JP2002280379A - 絶縁薄膜用の多孔性シリカ薄膜 - Google Patents

絶縁薄膜用の多孔性シリカ薄膜

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JP2002280379A
JP2002280379A JP2001074265A JP2001074265A JP2002280379A JP 2002280379 A JP2002280379 A JP 2002280379A JP 2001074265 A JP2001074265 A JP 2001074265A JP 2001074265 A JP2001074265 A JP 2001074265A JP 2002280379 A JP2002280379 A JP 2002280379A
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hardness
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Hiroyuki Hanabatake
博之 花畑
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性シリカ薄膜の比誘電率が低く、半導体
素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える機械
的強度を有する多孔性シリカ薄膜を提供する。 【解決手段】 密度が0.5〜1.5で、密度(d)
と、ヤングモジュラス(E)と硬度(H)との関係が下
記関係式(1)および(2)で表され、アルキル基及び
/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に対し5〜
100モル%であることを特徴とする表面平滑な多孔性
シリカ薄膜。 2.0+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(1) 0.3+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度、(E)
はヤングモジュラスを示す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁薄膜用の多孔
性シリカ薄膜に関するものであって、さらに詳しくは、
比誘電率が低く、銅配線形成工程における化学機械研磨
(CMP)工程における材料耐性に極めて優れた多孔性
シリカ薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優
れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材
料などに幅広く用いられている。例えば近年、多孔性の
シリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集め
ている。LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構
造体用の絶縁薄膜素材としては、従来緻密なシリカ膜が
一般的に用いられてきた。しかし近年、LSIの配線密
度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上
の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶
縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その
結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著とな
るため、問題となっている。このような問題を解決する
ため、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘電率
のより低い物質が強く求められている。一方、配線材料
として、従来のアルミニウムに代わって、より低抵抗な
銅が使われ始めている。
【0003】多孔性のシリカ薄膜を製造する方法とし
て、特開平4-285081号公報には、アルコキシシ
ランのゾル-ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させ
て行い、一旦シリカ/有機ポリマー複合体を製造し、そ
の後で有機ポリマーを除去して、均一な孔径を有する多
孔性のシリカを得る方法が開示されている。特開平5-
85762号公報や国際公開(WO)第99/0392
6号パンフレットにも、アルコキシシランと有機ポリマ
ーの混合系から、誘電率が極めて低く、均一細孔および
細孔分布を持った多孔性のシリカを得ようとする方法が
開示されている。
【0004】さらに、特開平10-25359号公報、
および特公平7-88239号公報には、アルコキシシ
ランを含む金属アルコキシドのオリゴマー中に有機ポリ
マー微粒子を分散させて、ゲルを生成し、引き続き有機
ポリマー微粒子を焼成除去して、細孔系を制御した多孔
性のシリカを得る方法も報告されている。しかしなが
ら、これらの方法でもCMP工程に耐えるような、十分
な機械的強度を有する多孔性シリカは得られていない状
況にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明は、上記
問題を解決するものであって、多孔性シリカ薄膜の比誘
電率が低く、半導体素子の銅配線工程におけるCMP工
程に十分耐える多孔性シリカ薄膜を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべ
く、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、密度が0.5
〜1.5g/cm3で、密度と硬度との関係が下記関係
式(1)で表されることを特徴とする多孔性シリカ薄膜
であって、さらに、密度とヤングモジュラスとの関係が
下記関係式(2)で表されることを特徴とする多孔性シ
リカ薄膜が、上記課題を解決することを見出し本発明を
完成した。 0.3+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示す。〕 2.0+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Eは薄膜のヤングモジュラスを示す。〕 さらに、本発明では、多孔性シリカ薄膜中のアルキル基
及び/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に対し
5〜100モル%とすることで、吸湿性の改善も達成し
た。そして、本発明の多孔性シリカ薄膜は表面平滑性に
優れる効果をも有する。
