JP4022960B2 - 油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの出力をトランスミションに伝達する動力伝達装置として、油圧制御式の湿式多板クラッチが知られている。このクラッチは、エンジン側に取り付けられたドライブクラッチプレートと、トランスミッション側に取り付けられたドリブンクラッチプレートとを備えており、これらプレートを油圧作動されるクラッチピストンで押付けたり解放したりすることにより、エンジンの出力をトランスミッションに断接するものである。
【0003】
上記クラッチピストンは、オイルタンクからオイルポンプで吸い上げられたオイルの油圧によって作動される。詳しくは、オイルポンプとクラッチピストンとを接続する油圧配管には、管路を開閉する制御バルブが設けられており、この制御バルブを開閉することによってクラッチピストンに作用する油圧を制御し、クラッチを断接するようにしている。また、クラッチピストンを作動させるオイルは、オイルタンクからオイルポンプで吸い上げられる間にフィルタによって濾過され、ゴミや金属磨耗粉等が除去されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記フィルタが詰まると、クラッチピストンに供給されるオイル流量が減少するため、クラッチ断状態から接状態に至る時間が長くなって、クラッチ接速度が遅くなる。この結果、クラッチが滑りやすくなると共に、変速時間が長くなってしまう。しかし、上記フィルタは動力伝達系の各部品の奥まった所に位置しているため、現状ではフィルタが詰まりを起こしているか否かを機械的に検出する方法はなく、定期的な分解検査に頼る他ない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、フィルタの詰まりを定期検査によらずに検出できる油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、油圧によって断接作動するクラッチへ向かう作動オイルを濾過するフィルタと、上記クラッチが断状態から接状態に至るまでの作動時間を測定する測定手段と、その作動時間に基づいて上記フィルタの目詰りを判定してそれを車両の運転者に知らせるための判定手段とを備え、上記判定手段は、上記作動時間が所定の規定値を超えたとき、上記フィルタが目詰りしたと判定し、運転者に上記フィルタが詰まっていることを知らせるべく、運転室内に設けられた注意ランプ又はブザーを作動させ、加えて、上記作動時間が上記規定値を越える頻度が所定の設定値以上のとき、上記フィルタの目詰りが限界に来ていると判定し、次回のエンジン始動時に運転室内の計器盤に故障モードを表示するものである。
【0007】
本発明は、クラッチが断状態から接状態に至るまでの作動時間を測定することでフィルタの目詰まりを検出しているので、分解検査をすることなく、フィルタの目詰まりを検出できる。よってクラッチの滑り・磨耗を未然に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1に示すクラッチユニット1は、エンジンとトランスミッションとの間に配置され、エンジンの出力軸2の回転をトランスミッションの入力軸3に断接するものである。
【0010】
クラッチユニット1は、エンジンの出力軸2に取り付けられたクラッチハウジング4を有する。クラッチハウジング4の内部には、軸受5を介してトランスミッションの入力軸3が軸支されている。トランスミッションの入力軸3には、スプライン等の回り止め6を介して従動ブロック7が取り付けられている。従動ブロック7の外周とクラッチハウジング4の内周との間には、それらを断接する油圧式の湿式多板クラッチ8が設けられている。
【0011】
湿式多板クラッチ8は、クラッチハウジング4の内周に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドライブプレート9と、各ドライブプレート9間に配置され従動ブロック7の外周に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドリブンプレート10とを有する。ドライブプレート9とドリブンプレート10とは、クラッチハウジング4内に収容されたクラッチピストン11を油圧で移動させることで接続され、クラッチピストン11を引き戻すリターンバネ12によって断絶される。
【0012】
