JP2002286130A - クラッチ自動制御式車両 - Google Patents

クラッチ自動制御式車両

Info

Publication number
JP2002286130A
JP2002286130A JP2001090483A JP2001090483A JP2002286130A JP 2002286130 A JP2002286130 A JP 2002286130A JP 2001090483 A JP2001090483 A JP 2001090483A JP 2001090483 A JP2001090483 A JP 2001090483A JP 2002286130 A JP2002286130 A JP 2002286130A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
rotation
speed
transmission
passage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001090483A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Inoue
英司 井上
Takumi Shinojima
巧 篠島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP2001090483A priority Critical patent/JP2002286130A/ja
Publication of JP2002286130A publication Critical patent/JP2002286130A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各部の回転センサの故障が容易に特定できる
クラッチ自動制御式車両を提供する。 【解決手段】 エンジンと変速機130との間にロック
アップクラッチを内蔵した流体継手9と湿式摩擦クラッ
チ70とを設け、発進時には流体継手9のクリープ制御
を行い、発進後にはロックアップクラッチ接の制御を行
い、変速時には湿式摩擦クラッチ断・接の制御を行う制
御部を設けたクラッチ自動制御式の車両において、エン
ジン回転を検出するエンジン回転センサ160と、流体
継手のタービン側の回転を検出するタービン回転センサ
161と、変速機の入力軸の回転を検出する変速機回転
センサ162とを設け、前記制御部は、各クラッチ接に
て走行中に各回転センサから得られる回転数を相互に比
較し、一つの回転数が他の複数の回転数と極端に相違す
るとき、その回転数を得た回転センサを故障と判定する
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと変速機
との間にロックアップクラッチを内蔵した流体継手と湿
式摩擦クラッチとを設けたクラッチ自動制御式車両に係
り、特に、各部の回転センサの故障が容易に特定できる
クラッチ自動制御式車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クラッチ自動制御式車両(以下、AT
車)は、エンジンと変速機との間にロックアップクラッ
チを内蔵した流体継手と湿式摩擦クラッチとを設け、発
進時には流体継手のクリープ制御、発進後にはロックア
ップクラッチ接の制御、制動時にはロックアップクラッ
チ断の制御を行うと共に、変速時には湿式摩擦クラッチ
断・接の制御を行う制御部を設けたものである。
【0003】AT車の変速機は、マニュアル式と同じく
チェンジレバーの操作をメカニカルに伝達する機構を有
するが、クラッチペダルはなく、チェンジレバー内にド
ライバの操作意図を検出するセンサが組み込まれてお
り、この操作意図に応じて制御部がアクチュエータを用
いて湿式摩擦クラッチ断・接を制御することになる。即
ち、ドライバが変速操作をするときは湿式摩擦クラッチ
を断に制御することでシフト操作を可能にする。そし
て、シフト操作が終了したところで湿式摩擦クラッチを
接に制御する。このように、湿式摩擦クラッチは、専ら
変速のために使用されるので、以下、変速クラッチとい
う。
【0004】流体継手は、内蔵しているロックアップク
ラッチが断の状態ではクリープ制御が可能であり、発進
時の半クラッチはクリープ制御で実現される。ロックア
ップクラッチが接の状態では、エンジンと変速クラッチ
とを直結したのと同等の状態となるので、発進した後
は、ロックアップクラッチを接に制御することにより、
伝達効率を高めることができる。このように、流体継手
は、発進、走行、停止のために使用される。流体継手の
構造は後に詳しく述べる。
【0005】一方、坂道発進補助装置(以下、HSA)
付き車両は、ブレーキペダルの踏み込みをブレーキ部材
に伝達するためのブレーキ液圧系に、制御部からの制御
によって所望のブレーキ液圧を保持するアクチュエータ
を挿入し、ブレーキペダルの踏み込みがなくともブレー
キ力が制御できるようにしたものである。これにより、
坂道発進の際にドライバがブレーキペダルを離しても車
両が後退しないので、ドライバは簡単に坂道発進ができ
る。
【0006】ただし、従来のHSA付き車両(AT車で
ないもの)における制御は、クラッチが半クラッチにな
る位置を予め学習しておき、坂道発進の際にその位置に
クラッチが来たら、保持していたブレーキ液圧を開放す
るようになっている。ブレーキ液圧を開放してもクラッ
チが半クラッチになってエンジントルクが車輪に伝わっ
ているので車両は後退することなく発進できる。
【0007】本出願人は、前記ATにHSAを導入した
新規な車両を開発するにあたり、ATに単純にHSAを
導入しようとすると、いくつかの弊害が生じることを見
出だした。本発明は、その対策となる技術のうち、回転
センサの故障検出に関するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】AT車にあっては、エ
ンジン回転(クランク軸回転)を検出するエンジン回転
センサ、流体継手のタービン側の回転を検出するタービ
ン回転センサ、変速機の入力軸の回転を検出する変速機
回転センサを用いている。これらの回転センサから得ら
れる各部の回転数を比較することにより、ロックアップ
クラッチの滑りや変速クラッチの滑りを検出することが
できる。
【0009】ところが、いずれかの回転センサが故障し
てしまうと、回転数の比較が正常にできなくなり、クラ
ッチ滑りがあると誤判定してしまう。回転センサの故障
のうち、電気的な故障、例えば、電気回路の断線、短絡
などは回転センサ出力のレベルなどから検出可能であ
り、このような電気的な故障の場合にはクラッチ滑りの
誤判定を否定することが可能である。しかし、ギアの歯
欠、回転センサの取付けズレなどによるギャップ不良、
ノイズ混入などにより、回転センサの電気出力波形がギ
ア歯の凹凸形状を正確に模倣していない異常が生じてし
まうと、このような回転センサ出力からは故障を検出す
ることが困難である。
【0010】このままでは、回転センサが故障している
とき、クラッチ滑りがあるとの誤判定を否定することが
できず、クラッチ制御に不具合が生じる。また、クラッ