【0007】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の多孔性シリカとは、平均孔径15nm以下の空隙
が均一に分散した状態のシリカであって、シリカとは、
珪素酸化物(SiO2 )のほかに珪素上に炭化水素や水
素原子を有する、R1 x y SiO(2-(x+y)/2) (式
中、R1 は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状ア
ルキル基、または芳香族基を表し、0≦x≦2、0≦y
≦2である。)で表されるものを含む。本発明の多孔性
シリカ薄膜は、薄膜の密度が0.5〜1.5g/cm3
である。さらに、密度が0.7〜1.2g/cm3の範
囲にあると、ヤングモジュラス、硬度と比誘電率とのバ
ランス上より好ましい。
【0008】密度が0.5より小さいと薄膜はCMP工
程に耐えなくなる。逆に密度が1.5を超えると比誘電
率が高くなりすぎて好ましくない。また、本発明の多孔
性シリカ薄膜は上記した密度の範囲におけるヤングモジ
ュラスと硬度が、以下の関係式(1)(2)で表される
ことを特徴としている。 0.3+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示す。〕 2.0+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度(g/cm)、Hは薄膜の硬度(GPa)を 示す。〕 上記した条件においてのみ本発明の課題である比誘電率
が低く、CMP工程に耐えること(CMP耐性)が可能
となる。
【0009】尚、本発明においてCMP工程とは、エッ
チング加工により形成された絶縁薄膜中の溝に配線とな
る銅を埋め込む場合に、どうしても残ってしまう絶縁薄
膜上の余分の銅を表面を研磨して平坦化する工程のこと
である。この工程では、絶縁薄膜のみならず、該薄膜上
のバリヤー薄膜(通常は絶縁薄膜上に数百〜数千ÅのP
-TEOSと呼ばれる酸化ケイ素を堆積させる)の両方
に、圧縮応力とシェア応力とがかかるため、絶縁薄膜に
は機械的強度が必要とされるのである。従って、本発明
のヤングモジュラスを満足する多孔性薄膜はCMP工程
中にかかる応力に対する抵抗力が強く、薄膜自体の塑性
的な破壊が起こらない。
【0010】また、本発明の硬度を満足する多孔性薄膜
は、CMP工程中の応力に対して薄膜自体の変形が少な
く、硬度の異なるバリヤー膜との間で応力歪みが生じ難
くく、バリヤー膜の剥離や破壊など起こらない。尚、本
発明における硬度とは、後述するようにインデンテーシ
ョン法により求められるP(押し込み深さが膜厚の10
%における荷重)とA(そのときの圧子の作用領域)の
比である。また、本発明におけるヤングモジュラス(E
s)とは、圧子を押し込んだ後の薄膜の反発応力のこと
である。
【0011】本発明の多孔性シリカ薄膜が構造中に空孔
を有するにもかかわらずこのような高ヤングモジュラ
ス、高硬度を発現する理由については明確ではないが、
空孔径分布などが従来の膜に比してより狭くなったから
と考えられる。本発明の多孔性シリカ薄膜は、構造中に
アルキル基及び/又はアリール基を全ケイ素原子数に対
し5〜100モル%含有することを特徴としており、こ
れによって吸湿性が著しく改善される。
【0012】アルキル基及び/又はアリール基が5モル
%以下であると、薄膜が吸湿性になり、薄膜の比誘電率
が上昇するので好ましくない。逆にこれらの基が100
モル%を超えると、所望するような薄膜硬度が得られな
い。アルキル基及び/又はアリール基の含有量が10〜
90モル%であると、低吸水性と本発明の他の効果との
バランス上より好ましい。
【0013】本発明のアルキル基及び/又はアリール基
として好ましい基は、具体的にはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、フェニル基などが挙げられる。
アルキル基および/またはアリール基は、後述するよう
に出発原料に使用するアルコキシシランのケイ素原子上
にアルキル基が結合したものを用いて導入するか、また
は成膜後にアルキルシラザンまたはアルキルシラン処理
して導入するかの二つの方法を具体的にあげることがで
きる。
【0014】ケイ素原子上にアルキル基またはアリール
基が結合した例として、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシ
ラン、メチルトリ-iso-プロポキシシラン、メチルト
リ-n-ブトキシシラン、メチルトリ-sec-ブトキシシ
ラン、メチルトリ-tert-ブトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル
トリ-n-プロポキシシラン、エチルトリ-iso-プロポ
キシシラン、エチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルト
リ-sec-ブトキシシラン、エチルトリ-tert-ブト
キシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロ
ピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリ-n-プロポ
キシシラン、n-プロピルトリ-iso-プロポキシシラ
ン、n-プロピルトリ-n-ブトキシシラン、n-プロピル
トリ-sec-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-ter
t-ブトキシシラン、i-プロピルトリメトキシシラン、
i-プロピルトリエトキシシラン、i-プロピルトリ-n-
プロポキシシラン、i-プロピルトリ-iso-プロポキ
シシラン、i-プロピルトリ-n-ブトキシシラン、i-プ
ロピルトリ-sec-ブトキシシラン、i-プロピルトリ-
tert-ブトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラ
ン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチルトリ-n-
プロポキシシラン、n-ブチルトリ-iso-プロポキシ
シラン、n-ブチルトリ-n-ブトキシシラン、n-ブチル
トリ-sec-ブトキシシラン、n-ブチルトリ-tert
-ブトキシシラン、n-ブチルトリフェノキシシラン、s
ec-ブチルトリメトキシシラン、sec-ブチル-i-ト
リエトキシシラン、sec-ブチル-トリ-n-プロポキシ
シラン、sec-ブチル-トリ-iso-プロポキシシラ
ン、sec-ブチル-トリ-n-ブトキシシラン、sec-
ブチル-トリ-sec-ブトキシシラン、sec-ブチル-
トリ-tert-ブトキシシラン、t-ブチルトリメトキ
シシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルト
リ-n-プロポキシシラン、t-ブチルトリ-iso-プロ
ポキシシラン、t-ブチルトリ-n-ブトキシシラン、t-
ブチルトリ-sec-ブトキシシラン、t-ブチルトリ-t
ert-ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ-n-プ
ロポキシシラン、フェニルトリ-iso-プロポキシシラ
ン、フェニルトリ-n-ブトキシシラン、フェニルトリ-
sec-ブトキシシラン、フェニルトリ-tert-ブト
キシシランなどが挙げられる。この中で特に好ましい化
合物はメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シランである。アルコキシシラン類の部分加水分解物を
原料としてもよい。
【0015】本発明では上記のアルコキシシラン類以外
に、以下のアルコキシシランを混合して用いてもよい。
例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル
ジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メ
チルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキ
シシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフ
ェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシ
ランなどのケイ素原子上に2個のアルキル基またはアリ
ール基が結合したアルキルシラン、ビス(トリメトキシ
シリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、
1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2-ビ
ス(トリエトキシシリル)エタン、1,4-ビス(トリ
メトキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリエトキ
シシリル)ベンゼンなどの6官能性のアルキレンシラ
ン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシ
シラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのケイ素原
子上に水素原子をもったものも用いることもできる。
【0016】次に成膜後にアルキルシラザンまたはアル
キルシラン処理する場合に用いることのできる化合物の
例を挙げる。たとえば、ヘキサメチルジシラザン、N,
N’ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチル
シリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミ
ン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリ
ルイミダゾールなどのシラザン類、トリメチルメトキシ
シラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキ
シシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメ
トキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェ
ニルエトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラ
ン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチ
ルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシランな
どのケイ素原子上に3個のアルキル基またはアリール基
を持ったアルキルシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチル
ジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メ
チルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエト
キシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、エチル
フェニルジエトキシシランなどのケイ素原子上に2個の
アルキル基またはアリール基を持ったアルキルシラン、
さらに、前述したケイ素原子上に1個のアルキル基また
はアリール基を持ったアルコキシシランが挙げられる
が、この中ではメチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシランが好ましい。またメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエ
トキシシランなどのケイ素原子上に水素原子をもったも
のも用いることもできる。
【0017】さらに、ビス(トリメトキシシリル)メタ
ン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス
(トリメトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリエ
トキシシリル)エタン、1,4-ビス(トリメトキシシ
リル)ベンゼン、1,4-ビス(トリエトキシシリル)
ベンゼンなどの化合物を用いてもよい。尚、本発明の多
孔質シリカ薄膜中のアルキル基及び/又はアリール基の
含有量は、アルキル基及び/又はアリール基で置換した
アルコキシシランを出発原料に用いて導入する場合に
は、原料中の全ケイ素原子のモル数に対するアルキル基
等の結合したケイ素原子のモル数の比で表し、アルキル
シラザン等で処理して導入する場合には、29Si−NM
Rによってその含有量を測定する。測定方法の詳細は実
施例中に記載する。
【0018】次に、本発明の多孔性シリカ薄膜の製造方
法について説明するが、本発明は以下の記載に制限され
るものではない。本発明の多孔性シリカ薄膜は、シリカ
薄膜の前駆体(以下、シリカ前駆体と称する)と有機ポ
リマーを主成分とする塗布液を塗布した後、有機ポリマ
ーを除去することによって製造されるものである。はじ
めに、塗布液について説明する。塗布液に含有されるシ
リカ前駆体は、アルコキシシランを原料としたものが好
ましい。
【0019】本発明において用いることができるアルコ
