JP3501594B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP3501594B2 JP25092196A JP25092196A JP3501594B2 JP 3501594 B2 JP3501594 B2 JP 3501594B2 JP 25092196 A JP25092196 A JP 25092196A JP 25092196 A JP25092196 A JP 25092196A JP 3501594 B2 JP3501594 B2 JP 3501594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、駆動力源および有段
式変速機構と、解放により駆動力源と有段式変速機構と
のトルク伝達を遮断する自動摩擦クラッチとを備えた自
動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、駆動力源の出力側に配置された有
段式変速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路
を切り換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放によ
り駆動力源と有段式変速機構とのトルク伝達を遮断する
自動摩擦クラッチとを備えた自動変速機の制御装置が提
案されている。この自動変速機の制御装置では、自動摩
擦クラッチを解放した状態で摩擦係合装置を係合・解放
して変速段の切り換えが行われ、その後に自動摩擦クラ
ッチを係合することで変速が完了する。
【0003】つまり、上記自動変速機の制御装置では、
変速を実行する度に自動摩擦クラッチが係合・解放され
る。このため、変速途中には車輪にトルクが伝達されず
に駆動力不足が生じるうえ、変速の開始から終了までの
所要時間が長くなる問題がある。
【0004】この問題を解決する自動変速機の制御装置
の一例が、特開平2−6235号公報に記載されてい
る。この公報に記載されている自動変速機の制御装置
は、摩擦クラッチと、摩擦クラッチに連結された歯車式
変速機と、摩擦クラッチおよび歯車式変速機をそれぞれ
駆動するための第1アクチュエータおよび第2アクチュ
エータとを備えている。また、上記自動変速機の制御装
置は、摩擦クラッチを半クラッチ状態とするように第1
アクチュエータを制御する第1制御手段と、歯車式変速
機のギヤをシフトするように第2アクチュエータを制御
する第2制御手段とを備えている。
【0005】この自動変速機の制御装置によれば、変速
段の設定中には摩擦クラッチが係合され、変速指令に応
答して摩擦クラッチが半クラッチ状態になる。この半ク
ラッチ状態で歯車変速機のギヤが変速指令に従う目標ギ
ヤ位置へシフトされた後、摩擦クラッチが係合される。
つまり、摩擦クラッチを半クラッチ状態にしたままギヤ
シフトが行われるため、変速途中の駆動力不足を抑制で
きるうえ、変速の開始から終了までの所要時間を短縮で
きる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載された自動変速機の制御装置においては、摩擦
クラッチを半クラッチ状態にしたまま変速が実行される
ため、摩擦クラッチの摩耗が促進されて劣化が過度に早
められる。その結果、トルク伝達機能が損なわれて走行
性能の低下や耐久性の低下を招く問題があった。
【0007】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たもので、変速途中における自動摩擦クラッチの摩耗を
抑制して走行性能や耐久性を向上させることのできる自
動変速機の制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するため請求項1の発明は、駆動力源の出力側に
配置された有段式変速機構と、この有段式変速機構のト
ルク伝達経路を切り換えて変速を実行する摩擦係合装置
と、解放により前記駆動力源と前記有段式変速機構との
トルク伝達の遮断を含むトルク容量の可変な自動摩擦ク
ラッチとを備えた自動変速機の制御装置において、変速
を実行する際に車両が所定条件にあるか否かを判断する
所定条件判断手段と、前記所定条件にあると判断された
場合には前記自動摩擦クラッチをスリップのない係合状
態に維持して変速を実行する係合変速制御手段とが備え
られていることを特徴とする。
【0009】また、請求項2の発明は、駆動力源の出力
側に配置された有段式変速機構と、この有段式変速機構
のトルク伝達経路を切り換えて変速を実行する摩擦係合
装置と、解放により前記駆動力源と前記有段式変速機構
とのトルク伝達の遮断を含むトルク容量の可変な自動摩
擦クラッチとを備えた自動変速機の制御装置において、
変速を実行する際に車両がコーナーを旋回しているか否
かを判断する所定条件判断手段と、前記車両がコーナー
を旋回していると判断された場合には前記自動摩擦クラ
ッチをスリップのない係合状態に維持して変速を実行す
る係合変速制御手段とが備えられていることを特徴とす
る制御装置である。さらに、請求項3の発明は、駆動力
源の出力側に配置された有段式変速機構と、この有段式
変速機構のトルク伝達経路を切り換えて変速を実行する
摩擦係合装置と、解放により前記駆動力源と前記有段式
変速機構とのトルク伝達の遮断を含むトルク容量の可変
な自動摩擦クラッチとを備えた自動変速機の制御装置に
おいて、変速を実行する際にエンジンブレーキ力が要求
されているか否かを判断する所定条件判断手段と、前記
エンジンブレーキ力が要求されていると判断された場合
には前記自動摩擦クラッチをスリップのない係合状態に
維持して変速を実行する係合変速制御手段とが備えられ
ていることを特徴とする制御装置である。またさらに、
請求項4の発明は、駆動力源の出力側に配置された有段
式変速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を
切り換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により
前記駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮
