JP2002283810A - スチールラジアルタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

スチールラジアルタイヤ及びその製造方法

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JP2002283810A
JP2002283810A JP2001088147A JP2001088147A JP2002283810A JP 2002283810 A JP2002283810 A JP 2002283810A JP 2001088147 A JP2001088147 A JP 2001088147A JP 2001088147 A JP2001088147 A JP 2001088147A JP 2002283810 A JP2002283810 A JP 2002283810A
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wire
steel cord
flat
cord
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Kaoru Mizuma
薫 水間
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Tokyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗り心地が良く、操縦安定性にも優れたスチ
ールラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 丸線ワイヤの扁平化により対向する2つ
の扁平面と対向する2つの丸曲面とで囲まれたトラック
形状の横断面をもつ1本のワイヤからなり、その短径D
と長径Wとの扁平比D/Wを0.50〜0.95の範囲
とし、かつ、少なくとも短径方向に波付けされた扁平ス
チールコードを、タイヤ外周の赤道線に対する傾斜角θ
が10°〜30°の範囲となるように、かつ、該扁平ス
チールコードの扁平面がタイヤのトレッド面と向き合う
ように埋め込んだベルト層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の車両に用い
られるスチールラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近時、環境問題がクローズアップされ、
自然環境を破壊しないことが工業製品の重要な要素の一
つとなってきている。タイヤにおいてもその例外ではな
い。現在スチールラジアルタイヤに使用されているスチ
ール量を減らすことは、自動車の燃費改善をもたらし、
地球温暖化防止に貢献するばかりでなく、廃タイヤがエ
ネルギとして使用される際に生じる廃鉄量(産業廃棄
物)をも低減することができる。今後はさらに地球環境
改善の観点から、タイヤを薄肉軽量化するとともに、自
動車走行時のタイヤ性能、特にコーナリングパワーと乗
り心地性の改善を重要視したスチールコードで強化され
たスチールラジアルタイヤを開発することが急務とされ
ている。
【0003】乗用車用ラジアルタイヤのベルト層は、ト
レッドとカーカスとの間に設けられ、円周方向に張られ
たベルトとしてカーカスをタガのように強く締め付けて
トレッドの剛性を高める機能を備えている。このベルト
層の機能は、タイヤが車重を支えるために必要不可欠で
あると共に、コーナリングでのパワーを発揮する役目を
もっている。
【0004】タイヤベルト層には複数本のワイヤを撚り
合わせた1×n構造のスチールコードが一般に使用され
ている。このような撚り線構造のスチールコードは高い
剛性を有するが、その反面、路面が凹凸の非舗装の道路
ではタイヤの反発力が強くなりすぎて、乗り心地がよく
ない。また、トレッド表面に亀裂を生じやすく、亀裂か
らタイヤ内部に雨水等が浸入して、早期にコードワイヤ
が腐食する。さらに、タイヤが変形したり振動したりす
ると、撚り合わせたワイヤ同士が擦れ合って摩耗する所
謂フレッティング摩耗を生じて、コードワイヤが大幅に
疲労劣化するという問題がある。
【0005】これらの問題を解決するために特開平11
−091311号公報などにおいて、撚り線構造のスチ
ールコードの代わりとして単線スチールコードをタイヤ
のベルト層に用いてスチール量を低減することが提案さ
れている。
【0006】しかし、特開平11−091311号公報
に記載された単線スチールコードで強化されたスチール
ラジアルタイヤにおいては次に述べるような問題点があ
る。
【0007】スチールコードの性能を評価するために用
いられる特性としては「キル」と「アークハイト」の2
つがあげられる。「キル」はコード自体に内在する回転
トルクの評価に用いられるコード特性の1つである。
「アークハイト」はスチールコードの直線性の評価に用
いられるコード特性の1つである。キルにバラツキや偏
りがあったり、アークハイトが大きすぎたりすると、タ
イヤ製造プロセスのカレンダー工程(薄いゴムシート上
にスチールコードを敷き並べ、もう1枚の薄いゴムシー
トをこれに被せ、ゴムシート間にスチールコードを挟み
込む工程)において、カレンダーシートに捻れや膨らみ
などの不良が発生するからである。
【0008】しかし、従来の丸ワイヤ単線スチールコー
ドでは、ワイヤの材質要因や伸線機あるいは撚り線機な
どの機械的要因により、キルやアークハイトに変動が生
じやすい。特にキルは変動が大きいので、一般的な品質
保証レベルでも各製品ごとに検査が行われているのが現
状である。