キシシランの具体的な例としては、前述したような吸湿
性を制御する場合に用いられるアルコキシシラン以外
に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラ(n-プロポキシ)シラン、テトラ(i-プロポキ
シ)シラン、テトラ(n-ブトキシ)シラン、テトラ
(t-ブトキシ)シランなどが挙げられる。これらの中
で、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが
好ましい。混合する量は、原料のアルコキシシラン類の
全モル数のうち80モル%以下となるようにする。80
モル%を超えるとゲル化しない場合がある。
【0020】シリカ前駆体の原料であるアルコキシシラ
ンは塗布液中では、主として加水分解された状態で存在
している。加水分解には水が必要である。アルコキシシ
ランに対する水の添加は液体のまま、あるいはアルコー
ルや水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の
形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行うと、ア
ルコキシシランの種類によっては加水分解が速すぎ、更
に縮合反応がおこり沈殿を生じる場合があるため、水の
添加に充分な時間をかける、均一化させるためにアルコ
ールなどの溶媒を共存させる、低温で添加する、などの
手法が単独または組み合わせて用いられる。添加する水
の量は、用いるアルコキシシラン中のアルコキシ基1モ
ルに対して、0.2〜5モルの水を用いるのが好まし
い。0.5〜4モルの水の量が特に好ましい。
【0021】アルコールは上記の理由で、水とともに添
加しても良い。その場合、アルコールの量は水の量に対
して、0.01〜5倍、好ましくは0.1〜4倍であ
る。アルコール種として、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノ
ール、s−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブ
タノール、n−ペンタノール、3−ペンタノール、n−
ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、
n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール
などが挙げられる。これ以外に、n−アミルアルコー
ル、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ア
リルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルア
ルコール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノー
ル、グリシドール、シクロヘキサノール、3,5−ジメ
チル−1−ヘキシン−3−オール、テトラヒドロフルフ
リルアルコール、α−テルピネオール、ネオペンチルア
ルコール、ノナノール、フーゼル油、フルフリルアルコ
ール、プロパギルアルコール、2−ヘプタノール、3−
ヘプタノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキ
サノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−
2−ブタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オー
ル、4−メチル−2−2ペンタノール、3−メチル−1
−ペンチン−3−オールなどを用いても良い。
【0022】以上のように、上記のアルコキシシラン化
合物から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランは
塗布液中で、水の存在化、加水分解してシラノールにな
り、さらに、その一部はシラノール基間の縮合反応によ
りシロキサン結合を有するオリゴマー状態としても存在
する。塗布液中で、あらかじめアルコキシシランがオリ
ゴマー状で存在することは、本発明の効果がよりよく発
現されるので好ましい。
【0023】次に、本発明の塗布液中に含有される有機
ポリマーについて説明する。本発明で好適に用いられる
有機ポリマーとしては、後述するような加熱焼成によっ
て塗布膜が多孔性シリカ薄膜に変換する場合に、熱分解
温度が低く、かつシリカ前駆体およびシリカとの相溶性
が適度に良好な、直鎖状または分岐状の2元以上のブロ
ックコポリマーで、ブロック部が炭素数1〜8の直鎖状
および環状のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする
ポリマーであり、該ブロックコポリマー単位をポリマー
全体の60重量%以上含むものである。
【0024】ここで、相溶性が適度に良好であるとは、
本発明で使用する有機ポリマーが、シリカ前駆体および
シリカとの親和性が良好なもののことを言う。両者の親
和性が適度に良好であると、シリカ前駆体とポリマー間
での相分離状態が制御され、その後の工程で有機ポリマ
ーがシリカから抜き去られて多孔体が形成される場合に
大きなボイドがなく、多孔性薄膜のヤングモジュラスや
硬度が高くなるからである。
【0025】具体的な有機ポリマーとしては、ポリエチ
レングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロ
ックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプ
ロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレング
リコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の3元ブ
ロックコポリマーが挙げられる。さらに、グリセロー
ル、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチト
ール、ペントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプト
ースなどに代表される糖鎖に含まれるヒドロキシル基の
うちの少なくとも3つと有機ポリマー鎖が結合した構
造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル
基とカルボキシル基のうち少なくとも3つがブロックコ
ポリマー鎖が結合した構造であることが好ましい。具体
的には分岐状のグリセロールポリエチレングリコールポ
リプロピレングリコール、エリスリトールポリエチレン
グリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリ
コールなどが含まれる。
【0026】上記の糖鎖以外の具体的な例としては、ソ
ルビトール、マンニトール、キシリトール、スレイトー
ル、マルチトール、アラビトール、ラクチトール、アド
ニトール、セロビトール、グルコース、フルクトース、
スクロース、ラクトース、マンノース、ガラクトース、
エリスロース、キシルロース、アルロース、リボース、
ソルボース、キシロース、アラビノース、イソマルトー
ス、デキストロース、グルコヘプトースなどが挙げられ
る。ヒドロキシル酸の具体的な例としてはクエン酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘ
プトン酸、グルコオクタン酸、スレオニン酸、サッカリ
ン酸、ガラクトン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、
グリセリン酸、ヒドロキシコハク酸などが挙げられる。
ポリマー末端基は特に限定されないが水酸基はじめ、直
鎖状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステ
ル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウ
レタン基およびトリアルキルシリル基変性された基であ
ることが好ましい。
【0027】有機ポリマーの分子量は数平均で200か
ら100万であることが好ましい。分子量が200未満
であると、有機ポリマーの除去速度が速すぎて、所望す
るような空孔率を持った多孔性シリカ薄膜が得られな
い。逆に、有機ポリマー分子量が100万を超えると、
今度は有機ポリマーの除去速度が遅すぎて、有機ポリマ
ーが残存するので好ましくない。より好ましい有機ポリ
マーの分子量は200〜5万であり、分子量が200〜
1万の場合が特に好ましい。この場合、所望するような
高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜がきわめて容易に
得られる。ここで注目すべきことは、多孔性シリカ薄膜
の空孔の大きさは、有機ポリマーの分子量にはあまり依
存せずに、きわめて小さくかつ均一なことである。これ
は高CMP耐性を発現するためにきわめて重要である。
【0028】本発明における有機ポリマーの添加量は、
アルコキシシラン類1重量部に対し0.01〜100重
量部、好ましくは0.1〜10重量部である。有機ポリ
マーの添加量が0.01重量部より少なくと比誘電率が
十分に下がらないし、100重量部より多いと、薄膜の
機械強度が発現されず実用性に乏しい。本発明の塗布液
は上記のアルコキシランと有機ポリマーを混合し、0℃
〜100℃、攪拌下で1時間〜24時間反応させること
によって製造せしめるが、有機ポリマーは、アルコキシ
シランの加水分解反応の前もしくは反応中に添加するこ
とが好ましい。これ以外の時に該ポリマーを添加する
と、膜品質が損なわれるだけでなく、ヤングモジュラス
や硬度が著しく低下する。
【0029】本発明では、さらに反応後の塗布液をエー
ジングすると、薄膜の表面平滑性が向上し、このことに
よりバリヤー膜との密着性に優れ、CMP耐性のある薄
膜が得ることが可能となるのでより好ましい。エージン
グは、所定の温度で反応後、室温〜60℃にて5時間以
上放置することが好ましい。24時間以上放置しておく
とより好ましい。表面の平滑性は、後述するように表面
粗さ測定装置により評価することができ、エージングを
おこなうことにより表面粗度として200以下を達成し
た。
【0030】本発明において、アルコキシシランの加水
分解、脱水縮合反応を促進するための触媒として機能す
る物質を添加しても良い。触媒として機能しうる物質の
具体例としては、塩酸,硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、蓚
酸、マレイン酸などの酸類が好ましい。これらの触媒の
添加量はアルコキシシラン1モルに対して、1モル以下、
好ましくは0.1モル以下が適当である。1モルよりも
多いと沈殿物が生成し、均一な多孔体が得られない場合
がある。
【0031】ここで得られた塗布液はそのまま使用でき
るので、他の溶媒は必ずしも必須ではないが、シリカ前
駆体、有機ポリマーおよび水とアルコールのすべてを溶
解するものであれば特に限定することなく用いることが
可能である。用いられる溶媒の例としては、上述したよ
うなアルコールのほかに、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢
酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチル
エーテルアセテート、エチレングリコールジアセテー
ト、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなど
のエステル類;ホルムアミド、N-メチルホルムアミ
ド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムア
ミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルアセト
アミド、N-エチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセ
トアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピ
ロリドン、N-ホルミルモルホリン、N-アセチルモルホ
リン、N-ホルミルピペリジン、N-アセチルピペリジ
ン、N-ホルミルピロリジン、N-アセチルピロリジン、
N,N’-ジホルミルピペラジン、N,N’-ジアセチル
ピペラジンなどのアミド類;γ-ブチロラクトンなどの
ラクトン類、テトラメチルウレア、N,N’-ジメチル
イミダゾリジノンなどのウレア類;などが挙げられる。
これらは、単独、または混合物として用いても良い。
【0032】添加する溶媒の量は、アルコキシシランの
加水分解用の水に対して、0.5〜10倍が好ましく、
1〜5倍であることがより好ましい。次に本発明の絶縁
薄膜の形成方法について説明する。本発明において、薄
膜の形成は基板上に、上記の方法によって得られた塗布
液を塗布することによって行う。塗布方法としては、流
延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うことが
できるが、半導体素子の多層配線構造体用絶縁層の製造
に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の厚さは
塗布溶液の粘度や回転速度を変えることによって、0.
