JP2002282868A - 排水処理法 - Google Patents

排水処理法

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JP2002282868A
JP2002282868A JP2001090778A JP2001090778A JP2002282868A JP 2002282868 A JP2002282868 A JP 2002282868A JP 2001090778 A JP2001090778 A JP 2001090778A JP 2001090778 A JP2001090778 A JP 2001090778A JP 2002282868 A JP2002282868 A JP 2002282868A
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Shigeyuki Arai
重行 荒井
Kunio Sasamoto
邦夫 笹本
Keiichi Nara
桂市 奈良
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スケール発生を防止しつつ、殿物繰り返し中
和法において良好な沈殿物汚泥の濃縮が得られる排水処
理法の提供。 【解決手段】 Fe等の溶解金属成分を含む酸性の処理
原水を原水のpH以上でpH5.0までのpHに調整す
る第1工程;上記第1工程で得られたpH調整後の処理
原水と、第3工程から循環される沈殿物と、中和剤と
を、中和槽で混合・撹拌して該混合液を中性ないしアル
カリ性にし、溶解金属成分を沈殿させる第2工程;上記
第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を沈降槽に導入
し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出するととも
に、沈殿物を第2工程の中和槽に循環する第3工程;と
を有する排水処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉱山排水やある種
の工業排水のように、Fe等の溶解金属成分を含有する
酸性の排水を中和し、溶解金属成分を水酸化物として沈
降・分離して処理する排水処理方法に係わり、特に鉄酸
化細菌の作用による導水路のスケール発生を防止しつ
つ、殿物繰り返し中和法において良好な沈殿物汚泥の濃
縮が得られる排水処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】第一鉄イオン(Fe2+)等を含有するp
H3.5以下の酸性坑廃水の導水路では、鉄酸化細菌の
作用によってジャロサイト(H,Na,K)Fe3(O
H)6(SO42類似の鉄の酸化物から成るスケール
が、開水路あるいは管水路の内壁に発生し、水路の断面
の縮小、閉塞等のトラブルを引き起こす原因となる。こ
の問題を解決するために、導水路の上流側に消石灰ミル
ク等を添加し、坑廃水のpHを4〜6のレベルまで上げ
ることによって、鉄酸化細菌の作用を封じ、スケールの
発生を未然に防止する技術が開発されている。
【0003】上記のFe2+を含む酸性の坑廃水は、一般
に消石灰等で中和し、生成する水酸化鉄等の沈殿を沈降
分離する方法で処理される。この場合、従来から行われ
ている単純中和法の処理では、生成する沈殿物の汚泥
は、固体含有濃度が10〜20g/L程度と小さくて容
量が大きいため、その取り扱い、汚泥処分場の確保等に
多額の費用を要している場合が多い。これに対し、例え
ば米国特許第3738932号、特開平3−13798
7号公報、特開平4−176384号公報に開示されて
いるように、Fe等の溶解金属成分を含有する排水(処
理原水)を中和槽において消石灰で中和して、金属成分
を水酸化物として沈殿させ、さらに、この沈殿物を含む
懸濁液を沈降槽に導入して、沈殿物を沈降・濃縮し、沈
降槽で濃縮された沈殿物を含む高濃度懸濁液の一定量
を、処理原水を所望のpHにするに必要な消石灰が導入
されている条件槽に循環して添加し、上記沈降槽から余
剰の沈殿物を抜き出して脱水、堆積するとともに、沈降
槽からの溢流水を排出するようにした方法(以下、殿物
繰り返し中和法と言う)による処理が行われるようにな
った。この殿物繰り返し中和法によれば、沈殿物の汚泥
の固体含有濃度が、単純中和法による場合の10倍以上
の100〜300g/Lに増大し、以後の汚泥処分に伴