【0009】(1)キル タイヤに使用されるスチールコードの性能として、とく
にスチールコードの回転トルク、すなわちコード自体に
内在する回転トルク(キル)の評価は重要である。以
下、図1を参照しながらキルについて説明する。
【0010】キルの測定方法は、製品仕上げされたスプ
ール1のコード端末部2cをL字に折って固定具(図示
せず)に固定したまま、図1に示すように長さL1(=
6m)だけスプール1から引き出し、その後にコード端
末部2cを固定具から解放し、コード2の回転数をカウ
ントする方法である。通常のS撚りの場合は、撚り方向
と同じ方向(時計方向)に回転した場合をプラスキル
(+)とし、撚り方向と逆の方向(反時計方向)に回転
した場合をマイナスキル(−)とする。一般的にはキル
は±2回転以内の回転数であれば良好であり、そのコー
ドは実用上問題ないといえる。
【0011】(2)アークハイト タイヤベルト部に使用されるスチールコードの性能とし
て、非拘束状態にあるコードの直線性の評価(アークハ
イト)は重要である。以下、図2の(a)および(b)
を参照しながらアークハイトについて説明する。
【0012】図2(a)に示す長さL2(=400m
m)に切断したコード2を、図2(b)に示すように両
端を平板3に接触させた状態でコード2が形成する円弧
の高さHがアークハイトにあたる。通常、アークハイト
Hが30mm以内であれば良好であり、そのコードは実
用上問題ないといえる。
【0013】(3)コーナリングパワー(操縦安定性)
と乗り心地 スチールラジアルタイヤに要求される性能の1つとし
て、高速走行時にハンドルの切れが良いこと、すなわち
危険回避のためのコーナリングパワーが大きいことがあ
げられる。また、従来は剛性の高いコードが使用されて
きたが、非舗装路面の凸凹に対しては上下の振動をタイ
ヤがまともに受け止めるため、乗り心地が低下する。こ
のようにタイヤベルト層の補強用スチールコードに今後
要求される性能は、コーナリング時の横方向への耐久力
と走行時の乗り心地の良さとの2つである。これら2つ
の性能を兼ね備えることが今後のスチールラジアルタイ
ヤにおいては重要である。
【0014】(4)タイヤゴムの簿肉化 近時、自動車は、地球温暖化防止対策を重要視した低燃
費車の設計に向かう傾向がみられ、これに伴いタイヤに
は、軽量化の改善が要求されてきている。しかしなが
ら、従来の撚り線構造コードや丸ワイヤ単線コードで
は、タイヤのゴム薄肉化の改善には限界がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平11−
091311号公報に記載された単線スチールコードを
製造するには伸線機で仕上がった丸線の直線性の改善と
三次元のスパイラル波付けをするために、例えば特開2
000−154482号公報に開示されているように撚
り線機を使用せざるをえないという不合理がある。この
ように単線コードであるにも拘わらず製造工程中に撚り
線加工を必要とするために、その製造コストは撚り線コ
ードと比べてみてもほとんど変わらない。従って、タイ
ヤの価格を下げられず、汎用タイヤとして拡販ができな
いという問題点がある。
【0016】また、タイヤの強化に単線スチールコード
を用いる場合に、カレンダリング時の敷き並べ本数が多
くなりすぎないようにすること、クリールのリール数を
抑えること、強度当たりの単価を低減すること等から、
コードの線径をある程度まで太くする必要がある。しか
し、太径の単線コードを用いたタイヤは乗り心地が悪く
なる。
【0017】本発明の目的は、乗り心地が良好であり、
操縦安定性に優れたスチールラジアルタイヤ及びその製
造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】コーナリング時の横方向
への耐久力を高くするには、横方向の剛性(面内曲げ剛
性)E1の高いコードを使用することが肝要である。ま
た、乗り心地を良くするには、タイヤ接地面の凸凹を柔
軟に受け止め、搭乗者が感じるガタガタした乗り心地の
悪さを軽減するために、縦方向の剛性(面外曲げ剛性)
E2が適度な強さを有するコードを使用することが有効
である。
【0019】ベルト部のスチールコードが高い耐久力と
可撓性とを兼ね備えるためには、面内曲げ剛性E1が面
外曲げ剛性E2よりも大きく(E1>E2)、剛性に異
方性をもつことが肝要である。
【0020】しかし、従来の撚り線構造コードや丸ワイ
ヤ単線コードの場合は、二次元形付け(波付け)や三次
元形付け(スパイラル)を施したとしても、横方向の剛
性E1と縦方向の剛性E2との間にほとんど差がないた
めである。このため、コーナリング時の横方向への耐久
力と縦方向の乗り心地性の両性能を同時に満たすことは
できない。すなわち、耐久力のほうに重点を置けば、乗
り心地が悪くなり、一方、乗り心地のほうに重点を置け
ば、耐久力が得られなくなるという二律背反の関係にあ
る。
【0021】ところで、丸線ワイヤからなる単線スチー
ルコードの代わりに、特開平7−1915号公報に記載
のような単線スチールコードをタイヤのベルト層に用い
ることが提案されている。このような単線スチールコー
ドは、ワイヤを扁平化し、例えば特開平10−2568
0号公報に記載された装置を用いて二次元の波付け加工
したものであり、ゴムとの密着性に優れ、かつ、耐曲げ
剛性が高いので、これを乗用車用タイヤのベルト部に用
いると優れた操縦安定性が得られる。しかし、この単線
スチールコードは、タイヤゴムの薄肉化には不十分であ
り、また乗り心地が必ずしも良好になるものとはいえな
い。
【0022】そこで、発明者らは、乗り心地性と操縦安