断を含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備え
た自動変速機の制御装置において、変速を実行する際に
マニュアルシフト操作がおこなわれたか否かを判断する
所定条件判断手段と、前記マニュアルシフト操作がおこ
なわれたと判断された場合には前記自動摩擦クラッチ
スリップのない係合状態に維持して変速を実行する係合
変速制御手段とが備えられていることを特徴とする制御
装置である。そして、請求項5の発明は、駆動力源の出
力側に配置された有段式変速機構と、この有段式変速機
構のトルク伝達経路を切り換えて変速を実行する摩擦係
合装置と、解放により前記駆動力源と前記有段式変速機
構とのトルク伝達の遮断を含むトルク容量の可変な自
摩擦クラッチとを備えた自動変速機の制御装置におい
て、変速を実行する際に急加速が要求されているか否か
を判断する所定条件判断手段と、前記急加速が要求され
ていると判断された場合には前記自動摩擦クラッチをス
リップのない係合状態に維持して変速を実行する係合変
速制御手段とが備えられていることを特徴とする制御装
置である。そしてまた、請求項6の発明は、駆動力源の
出力側に配置された有段式変速機構と、この有段式変速
機構のトルク伝達経路を切り換えて変速を実行する摩擦
係合装置と、解放により前記駆動力源と前記有段式変速
機構とのトルク伝達の遮断を含むトルク容量の可変な自
動摩擦クラッチとを備えた自動変速機の制御装置におい
て、前記自動摩擦クラッチの摩耗量が所定値に達したか
否かを判断する所定条件判断手段と、前記自動摩擦クラ
ッチの摩耗量が所定値に達したと判断された場合には前
記自動摩擦クラッチをスリップのない係合状態に維持し
て変速を実行する係合変速制御手段とが備えられている
ことを特徴とする制御装置である。
【0010】したがって請求項1の発明によれば、車両
が所定条件にあると判断された場合には、自動摩擦クラ
ッチを係合した状態で摩擦係合装置が係合・解放して変
速が実行される。したがって、自動摩擦クラッチの摩耗
による劣化が抑制され、自動摩擦クラッチのトルク伝達
機能が維持されて走行性能や耐久性が向上する。また、
請求項2の発明によれば、車両がコーナーを旋回してい
ると判断された場合には、自動摩擦クラッチを係合した
状態で摩擦係合装置が係合・解放して変速が実行され
る。さらに、請求項3の発明によれば、エンジンブレー
キ力が要求されていると判断された場合には、自動摩擦
クラッチを係合した状態で摩擦係合装置が係合・解放し
て変速が実行される。またさらに、請求項4の発明によ
れば、マニュアルシフト操作が実行されたと判断された
場合には、自動摩擦クラッチを係合した状態で摩擦係合
装置が係合・解放して変速が実行される。 そして、請求
項5の発明によれば、急加速が要求されていると判断さ
れた場合には、自動摩擦クラッチを係合した状態で摩擦
係合装置が係合・解放して変速が実行される。 そしてま
た、請求項6の発明によれば、自動摩擦クラッチの摩耗
量が所定値に達したと判断された場合には、自動摩擦ク
ラッチを係合した状態で摩擦係合装置が係合・解放して
変速が実行される。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図に示す実施
例に基づいて説明する。図2はこの発明が適用される自
動変速機1の構成例を示す断面図であり、図3は自動変
速機1の概略構成を示すスケルトン図である。自動変速
機1は、一体成形されたクラッチハウジング2とギヤユ
ニットケース3とを有し、ギヤユニットケース3の開口
端が駆動力源としてのエンジン4に固定されている。
【0012】エンジン4としては、内燃機関、電動モー
タ、燃料電池システムなどが用いられる。内燃機関の具
体例は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LP
Gエンジン、ガスタービンエンジン、ジェットエンジン
などがあげられ、この実施例ではガソリンエンジンが用
いられている。ギヤユニットケース3内には、互いに平
行な入力軸5とカウンタ軸6とが配置されており、入力
軸5の一端側がクラッチハウジング2の内部に挿入され
ている。
【0013】また、クラッチハウジング2とギヤユニッ
トケース3との間には隔壁7が設けられている一方、ク
ラッチハウジング2内にも隔壁8が設けられている。そ
して、隔壁7と壁8との対向位置に別個に設けられた
軸受9,10により、入力軸5瓦解点自在に保持されて
いる。さらに、隔壁7と壁8との対向位置に別個に設
けられた軸受11,12によりカウンタ軸6が回転自在
に保持されている。
【0014】入力軸5の一端側、具体的にはクラッチハ
ウジング2の内部には入力用の自動摩擦クラッチ13が
設けられている。以下、自動摩擦クラッチ13について
詳細に説明する。
【0015】入力軸5に対して相対回転自在に取り付け
られた中空のクラッチケーシング14は、入力軸5の外
周に装着されたスリーブ15と、スリーブ15の一端か
ら外周側に張り出したフランジ16と、フランジ16の
外周端からエンジン4側に向けて突出した円筒部17
と、円筒部17におけるエンジン4側の開口端に取り付
けられた環状のカバー18とを備えている。
【0016】また、環状のカバー18の内周面は、断面
ほぼコの字形に成形された環状のシリンダ19の外周に
固定され、シリンダ19の内周には入力軸5が回転可能
に挿入されている。シリンダ19におけるエンジン4側
の側面には円盤状のプレート20が固定されている。
【0017】一方、エンジン4側に設けられたクランク
シャフト21の端部、具体的には自動変速機1側の端部
にはねじ22を用いてドライブプレート23が固定され
ている。このドライブプレート23は、ねじ24を用い
てプレート20に連結されている。また、クラッチケー
シング14の内部にはクラッチディスク25が設けられ
ている。
【0018】このクラッチディスク25は、入力軸5の
外周にスプライン結合されたハブ26と、ハブ26の外
周側に設けられたダンパー機構27と、ハブ26の外周
側に設けられた環状のプレート28と、プレート28の
両側面に円周方向に固定されたクラッチフェーシング2