チの滑りに限らず、車両の様々な制御において動力伝達
装置各部の回転数を利用しようとするとき、回転数の信
頼度が低いと、的確な制御が期待できなくなる。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、各部の回転センサの故障が容易に特定できるクラッ
チ自動制御式車両を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、エンジンと変速機との間にロックアップク
ラッチを内蔵した流体継手と湿式摩擦クラッチとを設
け、発進時には流体継手のクリープ制御を行い、発進後
にはロックアップクラッチ接の制御を行い、変速時には
湿式摩擦クラッチ断・接の制御を行う制御部を設けたク
ラッチ自動制御式の車両において、エンジン回転を検出
するエンジン回転センサと、流体継手のタービン側の回
転を検出するタービン回転センサと、変速機の入力軸の
回転を検出する変速機回転センサとを設け、前記制御部
は、各クラッチ接にて走行中に各回転センサから得られ
る回転数を相互に比較し、一つの回転数が他の複数の回
転数と極端に相違するとき、その回転数を得た回転セン
サを故障と判定するようにしたものである。
【0013】エンジン回転数Ne、タービン回転数N
t、変速機回転数Niの相互の差(絶対値)を計算し、
エンジン回転数Neに対するタービン回転数Ntの差及
び変速機回転数Niの差がいずれも所定値より大きいと
き、エンジン回転センサを故障と判定し、タービン回転
数Ntに対するエンジン回転数Neの差及び変速機回転
数Niの差がいずれも所定値より大きいとき、タービン
回転センサを故障と判定し、変速機回転数Niに対する
エンジン回転数Neの差及びタービン回転数Ntの差が
いずれも所定値より大きいとき、変速機回転センサを故
障と判定してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて詳述する。
【0015】図1に示されるように、本発明に係るクラ
ッチ自動制御式車両の制御部が回転センサ故障診断を行
う手順は、ロックアップクラッチ及び変速クラッチ(湿
式摩擦クラッチ)が共に接であるかどうかを判定するス
テップS1と、エンジン回転数Neについて、タービン
回転数Nt、変速機回転数Niとの相互の比較を行うス
テップS2と、タービン回転数Ntについて、エンジン
回転数Ne、変速機回転数Niとの相互の比較を行うス
テップS3と、変速機回転数Niについて、エンジン回
転数Ne、タービン回転数Ntとの相互の比較を行うス
テップS4と、回転センサが正常であると判定するステ
ップS5と、エンジン回転センサの故障と判定するステ
ップS6と、タービン回転センサの故障と判定するステ
ップS7と、変速機回転センサの故障と判定するステッ
プS8とを有する。
【0016】図1の手順による回転センサ故障診断の動
作を説明する前に、流体継手及び変速クラッチからなる
動力伝達装置の構造を図2〜図4により説明しておく。
【0017】図2に示されるように、動力伝達装置は、
エンジン(図の左側)に装着されたハウジング1に継手
ハウジング2がボルト3で締結して取り付けられ、その
継手ハウジング2に変速機(図の右側)のケース4がボ
ルト5で締結して取り付けられている。継手ハウジング
2は、中間壁6によって流体継手収容室7と湿式摩擦ク
ラッチ収容室8とに区画されている。
【0018】流体継手9は、継手ハウジング2の流体継
手収容室7内に配設されている。流体継手9は、ケーシ
ング10とポンプ11とタービン12とを備えている。
【0019】ケーシング10は、エンジンのクランク軸
13に内周部がボルト14で締結して取り付けられたド
ライブプレート15の外周部にボルト16で締結して取
り付けられている。このドライブプレート15の外周部
には、図示しないスタータモータの駆動歯車と噛合する
始動用のリングギア17が取り付けられている。
【0020】ポンプ11は、ケーシング10と対向して
配設されている。ポンプ11は、断面輪郭が椀状のポン
プシェル18とそのポンプシェル18内に放射状に配設
された複数個のインペラ19とを備えている。ポンプシ
ェル18は、ケーシング10に溶接して取り付けられて
いる。従って、ポンプシェル18は、ケーシング10及
びドライブプレート15を介してクランク軸13に一体
化されていることになる。このため、クランク軸13
は、流体継手9の入力軸として機能する。
【0021】タービン12は、ポンプ18とケーシング
10とによって形成された室の内部に配設されている。
タービン12は、ポンプシェル18と対向して配設され
ている断面輪郭が椀状のタービンシェル20とそのター
ビンシェル20内に放射状に配設された複数個のランナ
21とを備えている。タービンシェル20は、上記入力
軸としてのクランク軸13と同一軸線上に配設された出
力軸22にスプライン嵌合されたタービンハブ23に溶
接して取り付けられている。
【0022】流体継手9は、ケーシング10とタービン
12とを直接伝動連結するためのロックアップクラッチ
24を備えている。ロックアップクラッチ24は、ケー
シング10とタービン12との間に配設されたクラッチ
ディスク25を備えている。クラッチディスク25は、
ケーシング10との間に外側室26を形成すると共に、
タービン12との間に内側室27を形成する。このクラ
ッチディスク25の内周縁は、タービンハブ23の外周
に相対回転可能でかつ軸方向に摺動可能に支持されてい
る。クラッチディスク25の外周部には、ケーシング1
0と対向する面にクラッチフェーシング28が取り付け
られている。クラッチディスク25の外周部における内
側室27側には、環状の凹部29が形成されている。こ
の凹部29には、それぞれ支持片30によって支持され
た複数個のダンパースプリング31が所定の間隔をおい
て配設されている。これらの複数個のダンパースプリン
グ31の両側には、クラッチディスク25に取り付けら
れた入力側リテーナ32が突出して配設されていると共
に、各ダンパースプリング31間にはタービンシェル2
0に取り付けられた出力側リテーナ33が突出して配設
されている。
【0023】ここで、ロックアップクラッチ24の動作
を説明する。
【0024】まず、内側室27内の作動流体の圧力が外
側室26内の作動流体の圧力より高い場合、即ち、後述
する流体作動手段によって供給される作動流体がポンプ
11とタービン12とによって形成される作動室34か
ら内側室27を通して外側室26に流れる場合には、ク
ラッチディスク25が図2において左方向に押圧される
ので、クラッチディスク25に取り付けられたクラッチ
フェーシング28がケーシング10に押圧されて摩擦係
合する。この動作をロックアップクラッチ接という。ロ
ックアップクラッチ接においては、ケーシング10とタ
ービン12とが、クラッチフェーシング28、クラッチ
ディスク25、入力側リテーナ32、出力側リテーナ3
3を介して直接伝動連結される。
【0025】一方、外側室26内の作動流体の圧力が内
側室27内の作動流体の圧力より高い場合、即ち、後述
する流体作動手段によって供給される作動流体が外側室