定性との性能向上に向けて鋭意研究した結果、下記に述
べる本発明を完成させるに至った。
【0023】本発明に係るスチールラジアルタイヤは、
丸線ワイヤの扁平化により対向する2つの扁平面と対向
する2つの丸曲面とで囲まれたトラック形状の横断面を
もつ1本のワイヤからなり、その短径Dと長径Wとの扁
平比D/Wを0.50〜0.95の範囲とし、かつ、少
なくとも短径方向に波付けされた扁平スチールコード
を、タイヤ外周の赤道線に対する傾斜角θが10°〜3
0°の範囲となるように、かつ、該扁平スチールコード
の扁平面がタイヤのトレッド面と向き合うように埋め込
んだベルト層を有することを特徴とする。
【0024】本発明に係るスチールラジアルタイヤの製
造方法は、(a)丸線ワイヤを短径Dと長径Wとの扁平
比D/Wが0.50〜0.95の範囲となるように扁平
加工することにより、対向する2つの扁平面と対向する
2つの丸曲面とで囲まれたトラック形状の横断面をもつ
扁平スチールコードとする工程と、(b)前記扁平スチ
ールコードの短径方向に波付けする工程と、(c)前記
波付けされた扁平スチールコードを所定長毎に切断し、
扁平面が実質的に水平となるように一方の生ゴムシート
上に等ピッチ間隔に敷き並べ、これに他方の生ゴムシー
トを重ね合わせることにより、該扁平スチールコードを
2つの生ゴムシートの間に挟み込み一体化するカレンダ
リング工程と、(d)前記扁平スチールコードが所定の
向きと所定のサイズとなるように、該扁平スチールコー
ドと一体化された生ゴムシートを裁断する工程と、
(e)前記扁平スチールコードの扁平面がタイヤのトレ
ッド面と実質的に平行になるように、かつ、前記扁平ス
チールコードの長手軸とタイヤ外周の赤道線とのなす角
θが10°〜30°の範囲となるように、前記裁断シー
トを成形前のタイヤアッセンブリのベルト部に埋め込む
工程と、(f)前記タイヤアッセンブリを加熱下で加圧
して成形する工程と、を具備することを特徴とする。
【0025】さらに、上記工程(a)の前に、上記短径
波付け工程(b)における波付け方向と直交する方向に
丸ワイヤを波付けする長径波付け工程を有することが望
ましい。なお、この場合に、上記工程(a)では扁平比
D/Wを0.80〜0.95の範囲とすることが望まし
い。
【0026】短径方向のみに波付けする扁平コード(タ
イプ1のコード)では、扁平比D1/W1を0.50〜
0.95の範囲とすることが好ましい。扁平比D1/W
1の上限値を0.95とした理由は、0.95を超えて
ワイヤが真円に近くなると、圧延によるキル(回転トル
ク)の低減効果がみられなくなること、および、長径方
向と短径方向の剛性に差が生じなくなるからである。一
方、扁平比D1/W1の下限値を0.50とした理由
は、0.82%の高炭素鋼を使用してスチールコード用
のワイヤとして伸線を施したワイヤでは300kgf/
mm2 前後の高い引張り強度を有するため、扁平比0.
50を下回る高扁平率の圧延を行う場合は、圧延後のワ
イヤに割れが発生することがあるからである。
【0027】短径方向の波付け高さF1の最大値は0.
3mmとすることが好ましい。これを超えて波付け高さ
F1を大きくしすぎると、ゴム部が肉厚となり、タイヤ
軽量化の目的から逸脱するためである。
【0028】一方、短径方向の波付け高さF1の最小値
は0.05mmとすることが好ましい。アークハイトH
を30mm以内(合格判定)に低減させるためには、最
低でも0.05mm高さの波付けが必要となるからであ
る。
【0029】また、波付けピッチP1は2〜20mmと
することが望ましい。この範囲内が実用的な波付けピッ
チとなるからである。
【0030】ここで「波付け」とは、ワイヤに弾性限以
上の応力を与えてワイヤを二次元または三次元の形状に
成形することをいう。
【0031】また、ここで「クリンプ波付け」とは、1
つの平面内で同じウェーブを繰り返す二次元の形状にワ
イヤを成形することをいう。このクリンプ波付けの代表
的なものとして1対の歯車間にワイヤを噛み込ませて成
形するギヤクリンプ波付加工がある。なお、クリンプ波
付けは、三次元形状のスパイラルワイヤを側方から潰し
て二次元形状とする加工をも含むものである。
【0032】また、ここで「円弧波付け」とは、1つの
平面内で直線部を含まない滑らかに連続する曲線の組み
合わせのみからなる二次元の形状にワイヤを成形するこ
とをいう。この円弧波付けの代表的なものとして1対の
ピンローラ間にワイヤを噛み込ませて成形するピンロー
ラ波付加工がある。
【0033】なお、短径方向のみ波付けしたコード(タ
イプ1のコード)は伸びの設定領域が比較的低いので、
このタイプ1でカバーしきれない伸びを必要とする場合
は、伸びの設定領域の高い両方向に波付けしたコード
(タイプ2のコード)を用いる。
【0034】タイプ2のコードの扁平比D2/W2
((D2;扁平ワイヤの短径)/(W2;扁平ワイヤの
長径))は0.80〜0.95の範囲とすることが好ま
しい。扁平比の上限値を0.95とする理由は、扁平比
が0.95を超えてワイヤが真円に近くなると、圧延に
よるキル(回転トルク)の低減効果がみられなくなるこ
と、および、長径方向と短径方向の剛性に差が生じなく
なるからである。また、扁平比の下限値を0.80とす
る理由は、タイプ2のコードでは伸線後に長径方向クリ
ンプ加工と、駆動ロール圧延加工と、短径方向クリンプ
加工との3回の加工を施すため、圧延加工でのワイヤへ
与えるダメージによる強度低下を防止するためである。
【0035】タイプ2のコードでは、短径方向のクリン
プ波付け高さF3の最大値を0.3mmとし、長径方向
のクリンプ波付け高さF2を0.05〜0.5mmの範