9とを備えている。また、クラッチケーシング14のフ
ランジ16の内面には、円周方向に受圧板30が取り付
けられており、受圧板30とクラッチフェーシング29
とが対向している。
【0019】さらに、クラッチケーシング14の内部に
おけるカバー18とクラッチディスク28との間には、
環状のプッシャプレート31が、入力軸5の軸線方向に
移動可能に配置されている。
【0020】このプッシャプレート31はクラッチケー
シング14と同心状に配置されており、プッシャプレー
ト31におけるカバー18側の側面には突起部32が形
成されている。プッシャプレート31とカバー18との
間には環状のダイヤフラムスプリング33が配置されて
いる。ダイヤフラムスプリング33は、その外周側がク
ラッチケーシング14に対して固定されており、その内
径がシリンダ19の外径よりも小さく設定されている。
このダイヤフラムスプリング33は、外周部と中心部と
が入力軸5の軸線方向にずれた円環状の板バネ部材であ
る。
【0021】このダイヤフラムスプリング33にはプッ
シャプレート31の突起部32が当接しているととも
に、ダイヤフラムスプリング33の内周部がピストン3
4に当接している。このピストン34はシリンダ19内
に配置され、かつ、入力軸5の軸線方向に移動可能に構
成されている。このピストン34とシリンダ19との間
には油圧室35が形成されている。
【0022】そして、入力軸5の内部に形成した油路3
6を介して油圧を油圧室35に供給することにより、ピ
ストン34が図2の左方向に移動して、ダイヤフラムス
プリング33の内周部を入力軸5の軸線方向に押圧す
る。したがって、油圧室35に供給される油圧を制御す
ることにより、クラッチフェーシング29と受圧板30
およびプッシャプレート31との係合・解放が行われる
とともに、その係合圧、つまりトルク容量を制御するこ
とが可能である。
【0023】なお、前記隔壁7における自動摩擦クラッ
チ13側の側面には、油圧ポンプ37が取り付けられて
いる。そして、クラッチケーシング14のスリーブ15
が入力軸5の外周面に沿ってこの油圧ポンプ37の内部
に挿入されており、油圧ポンプ37における可動部に、
スリーブ15の端部が連結されている。このため、クラ
ッチケーシング14の回転によって油圧ポンプ37が駆
動される構成となっている。
【0024】前記入力軸5とカウンタ軸6との間には、
有段式変速機構、具体的には互いに噛合した五対のギヤ
対が設けられている。これらのギヤ対について順に説明
すると、入力軸5の軸線方向における中間部外周には、
第1速用ドライブギヤ38が形成されており、この第1
速用ドライブギヤ38に噛合している第1速用ドリブン
ギヤ39が、カウンタ軸6の外周に回転自在に取り付け
られている。
【0025】すなわち、カウンタ軸6の外周には、一方
向クラッチ40が回転自在に取り付けられており、第1
速用ドリブンギヤ39の内周側の一部は、この一方向ク
ラッチ40のアウターレースを形成している。なお、こ
の一方向クラッチ40は第1速用ドリブンギヤ39から
インナーレース41に向けてトルクを伝達する方向で係
合するように設定されている。
【0026】また、カウンタ軸6には、一方向クラッチ
40に隣接してクラッチハブ42がスプライン嵌合され
ており、一方向クラッチ40のインナーレース41の一
部は、クラッチハブ42と外径が一致するように外周側
に延出している。このクラッチハブ42とインナーレー
ス41との外周面には、スプライン(図示せず)が形成
されており、このスプライン部分にハブスリーブ43が
カウンタ軸6の軸線方向に移動可能に嵌合されている。
すなわち、ハブスリーブ43がクラッチハブ42とイン
ナーレース41とにスプライン嵌合することにより、ク
ラッチハブ42とインナーレース41との間でトルクを
伝達するように構成されている。
【0027】前記入力軸5における自動摩擦クラッチ1
3とは反対側の端部には、第2速用ドライブギヤ44が
回転自在に嵌合されており、この第2速用ドライブギヤ
44に噛合している第2速用ドリブンギヤ45が、カウ
ンタ軸6の外周部にスプライン嵌合されている。また、
第2速用ドライブギヤ44に隣接する位置には、摩擦係
合装置としての第2速用クラッチ46が設けられてい
る。
【0028】この第2速用クラッチ46は湿式多板クラ
ッチであって、複数の環状のクラッチディスク47を外
周部にスプライン嵌合させた環状のクラッチハブ48
が、第2速用ドライブギヤ44に連結されている。ま
た、円筒部分の内周面に複数の環状のクラッチプレート
49をスプライン嵌合させたクラッチドラム50が、入
力軸5の端部にスプライン嵌合されている。そして、ピ
ストン51がクラッチドラム50の内部に、入力軸5の
軸線方向へ移動可能に配置されている。
【0029】そして、入力軸5の内部に形成した油路5
3からピストン51の背面側の油圧室52に油圧を供給
すると、ピストン51が図2の右方向に移動してクラッ
チディスク47とクラッチプレート49とが係合され、
その摩擦力によりトルクが伝達される。なお、油圧室5
2に対する油圧を解除すると、リターンスプリング54
によってピストン51が図2の左側に押圧され、クラッ
チディスク47とクラッチプレート49とが解放され
る。したがって、油圧室52に供給する油圧を調節する
ことにより、クラッチディスク47とクラッチプレート
49との係合力、つまり第2速用クラッチ46のトルク
容量が制御される。
【0030】前記入力軸5には、第1速用ドライブギヤ
38に隣接して第3速用ドライブギヤ55が回転自在に
保持されている。この第3速用ドライブギヤ55に噛合
している第3速用ドリブンギヤ56が、カウンタ軸6の
外周部にスプライン嵌合されている。第3速用ドライブ
ギヤ56を入力軸5に選択的に連結するための摩擦係合
装置として、第3速用クラッチ57が第3速用ドライブ
ギヤ56に隣接して設けられている。
【0031】この第3速用クラッチ57は湿式多板クラ
ッチであって、複数の環状のクラッチディスク58を外
周部にスプライン嵌合させた環状のクラッチハブ59
が、第3速用ドライブギヤ55と一体的に設けられてい
る。また、円筒部分の内周面に複数の環状のクラッチプ
レート60をスプライン嵌合させたクラッチドラム61