26から内側室27を通して作動室34に循環する場合
には、クラッチディスク25が図2において右方向に押
圧されるので、クラッチディスク25に取り付けられた
クラッチフェーシング28はケーシング10と摩擦係合
しない。この動作をロックアップクラッチ断という。ロ
ックアップクラッチ断においては、ケーシング10とタ
ービン12との伝動連結は解除される。
【0026】動力伝達装置の構造の説明に戻る。
【0027】継手ハウジング2の中間壁6には、流体継
手収容室7と湿式摩擦クラッチ収容室8とを区画するポ
ンプハウジング40、41がボルトで締結されて取り付
けられている。このポンプハウジング40、41内には
後述する流体作動手段の流体圧源としての油圧ポンプ4
2が配設されている。また、ポンプハウジング40、4
1には流体作動手段を構成する各制御弁が配設されてい
ると共に作動流体通路が形成されている。ポンプハウジ
ング40、41内に配設された油圧ポンプ42は、ポン
プハブ43によって回転駆動されるように構成されてい
る。ポンプハブ43は、ポンプ11のポンプシェル18
に取り付けられていると共に、ポンプハウジング40に
軸受を介して回転可能に支持されている。また、ポンプ
ハウジング40、41には、油圧ポンプ42の吸入口に
連通する吸入通路44が形成されている。
【0028】ポンプハブ43の外周面とポンプハウジン
グ40の端部との間には、オイルシール45が配設され
ている。また、ポンプハブ43と出力軸22との間に
は、筒状部材が配設されており、この筒状部材とポンプ
ハブ43との間に流体継手9のポンプ11とタービン1
2とにわたって形成される作動室34と連通する通路4
7が形成されている。出力軸22には作動流体の通路4
8が設けられている。この通路48は、その一端が出力
軸22の図において左端面に開口し、外側室26と連通
しており、その他端が出力軸22の外周面に開口してい
る。
【0029】湿式摩擦クラッチ収容室8を形成する継手
ハウジング2の底壁49には開口50が形成されてい
る。また、継手ハウジング2にはポンプハウジング4
0、41に形成された吸入通路44と開口50の一部
(図3において開口50の左方の一部)とを連通する吸
い込み通路51が形成されている。この吸い込み通路5
1は、継手ハウジング2の下方部を形成する一方の側壁
52(図3)と、中間壁6の下部と、継手ハウジング2
の仕切り壁53から吸入通路44に向けて形成された縦
壁54(図3)及びその縦壁54の上端と一方の側壁5
2とを接続する上壁55とによって構成されている。上
壁55の先端は上記他方のポンプハウジング41に吸入
通路44の開口に沿って当接するように構成されてい
る。また、継手ハウジング2には、湿式摩擦クラッチ収
容室8と開口50の他部とを連通する落下通路56(図
3)が設けられている。この落下通路56は、縦壁54
と継手ハウジング2の下方部を形成する他方の側壁57
(図3)とによって構成されている。
【0030】継手ハウジング2の底面には、開口50を
覆うオイルパン58(図3)が取り付けられている。こ
のオイルパン58は、オイルパン58の外周辺に形成さ
れた取付部59(図3)が複数個の締付ボルト60(図
3)によって継手ハウジング2の底面に取り付けられて
いる。オイルパン58と開口50との間にはフィルタ6
1(図3)が取り付けられている。このフィルタ61
は、枠体62(図3)とその枠体62における吸い込み
通路51に対応する開口50の一部に相当する部分に取
り付けられた瀘過材63(図3)とからなっており、枠
体62が継手ハウジング2の底壁とオイルパン58の外
周辺に形成された取付部59とによって挟持されてい
る。オイルパン58には、縦壁の下端面と対向する位置
に支持部材64(図3)が設けられている。
【0031】湿式摩擦クラッチ収容室8を構成する継手
ハウジング2の底壁49に設けられた開口50を覆うオ
イルパン58には作動流体が収容されており、この作動
流体が油圧ポンプ42の作動によりフィルタ61を通し
て吸い込まれるようになっている。
【0032】湿式摩擦クラッチ70は、継手ハウジング
2の湿式摩擦クラッチ収容室8内に配設されている。湿
式摩擦クラッチ70は、クラッチアウタ71とクラッチ
センタ72とを備えている。クラッチアウタ71は、ド
ラム状に形成されており、その内周部には流体継手9の
出力軸22とスプライン嵌合するハブ73が設けられて
いる。クラッチアウタ71の外周部内面には、内歯スプ
ライン74が設けられており、この内歯スプライン74
に複数枚の摩擦板75が軸方向に摺動可能に嵌合されて
いる。また、クラッチアウタ71の中間部には環状のシ
リンダ76が形成されており、その環状のシリンダ76
を構成する内周壁がポンプハウジング41のボス部77
の外周面に相対回転可能に嵌合されている。環状のシリ
ンダ76内には、摩擦板75と後述する摩擦板78とを
押圧するための押圧ピストン79とが配設されている。
この環状のシリンダ76と押圧ピストン79とによって
形成される液圧室80は、環状のシリンダ76を構成す
る内周壁に設けられた通路及びポンプハウジング41の
ボス部77に設けられた通路を介して後述する流体作動
手段に連通している。クラッチアウタ71のハブ73と
押圧ピストン79との間にはプレート81が取り付けら
れている。このプレート81と押圧ピストン79との間
に圧縮コイルバネ82が配設されている。従って、押圧
ピストン79は、圧縮コイルバネ82のバネ力によって
常に図2において左方向に移動すべく押圧されている。
【0033】クラッチセンタ72は、円盤状に形成され
ており、その内周部には変速機(図の右側)の入力軸8
3とスプライン嵌合するハブ84が設けられている。ク
ラッチセンタ72の外周面には、外歯スプライン185
が設けられており、この外歯スプライン85に複数枚の
摩擦板78が軸方向に摺動可能に嵌合されている。クラ
ッチセンタ72に取り付けられた複数枚の摩擦板78と
クラッチアウタ71に取り付けられた複数枚の摩擦板7
5とは、それぞれ交互に配設されている。クラッチセン
タ72のハブ84とクラッチアウタ71のハブ73との
間及びクラッチアウタ71のハブ73とポンプハウジン
グ41のボス部77との間には、それぞれスラスト軸受
86、87が配設されている。
【0034】ここで、湿式摩擦クラッチ70の動作を説
明する。
【0035】湿式摩擦クラッチ70では、後述する流体
作動手段によって作動流体が液圧室80に供給されない
図2の状態において、押圧ピストン79は圧縮コイルバ
ネ82のバネ力によって左方位置(係合解除位置)に位
置付けられている。このため複数枚の摩擦板78と複数
枚の摩擦板75とは押圧されないので、複数枚の摩擦板
78と複数枚の摩擦板75とが係合せず、流体継手9の
出力軸22から変速機の入力軸83への動力伝達が遮断
されている。後述する流体作動手段によって作動流体が
液圧室80に供給されると、押圧ピストン79は圧縮コ
イルバネ82のバネ力に抗して図2の右方へ移動する。
この結果、複数枚の摩擦板78と複数枚の摩擦板75と
が押圧され互いに摩擦係合するので、流体継手9の出力
軸22の動力は、クラッチアウタ71、複数枚の摩擦板
75、複数枚の摩擦板78及びクラッチセンタ72を介