1μm〜100μmの範囲で制御できる。100μmよ
り厚いとクラックが発生する場合がある。半導体素子の
多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.5μm〜
5μmの範囲で用いられる。
【0033】基板としては、シリコン、ゲルマニウム等
の半導体基板、ガリウム-ヒ素、インジウム-アンチモン
等の化合物半導体基板等を用いこともできるし、これら
の表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いることも
可能である。この場合、薄膜としては、アルミニウム、
チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タング
ステン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、二酸
化ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素-リン
ガラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタ
ン、窒化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキ
サン等の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモ
ルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポ
リイミド、その他任意の有機ポリマーからなる薄膜を用
いることができる。
【0034】本発明は、塗布液を用いて塗膜を形成した
後、その塗膜に包含されるシリカ前駆体を縮合反応させ
てゲル化させてシリカとした後、引き続き、有機ポリマ
ーを除去し、絶縁膜を形成することを特徴とする。シリ
カ前駆体のゲル化温度は、特に限定されず、通常は50
〜300℃、好ましくは60〜300℃の範囲で行う。
より好ましい温度範囲は60〜200℃である。
【0035】温度が50℃よりも低いと反応速度が小さ
く、シリカ前駆体がゲル化するのに多大の時間を要し、
逆に300℃よりも高いと巨大なボイドが生成しやす
く、シリカと有機ポリマーを含有した複合体薄膜の均質
性が低下する。ゲル化反応に要する時間は、熱処理温
度、触媒添加量や溶媒種および量によっても異なるが、
通常数分間から数日間の範囲である。このようにして得
られたシリカと有機ポリマーを含有した複合体薄膜は、
その薄膜の表面が極めて均一であり、かつ誘電率が低
く、厚膜形成性があるので、このままで配線の絶縁部分
として用いることもできるし、薄膜以外の用途、たとえ
ば光学的膜や構造材料、フィルム、コーティング材など
として使用することも可能である。
【0036】しかし、本発明では、LSI多層配線の絶
縁物としてさらに誘電率の低い材料を得ることを目的と
して、有機ポリマーを除去した、多孔性シリカ薄膜とし
た。有機ポリマーの除去にあたっては、ゲル化反応が十
分に進行していれば、有機ポリマーが占有していた領域
が、多孔性シリカ薄膜中の空孔としてつぶれずに残る。
その結果、空隙率が高く、誘電率の低い多孔性シリカ薄
膜を得ることができる。
【0037】有機ポリマーを除去する方法としては、加
熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行
の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であ
るという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場
合、加熱温度は用いる有機ポリマーの種類に依存し、薄
膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマー分解
を伴って焼成除去されるもの、およびその混合した場合
があるが、通常の加熱温度は300〜450℃、好まし
くは350〜400℃の範囲である。
【0038】300℃よりも低いと有機ポリマーの除去
が不充分で、有機物の不純物が残るため、誘電率の低い
多孔性シリカ薄膜が得られない危険がある。逆に450
℃よりも高い温度で処理することは、有機ポリマーの除
去の点では好ましいが、半導体製造プロセスで用いるの
は極めて困難である。加熱時間は10秒〜24時間の範
囲で行うことが好ましい。10秒より少ないと有機ポリ
マーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られる多孔
性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、誘電率が
低くならない。また、通常熱分解や蒸散は24時間以内
に終了するので、これ以上長時間の加熱はあまり意味を
なさない。
【0039】加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不
活性雰囲気下で行うのが好ましい。空気または酸素ガス
を混入させたりするといった酸化性雰囲気下で行うこと
も可能であるが、この場合には該酸化性ガスの濃度を、
シリカ前駆体がゲル化する前に有機ポリマーが実質的に
分解しないような濃度に制御することが好ましい。ま
た、雰囲気中にアンモニア、水素などを存在させ、シリ
カ中に残存しているシラノール基を失活させることによ
って多孔性シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上
昇を抑制することもできる。
【0040】成膜後のアルキルシラザンまたはアルキル