が、入力軸5にスプライン嵌合されている。
【0032】そして、ピストン62がクラッチドラム6
1の内部に、入力軸5の軸線方向へ移動可能に配置され
ている。したがって、入力軸5の内部に形成した油路6
4からピストン62の背面側の油圧室63に油圧を供給
すると、ピストン62が図2の右方向に移動してクラッ
チディスク58とクラッチプレート60とが係合され、
その摩擦力によりトルクが伝達される。
【0033】なお、油圧室62に対する油圧を解除する
と、リターンスプリング65によってピストン62が図
2の左側に押圧され、クラッチディスク58とクラッチ
プレート60とが解放される。したがって、油圧室62
に供給する油圧を調節することにより、クラッチディス
ク58とクラッチプレート60との係合力、つまり第3
速用クラッチ57のトルク容量が制御される。
【0034】前記入力軸5における隔壁7の近傍には、
第4速用ドライブギヤ66がスプライン嵌合されてい
る。この第4速用ドライブギヤ66に噛合している第4
速用ドリブンギヤ67はカウンタ軸6の外周に回転自在
に保持されている。この第4速用ドリブンギヤ67をカ
ウンタ軸6に対して選択的に連結するための摩擦係合装
置として、第4速用クラッチ68が第4速用ドリブンギ
ヤ67に隣接して配置されている。
【0035】この第4速用クラッチ68は湿式多板クラ
ッチであって、複数の環状のクラッチディスク69を外
周部にスプライン嵌合させた環状のクラッチハブ70
が、第4速用ドリブンギヤ67にスプライン嵌合されて
いる。また、円筒部分の内周面に複数の環状のクラッチ
プレート71をスプライン嵌合させたクラッチドラム7
2が、入力軸5にスプライン嵌合されている。
【0036】そして、ピストン73がクラッチドラム7
2の内部に、入力軸5の軸線方向へ移動可能に配置され
ている。したがって、カウンタ軸6の内部に形成した油
路75からピストン73の背面側の油圧室74に油圧を
供給すると、ピストン73が図2の左方向に移動してク
ラッチディスク69とクラッチプレート71とが係合さ
れ、その摩擦力によりトルクが伝達される。
【0037】なお、油圧室74に対する油圧を解除する
と、リターンスプリング76によってピストン73が図
2の右側に押圧され、クラッチディスク69とクラッチ
プレート71とが解放される。したがって、油圧室74
に供給する油圧を調節することにより、クラッチディス
ク69とクラッチプレート71との係合力、つまり第4
速用クラッチ68のトルク容量が制御される。
【0038】前記入力軸5における第3速用クラッチ5
7と隔壁8との間には、第5速用ドライブギヤ77がス
プライン嵌合させられている。この第5速用ドライブギ
ヤ77に噛合している第5速用ドリブンギヤ78は、カ
ウンタ軸6に回転自在に保持されている。この第5速用
ドリブンギヤ78をカウンタ軸6に対して選択的に連結
する摩擦係合装置としての第5速用クラッチ79が、隔
壁8と第5速用ドリブンギヤ78との間に配置されてい
る。
【0039】この第5速用クラッチ79は湿式多板クラ
ッチであって、複数の環状のクラッチディスク80を外
周部にスプライン嵌合させた環状のクラッチハブ81
が、第5速用ドライブギヤ78にスプライン嵌合されて
いる。また、円筒部分の内周面に複数の環状のクラッチ
プレート82をスプライン嵌合させたクラッチドラム8
3が、カウンタ6にスプライン嵌合されている。
【0040】そして、ピストン84がクラッチドラム8
3の内部に、カウンタ軸6の軸線方向へ移動可能に配置
されている。したがって、カウンタ軸6の内部に形成し
た油路86からピストン84の背面側の油圧室85に油
圧を供給すると、ピストン84が図2の右方向に移動し
てクラッチディスク80とクラッチプレート82とが係
合され、その摩擦力によりトルクが伝達される。
【0041】なお、油圧室85に対する油圧を解除する
と、リターンスプリング87によってピストン84が図
2の左側に押圧され、クラッチディスク80とクラッチ
プレート82とが解放される。したがって、油圧室85
に供給する油圧を調節することにより、クラッチディス
ク80とクラッチプレート82との係合力、つまり第5
速用クラッチ79のトルク容量が制御される。
【0042】なお、後進用のギヤ対について説明する
と、カウンタ軸6にスプライン嵌合させたクラッチハブ
42と第4速用ドリブンギヤ67との間には、後進用ド
リブンギヤ88が、カウンタ軸6に対して回転自在に配
置されている。この後進用ドリブンギヤ88のうちクラ
ッチハブ42に接する部分の外径は、クラッチハブ42
と同一外径に形成され、かつその外周面にスプラインが
形成されている。したがってクラッチハブ42と後進用
ドリブンギヤ67とは、ハブスリーブ43の動作により
トルク伝達可能に連結される。
【0043】また、ギヤユニットケース3の内部には、
入力軸5およびカウンタ軸6と平行にリバース軸(図示
せず)が回転自在に設けられており、このリバース軸に
例えば第1速用ドライブギヤ38が噛合したギヤ(図示
せず)、およびリバース用ドリブンギヤ88に噛合した
後進用ドライブギヤ(図示せず)が取り付けられてい
る。したがって、ハブスリーブ43によってクラッチハ
ブ42と後進用ドリブンギヤ67とを連結することによ
り、後進段が設定されるようになっている。
【0044】なお、カウンタ軸6の一端部には、ドライ
ブギヤ89が形成されており、デフキャリヤ90に取り
付けたリングギヤ91がドライブギヤ89に噛合してい
る。またデフキャリヤ90の内部には、デフキャリヤ9
0と一体回転するピニオン軸92が設けられており、ピ
ニオン軸92には一対のピニオンギヤ93が回転自在に
取り付けられている。一対のピニオンギヤ93には一対
のサイドギヤ94が噛み合っており、一対のサイドギヤ
94にはそれぞれドライブシャフト95が連結されてい
る。そして、ドライブシャフト95の端部には車輪、例
えば前輪(図示せず)が取り付けられている。
【0045】図4は上記構成の自動変速機1の制御シス
テムを示すブロック図である。電子制御装置96は車両
の状態を判断し、その判断結果に基づいて自動変速機1
を制御するためのものであり、中央演算処理装置(CP