して変速機の入力軸83に伝達される。
【0036】湿式摩擦クラッチ70では、複数枚の摩擦
板75及び複数枚の摩擦板78を冷却するために、流体
継手9を循環する作動流体が後述する流体作動手段によ
って供給されるよう構成されている。流体継手9の出力
軸22の外周面とポンプハウジング41のボス部77と
の間には通路88が形成されており、この通路88が後
述する流体作動手段に連通している。この通路88に供
給された作動流体は、出力軸22とクラッチアウタ71
のハブ73との間に入りスラスト軸受87を潤滑した後
に、複数枚の摩擦板75及び複数枚の摩擦板78に供給
される。また、この通路88に供給された作動流体は、
スラスト軸受86を潤滑した後に、クラッチアウタ71
の設けられた通路を通って複数枚の摩擦板75及び複数
枚の摩擦板78に供給される。流体継手9の出力軸22
には上記通路88と入力軸83を支持する支持部とを連
通する通路89が設けられている。従って、通路88に
供給された作動流体は、通路88を通して入力軸83を
回転自在に支持する軸受を潤滑し、さらに入力軸83と
クラッチセンタ72のハブ84とのスプライン嵌合部を
潤滑する。このように湿式摩擦クラッチ70の各部を潤
滑ないし冷却した作動流体は、湿式摩擦クラッチ収容室
8に放出され、落下通路56(図3)を通り、開口50
を通り、オイルパン58に貯留される。
【0037】次に、流体作動手段100について図4に
より説明する。なお、図4の流体回路図に付した符号の
うち、図2、図3の構造図に付した符号と同じものは同
一部材を表す。
【0038】図4に示されるように、流体作動手段10
0は、油圧ポンプ42が作動することにより、オイルパ
ン58に貯留された作動流体をフィルタ61、吸い込み
通路51及び吸入通路44を通して吸い込み、後述する
ように循環させる。油圧ポンプ42によって吸い込まれ
た作動流体は、通路101に吐出される。通路101に
吐出された作動流体は、通路102及びロックアップク
ラッチ用方向制御弁103を介して上記出力軸22に設
けられた通路48と連通する通路104、又は流体継手
9の作動室34に連通する通路47と連通する通路10
5に供給される。ロックアップクラッチ用方向制御弁1
03にパイロット圧を作用させるために、通路101と
ロックアップクラッチ用方向制御弁103とを連絡する
パイロット通路106が設けられており、このパイロッ
ト通路106にロックアップクラッチ用電磁方向制御弁
107が配設されている。ロックアップクラッチ用電磁
方向制御弁107は、車両の走行速度に基づいて車両の
走行速度が所定値以上になると図示しない制御手段によ
って付勢(オン)される。
【0039】ロックアップクラッチ用電磁方向制御弁1
07が除勢(オフ)している図4に示す状態のときに
は、パイロット通路106が遮断されており、ロックア
ップクラッチ用方向制御弁103にはパイロット圧が作
用しない。従って、ロックアップクラッチ用方向制御弁
103は図4に示す状態に位置付けられており、通路1
02と通路104とが連通すると共に、通路105と戻
り通路108とが連通する。この結果、油圧ポンプ42
によって通路101に吐出された作動流体は、通路10
2、通路104、通路48、流体継手9の外側室26、
内側室27、ポンプ11とタービン12とによって形成
される作動室34、通路47、通路105、戻り通路1
08、この戻り通路108に配設された逆止弁及び冷却
器109を通してオイルパン58に循環される。このよ
うに作動流体が循環するときは、外側室26の流体圧が
内側室27の流体圧より高いので、ロックアップクラッ
チ24の動作説明で述べたように、ロックアップクラッ
チ24は摩擦係合しない(ロックアップクラッチ断)。
【0040】一方、ロックアップクラッチ用電磁方向制
御弁107が付勢(オン)されると、パイロット通路1
06が連通され、ロックアップクラッチ用方向制御弁1
03にはパイロット圧が作用してロックアップクラッチ
用方向制御弁103が作動し、通路102と通路105
とが連通すると共に、通路104が湿式摩擦クラッチ収
容室8及び落下通路56を通してオイルパン58と連通
する。この結果、油圧ポンプ42によって通路101に
吐出された作動流体は、通路102、通路105、通路
47、ポンプ11とタービン12とによって形成される
作動室34、内側室27、外側室26、通路48、通路
104、湿式摩擦クラッチ収容室8及び落下通路56を
通してオイルパン58に循環される。このように作動流
体が循環するときは、内側室27の流体圧が外側室26
の流体圧より高いので、ロックアップクラッチ24の動
作説明で述べたように、ロックアップクラッチ24は摩
擦係合する(ロックアップクラッチ接)。
【0041】なお、ロックアップクラッチ用電磁方向制
御弁107は、付勢(オン)された状態において通路1
01の作動流体圧力が所定値より低く、ロックアップク
ラッチ用方向制御弁103に作用するパイロット圧が低
い場合には、ロックアップクラッチ用方向制御弁103
のスプールが中間位置に位置付けられて通路102が通
路104及び通路105と連通するように構成されてい
る。この作動形態に関連して、通路105と戻り通路1
08とを連通するバイパス通路110が設けられてお
り、このバイパス通路110に絞りが配設されている。
従って、油圧ポンプ42の回転速度が低く、通路101
の作動流体圧力が所定値より低い場合には、通路101
に吐出された作動流体は、通路104、通路105、絞
りを備えたバイパス通路110を通して循環される。
【0042】流体作動手段100は、吸入通路44と通
路101とを結ぶリリーフ通路111を備えており、こ
のリリーフ通路111にリリーフ弁112が配設されて
いる。リリーフ弁112は、開弁圧がロックアップクラ
ッチ24のオン時においてクラッチディスク25に取り
付けられたクラッチフェーシング28がケーシング10
に押圧されて摩擦係合するに必要な流体圧である例えば
6kg/cm2 に設定されており、通路101内の作動
流体圧が6kg/cm2 を越えると作動流体をリリーフ
通路111を介して吸入通路44に戻す。
【0043】流体作動手段100は、湿式摩擦クラッチ
70の液圧室80に連通された通路113と通路101
とを連通する通路114及び通路115を備えている。
この通路114と通路115との間に摩擦クラッチ用方
向制御弁116が配設されている。摩擦クラッチ用方向
制御弁116にパイロット圧を作用させるために、通路
101と摩擦クラッチ用方向制御弁116とを連絡する
パイロット通路117が設けられており、このパイロッ
ト通路117に摩擦クラッチ用電磁方向制御弁118が
配設されている。摩擦クラッチ用電磁方向制御弁118
は、除勢(オフ)されているときには、図4に示すよう
にパイロット通路117を連通しており、付勢(オン)
されるとパイロット通路117の連通を遮断するように
構成されている。
【0044】なお、摩擦クラッチ用方向制御弁116
は、パイロット圧が作用していない状態では通路114
と通路115との連通を遮断しており、パイロット圧が
作用すると通路114と通路115とを連通するように