シラン化合物による処理の方法は塗布、浸漬、蒸気暴露
などの方法で行う。処理は通常0℃〜100℃で数分〜
10時間行う。本発明により得られる多孔性シリカ薄膜
は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば光
学的膜や触媒担体をはじめとして断熱材、吸収剤、カラ
ム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化
剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、歯磨剤などとして使
用することも可能である。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例などを示す
が、本発明の範囲はこれら実施例などにより何ら限定さ
れるものではない。多孔質シリカ薄膜製造用の塗布液の
評価は下記の方法により行った。 (1)密度:薄膜の密度の測定は、理学電機社製X線回
折装置ATX-Gを用い、多孔性シリカ薄膜を形成した
ウェハーに微小角度でX線を入射させ、X線の全反射臨
界角より密度を算出した。この手法の詳細については、
例えば文献(松野信也他、X線分析の進歩、30巻、1
999年、P.189〜203)に記載されている。 (2)硬度、ヤングモジュラス:島津ダイナミック超微
小硬度計DUH-201を用いて求めた。シリコンウェ
ハーに形成された多孔性シリカ薄膜に、開き角115度
の三角錐ダイヤモンド圧子を押し込み、負荷-徐荷の一
回試験を最大荷重0.02mN以上で実施した。
【0042】負荷徐荷試験により、押し込み深さに対す
る荷重(P)の変化と、徐荷曲線の初期勾配(S)を求
め、前記(1)に記載された方法により膜厚を求め、以
下のようにして硬度とモジュラスを求めた。算出するに
あたり、予め硬度とモジュラスが既知である熱溶融石英
を測定することにより、各押し込み深さにおける圧子の
作用領域Aを求めておくことが必要である。硬度(H)
は、押し込み深さが膜厚の10%における荷重(P)と
そのときの圧子の作用領域(A)から、 H=P/Aに
より算出した。
【0043】PとAの求め方については、文献「Oli
ver and Pharr、Journal of
Materials Research、7(6)、1
564(1992)」記載の方法に従った。ヤングモジ
ュラス(E)は、まず見かけのモジュラスErを次式に
より算出した。 Er=1.772S/2A0.5 次にサンプルのモジュラスEsを次式により求めた。 Er=((1−υs 2 )/Es+(1−υi 2)/Ei)
-1 ここでυは圧子のポアソン比、添え字sはサンプル、i
は圧子を示す。また、Ei=1141GPa、υs
0.15、υi=0.07、である。最大荷重における
押し込み深さが10%を超える場合は、次式による補正
を行った。 E=Es/0.6777e0.0392×(押し込み深さ/膜
厚×100) この補正式は、MTS社製、Nano Indente
rXP-ダイナミックコンタクトモジュールにより求め
た膜厚に対する押し込み深さ%とモジュラスの関係を近
似した補正式である。尚、本発明におけるヤングモジュ
ラスは、0.9μ〜1.1μmの膜厚で測定した。
【0044】(3)比誘電率:TiNを表面に形成した
シリコンウェハ上に多孔性シリカ薄膜を形成した後、こ
の薄膜の上部にSUS(ステンレス鋼)製のマスクを通
してアルミニウムを蒸着し、直径1.7mmの電極を作
製し、インピーダンスアナライザを用いて1MHzにお
ける比誘電率(k)を求めた。 (4)アルキル基およびアリール基の含有量:仕込んだ
アルコキシシラン中のケイ素原子のモル数に対するアル
キル基またはアリール基が結合したケイ素のモル数とし
て求めた(モル%)。また成膜後にアルキルシラザン、
アリールシラザンまたはアルキルシラン化合物、アリー
ルシラン化合物で本発明の薄膜を処理する場合には、ア
ルキル基またはアリール基の含有量を29Si−NMRを
用いて以下の式から求めた。 アルキル基またはアリール基の含有量=1−(Si−
(−O−Si)4のピーク面積)/Si起因のピークの
総面積 (5)薄膜の表面平滑性:まず基板の円周方向に約5m
m間隔に切り込みを入れ、その切り込みに対して垂直な
方向に、米国のSloan社製DEKTAK3型表面粗
さ測定装置を用いて7000μm走査し、シリコンウェ
ハー表面に対して水平あわせを行う(測定速度:35
秒)。走査した中の3000μmの範囲をとり、その部
分における表面粗度(Ra)を以下の式(5)より算出
した。表面平滑性の判定は、Raが 200Å以下なら
ば良好、200Åを超えた場合には不良とした。
【0045】
【式1】
【0046】(7)密着性:シリコンウエハ上に形成さ
れた多孔性シリカ薄膜に、ERICHSEN社製のCross Hatch
Cutterを塗膜に対し20度に保って押し当て、2〜5秒
/10cmの速度で幅1mm、100升の碁盤目状の切
り傷をつけた。碁盤目の上に幅18mm、粘着力2.9
4N/10mm以上のセロハン粘着テープを貼り付け、
塗膜にテープを完全に付着させた後、テープの一端を持
って塗布面に直角に保ち、瞬間的に引き剥がす。碁盤目
状の傷の状態を観察し、JIS-K-5400付着性に記
載されている碁盤目試験の評価点数に従い評価した。
【0047】(8)化学機械研磨(CMP)試験:本発
明の多孔性シリカ薄膜上に、厚さ1000ÅのP-TE
OSをアプライドマテリアルズ社製のプラズマCVD装
置、モデルP5000を用いてデポジションした。この
ようにして得られたP-TEOS付の薄膜上に研磨スラ
