JP4145993B2 - 車両の動力伝達装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの動力をトランスミッションに伝達するものとして油圧制御式の湿式多板クラッチが知られている。これは図5に示すように、クラッチハウジング116内に収められた複数のクラッチプレート、即ちドライブプレート114及びドリブンプレート111を、クラッチピストン120で互いに押し付け、クラッチ締結力を得るものである。クラッチピストン120には油圧通路119を通じ、矢示の如く適当な値に制御された油圧が供給される。一方、油圧排出時にはクラッチピストン120がリターンスプリング121で押し戻され、これによってクラッチプレートの押付力がなくなりクラッチが分断される。
【0003】
クラッチハウジング116はクラッチの入力側をなし、その入力軸118がエンジンのクランクシャフト(図示せず)に連結されてエンジンの動力を得るようになっている。一方、クラッチハウジング116内に相対回転自在に出力軸113が挿通され、これはクラッチの出力側をなしてトランスミッションのインプットシャフト(図示せず)に連結される。クラッチハウジング116にドライブプレート114が取り付けられ、出力軸113にクラッチホルダ112を介してドリブンプレート111が取り付けられる。各クラッチプレートの取り付けはスプラインを介して行われる。
【0004】
図6は油圧供給装置を示す。オイルポンプ125はエンジンに駆動されてオイルタンク126のオイルを吸入し、クラッチピストン120及びクラッチ潤滑系に向けて吐出する。この途中でオイルは可変絞り弁127,128によって流量・圧力が制御される。クラッチピストン120へのオイル供給・排出は電磁切替弁129によって切り替えられる。なお130はリリーフ弁である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、湿式多板クラッチのクラッチプレートは前記クラッチ潤滑系に含まれ、オイルが供給されるようになっている。これはクラッチ接続時に発生する摩擦熱をオイルによって逃がすためである。このためクラッチプレートにはオイルの粘性による引き摺りが多少なりとも生ずる。
【0006】
一方、クラッチの油圧制御に際してはクラッチの断接を検知する必要があり、一般には、図6に示すようにクラッチピストン120と電磁切替弁129との間の油圧を油圧センサ131で検出したり、図示しないが、クラッチ入出力側回転数差をエンジン回転センサとトランスミッションのインプットシャフト回転センサとを用いて検出したりして、クラッチの断接検知を行っている。
【0007】
ここで、クラッチの制御レスポンスは油温に大きく影響される。例えばエンジン始動時(とりわけ低温始動時)はオイルが低温・高粘度なので、クラッチプレートの引き摺りが大きくなること、油圧回路、バルブ内の圧力損失も増えることから、制御レスポンスが悪化する。即ち、湿式多板クラッチではクラッチの特に断検知を正確に行い難い問題がある。
【0008】
この対策として、前者の油圧検出による方法では、クラッチピストン近傍の油圧を検出することが考えられるが、図5に示したように、回転するクラッチハウジングに油圧センサを取り付けるのは実際上不可能である。よって後者の回転数差を検出する方法が一般に多く用いられている。
【0009】
しかし、この方法によっても次のような問題がある。即ち、この方法では、エンジン回転数とインプットシャフト回転数との差が一定以上になったとき、クラッチがきれていると判断するが、前述の引き摺り効果のため、クラッチプレートの押付力がないにも拘らず連れ回りし、回転数差の増大が遅れ、クラッチ断検知が遅れることがある。
【0010】
よってこれを補償するため、油圧検出を併用し、油圧が低下して一定時間経過したらクラッチ断と判断したり、高油温時にクラッチ断開始から回転数差が一定以上となるまでの時間をギヤ断毎に学習しておき、この値を低油温時に参照するなどの方法を採用しているが、いずれも根本的な解決策とはならない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン側に連結されるドライブプレートと、トランスミッション側に連結されるドリブンプレートとをオイルが充填されたハウジング内に収容して湿式多板クラッチを構成し、その湿式多板クラッチを介して上記エンジンの動力を上記トランスミッションに伝達するようにした車両の動力伝達装置において、上記クラッチのドライブプレート側回転数を検出するための第1の検出手段と、上記クラッチのドリブンプレート側回転数を検出するための第2の検出手段と、上記トランスミッションの変速時にクラッチ分断開始信号を発生する信号発生手段と、上記信号発生手段からクラッチ分断開始信号を受け取ったとき、上記ドライブプレートと上記ドリブンプレートとの分断を開始し、上記第1及び第2の検出手段の出力に基づき算出される両プレートの回転数差が所定値に達したとき、上記クラッチの分断が終了したと判断して上記トランスミッションの変速動作を開始させるための制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記クラッチの両プレートの分断を開始するときに、回転が落ち込もうとするドリブンプレートにつられて、オイルを介しドライブプレートの回転が連れ回されて落ち込まないよう、そのドライブプレートに連結されるエンジン回転を上記クラッチ分断開始信号を受け取ったときの回転に保持して上記ドライブプレートの回転を維持し、両プレートの回転数差が所定値に達する時間を早めたものである。
【0012】
これによれば、エンジン回転が強制的に保持されるので、連れ回りが防止され、これによりクラッチ断検知を早めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る動力伝達装置の全体構成図である。図示するように、かかる装置においては、エンジン76とトランスミッション(T/M) 75との間にクラッチトルコンユニット50が設けられている。クラッチトルコンユニット50は、後に詳述するが、油圧制御式湿式多板クラッチとトルクコンバータとを直列に組み合わせ、同一のハウジング内に収めたものである。トランスミッション75は、それ自体マニュアルトランスミッションであるが、ここではアクチュエータ(ギヤシフトユニット、GSU)84と組み合わされて、自動変速をなし得る構成がされている。
【0015】
アクチュエータ84は、コントロールユニット79による電磁弁85の切り換えでエア供給手段86からエアが適宜供給されることで作動し、変速操作を実行するようになっている。エア供給手段86は、エンジンコンプレッサ87に連結されたエアタンク88と、リリーフバルブ89を介設したエアパイプ90とで成り、エアパイプ88の先端がアクチュエータ84の電磁弁85に連結されている。エアタンク88にはコントロールユニット79に結線された圧力スイッチ91が設けられている。
【0016】
このほかトランスミッション75には車速センサ92及びインプットシャフト回転センサ93が設けられ、それぞれコントロールユニット79に結線されている。またコントロールユニット79の入力側にはアクセルセンサ94、チェンジレバー95、全段シフトが可能な非常用手動スイッチ96が接続され、出力側にはギヤ表示灯97や警告灯98が接続されている。またこのコントロールユニット79に併設されて信号をやりとりするコントロールユニット102 が備えられ、エンジン回転センサ103 等の検出値に基づいて燃料噴射ポンプ104 の電子ガバナ105 を制御するようになっている。
【0017】
図2はクラッチトルコンユニット50を示す詳細図である。クラッチトルコンユニット50はメインクラッチ52とトルクコンバータ53とを組み合わせて主に構成されている。メインクラッチ52は油圧制御式湿式多板クラッチの構成がなされている。ここではトルクコンバータ53をロックするためのロックアップクラッチ71も設けられ、ロックアップクラッチ71も前記同様に油圧制御式湿式多板クラッチの構成が採られている。これらの関係としては、後に理解されるが、エンジン側から順にトルクコンバータ53とメインクラッチ52とが直列関係にあり、トルクコンバータ53とロックアップクラッチ71とが並列関係にある。以下、これらの構成を具体的に説明する。
【0018】
図2において、54はエンジン動力が入力される入力軸である。入力軸54にはフロントカバー67及びトルクコンバータハウジング68が一体的に結合されている。一方、トルクコンバータ53は三要素の翼車によって構成され、トルクコンバータハウジング68と一体で回転するポンプ部58と、ポンプ部58に対向するタービン部59と、固定系にワンウェイクラッチ60を介して設けられたステータ部61とで成る。よってトルクコンバータ53においては、入力軸54が回転されるとポンプ部58が回転し、これが作動流体としてのオイルを入力軸54回りに循環させ、タービン部59を回転駆動し、タービン部59からトルクを発生させる。そしてオイルには、この入力軸54回りの循環の他、ポンプ部58、タービン部59、ステータ部61を順に通るような直交方向の循環も与えられる。なお、トルクコンバータ53はメインクラッチ52よりもトランスミッション75側に配置されている。
【0019】