囲とすることが好ましい。短径方向の波付け加工高さF
3の最大値を0.3mmとする理由は、波付け高さを高
くしすぎると、タイヤのゴムが肉厚となり、軽量化の目
的から逸脱するためである。長径方向の波付け加工高さ
F2の最大値を0.5mmとする理由は、これより波付
け高さを大きくしすぎると、コードの伸びが大きくなり
すぎることと、コード同士の並びによっては、山と谷が
向かい合わせとなって、コード間の隙間の不揃いが顕著
となり好ましくないからである。また、長径方向の波付
け加工高さF2の最小値を0.05mmとする理由は、
これより波付け高さを小さくすると、アークハイトHが
30mm以内(合格判定)に低減できなくなるからであ
る。
【0036】波付けピッチP2,P3は、長径方向およ
び短径方向ともに2〜20mmとすることが望ましい。
この範囲内が実用的な波付けピッチとなるからである。
ただし、波付けピッチの設定長さは、長径方向と短径方
向とのピッチの不均一性をなくす理由から、短径方向の
ピッチ長さP3に対して、長径方向のピッチ長さP2を
正数倍に設定する。
【0037】なお、構成ワイヤには引張り強度が300
〜380kgf/mm2級の高張力鋼線を用いることが望
ましい。単線スチールコードが所望の破断強度を得るた
めにはワイヤの引張り強度を280kgf/mm2以上と
する必要があるからである。一方、ワイヤの引張り強度
が400kgf/mm2を越えると、ワイヤが脆くなって
断線を生じやすくなるからである。
【0038】また、構成ワイヤには炭素含有量が0.7
5〜0.95重量%の高張力鋼線を用いることが望まし
い。単線スチールコードが所望の破断強度を得るために
はワイヤの炭素含有量を0.7重量%以上とする必要が
あるからである。一方、ワイヤの炭素含有量が1.0重
量%を越えると、ワイヤが脆くなって断線を生じやすく
なるからである。
【0039】太径の単線コードを使用すると乗り心地が
低下するが、本発明のタイヤにおいては扁平コードの面
外の剛性が低いことに着目して扁平面がタイヤトレッド
面(接地面)と向き合うようにベルト層に埋め込んでい
るので、乗り心地が良好となる。しかも本発明のタイヤ
においては扁平コードの剛性の高いほうはトレッド面と
平行な向きに配置されるので、コーナリングパワーが上
昇して操縦安定性が向上する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しながら
本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0041】図3及び図4の(a)に示す製造方法を用
いて図4の(b),(c)および図11の(a),
(b)に示すタイプ1の扁平スチールコード2Aを製造
し、この扁平スチールコード2Aを用いてタイヤベルト
を作製し、さらに2層のベルト層84a,84bを生タ
イヤ中に埋め込み、図11の(c)に示す乗用車用ラジ
アルタイヤ175/65R14型式のスチールラジアル
タイヤ80A(タイプ1)を製造した。ちなみに、タイ
ヤ型式の最初の数字「175」はタイヤ線幅呼称を、次
の数字「65」はタイヤ扁平率を、最後の記号数字「R
14」はラジアル構造であることとタイヤ内径(リム
径;インチ)とをそれぞれ表示するものである。
【0042】また、図12及び図13の(a)に示す製
造工程を用いて図13の(b),(c)および図14の
(a),(b)に示すタイプ2の扁平スチールコード2
Bを製造し、この扁平スチールコード2Bを用いてタイ
ヤベルトを作製し、さらに2層のベルト層84a,84
bを生タイヤ中に埋め込み、図14の(c)に示す乗用
車用ラジアルタイヤ175/65R14型式のスチール
ラジアルタイヤ80B(タイプ2)を製造した。
【0043】以下にそれぞれにつき詳細に説明する。 (実施例1,2及び比較例1;タイプ1のスチールラジ
アルタイヤ)炭素含有量0.82±0.02重量%の鋼
線を素線として準備した(工程S1)。この素線を加熱
炉内で950℃の温度に30秒間加熱保持した後、砂を
用いる流動床炉内で550℃の温度に8秒間加熱保持す
る条件で焼入れ(工程S2)、電気めっき浴にてCu6
3重量%、Zn37重量%の組成に素線表面をブラスめ
っきし(工程S3)、めっき鋼線を伸線機5により伸線
加工し、引張り強度が308〜312kgf/mm2 の範
囲の高張力鋼線ワイヤ2とした(工程S4)。伸線後の
ワイヤ2の直径は0.40mmである。なお、ワイヤ1
kg当りのブラスめっきの付着量は4gである。
【0044】これに引き続き丸線ワイヤ2を駆動ロール
圧延装置7に送り、これを上下1対の圧延ロール71,
72により押しつぶして0.30mm×0.46mm
(短径×長径)サイズの扁平ワイヤ2aとした(工程S
5)。
【0045】図5及び図6を参照しながら扁平加工機
(駆動ロール圧延装置)7について説明する。扁平加工
機7は上下1対のカリバーロール71,72を備えてい
る。上ロール71はモータ78によって回転駆動される
駆動軸73に連結され、下ロール72はモータ79によ
って回転駆動される駆動軸74に連結されている。駆動
軸73,74には大歯車76が取り付けられ、この大歯
車76は各モータ78,79の回転駆動軸に取り付けら
れた小歯車77にそれぞれ噛み合っている。各ロール7
1,72の周面には所定の凹形状のカリバー71a,7
2aがそれぞれ形成されている。各ロール軸73,74
は軸受73a,74aを介してブラケット73b,74
bに連結支持されている。下ブラケット74bは圧延装
置のフレーム(図示)に固定され、上ブラケット73b
は調整ネジ75により下ブラケット74bに連結されて
