JP2007239813A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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秀寿 延本
Kanichi Yamaguchi
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達也 上杉
Tamiji Sakaki
民司 坂木
Kazuhiko Ueda
和彦 上田
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Abstract

【課題】 変速クラッチを有する自動変速機の制御装置において、プリチャージ制御及びプリドレーン制御を適正に行うための油圧値を精度良く導出する。
【解決手段】 受圧室に供給された油圧によりストロークして摩擦プレートを締結するピストンと、ピストンを解放側に付勢するリターンスプリングとを有する変速クラッチと、変速時に予めピストンストロークを完了させるように油圧を所定のピストンストローク完了油圧値に制御する油圧制御手段とを備えた自動変速機の制御装置であって、変速クラッチのフェーシング温度に関連する温度を検出するフェーシング温度検出手段と、非走行レンジ選択時に、油圧制御手段により受圧室に供給される油圧を徐々に増加又は減少させると共に、フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの油圧を前記ピストンストローク完了油圧値に設定する油圧設定手段とを備えた。
【選択図】 図7

Description

本発明は、変速クラッチを備えた自動変速機の制御装置に関し、自動車に搭載される変速機の技術分野に属する。
自動車用の自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組合せ、この変速歯車機構の動力伝達経路を複数の変速クラッチ等の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したものであるが、前記変速クラッチは、一般にクラッチドラムと、該クラッチドラムの内周側に設けられたクラッチハブと、該クラッチドラムとクラッチハブとの間に列設されて該クラッチドラムとクラッチハブに交互に係合された複数の摩擦プレートとを備えた構成で、受圧室への油圧制御によりピストンがリターンスプリングに抗して移動し、該ピストンが前記摩擦プレートに押付けられることによって、変速クラッチが締結、解放される。
ところで、前記変速クラッチの締結時には、リターンスプリングのバネ力やシール部材の摺動抵抗に抗してピストンを油圧によりストロークさせなければならないので、応答遅れが生じ易い。このような応答遅れは、非走行レンジから走行レンジに変速されたときの発進の遅れになると共に、変速時の変速クラッチの掛け換えを行う際に、ショック等が生じて変速性能の悪化を招く。
また、前記変速クラッチの解放時において受圧室の油圧を低下させる場合において、完全締結状態から解放状態に制御されるときも、油圧の低下に対してピストンのストロークに遅れが生じることがある。このため、クラッチの掛け換え際の変速ショックの発生や、減速時に適切なエンジンブレーキの制御ができないという問題が生じる。
これらの問題に対して、変速動作が開始される前に、当初解放状態の変速クラッチにおいて作動油を受圧室に充填させて変速クラッチに締結力が発生しない最大の油圧に上昇させるプリチャージ制御を行うことや、変速動作が開始される前に、当初完全締結状態の変速クラッチにおいて作動油を受圧室からドレーンさせて締結力がなくなる直線の油圧まで低下させるプリドレーン制御を行うことが考えられている。
そして、このプリチャージ制御又はプリドレーン制御において受圧室に供給される油圧値は、変速クラッチの個体差や経年変化などによって適切な値にばらつきを生じることがあり、このばらつきに起因して、クラッチの掛け換え動作のタイミングにばらつきを生じ、これがショックの発生や応答遅れの原因になる。このように、プリチャージ制御又はプリドレーン制御においては、適正な油圧値を設定することが重要になる。
これに対して、例えば特許文献1には、変速クラッチの掛け換えの際のプリチャージ制御時に、変速機の出力トルクの引き込みを検出するトルク検出手段を備え、この引き込みトルクが所定値になるようにプリチャージ油圧値を変更すると共に、トルクが所定値となったときのプリチャージ油圧値を学習し、この油圧値を次回のプリチャージ制御に反映するものが開示されている。
また、従来、燃費向上のために、走行レンジで車速がゼロかつブレーキが踏み込まれた状態で、所定の変速クラッチをスリップ状態としてエンジン負荷を軽減させるニュートラルアイドル制御が行われている。そして、例えば非走行レンジからニュートラルアイドル制御に切換えられるときは、前記プリチャージ制御が行われ、走行レンジからニュートラルアイドル制御に切換えられるときは前記プリドレーン制御が行われることがある。このときも、ショック等を生じることなく、燃費を効率的に低減させるためには、前記と同様に適正な油圧値を設定する必要がある。
特開平5−106722号公報
ところで、前記特許文献1に記載の方法では、変速機の出力トルクを検出することにより適正な油圧値を検出し、この油圧値を学習するようになっているが、トルクの変化は、トルク伝達状態になり、或いは非伝達状態になってから初めて検出できるものであるから、未然に応答遅れやショックの発生が防止できないという問題を有している。
そこで、本発明は、変速クラッチを有する自動変速機の制御装置において、プリチャージ制御及びプリドレーン制御を適正に行うための油圧値を精度良く導出することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、摩擦プレートと、受圧室に供給された油圧によりストロークして前記摩擦プレートを締結するピストンと、該ピストンを解放側に付勢するリターンスプリングとを有する変速クラッチと、前記受圧室に供給される油圧を制御して変速時に予めピストンのストロークを完了させるように油圧を所定のピストンストローク完了油圧値に制御する油圧制御手段とが備えられた自動変速機の制御装置であって、前記変速クラッチのフェーシング温度に関連する温度を検出するフェーシング温度検出手段と、非走行レンジ選択時に、前記油圧制御手段により受圧室に供給される油圧を徐々に増加又は減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの油圧を前記ピストンストローク完了油圧値に設定する油圧設定手段とが備えられていることを特徴とする。
なお、前記ピストンストローク完了油圧値は、プリチャージ油圧値又はプリドレーン油圧値である。また、前記フェーシング温度検出手段は、フェーシング近傍の温度を検出したり、フェーシング近傍を流れる潤滑油の温度やオイルパン中の潤滑油の温度を検出するものの他、スリップ制御による損失エネルギーと変速クラッチの熱容量とから演算される熱エネルギーをフェーシング温度として推定してもよく、また、検出した温度をフェーシングと検出位置との距離などに応じて演算補正するようにしてもよい。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、前記変速クラッチは、クラッチドラムと、該クラッチドラムの内周側に複数の前記摩擦プレートを挟んで配設されたクラッチハブと、前記クラッチハブの内周側から潤滑油を該摩擦プレートに供給する潤滑油供給手段とを有し、前記クラッチドラムには、前記摩擦プレートに供給された潤滑油を径方向外部に排出する潤滑油排出口が設けられていると共に、前記フェーシング温度検出手段は、前記潤滑油排出口から径方向外部に排出された潤滑油の油温を検出することを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に増加させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度上昇変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として締結方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度下降変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として解放方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする。
