JP2002276694A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP2002276694A JP2001080228A JP2001080228A JP2002276694A JP 2002276694 A JP2002276694 A JP 2002276694A JP 2001080228 A JP2001080228 A JP 2001080228A JP 2001080228 A JP2001080228 A JP 2001080228A JP 2002276694 A JP2002276694 A JP 2002276694A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コントローラ90の故障時にも車両の変速走
行を可能にすること。 【解決手段】 流体継手4と、摩擦クラッチ8と、流体
作動手段6とを備え、流体作動手段6は、摩擦クラッチ
用電磁切換弁742とロックアップクラッチ用電磁切換
弁682とを備えている動力伝達装置。電磁切換弁74
2、682を制御する制御手段9は、電磁切換弁68
2、742を制御するコントローラ90と、摩擦クラッ
チ駆動回路と、ロックアップクラッチ駆動回路94を備
えている。摩擦クラッチ駆動回路は、電磁切換弁742
を制御する主駆動回路91と、電磁切換弁742をコン
トローラ90とは独立して制御するための補助駆動回路
92とからなり、摩擦クラッチ駆動回路は、回路切換ス
イッチ930によって、主駆動回路91又は補助駆動回
路92に切り換えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力伝達装置、更
に詳しくはエンジンによって作動させられる流体継手
と、該流体継手と変速機との間に配設された摩擦クラッ
チとを備えている動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの回転変動および振動を吸収す
る目的で駆動系に流体継手を配設した車両用駆動装置
が、例えば特開昭55ー164730号公報に開示され
ている。この公報に開示されている、流体継手を備えた
車両用駆動装置は、車両に搭載されたエンジンと、流体
継手と、乾式単板摩擦クラッチおよび変速機が直列に配
設されている。このような車両用動力伝達装置に装備さ
れる流体継手は、例えばディーゼルエンジンのクランク
軸(流体継手としての入力軸)に連結されたケーシング
と、該ケーシングと対向して配設されかつ該ケーシング
に取り付けられたポンプと、該ポンプと対向して配設さ
れ入力軸と同一軸線上に配置された出力軸に取り付けら
れたタービンとを備えており、トルク伝達用の作動流体
が収容されている。また、上記ケーシングとタービンと
を摩擦係合して入力軸と出力軸とを直結するロックアッ
プクラッチを備えた流体継手も提案されている。このロ
ックアップクラッチは、ケーシングとタービンとの間に
配設されケーシングとの間に外側室を形成するとともに
タービンとの間に内側室を形成するクラッチディスクを
備え、流体継手を循環する作動流体の内側室側と外側室
側との圧力差によってケーシングとタービンとを係合ま
たは係合解除するように構成されている。このようなロ
ックアップクラッチを備えた流体継手においては、ロッ
クアップクラッチの作動時(ロックアップクラッチ接)
と非作動時(ロックアップクラッチ断)とによって流体
継手を循環する作動流体の循環方向を変更する。
【0003】一方、流体継手と変速機との間に配設され
る摩擦クラッチとしては、一般に乾燥単板式クラッチが
使用されているが、クラッチフェーシングの摩耗等を考
慮して湿式摩擦クラッチを用いることが考えられる。湿
式摩擦クラッチを使用する場合には、これを適宜作動す
るための作動流体を切替え制御する必要がある。
【0004】上述したような動力伝達装置においては、
流体継手を循環するとともに湿式摩擦クラッチに作動流
体を供給するための流体作動手段を備える必要がある。
この流体作動手段は、流体圧源としての油圧ポンプと、
該油圧ポンプと流体継手および湿式摩擦クラッチを連通
する流体通路と、流体継手に連通する流体通路を切り換
える制御弁および湿式摩擦クラッチに連通する流体通路
を切り換える制御弁を備えている。これらの制御弁は、
マイクロコンピュータ等からなるコントローラによって
制御される電磁制御弁を含んでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したような動力伝
達装置においては、湿式摩擦クラッチに連通する流体通
路を切り換える電磁制御弁はコントローラによりその作
動が制御されるので、コントローラが故障した場合、電
磁制御弁は除勢状態(OFF状態)に維持され、したが
ってクラッチは接の状態に維持されて、クラッチの制御
は不可能となる。また、変速機のシフトストロークセン
サに失陥が発生した場合、あるいはシフトストロークセ
ンサに係わる配線に断線、ショート等の失陥が発生した
場合等においても、シフトストロークセンサからコント
ローラへの信号の伝達が断たれ、上記したと同様に電磁
制御弁は除勢状態に維持され、クラッチの制御は不可能
となる。このように、コントローラが故障したり、シフ
トストロークセンサ系に失陥が発生して電磁制御弁が除
勢状態となった場合には、クラッチの制御が不可能とな
って変速操作ができなくなるので、車両の走行が実質的
に不可能となる。
【0006】本発明の目的は、コントローラが故障した
り、変速機のシフトストロークセンサ系に失陥が発生し
た場合においても、クラッチの制御を可能とし、その結
果、車両の変速走行を可能にする、新規な動力伝達装置
を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、コントローラが故障
したり、変速機のシフトストロークセンサ系に失陥が発
生した場合においても、変速ショックを低減しうるクラ
ッチの制御を可能とし、車両の変速走行を可能にする、
新規な動力伝達装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、エンジ
ンにより駆動される、ロックアップクラッチを備えた流
体継手と、流体継手と変速機との間に配設された摩擦ク
ラッチと、流体継手に作動流体を循環させかつ摩擦クラ
ッチの液圧室に作動流体を供給する流体作動手段とを備
えている動力伝達装置において、流体作動手段は、油圧
ポンプと、油圧ポンプと該液圧室を連通する通路に配設
された摩擦クラッチ用方向制御弁と、摩擦クラッチ用方
向制御弁に作用させるパイロット圧を制御する摩擦クラ
ッチ用電磁切換弁と、油圧ポンプと流体継手を連通する
通路に配設されたロックアップクラッチ用方向制御弁
と、ロックアップクラッチ用方向制御弁に作用させるパ
イロット圧を制御するロックアップクラッチ用電磁切換
弁とを備え、摩擦クラッチ用電磁切換弁及びロックアッ
プクラッチ用電磁切換弁を制御するための制御手段を備
え、制御手段は、該電磁切換弁の各々を制御するコント
ローラと、摩擦クラッチ用電磁切換弁を駆動するための
摩擦クラッチ駆動回路と、ロックアップクラッチ用電磁
切換弁を駆動するためのロックアップクラッチ駆動回路
と、回路切換手段とを備え、摩擦クラッチ駆動回路は、
コントローラによって摩擦クラッチ用電磁切換弁を制御
するための主駆動回路と、摩擦クラッチ用電磁切換弁を
コントローラとは独立して制御するための補助駆動回路
とからなり、摩擦クラッチ駆動回路は、回路切換手段に
よって、主駆動回路又は補助駆動回路に切り換えられ
る、ことを特徴とする動力伝達装置、が提供される。
【0009】コントローラを作動させるコントローラ電
源スイッチを備え、コントローラ電源スイッチのON状
態で回路切換手段は摩擦クラッチ駆動回路を主駆動回路
に切り換え、コントローラ電源スイッチをOFFすると
回路切換手段は摩擦クラッチ駆動回路を補助駆動回路に
切り換える、ことが好ましい。制御手段は変速指示スイ
ッチを備え、摩擦クラッチ駆動回路が回路切換手段によ
って主駆動回路に切り換えられた状態で、摩擦クラッチ
用電磁切換弁は変速指示スイッチのON−OFF作動に
基づいてコントローラによって制御され、摩擦クラッチ
駆動回路が回路切換手段によって補助駆動回路に切り換
えられると、摩擦クラッチ用電磁切換弁は変速指示スイ
ッチのON−OFF作動によって制御される、ことが好
ましい。摩擦クラッチ用方向制御弁はパイロット圧が作
用していない状態では該液圧室を開放して摩擦クラッチ
を断とし、パイロット圧が作用すると油圧ポンプと該液
圧室とを連通して摩擦クラッチを接とするように切換わ
り、摩擦クラッチ用電磁切換弁は除勢されている状態で
は摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧を作用さ
せ、付勢されると摩擦クラッチ用方向制御弁に作用する
パイロット圧を開放するように構成され、ロックアップ
クラッチ用方向制御弁は、パイロット圧が作用していな