クラッチピストン11は、クラッチハウジング4との間に設けられたピン13により、クラッチハウジング4に対して軸方向に移動自在に且つ周方向に固定されており、クラッチハウジン4内を軸方向に作動オイル室14と潤滑オイル室15とに仕切っている。作動オイル室14には、クラッチハウジング4に形成されたオイル通路16およびトランスミッションの入力軸3に形成されたオイル通路17を通じて、オイルが供給される。作動オイル室14内の油圧がリターンバネ12の付勢力より大きくなるとクラッチピストン11が軸方向に移動して各クラッチプレート9、10が圧着してクラッチ8が繋がり、油圧が付勢力より小さくなるとクラッチピストン11がバネ12で戻されてクラッチ8が切れる。なお、潤滑オイル室15にも、図示しないオイル通路を通じてオイルが供給されるようになっている。
【0013】
クラッチユニット1に接続される油圧回路を図2に示す。図示するように、オイルポンプ18からクラッチユニット1に供給されるオイルは、上記作動オイル室14に供給されてクラッチピストン11を作動する作動オイルと、上記潤滑オイル室15に供給されてドライブおよびドリブンプレート9、10を潤滑する潤滑オイルとに分かれる。すなわち、オイルタンク19からオイルポンプ18で汲み上げられたオイルは、可変絞り20を有するメイン配管21を通り、制御バルブ22を有する第1分岐配管23を通って作動オイル室14に供給されると共に、可変絞り24を有する第2分岐配管25を通って潤滑オイル室15に供給される。
【0014】
潤滑オイル室15に導かれたオイルは、ドレン26に排出された後に図示しない通路を通ってオイルタンク19に戻されて循環し、クラッチ8の断接時に発生する摩擦熱を冷却する。他方、上記制御バルブ22は、作動オイル室14内へのオイルの供給・排出を切り換えることにより、クラッチ8の断接を制御するものである。制御バルブ22は、通常バネ27で押されてクロス部28が機能し、制御部29に結線されたソレノイド30が通電されるとパラレル部31に切り替わる。クロス部28が機能する状態においては、オイルポンプ18からのオイルは、作動オイル室14に導かれてクラッチピストン11を作動させ、クラッチ8が繋がる。パラレル部31が機能する状態になると、作動オイル室14にオイルが供給されなくなるので、クラッチピストン11がリターンバネ12によって戻され、クラッチ8が切れる。
【0015】
上記オイルポンプ18によってオイルタンク19から汲み上げられるオイルは、オイルフィルタ32によって濾過されるようになっている。オイルフィルタ32は、オイルポンプ18の吸込側の配管33に設けられており、オイル中のゴミや金属磨耗粉等を濾過する。かかるオイルフィルタ32が目詰まりすると、クラッチユニット1の作動オイル室14および潤滑オイル室15へのオイル供給量が減る。ここで、作動オイル室14へのオイル供給量が減ると、クラッチ8が断状態から接状態に至る作動時間が長くなって、クラッチ接速度が遅くなる。この結果、クラッチ8が滑りやすくなると共に、変速時間が長くなってしまうが、かかる弊害の解消こそが本発明の目的であり、それについては後述する。
【0016】
オイルポンプ18から制御バルブ22に至るメイン配管21には、リリーフバルブ34が設けられている。リリーフバルブ34は、オイルポンプ18によって生成された油圧が所定値以上になると作動し、余剰オイルをドレン35に逃がす。上記オイルポンプ18は、エンジンの回転力によって作動されるが、図10に示すように、ポンプの最大効率点がエンジンの最大トルク発生点(大型商用車ではエンジン回転1000〜1500rpm程度)に合わせて設計される。よって、それ以上の回転では、必要油圧以上の油圧上昇を防ぐため、上記リリーフバルブ34によってオイルを逃がし、圧力調整を行っているのである。
【0017】
リリーフバルブ34から逃がされたオイルは、図示しない通路を通って再びオイルタンク19に戻り、フィルタ32を通ってオイルポンプ18で吸い上げられて循環する。そのため、ポンプ18の最大効率点以上のエンジン回転域においては、循環するオイルがフィルタ32を繰り返して通過することになり、上記フィルタ32の詰まり現象はポンプ18の最大効率点以上の回転域において顕著となる。なお、図2中36は、不要オイルまたは余剰オイルが排出されるドレンであり、ドレンに排出されたオイルは図示しない通路を介してオイルタンク19に戻されるようになっている。なお、図10において、最大トルク発生回転より高回転域では、上記リリーフバルブ34が作動するため、高回転になるにつれ圧力損失が大きくなり、効率が低下する。