いる。調整ネジ75を回すと、上ブラケット73bとと
もに上ロール71が昇降し、上ロール71と下ロール7
2との間のギャップが変えられる。なお、ロールギャッ
プ調整機構には、調整ネジ75の代わりに油圧シリンダ
機構を用いてもよい。
【0046】丸線ワイヤ2は、上下ロール71,72の
カリバー71a,72a間に噛み込まれ、上下から押し
つぶされ、扁平ワイヤ2aとなる。引き続き扁平ワイヤ
2aを波付加工機8に送り、これをピンロール83a,
83bにより短径方向に波付け加工し、一方向に波付け
された扁平コード2Aを得た(工程S6)。
【0047】次に、詳細を図示しない波付加工機8につ
いて簡単に説明する。本実施形態の波付加工機8には特
開2000−45191号公報に記載されたピンロール
加工装置を用いた。扁平加工機7で扁平化されたワイヤ
2aは入口ガイドを介して波付加工機8のハウジング内
に導入され、大ローラ間を通過し、出口ガイドを介して
ハウジングから送り出されるようになっている。大ロー
ラの外周にはホルダが等ピッチ間隔に設けられ、各ホル
ダには小径のピンロールがそれぞれ取り付けられてい
る。互いに隣り合うピンロール相互間にはほとんど隙間
が無いように取り付けられている。上ローラは歯車と同
軸に連結され、下ローラは歯車と同軸に連結されてい
る。上下の歯車は互いに噛み合っている。両歯車により
上下ローラ間に滑りを生じることなく、上下ローラが確
実に同期回転されるようになっている。
【0048】扁平ワイヤ2aは、大ローラ間に噛み込ま
れると、上下のピンロールにより屈曲され、滑らかに連
続する円弧形状に波付けされる。この場合にピンロール
の直径はワイヤ径より十分に大きくする必要があり、ピ
ンロール直径はワイヤ径の5〜50倍の範囲とすること
が好ましい。
【0049】なお、上記のピンロール加工装置の代わり
に、第2実施形態で後述する特開平10−25680号
公報に開示されたギヤクリンプ加工機を用いるようにし
てもよい。
【0050】表1及び図11の(a),(b)に示すよ
うに、実施例1及び2(タイプ1)のコード2Aは、そ
れぞれ短径方向の波付け高さF1が0.1mm,0.1
mm、短径D1が0.30mm,0.36mm、長径W
1が0.46mm,0.44mm、扁平比D1/W1が
0.65,0.82、波付けピッチP1が6mm,6m
mである。
【0051】さらに、コード2Aを巻取機9のリールに
巻き取り、このリールを裁断ラインの供給側に取り付
け、切断機(図示せず)によりコード2Aを所定長に裁
断した(工程S7)。裁断コード2Aの長さは200m
である。なお、表1に示すように、コード2Aのキルは
0〜0.75回転(平均0.5回転)であり、アークハ
イトHは10〜28mm(平均15mm,24mm)で
あった。
【0052】実施例1及び2(タイプ1)のコード2A
は、短径方向の剛性指数G2が74,97、長径方向の
剛性指数G1が149,114であり、剛性比G1/G
2が2.00,1.18であった。なお、「剛性指数」
は、丸ワイヤの剛性G3を基準値100とした場合の比
率にあたり、2方向につきそれぞれ測定した。また、タ
イプ1のコード2Aは、破断伸びが2.5〜3.5%の
低領域にあることが判明した。
【0053】図8に示すように、裁断コード2Aを生ゴ
ムシート85上に所定ピッチ間隔で平行に敷き並べる所
謂カレンダリング処理をした(工程S8)。このカレン
ダリング工程S8では、一方の扁平面が生ゴムシート面
と平行になるようにコード2Aを等ピッチ間隔に敷き並
べる。なお、裁断コード2AのアークハイトHが小さい
ので、裁断コード2Aを敷き並べやすい。敷き並べのピ
ッチ間隔は例えば1.2mmである。
【0054】一体化したゴムシート85を斜めの切断線
103に沿って裁断し、所定サイズと向きのベルト層8
4を得る(工程S9)。このようなカレンダリングによ
り作製されたベルト層84を、埋込みコード2Aが互い
に所定角度2θで交差するように、2枚の裁断シート1
2A,14Aをタイヤ形状のゴム成形品のベルト部に重
ね合わせる。なお、ベルト角度θを実施例1では28
°、実施例2では25°、比較例1では35°とした。
【0055】カーカス層82として丸断面ワイヤを複数
本撚り合わせた撚り線コード又は丸断面単線コードを用
いた。図7に示すように、生ゴムシート83の上に複数
本のカーカスコード2Bを実質的に真っ直ぐに、かつ等
ピッチ間隔になるように敷き並べ、この上から更に生ゴ
ムシート83を貼り合わせてカーカスコード2Bを挟み
込む。これを切断線101に沿って所定長ごとに裁断し
てカーカス層82とした。このようなカレンダリングに
よって作製されたカーカス層82を生タイヤ中に埋め込
んだ。すなわち、カーカス層82をタイヤ成形機のドラ
ムに巻き付ける。次いで、サイドウォール94をサイド
サプライ86およびビードフィラー88と一体に成形す
る。
【0056】さらに上記のベルト層84をタイヤアッセ
ンブリのカーカス層82の上に貼りあわせる。トレッド
抽出機から合成ゴムを押し出し、これを冷却し、さらに
所定長に切断してトレッド92を作製する。さらに、ト
レッド92を有するゴム部材94を外側(第2層)のシ
ート14Aに貼り付け、これによりベルトコード2Aは
ゴム中に完全に埋め込まれる(工程S10)。
【0057】このようにして組み立てた成形品を所定温
度に加熱し、加熱下で加圧することにより一体化させ、
図11の(c)に示す最終製品としてのスチールラジア
ルタイヤ80Aを得た(工程S11)。
【0058】このようなスチールラジアルタイヤ80A
において、コード2Aは、2層のベルト層84a,84