う問題は大きく改善された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、殿物繰り返し中
和法における沈殿物の濃縮の効率は、坑廃水等の処理原
水中の第一鉄の含有割合(Fe2+/全Fe)等の水質に
よって影響を受けることが知られている。そして実際に
上記のような導水路でのスケール発生防止のために坑廃
水のpHを高くする操作が行われ、中和処理する前の坑
廃水の水質が変わることによって、それに続く殿物繰り
返し中和法の処理における沈殿物汚泥の固体含有濃度が
低下する場合があることが判明した。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、スケール発生を防止しつつ、殿物繰り返し中和法に
おいて良好な沈殿物汚泥の濃縮が得られる排水処理法の
提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、坑廃水の導水路におけるスケール発生
防止のためのpH調整と、それに続く坑廃水の殿物繰り
返し中和法による処理で生成する沈殿物汚泥の固体含有
濃度との関係を確認するための試験を実施した。そし
て、この試験の結果、スケール発生防止のために行う導
水路上流側への消石灰ミルクの添加時に、坑廃水のpH
を5.0以上とすると、殿物繰り返し中和法による処理
で生成する沈殿物汚泥の固体含有濃度が低くなる傾向に
あり、一方、坑廃水のpHを、元のpH以上で5.0以
下、好ましくはpH4.0〜5.0の範囲とすることに
よって、導水路でのスケールの発生を防止すると同時
に、殿物繰り返し中和法による処理で生成する沈殿物汚
泥の固体含有濃度を高くすることができることを見出
し、本発明を完成させた。
【0007】本発明は、Fe等の溶解金属成分を含む硫
酸酸性の処理原水を原水のpH以上でpH5.0までの
pHに調整する第1工程と、上記第1工程で得られたp
H調整後の処理原水と、第3工程から循環される沈殿物
と、中和剤とを、中和槽で混合・撹拌して該混合液を中
性ないしアルカリ性にし、溶解金属成分を沈殿させる第
2工程と、上記第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液
を沈降槽に導入し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排
出するとともに、沈殿物を第2工程の中和槽に循環する
第3工程、とを有することを特徴とする排水処理法を提
供する。この排水処理法において、第1工程の処理原水
のpHを4.0〜5.0に調整することが好ましい。ま
た、この排水処理法において、pH処理前の処理原水
は、pH3.5以下の硫酸酸性排水とすることができ
る。さらに、この排水処理法において、上記中和剤は、
Ca(OH)2、MgO、CaO、CaCO3、NaOH
からなる群から選択される少なくとも1種、さらに好ま
しくはCa(OH)2を用いることができる。
【0008】また、本発明は、Fe等の溶解金属成分を
含む硫酸酸性の処理原水を、原水のpH以上でpH5.
0までのpHに調整する第1工程と、第4工程で循環さ
れる沈殿物と、処理原水を所望のpHにするために必要
な中和剤とを、条件槽で混合・撹拌し、混合懸濁液とす
る第2工程と、上記第1工程で得られたpH調整後の処
理原水と、上記第2工程で生成する混合懸濁液とを、中
和槽で混合・撹拌して該処理原液を中性ないしアルカリ
性にし、溶解金属成分を沈殿させる第3工程と、上記第
3工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を沈降槽に導入
し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出するととも
に、沈殿物を第2工程の条件槽に循環する第4工程、と
を有することを特徴とする排水処理法を提供する。この
排水処理法において、第1工程の処理原水のpHを4.
0〜5.0に調整することが好ましい。また、この排水
処理法において、pH処理前の処理原水は、pH3.5
以下の硫酸酸性排水とすることができる。さらに、この
排水処理法において、上記中和剤は、Ca(OH)2
MgO、CaO、CaCO3、NaOHからなる群から
選択される少なくとも1種、さらに好ましくはCa(O
H)2を用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明による排水処理法
の第1の形態を示すフロー図である。この形態では、
(1)Fe等の溶解金属成分を含む硫酸酸性の処理原水