構成されている。従って、摩擦クラッチ用電磁方向制御
弁118が除勢(オフ)されているときには、摩擦クラ
ッチ用方向制御弁116にパイロット圧が作用している
ので、摩擦クラッチ用方向制御弁116は通路114と
通路115とを連通する。この結果、油圧ポンプ42に
よって通路101に吐出された作動流体が通路114、
通路115、通路113、通路89を介して湿式摩擦ク
ラッチ70の液圧室80に供給されるので、湿式摩擦ク
ラッチ70の動作説明で述べたように、押圧ピストン7
9が圧縮コイルバネ82のバネ力に抗して図2の右方へ
移動し、複数枚の摩擦板78と複数枚の摩擦板75とが
押圧され互いに摩擦係合する。一方、摩擦クラッチ用電
磁方向制御弁118が付勢(オン)されるとパイロット
通路117の連通が遮断され、摩擦クラッチ用方向制御
弁116にパイロット圧が作用しないので、通路114
と通路115との連通が遮断されると共に、通路115
が湿式摩擦クラッチ収容室8及び落下通路56を通して
オイルパン58と連通する。この結果、湿式摩擦クラッ
チ70の押圧ピストン79は圧縮コイルバネ82のバネ
力によって図2において左方向に移動する。このため、
複数枚の摩擦板78と複数枚の摩擦板75との摩擦係合
が解除される。
【0045】流体作動手段100は、通路101と流体
継手9の出力軸22の外周面とポンプハウジング41の
ボス部77との間に形成された通路88とを連絡する通
路を備えている。このため油圧ポンプ42によって通路
101に吐出された作動流体は、通路88に常時供給さ
れる。従って、油圧ポンプ42の作動時には通路88に
供給された作動流体が前述のようにスプライン嵌合部及
び各軸受を潤滑すると共に、複数枚の摩擦板75及び複
数枚の摩擦板78に供給される。このように、流体継手
9に作動流体を循環させる流体作動手段100は、作動
流体を湿式摩擦クラッチ70の各軸受を潤滑すると共に
複数枚の摩擦板75及び複数枚の摩擦板78に供給す
る。
【0046】流体作動手段100は、通路101に連通
する通路120を有し、この通路120はバンドブレー
キアクチュエータ121に連通している。バンドブレー
キアクチュエータ121は、バンドブレーキ122を駆
動するものである。バンドブレーキ122は、一端が固
定され他端がバンドブレーキアクチュエータ121に取
り付けられた帯状のバンド123を変速クラッチよりも
出力側の軸124の周囲に巻き付けたものである。油圧
ポンプ42によって通路101に吐出された作動流体が
バンドブレーキアクチュエータ121を短縮させること
により、バンド123が緩んで軸124が開放される。
また、作動流体が供給されないとき、バンドブレーキア
クチュエータ121がバネ力によって伸長するとバンド
123が軸124を締め込んで固定する。
【0047】次に、変速機を含めた動力伝達装置の機能
について図5により説明する。なお、図5のスケルトン
図に付した符号のうち、図2、図3の構造図に付した符
号と同じものは同一部材を表す。
【0048】図5に示されるように、動力伝達装置は、
エンジン(図の左側)と変速機130との間に、ロック
アップクラッチ24を内蔵した流体継手9と湿式摩擦ク
ラッチ(変速クラッチ)70とが設けられている。既に
説明したように、流体継手9は、ロックアップクラッチ
接の制御を行うことにより、ケーシング10とタービン
12とが直接伝動連結され、入力軸であるクランク軸1
3と出力軸22とが連結される。また、流体継手9は、
ロックアップクラッチ断の制御を行うことにより、ケー
シング10とタービン12との伝動連結は解除される。
ロックアップクラッチが断の状態では、作動流体のクリ
ープによってクランク軸13の回転を出力軸22に徐々
に伝動させることができる。そして、既に説明したよう
に、湿式摩擦クラッチ70は、クラッチアウタ71とク
ラッチセンタ72とにおける摩擦板75、78の摩擦係
合により流体継手9の出力軸22の回転を変速機130
の入力軸83に伝達させることができる(湿式摩擦クラ
ッチ接)。また、湿式摩擦クラッチ70は、クラッチア
ウタ71とクラッチセンタ72とにおける摩擦板75、
78の係合解除により、流体継手9の出力軸22の回転
から変速機130の入力軸83を遮断することができる
(湿式摩擦クラッチ断)。
【0049】変速機130は、入力軸83と、その入力
軸83の同一軸線上に配置された出力軸131と、その
出力軸131に平行に配置されたカウンタ軸132とを
備えている。入力軸83には入力軸83に一体化されて
いる駆動歯車133が設けられている。出力軸131に
は、出力軸131に一体化されている第一、第二の出力
歯車134、135と、出力軸131の周囲で自由回転
可能な、第一、第二、第三の変速用歯車136、13
7、138とが設けられている。カウンタ軸132に
は、カウンタ軸132に一体化されている第一、第二、
第三、第四のカウンタ歯車139、140、141、1
42が設けられている。カウンタ軸132の第一カウン
タ歯車138は、入力軸83の駆動歯車133に常時噛
合されている。従って、カウンタ軸132及び第一、第
二、第三、第四のカウンタ歯車139、140、14
1、142は、常に入力軸83の回転に対し、駆動歯車
133と第一カウンタ歯車139との歯数比に応じた回
転数比で回転する。さらに、第一、第二、第三の変速用
歯車136、137、138は、それぞれ第二、第三、
第四のカウンタ歯車140、141、142に常時噛合
されている。従って、第一、第二、第三の変速用歯車1
36、137、138は、常にカウンタ軸132の回転
に対し、各々の変速用歯車とカウンタ歯車との歯数比に
応じた回転数比で回転する。
【0050】駆動歯車133には、第一出力歯車134
と同径、同歯数で駆動歯車133に一体化されている補
助歯車143が設けられている。また、第一変速用歯車
136にも、第一出力歯車134と同径、同歯数で第一
変速用歯車136に一体化されている補助歯車144が
設けられている。そして、第一出力歯車134に噛合
し、出力軸131の長手方向に移動可能な内歯歯車14
5によって、第一出力歯車134が駆動歯車133の補
助歯車143、或いは第一変速用歯車136の補助歯車
144に選択的に連結可能に構成されている。第二変速
用歯車137と第三変速用歯車138とにも、それぞれ
第二出力歯車135と同径、同歯数の補助歯車146、
147が一体的に設けられている。そして、第二出力歯
車135に噛合し、出力軸131の長手方向に移動可能
な内歯歯車148によって、第二出力歯車135が第二
変速用歯車137の補助歯車146或いは第三変速用歯
車138の補助歯車147に選択的に連結可能に構成さ
れている。
【0051】第一出力歯車134が駆動歯車133の補
助歯車143に連結されたときには、出力軸131は、
入力軸83の回転に対し、1対1の回転数比で回転す
る。第一出力歯車134が第一変速用歯車136の補助
歯車144に連結されたときには、出力軸131は、入
力軸83の回転に対し、駆動歯車133と第一カウンタ
歯車139との歯数比及び第二カウンタ歯車140と第
一変速用歯車136との歯数比の積に応じた回転数比で
回転する。同様に、第二出力歯車135が第二変速用歯