bに隣り合う短径部が一定間隔になるように、かつタイ
ヤの回転方向に対しては斜め方向に並べて配置し、さら
にコードの扁平面がタイヤトレッド面(接地面)と向き
合うようにベルト層84a,84bに埋め込んでいる。
この構造は、横方向の剛性E1を硬化して耐久力を高
め、逆に縦方向の剛性E2を軟化してソフトな乗り心地
を可能にする。また、扁平コードの剛性の高いほうはト
レッド面と平行な向きに配置されるので、コーナリング
パワーが上昇して操縦安定性が向上する。
【0059】(実施例3〜6及び比較例2;タイプ2の
スチールラジアルタイヤ)次に図12,図13の
(a),(b),(c)を参照しながらタイプ2のスチ
ールラジアルタイヤ及びその製造方法について説明す
る。炭素含有量0.82±0.02重量%の鋼線を素線
として準備した(工程S21)。この素線を加熱炉内で
950℃の温度に30秒間加熱保持した後、砂を用いる
流動床炉内で550℃の温度に8秒間加熱保持する条件
で焼入れ(工程S22)、電気めっき浴にてCu63重
量%、Zn37重量%の組成に素線表面をブラスめっき
し(工程S23)、めっき鋼線を伸線機5により伸線加
工し、引張り強度が308〜312kgf/mm2の範囲
の高張力鋼線ワイヤ2とした(工程S24)。伸線後の
ワイヤ2の直径は0.40mmである。なお、ワイヤ1
kg当りのブラスめっきの付着量は4gである。
【0060】これに引き続きワイヤ2をギヤクリンプ加
工機6に送り、これを一対のギヤ間に挟み込んで長径方
向に波付け加工し、一方向に波付けしたワイヤ2b1と
した(工程S25)。ギヤクリンプ加工機6には特開平
10−25680号公報に記載された装置を用いた。な
お、ギヤクリンプ加工機の代わりに上述のピンロール加
工機を用いるようにしてもよい。
【0061】これに引き続きワイヤ2b1を扁平加工機
7に送り、これを1対の圧延ロール71,72により上
下から押しつぶし、0.36mm×0.44mm(短径
×長径)サイズの扁平ワイヤ2b2とした(工程S2
6)。なお、扁平加工機7には図5及び図6に示す装置
を用いた。
【0062】これに引き続き扁平ワイヤ2b2をギヤク
リンプ加工機8に送り、これを1対のギヤ間に挟み込ん
で短径方向に波付け加工し、2方向クリンプ波付けされ
た扁平コード2Bを得た(工程S27)。なお、ギヤク
リンプ加工機8の代りに上述のピンロール加工機を用い
るようにしてもよい。
【0063】表1及び図14の(a),(b)に示すよ
うに、実施例3及び4(タイプ2)のコード2Bは、そ
れぞれ長径方向の波付け高さF2が0.1mm,0.1
mm、短径方向の波付け高さF3が0.1mm,0.1
mm、短径D2が0.36mm,0.38mm、長径W
2が0.44mm,0.43mm、扁平比D2/W2が
0.82,0.88、長径方向の波付けピッチP2が
6.0mm,6.0mm、短径方向の波付けピッチP3
が3mm,3mmである。
【0064】さらに、コード2Bを巻取機9のリールに
巻き取り、このリールを裁断ラインの供給側に取り付
け、切断機(図示せず)によりコード2Bを所定長に裁
断した(工程S28)。裁断コード2Bの長さは200
mである。なお、表1に示すように、コード2Bのキル
は0〜0.75回転(平均0.5回転)であり、アーク
ハイトHは8〜20mm(平均12mm,17mm)で
あった。
【0065】タイプ2のコード2Bは、短径方向の剛性
指数G2が94,97、長径方向の剛性指数G1が11
1,109、剛性比G1/G2が1.18,1.12で
あった。なお、「剛性指数」は、丸ワイヤの剛性G3を
基準値100とした場合の比率にあたり、図17に示す
2方向につきそれぞれ測定した。また、タイプ2のコー
ド2Bは、破断伸びが3.0〜5.0%の高領域にある
ことが判明した。
【0066】裁断コード2Bを生ゴムシート85上に所
定ピッチ間隔で平行に敷き並べる所謂カレンダリングを
した(工程S29)。このカレンダリング工程S29で
は、一方の扁平面が生ゴムシート面と平行になるように
コード2Bを敷き並べる。なお、裁断コード2Bのアー
クハイトHが小さいので、裁断コード2Bを敷き並べや
すい。敷き並べのピッチ間隔は例えば1.2mmであ
る。
【0067】図8に示すように、ゴムシート85を切断
線103に沿って裁断し、所定サイズと向きのベルト8
4を得る(工程S30)。埋込みコード2Bが互いに所
定角度で交差するように、2枚の裁断シート12B,1
4Bをタイヤ形状のゴム成形品のベルト部に重ね合わせ
る。さらに、トレッド18を有するゴム部材16を外側
(第2層)のシート14Bに貼り付け、これによりコー
ド2Bはゴム中に完全に埋め込まれる(工程S31)。
このようにして組み立てた成形品を所定温度に加熱し、
一体化させ、図14Cに示すタイヤ製品10Bを得た
(工程S32)。
【0068】タイプ2に適用する扁平ワイヤ断面の扁平
比((D2:扁平ワイヤの短径)/(W2:扁平ワイヤ
の長径))は、0.80〜0.95とした。
【0069】扁平比の上限を0.95とした理由は、扁
平比が0.95を超えて真円に近くなると、圧延による
キル(回転トルク)の低減効果がみられなくなること及
び、長径方向と短径方向の剛性に差が生じなくなるため
である。
【0070】また、扁平比の下限を0.80とタイプ1
の0.50より高くした理由は、タイプ2は伸線後に長
径方向クリンプ加工+駆動ロール圧延加工+短径方向ク
リンプ加工の3回の加工を施すため、タイプ1よりクリ
ンプ加工回数が1回多くなり、圧延加工でのワイヤへ与
えるダメージによる強度低下防止を目的としている。
【0071】長径方向の波付け高さは、0.05〜0.