い状態ではロックアップクラッチが断となるよう作動流
体を循環させ、所定値を越えるパイロット圧が作用する
とロックアップクラッチが接となるよう作動流体を循環
させるように切り換わり、ロックアップクラッチ用電磁
切換弁は除勢されている状態ではロックアップクラッチ
用方向制御弁に作用するパイロット圧を開放し、付勢さ
れるとロックアップクラッチ用方向制御弁にパイロット
圧を作用させる、ことが好ましい。摩擦クラッチ用方向
制御弁と該液圧室とを連通する通路には、通路切換弁に
よって切り換えられる補助通路が並列に設けられ、補助
通路は、オリフィスが配設された第1補助通路と、チェ
ック弁が配設された第2補助通路とを備え、通路切換弁
はロックアップクラッチ用方向制御弁に作用させるパイ
ロット圧により制御されるよう構成され、摩擦クラッチ
駆動回路が回路切換手段によって主駆動回路に切り換え
られた状態で、ロックアップクラッチ用方向制御弁及び
通路切換弁に、ロックアップクラッチ用方向制御弁が作
動しない所定値のパイロット圧が常時作用するよう、ロ
ックアップクラッチ用電磁切換弁はコントローラによっ
て常時付勢され、通路切換弁に所定値のパイロット圧が
作用すると、通路切換弁は補助通路のみを閉じるよう切
り換えられる、ことが好ましい。摩擦クラッチ駆動回路
が回路切換手段によって補助駆動回路に切り換えられる
と、ロックアップクラッチ駆動回路が開となり、ロック
アップクラッチ用電磁切換弁は除勢されてロックアップ
クラッチ用方向制御弁及び通路切換弁に作用するパイロ
ット圧は開放され、通路切換弁に作用するパイロット圧
が開放されると、通路切換弁は補助通路のみを開くよう
切り換えられ、摩擦クラッチ用電磁切換弁が除勢されて
いる状態では摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧
を作用させ、油圧ポンプは、補助通路の、オリフィスが
配設された第1補助通路を介して該液圧室に連通されて
摩擦クラッチを接とし、摩擦クラッチ用電磁切換弁が付
勢されると、摩擦クラッチ用方向制御弁に作用するパイ
ロット圧が開放され、該液圧室は、補助通路の、チェッ
ク弁が配設された第2補助通路を介して開放されて摩擦
クラッチを断とする、ことが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従って構成された
動力伝達装置の好適実施形態を、添付図面を参照して詳
細に説明する。
【0011】図1には、本発明に従って構成された動力
伝達装置の縦断面図が示されている。図1に示す動力伝
達装置は、原動機としてのディーゼルエンジン2と、流
体継手(フルードカップリング)4と、湿式多板摩擦ク
ラッチ8および手動変速機10とから構成され、これら
は直列に配設されている。
【0012】図示の実施形態における動力伝達装置は、
上記流体継手4および湿式多板摩擦クラッチ8を収容す
る継手ハウジング3を備えている。継手ハウジング3
は、エンジン側である一端側(図1において左端側)が
開放され、変速機側である他端側(図1において右端
側)に仕切り壁31を備えている。この継手ハウジング
3は、図示の実施形態においてはアルミダイキャストに
よって一体成形され、軸方向中央部に中間壁32が設け
られており、該中間壁32および後述するポンプハウジ
ングによって流体継手収容室3aと摩擦クラッチ収容室
3bに区画されている。このように構成された継手ハウ
ジング3は、エンジン2側(図1において左端側)がデ
ィーゼルエンジン2に装着されたハウジング22にボル
ト23等の締結手段によって取り付けられており、変速
機側(図1において右端側)が手動変速機10のケース
100にボルト24によって取り付けられている。な
お、図示の実施形態においては継手ハウジング3を一体
形成した例を示したが、継手ハウジング3は分割して形
成し連結した構成でもよい。
【0013】次に、流体継手4について図2を参照して
説明する。流体継手4は、上記継手ハウジング3の流体
継手収容室3a内に配設されている。図示の実施形態に
おける流体継手4は、ケーシング41とポンプ42およ
びタービン43を備えている。ケーシング41は、上記
ディーゼルエンジン2のクランク軸21(図1参照)に
ボルト24によって内周部が装着されたドライブプレー
ト44の外周部にボルト441、ナット442等の締結
手段によって装着されている。なお、上記ドライブプレ
ート44の外周には、図示しないスタータモータの駆動
歯車と噛合する始動用のリングギヤ45が装着されてい
る。
【0014】ポンプ42は上記ケーシング41と対向し
て配設されている。このポンプ42は、椀状のポンプシ
ェル421と、該ポンプシェル421内に放射状に配設
された複数個のインペラ422とを備えており、ポンプ
シェル421が上記ケーシング41に溶接等の固着手段
によって取り付けられている。従って、ポンプ42のポ
ンプシェル421は、ケーシング41およびドライブプ
レート44を介してクランク軸21に連結される。この
ため、クランク軸21は流体継手4の入力軸として機能
する。
【0015】タービン43は上記ポンプ42とケーシン
グ41によって形成された室にポンプ42と対向して配
設されている。このタービン43は、上記ポンプ42の
ポンプシェル421と対向して配設された椀状のタービ
ンシェル431と、該タービンシェル431内に放射状
に配設された複数個のランナ432とを備えている。タ
ービンシェル431は、上記入力軸としての上記クラン
ク軸21と同一軸線上に配設された出力軸46にスプラ
イン嵌合されたタービンハブ47に溶接等の固着手段に
よって取り付けられている。
【0016】図示の実施形態における流体継手4は、上
記ケーシング41とタービン43とを直接伝動連結する
ためのロックアップクラッチ50を備えている。ロック
アップクラッチ50は、ケーシング41とタービン43
との間に配設されケーシング41との間に外側室40a
を形成するとともにタービン43との間に内側室40b
を形成するクラッチディスク51を備えている。このク
ラッチディスク51は、内周縁が上記タービンハブ47
の外周に相対回転可能でかつ軸方向に摺動可能に支持さ
れており、その外周部には上記ケーシング41と対向す
る面にクラッチフェーシング52が装着されている。ま
た、クラッチディスク51の外周部における内側室40
b側には、環状の凹部53が形成されており、この凹部
53にそれぞれ支持片54によって支持された複数個の
ダンパースプリング55が所定の間隔を置いて配設され
ている。この複数個のダンパースプリング55の両側に
は上記クラッチディスク51に取り付けられた入力側リ
テーナ56が突出して配設されているとともに、各ダン
パースプリング55間には上記タービン43のタービン
シェル431に取り付けられた出力側リテーナ57が突
出して配設されている。
【0017】図示の実施形態におけるロックアップクラ
ッチ50は以上のように構成されており、その作動につ
いて説明する。上記内側室40b側の作動流体の圧力が
外側室40aの作動流体の圧力より高い場合、すなわち
後述する流体作動手段6によって供給される作動流体が
ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室
4aから内側室40bを通して外側室40aに流れる場
合には、上記クラッチディスク51が図1において左方
に押圧されるので、クラッチディスク51に装着された
クラッチフェーシング52がケーシング41に押圧され
て摩擦係合する(ロックアップクラッチ接)。従って、
ケーシング41とタービン43は、クラッチフェーシン
グ52、クラッチディスク51、入力側リテーナ56、
ダンパースプリング55、出力側リテーナ57を介して
直接伝動連結される。一方、上記外側室40aの作動流
体の圧力が内側室40b側の作動流体の圧力より高い場
合、すなわち後述する流体作動手段6によって供給され
る作動流体が外側室40aから内側室40bを通してポ
ンプ42とタービン43とによって形成される作動室4
aに循環する場合には、上記クラッチディスク51が図
1において右方に押圧されるので、クラッチディスク5
1に装着されたクラッチフェーシング52はケーシング
41と摩擦係合せず(ロックアップクラッチ断)、従っ
て、ケーシング41とタービン43との伝動連結は解除
されている。
【0018】上記継手ハウジング3の中間壁32には、
ポンプハウジング61、62がボルト63等の固着手段
によって取り付けられている。従って、ポンプハウジン
グ61、62は、継手ハウジング3に形成された流体継
手収容室3aと摩擦クラッチ収容室3bを区画してい
る。このポンプハウジング61、62内には、後述する
流体作動手段6の流体圧源としての油圧ポンプ60が配
設されている。また、ポンプハウジング61、62に
は、後述する流体作動手段6を構成する各制御弁が配設
されているとともに、作動流体通路が形成されている。
ポンプハウジング61、62内に配設された油圧ポンプ
60は、上記ポンプ42のポンプシェル421に取り付