車137の補助歯車146或いは第三変速用歯車138
の補助歯車147に連結されたときには、出力軸131
は、入力軸83の回転に対し、駆動歯車133と第一カ
ウンタ歯車139との歯数比及び各々の変速用歯車13
7、138とカウンタ歯車141、142との歯数比の
積に応じた回転数比で回転する。
【0052】変速機130の動作をまとめると、内歯歯
車145、148の移動位置によって4種類の変速比で
入力軸83の回転を出力軸131に伝達することが可能
である。内歯歯車145、148が図示のように中間的
位置にあるときには、入力軸83の回転は出力軸131
に伝達されない(ニュートラル)。なお、内歯歯車14
5、148を移動させる機構は、車室内のシフトレバー
に機械的に連結されており、シフトレバーによるポジシ
ョン選択操作によって内歯歯車145、148の移動が
達成される。
【0053】図5の動力伝達装置には、クランク軸13
の回転を検出するエンジン回転センサ160、流体継手
9の出力軸22の回転を検出する流体継手出力回転セン
サ(タービン回転センサ)161、変速機130の入力
軸83の回転を検出する変速機入力回転センサ162が
設けられている。各々の回転センサ160、161、1
62は、例えば、各々の軸に一体化している歯車に径方
向外方から臨ませた電磁ピックアップで構成されてい
る。
【0054】動力伝達装置の流体作動手段100の各制
御弁を電気的に駆動して流体継手9及び湿式摩擦クラッ
チ70を制御する制御部(コントローラ)は、その制御
のための入力要素として、シフトレバーに内蔵されてシ
フト操作を感知するシフトセンサ、ギアインか否か(ギ
アがニュートラルか否か)を検出するギアインセンサ、
ブレーキペダルの初期操作を検出するブレーキスイッチ
(ブレーキランプを点灯させるストップランプスイッチ
と兼用)、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ
(ブレーキがある液圧になったとき作動するスイッチで
もよい)、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセ
ルセンサ、パーキングブレーキが引かれているかどうか
を検出するパーキングスイッチ、エンジンが稼働中か停
止中かの情報を出力するエンジンコントローラのエンジ
ンラン出力、エンジンコントローラの故障診断出力、坂
道発進補助装置(HSA)の機能を運転者が解除するた
めのHSA解除スイッチ、ギアイン停車時にスタータを
強制的に回転させる非常スイッチ、変速機130の出力
軸131の回転等から車速を検出する車速センサ、前述
のエンジン回転センサ160、流体継手出力回転センサ
161、変速機入力回転センサ162などを使用してい
る。
【0055】制御部の動作のうち、HSA機能に関して
図6、図7を用いて説明する。HSAが作動する条件
は、以下の8項目からなる。
【0056】車両が停止かそれに近い状態であるこ
と。具体的には、車速が0.5km/h以下であるこ
と。
【0057】減速度が小さいこと。具体的には、減速
度(所定時間内における車速低下量)が予め定めた減速
度判定基準値よりも小さいこと。
【0058】ブレーキペダルが踏まれたこと。具体的
には、ストップランプスイッチがオンであること。
【0059】パーキングブレーキが引かれていないこ
と。具体的には、パーキングスイッチがオフであるこ
と。
【0060】運転者がHSAの動作を望んでいるこ
と。具体的には、HSA解除スイッチがオフであるこ
と。
【0061】エンジンラン(エンジンが稼働中)であ
ること。具体的には、エンジンコントローラのエンジン
ラン出力(ACG L端子)がオンであること。
【0062】故障診断の結果が正常であること。具体
的には、エンジンコントローラの故障診断出力がオンで
あること。
【0063】次のA又はBが成立していること。
【0064】A)シフトレバーがニュートラル以外(ギ
アイン状態)で、アクセルペダルが踏み込まれていない
(アクセルアイドル、即ち、アクセルがHSA解除位置
より開放されている)とき。
【0065】B)ギアがニュートラルのとき。
【0066】以上の条件が全て成立したまま、0.5秒
以上が経過した場合にHSAを作動させることになる。
【0067】以上の条件を判定する手順は、図6に示さ
れるように、車速判定のステップS11、減速度判定の
ステップS12、ブレーキ踏込み判定のステップS1
3、パーキング判定のステップS14、HSA解除スイ
ッチ判定のステップS15、エンジンラン判定のステッ
プS16、故障診断結果判定のステップS17、ギアニ
ュートラル判定のステップS18、アクセルアイドル判
定のステップS19、HSA作動を決定するステップS
20からなる。ステップS11〜ステップS18におい
ていずれもYESであるか、ステップS19においてY
ESである場合にステップS20が実行されてHSAが
作動する。即ち、制御部は、HSAバルブを作動(オ
ン)させることにより、アクチュエータによって所望の
ブレーキ液圧を保持する。これにより、爾後、ブレーキ
ペダルの踏み込みがなくともブレーキ力が維持される。
このHSAの作動は、次に述べる解除条件が成立するま
で維持される。
【0068】次に、作動させているHSAを解除する条
件は、以下の4項目からなる。
【0069】パーキングブレーキが引かれる。具体的
には、パーキングスイッチがオンになる。
【0070】車両が走行する。具体的には、車速が
4.5km/h以上になる。
【0071】運転者がHSAの解除を望む。具体的に
は、HSA解除スイッチがオンにされる。
【0072】ギアがニュートラル以外(ギアイン状
態)で、アクセルペダルが踏み込まれる。
【0073】以上の条件のいずれか一つが成立したと
き、HSAを解除することになる。
【0074】以上の条件を判定する手順は、図7に示さ
れるように、パーキング判定のステップS21、車速判
定のステップS22、HSA解除スイッチ判定のステッ
プS23、ギアニュートラル判定のステップS24、ア
クセル踏込み判定のステップS25、HSA解除を決定
するステップS26からなる。ステップS21〜ステッ
プS23のいずれかにおいてYESとなったか、ステッ
プS25においてYESとなった場合にステップS26
が実行されてHSAが解除される。即ち、制御部は、H
SAバルブを非作動(オフ)させることにより、アクチ
ュエータによるブレーキ液圧の保持を遮断する。これに
より、ブレーキペダルの踏み込みに応じたブレーキ力が
発揮されるようになる。
【0075】さて、本発明にあっては、制御部は、発進
時には流体継手のクリープ制御を行い、発進後にはロッ
クアップクラッチ接の制御を行い、変速時には湿式摩擦
クラッチ断・接の制御を行うが、各クラッチ接にて走行
中に、動力伝達装置の3以上の回転箇所の回転数を相互
に比較し、一つの回転数が他の複数の回転数と極端に相
違するとき、その回転数を得た回転センサを故障と判定
する。
【0076】ここで、回転センサとは、図5に示したク
ランク軸13の回転を検出するエンジン回転センサ16
0、流体継手9の出力軸22の回転を検出する流体継手
出力回転センサ(タービン回転センサ)161、変速機