5mmの範囲とした。
【0072】長径方向の波付け加工高さの最大値を、
0.5mmとしたのは、波付け高さを高くしすぎると、
伸びが大きくなりすぎることと、コード同士の並びによ
っては、山と谷が向かい合わせとなって、コード間の隙
間の不揃いが顕著となり好ましくないためである。
【0073】短径方向の波付け加工高さの最大値を、
0.3mmとしたのは、波付け高さを高くしすぎると、
タイヤのゴムが肉厚となり、軽量化の目的から逸脱する
ためである。また、最小値を、0.05mmとしたの
は、短径方向の波付け加工を、最小この程度行わないと
アークハイトが30mm以内の規格に低減できないから
である。
【0074】上記のタイプ2のコードは、アークハイト
(直線性)が12mm,17mmと良好でしかも、キル
(回転トルク)が0.5回転とほぼゼロに近い良好な品
質を有していた。
【0075】[スチールラジアルタイヤの評価]乗用車
用ラジアルタイヤ型式175/65R14の2つのベル
ト層に、上記タイプ1の波付け扁平コード2Aを埋め込
んだ実施例1,2および比較例1と、上記タイプ2の波
付け扁平コード2Bを埋め込んだ実施例3〜6および比
較例2と、波付けしない丸線コードを埋め込んだ従来例
とを比較評価した。
【0076】乗り心地と操縦安定性とについて調べた結
果を表1に示す。両性能ともに丸線コード(従来例)を
基準(100)として指数化して評価した。具体的には
各タイヤサンプルを装着した乗用車を複数のテストドラ
イバーにテストコースを試乗走行させ、各ドライバーの
感性(官能)により評価した。
【0077】(乗り心地)乗り心地の評価結果は、実施
例1が106、実施例2が107、実施例3が110、
実施例4が108、実施例5が105、実施例6が10
4、比較例1が104、比較例2が102であった。
【0078】(操縦安定性)操縦安定性の評価結果は、
実施例1が106、実施例2が106、実施例3が10
7、実施例4が107、実施例5が107、実施例6が
103、比較例1が102、比較例2が100であっ
た。
【0079】(総合評価)乗り心地および操縦安定性を
あわせた総合評価を丸(優秀)、三角(良好)、バツ
(不可)で表1に示した。この表から明らかなように、
実施例1〜5は優秀、実施例6は良好、比較例1,2は
不可であった。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】本発明のスチールラジアルタイヤは、乗
り心地が良く、かつ操縦安定性にも優れている。
【0082】また、本発明のスチールラジアルタイヤに
用いられる波付け扁平コードは、従来の丸線コードと比
べて10%以上のコスト削減を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は単線スチールコードのキルを説明するた
めの模式図。
【図2】(a)は所定長に切断されたスチールコードを
示す図、(b)はスチールコードのアークハイト測定方
法を説明するための図。
【図3】図3は本発明の第1の実施形態に係るスチール
ラジアルタイヤの製造方法を示す工程図。
【図4】(a)は単線スチールコードの製造ラインを示
す概要図、(b)は各工程における単線スチールコード
の概観模式図、(c)は各工程における単線スチールコ
ードの横断面図。
【図5】扁平加工機(駆動ロール圧延装置)の主要部を
示す正面図。
【図6】扁平加工機(駆動ロール圧延装置)の主要部を
示す側面図。
【図7】カーカスコードのカレンダリングを説明するた
めの平面模式図。
【図8】ベルトコードのカレンダリングを説明するため
の平面模式図。
【図9】スチールラジアルタイヤの横断面図。
【図10】スチールラジアルタイヤの一部を切り欠いて
示す分解斜視図。
【図11】(a)は本発明の第1実施形態に係るスチー
ルラジアルタイヤに用いた単線スチールコード(タイプ
1のコード)の横断面図、(b)は第1実施形態の単線
スチールコード(タイプ1のコード)の概観模式図、
(c)は第1実施形態の単線スチールコード(タイプ1
のコード)を埋め込んだスチールラジアルタイヤの横断
面模式図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るスチールラジ
アルタイヤの製造方法を示す工程図。
【図13】(a)は第2実施形態の単線スチールコード
の製造ラインを示す概要図、(b)は各工程における単
線スチールコードの概観模式図、(c)は各工程におけ
る単線スチールコードの横断面図。
【図14】(a)は第2実施形態の単線スチールコード
(タイプ2のコード)の横断面図、(b)は第2実施形
態の単線スチールコード(タイプ2のコード)の概観模
式図、(c)は第2実施形態の単線スチールコード(タ
イプ2のコード)を埋め込んだスチールラジアルタイヤ
の横断面模式図。
【符号の説明】