を原水のpH以上でpH5.0までのpHに調整する第
1工程、(2)上記第1工程で得られたpH調整後の処
理原水と、第3工程から循環される沈殿物と、中和剤と
を、中和槽で混合・撹拌して該混合液を中性ないしアル
カリ性にし、溶解金属成分を沈殿させる第2工程、
(3)上記第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を沈
降槽に導入し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出す
るとともに、沈殿物を第2工程の中和槽に循環する第3
工程、とを有することを特徴としている。
【0010】第1工程においては、処理原水を原水のp
H以上でpH5.0までのpH、好ましくは4.0〜
5.0のpHに調整する。処理原水としては、Fe等の
溶解金属成分を含む硫酸酸性の坑廃水、ある種の工業排
水などが該当する。坑廃水の場合、元のpHは3.5以
下である場合が多く、またpHや含有する金属成分と含
有量はある程度変動する。含有される重金属の組成は、
処理原水が坑廃水の場合には、鉱山によって異なるが、
Feが多く、その他にMn,Zn,Pb,Cu,Alな
どの金属が含まれる。坑廃水の場合、鉄酸化細菌による
スケールの発生を防止するために、pHを4.0以上に
高めることが有効とされ、スケール発生防止のために導
水路上流側に消石灰ミルクなどの中和剤を添加して導水
路を通して排水処理設備に導いている。従って、このよ
うな坑廃水について本発明を適用する場合には、導水路
上流側に消石灰ミルクなどの中和剤を添加する際に、坑
廃水のpHが原水のpH以上でpH5.0までのpH、
好ましくは4.0〜5.0のpHに調整する。これによ
って、導水路のスケール発生が防止されるとともに、後
述する実施例において具体的な結果を示す通り、坑廃水
を5.0より高いpHに調整した場合と比較して、殿物
繰り返し中和法による処理で生成する沈殿物汚泥の固体
含有濃度を高くすることができる。この坑廃水などの処
理原水のpH調整に用いられるpH調整剤(中和剤)と
しては、Ca(OH)2、MgO、CaO、CaCO3
NaOHからなる群から選択される少なくとも1種、さ
らに好ましくはCa(OH)2を用いることができる。
【0011】第2工程は、上記第1工程で得られたpH
調整後の処理原水と、第3工程から循環される沈殿物
と、中和剤とを、中和槽で混合・撹拌して該混合液を中
性ないしアルカリ性にし、溶解金属成分を沈殿させる。
第3工程から循環される沈殿物は液状であり、固形物の
濃縮度合によって、水に近いものから濃密なスラリー状
まで、その固形物含量と粘度は変化する。ここで使用さ
れる中和槽は、特に限定されず、密閉式タンク槽、開放
式撹拌槽など、必要な処理原水の処理能力に応じて適宜
選択使用され得る。中和剤としては、Ca(OH)2
MgO、CaO、CaCO3、NaOHからなる群から
選択される少なくとも1種、さらに好ましくはCa(O
H)2を用いることができる。中和後の混合液のpH
は、処理原水に含まれるFe等の溶解金属が水酸化物と
なって沈殿するために必要なpH範囲、好ましくは6〜
11程度、さらに好ましくは7〜9とされる。
【0012】第3工程では、上記第2工程で生成する沈
殿物を含む懸濁液を、シックナーなどの沈降槽に導入
し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出するととも
に、沈殿物を第2工程の中和槽に循環する。後述する実
施例において、中和後の沈殿物を含む懸濁液をメスシリ
ンダーに入れて放置し、沈殿物の沈降状態を観察した結
果では、上澄液から沈殿物の界面が沈降する降下速度
(沈降速度)は、沈殿物の濃縮が進んだ状態でも十分良
好であった。沈殿物の沈降をより促進するため、水処理
の分野で周知の各種凝集剤を添加することもできる。
【0013】これらの工程を繰り返し行うことによっ
て、沈殿物の汚泥の固体含有濃度が上昇し、単純中和法
(沈殿物の循環を行わない場合)の場合の10倍以上に
相当する100〜300g/Lにまで増大させることが
できる。沈殿物の汚泥は、一定の処理期間の終了毎に、
或いは汚泥が適当な固体含有濃度に達した時点で中和槽
への循環を行いながら余剰分を沈降槽から抜き出し、そ
のまま直接、もしくは脱水機にかけて脱水処理し、堆積
または埋立て処分される。
【0014】図2は、本発明による排水処理法の第2の
形態を示すフロー図である。この形態では、(a)Fe
等の溶解金属成分を含む硫酸酸性の処理原水を、原水の