けられポンプハウジング61に軸受481を介して回転
可能に支持されたポンプハブ48によって回転駆動され
るように構成されている。また、ポンプハウジング6
1、62には、油圧ポンプ60の吸入口に連通する吸入
通路66aが形成されている。この吸入通路66aは継
手ハウジング3の中間壁32に設けられた吸い込み通路
32aに連通している。吸い込み通路32aは継手ハウ
ジング3に一体に形成されており、吸い込み口32bが
摩擦クラッチ収容室3bの底壁部に向けて開口されてお
り、この吸い込み口32bにフィルタ67が装着されて
いる。
【0019】図示の実施形態においては、摩擦クラッチ
収容室3bの底部に規定される流体貯留部30bには作
動流体が収容されており、この作動流体が上記油圧ポン
プ60の作動によりフィルタ67を通して吸い込まれる
ようになっている。従って、摩擦クラッチ収容室3bの
流体貯留部30bは、作動流体を貯留するリザーブタン
クとして機能する。このように図示の実施形態において
は、吸い込み通路32aがポンプハウジング61、62
を装着する継手ハウジング3の中間壁32に設けられて
いるので、流体貯留部30bに収容された作動流体を吸
い込むための吸い込み機構を別途設ける必要がなく、部
品点数を低減することができる。また、吸い込み機構を
構成する部品の接合部は継手ハウジング3の中間壁32
とポンプハウジング61、62との接合のみであるた
め、接合部が少なく空気の吸い込み性が改善される。
【0020】なお、上記ポンプハブ48の外周面とポン
プハウジング61の端部との間には、オイルシール48
2が配設されている。また、ポンプハブ48と上記出力
軸46との間には、筒状部材64が配設されており、該
筒状部材64とポンプハブ48との間に上記上記流体継
手4のポンプ42とタービン43とによって形成される
作動室4aと連通する通路641が形成されている。な
お、上記出力軸46には作動流体の通路461が設けら
れている。この通路461は、その一端が出力軸46の
図において左端面に開口し上記外側室40aと連通して
おり、その他端が出力軸46の外周面に開口している。
【0021】次に、上記湿式多板摩擦クラッチ8につい
て図2を参照して説明する。湿式多板摩擦クラッチ8
は、上記継手ハウジング3の摩擦クラッチ収容室3b内
に配設されており、クラッチアウタ81とクラッチセン
タ82とを備えている。クラッチアウタ81はドラム状
に形成されており、その内周部には上記流体継手4の出
力軸46とスプライン嵌合するハブ811が設けられて
いる。クラッチアウタ81の外周部内面には内歯スプラ
イン812が設けられており、この内歯スプライン81
2に複数枚の摩擦板83が軸方向に摺動可能に嵌合され
ている。また、クラッチアウタ81の中間部には環状の
シリンダ813が形成されており、該環状のシリンダ8
13を構成する内周壁814が上記ポンプハウジング6
2のボス部621の外周面に相対回転可能に嵌合されて
いる。環状のシリンダ813内には、上記摩擦板83と
後述する摩擦板87を押圧するための押圧ピストン84
が配設されている。この環状のシリンダ813と押圧ピ
ストン84とによって形成される液圧室815は、環状
のシリンダ813を構成する内周壁814に設けられた
通路816および上記ポンプハウジング62のボス部6
21に設けられた通路622を介して後述する流体作動
手段6に連通している。なお、クラッチアウタ81のハ
ブ811と押圧ピストン84との間にはプレート85が
装着されており、このプレート85と押圧ピストン84
との間に圧縮コイルばね86が配設されている。従っ
て、押圧ピストン84は、圧縮コイルばね86のばね力
によって常に図2において左方に移動すべく押圧されて
いる。
【0022】上記クラッチセンタ82は円盤状に形成さ
れており、その内周部には変速機10の入力軸101と
スプライン嵌合するハブ821が設けられている。クラ
ッチセンタ82の外周面には外歯スプライン822が設
けられており、この外歯スプライン822に複数枚の摩
擦板87が軸方向に摺動可能に嵌合されている。クラッ
チセンタ82に装着された複数枚の摩擦板87と上記ク
ラッチアウタ81に装着された複数枚の摩擦板83と
は、それぞれ交互に配設されている。なお、クラッチセ
ンタ82のハブ821とクラッチアウタ81のハブ81
1との間およびクラッチアウタ81のハブ811とポン
プハウジング62のボス部621との間には、それぞれ
スラスト軸受881、882が配設されている。
【0023】図示の実施形態における湿式多板摩擦クラ
ッチ8は以上のように構成されており、後述する流体作
動手段6によって作動流体が液圧室815に供給されな
い図1に示す状態においては、押圧ピストン84は圧縮
コイルばね86のばね力によって左方位置(係合解除位
置)に位置付けられている。このため、複数枚の摩擦板
83と複数枚の摩擦板87とは押圧されないので、複数
枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが摩擦係合せ
ず、流体継手4の出力軸46から変速機10の入力軸1
01への動力伝達が遮断されている。後述する流体作動
手段6によって作動流体が液圧室815に供給される
と、押圧ピストン84が圧縮コイルばね86のばね力に
抗して図1において右方の移動させられる。この結果、
複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが押圧され
互いに摩擦係合するので、流体継手4の出力軸46に伝
達された動力はクラッチアウタ81、複数枚の摩擦板8
3、87およびクラッチセンタ82を介して変速機10
の入力軸101に伝達される。
【0024】図示の実施形態における湿式多板摩擦クラ
ッチ8は、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板8
7を冷却するために、上記流体継手4を循環する作動流
体が後述する流体作動手段6によって供給されるように
構成されている。流体継手4の出力軸46の外周面と上
記ポンプハウジング62のボス部621との間には通路
891が形成されており、この通路891が後述する流
体作動手段6に連通している。通路891に供給された
作動流体は、出力軸46とクラッチアウタ81のハブ8
11とのスプライン嵌合部を潤滑し、出力軸46とクラ
ッチセンタ82のハブ821との間に入り、スラスト軸
受881を潤滑した後に複数枚の摩擦板83および複数
枚の摩擦板87に供給される。また、通路891に供給
された作動流体は、スラスト軸受882を潤滑した後
に、クラッチアウタ81の設けられた通路817を通っ
て複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に供給
される。なお、流体継手4の出力軸46には上記通路8
91と変速機10の入力軸101を支持する支持部とを
連通する通路463が設けられている。従って、通路8
91に供給された作動流体は、通路891を通して上記
入力軸101を回転自在に支持する軸受108を潤滑
し、更に変速機10の入力軸101とクラッチセンタ8
2のバブ821とのスプライン嵌合部を潤滑する。この
ように湿式多板摩擦クラッチ8の各部を潤滑ないし冷却
した作動流体は、摩擦クラッチ収容室3bに放出され、
リザーブタンクとして機能する流体貯留部30bに貯留
される。
【0025】次に、流体作動手段6について、図3を参
照して説明する。流体作動手段6は、上述したポンプハ
ウジング61、62を備えている(図2参照)。このポ
ンプハウジング61、62には、流体作動手段6を構成
する油圧ポンプ60と、該油圧ポンプ60と各制御弁が
配設されているとともに、作動流体通路が形成されてい
る。ポンプハウジング61、62は、円形に形成されて
おり、中央部に油圧ポンプ60が配設されている。な
お、図示の実施形態においては、油圧ポンプ60はトロ
コイドポンプからなっており、外側ロータが流体継手4
側の一方のポンプハウジング61に配設され、この外側
ロータ内に内側ロータが配設されている。油圧ポンプ6
0は上述したように摩擦クラッチ収容室3bの底部に規
定される流体貯留部30bに収容された作動流体をフィ
ルタ67、吸い込み通路32aおよび吸入通路66aを
通して吸い込み、通路66bに吐出する。
【0026】油圧ポンプ60によって通路66bに吐出
された作動流体は、通路66cおよびロックアップクラ
ッチ用電磁切換手段68を介して上記出力軸46に設け
られた通路461と連通する通路66d、または上記流
体継手4の作動室4aに連通する通路641と連通する
通路66eに供給される。ロックアップクラッチ用電磁
切換手段68は、図3に示す実施形態においてはロック
アップクラッチ用方向制御弁681とロックアップクラ
ッチ用電磁切換弁682とからなっている。ロックアッ
プクラッチ用方向制御弁681は、ロックアップクラッ
チ用電磁切換弁682によって制御されるパイロット圧
の作用で切換わるように構成されており、パイロット圧