2,2A,2B…スチールコード、 7…扁平加工機(駆動ロール圧延機)、 8A…波付加工機(ピンロール加工機)、 6,8B…波付加工機(クリンプ加工機)、 80,80A,80B…スチールラジアルタイヤ、 82…カーカス層、 84a,84b…ベルト層、 92…トレッド、 94…赤道線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B153 AA24 BB05 BB13 CC52 DD33 FF16 GG40 4F212 AA45 AD16 AH20 VA02 VD07 VD19 VK02 VL01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 丸線ワイヤの扁平化により対向する2つ
    の扁平面と対向する2つの丸曲面とで囲まれたトラック
    形状の横断面をもつ1本のワイヤからなり、その短径D
    と長径Wとの扁平比D/Wを0.50〜0.95の範囲
    とし、かつ、少なくとも短径方向に波付けされた扁平ス
    チールコードを、タイヤ外周の赤道線に対する傾斜角θ
    が10°〜30°の範囲となるように、かつ、該扁平ス
    チールコードの扁平面がタイヤのトレッド面と向き合う
    ように埋め込んだベルト層を有することを特徴とするス
    チールラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 上記扁平スチールコードの波付けは、短
    径方向のみのピンロール円弧波付け加工またはギヤクリ
    ンプ加工であることを特徴とする請求項1記載のタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】 上記ピンロール円弧波付け加工またはク
    リンプ加工は、波付け高さを0.05〜0.30mmの
    範囲とすることを特徴とする請求項2記載のタイヤ。
  4. 【請求項4】 上記扁平スチールコードの波付けは、短
    径方向および長径方向にそれぞれされたピンロール円弧
    波付け加工またはクリンプ加工であることを特徴とする
    請求項1記載のタイヤ。
  5. 【請求項5】 上記ピンロール円弧波付け加工またはク
    リンプ加工は、短径方向の波付け高さを0.05〜0.
    30mmの範囲とし、長径方向の波付け高さを0.05
    〜0.50mmの範囲とすることを特徴とする請求項4
    記載のタイヤ。
  6. 【請求項6】 上記扁平スチールコードの扁平比D/W
    を0.80〜0.95の範囲とすることを特徴とする請
    求項4記載のタイヤ。
  7. 【請求項7】 上記扁平スチールコードの波付けは、ピ
    ッチ間隔を2〜20mmの範囲とすることを特徴とする
    請求項1記載のタイヤ。
  8. 【請求項8】 上記丸線ワイヤは、扁平加工前に280
    〜450kgf/mm2の範囲の引張り強度を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
  9. 【請求項9】 上記丸線ワイヤは、扁平加工前に0.0
    7〜1.00重量%の炭素含有量を有することを特徴と
    する請求項1記載のタイヤ。
  10. 【請求項10】(a)丸線ワイヤを短径Dと長径Wとの
    扁平比D/Wが0.50〜0.95の範囲となるように
    扁平加工することにより、対向する2つの扁平面と対向
    する2つの丸曲面とで囲まれたトラック形状の横断面を
    もつ扁平スチールコードとする工程と、 (b)前記扁平スチールコードの短径方向に波付けする
    工程と、 (c)前記波付けされた扁平スチールコードを所定長毎
    に切断し、扁平面が実質的に水平となるように一方の生
    ゴムシート上に等ピッチ間隔に敷き並べ、これに他方の
    生ゴムシートを重ね合わせることにより、該扁平スチー
    ルコードを2つの生ゴムシートの間に挟み込み一体化す
    るカレンダリング工程と、 (d)前記扁平スチールコードが所定の向きと所定のサ
    イズとなるように、該扁平スチールコードと一体化され
    た生ゴムシートを裁断する工程と、 (e)前記扁平スチールコードの扁平面がタイヤのトレ
    ッド面と実質的に平行になるように、かつ、前記扁平ス
    チールコードの長手軸とタイヤ外周の赤道線とのなす角
    θが10°〜30°の範囲となるように、前記裁断シー
    トを成形前のタイヤアッセンブリのベルト部に埋め込む
    工程と、 (f)前記タイヤアッセンブリを加熱下で加圧して成形
    する工程と、を具備することを特徴とするスチールラジ
    アルタイヤの製造方法。
  11. 【請求項11】 上記波付け工程(b)では、扁平ワイ
    ヤをギヤクリンプ加工またはピンローラ加工することを
    特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 さらに、上記工程(a)の前に、上記
    短径波付け工程(b)における波付け方向と直交する方
    向に丸線ワイヤを波付けする長径波付け工程を有するこ
    とを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 上記工程(a)では、扁平比D/Wを
    0.80〜0.95の範囲とすることを特徴とする請求
    項12記載の方法。
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