一方、フロントカバー67及びトルクコンバータハウジング68で囲まれた空間内では、互いに結合されたメインクラッチホルダ64及びメインクラッチピストンアウターホルダ65が、軸受63及びクラッチホルダ62を介して、出力軸56にその軸回りを回転自在に支持されている。出力軸56は入力軸54と同軸に配置され、図外の右側の部分でトランスミッション75のインプットシャフトに連結される。クラッチホルダ62は出力軸56にスプライン(図示せず)を介して相対回転不可に取り付けられる。メインクラッチピストンアウターホルダ65は、フロントカバー67の内面上を摺動回転可能であり、軸方向には移動不可である。トルクコンバータ53のタービン部59はメインクラッチホルダ64に剛に結合されるため、これによってタービン部59は出力軸56回りを回転できることとなる。
【0020】
このタービン部59即ちトルクコンバータ53の出力側と、出力軸56とを断接するのがメインクラッチ52である。即ちメインクラッチ52は、メインクラッチホルダ64にスプラインを介して軸方向移動自在に取り付けられた複数のドライブプレート55と、クラッチホルダ62にスプラインを介して軸方向移動自在に取り付けられた複数のドリブンプレート57とを有する。これらプレート55,57は互い違いに重なるよう配置されている。メインクラッチピストンアウターホルダ65にはシリンダ室66が形成され、シリンダ室66にはメインクラッチピストン51が軸方向移動自在に収容されている。よってシリンダ室66に油圧供給を行い、メインクラッチピストン51をプレート55,57側に移動させることで、プレート55,57同士を摩擦接触させ、メインクラッチ52を締結状態にすることができる。そしてトルクコンバータ53の出力側と出力軸56とを接続することができるようになる。
【0021】
一方、メインクラッチ52の径方向外側には、同様に構成されたロックアップクラッチ71が配設されている。このロックアップクラッチ71は、トルクコンバータ53のポンプ部58とタービン部59とを直結するためのものである。即ち、ロックアップクラッチ71は、トルクコンバータハウジング68にスプラインを介して軸方向移動自在に設けられた複数のドライブプレート73と、メインクラッチホルダ64にスプラインを介して軸方向移動自在に設けられたドリブンプレート72とを有する。フロントカバー67のシリンダ室99にはロックアップクラッチ用ピストン74が軸方向移動自在に収容されている。よってこのピストン74に油圧を付与することで、プレート73,72同士を摩擦接触させてロックアップクラッチ71を締結状態にし、トルクコンバータ53をロックできるようになる。
【0022】
ここで、トルクコンバータ53のトランスミッション側には、トルクコンバータハウジング68と連動するオイルポンプ(図示せず)が設けられており、ここで発生した油圧が図6に示したような油圧供給装置によって所定値に制御された後、各シリンダ室66,99に送られることで所望のクラッチ締結力が発生する。なお図1に、各シリンダ室66,99に対し油圧の給排を切り替える電磁切替弁を77,78で示す。
【0023】
メインクラッチ52、ロックアップクラッチ71及びトルクコンバータ53は作動流体として共通のオイルを使用している。即ち、フロントカバー67及びトルクコンバータハウジング68で囲まれた空間内に共通のオイルが満たされている。このオイルは図6に示したように各シリンダ室66,99に別系統で送られ、制御用としても使用される。このオイルの温度が低く粘性が高いと、メインクラッチ52及びロックアップクラッチ71においてプレート55,57,72,73同士の引き摺りが強くなる。また制御系統においてもオイルの流れが悪くなり、全体として制御レスポンスは悪化傾向となる。
【0024】
図1において、80は高温時のオイルを冷却するためのオイルクーラである。オイルクーラ80は配管81を介してクラッチトルコンユニット50に接続される。配管81には温度センサ82及び圧力センサ83が設けられ、コントロールユニット79によって油温、油圧が管理されるようになっている。
【0025】
この動力伝達装置には以下の利点がある。▲1▼発進時にトルクコンバータ53を使用できるため、メインクラッチ52の複雑な半クラッチ制御が不要になる。▲2▼変速時の接ショックをトルクコンバータ53で吸収できる。▲3▼マニュアルトランスミッション75を使用するため、遊星ギヤを使用するトルクコンバータ自動変速システムに比べてギヤ比選択の幅が広く懐の深いギヤ比設定が可能となる。▲4▼クラッチの長寿命化が可能となる。▲5▼自動変速機構(アクチュエータ84)を備えたトランスミッションと組み合わせているのでA/Tとして使用できる。なお通常のマニュアルトランスミッションと組み合わせればM/Tとしての使用も可能である。▲6▼エンジン76との結合部にトルクコンバータ53を用いているため、駆動系の騒音や振動を低減できる。