130の入力軸83の回転を検出する変速機入力回転セ
ンサ(変速機回転センサ)162のことであり、各回転
センサのパルス状の出力波形を所定時間内でカウント
し、そのカウント値とギア歯数とから1分当たりの回転
数を計算し、エンジン回転数Ne、タービン回転数N
t、変速機回転数Niを得ることができる。
【0077】図1に示されるように、制御部は、まず、
ステップS1で、ロックアップクラッチ及び変速クラッ
チ(湿式摩擦クラッチ)が共に接であるかどうかを判定
する。ロックアップクラッチが接でなければ、或いは変
速クラッチが接でなければ、回転センサの故障診断は省
略し、図1の手順を終了する。
【0078】ステップS1において、ロックアップクラ
ッチ及び変速クラッチが共に接であれば、クランク軸1
3から変速機130の入力軸83までが連結されている
ことになるので、ステップS2に進む。ステップS2で
は、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差
(絶対値)を計算し、この差が所定値以上であるかどう
かを判定する。ここでは、所定値として100rpmを
採用した。従って、 |Ne−Nt|≧100rpm (1) かどうかを判定することになる。また、ステップS2で
は、エンジン回転数Neと変速機回転数Niとの差(絶
対値)を計算し、この差が所定値以上であるかどうかを
判定する。従って、 |Ne−Ni|≧100rpm (2) かどうかを判定することになる。
【0079】ステップS2において、式(1)、式
(2)のいずれかが成立していなければ、エンジン回転
数Neは他の2つの回転数と極端には相違していないと
判断できる。そこで、ステップS3に進む。ステップS
3では、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの
差(絶対値)を計算し、この差が所定値以上であるかど
うかを判定する。従って、 |Ne−Nt|≧100rpm (3) かどうかを判定することになる。また、ステップS3で
は、タービン回転数Ntと変速機回転数Niとの差(絶
対値)を計算し、この差が所定値以上であるかどうかを
判定する。従って、 |Nt−Ni|≧100rpm (4) かどうかを判定することになる。
【0080】ステップS3において、式(3)、式
(4)のいずれかが成立していなければ、タービン回転
数Ntは他の2つの回転数と極端には相違していないと
判断できる。そこで、ステップS4に進む。ステップS
4では、エンジン回転数Neと変速機回転数Niとの差
(絶対値)を計算し、この差が所定値以上であるかどう
かを判定する。従って、 |Ne−Ni|≧100rpm (5) かどうかを判定することになる。また、ステップS4で
は、タービン回転数Ntと変速機回転数Niとの差(絶
対値)を計算し、この差が所定値以上であるかどうかを
判定する。従って、 |Nt−Ni|≧100rpm (6) かどうかを判定することになる。
【0081】ステップS4において、式(5)、式
(6)のいずれかが成立していなければ、変速機回転数
Niは他の2つの回転数と極端には相違していないと判
断できる。そこで、ステップS5に進む。ステップS5
では、ステップS2〜ステップS4の結果の総合によ
り、いずれの回転数も他の回転数と極端に相違しないこ
とが判るので、エンジン回転センサ160、タービン回
転センサ161、変速機回転センサ162は、いずれも
正常であると判定する。
【0082】ステップS2において、式(1)、式
(2)がいずれも成立していると、エンジン回転数Ne
は他の2つの回転数と極端に相違している判断できる。
そこで、ステップS6に進む。ステップS6では、エン
ジン回転センサ160が故障と判定する。
【0083】ステップS3において、式(3)、式
(4)がいずれも成立していると、タービン回転数Nt
は他の2つの回転数と極端に相違している判断できる。
そこで、ステップS7に進む。ステップS7では、ター
ビン回転センサ161が故障と判定する。
【0084】ステップS4において、式(5)、式
(6)がいずれも成立していると、変速機回転数Niは
他の2つの回転数と極端に相違している判断できる。そ
こで、ステップS8に進む。ステップS8では、変速機
回転センサ162が故障と判定する。
【0085】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0086】(1)出力レベルでは検出できなかった種
類の回転センサ故障が検出できるようになり、回転セン
サに対する信頼度が向上する。
【0087】(2)故障している回転センサが特定でき
るので、その回転センサを利用している諸制御に他の回
転センサからの情報を流用するようなバックアップが可
能になると共に、修理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御部が回転センサ故障診断時に行う
手順を示す流れ図である。
【図2】本発明を適用する流体継手及び変速クラッチか
らなる動力伝達装置の軸に沿った断面図である。
【図3】図2の動力伝達装置の変速クラッチ部分の軸に
直角な断面図である。
【図4】図2の動力伝達装置の作動流体を供給する流体
作動手段の回路図である。
【図5】変速機を含めた図2の動力伝達装置のスケルト
ン図である。
【図6】HSA作動条件を判定する手順を示す流れ図で
ある。
【図7】HSA解除条件を判定する手順を示す流れ図で
ある。
【符号の説明】
9 流体継手 11 ポンプ 12 タービン 13 クランク軸 22 流体継手9の出力軸 24 ロックアップクラッチ 70 湿式摩擦クラッチ 83 変速機130の入力軸 100 流体作動手段 130 変速機 131 変速機130の出力軸 160 エンジン回転センサ 161 タービン回転センサ 162 変速機回転センサ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと変速機との間にロックアップ
    クラッチを内蔵した流体継手と湿式摩擦クラッチとを設
    け、発進時には流体継手のクリープ制御を行い、発進後
    にはロックアップクラッチ接の制御を行い、変速時には
    湿式摩擦クラッチ断・接の制御を行う制御部を設けたク
    ラッチ自動制御式の車両において、エンジン回転を検出
    するエンジン回転センサと、流体継手のタービン側の回
    転を検出するタービン回転センサと、変速機の入力軸の
    回転を検出する変速機回転センサとを設け、前記制御部
    は、各クラッチ接にて走行中に各回転センサから得られ
    る回転数を相互に比較し、一つの回転数が他の複数の回
    転数と極端に相違するとき、その回転数を得た回転セン
    サを故障と判定するようにしたことを特徴とするクラッ
    チ自動制御式車両。
  2. 【請求項2】 エンジン回転数Ne、タービン回転数N
    t、変速機回転数Niの相互の差(絶対値)を計算し、
    エンジン回転数Neに対するタービン回転数Ntの差及
    び変速機回転数Niの差がいずれも所定値より大きいと
    き、エンジン回転センサを故障と判定し、タービン回転