U)や記憶装置(RAM,ROM)ならびに入出力イン
ターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより
構成されている。
【0046】この電子制御装置96には、車両の状態を
判断するためのデータとして、エンジン回転数、言い換
えれば自動摩擦クラッチ13の入力回転数を検出する入
力回転数センサ97の信号、自動摩擦クラッチ13の出
力回転数を検出する出力回転数センサ98の信号、車速
センサ99の信号、自動摩擦クラッチ13の油圧室35
に作用する油圧を検出する圧力センサ100の信号、ア
クセルペダルの踏み込み量や踏み込み速度、およびエン
ジン4のスロットル開度を検出するスロットルセンサ1
01の信号、車両の加速度を検出する加速度センサ10
2の信号、運転者により行われるマニュアルシフト操作
を検出するマニュアルシフトスイッチ103の信号、
テアリング舵角を検出するステアリング舵角センサ10
4の信号、自動摩擦クラッチ13を構成するクラッチフ
ェーシング29の摩耗量を検出する摩耗量検知センサ1
04Aの信号などが入力される。
【0047】また、電子制御装置96には、各種の走行
モードに応じて自動変速機1を制御するための変速パタ
ーン(変速マップ)が記憶されている。さらに、電子制
御装置96には、各変速段を達成するための各クラッチ
の係合圧、およびこの係合圧を達成するためのリニアソ
レノイドバルブ111,112,113,114のデュ
ーティ比、自動摩擦クラッチ13をスリップさせる場合
の係合圧の目標値、この目標値に応じたリニアソレノイ
ドバルブ115のデューティ比、自動摩擦クラッチ13
の限界摩耗量などが記憶されている。また、電子制御装
置96に内蔵されたタイマーには、後述する係合変速制
御行う際に用いる所定時間が設定されている。
【0048】そして、電子制御装置96から油圧制御装
置105に対して制御信号が出力される。油圧制御装置
105は、自動変速機1の変速段を設定する各クラッチ
46,57,68,79の動作および自動摩擦クラッチ
13の動作を制御するためのものである。すなわち、マ
ニュアルシフト操作、または車両状態に基づいて油圧制
御装置105に対して制御信号が出力されて変速が実行
される。
【0049】図5は油圧制御装置105の概略構成を示
す油圧回路図である。自動変速機1内の油(いわゆるオ
ートマチックトランスミッションフルード)はオイルポ
ンプ37により輸送され、油の一部は各調圧弁106,
107,108,109,110に供給される。
【0050】各調圧弁106,107,108,10
9,110は、制御ポート、出力ポート、スプール、ス
プリング、などにより構成された周知の構造のものであ
り、調圧弁106,107,108,109,110の
各制御ポートには、周知の構造を備えたリニアソレノイ
ドバルブ111,112,113,114,115が別
個に接続されている。リニアソレノイドバルブ111,
112,113,114,115は電子制御装置96に
より別個にオン・オフ制御され、リニアソレノイドバル
ブ111,112,113,114,115のデューテ
ィ比を制御することにより、調圧弁106,107,1
08,109,110の出力ポートから出力されるライ
ン圧が調圧される。
【0051】また、調圧弁106,107,108,1
09の各出力ポートがシフトバルブ116,117,1
18,119に別個に接続され、調圧弁110の出力ポ
ートが自動摩擦クラッチバルブ120に接続されてい
る。シフトバルブ116,117,118,119およ
び自動摩擦クラッチバルブ120には、ソレノイドバル
ブ121,122,123,124,125が別個に接
続されている。
【0052】ソレイドバルブ121,122,123,
124,125は、運転者のマニュアルシフト操作また
は車両状態に応じて別個に制御され、ソレイドバルブ1
21,122,123,124,125のオン・オフに
よりシフトバルブ116,117,118,119の出
力ポート(図示せず)および自動摩擦クラッチバルブ1
20の出力ポート(図示せず)が開閉される構成となっ
ている。さらに、シフトバルブ116,117,11
8,119の出力ポートが油圧室52,63,74,8
5に別個に接続され、自動摩擦クラッチバルブ120の
出力ポートが油圧室35に接続されている。
【0053】上記のように構成された油圧制御装置10
5により、油圧室52,63,74,85に対して別個
にライン圧を供給・解除すれば、各クラッチ46,5
7,68,74が係合・解放されて変速が実行される。
この変速の実行に際しては、調圧弁106,107,1
08,109により、油圧室52,63,74,85に
供給するライン圧を別個に調圧すれば、各クラッチ4
6,57,68,74の係合圧、つまりトルク容量を別
個に制御可能である。
【0054】そして、変速途中の過渡的な段階では、変
更前の変速段を設定しているクラッチのトルク容量と、
変更後の変速段を設定するクラッチのトルク容量とが共
に所定値以上となる、いわゆるタイアップ状態を防止で
きるように、各シフトバルブ116,117,118,
119の開閉タイミングが電子制御装置96により制御
される。
【0055】また、車両の走行中に自動摩擦クラッチバ
ルブ120に供給するライン圧を調圧すれば、自動摩擦
クラッチ13の係合圧、つまりトルク容量を制御可能で
ある。なお、前進第1速または後進段を設定するための
ハブスリーブ43は、電子制御装置96により制御され
るアクチュエータ(図示せず)によりカウンタ軸6の軸
線方向に移動される。
【0056】つぎに、上記実施例の動作を説明する。ニ
ュートラル状態では自動摩擦クラッチ13の油圧室35
に供給される油圧を解除する。すると、ダイヤフラムス
プリング33の中心側の部分がその弾性力によってシリ
ンダ19の側面に当接するため、ダイヤフラムスプリン
グ16に当接しているプッシャプレート31が図2の右
方向に移動してクラッチフェーシング29に対する押圧
を解除する。すなわち、自動摩擦クラッチ13が解放状
態となり、エンジン4の出力トルクはクラッチケーシン
グ14で遮断され、入力軸5には伝達されない。
【0057】一方、前進第1速を設定するためには、各