が作用していない図3に示す状態ではロックアップクラ
ッチ50が断となるように作動流体を循環するようにな
っている。そして、ロックアップクラッチ用方向制御弁
681は、所定値を越えるパイロット圧が作用するとロ
ックアップクラッチ50が接となるように作動流体を循
環するように切換わる。
【0027】上記ロックアップクラッチ用方向制御弁6
81とともにロックアップクラッチ用電磁切換手段68
を構成するロックアップクラッチ用電磁切換弁682
は、上記通路66bとロックアップクラッチ用方向制御
弁681とを連絡するパイロット通路66fに配設され
ている。パイロット通路66fは、パイロット通路66
fから分岐したパイロット通路66qを介して、後述す
る通路切換弁743に連通されている。なお、ロックア
ップクラッチ用電磁切換弁682は、車両の走行速度に
基づいて車両の走行速度が所定値以上になると後述する
コントローラ90によって付勢(ON)される。
【0028】ロックアップクラッチ用電磁切換弁682
が除勢(OFF)している図3に示す状態のときには、
パイロット通路66fが開放されており、ロックアップ
クラッチ用方向制御弁681にはパイロット圧が作用し
ない。従って、ロックアップクラッチ用方向制御弁68
1は図3に示す状態に位置付けられており、通路66c
と通路66dが連通するとともに、通路66eと戻り通
路66gが連通している。この結果、油圧ポンプ60に
よって通路66bに吐出された作動流体は、通路66
c、通路66d、通路461、流体継手4の外側室40
a、内側室40b、ポンプ42とタービン43とによっ
て形成される作動室4a、通路641、通路66e、戻
り通路66g、該戻り通路66gに配設された逆止弁7
0および冷却器71を通して流体貯留部30bに循環さ
れる。このように作動流体が循環するときは、外側室4
0aの流体圧が内側室40bの流体圧より高いので、ロ
ックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合しな
い(ロックアップクラッチ断)。
【0029】一方、ロックアップクラッチ用電磁切換弁
682が付勢(ON)されると、パイロット通路66f
が連通されロックアップクラッチ用方向制御弁681に
はパイロット圧が作用してロックアップクラッチ用方向
制御弁681が作動せしめられて、通路66cと通路6
6eが連通するとともに、通路66dと流体貯留部30
bが連通する。この結果、油圧ポンプ60によって通路
66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路66
e、通路641、ポンプ42とタービン43とによって
形成される作動室4a、内側室40b、外側室40a、
通路461、通路66dを通して流体貯留部30bに循
環される。このように作動流体が循環するときは、内側
室40bの流体圧が外側室40aの流体圧より高いの
で、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係
合する(ロックアップクラッチ接)。なお、ロックアッ
プクラッチ用電磁切換弁682は、付勢(ON)された
状態において通路66fの作動流体圧力が所定値より低
くロックアップクラッチ用方向制御弁681に作用する
パイロット圧が低い場合には、ロックアップクラッチ用
方向制御弁681のスプールが中間位置に位置付けられ
て、通路66cが通路66dおよび通路66eと連通す
るように構成されている。この作動形態に関連して、通
路66eと戻り通路66gとを連通するバイパス通路6
6hが設けられており、このバイパス通路66hに絞り
72が配設されている。従って、油圧ポンプ60の回転
速度が低く通路66bの作動流体圧力が所定値より低い
場合には、通路66bに吐出された作動流体は、通路6
6c、通路66e、絞り72を備えたバイパス通路66
hを通して循環される。
【0030】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記通路66aと通路66bを結ぶリリーフ通路6
6jを備えており、このリリーフ通路66jにリリーフ
弁73が配設されている。なお、リリーフ弁73は、開
弁圧が上記ロックアップクラッチ50のON時において
上記クラッチディスク51に装着されたクラッチフェー
シング52がケーシング41に押圧されて摩擦係合する
に必要な流体圧である例えば0.6Mpaに設定されて
おり、通路66b内の作動流体圧が0.6Mpaを越え
ると作動流体をリリーフ通路66jを介して通路66a
に戻す。
【0031】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815に連通
された通路816、622と上記通路66bとを連絡す
る通路66kおよび通路66mを備えている。この通路
66kと通路66mとの間に摩擦クラッチ用電磁切換手
段74が配設されている。摩擦クラッチ用電磁切換手段
74は、OFF状態で液圧室815に作動流体を作用さ
せて湿式多板摩擦クラッチ8を接とし、ONされると液
圧室815を開放させて湿式多板摩擦クラッチ8を断と
するよう切り換えられる。このような摩擦クラッチ用電
磁切換手段74は、図3に示す実施形態においては摩擦
クラッチ用方向制御弁741と摩擦クラッチ用電磁切換
弁742とからなっている。摩擦クラッチ用方向制御弁
741は、摩擦クラッチ用電磁切換弁742によって制
御されるパイロット圧の作用で切り換わるように構成さ
れており、パイロット圧が作用していない図3に示す状
態では湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815を開放し
ている。そして、摩擦クラッチ用方向制御弁741は、
パイロット圧が作用すると上記通路66kと通路66m
とが連通するように、すなわち油圧ポンプ60と湿式多
板摩擦クラッチ8の液圧室815とを連通するように切
換わる。なお、パイロット圧によって切換わる摩擦クラ
ッチ用方向制御弁741の切換圧力は、ディーゼルエン
ジン2の始動時におけるスタータモータによるクランキ
ング回転速度で油圧ポンプ60が駆動された状態で発生
する作動流体圧力より高い値に設定されている。
【0032】上記摩擦クラッチ用方向制御弁741とと
もに摩擦クラッチ用電磁切換手段74を構成する摩擦ク
ラッチ用電磁切換弁742は、上記通路66bと摩擦ク
ラッチ用方向制御弁741とを連絡するパイロット通路
66nに配設されている。
【0033】摩擦クラッチ用電磁方向制御弁742は、
除勢(OFF)されているときには図3に示すようにパ
イロット通路66nを連通しており、付勢(ON)され
るとパイロット通路66nの開放するように構成されて
いる。なお、上記摩擦クラッチ用方向制御弁741はパ
イロット圧が作用していない状態では通路66kと通路
66mとの連通を遮断しており、パイロット圧が作用す
ると通路66kと通路66mとを連通するように構成さ
れている。従って、摩擦クラッチ用電磁切換弁742が
除勢(OFF)されているときには、摩擦クラッチ用方
向制御弁741にパイロット圧が作用しているので、摩
擦クラッチ用方向制御弁741は通路66kと通路66
mとを連通する。この結果、油圧ポンプ60によって通
路66bに吐出された作動流体が通路66k、通路66
m、通路622、816(図2参照)を介して湿式多板
摩擦クラッチ8の液圧室815に供給されるので、上記
のように押圧ピストン84が圧縮コイルばね86のばね
力に抗して図1および図2において右方の移動させら
れ、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが押圧
され互いに摩擦係合する。一方、摩擦クラッチ用電磁切
換弁742が付勢(ON)されるとパイロット通路66
nの連通が遮断され、摩擦クラッチ用方向制御弁741
にパイロット圧が作用しないので、通路66kと通路6
6mとの連通が遮断されるとともに、通路66mが流体
貯留部30bに開放される。この結果、湿式多板摩擦ク
ラッチ8の押圧ピストン84は圧縮コイルばね86のば
ね力によって図1および図2において左方移動させられ
るため、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87との
擦係合が解除される。
【0034】図示の実施形態において、摩擦クラッチ用
方向制御弁741と液圧室815とを連通する通路66
mには、通路切換弁743によって切り換えられる補助
通路660が並列に設けられている。補助通路660
は、相互に並列に配置された第1補助通路661及び第
2補助通路662とを備えている。第1補助通路661
には、絞り手段であるオリフィス661aが配設され、
第2補助通路662にはチェック弁662aが配設され
ている。チェック弁662aは上記液圧室815への作
動流体の供給時には第2補助通路662を閉じ、上記液
圧室815から作動流体が開放される時には第2補助通
路662を開くよう構成されている。通路切換弁743