pH以上でpH5.0までのpHに調整する第1工程
と、(b)第4工程で循環される沈殿物と、処理原水を
所望のpHにするために必要な中和剤とを、条件槽で混
合・撹拌し、混合懸濁液とする第2工程と、(c)上記
第1工程で得られたpH調整後の処理原水と、上記第2
工程で生成する混合懸濁液とを、中和槽で混合・撹拌し
て該処理原液を中性ないしアルカリ性にし、溶解金属成
分を沈殿させる第3工程と、(d)上記第3工程で生成
する沈殿物を含む懸濁液を沈降槽に導入し、沈殿物を沈
降・濃縮し、上澄水を排出するとともに、沈殿物を第2
工程の条件槽に循環する第4工程、とを有することを特
徴としている。
【0015】(a)第1工程は、前述した第1の形態中
の第1工程と同じであり、(c)の第3工程は、前述し
た第1の形態中の第2工程とほぼ同じであり、(d)の
第4工程は、前述した第1の形態中の第3工程と同じで
ある。
【0016】(b)第2工程は、第4工程で分離された
沈殿物の汚泥を条件槽に循環し、処理原水を所望のpH
にするために必要な中和剤を加え、この条件槽で混合・
撹拌し、混合懸濁液とする。図1に示した第1の形態
と、図2に示した第2の形態は、処理原水の量と性質
(含有金属の濃度、含有金属組成など)、処理設備の規
模などの諸条件に応じて適宜使い分けることができる。
【0017】なお、本発明は上述した各形態に限定され
ることなく、種々変更が可能である。例えば、特開平3
−137987号公報に開示された通り、以下の各工
程: (1)第4工程で循環される高濃度懸濁液と、処理原水
を所望のpHにするために必要な消石灰とを、条件槽で
混合撹拌し、混合懸濁液とする第1工程と、(2)処理
原水と、上記第1工程で生成する混合懸濁液とを、中和
槽で混合・撹拌して該処理原水を中性ないしアルカリ性
にし、溶解金属成分を沈殿させる第2工程と、(3)上
記第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を第1沈降槽
に導入し、沈殿物を沈降・濃縮すると同時に、余剰の沈
殿物が溢流水に含まれてやや高い濃度の懸濁液として排
出される第3工程と、(4)上記第1沈降槽において濃
縮された沈殿物を高濃度懸濁液として抜き出し、これを
第1工程の条件槽に循環する第4工程と、(5)上記第
3工程で沈降槽から排出されるやや高い濃度の懸濁液に
凝集剤を添加し、凝集反応槽で沈殿物を凝集させる第5
工程と、(6)上記第5工程で沈殿物を凝集させた懸濁
液を、第2沈降槽に導入して沈殿物を沈降・分離し、清
澄な処理水を排出する第6工程、を有する排水処理法に
おいて、本発明を適用することもできる。 また、特開平4−176384号公報に開示された通
り、以下の工程: ・第4工程で循環される高濃度懸濁液と、処理原水を所
望のpHにするために必要な消石灰とを、条件槽で混合
撹拌し、混合懸濁液とする第1工程と、 ・上記処理原水と、上記第1工程で生成する混合懸濁液
とを、中和槽で混合・撹拌して該処理原水を中性ないし
アルカリ性にし、溶解金属成分を沈殿させる第2工程
と、 ・上記第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を第1沈
降槽に導入し、沈殿物を沈降・濃縮すると同時に、第1
沈降槽から余剰沈殿物が含まれた溢流水を排出する第3
工程と、 ・上記第1沈降槽において濃縮された沈殿物を高濃度懸
濁液として抜き出し、これを第1工程の条件槽に循環す
る第4工程と、 ・上記第1沈降槽から排出された溢流水に、第1沈降槽
から抜き出した余剰の高濃度懸濁液の一定量を添加して
混合槽で混合・撹拌して、混合懸濁液とする第5工程
と、 ・第5工程で生成された混合懸濁液を凝集反応槽に導
き、これに凝集剤を添加して上記混合懸濁液中の沈殿物
を凝集させる第6工程、 ・第6工程で沈殿物を凝集させた懸濁液を、第2沈降槽
に導いて沈殿物を沈降・分離し、上澄み液を清澄な処理
水として排出する第7工程、を有する排水処理法におい
て、本発明を適用することもできる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を実証す
る。本実施例は例示に過ぎず、本発明は本実施例にのみ
限定されるものではない。なお、実施例中、「殿物」又
は「沈降殿物」とあるのは、沈殿物の汚泥を意味し、
「原水」又は「坑廃水」は処理原水又はpH調整後の処
理原水を意味する。
【0019】(実施例)非鉄金属鉱山からの坑廃水を処
理原水とし、坑廃水を流す導水路上流でスケール発生防
止のために消石灰ミルクを添加し、pHを4.0〜5.
