JP2002285040A - 水系無機コーティング剤 - Google Patents

水系無機コーティング剤

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JP2002285040A
JP2002285040A JP2001090369A JP2001090369A JP2002285040A JP 2002285040 A JP2002285040 A JP 2002285040A JP 2001090369 A JP2001090369 A JP 2001090369A JP 2001090369 A JP2001090369 A JP 2001090369A JP 2002285040 A JP2002285040 A JP 2002285040A
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inorganic coating
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aqueous inorganic
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嘉彦 後藤
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Koji Iwata
耕治 岩田
Toshihiro Yoshimoto
俊裕 吉本
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Nichias Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高い耐熱性を有し、かつ表面からの発塵
が抑制された被膜を形成するための水系無機コーティン
グ剤を提供する。 【解決手段】 水により膨潤する膨潤性鉱物、例えばマ
イカ、ベントナイト、スメクタイトを、水に分散させて
なる水系無機コーティング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨潤性鉱物を主成
分とする被膜を形成するための水系無機コーティング剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の焼成炉等においては、壁体か
らの発塵が極力小さいことが望まれる。一方で、焼成炉
に用いられる断熱材としては、耐熱性が高く低熱容量で
あることから、セラミックス質繊維を用いたものが採用
されている。しかし、セラミックス質繊維を用いた断熱
材は、発塵が比較的多いという問題があり、電子部品等
のクリーン性が求められる製造環境には利用し難い。
【0003】発塵を防止するための技術として、断熱材
の表面に被膜を形成し、粉落ちを防止する技術がある。
この技術に関しては、例えば特開昭57−13514号
や特開平1−219083号各公報に記載されている技
術が公知である。
【0004】これらの公報に記載されている技術は、セ
ラミックス材料表面にガラス質の被膜、またはその前駆
体を形成するものである。しかし、本発明者らの知見に
よれば、これらの技術はガラス化のための熱処理が必要
であり、また熱衝撃性が十分ではなく、更に発塵の抑制
が必ずしも十分でない等の問題があり、要求される性能
を満たすものではない。
【0005】また、特公平4−24316号公報には、
厚さが数百オングストローム以下になるまで劈開させた
平均アスペクト比が1000以上の合成マイカ微細箔片
を含有した塗料が開示されている。しかし、この塗料は
マイカ粉を細かく劈開させてあるので、被膜の形成後に
マイカ粉が粉落ちし易く、発塵が多いという問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、より高い耐熱性を有
し、かつ表面からの発塵が抑制された被膜を形成するた
めの水系無機コーティング剤を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、水により膨潤する膨潤性鉱物を、水に分
散させてなることを特徴とする水系無機コーティング剤
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の水系無機コーティング剤
は、水により膨潤する膨潤性鉱物を、水に分散させて得
られる。本発明において、この膨潤性鉱物とは、層状の
結晶構造を有し、さらに層間に陽イオンが介在してお
り、この陽イオンに水が水和することで、層間方向(層
の厚み方向)に膨潤する性質を備えた鉱物のことをい
う。
【0009】具体的には、膨潤性鉱物として、合成ある
いは天然のスメクタイト粘土鉱物群から選ばれたもの
(この中にはベントナイトも含まれる)、あるいは層間
にナトリウム等のアルカリイオンをインターカレーショ
ンさせ膨潤性を付与したマイカ(膨潤性マイカ)が挙げ
られる。スメクタイトやベントナイトは、特殊処理する