はロックアップクラッチ用方向制御弁681に作用させ
るパイロット圧により制御されるよう構成されている。
すなわち先に述べたように、ロックアップクラッチ用方
向制御弁681にパイロット圧を作用させるパイロット
通路66fは、パイロット通路66fから分岐したパイ
ロット通路66qを介して、通路切換弁743のパイロ
ット圧作用部に連通されている。通路切換弁743に所
定値のパイロット圧を作用させると、通路切換弁743
は、補助通路660のみを閉じて通路66mと液圧室8
15を連通するよう切り換えられ、通路切換弁743へ
のパイロット圧の作用が開放されると、通路切換弁74
3は、補助通路660のみを開いて通路66mと液圧室
815を補助通路660のみを介して連通するよう切り
換えられる。図4には、ロックアップクラッチ方向制御
弁681のパイロット圧とロックアップクラッチ50の
制御圧との関係が圧力線図として示されている。図4か
ら明らかなように、パイロット圧が、例えば実施形態に
おいてほぼ0.27Mpa以下においては、ロックアッ
プクラッチ50の制御圧は0.2Mpaに保持され、ロ
ックアップクラッチ50は断に維持される。パイロット
圧が上昇させられて、0.27Mpaを越えると、ロッ
クアップクラッチ方向制御弁681が作動を開始してロ
ックアップクラッチ50の制御圧が上昇しはじめる。そ
してパイロット圧が例えばほぼ0.46Mpaに達する
と、ロックアップクラッチ50の制御圧は0.6Mpa
に達してロックアップクラッチ50は接とされる。この
実施形態においては、通路切換弁743が補助通路66
0のみを閉じるよう切り換えられるパイロット圧の所定
値は、ロックアップクラッチ方向制御弁681が作動せ
ず、したがってロックアップクラッチ50は断に維持さ
れるパイロット圧である0.2Mpaに規定されてい
る。
【0035】なお、摩擦クラッチ用電磁切換弁742の
付勢(ON)および除勢(OFF)の制御は、手動変速
機10の変速時に後述するコントローラ90によって行
われる。すなわち、図示の実施形態における湿式多板摩
擦クラッチ8は自動クラッチシステムを構成しており、
コントローラ90は運転者が手動変速機10の変速操作
を行う際に、図示しない変速レバーに装着された変速指
示スイッチSW1をONしたことによる信号に基づいて
摩擦クラッチ用電磁切換弁742を付勢(ON)し、湿
式多板摩擦クラッチ8による動力伝達を遮断する。そし
て、コントローラ90は変速機のシフト操作が終了した
時点で、図示しないシフトストロークセンサからのシフ
ト終了信号に基づいて摩擦クラッチ用電磁切換弁742
を除勢(OFF)し、湿式多板摩擦クラッチ8を擦係合
する。
【0036】図示の実施形態における流体作動手段6
は、上記通路66bと上記流体継手4の出力軸46の外
周面と上記ポンプハウジング62のボス部621との間
に形成された通路891とを連絡する通路66pを備え
ている。このため、油圧ポンプ60によって通路66b
に吐出された作動流体は、通路66pを通して通路89
1に常時供給される。従って、油圧ポンプ60の作動時
には通路891に供給された作動流体が上述したように
上記スプライン嵌合部および上記各軸受を潤滑するとと
もに、湿式多板摩擦クラッチ8の複数枚の摩擦板83お
よび複数枚の摩擦板87に供給される。このように、流
体継手4に作動流体を循環させる流体作動手段6は、作
動流体を湿式多板摩擦クラッチ8の各軸受等を潤滑する
とともに、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板8
7に冷却液として供給する。従って、湿式多板摩擦クラ
ッチ8の摩擦板を冷却するために冷却液供給装置を別途
設ける必要はないとともに、摩擦板に供給される流体継
手4の作動流体は摩擦特性が良好であるため良好な摩擦
クラッチ特性を維持することができる。
【0037】次に、手動変速機10について図1を参照
して説明する。図示の実施形態における手動変速機10
は、平行軸式歯車変速機からなり、ケース100と、該
ケース100内に配設され上記湿式多板摩擦クラッチ8
のクラッチセンタ82を装着した入力軸101と、該入
力軸101と同一軸上に配設された出力軸102と、該
出力軸102と平行に配設されたカウンターシャフト1
03とを具備している。入力軸101には駆動歯車10
4が配設され、出力軸102には変速歯車105a、1
05b、・・・が配設されているとともに、同期噛合装
置106a、106b、・・・が配設されている。ま
た、カウンターシャフト103には、上記駆動歯車10
4および変速歯車105a、105b、・・・と常時噛
み合うカウンター歯車107a、107b、107c、
・・・が設けられている。なお、上記入力軸101は、
上記継手ハウジング3の仕切り壁31に設けられた穴3
11を貫通して配設され、その一端部が上記流体継手4
の出力軸46に軸受108を介して回転自在に支持され
ており、その中間部が軸受109を介して継手ハウジン
グ3に回転自在に支持されている。上記継手ハウジング
3の仕切り壁31に設けられた穴311の内周面と入力
軸101との間には、オイルシール110が配設されて
いる。このオイルシール110により継手ハウジング3
の摩擦クラッチ収容室3b内のクラッチ冷却液が手動変
速機10のケース100内に侵入すること、および手動
変速機10のケース100内の潤滑油が摩擦クラッチ収
容室3b内に侵入することが防止される。
【0038】図示の動力伝達装置は、摩擦クラッチ用電
磁切換手段74(実施形態においては摩擦クラッチ用電
磁切換弁742)を制御するための制御手段9、実施形
態においては、摩擦クラッチ用電磁切換手段74及びロ
ックアップクラッチ用電磁切換手段68(実施形態にお
いてはロックアップクラッチ用電磁切換弁682)を制
御するための制御手段9を備えている。制御手段9は、
摩擦クラッチ用電磁切換弁742及びロックアップクラ
ッチ用電磁切換弁682を制御するためのコントローラ
90と、摩擦クラッチ用電磁切換弁742を駆動するた
めの摩擦クラッチ駆動回路(91及び92)と、回路切
換手段93と、コントローラ90によってロックアップ
クラッチ用電磁切換弁682を制御するためのロックア
ップクラッチ駆動回路94とを備えている。摩擦クラッ
チ用電磁切換弁742を駆動するための摩擦クラッチ駆
動回路は、コントローラ90によって摩擦クラッチ用電
磁切換弁742を制御するための主駆動回路91と、摩
擦クラッチ用電磁切換弁742をコントローラ90とは
独立して制御するための補助駆動回路92とを備えてい
る。摩擦クラッチ用電磁切換弁742を駆動するための
摩擦クラッチ駆動回路は、回路切換手段93によって、
主駆動回路91又は補助駆動回路92に切り換えられ
る。なお、コントローラ90は、変速指示スイッチSW
1のON−OFF作動に基づいて摩擦クラッチ用電磁切
換弁742を制御するよう構成され、また、補助駆動回
路92は、変速指示スイッチSW1のON−OFF作動
により摩擦クラッチ用電磁切換弁742をコントローラ
90とは独立して制御しうるよう構成されている。実施
形態において、変速指示スイッチSW1は、図示しない
変速用シフトノブに設けられたシフトノブスイッチから
構成されている。
【0039】コントローラ90は、マイクロコンピュー
タによって構成されており、制御プログラムに従って演
算処理する中央処理装置(CPU)、制御プログラムを
格納するROM、演算結果等を格納する読み書き可能な
RAM、入力インターフェース及び出力インターフェー
ス等を備えている。このように構成されたコントローラ
90の入力インターフェースには、エンジン回転数検出
センサ、流体継手4のタービン回転数検出センサ、変速
レバーの変速用シフトノブ内に設けられた変速指示スイ
ッチSW1、変速機のシフトストローク位置を検出する
シフトストロークセンサ(変速指示スイッチSW1以外
は図示せず)等、各種センサの検出信号が入力される。
また、出力インターフェースからは、上記ロックアップ
クラッチ用電磁切換弁682、摩擦クラッチ用電磁切換
弁742に制御信号を出力する。
【0040】回路切換手段93は、回路切換スイッチ9
30を含み、回路切換スイッチ930は、同時にON−
OFF作動させられるスイッチ931、932、933
及び934を含んでいる。主駆動回路91は、摩擦クラ
ッチ用電磁切換弁742を、回路切換スイッチ930に
含まれるスイッチ932を介してコントローラ90に接
続するよう構成されている。補助駆動回路92は、摩擦
クラッチ用電磁切換弁742を、回路切換スイッチ93
0に含まれる上記スイッチ932及び補助駆動回路開閉
スイッチSW2を介して電源Bに接続するよう構成され
ている。ロックアップクラッチ駆動回路94は、ロック
アップクラッチ用電磁切換弁682を、回路切換スイッ
チ930に含まれるスイッチ931を介してコントロー
ラ90に接続するよう構成されている。
【0041】上記制御手段9は更に、コントローラ作動
回路95、変速指示スイッチ回路96及び補助駆動回路