【0026】
次に、この動力伝達装置の作動は実際には以下のようになる。まず運転手が変速のためチェンジレバー95を操作したとする。チェンジレバー95は電気スイッチのようなもので、次に何速にすべきかという変速指示信号をコントロールユニット79に向けて発するのみである。するとコントロールユニット79はこの変速指示信号を受けて、メインクラッチ52の分断を開始する。つまりこの変速指示信号が本発明にいうクラッチ分断開始信号となる。メインクラッチ52の分断は、油圧供給装置の電磁切替弁77を供給側に切替えることで行う。こうしてシリンダ室66に油圧が送られ、メインクラッチ52が分断される。クラッチ分断の事実はコントロールユニット79が後述の方法で検知する。
【0027】
この後、コントロールユニット79は、先の変速指示信号に基づく次のギヤ段にトランスミッション75が変速されるよう、電磁弁85を切替える。そして変速が終了すると、油圧供給装置の電磁切替弁を排出側に切替え、シリンダ室66の油圧を排出し、メインクラッチ52を接続させる。こうして一連の変速操作が終了する。
【0028】
一方、本装置ではエンジン76が以下のように電子制御される。即ち、コントロールユニット79は、アクセルセンサ94の出力に基づきエンジン負荷を、エンジン回転センサ103 の出力に基づきエンジン回転数をそれぞれ読取り、主にこれらの値に基づいて目標燃料噴射量を決定する。そしてこの目標燃料噴射量に応じた所定の電力をコントロールユニット102 から出力させ、電子ガバナ105 を制御し、燃料噴射量を制御するようになっている。
【0029】
しかし、メインクラッチ52の分断時には、運転手のアクセルペダル踏み込み状態に拘らず独立したエンジン制御が行われる。
【0030】
即ち、ここではメインクラッチ52の分断時に以下の制御を行う。図3に示すように、コントロールユニット79は、ステップ1でチェンジレバー95から変速指示信号(クラッチ分断開始信号)を受け取ると、ステップ2でその受け取った瞬間のエンジン回転数にエンジン回転を保持するよう、エンジン制御を実行する。次のステップ3で、コントロールユニット79は、エンジン回転センサ103 の出力からエンジン回転数Neを、インプットシャフト回転センサ93の出力からインプットシャフト回転数Niを、それぞれ所定時間毎に読み込み、且つそれら回転数の差ΔNを所定時間毎に算出する。そしてその回転数差ΔNを予め記憶された設定値Nと比較し、ΔN≧Nとなるまでステップ2のエンジン回転保持制御を続行する。そしてΔN≧Nとなれば、ステップ4に進んでエンジン回転保持制御を解除し通常のエンジン制御に戻る。
【0031】
次に、この制御と従来制御の比較を行う。図4は所定のギヤ段で走行中、シフトアップを行ったときのエンジン回転数とインプットシャフト回転数との変化の様子を示す。なお本制御によるエンジン回転数はNe(一点鎖線)、従来制御によるエンジン回転数はNex(破線)、インプットシャフト回転数はNi(実線)で示す。ここで運転手はチェンジレバー95の操作(この操作時をT1 とする)と同時にアクセルペダルを戻すのが通常なので、従来はエンジン回転数Nexが時間T1 から一様に落ち込む。
【0032】
一方、時間T1 でクラッチ分断が開始されるが、一般的に、実際にクラッチが切れれば、インプットシャフト回転数がエンジン回転数より落ち込むはずである。よってクラッチが切れたか否かの判断は、上述のように、エンジン回転数とインプットシャフト回転数との回転数差を設定値と比較して行っている。しかし、湿式多板クラッチではクラッチが連れ回る傾向にあるため、従来は、両回転数Nex,Niの落ち込み方が似ている場合、設定値N以上の回転数差ΔNを得るのに比較的長時間ΔTxを要していた。つまり、クラッチプレートの押付力が解放されても、オイルの粘性によりドリブンプレートがドライブプレートに連れ回るため、実際には動力伝達できないつまりクラッチ断の状態にあるにも拘らず、クラッチ接続中と判断してしまうのである。
【0033】
そこで、本制御においては、一点鎖線に示すように、時間T1 からエンジン回転を保持するようにしている。こうするとエンジン回転が落ち込まず、比較的短時間ΔTで設定値N以上の回転数差ΔNを得られ、クラッチ断を検知できる。つまり回転が落ち込もうとするドリブンプレートに対し、これからドライブプレートを引き離すように強制的にエンジン回転を保持するため、ドリブンプレートの連れ回りを防止し、早期にクラッチ分断を検知できる。こうしてクラッチの制御レスポンスの大幅な改善が図れ、一連の変速時間も短くすることができる。