油圧室52,63,74,85に供給する油圧を解除し
て第2速ないし第5速用のクラッチ46,57,68,
79を解放状態にするとともに、ハブスリーブ43を図
2に実線で示す位置に移動させてクラッチハブ42と一
方向クラッチ40のインナーレース41とを連結する。
そして、この状態で自動摩擦クラッチ13の油圧室35
に油圧を供給してピストン34を図2の左方向に移動さ
せ、これによりダイヤフラムスプリング33の中心部分
を図2の左方向に押圧する。
【0058】その結果、ダイヤフラムスプリング33
が、その外周側を支点として中心側の部分が入力軸5の
軸線方向にダンパー機構27側へ変位するため、プッシ
ャプレート31が受圧板30側に押され、プッシャプレ
ート31と受圧板30とによりクラッチフェーシング2
9を挟み込んだ係合状態になる。すると、エンジン4の
クランクシャフト21の出力トルクが、クラッチケーシ
ング14、クラッチディスク25、クラッチハブ26を
介して入力軸5に伝達される。
【0059】入力軸5に伝達されたトルクは、第1速用
ドライブギヤ38から第1速用ドリブンギヤ39に伝達
され、この第1速用ドリブンギヤ39が正回転する。そ
して第1速用ドリブンギヤ39の内周側に配置してある
一方向クラッチ40は、第1速用ドリブンギヤ39から
カウンタ軸6に向けてトルクを伝達する方向で係合する
ように設定されているので、入力軸5が上述のように回
転することによりこの一方向クラッチ40が係合する。
【0060】一方向クラッチ40は、前述したようにハ
ブスリーブ43およびクラッチハブ42を介してカウン
タ軸6に連結されているから、結局、入力軸5からカウ
ンタ軸6に対しては、この第1速用ドライブギヤ38、
第1速用ドリブンギヤ39を介してトルクが伝達され
る。この場合の変速比は、第1速用ドライブギヤ38、
第1速用ドリブンギヤ39のギヤ比に基づいて定まり、
前進第1速となる。カウンタ軸6に伝達されたトルクは
ドライブギヤ89、リングギヤ91を介してデフキャリ
ヤ90に伝達されるとともに、ピニオンギヤ93、サイ
ドギヤ94を介してドライブシャフト95に伝達され、
車輪が駆動されて車両が走行する。
【0061】なお、車両の発進に際しては、油圧室35
に供給する油圧を、圧力がゆっくり上昇するように制御
することにより、いわゆる半クラッチ状態を経て自動摩
擦クラッチ13を係合させれば、自動摩擦クラッチ13
のトルク容量が徐々に高められて車両の駆動力が緩やか
に増大し、滑らかな発進を行うことができる。
【0062】また、前進第2速は、第2速用クラッチ4
6を係合させることによって設定する。第2速用クラッ
チ46を係合させれば、第2速用ドライブギヤ44が入
力軸5に連結され、入力軸5のトルクが第2速用ドライ
ブギヤ44、第2速用ドリブンギヤ45を介してカウン
タ軸6に伝達される。
【0063】第2速用ドライブギヤ44と第2速用ドリ
ブンギヤ45とのギヤ比は、第1速用ドライブギヤ38
と第1速用ドリブンギヤ39とのギヤ比より小さいの
で、カウンタ軸6が第1速の場合より高速で回転し、前
進第2速が設定される。したがってこの場合は、第1速
用ドリブンギヤ39よりもカウンタ軸6が高速で回転す
るために、一方向クラッチ40が非係合状態となり、第
1速から第2速への変速は、第2速用クラッチ46のみ
を解放状態から係合状態に切り換えることにより達成さ
れる。
【0064】第3速ないし第5速は、上述した第2速の
場合と同様に、それぞれの変速段に対応させて設けてあ
るクラッチ57,68,79を係合させることによって
設定する。すなわち各変速段のドライブギヤとドリブン
ギヤとは、常時互いに噛合しているものの、一方のギヤ
はそれを保持している軸に対して回転自在であり、かつ
クラッチによって選択的にその軸に連結するよう構成し
てあるから、そのクラッチを係合させることにより、そ
のクラッチに対応したギヤ対によってトルクが伝達され
てそのギヤ対による変速段が設定される。
【0065】なお、後進段について説明すると、後進段
は、前記ハブスリーブ43を図2の右側に移動させてク
ラッチハブ42と後進用ドリブンギヤ80とを連結し、
この状態で自動摩擦クラッチ13を係合させる。したが
って、トルクは入力軸5からリバース軸(図示せず)を
経て後進用ドリブンギヤ80に伝達されるので、カウン
タ軸6は前進段の場合とは反対方向に回転し、その結
果、後進段が設定される。
【0066】上記自動変速機1で変速を実行する際に
は、車両状態に基づいて、係合変速制御、スリップ変速
制御、係合・解放変速制御のいずれかが選択される。こ
の実施例では、車両が所定条件にある場合には係合変速
制御が行われ、車両が所定条件以外の場合にはスリップ
制御または係合・解放制御が行われる。
【0067】上記係合変速制御とは、自動摩擦クラッチ
13を係合したまま変速段を設定するクラッチを係合・
解放して変速を実行する制御である。係合変速制御を行
った場合は、変速ショックを抑制することは困難である
が、変速途中における駆動力の低下が抑制され、かつ、
応答性が向上する。
【0068】また、スリップ変速制御とは、自動摩擦ク
ラッチ13の係合圧を減少させてスリップさせた後、変
速段を設定するクラッチを係合・解放させ、その後に自
動クラッチ13を係合させて変速を終了するものであ
る。スリップ制御を行った場合は、変速ショックを緩和
できる。
【0069】さらに、係合・解放変速制御とは、自動摩
擦クラッチ13を一旦解放させ、変速段を設定するクラ
ッチの係合・解放を行ってから自動摩擦クラッチ13を
係合させるものである。係合・解放変速制御を行った場
合は、応答性や駆動力は低下するが、変速ショックを充
分に抑制できる。
【0070】上記のように各変速制御の特性が異なり、
係合変速制御を選択することが望ましい所定条件として
は、具体的には車両がコーナーを旋回する場合、エンジ
ンブレーキ力が要求されている場合、マニュアルシフト
操作が行われた場合、急加速が要求されている場合、自
動摩擦クラッチ13の摩耗量が所定値に到達した場合な
どを例示できる。つまり、これらの走行状態では、駆動
力や応答性の向上、あるいは運転者の意思が重視される
からである。
【0071】所定条件以外の車両状態、例えば直進変速