【0018】
さて、図1に示すように、エンジンの出力軸2の近傍とトランスミッションの入力軸3の近傍とには、それぞれ回転センサ37、38が設けられている。これら回転センサ37、38は、各軸2、3の回転を検出し、制御部29に送信する。両軸2、3に回転差があるときはクラッチ8が切れていると考えられ、両軸2、3に回転差がないときはクラッチ8が繋がっていると考えられる。また、上記制御部29と制御バルブ22とは結線されており、クラッチ8のオンオフ信号をやり取りするようになっている。
【0019】
図3は、クラッチ8の断時間と接時間とを表したものである。図中、実線39はエンジンの出力軸2の回転を示し、破線40はトランスミッションの入力軸3の回転を示す。図示するように、実線39と破線40とが重なっている状態(即ちクラッチ8が繋がっている状態)において、制御部29から制御バルブ22へクラッチオフ信号が送信された点41から実線39と破線40とが分岐する点42までの時間43がクラッチ断時間となり、その後、制御部29から制御バルブ22へクラッチオン信号が送信された点44から実線39と破線40とが合流する点45までの時間46がクラッチ接時間となる。
【0020】
上記クラッチ接時間46および断時間43は、上記回転センサ37、38および制御部29内のタイマによって測定される。よって、上記回転センサ37、38および制御部29が、特許請求の範囲の測定手段を構成することになる。また、上記制御部29には、上記クラッチ接時間46(クラッチ8が断状態から接状態に至るまでの作動時間)が所定値以上のとき、上記フィルタ32が目詰りしたと判定する判定手段47が接続されている。判定手段47は図4に示すフローチャートに従ってフィルタ32の目詰りを判定する。
【0021】
図4に示すフローチャートについて説明すると、まず第1ステップst1において、クラッチ8の接時間46が規定値以下か否かが判断される。規定値はフィルタ32の詰まり実験やシミュレーションに基づいて決定される。クラッチ接時間46が規定値以下であればフィルタ32が詰まってないと考えられるので、通常の運転となる。そして、規定値以下でなければ即ちクラッチ接時間46が規定値よりも長ければ、第2ステップst2において注意ランプが作動される。注意ランプは運転手室内に設けられており、運転者にフィルタが詰まっていることを知らしめ、その清掃注意を促すものである。なお、注意ランプの代わりにブザーやダイアグ等を用いて注意を促してもよい。
【0022】
次に、第3ステップst3において、第1ステップst1で判断されたクラッチ接時間46が規定値を越える頻度が、設定値よりも低いか否かを判断する。クラッチ接時間46が規定値を越える頻度が設定値より低い場合、フィルタ32は詰まり気味であるものの、当面の運転には支障なしと考えられるため、注意ランプを作動させたまま通常の運転となる。クラッチ接時間46が規定値を越える頻度が設定値よりも低くない場合、すなわちクラッチ接時間46が規定値を越える頻度が設定値よりも高い場合、第4ステップst4において、システム起動時の設定プログラムに異状フラッグを立て、次回のエンジン始動時に運転室の計器盤に故障モードを表示するようにする。これにより、運転者はフィルタ32が詰まり、限界に来ていることを知ることができる。この結果、フィルタ32の詰まりに基づいて生じるクラッチ接時間46の長期化によるクラッチ8の滑り・磨耗を回避できる。
【0023】
また、クラッチ8の接時間46は、図2に示す各油圧配管21、23、25中を流れるオイルの粘度によっても変化するため、オイルの温度にも相関がある。よって、図5に示すように、第1ステップst1の前に、第0ステップst0としてオイル温度が所定値以上か否かを判断し、オイル温度が所定値以上のときのみ第1ステップst1に向かうようにしてもよい。冷間始動時等、オイル温度が所定値以下のときには、オイルの粘度が通常よりも高いため、第1ステップst1におけるクラッチ接時間46の判断が適正に行えないからである。
【0024】
