JP2002283901A - 車両用シートにおけるクッションフレーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サブマリン防止機構を備えたクッションフレ
ームを改造することなく、且つ平常時における着座時、
快適な着座感が得られるクッションフレームを提供す
る。 【解決手段】 クッションフレーム１０として、サイド
フレーム２０とフロントパネル３０とを分割構造とし、
サイドフレーム２０の先端部分で且つフロントパネル３
０のコーナー部分にサブマリン防止機構４０を内蔵す
る。フロントパネル３０とサイドフレーム２０とを固定
ピン５１により固定する。サイドフレーム２０の貫通孔
２１に挿通するヒンジピン５０をフロントパネル３０の
傾斜状長孔３１内にスライド自在に挿通させる。サブマ
リン防止機構４０の作動により、固定ピン５１が外れ、
ヒンジピン５０がフロントパネル３０の傾斜状長孔３１
内を移動し、フロントパネル３０を上方に持ち上げる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車両用シートにおけ
るクッションフレームに関し、更に詳細に説明すると、
車両に衝撃が加わった際、乗員が前方へ滑り出すことを
防止するサブマリン防止機構が設けられ、該該サブマリ
ン防止機構によりシートクッションの先端部分が上方に
持ち上げられる車両用シートにおけるクッションフレー
ムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、事故などの衝撃発生時に乗員
が前方へ滑り出すサブマリン現象が発生する虞れがあ
り、シートベルトの着用時にはシートベルトの下部から
前方へ滑り出し、腰ベルトが骨盤部分から外れてしまう
欠点を有していた。このサブマリン現象は、乗員の着座
姿勢が浅かったり、また、シートバックの傾斜角度を後
方へ必要以上に倒し込んでいる場合などにおこり易く、
シートベルトの乗員拘束効果が低下したり、乗員拘束部
がずれるなどの不具合が指摘されている。

【０００３】このような従来のサブマリン現象を防止す
る機構（以下サブマリン防止機構という。）は、図６に
示すように、シートのクッションフレーム１の上面にサ
ブマリン防止機構２の作動ロッド２ｃが設けられてい
る。このサブマリン防止機構２は、ブラケット２ａを介
して動力発生ユニット２ｂがクッションフレーム１に取
付けられている。そして、車両に衝撃が加わった際、こ
の動力発生ユニット２ｂが作動して、作動ロッド２ｃが
上昇し、図示しないクッションパッドの先端部分を上方
に持ち上げ、サブマリン現象を有効に防止するという構
成のものが従来から提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、従来のサブ
マリン防止機構２をクッションフレーム１に取付けるた
めに切欠きを形成したり、また、Ｓ字バネ１ａとの干渉
を避けるために、Ｓ字バネ１ａの取付箇所を変更する等
クッションフレーム１に対してサブマリン防止機構２を
収容するための改造を行う必要があり、コストアップを
招来するという問題点があった。

【０００５】更に、図７に示すように、クッションフレ
ーム１の上面にクッションパッド３が載置されるが、乗
員がクッションパッド３上に着座した際、乗員は作動ロ
ッド２ｃにより異物感をおぼえ、快適な着座感が得られ
ないという問題点もあった。

【０００６】本発明の目的は、サブマリン現象を有効に
防止できる車両用シートにおけるクッションフレームで
あって、平常時には、乗員に異物感を与えることなく、
快適な着座感が得られると共に、車両に衝撃が加わった
際には、シートクッション先端部分が上方に持ち上が
り、サブマリン現象を有効に防止でき、安全性に優れた
車両用シートにおけるクッションフレームを提供するも
のである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、本発明の請求項１に記載の車両
用シートにおけるクッションフレームは、車両に衝撃が
加わった際、乗員が前方へ滑り出すことを防止するサブ
マリン防止機構が設けられ、該サブマリン防止機構によ
りシートクッションの先端部分が上方に持ち上げられる
車両用シートにおけるクッションフレームにおいて、前
記クッションフレームは、サイドフレームとフロントパ
ネルとに分割構成され、サイドフレームの先端部で且つ
フロントパネルのコーナー部にサブマリン防止機構が内
蔵され、衝撃発生時にサブマリン防止機構が作動し、フ
ロントパネルが上方に持ち上がることを特徴とする。

【０００８】そして、請求項１に記載の車両用シートに
おけるクッションフレームによれば、クッションフレー
ムは、サイドフレームとそのフロント側に連接するフロ
ントパネルとに分割構成され、サイドフレームの先端部
分で、且つフロントパネルのコーナー部にサブマリン防
止機構が内蔵されているため、平常時には、作動ロッド
等の異物感を乗員に与えることがなく、且つクッション
フレームに形成する切欠きを廃止できると共に、Ｓ字バ
ネの取付部を変更する必要がない。