時、マニュアルシフトミス時、ニュートラルレンジから
ドライブレンジへのマニュアルシフト時、こもり音発生
時、アクセルペダルの操作ミス時などにおいては、変速
ショックを抑制するためスリップ変速制御または係合・
解放変速制御が適用される。
【0072】図1は上記スリップ変速制御と係合変速制
御とを組み合わせた制御ルーチンの一例を示すフローチ
ャートであり、図6は図1の制御ルーチン中におけるシ
ステムの状態を示すタイムチャートである。まず、前述
のように変速制御に必要なデータが電子制御装置96に
よって検出される(ステップ1)。そして、検出された
車両の状態に基づいてスリップ変速制御を行う必要があ
るか否かが、電子制御装置96によって判断される(ス
テップ2)。
【0073】ステップ2で肯定判断された場合は、以下
のようなスリップ変速制御、言い換えれば半クラッチ制
御が開始される。まず、電子制御装置96に記憶されて
いるマップfに基づいて、車両状態に適合するような自
動摩擦クラッチ13の係合圧の目標値Nrefが設定さ
れ、目標値Nrefに応じてリニアソレノイドバルブ1
10のデューティ比が制御される。
【0074】その結果、ピストン34に作用する油圧が
減少し、自動摩擦クラッチ13の係合圧が、クランクシ
ャフト21のトルクを伝達できる係合圧よりも小さくな
った時点から入力回転数Ninと出力回転数Noutと
に差が生じる。この差が自動摩擦クラッチ13のスリッ
プ量ΔNである。そして、目標値Nrefからスリップ
量ΔNを減じることで偏差値Ndifが算出される(ス
テップ3)。
【0075】つぎに、偏差値Ndifに基づいて、自動
摩擦クラッチ13の係合圧が目標値Nrefとなるよう
なデューティ比Dsigが算出され、このデューティ比
Dsigによりリニアソレノイドバルブ115が制御さ
れる(ステップ4)。その結果、ピストン34に作用す
る油圧が制御されて自動摩擦クラッチ13のスリップ量
が一定となり、入力回転数Ninと出力回転数Nout
とが一定の値に制御される。
【0076】自動摩擦クラッチ13の半クラッチ制御が
開始されてから所定時間が経過すると、半クラッチ制御
を禁止する割り込み指令の有無、つまり、車両状態が所
定条件にあるか否かが判断される(ステップ5)。この
ステップ5がこの発明の走行状態判断手段に相当する。
【0077】ステップ5では、例えば、ステアリング舵
角センサ104の信号に基づいて、車両がコーナーを旋
回しているか否かが判断される。また、入力回転数セン
サ97により検出されるエンジン回転数、車速センサ9
9により検出される車速、加速度センサ102により検
出される加速度センサ、スロットルセンサ101により
検出されるスロットル開度などに基づいて、エンジンブ
レーキ力が要求されているか否かが判断される。さら
に、マニュアルシフトスイッチ103の信号に基づい
て、マニュアルシフト操作が行われたか否かが判断され
る。さらにまた、スロットルセンサ101の信号に基づ
いて、急加速が要求されているか否かが判断される。
【0078】ステップ5で所定条件の少なくとも一つが
あると判断された場合は、リニアソレノイドバルブ11
5のデューティ比Dsigが最大値h(油圧Pmax)
に制御され、図6に示すようにピストン34に作用する
油圧が最大値となる。その結果、自動摩擦クラッチ13
の係合圧が急激に高められて元の係合状態に復帰し、入
力回転数Ninと出力回転数Noutとが一致したスリ
ップのない係合状態となる。
【0079】このようにして、自動摩擦クラッチ13が
係合された状態で変速段を設定するクラッチを係合・解
放し、変速が実行される(ステップ6)。したがって、
自動摩擦クラッチ13の摩耗による劣化が抑制され、自
動摩擦クラッチ13のトルク伝達機能が維持されて走行
性能が向上するうえ、耐久性が向上する。
【0080】また、車両がコーナーを旋回する際にステ
ップ6の制御を行えば、変速途中において車輪に伝達さ
れるトルクの減少が抑制される。したがって、走行抵抗
に応じて充分な駆動力が得られ走行性能が向上する。
【0081】また、エンジンブレーキ力が要求されてい
る際にステップ6の制御を行えば、車輪からエンジン4
までの動力伝達装置が接続状態に維持される。したがっ
て、変速途中でエンジンブレーキ力が減少することを抑
制でき、道路の勾配に応じて過不足のないエンジンブレ
ーキ力が得られる。
【0082】さらに、マニュアルシフト操作の際にステ
ップ6の制御を行えば、アップシフトまたはダウンシフ
トのいずれの場合でも変速の開始から終了までの所要時
間が短縮され、かつ、変速途中に車輪に伝達されるトル
クの減少を抑制できる。したがって、運転者の意思に基
づいて応答性のよい変速が可能となり走行性能が向上す
る。
【0083】さらにまた、急加速が要求されている際に
ステップ6の制御を行えば、変速の開始から終了までの
所要時間が短縮され、かつ、変速途中に車輪に伝達され
るトルクの減少を抑制できるため、加速性が向上する。
らに、自動摩擦クラッチ13の摩耗量が所定値に到達
している場合にステップ6の制御を行えば、自動摩擦ク
ラッチ13が所定値以上に摩耗することが抑制される。
したがって、自動摩擦クラッチ13のトルク伝達機能お
よび耐久性を維持できる。
【0084】上記のように変速を実行した後、禁止割り
込み指令が有ると判断されてから所定時間の経過後に禁
止割り込み指令が解除され(ステップ7)、この制御ル
ーチンを終了する。ステップ7で用いられる所定時間は
変速段を設定するクラッチの係合・解放に要する時間よ
りも長く設定されている。上記ステップ6,7がこの発
明の係合変速制御手段に相当する。
【0085】一方、ステップ5で否定判断された場合
は、係合圧のプリセット値εが偏差値Ndifを越えて
いるか否か、およびプリセット値εがほぼ0であるか否
かに基づいて、自動摩擦クラッチ13のスリップ量が目
標値Nrefになっているか否かが判断される(ステッ
プ8)。
【0086】ステップ8で肯定判断された場合は、変速
段を設定するクラッチが係合・解放されて変速が実行さ
れる(ステップ9)。その後、ピストン34に作用する
油圧が図6の破線のように増加されるとともに、入力回
転数Ninと出力回転数Noutとが破線のように変化