リーを2滴滴下し、研磨パッド(直径17mm)を用い
て、上方から4.8psiの押圧を印可しながら150
rpmの速さで2分間研磨した。目視および光学顕微鏡
にて表面観察を行い、表面の平滑性、膜はがれがないか
否か、さらに基板が完全に露出しているか否かを調べ
た。研磨スラリーはシリカゾル系(シリカ濃度13%、
一次粒径30nm、pH=10.8(アンモニア性))
のものを使用した。研磨パッドは発泡ポリウレタン系パ
ッド(厚さ約1.8mm)を使用した。
【0048】
【実施例1】テトラエトキシシラン12.0g、数平均
分子量が1500のポリエチレングリコールポリプロピ
レングリコールポリエチレングリコールブロックコポリ
マー(ポリプロピレングリコール部分の数平均分子量は
1200)を3.45g、水7.50g、エタノール3
0.0gおよび0.1N硝酸1.5gとを5分以内にす
べて混合し、35℃で3時間反応させ、その後で室温に
て24時間放置してから、この塗布液を6インチシリコ
ンウェハー上に3ml滴下し、1050rpmにて60
秒間回転塗布した。その後空気中120℃にて1分間、
窒素雰囲気下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下
400℃にて1時間焼成して、膜厚が1.08μmの多
孔性シリカ塗膜を得た。その後で該ウエハーサンプルを
デシケータ内でヘキサメチルジシラザンにより室温で飽
和蒸気圧状態で1時間反応させた。
【0049】得られた薄膜の密度は0.80g/c
3、1MHzにおける比誘電率は2.22であり、S
iO2 の誘電率である4.5を大きく下回っていた。ア
ルキル基の含有量は10モル%であった。表面は平滑で
硬度は0.81GPa、ヤングモジュラスは6.8GP
a、密着性テストは10点で、CMPテスト後の剥がれ
や構造破壊などは全くなかった。
【0050】
【実施例2】実施例1において、数平均分子量が100
00のポリエチレングリコールポリプロピレングリコー
ルポリエチレングリコールブロックコポリマー(ポリプ
ロピレングリコール部分の数平均分子量は5000)を
3.45g用いる以外は、実施例1と同様の操作で塗布
溶液を調製したあとで、成膜した。得られた薄膜の密度
は0.86g/cm3、比誘電率は2.26であった。
表面平滑性は良好で、硬度は0.79GPa、ヤングモ
ジュラスは7.5GPaであり、密着性テストは10点
で、CMPテスト後のはがれや構造破壊など全く無かっ
た。
【0051】
【比較例1】実施例1において有機ポリマーをポリエチ
レングリコール(数平均分子量は1000)、に変える
以外は実施例1と同様の操作で、本比較例の塗布液を調
製した。得られた薄膜の密度は0.91g/cm3、ま
た水銀プローブにより求められた1MHzにおける比誘
電率は2.43であった。表面平滑性は不良で、硬度は
0.12GPaでヤングモジュラスは2.8GPaであ
り、密着性も0点であったため、CMPテストのあとの
薄膜表面には剥離状の傷が多数見られ、銅配線用の絶縁
薄膜としては不適であることが分かった。
【0052】
【発明の効果】本発明による多孔性シリカ薄膜は、比誘
電率が十分に低く安定で、半導体素子の銅配線工程にお
けるCMP工程に十分耐える。さらに、吸湿性も低く、
表面平滑性に優れるためLSI多層配線用基板や半導体
素子の絶縁膜用として最適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.5〜1.5g/cm3で、密
    度と硬度との関係が下記関係式(1)で表され、アルキ
    ル基及び/又はフェニル基の含有量が全ケイ素原子数に
    対し5〜100モル%であることを特徴とする多孔性シ
    リカ薄膜。 0.3+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
    す。〕
  2. 【請求項2】 密度が0.5〜1.5g/cm3で、密
    度とヤングモジュラスとの関係が下記関係式(2)で表
    され、アルキル基及び/又はフェニル基の含有量が全ケ
    イ素原子数に対し5〜100モル%であることを特徴と
    する多孔性シリカ薄膜。 2.0+0.16e2.9d≦E≦2.0+1.5e1.8d ・・・(2) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Eは薄膜のヤングモジュ
    ラスを示す。〕
  3. 【請求項3】 請求項2記載の多孔性シリカ薄膜であっ
    て、密度と硬度との関係が下記関係式(1)で表される
    ことを特徴とする多孔性シリカ薄膜。 0.3+0.042e2.4d≦H≦0.042e4.2d ・・・(1) 〔但し式中、dは薄膜の密度、Hは薄膜の硬度を示
    す。〕
  4. 【請求項4】 膜厚が100μm以下であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性シリカ薄
    膜。
  5. 【請求項5】 複数の絶縁層およびその上に形成された
    配線を包含する多層配線構造体であって、該絶縁層の少
    なくとも1層が請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性
    シリカ薄膜より構成されてなることを特徴とする多層配
    線構造体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の多層配線構造体を包含
    してなる半導体素子。
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