【０００９】本発明の請求項２に記載の車両用シートに
おけるクッションフレームは、前記サイドフレームとフ
ロントパネルとは、サイドフレームの先端両側に設けら
れた貫通孔と、フロントパネルに設けられた前方に向け
て下り傾斜となる傾斜状長孔内にヒンジピンが介挿さ
れ、且つサイドフレームとフロントパネルとに対応して
開設した取付孔に固定ピンが挿通されると共に、サイド
フレームとフロントパネルとの間にコイルスプリングが
介装され、フロントパネルがサイドフレームに近接する
方向にバネ付勢され、前記固定ピンの先端がサブマリン
防止機構に差し込まれ、前記サブマリン防止機構が作動
し、固定ピンがサイドフレーム及びフロントパネルの各
取付孔から脱落することにより、コイルスプリングのバ
ネ力が作用し、ヒンジピンがフロントパネルの傾斜状長
孔内に沿って移動することにより、サイドフレームに対
してフロントパネルが上方に持ち上がることを特徴とす
る。

【００１０】そして、請求項２に記載の車両用シートに
おけるクッションフレームによれば、サイドフレーム先
端側の貫通孔とフロントパネルの傾斜状長孔との間にヒ
ンジピンが遊嵌され、フロントパネルの下方位置でサイ
ドフレームとフロントパネルの双方に対応して設けた取
付孔に固定ピンが差し込まれることにより、サイドフレ
ームとフロントパネルが固定され、更に、双方の間にコ
イルスプリングが介装され、固定ピンは、サブマリン防
止機構の作動により自動的に外れるという構成であるた
め、事故等、車両に衝撃が加わった際、サブマリン防止
機構が作動し、サイドフレームとフロントパネルとを固
定している固定ピンが外れることにより、両者間に介装
されているコイルスプリングのバネ力により、フロント
パネルはサイドパネル側に引寄せられる。従って、サイ
ドフレームとフロントパネルはヒンジピンに支持されて
いるため、ヒンジピンがフロントパネルに設けられてい
る傾斜状長孔に沿って移動することにより、サイドフレ
ームに対してフロントパネルは上方に持ち上がることに
なり、シートクッション先端部分が持ち上げられ、サブ
マリン現象を有効に防止できる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用シート
におけるクッションフレームの好適な実施の形態につい
て、図面を参照して詳述する。図１乃至図５は本発明に
係る車両用シートにおけるクッションフレームを夫々示
すもので、図１はクッションフレームの前半部分を示す
斜視図、図２は同クッションフレームの前半部分を示す
分解斜視図、図３は本発明に係るクッションフレームに
内蔵されるサブマリン防止機構の構成を示す説明図、図
４は平常時におけるフロントパネルを示す側面図、図５
はサブマリン防止機構の動作時におけるフロントパネル
を示す側面図である。

【００１２】図１及び図２において、本発明に係る車両
用シートにおけるクッションフレーム１０は、サイドフ
レーム２０とその先端部分に取付けられるフロントパネ
ル３０とに分割構成されており、更に、中央部分には、
Ｓ字バネ１１が前後方向に沿って複数列懸架されてい
る。

【００１３】前記サイドフレーム２０及びフロントパネ
ル３０の構成について説明すると、サイドフレーム２０
の先端部分は、断面Ｌ字状に曲成され、サイドフレーム
２０の先端部分を覆うようにフロントパネル３０の両側
コーナー部が位置しており、サイドフレーム２０の先端
部分で且つフロントパネル３０のコーナー部に相当する
箇所にサブマリン防止機構４０が内蔵されている。

【００１４】そして、このサブマリン防止機構４０の設
置箇所でサイドフレーム２０とフロントパネル３０とは
接合されているが、サブマリン防止機構４０が作動した
際、フロントパネル３０が上方に持ち上がるように動作
する。そのために、サイドフレーム２０とフロントパネ
ル３０との間には、両部材を支持するヒンジピン５０、
固定ピン５１、コイルスプリング５２が両部材間に夫々
設けられている。

【００１５】更に詳しくは、ヒンジピン５０は、サイド
フレーム２０における先端部分の縦壁部２０ａにおける
貫通孔２１内に差し込まれ、フロントパネル３０に前方
に向けて下り傾斜となる傾斜状長孔３１の間に遊嵌され
ている。