ことなく、それ自身が層間にアルカリイオンを介在さ
せ、膨潤性を有している。一方、膨潤性マイカは、タル
クとケイフッ化アルカリとの混合物を加熱処理し、固相
反応させることで得られる。これらの中でも、膨潤性マ
イカが個々の粒子が特にきれいな層状に並びやすく、発
明の目的を最もよく実現できるので好ましい。
【0010】この膨潤性鉱物は、結晶層間に介在する陽
イオンに水が水和して膨潤する。そして膨潤すること
で、劈開し易くなり、水系無機コーティング剤中で薄い
鱗片状となる。特に、鱗片状の膨潤性鉱物は、層構造を
有し、膨潤した状態において、層状に配向しやすく、鱗
状の被膜構造が形成されやすい。
【0011】また、鱗片状膨潤性鉱物は、平均粒子径で
0.5〜10μmであることが好ましく、この範囲にあ
ると、水系無機コーティング剤を塗布し乾燥させたとき
に鱗状に粒子が並びやすく、特に良好な被膜が形成され
る。図1は実施例1で得られた被膜の表面を撮影した電
子顕微鏡写真であるが、鱗状に粒子が並んで成膜されて
いるのがわかる。
【0012】水系無機コーティング剤における膨潤性鉱
物の含有量は3〜10重量%の割合が好ましい。膨潤性
鉱物量が3重量%より少ないと、コーティング剤の粘度
が低く、コーティングした際にレベリングや基材への密
着性において好ましくない。10重量%より多いと、コ
ーティング剤の粘度が高すぎ、水系無機コーティング剤
の塗布性、均一性が悪くなり、均質な被膜を形成し難く
なる。
【0013】また、水系無機コーティング剤には無機バ
インダーを添加することが好ましく、それにより膨潤性
鉱物の粒子同士の結合がより強固になり、得られる被膜
からの発塵をより低減させることができるようになる。
無機バインダーとしては、コロイダルシリカ、アルミナ
ゾル、アルカリ珪酸塩(珪酸リチウム、水ガラス、珪酸
ソーダ)から選ばれた一種または複数種類が利用でき
る。これらの中でも、コロイダルシリカが最も高い効果
が得られ好ましい。無機バインダーの添加量は、固形分
換算で膨潤性鉱物に対して5〜45重量%の割合が好ま
しく、5重量%より少ないと無機バインダーを添加した
効果が十分に発現せず、45重量%より多いと乾燥時に
割れが発生しやすくなる。
【0014】水系無機コーティング剤の塗布量として
は、基材の表面に0.05〜2g/cm2の面密度で塗
布することが好ましく、これにより良好な膜質の被膜が
得られる。また、水系無機コーティング剤を塗布し、乾
燥した後に、適当な加熱処理、例えば100℃程度の温
度下に数時間放置してもよく、これにより得られる被膜
の安定化を図ることができる。
【0015】水系無機コーティング剤により得られる被
膜は、後述される実施例にも示すように、800℃程度
までの耐熱性に加えて、優れた気密性(ガスバリア
性)、低発塵性、平滑性を有している。また、成膜時や
熱衝撃を受けた際に亀裂が生じたりすることがない。こ
れは、膨潤性鉱物が、アルカリイオンが層間に介在した
層構造を有するため、ミクロ的に見て、層間で微妙なズ
レが起こり易く、更に鱗状になった各粒子間でも微妙な
ズレが発生し易いので、問題となるような亀裂が発生す
る前にその力が吸収緩和されるからであると推察され
る。このことは、被膜として考えた場合に熱衝撃を受け
ることで、発塵し易くなったり、剥がれやすくなったり
する問題を抑える点で有意なものとなる。また、無機質
であるので、加熱時に発煙や臭いを発する問題もない。
【0016】これに対し、層状構造を有する鉱物でも、
水により膨潤しないもの(例えば非膨潤性マイカ)を用
いた場合は、薄膜化がうまくゆかず、耐熱性、低発塵
性、平滑性のいずれの点でも劣ったものとなる。
【0017】本発明の水系無機コーティング剤は各種の
基材に成膜できるが、高い耐熱性を付与できることか
ら、例えば断熱材等の耐熱性基材、更には低発塵性を備
えることから、特に電子部品の焼成炉用の断熱材への適
用が好適である。
【0018】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。
【0019】(実施例1)水に膨潤性合成マイカ(平均
粒径5μm)を7重量%混合し、良く攪拌した。この液
100重量部に、コロイダルシリカを1.2重量%配合
し、コーティング液を得た。尚、膨潤性合成マイカは、
タルクとケイフッ化アルカリを混合し、蓋付き坩堝中で
850℃、1時間の加熱処理を施すことで得た。
【0020】他方で、下記の原料を混合してスラリーを
得た。 アルミナ繊維 100重量部 コロイダルシリカ 8重量部(固形分換算) 有機バインダ(ポリアクリルアミド) 1重量部(固形分換算)
【0021】上記スラリーから吸引脱水成型法により厚
さが50mm、幅が300mm、長さが300mmの成形体を
得、それを乾燥させて、密度が0.25g/cm3の断
熱板を得た。
【0022】そして、上記断熱板の表面に、上記コーテ
ィング液を0.25g/cm2の面密度で塗布し、11
0℃にて6時間自然乾燥させた。こうして、厚さ約10
