰極となるようにして、
乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装を行った。電
着塗装後、被塗装物をステンレス容器内の電着浴から引
き上げ、水洗し、カチオン電着未硬化塗膜を形成した被
塗装物を得た。
【0086】表面の水滴をエアブローにて除去した後、
オルガP−2(日本ペイント社製の溶剤型メラミン硬化
型ポリエステル樹脂系中塗り塗料、硬化温度110℃)
を乾燥膜厚が40μmとなるように、23℃の条件下で
上記カチオン電着未硬化塗膜上にエアスプレーにてスプ
レー塗装を行い、カチオン電着未硬化塗膜上に中塗り未
硬化塗膜を形成した塗装物を得た。
【0087】塗装後5分間セッティングを行った塗装物
を160℃に設定された乾燥炉に20分間投入して加熱
を行い、複層塗膜を得た。中塗り塗膜の平滑性をビッグ
ケミー社製ウェーブスキャンのSWの値で評価した。数
値の小さいもの程良好な結果が得られたことを表す。評
価基準は以下の通りとした。その結果は表1に示した。
【0088】 ○:30以下の値 ×:30より大きい値
【0089】実施例2 製造例6で得られたカチオン電着塗料を用いること以外
は実施例1と同様にして複層塗膜を形成し評価した。平
滑性の評価結果は表1に示した。
【0090】比較例1 比較製造例1で得られたカチオン電着塗料を用いること
以外は実施例1と同様にして複層塗膜を形成し評価し
た。平滑性の評価結果は表1に示した。
【0091】
【表1】
フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DB061 DB391 DG161 DG301 JA37 JB18 JC15 KA02 KA03 KA04 KA06 MA08 MA09 MA10 NA01 NA23 PA04 PA14 PA19 PB07 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
    により、被塗物の表面上に未硬化の電着塗膜を形成する
    工程;電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して未硬化の中
    塗り塗膜を形成する工程;及び該電着塗膜及び中塗り塗
    膜を同時に焼付け硬化させる工程を包含する複層塗膜形
    成方法において、 該カチオン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散す
    るか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロッ
    クイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオ
    ン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、
    金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下
    であり、金属イオン濃度が500ppm以下であり、中
    和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10
    〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料である、
    複層塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記金属イオンがセリウムイオン、ビス
    マスイオン、銅イオン、亜鉛イオン、モリブデンイオ
    ン、アルミニウムイオンからなる群から選択される一種
    以上である請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記中和酸が酢酸、乳酸、蟻酸、スルフ
    ァミン酸からなる群から選択される一種以上である請求
    項1記載の複層塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 更に顔料を含み、塗料中に含まれる顔料
    と樹脂固形分との重量比が1/9以下である請求項1記
    載の複層塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記中塗り塗料が水性又は溶剤型である
    請求項1記載の複層塗膜形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007023165A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Asahi Rubber Kk 耐チッピング塗料及び耐チッピング塗料の塗装方法
JP2010202740A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Nippon Parkerizing Co Ltd 電着塗料組成物および電着塗装方法
JP2011057944A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属表面処理用組成物、これを用いた金属表面処理方法及びこれらを用いた金属表面処理皮膜

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