【００１６】また、サイドフレーム２０先端部分の縦壁
部２０ａに貫通孔２１より前方に左右一対の取付孔２２
が開設されていると共に、これと対応してフロントパネ
ル３０の傾斜状長孔３１の前方には、一対の取付孔３２
が設けられ、略コ字状をなす固定ピン５１が外側から両
取付孔２２，３２内に差し込まれている。そして、この
固定ピン５１の差込み先端部分は、サブマリン防止機構
４０の作動部と対峙している。

【００１７】更に、左右両側に設けられている引張り用
のコイルスプリング５２は、サイドフレーム２０の水平
状部２０ｂに開設されている係止孔２３と、フロントパ
ネル３０に切欠かれている係止部３３とに夫々端末５２
ａ，５２ｂを係止することにより、フロントパネル３０
がサイドフレーム２０側に常時引寄せられる方向にバネ
付勢されている。

【００１８】また、クッションフレームの中央に車両の
前後方向に沿って３列のＳ字バネ１１が懸架されてお
り、このＳ字バネ１１のフロント側端末は、フロントパ
ネル３０の横方向に長い取付長孔３４に先端が係止され
ている。尚、フロントパネル３０のパネル面を３０ａで
示す。

【００１９】次に、図３において、サブマリン防止機構
４０の構成について説明すると、ケーシング４１内部に
所定の火薬４２が内蔵され、その上部側にバネ４３が圧
縮状態で収容され、遮蔽板４４によりバネ４３が圧縮状
態を保っている。更に、サイドフレーム２０及びフロン
トパネル３０の各取付孔２２，３２に差し込まれている
固定ピン５１の挿入端５１ａは、ユニット４０の収容部
４５内に挿入されている。また、符号４６はハーネスを
示す。

【００２０】そして、事故等が生じた際、車両に衝撃が
加われば、ハーネス４６を通じて内部の火薬４２が爆発
して、遮蔽板４４が移動し、バネ４３の拘束状態が解除
されるため、バネ４３が収容部４５内の固定ピン４１を
矢印方向に押圧することにより、固定ピン５１はサイド
フレーム２０の取付孔２２及びフロントパネル３０の取
付孔３２から外れることになる。

【００２１】図４はサブマリン防止機構の作動前の状態
を示すもので、サイドフレーム２０とフロントパネル３
０とは、固定ピン５１で固定されているため、サイドフ
レーム２０の貫通孔２１内に収容されているヒンジピン
５０は、フロントパネル３０の傾斜状長孔３１の上側端
末３１ａに位置しており、コイルスプリング５２のバネ
力は作用しておらず、フロントパネル３０は下方位置に
あり、それに応じてパネル面３０ａ及びクッションパッ
ド６０も下方に位置している。この時、シートクッショ
ンに着座する乗員に対して作動ロッド等の異物感を与え
ることがなく、快適な着座感が得られる。

【００２２】そして、車両に衝撃が加わった際、サブマ
リン防止機構４０が作動して、固定ピン５１が外れた場
合、図５に示すように、サイドフレーム２０とフロント
パネル３０との間に介装されているコイルスプリング５
２のバネ付勢力が作用し、フロントパネル３０がサイド
フレーム２０側に引寄せられることにより、サイドフレ
ーム２０の貫通孔２１内に収容されているヒンジピン５
０はフロントパネル３０の傾斜状長孔３１を下側端末３
１ｂまで移動するため、結果的にサイドフレーム２０に
対してフロントパネル３０が矢印方向に持ち上がること
になり、フロントパネル３０のパネル面（図中点線で示
す）３０ａ及びクッションパッド６０が上昇することに
なり、サブマリン現象を有効に防止することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上が本発明に係る車両用シートにおけ
るクッションフレームの実施の形態であるが、本発明の
請求項１に記載の車両用シートにおけるクッションフレ
ームは、サイドフレームとフロントパネルとに分割構成
され、サイドフレームの先端部で且つフロントパネルの
コーナー部にサブマリン防止機構が内蔵され、衝撃発生
時にサブマリン防止機構が作動し、フロントパネルが上
方に持ち上がるので、平常時には、作動ロッド等の異物
感を乗員に与えることがなく、且つクッションフレーム
に形成する切欠きを廃止できると共に、Ｓ字バネの取付
部を変更する必要がない。従って、快適な着座感が得ら
れると共に、クッションフレームを改造する必要がない
ため、製作コストを引下げることができるという効果を
有する。