開閉スイッチ制御回路97を備えている。コントローラ
作動回路95は、コントローラ90と電源Bとを、コン
トローラ電源スイッチSW3及びエンジン2のキースイ
ッチSW4を介して接続するよう構成されている。コン
トローラ電源スイッチSW3は、手動により開閉しうる
スイッチから構成され、通常はON(閉)の状態にされ
ている。コントローラ作動回路95は、通常はエンジン
2のキースイッチSW4により開閉されるよう構成され
ている。変速指示スイッチ回路96は、変速指示スイッ
チSW1を回路切換スイッチ930に含まれるスイッチ
933及び934を介してコントローラ90に接続する
よう構成されている。補助駆動回路開閉スイッチ制御回
路97は、変速指示スイッチSW1を回路切換スイッチ
930に含まれるスイッチ933及び補助駆動回路開閉
スイッチ制御手段、実施形態においてはリレーR1を介
して電源Bに接続するよう構成されている。補助駆動回
路開閉スイッチ制御回路97は回路切換スイッチ930
に含まれるスイッチ934を介してアースされている。
上記回路切換手段93は更に、回路切換スイッチ制御手
段、実施形態においてはリレーR2と、リレーR2をコ
ントローラ電源スイッチSW3及びキースイッチSW4
を介して電源Bに接続する回路切換スイッチ制御回路9
8とを備えている。回路切換スイッチ制御回路98はリ
レーR2を介してアースされている。上記回路切換スイ
ッチ930及びリレーR2は、いわゆるリレースイッチ
を構成し、また上記補助駆動回路開閉スイッチSW2及
びリレーR1も、いわゆるリレースイッチを構成する。
【0042】コントローラ90等が正常な状態における
上記制御手段9において、コントローラ電源スイッチS
W3及びキースイッチSW4がONの状態で、回路切換
スイッチ制御回路98は閉とされる。この状態では、ロ
ックアップクラッチ用電磁切換弁682及び摩擦クラッ
チ用電磁切換弁742がコントローラ90によって制御
されるよう、回路切換スイッチ930が、上記駆動回路
を主駆動回路91に切り換える。具体的には、リレーR
2がON(通電)されるので、回路切換スイッチ930
のスイッチ931、932、933及び934が全てO
Nとなる。その結果、主駆動回路91がコントローラ9
0を介して閉となり、ロックアップクラッチ駆動回路9
4が閉となる。変速指示スイッチ回路96が変速指示ス
イッチSW1を介して閉となる。更に補助駆動回路開閉
スイッチ制御回路97及び補助駆動回路92が開とな
る。コントローラ90は、通路切換弁743に上記所定
値のパイロット圧(実施形態においては0.2Mpa)
が作用するよう、ロックアップクラッチ用電磁切換弁6
82に制御信号を出力して付勢する。ロックアップクラ
ッチ用電磁切換弁682はわずかに開けばよく、全開さ
せる制御信号値(デューティー比)を100%とする
と、例えば、30%の制御信号値を供給することによ
り、通路切換弁743は補助通路660のみを閉じるよ
う切り換えられ、通路66mと液圧室815とが補助通
路660を通らずに連通される。ロックアップクラッチ
50は断に維持される。なお、図3において、回路切換
スイッチ930のスイッチ931、932、933及び
934、変速指示スイッチSW1、補助駆動回路開閉ス
イッチSW2、コントローラ電源スイッチSW3及びキ
ースイッチSW4は全てOFFの状態で示されている。
【0043】図示の実施形態における車両用動力伝達装
置は以上のように構成されており、以下その作動につい
て説明する。先ず、車両の発進動作について説明する。
図2及び図3を参照して、ディーゼルエンジン2が始動
されアイドリング状態においては摩擦クラッチ用電磁切
換弁742は除勢(OFF)されており、湿式多板摩擦
クラッチ8は上述したように摩擦係合されている。な
お、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682は、上記
したようにコントローラ90によってわずかに付勢され
るよう制御されており、通路切換弁743は補助通路6
60のみを閉じ、ロックアップクラッチ50は摩擦係合
しない(ロックアップクラッチ断)。従って、エンジン
2は流体継手4の滑りによってアイドリング回転が維持
されている。車両を発進するために運転者が図示しない
変速レバーに装着された変速指示スイッチSW1をON
すると、先に述べた図示しないシフトストロークセンサ
からのシフト開始信号に基づいて、コントローラ90か
ら主駆動回路91を介して摩擦クラッチ用電磁切換弁7
42に制御信号が出力される。これにより摩擦クラッチ
用電磁切換弁742が付勢(ON)される。摩擦クラッ
チ用方向制御弁741に作用するパイロット圧が開放さ
れ、湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815が開放され
るので、湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断
される。湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断
されている間に変速レバーによる変速操作が行われ、手
動変速機10が発進段に投入されると、先に述べた図示
しないシフトストロークセンサからのシフト終了信号に
基づいて、コントローラ90は主駆動回路91を介して
摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除勢(OFF)す
る。これにより摩擦クラッチ用方向制御弁741にパイ
ロット圧が作用し、湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室8
15が油圧ポンプ60に連通させられるので、湿式多板
摩擦クラッチ8は摩擦係合する。
【0044】この状態で図示しないアクセルペダルを踏
み込んでエンジン回転速度を増大すると、ディーゼルエ
ンジン2のクランク軸21(入力軸)に発生した駆動力
は、上述したようにドライブプレート44を介して流体
継手4のケーシング41に伝達される。ケーシング41
とポンプ42のポンプシェル421は一体的に構成され
ているので、上記駆動力によってポンプ42が回転させ
られる。ポンプ42が回転するとポンプ42内の作動流
体は遠心力によりインペラ422に沿って外周に向かっ
て流れ、図2において矢印で示すようにタービン43側
に流入する。タービン43側に流入した作動流体は、中
心側に向かって流れ矢印で示すようにポンプ42に戻さ
れる。このように、ポンプ42とタービン43とによっ
て形成される作動室4a内の作動流体がポンプ42とタ
ービン43内を循環することにより、ポンプ42側の駆
動トルクが作動流体を介してタービン43側に伝達され
る。タービン43側に伝達された駆動力は、タービンシ
ェル431およびタービンハブ47を介して出力軸46
に伝達され、更に上記湿式多板摩擦クラッチ8を介して
変速機10に伝達され、車両を発進することができる。
【0045】次に、車両用動力伝達装置の変速時の動作
について説明する。車両が走行中に手動変速機10を所
定の変速段へ変速する場合は、運転者が図示しない変速
レバーに装着された変速指示スイッチSW1をONする
と、上述したようにコントローラ90から主駆動回路9
1を介して摩擦クラッチ用電磁切換弁742に制御信号
が出力される。これにより摩擦クラッチ用電磁切換弁7
42が付勢(ON)され、先に述べたとおりにして湿式
多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断される。湿式
多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断されている間
に変速レバーによる変速操作が行われ、手動変速機10
が発進段に投入されると、先に述べたとおりにして、コ
ントローラ90は摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除
勢(OFF)するので、湿式多板摩擦クラッチ8は摩擦
係合する。
【0046】次に、ロックアップクラッチ用電磁切換弁
682および摩擦クラッチ用電磁切換弁742を制御す
るコントローラ90、あるいはシフトストロークセンサ
系に失陥が発生した場合における制御手段9の作動につ
いて説明する。このような非常時においては、コントロ
ーラ電源スイッチSW3を手動操作によりOFFする。
コントローラ電源スイッチSW3がOFFにされると、
回路切換スイッチ制御回路98は開とされる。この状態
では、摩擦クラッチ用電磁切換弁742がコントローラ
90とは独立して変速指示スイッチSW1のON−OF
F作動により制御されるよう、回路切換スイッチ930
は、上記摩擦クラッチ駆動回路を、補助駆動回路92に
切り換える。具体的には、リレーR2がOFF状態に維
持されるので、回路切換スイッチ930のスイッチ93
1、932、933及び934が全てOFF状態に維持
される。その結果、補助駆動回路92が補助駆動回路開
閉スイッチSW2を介して閉となる。また、補助駆動回