また、フィルタ32の詰まりに基づいて生じるクラッチ8の接時間46の長期化およびクラッチ8の滑り・磨耗は、エンジンの高回転域にて顕著となるため、第1ステップst1におけるクラッチ接時間46の監視を、エンジン規定回転数以上(図10の最大トルク発生回転以上)についてのみ行うようにしてもよい。また、図4に示すスタートからエンドまでのフローは、エンジンの運転中所定時間間隔で繰り返し行われる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態においては、クラッチ8が断状態から接状態に至るまでの作動時間(クラッチ接時間46)を測定することでフィルタ32の目詰まりを検出するようにしているので、動力伝達系の各部品の奥まった所に位置しているフィルタ32を分解検査をすることなく、そのフィルタ32の目詰まりを的確に検出できる。よって、フィルタ32の詰まりに基づくクラッチ8の滑り・磨耗を未然に防止することができる。
【0026】
別の実施形態を図6乃至図9を用いて説明する。
【0027】
図8に示すように、ディーゼルエンジン50とそのトランスミッション51との間には、本実施形態に係る油圧クラッチを備えた動力伝達装置52が介設されている。この動力伝達装置52は、図6に示すように、エンジン50の出力軸53とトランスミッション51の入力軸54との間に配置されたクラッチユニット55と、クラッチユニット55に供給される作動オイルを濾過するオイルフィルタ56とを有している。
【0028】
クラッチユニット55は、外部ケーシング57内に収容されたトルクコンバータ58(以下トルコンという)を有している。トルコン58は、エンジン50の出力軸53に取り付けられ、軸受59によって外部ケーシング57内に軸支されたトルコンハウジング60と、トルコンハウジング60内に設けられたポンプ部61と、ポンプ部61に対向して配置され従動ブロック62に設けられたタービン部63と、ポンプ部61とタービン部63との間に配置され、外部ケーシング57にワンウェイクラッチ64を介して設けられたステータ部65とからなっている。エンジン50の出力軸53に接続されたトルコンハウジング60が回転すると、ポンプ部61とタービン部63とステータ部65とで区画された空間内に充満されたオイルを介して、従動ブロック62が連れ回ることになる。
【0029】
トランスミッション51の入力軸54には、伝達ブロック66がスプライン等の回り止め67を介して取り付けられている。伝達ブロック66と上記従動ブロック62との間には、第1の湿式多板クラッチとしてメインクラッチ67が設けられている。メインクラッチ67は、従動ブロック62に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドライブプレート68と、各ドライブプレート68間に配置され伝達ブロック62の外周面に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドリブンプレート69とを有している。ドライブプレート68とドリブンプレート69とは、従動ブロック62に設けられたメインピストン70を油圧によって移動させることで接続され、メインピストン70を元の位置に引き戻す図示しないリターンバネによって断絶される。
【0030】
メインクラッチ67が接続されるとエンジン50の出力軸53の回転がトルコン58を介してトランスミッション51の入力軸54に伝達され、メインクラッチ67が断絶されるとエンジン50の出力軸53の回転は従動ブロック62をアイドル回転させるのみでありトランスミッション51の入力軸54に伝達されない。なお、このときトルコンハウジング60内には、オイルが十分充満されていることは勿論である。また、伝達ブロック66とトルコンハウジング60との間には軸受71が設けられ、伝達ブロック66と従動ブロック62との間には軸受72が設けられている。これら軸受71と72とは、それぞれトルコンハウジング60と従動ブロック62とを軸支する。
【0031】
従動ブロック62とトルコンハウジング60との間には、第2の湿式多板クラッチとしてロックアップクラッチ73が設けられている。ロックアップクラッチ73は、トルコンハウジング60の内周面に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドライブプレート74と、各ドライブプレート74間に配置され従動ブロック62の外周面に軸方向に移動自在に取り付けられた複数のドリブンプレート75とを有している。ドライブプレート74とドリブンプレート75とは、トルコンハウジング60に設けられたロックアップピストン76を油圧によって移動させることで接続され、その油圧を抜くことでロックアップピストン76がトルコンハウジング60内に充満されたオイルの油圧で押されて元位置に戻ることにより断絶される。