する。そして、自動摩擦クラッチ13の係合圧が所定値
となって入力回転数Ninと出力回転数Noutとが一
致した時点で変速が終了し、この制御ルーチンが終了す
る。なお、ステップ8で否定判断された場合はステップ
3に戻り、ステップ2で否定判断された場合は、そのま
ま制御ルーチンを終了する。
【0087】上記実施例において、上記ステップ9で禁
止割り込み指令の判定が解除された後、一定時間後に禁
止制御を解除するようにしてもよい。このような制御
は、電子制御装置96に内蔵されたタイマーに一定時間
を設定しておくことにより可能である。この制御を行え
ば、禁止割り込み指令の判定解除後の一定時間内に再び
所定条件となった場合に、迅速にその所定条件に対応す
る変速を実行することができ走行性能が一層向上する。
【0088】なお、この発明では、自動摩擦クラッチ1
3のスリップ制御を開始する前に走行状態が所定条件に
あるか否かを判断し、所定条件にある場合にはそのまま
係合変速制御を実行することも可能である。この制御を
行えば、自動摩擦クラッチ13の半クラッチ制御が省略
されるため、変速の開始から終了までの所要時間がさら
に短縮されて応答性が一層向上する。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、所定条件判断手段により、車両状態が所定条件にあ
ると判断された場合には、自動摩擦クラッチをスリップ
なく係合させた状態で摩擦係合装置が係合・解放されて
変速が実行される。したがって、自動摩擦クラッチの摩
耗による劣化が抑制され、自動摩擦クラッチのトルク伝
達機能が維持されて走行性能や耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における制御ルーチンの一例を示すフ
ローチャートである。
【図2】この発明に用いられる自動変速機および自動摩
擦クラッチの構成を示す概略的な断面図である。
【図3】図2の自動変速機および自動摩擦クラッチのス
ケルトン図である。
【図4】図2に示した自動変速機の制御システムを示す
ブロック図である。
【図5】図2に示した自動変速機に適用される油圧制御
装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す制御ルーチンを実行した場合のシス
テムの状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 自動変速機 4 エンジン(駆動力源) 5 入力軸 6 カウンタ軸 13 自動摩擦クラッチ
フロントページの続き (72)発明者 前田 智之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−96778(JP,A) 特開 昭64−44343(JP,A) 特開 昭62−126655(JP,A) 特開 昭57−137724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/22 F02D 29/00 F16H 63/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 変速を実行する際に車両が所定条件にあるか否かを判断
    する所定条件判断手段と、前記所定条件にあると判断さ
    れた場合には前記自動摩擦クラッチをスリップのない係
    合状態に維持して変速を実行する係合変速制御手段とが
    備えられていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 変速を実行する際に車両がコーナーを旋回しているか否
    かを判断する所定条件判断手段と、前記車両がコーナー
    を旋回していると判断された場合には前記自動摩擦クラ
    ッチをスリップのない係合状態に維持して変速を実行す
    る係合変速制御手段とが備えられていることを特徴とす
    る自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 変速を実行する際にエンジンブレーキ力が要求されてい
    るか否かを判断する所定条件判断手段と、前記エンジン
    ブレーキ力が要求されていると判断された場合には前記
    自動摩擦クラッチをスリップのない係合状態に維持して
    速を実行する係合変速制御手段とが備えられているこ
    とを特徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 変速を実行する際にマニュアルシフト操作がおこなわれ
    たか否かを判断する所定条件判断手段と、前記マニュア
    ルシフト操作がおこなわれたと判断された場合には前記
    自動摩擦クラッチをスリップのない係合状態に維持して
    速速を実行する係合変速制御手段とが備えられている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 変速を実行する際に急加速が要求されているか否かを判
    断する所定条件判断手段と、前記急加速が要求されてい
    ると判断された場合には前記自動摩擦クラッチをスリッ
    プのない係合状態に維持して変速を実行する係合変速制
    御手段とが備えられていることを特徴とする自動変速機
    の制御装置。
  6. 【請求項6】 駆動力源の出力側に配置された有段式変
    速機構と、この有段式変速機構のトルク伝達経路を切り
    換えて変速を実行する摩擦係合装置と、解放により前記
    駆動力源と前記有段式変速機構とのトルク伝達の遮断を
    含むトルク容量の可変な自動摩擦クラッチとを備えた自
    動変速機の制御装置において、 前記自動摩擦クラッチの摩耗量が所定値に達したか否か
    を判断する所定条件判断手段と、前記自動摩擦クラッチ
    の摩耗量が所定値に達したと判断された場合には前記自
    動摩擦クラッチをスリップのない係合状態に維持して変
    速を実行する係合変速制御手段とが備えられていること
    を特徴とする自動変速機の制御装置。
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