路開閉スイッチ制御回路97が変速指示スイッチSW1
を介して閉となる。更に変速指示スイッチ回路96及び
主駆動回路91が開となる。ロックアップクラッチ駆動
回路94は開とされ、ロックアップクラッチ用電磁切換
弁682は完全に除勢(OFF)されるので、ロックア
ップクラッチ用方向制御弁681及び通路切換弁743
に作用するパイロット圧が開放されてゼロとなる。その
結果、ロックアップクラッチ50は断の状態に維持さ
れ、通路切換弁743は補助通路660のみを開くよう
切り換えられる。
【0047】このような非常時において、車両を走行す
るためには、エンジンが始動できるとともに、変速機1
0が所定の発進段に投入された状態で湿式摩擦クラッチ
8を接状態にする必要がある。ロックアップクラッチ用
電磁切換弁682および摩擦クラッチ用電磁切換弁74
2は、図3に示す除勢された状態である。図示の実施形
態においては、ロックアップクラッチ用電磁切換弁68
2が除勢されパイロット圧が作用しない図3に示す状態
では、ロックアップクラッチ用制御弁681はロックア
ップクラッチ50が断となるように作動流体を循環する
位置に位置付けられているので、エンジンが始動して作
動流体の圧力が発生しても流体継手4のポンプ42とタ
ービン43とは作動流体の滑りによって相対回転可能な
状態であるため、変速機10が所定の発進段に投入され
湿式摩擦クラッチ8が接状態になってもエンジンを始動
することができる。なお、図示の実施形態においては、
パイロット圧によって切り換わる摩擦クラッチ用方向制
御弁741の切換圧力は、ディーゼルエンジン2の始動
時におけるスタータモータによるクランキング回転速度
で油圧ポンプ60が駆動された状態で発生する作動流体
圧力より高い値に設定されているので、エンジンのクラ
ンキング状態においては湿式多板摩擦クラッチ8の液圧
室815が開放されている。従って、エンジンのクラン
キング時には湿式多板摩擦クラッチ8が断状態であるた
め、スタータモータの駆動源であるバッテリーの電圧が
低下した場合や気温の低下によって作動流体の粘度が高
くなった場合でもエンジンを始動することができる。こ
のようにしてエンジンが始動され、油圧ポンプ60によ
って吐出される作動流体圧力が摩擦クラッチ用方向制御
弁741の切換圧力以上になると、このパイロット圧に
よって摩擦クラッチ用方向制御弁741が切替えられ、
上述したように湿式多板摩擦クラッチ8が接状態とな
る。そして、図示しないアクセルペダルを踏み込みエン
ジン回転速度を増大すると、変速機10が所定の発進段
に投入されているので、上述したようにディーゼルエン
ジン2のクランク軸21(入力軸)に発生した駆動力
は、流体継手4、湿式多板摩擦クラッチ8を介して変速
機10に伝達され、車両を発進することができる。
【0048】なお、車両の発進時における変速機10の
所定の発進段への投入に際し、運転者が図示しない変速
レバーに装着された変速指示スイッチSW1をONする
と、リレーR1がON(通電)されるので、補助駆動回
路開閉スイッチSW2がONされて、補助駆動回路92
が閉となる。これにより摩擦クラッチ用電磁切換弁74
2が補助駆動回路92を介して電源Bに接続されるの
で、摩擦クラッチ用電磁切換弁742が付勢(ON)さ
れる。摩擦クラッチ用方向制御弁741に作用するパイ
ロット圧が開放され、液圧室815は、補助通路660
の、チェック弁662aが配設された第2補助通路66
2を介して応答性良く開放され、湿式多板摩擦クラッチ
8による動力伝達が遮断される。湿式多板摩擦クラッチ
8による動力伝達が遮断されている間に変速レバーによ
る変速操作が行われ、手動変速機10が所定の変速段へ
投入される。所定の変速段へのシフトが完了し、運転者
が変速レバーから手を離すと、変速指示スイッチSW1
がOFFとなる。リレーR1への通電がOFFされるの
で、補助駆動回路開閉スイッチSW2がOFFとなり、
補助駆動回路92が開となる。その結果、摩擦クラッチ
用電磁切換弁742が除勢(OFF)され、摩擦クラッ
チ用方向制御弁741にパイロット圧が作用させられ
る。油圧ポンプ60は、補助通路660の、オリフィス
661aが配設された第1補助通路661を介して液圧
室815に連通され、湿式多板摩擦クラッチ8が擦係合
させられる。このように、油圧ポンプ60からの作動流
体は第1補助通路661のオリフィス661aを通過す
るよう強制されるので、液圧室815の圧力は徐々に上
昇させられ、湿式多板摩擦クラッチ8の接動作は急激に
行なわれることはなく、変速のショックが低減される。
車両は所定の発進段で発進することができる。
【0049】次に、上記非常時における動力伝達装置の
変速時の動作について説明する。車両が走行中に手動変
速機10を所定の変速段へ変速する場合、運転者が図示
しない変速レバーに装着された変速指示スイッチSW1
をONすると、リレーR1がON(通電)されるので、
補助駆動回路開閉スイッチSW2がONされて、補助駆
動回路92が閉となる。これにより摩擦クラッチ用電磁
切換弁742が付勢(ON)される。摩擦クラッチ用方
向制御弁741に作用するパイロット圧が開放され、液
圧室815は、補助通路660の、チェック弁662a
が配設された第2補助通路662を介して開放され、湿
式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が応答性良く遮断
される。湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断
されている間に変速レバーによる変速操作が行われ、手
動変速機10が所定の変速段へ投入される。所定の変速
段へのシフトが完了し、運転者が変速レバーから手を離
すと、変速指示スイッチSW1がOFFとなる。リレー
R1への通電がOFFされるので、補助駆動回路開閉ス
イッチSW2がOFFとなり、補助駆動回路92が開と
なる。その結果、摩擦クラッチ用電磁切換弁742が除
勢(OFF)され、摩擦クラッチ用方向制御弁741に
パイロット圧が作用させられる。油圧ポンプ60は、補
助通路660の、オリフィス661aが配設された第1
補助通路661を介して液圧室815に連通され、湿式
多板摩擦クラッチ8が擦係合させられる。このように、
油圧ポンプ60からの作動流体は第1補助通路661の
オリフィス661aを通過するよう強制されるので、液
圧室815の圧力は徐々に上昇させられ、湿式多板摩擦
クラッチ8の接動作は急激に行なわれることはなく、変
速のショックが低減される。車両は所定の変速段で走行
することができる。上記説明から明らかなように、本発
明による動力伝達装置によれば、コントローラ90が故
障したり、変速機10のシフトストロークセンサ系に失
陥が発生した非常時においても、クラッチの制御を行う
ことができるので、車両を適宜に変速しながら走行させ
ることができ、実用上有用である。また、コントローラ
が故障したり、変速機10のシフトストロークセンサ系
に失陥が発生した場合においても、変速ショックを低減
しうるクラッチの制御を可能とし、車両の変速走行を可
能にする。
【0050】以上、本発明による動力伝達装置を、実施
形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明した
が、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、
本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の種々の変形
あるいは修正が可能である。例えば、上記実施形態にお
いて、回路切換スイッチ930及び補助回路開閉スイッ
チSW2は、それぞれリレーR2、リレーR1により開
閉制御するよう構成され、したがっていわゆるリレース
イッチにより構成されているが、これらに代えて、大容
量トランジスタを使用する他の実施形態もある。更には
また、上記実施形態において、変速指示スイッチSW1
は図示しない変速レバーの変速用シフトノブに設けられ
たシフトノブスイッチから構成されているが、変速操作
系に設けられて変速指示を検出できるON−OFFスイ
ッチであれば、他のスイッチであってもよい。更にはま
た、上記実施形態において、ロックアップクラッチ駆動
回路94は、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682
を回路切換スイッチ930を介してコントローラ90に
接続するよう構成されているが、これに代えて、ロック
アップクラッチ用電磁切換弁682を直接、コントロー
ラ90に接続する他の実施形態もある。更にはまた、上
記実施形態において、摩擦クラッチ駆動回路が回路切換
スイッチSW93によって主駆動回路91に切り換えら
れた状態で、ロックアップクラッチ用方向制御弁681
及び通路切換弁743に、ロックアップクラッチ用方向
制御弁681が作動しない所定値のパイロット圧が常時
作用するよう、ロックアップクラッチ用電磁切換弁74
2はコントローラ90によって常時付勢され、通路切換