【0032】
上記メインクラッチ67が接続された状態において、ロックアップクラッチ73が接続されると、エンジン50の出力軸53の回転が直接トランスミッション51の入力軸54に伝達され、ロックアップクラッチ73が断絶されると、エンジン50の出力軸53の回転はトルコン58を介してトランスミッション51の出力軸54に伝達されることになる。車両の発進時や高負荷時にはメインクラッチ67をオンすると共にロックアップクラッチ73をオフしてエンジン50の出力軸53の回転をトルコン58を介してトランスミッション51の入力軸54に伝達するようにし、変速時にはロックアップクラッチ73をオフした状態でメインクラッチ67をオンオフすることにより接ショックをトルコン58で吸収するようにする。
【0033】
上記メインクラッチ67やロックアップクラッチ73を作動するオイル、メインクラッチ67のプレート68、69部分およびロックアップクラッチ73のプレート74、75部分を潤滑するオイル、およびトルコンハウジング60の内部に充満されてトルコン58内に充満されるオイルは、三者共通であり共に外部ケーシング57に設けられたオイルポンプ77によって圧送・供給される。オイルポンプ77は、その駆動ギヤ78がトルコンハウジング57に設けられたギヤ79に噛合されており、エンジン50の出力軸53の回転によって駆動される。オイルポンプ77は、メインクラッチ67やロックアップクラッチ73の断接に拘らず回転されるトルコンハウジング60によって、エンジン50の運転中は常に油圧を発生する。
【0034】
オイルポンプ77は、外部ケーシング57の底部に形成されたオイルタンク80内のオイルをオイルフィルタ56およびオイル通路81を介して汲み上げる。オイルフィルタ56は、オイルタンク80の底部を上下に仕切るように配置されており、ポンプ77で汲み上げられるオイル中の金属粉やゴミなどを濾過する。汲み上げられたオイルは、外部ケーシング57に形成されたオイル通路82を介してトルコンハウジング60内に供給され、トランスミッション51の入力軸54の内部に形成されたオイル通路83とトルコンハウジング60に形成されたオイル通路84と従動ブロック62に形成されたオイル通路85とを通ってメインピストン70を作動させるメインピストン作動オイル室86に供給され、同様に図示しないオイル通路を通ってロックアップピストン76を作動させるロックアップピストン作動オイル室87に供給され、メインクラッチ67のプレート68、69部分を収容するメインクラッチ潤滑オイル室88に供給され、ロックアップクラッチ73のプレート74、75部分を収容するロックアップクラッチ潤滑オイル室89に供給されるようになっている。
【0035】
メインクラッチ67のオンオフは、図8に示す電磁弁90によってなされる。すなわち、電磁弁90は、メインコントロールユニット91からの命令に応じて、メインピストン作動オイル室88へのオイルの供給をオンオフしてメインクラッチ67を断接するものである。ロックアップクラッチ73のオンオフは、図8に示す電磁弁92によってなされる。すなわち、電磁弁92は、ロックアップピストン作動オイル室89へのオイルの供給をオンオフしてロックアップクラッチ73を断接するものである。また、オイルタンク80内のオイルは、オイル配管93を介してオイルクーラ94に供給され、冷却されるようになっている。オイル配管93には、温度センサ95および圧力センサ96が設けられている。
【0036】
メインクラッチ67の断絶は、図6に示す断絶検出手段97によって検出される。断絶検出手段97は、従動ハウジング62に軸方向移動自在に設けられ、メインピストン70によって押されるクラッチセンシングピン98と、トルコンハウジング60に収容されたディテントボール99と、トルコンハウジング60に軸方向移動自在に設けられたピックアップピン100と、外部ケーシング57に設けられたパルスセンサ101(近接センサ)とから構成されている。詳しくは、図9に示すように、上記クラッチセンシングピン98は、バネ102によってメインピストン70側に付勢力が与えられている。ピックアップピン100は、バネ103によってディテントボール99をクラッチセンシングピン98側に押し付けている。ディテントボール99は、フランジ104によって脱落が防止されている。
【0037】