0に調整し、下流側の排水処理施設に流下してきた坑廃
水を採取し、図3に示す殿物繰り返し中和法を平成12
年8月4日から9月14日まで毎日実施した。
【0020】図3に示すように、上流側での消石灰ミル
クの添加によってpH4.0〜5.0の範囲内にpH調
整された原水4Lをビーカーに採取し、これに消石灰を
添加してpH9.5とし(中和)、沈降した殿物の容積
を測定可能なメスシリンダーに移し、20時間静置し
た。静置後、ほぼ2Lの無色透明な上澄水と、2Lの沈
降殿物を含む下層部分とに分かれた。上澄水は廃棄し
た。容器に残った沈降殿物を含む部分(約2L)をビー
カーに移して、予定量よりやや少ない量の中和剤(消石
灰)を20分間にわたり撹拌しながら混合し、この混合
物に、第2日目に採取した新たな原水4Lを入れて混合
し、20分間撹拌しながら消石灰を加え、pH9.5に
調整(中和)し、その後、メスシリンダーに移して20
時間静置した。静置後、ほぼ4Lの無色透明な上澄水
と、2Lの沈降殿物を含む下層部分とに分かれ、上澄水
は廃棄した。この2Lの沈降殿物を含む部分をビーカー
に移し、中和剤(消石灰)を20分間にわたり撹拌しな
がら混合し、この混合物と、第3日目に採取した新たな
原水4Lを加えて混合し、第2日目と同様にして中和
後、同じくメスシリンダーに移して20時間静置した。
この2Lの沈降殿物を含む部分と消石灰の混合物に採取
した原水4Lを加え、中和、静置、および分離した上澄
水の廃棄を毎日繰り返し行った。原水pH、中和pH、
沈降速度、沈降容積を毎日測定するとともに、適当な間
隔で新生中和殿物濃度を測定し、累積殿物重量、殿物濃
度、圧密濃度を算出した。その結果を表1と表2にまと
めた。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表1と表2の測定項目のうち、「原水p
H」は、試験場で採取した原水のpHである。この原水
は、上述した通り上流側で消石灰の添加によってpH調
整を行った後の原水である。なお、pH調整前の原水の
pHは、毎日若干の変動はあるが、概ねpH3.0〜
3.5程度であった。「中和pH」とは、原水4Lを殿
物2Lと消石灰を加えて中和した混合液(20時間静置
する混合液)のpHである。「新生中和殿物濃度」、
「累積殿物重量」、「殿物濃度」及び「圧密濃度」は、
殿物繰返しの操作とは別に原水5.0Lを採り、消石灰
を加えてpH9.5に中和し、生成した殿物を脱水、乾
燥し、乾燥殿物重量を求め、この乾燥殿物重量から算出
した。この測定は表1と2の実測日(表中○印で示し
た)のみ実施し、その間の日は計算により求めた。「新
生中和殿物濃度」は、新たに加えた原水4Lから生成し
た沈殿物の殿物濃度(g/L)である。「累積殿物重
量」は、中和した混合液中の殿物重量(g)である。
「殿物濃度」は、中和した混合液中の殿物濃度(g/
L)である。「圧密濃度」は、沈降した殿物部分のみの
殿物濃度(g/L)である。「沈降速度」は、中和した
混合液をメスシリンダーに移して静置した際に、殿物が
上澄水から分かれて沈降する殿物界面の沈降速度であ
る。「沈降容積」は、20時間静置後の液の全容積に占
める沈降殿物の容積を%で示した。
【0024】測定最終日の中和殿物濃度の実測定は、次
のように行った。9月14日、20時間静置後の液の沈
降容積18.2%を測定後、上澄水を抜き出し、下部
1.5Lを分取した。下部1.5Lをよく撹拌し、そこ
から100mLを取り、乾燥殿物重量7.951gを測
定した。この値より、元の5.82Lの中和液の殿物濃
度および翌日静置後の圧密濃度は次のようになる。 7.951g÷0.1L×1.5L=119.265g
(累積殿物重量) 119.265g÷5.82L=20.49g/L(最
終殿物濃度) 20.49g/L÷0.182=112.6g/L(最
終圧密濃度)
【0025】(比較例)同じ坑廃水について、上記実施
例の試験に続けて、坑廃水のpHが5.0〜6.0の範
囲となるように、坑廃水を流す導水路上流で消石灰ミル
クを添加し、下流側の排水処理施設に流下してきた坑廃
水を採取し、上記実施例と同じ条件で殿物繰り返し中和
法を平成12年9月14日から10月25日まで毎日実
施した。その結果を表3と表4にまとめた。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】これらの表3,4において、各測定項目の
測定方法、測定条件は、実施例の場合と同じである。表
4中、「抜出」とあるのは、この比較例では殿物の圧密
濃度があまり高くならず、沈降容積が大きくなったため