弁743に所定値のパイロット圧が作用すると、通路切
換弁743は補助通路660のみを閉じるよう切り換え
られる、よう構成されている。そして、上記実施形態に
おいては、通路切換弁743に作用させるパイロット圧
を0.2Mpaに設定したが、もちろんこれに限定され
ることはなく、実用上は適宜の所定値に設定されること
はいうまでもない。
【0051】
【発明の効果】本発明による動力伝達装置によれば、コ
ントローラが故障したり、変速機のシフトストロークセ
ンサ系に失陥が発生した場合においても、クラッチの制
御を可能とし、その結果、車両の変速走行を可能にす
る。また、コントローラが故障したり、変速機のシフト
ストロークセンサ系に失陥が発生した場合においても、
変速ショックを低減しうるクラッチの制御を可能とし、
車両の変速走行を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された動力伝達装置の縦断
面図。
【図2】図1に示す動力伝達装置の要部拡大断面図。
【図3】図1の動力伝達装置に装備される流体作動手段
の実施形態を示す流体回路、及び摩擦クラッチ用電磁切
換手段及びロックアップクラッチ用電磁切換手段を制御
する制御手段の実施形態を示す構成図。
【図4】図3に示されているロックアップクラッチ方向
制御弁のパイロット圧とロックアップクラッチの制御圧
との関係を示す圧力線図。
【符号の説明】
4 流体継手 50 ロックアップクラッチ 6 流体作動手段 60 油圧ポンプ 660 補助通路 661 第1補助通路 661a オリフィス 662 第2補助通路 662a チェック弁 68 ロックアップクラッチ用電磁切換手段 681 ロックアップクラッチ用方向制御弁 682 ロックアップクラッチ用電磁切換弁 74 摩擦クラッチ用電磁切換手段 741 摩擦クラッチ用方向制御弁 742 摩擦クラッチ用電磁切換弁 743 通路切換弁 8 湿式多板擦クラッチ 815 液圧室 9 制御手段 90 コントローラ 91 主駆動回路 92 補助駆動回路 93 回路切換手段 930 回路切換スイッチ 94 ロックアップクラッチ駆動回路 95 コントローラ作動回路 96 変速指示スイッチ回路 97 補助駆動回路開閉スイッチ制御回路 98 回路切換スイッチ制御回路 10 変速機 SW1 変速指示スイッチ SW2 補助駆動回路開閉スイッチ SW3 回路切換スイッチ SW4 キースイッチ R1 補助駆動回路開閉スイッチ制御手段(リレー) R2 回路切換スイッチ制御手段(リレー)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンにより駆動される、ロックアッ
    プクラッチを備えた流体継手と、流体継手と変速機との
    間に配設された摩擦クラッチと、流体継手に作動流体を
    循環させかつ摩擦クラッチの液圧室に作動流体を供給す
    る流体作動手段とを備えている動力伝達装置において、 流体作動手段は、油圧ポンプと、油圧ポンプと該液圧室
    を連通する通路に配設された摩擦クラッチ用方向制御弁
    と、摩擦クラッチ用方向制御弁に作用させるパイロット
    圧を制御する摩擦クラッチ用電磁切換弁と、油圧ポンプ
    と流体継手を連通する通路に配設されたロックアップク
    ラッチ用方向制御弁と、ロックアップクラッチ用方向制
    御弁に作用させるパイロット圧を制御するロックアップ
    クラッチ用電磁切換弁とを備え、 摩擦クラッチ用電磁切換弁及びロックアップクラッチ用
    電磁切換弁を制御するための制御手段を備え、制御手段
    は、該電磁切換弁の各々を制御するコントローラと、摩
    擦クラッチ用電磁切換弁を駆動するための摩擦クラッチ
    駆動回路と、ロックアップクラッチ用電磁切換弁を駆動
    するためのロックアップクラッチ駆動回路と、回路切換
    手段とを備え、摩擦クラッチ駆動回路は、コントローラ
    によって摩擦クラッチ用電磁切換弁を制御するための主
    駆動回路と、摩擦クラッチ用電磁切換弁をコントローラ
    とは独立して制御するための補助駆動回路とからなり、
    摩擦クラッチ駆動回路は、回路切換手段によって、主駆
    動回路又は補助駆動回路に切り換えられる、ことを特徴
    とする動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 コントローラを作動させるコントローラ
    電源スイッチを備え、コントローラ電源スイッチのON
    状態で回路切換手段は摩擦クラッチ駆動回路を主駆動回
    路に切り換え、コントローラ電源スイッチをOFFする
    と回路切換手段は摩擦クラッチ駆動回路を補助駆動回路
    に切り換える、請求項1記載の動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 制御手段は変速指示スイッチを備え、摩
    擦クラッチ駆動回路が回路切換手段によって主駆動回路
    に切り換えられた状態で、摩擦クラッチ用電磁切換弁は
    変速指示スイッチのON−OFF作動に基づいてコント
    ローラによって制御され、摩擦クラッチ駆動回路が回路
    切換手段によって補助駆動回路に切り換えられると、摩
    擦クラッチ用電磁切換弁は変速指示スイッチのON−O
    FF作動によって制御される、請求項1記載の動力伝達
    装置。
  4. 【請求項4】 摩擦クラッチ用方向制御弁はパイロット
    圧が作用していない状態では該液圧室を開放して摩擦ク
    ラッチを断とし、パイロット圧が作用すると油圧ポンプ
    と該液圧室とを連通して摩擦クラッチを接とするように
    切換わり、摩擦クラッチ用電磁切換弁は除勢されている
    状態では摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧を作
    用させ、付勢されると摩擦クラッチ用方向制御弁に作用
    するパイロット圧を開放するように構成され、ロックア
    ップクラッチ用方向制御弁は、パイロット圧が作用して
    いない状態ではロックアップクラッチが断となるよう作
    動流体を循環させ、所定値を越えるパイロット圧が作用
    するとロックアップクラッチが接となるよう作動流体を
    循環させるように切り換わり、ロックアップクラッチ用
    電磁切換弁は除勢されている状態ではロックアップクラ
    ッチ用方向制御弁に作用するパイロット圧を開放し、付
    勢されるとロックアップクラッチ用方向制御弁にパイロ
    ット圧を作用させる、請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 摩擦クラッチ用方向制御弁と該液圧室と
    を連通する通路には、通路切換弁によって切り換えられ
    る補助通路が並列に設けられ、補助通路は、オリフィス
    が配設された第1補助通路と、チェック弁が配設された
    第2補助通路とを備え、通路切換弁はロックアップクラ
    ッチ用方向制御弁に作用させるパイロット圧により制御
    されるよう構成され、摩擦クラッチ駆動回路が回路切換
    手段によって主駆動回路に切り換えられた状態で、ロッ
    クアップクラッチ用方向制御弁及び通路切換弁に、ロッ
    クアップクラッチ用方向制御弁が作動しない所定値のパ
    イロット圧が常時作用するよう、ロックアップクラッチ
    用電磁切換弁はコントローラによって常時付勢され、通
    路切換弁に所定値のパイロット圧が作用すると、通路切
    換弁は補助通路のみを閉じるよう切り換えられる、請求
    項4記載の動力伝達装置。
  6. 【請求項6】 摩擦クラッチ駆動回路が回路切換手段に
    よって補助駆動回路に切り換えられると、ロックアップ
    クラッチ駆動回路が開となり、ロックアップクラッチ用
    電磁切換弁は除勢されてロックアップクラッチ用方向制
    御弁及び通路切換弁に作用するパイロット圧は開放さ
    れ、通路切換弁に作用するパイロット圧が開放される
    と、通路切換弁は補助通路のみを開くよう切り換えら
    れ、摩擦クラッチ用電磁切換弁が除勢されている状態で
    は摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧を作用さ
    せ、油圧ポンプは、補助通路の、オリフィスが配設され
    た第1補助通路を介して該液圧室に連通されて摩擦クラ
    ッチを接とし、摩擦クラッチ用電磁切換弁が付勢される
    と、摩擦クラッチ用方向制御弁に作用するパイロット圧
    が開放され、該液圧室は、補助通路の、チェック弁が配
    設された第2補助通路を介して開放されて摩擦クラッチ
    を断とする、請求項5記載の動力伝達装置。
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