【００２４】次に、本発明の請求項２に記載の車両用シ
ートにおけるクッションフレームによれば、前記サイド
フレームとフロントパネルとは、サイドフレームの先端
両側に設けられた貫通孔と、フロントパネルに設けられ
た前方に向けて下り傾斜となる傾斜状長孔内にヒンジピ
ンが介挿され、且つサイドフレームとフロントパネルと
に対応して開設した取付孔に固定ピンが挿通されると共
に、サイドフレームとフロントパネルとの間にコイルス
プリングが介装され、フロントパネルがサイドフレーム
に近接する方向にバネ付勢され、前記固定ピンの先端が
サブマリン防止機構に差し込まれ、前記サブマリン防止
機構が作動し、固定ピンがサイドフレーム及びフロント
パネルの各取付孔から脱落することにより、コイルスプ
リングのバネ力が作用し、ヒンジピンがフロントパネル
の傾斜状長孔内に沿って移動することにより、サイドフ
レームに対してフロントパネルが上方に持ち上がるの
で、事故等、車両に衝撃が加わった際、サブマリン防止
機構が作動し、固定ピンが外れ、両者間に介装されてい
るコイルスプリングのバネ力により、フロントパネルは
サイドパネル側に引寄せられ、従って、サイドフレーム
とフロントパネルはヒンジピンに支持されているため、
ヒンジピンがフロントパネルに設けられている傾斜状長
孔に沿って移動することにより、サイドフレームに対し
てフロントパネルは上方に持ち上がることになり、シー
トクッション先端部分が持ち上げられ、サブマリン現象
を有効に防止でき、安全性を高めることができる効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両用シートにおけるクッション
フレームの前半部分を示す斜視図。

【図２】図１に示すクッションフレームの前半部分を示
す分解斜視図。

【図３】本発明に係るクッションフレームに使用される
サブマリン防止機構の構成を示す説明図。

【図４】本発明に係るクッションフレームにおけるサブ
マリン防止機構の作動前のフロントパネルを示す側面
図。

【図５】本発明に係るクッションフレームにおけるサブ
マリン防止機構の作動後のフロントパネルを示す側面
図。

【図６】従来のサブマリン防止機構を有するクッション
フレームを示す斜視図。

【図７】従来のサブマリン防止機構を有するシートクッ
ションを示す断面図。

【符号の説明】

１０ クッションフレーム １１ Ｓ字バネ ２０ サイドフレーム ２０ａ 縦壁部 ２０ｂ 水平状部 ２１ 貫通孔 ２２ 取付孔 ２３ 係止孔 ３０ フロントパネル ３０ａ パネル面 ３１ 傾斜状長孔 ３２ 取付孔 ３３ 係止用切欠き ４０ サブマリン防止機構 ４１ ケーシング ４２ 火薬 ４３ バネ ４４ 遮蔽板 ４５ 収容部 ４６ ハーネス ５０ ヒンジピン ５１ 固定ピン ５２ コイルスプリング ６０ クッションパッド

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両に衝撃が加わった際、乗員が前方へ
   滑り出すことを防止するサブマリン防止機構が設けら
   れ、該サブマリン防止機構によりシートクッションの先
   端部分が上方に持ち上げられる車両用シートにおけるク
   ッションフレームにおいて、 前記クッションフレームは、サイドフレームとフロント
   パネルとに分割構成され、サイドフレームの先端部で且
   つフロントパネルのコーナー部にサブマリン防止機構が
   内蔵され、衝撃発生時にサブマリン防止機構が作動し、
   フロントパネルが上方に持ち上がることを特徴とする車
   両用シートにおけるクッションフレーム。
2. 【請求項２】 前記サイドフレームとフロントパネルと
   は、サイドフレームの先端両側に設けられた貫通孔と、
   フロントパネルに設けられた前方に向けて下り傾斜とな
   る傾斜状長孔内にヒンジピンが介挿され、且つサイドフ
   レームとフロントパネルとに対応して開設した取付孔に
   固定ピンが挿通されると共に、サイドフレームとフロン
   トパネルとの間にコイルスプリングが介装され、フロン
   トパネルがサイドフレームに近接する方向にバネ付勢さ
   れ、前記固定ピンの先端がサブマリン防止機構に差し込
   まれ、前記サブマリン防止機構が作動し、固定ピンがサ
   イドフレーム及びフロントパネルの各取付孔から脱落す
   ることにより、コイルスプリングのバネ力が作用し、ヒ
   ンジピンがフロントパネルの傾斜状長孔内に沿って移動
   することにより、サイドフレームに対してフロントパネ
   ルが上方に持ち上がることを特徴とする請求項１に記載
   の車両用シートにおけるクッションフレーム。