に、沈降容積が2.0Lを越えないように適宜殿物を抜
き出して試験を続行したことを示している。「抜出」に
続く数値は、抜き出した殿物重量である。
【0029】比較例の試験最終日(10月24日)の最
終中和殿物濃度の実測定は、次のように行った。10月
24日、静置後の中和液の沈降容積28.11%を測定
後、上澄水を抜き出し、下部1.79Lを分取した。下
部1.79Lをよく撹拌し、そこから100mLを取
り、乾燥殿物重量3.812gを測定した。この値よ
り、元の5.84Lの中和液の殿物濃度および翌日静置
後の圧密濃度は次のようになる。 3.812g÷0.1L×1.79L=68.23g
(累積殿物重量) 68.23g÷5.84L=11.68g/L(最終殿
物濃度) 11.68g/L÷0.2811=41.55g/L
(最終圧密濃度)
【0030】(試験結果)図4は、表1及び表2に示し
た実施例(調整pH4.5と記載)の殿物濃度と圧密濃
度、比較例(調整pH5.5と記載)の殿物濃度と圧密
濃度、及び平成5年に測定したpH未調整の原水を用い
た場合の殿物濃度と圧密濃度の経時変化を示すグラフで
ある。なお、平成5年度(H5年と記してある)に実施
した試験では、坑廃水にスケール発生防止のためのpH
調整を行っておらず、採取した原水は、pH3.0〜
3.5であった。このグラフから分かるように、実施例
(調整pH4.5)での圧密濃度(−□−)は、繰り返
し回数の増加にしたがって密度の上昇が見られ、一方、
比較例(調整pH5.5)での圧密濃度(−▲−)は、
繰り返し回数18回付近(スラリー濃度は40g/L付
近)で上昇が頭打ちになった。比較例では、圧密濃度の
頭打ちに伴う殿物の容積増加のために、5回の抜出し
(図中↓で示した)を行わなければならなかったのに対
し、実施例では圧密濃度が順調に増加し、抜出しの必要
がなかった。
【0031】また、殿物濃度に関しても、実施例(−■
−)の殿物濃度は、比較例(−△−)よりも高くなっ
た。なお、pH未調整の原水における殿物濃度と圧密濃
度は、実施例の値に一見類似しているが、pH未調整の
原水の場合には、スケール発生防止の効果が得られてい
ない。この結果、実施例では、導水路のスケールの発生
を防止すると同時に、殿物繰り返し中和法の処理による
沈殿物汚泥の濃縮が良好に進行することが判明した。
【0032】図5は、実施例と比較例の沈降速度を比較
したグラフである。実施例の沈降速度(−○−)は、比
較例(−□−)よりも大きく、圧密濃度か高まった後半
においても実用上十分な沈降速度が得られることが分か
った。
【0033】図6は、実施例と比較例における殿物の沈
降容積率を比較したグラフである。沈降容積(%)は、
中和液全体(ほぼ6L)に占める殿物容積の割合を示
し、この値が小さいほど、殿物の濃縮が良好となる。実
施例(−○−)の沈降容積は、低い値で安定している。
一方、比較例では、沈降容積が繰り返し回数の増加に伴
って増加し、殿物容積の増大のために5回の抜出しを実
施しなければならなかった。この結果から、実施例で
は、殿物の濃縮が十分に行われ、安定した殿物繰り返し
中和法を実行できることが分かる。
【0034】(水質分析結果)表5に、実施例で用いた
原水と分離した上澄水の、表6に、比較例で用いた原水
と分離した上澄水の水質分析結果をそれぞれ示す。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】試験に用いた原水は、Feがほぼ200m
g/L、Cuがほぼ3〜5mg/L、Znがほぼ40m
g/L、Mnがほぼ50mg/L、硫酸イオンがほぼ1
500〜2000mg/L含まれていた。実施例、比較
例の実施期間に、導水路のスケール発生は見られなかっ
た。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
処理原水を原水のpH以上でpH5.0までのpHに調
整して殿物繰り返し中和法を実行することによって、F
e等の溶解金属成分を含む硫酸酸性の処理原水を流す導
水路におけるスケールの発生を防止できると同時に、殿
物繰り返し中和法の処理による沈殿物汚泥の濃縮が高い
効率で進行する優れた排水処理法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排水処理法の第1の例を示すフロー
図である。
【図2】 本発明の排水処理法の第2の例を示すフロー
図である。
【図3】 実施例の試験方法を説明するためのフロー図
である。
【図4】 実施例の結果を示し、実施例と比較例及びp
H未調整の原水を用いた場合の殿物濃度及び圧密濃度の