【0034】
特に本制御はクラッチ連れ回り傾向が強い低油温時、とりわけ低温始動直後において効果がある。もっとも前述のように、クラッチ断後の回転数の落ち込み方が似ている場合は高油温時にも効果がある。なおクラッチ断に要する時間は例えば大型商用車においても0.1 〜0.15秒と短いので、この時間でエンジン回転保持制御を行ったとしても、運転手はエンジンが引っ掛かったくらいにしか感じず、フィーリング上の問題は生じない。ちなみにコントロールユニット79は、時間T1 の時のエンジン回転数を目標回転数としてエンジン回転保持制御を行うが、実際のエンジン回転数は慣性のため完全に一定とはならない。
【0035】
以上の説明で分かるように、本装置では、メインクラッチ52、エンジン回転センサ103 、インプットシャフト回転センサ93、チェンジレバー95、コントロールユニット79がそれぞれ本発明の湿式多板クラッチ、第1の検出手段、第2の検出手段、信号発生手段、制御手段を構成している。
【0036】
ここで、本装置ではエンジン回転数とインプットシャフト回転数を用いてクラッチ断検知を行ったが、要はクラッチの入力側と出力側の回転数を見ればよいので、他の回転数を用いることもできる。例えば、図1に示すパルスセンサ25でフロントカバー67の回転数を検出し、これをクラッチ入力側回転数としてもよい。また、ここでは湿式多板クラッチとしてのメインクラッチ52にトルクコンバータ53を組み合わせたものに適用したが、湿式多板クラッチが具備された装置ならその型式、種類は問わない。また上述の如き自動変速可能なトランスミッションでなく、通常のマニュアルトランスミッションを具備した装置にも適用可能である。
【0037】
他にも、本発明においては他の様々な実施の形態が考えられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以下の如き優れた効果を発揮する。
【0039】
(1)クラッチの連れ回りを防止し、クラッチ断検知を早期に行える。
【0040】
(2)クラッチ制御レスポンスの大幅な改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力伝達装置の全体構成図である。
【図2】クラッチトルコンユニットを示す縦断面図である。
【図3】メインクラッチ分断時の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】メインクラッチ分断時のエンジン回転数とインプットシャフト回転数との変化の様子を示すタイムチャートである。
【図5】湿式多板クラッチの縦断面図である。
【図6】油圧供給装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
52 メインクラッチ
75 トランスミッション
76 エンジン
79 コントロールユニット
93 インプットシャフト回転センサ
95 チェンジレバー
103 エンジン回転センサ
N 設定値
Ne エンジン回転数
Ni インプットシャフト回転数
ΔN 回転数差

Claims (1)

  1. エンジン側に連結されるドライブプレートと、トランスミッション側に連結されるドリブンプレートとをオイルが充填されたハウジング内に収容して湿式多板クラッチを構成し、その湿式多板クラッチを介して上記エンジンの動力を上記トランスミッションに伝達するようにした車両の動力伝達装置において、上記クラッチのドライブプレート側回転数を検出するための第1の検出手段と、上記クラッチのドリブンプレート側回転数を検出するための第2の検出手段と、上記トランスミッションの変速時にクラッチ分断開始信号を発生する信号発生手段と、上記信号発生手段からクラッチ分断開始信号を受け取ったとき、上記ドライブプレートと上記ドリブンプレートとの分断を開始し、上記第1及び第2の検出手段の出力に基づき算出される両プレートの回転数差が所定値に達したとき、上記クラッチの分断が終了したと判断して上記トランスミッションの変速動作を開始させるための制御手段とを備え、
    上記制御手段は、上記クラッチの両プレートの分断を開始するときに、回転が落ち込もうとするドリブンプレートにつられて、オイルを介しドライブプレートの回転が連れ回されて落ち込まないよう、そのドライブプレートに連結されるエンジン回転を上記クラッチ分断開始信号を受け取ったときの回転に保持して上記ドライブプレートの回転を維持し、両プレートの回転数差が所定値に達する時間を早めたことを特徴とする車両の動力伝達装置。
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