0μmの被膜で被覆された繊維質断熱材を得た。この被
膜の表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した
写真を図1に示す。
【0023】(実施例2)実施例1と同一の膨潤性合成
マイカ(平均粒径5μm)を7重量%の割合で配合した
液(7%液)を得た。この液100重量部に珪酸リチウ
ムを1.2重量部配合し、コーティング液を得た。そし
て、他は実施例1と同様にして被膜を備えた断熱材を得
た。
【0024】(比較例1)原料として非膨潤合成マイカ
(平均粒径5μm)を水に7重量%の割合で配合し、こ
の液100重量部に対してコロイダルシリカを固形分換
算で1.2重量部配合し、コーティング液を得た。そし
て、他は実施例1と同様にして被膜を備えた断熱材を得
た。
【0025】(比較例2)原料として水にEガラス粉
(平均粒径7μm)を7重量%の割合で混合し、その液
100重量部にコロイダルシリカを1.2重量部の割合で
配合してコーティング液を得た。そして、他は実施例1
と同様にして被膜を備えた断熱材を得た。
【0026】上記各実施例及び比較例で得られた断熱材
について、熱衝撃性及び気密性を評価した。尚、熱衝撃
性の評価は、600℃に保持された電気炉に断熱材を投
入し、30分保持した後に炉から取り出し、それを強制
空冷により冷却した後に被膜表面の状態を観察し、裂等
の発生がないものを「○」、亀裂等が発生しているが致
命的でないものを「△」、使用に耐えないレベルの亀裂
等が発生しているものを「×」、として評価した。ま
た、気密性の評価は、JISR2115に準拠した通気
率を計測し、透気度が10-132より小さいのものを
「○」、10-132〜10-112のものを「△」、10
-112より大きいものを「×」とした。それぞれの結果
を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示すように、本発明に従う各実施例
の被膜は両評価ともに優れた結果が得られている。しか
し、比較例1の被膜は、緻密性が低いため、全ての試験
において不満足なものとなっている。また、比較例2の
被膜は、粉落ちが多く、また緻密性がかなり低いので、
実用にならない程度のものであった。
【0029】(比較例3)また、比較例2の断熱材を更
に800℃、1時間の熱処理を施して被膜のガラス化処
理を施して同様の熱衝撃性と気密性の評価を行った。結
果を表1に併記したが、加熱処理を施してガラス化させ
ることで、比較例2の断熱材でも気密性が改善されるこ
とが分かる。しかし、ガラス化させた被膜は、基材との
熱膨張差の違いに起因する亀裂の発生が問題となる。
【0030】また、上記特性上の問題に加えて、熱処理
に要するコストアップも問題となり、更にはガラス化の
ための熱処理温度に耐え得る基材にしか適用できないと
いう制約もある。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水系無機
コーティング剤を用いることにより、各種基材に、耐熱
性に優れ、表面からの発塵がより抑制された被膜を成膜
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた被膜の表面状態を写した電
子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G028 DB06 4J038 AA011 HA216 HA466 HA536 HA546 HA556 KA18 KA19 KA20 MA03 MA05 MA11 NA01 NA08 NA14 NA25 PA19 PB09 PC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水により膨潤する膨潤性鉱物を、水に分
    散させてなることを特徴とする水系無機コーティング
    剤。
  2. 【請求項2】 膨潤性鉱物がマイカ、ベントナイト、ス
    メクタイトの一種もしくは二種以上からなる混合物であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の水系無機コーティ
    ング剤。
  3. 【請求項3】 膨潤性鉱物は、鱗片状の結晶構造を有
    し、かつ平均粒子径が0.5〜10μmであること特徴
    とする請求項1または2に記載の水系無機コーティング
    剤。
  4. 【請求項4】 膨潤性鉱物は、層間にアルカリイオンが
    介在する層構造を有することを特徴とする請求項1乃至
    3の何れか1項に記載の水系無機コーティング剤。
  5. 【請求項5】 無機バインダーを膨潤性鉱物に対して固
    形分比で5〜45重量%含んでいることを特徴とする請
    求項1乃至4の何れか1項に記載の水系無機コーティン
    グ剤。
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