メインクラッチピストン70が図9中右方に移動してメインクラッチ67が繋がっているときには、ピックアップピン100はバネ103によって没したままであり、パルスセンサ101はパルスを検出しない。そして、メインクラッチピストン70が図9中左方に移動してメインクラッチ67が切れたときには、メインクラッチピストン70がクラッチセンシングピン102を押し、クラッチセンシングピン102がディテントボール99を押し、ディテントボール99がピックアップピン100を押し、ピックアップピン100がパルスセンサ101側に突出する。よって、パルスセンサ101が周期的にパルス信号を検出する。これにより、メインクラッチ67の断絶を検出できる。
【0038】
よって、図8に示すメインコントロールユニット91から電磁弁90へのメインクラッチ67のオン信号の送信時から、パルスセンサ101によるメインクラッチ67の接続終了信号までの時間を計測すれば、メインクラッチ67が断状態から接状態に至るまでの作動時間(メインクラッチ67の接時間)を測定できる。よって、上記断絶検出手段97、電磁弁90およびメインコントロールユニット91が、特許請求の範囲の測定手段を構成する。なお、メインクラッチ67の断絶は、前実施形態のようにエンジン50の出力軸の回転数53とトランスミッション51の入力軸54の回転数の差によって検出するようにしてもよいし、また、図2に示すようにメインピストン作動オイル室14(図6では86)へ向かう配管に圧力センサ105を設けてその圧力センサ105の出力に基づいて検出するようにしてもよい。
【0039】
また、上記メインコントロールユニット91には、メインクラッチ67が断状態から接状態に至るまでの作動時間(メインクラッチ67の接時間)が所定値以上のとき、図6に示す上記フィルタ56が目詰りしたと判定する判定手段が設けられている。この判定手段は、詳しくは前実施形態と同様に図4または図5に示すフローチャートを有するが、それらについては基本的には前実施形態と同様であるので、細かな説明を省略する。概要をいえば、図8に示すメインコントロールユニット91から電磁弁90へのメインクラッチ67のオン信号の送信時から図6および図9に示すパルスセンサ101によってメインクラッチ67が接続したと判断された時までの時間(メインクラッチ67の接時間)が予め定められた規定値より長かったなら、図6に示すフィルタ56が詰まっていると判断し、運転者にフィルタ56が詰まっている旨の注意を促すのである。
【0040】
次に、トランスミッション51について説明する。図に示すように、このトランスミッション51は、通常の二軸式のマニュアルトランスミッションが用いられており、上記入力軸54と、入力軸54に軸受106を介して同軸に配置された出力軸107と、それらに平行に配置された副軸108とを有している。入力軸54にはギヤ109が固設され、出力軸107にはギヤ110〜114が回転自在に取り付けられると共にギヤ115、116が固設され、副軸108にはギヤ117〜122が固設されると共にギヤ123、124が回転自在に取り付けられている。ギヤ113、114の間には1速−バック用のシンクロナイザリング125が設けられ、ギヤ111、112の間には2速−3速用のシンクロナイザリング126が設けられ、ギヤ109、110の間には4速−5速用のシンクロナイザリング127が設けられ、ギヤ123、124の間には6速−7速用のシンクロナイザリング128が設けられている。図2中、129はバック用のカウンタギヤである。
【0041】
各シンクロナイザリング125〜128は、それぞれ図示しないシフトフォークによって軸方向に移動される。各シフトフォークは、図8に示すギヤシフトユニット130(GSU)によって作動され、変速がなされるようになっている。ギヤシフトユニット130は、エア供給手段131からの圧気を電磁弁132によって適宜切り換えて各シフトフォークを作動する。ギヤシフトユニット130および電磁弁132は、メインコントロールユニット91によって適宜制御され、トランスミッション51を自動的にあるいは手動的に変速する。エア供給手段131は、コンプレッサ133に接続されたエアタンク134と、リリーフ弁135が設けられたエアパイプ136とからなり、エアパイプ136の先端が上記電磁弁132に接続されている。エアタンク134には、メインコントロールユニット91に結線された圧力スイッチ137が設けられている。
【0042】