経時変化を示すグラフである。
【図5】 実施例の結果を示し、実施例と比較例の沈降
速度の経時変化を示すグラフである。
【図6】 実施例の結果を示し、実施例と比較例の沈降
容積の経時変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奈良 桂市 秋田県鹿角市尾去沢字軽井沢46番地1 尾 去沢鉱山株式会社内 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB66 AB84 BB13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe等の溶解金属成分を含む酸性の処理
    原水を原水のpH以上でpH5.0までのpHに調整す
    る第1工程と、 上記第1工程で得られたpH調整後の処理原水と、第3
    工程から循環される沈殿物と、中和剤とを、中和槽で混
    合・撹拌して該混合液を中性ないしアルカリ性にし、溶
    解金属成分を沈殿させる第2工程と、 上記第2工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を沈降槽に
    導入し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出するとと
    もに、沈殿物を第2工程の中和槽に循環する第3工程、 とを有することを特徴とする排水処理法。
  2. 【請求項2】 上記第1工程において、処理原水のpH
    を4.0〜5.0に調整することを特徴とする請求項1
    に記載の排水処理法。
  3. 【請求項3】 pH処理前の処理原水がpH3.5以下
    の硫酸酸性排水である請求項1または2に記載の排水処
    理法。
  4. 【請求項4】 上記中和剤が、Ca(OH)2、Mg
    O、CaO、CaCO3、NaOHからなる群から選択
    される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載の排水処理法。
  5. 【請求項5】 Fe等の溶解金属成分を含む酸性の処理
    原水を、原水のpH以上でpH5.0までのpHに調整
    する第1工程と、 第4工程で循環される沈殿物と、処理原水を所望のpH
    にするために必要な中和剤とを、条件槽で混合・撹拌
    し、混合懸濁液とする第2工程と、 上記第1工程で得られたpH調整後の処理原水と、上記
    第2工程で生成する混合懸濁液とを、中和槽で混合・撹
    拌して該処理原液を中性ないしアルカリ性にし、溶解金
    属成分を沈殿させる第3工程と、 上記第3工程で生成する沈殿物を含む懸濁液を沈降槽に
    導入し、沈殿物を沈降・濃縮し、上澄水を排出するとと
    もに、沈殿物を第2工程の条件槽に循環する第4工程、 とを有することを特徴とする排水処理法。
  6. 【請求項6】 上記第1工程において、処理原水のpH
    を4.0〜5.0に調整することを特徴とする請求項5
    に記載の排水処理法。
  7. 【請求項7】 pH処理前の処理原水がpH3.5以下
    の硫酸酸性排水である請求項5または6に記載の排水処
    理法。
  8. 【請求項8】 上記中和剤が、Ca(OH)2、Mg
    O、CaO、CaCO3、NaOHからなる群から選択
    される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5
    ないし7のいずれか1項に記載の排水処理法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103482784A (zh) * 2013-09-17 2014-01-01 孔建美 一种钾长石酸浸除铁废水处理方法
CN104310649A (zh) * 2014-10-28 2015-01-28 中冶南方工程技术有限公司 不锈钢硫酸酸洗废液金属元素的回收工艺
WO2016006118A1 (ja) * 2014-07-07 2016-01-14 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 坑廃水の浄化方法、坑廃水の浄化システム及び坑廃水の浄化剤
JP2021020164A (ja) * 2019-07-27 2021-02-18 三菱マテリアル株式会社 鉛含有坑外水の処理方法

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