    数Ntに対するエンジン回転数Neの差及び変速機回転
    数Niの差がいずれも所定値より大きいとき、タービン
    回転センサを故障と判定し、変速機回転数Niに対する
    エンジン回転数Neの差及びタービン回転数Ntの差が
    いずれも所定値より大きいとき、変速機回転センサを故
    障と判定することを特徴とする請求項1記載のクラッチ
    自動制御式車両。
JP2001090483A 2001-03-27 2001-03-27 クラッチ自動制御式車両 Pending JP2002286130A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090483A JP2002286130A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 クラッチ自動制御式車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090483A JP2002286130A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 クラッチ自動制御式車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002286130A true JP2002286130A (ja) 2002-10-03

Family

ID=18945259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001090483A Pending JP2002286130A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 クラッチ自動制御式車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002286130A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005220937A (ja) * 2004-02-03 2005-08-18 Isuzu Motors Ltd 自動クラッチ制御装置
CN104455378A (zh) * 2013-09-12 2015-03-25 上海汽车集团股份有限公司 离合器的故障诊断方法
JP2015183770A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 本田技研工業株式会社 制御装置
JP2016031092A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 マツダ株式会社 自動変速機の制御装置及び制御方法
CN108916372A (zh) * 2018-06-19 2018-11-30 联合汽车电子有限公司 双离合自动变速箱离合器的故障诊断方法
CN110745132A (zh) * 2018-07-04 2020-02-04 本田技研工业株式会社 车辆用控制装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005220937A (ja) * 2004-02-03 2005-08-18 Isuzu Motors Ltd 自動クラッチ制御装置
CN104455378A (zh) * 2013-09-12 2015-03-25 上海汽车集团股份有限公司 离合器的故障诊断方法
JP2015183770A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 本田技研工業株式会社 制御装置
JP2016031092A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 マツダ株式会社 自動変速機の制御装置及び制御方法
CN108916372A (zh) * 2018-06-19 2018-11-30 联合汽车电子有限公司 双离合自动变速箱离合器的故障诊断方法
CN108916372B (zh) * 2018-06-19 2020-07-07 联合汽车电子有限公司 双离合自动变速箱离合器的故障诊断方法
CN110745132A (zh) * 2018-07-04 2020-02-04 本田技研工业株式会社 车辆用控制装置
US10962105B2 (en) 2018-07-04 2021-03-30 Honda Motor Co., Ltd. Control device for vehicle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0308072B1 (en) Torque converter lock-up& disconnect clutch structure
US6556910B2 (en) Control apparatus and method for vehicle having an idle stop function
US8657094B2 (en) Clutch device for vehicle
JP4807697B2 (ja) 車両の制御装置
WO2014054411A1 (ja) 自動変速機における摩擦締結要素の潤滑構造
WO2006112494A1 (ja) 自動変速機の制御装置
JP2002147597A (ja) 車両用自動変速機の制御装置
JP2002286130A (ja) クラッチ自動制御式車両
JP3823749B2 (ja) クラッチ自動制御式車両
JP2002295669A (ja) クラッチ自動制御式車両
JP4066612B2 (ja) クラッチ自動制御式車両
JP3119174B2 (ja) 駆動力制御装置
JPH10331869A (ja) クラッチの潤滑装置
JP5533494B2 (ja) 車両用クラッチ装置
JP3991610B2 (ja) ストレーナ
EP2902672A1 (en) Automatic transmission equipped with friction element having locking mechanism attached thereto, and control method therefor
JP4207352B2 (ja) 動力伝達装置
JP4258987B2 (ja) 動力伝達装置
JP4258988B2 (ja) 動力伝達装置
WO2022209384A1 (ja) 車両用駆動装置
JP4022960B2 (ja) 油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置
JP2012062911A (ja) 車両用クラッチ装置
JP3501594B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JPH084797A (ja) クラッチ付無段変速機の制御装置
JPH08285062A (ja) 自動変速機用油圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070116