ギヤシフトユニット130には、トランスミッション51が現在どのギヤに入っているかを検出するギヤポジションセンサ(図示せず)が設けられている。また、トランスミッション51には、その出力軸107に車速センサ138が設けられていると共に、入力軸54に回転センサ139が設けられており、それぞれメインコントロールユニット91に結線されている。上記メインコントロールユニット91の入力側には、アクセル開度センサー140、チェンジレバー141、全段シフトが可能な非常用コントロールスイッチ142が結線され、メインコントロールユニット91の出力側には、ギヤ表示灯143や警報ブザー144(又はランプ)が結線されている。また、メインコントロールユニット91には電子ガバナコントロールユニット145が結線されている。電子ガバナコントロールユニット145は、エンジン回転センサ146等の検出値に基いて燃料噴射ポンプ147のラックを適宜制御するものである。
【0043】
上記動力伝達装置52は、図8に示すように、通常のマニュアルトランスミッション51のクラッチ部の代わりとして、エンジン50とトランスミッション51との間に搭載される。ここで、トルコン部58の慣性があるため、フライホイールは基本的に不要となる。また、この構造の動力伝達装置52は、以下の利点がある。▲1▼発進時にトルコン58が使用できるため、メインクラッチ67の複雑な半クラッチ制御が不要になる。▲2▼変速時の接ショックをトルコン58で吸収できる。▲3▼マニュアルトランスミッション51を使用するため、遊星歯車機構を使用する通常のトルコン式自動変速システムに比べてギヤ比の選択幅が広がる。▲4▼半クラッチ操作が不要となるので、クラッチ67、73の長寿命化が可能となる。▲5▼自動変速機構を備えたトランスミッションと組み合わせれば自動変速トランスミッションとして使用でき、通常のマニュアルトランスミッションと組み合わせればオートクラッチとしての使用が可能である。▲6▼エンジン50との結合部にトルコン58を設けているので、駆動系の騒音や振動を低減できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置によれば、動力伝達系の各部品の奥まった所に位置しているフィルタの詰まりを、各部品を分解することなく的確に検出できる。よって、フィルタの詰まりに基づいて生じるクラッチの滑り・磨耗を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置を備えた油圧クラッチの側断面図である。
【図2】上記油圧クラッチの油圧回路を示す説明図である。
【図3】上記クラッチの断時間と接時間とを示す図である。
【図4】上記フィルタの目詰まりを検出するフローを示す図である。
【図5】上記フローの改良図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す油圧クラッチ用フィルタの目詰まり検出装置を備えた車両の動力伝達装置の側断面図である。
【図7】上記動力伝達装置が接続されるトランスミッションの概略図である。
【図8】上記動力伝達装置を備えたエンジンの全体図である。
【図9】図6の部分拡大図である。
【図10】エンジン回転数とオイルポンプの効率との関係を示す図である。
【符号の説明】
8 クラッチ
29 測定手段を構成する制御部
32 フィルタ
37 測定手段を構成する回転センサ
38 測定手段を構成する回転センサ
47 判定手段
Claims (1)
- 油圧によって断接作動するクラッチへ向かう作動オイルを濾過するフィルタと、上記クラッチが断状態から接状態に至るまでの作動時間を測定する測定手段と、その作動時間に基づいて上記フィルタの目詰りを判定してそれを車両の運転者に知らせるための判定手段とを備え、
上記判定手段は、
上記作動時間が所定の規定値を超えたとき、上記フィルタが目詰りしたと判定し、運転者に上記フィルタが詰まっていることを知らせるべく、運転室内に設けられた注意ランプ又はブザーを作動させ、
加えて、上記作動時間が上記規定値を越える頻度が所定の設定値以上のとき、上記フィルタの目詰りが限界に来ていると判定し、次回のエンジン始動時に運転室内の計器盤に故障モードを表示するものである
ことを特徴とする油圧クラッチ用フィルタの目詰り検出装置。
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-
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