次に、請求項5に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に増加させ、また徐々に減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度上昇変化又は温度下降変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として締結方向又は解放方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項3から請求項5のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、前記油圧設定手段は、油圧の増加又は減少を複数回行うと共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの各回の油圧の平均値をピストンストローク完了油圧値に設定することを特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項3、請求項5または請求項6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの締結制御時に適用されることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項4、請求項5または請求項6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの解放制御時に適用されることを特徴とする。
そして、請求項9に記載の発明は、前記請求項3から請求項6に記載の自動変速機の制御装置において、前記油圧制御手段は、走行レンジでの停車中かつブレーキ踏み込み時に前記変速クラッチをスリップさせるように受圧室に供給する油圧を制御するニュートラルアイドル制御を行うようになっており、前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、非走行レンジからニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されると共に、前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、走行レンジでの走行中からニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、前記油圧制御手段により受圧室に供給される油圧を徐々に増加又は減少させる。それによって、フェーシング同士の接触状態が変化して、摩擦の発生による温度上昇或いは摩擦がなくなることによる温度下降が生じ、前記フェーシング温度検出手段によりこの温度変化が検出される。このとき、油圧設定手段は、前記温変化が検出されたときの前記受圧室に供給される油圧が前記ピストンストローク完了油圧値に設定するので、ピストンストローク完了油圧値が正確に設定されることになる。このとき、非走行レンジ選択時に別段悪影響を及ぼすことがないと共に、このように設定されたピストンストローク完了油圧値は、例えばプリチャージ制御又はプリドレーン制御に適用され、変速時等に応答遅れやショック等の発生が未然に防止される。
また、請求項2に記載の発明によれば、潤滑油供給手段により摩擦プレートに供給された潤滑油がフェーシングを通過して、遠心力によりクラッチドラムに設けられた潤滑油排出口から径方向外部に排出される。そして、この潤滑油排出口から排出された潤滑油の油温がフェーシング温度検出手段により検出される。このとき、フェーシングの摩擦が発生したときは潤滑油を介して温度上昇変化が検出され、フェーシングの摩擦が解除されたときは同じく潤滑油を介して温度下降変化が検出されることになる。このように、フェーシングを通過した直後の潤滑油の温度に基づいてフェーシング温度が精度良く検出され、この温度変化に基づいてピストンストローク完了油圧値が設定されることにより、この油圧値の精度が向上する。
次に、請求項3に記載の発明によれば、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に増加させる結果、フェーシングによる摩擦が発生する。このとき、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度上昇変化が検出されると共に、油圧設定手段は、前記所定の温度上昇変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として締結方向のストロークを完了させる油圧値に設定するので、プリチャージ制御のための油圧値の精度が向上する。
また、請求項4に記載の発明によれば、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に減少させる結果、フェーシングが離間し、摩擦による発熱が低減する。このとき、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度下降変化が検出されると共に、油圧設定手段は、前記所定の温度下降変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として解放方向のストロークを完了させる油圧値に設定するので、プリドレーン制御のための油圧値の精度が向上する。
そして、請求項5に記載の発明は、前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧が徐々に増加、及び徐々に減少させる結果、前記請求項3及び請求項4に記載の発明のように、ピストンストローク完了油圧値として、締結方向及び解放方向のストロークを完了させる油圧値の両方が精度良く設定されることになる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、前記油圧設定手段は、油圧の増加又は減少を複数回行うと共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの各回の油圧の平均値をピストンストローク完了油圧値に設定するので、各回で求められたピストンストローク完了油圧値のばらつきによる誤差が吸収されて、ピストンストローク完了油圧値の精度が一層向上する。
次に、請求項7に記載の発明によれば、前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの締結制御時に適用されるので、変速クラッチの締結時の応答性が確保されると共に、ショック等の発生が抑制される。
また、請求項8に記載の発明によれば、前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの解放制御時に適用されるので、変速クラッチの解放時の応答性が確保されると共に、ショック等の発生が抑制される。また、減速時に適切なエンジンブレーキの制御が可能となり、走行性が向上する。
そして、請求項9に記載の発明によれば、前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、非走行レンジからニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されるので、切換えの応答性が向上することにより燃費の向上が図られると共に、前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、走行レンジでの走行中からニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されるので、切換えの応答性が向上することにより燃費の向上が図られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機1全体の機械的な概略構成を説明する。この自動変速機1は、エンジンルーム内に横置きされたエンジンの出力軸2の回転を入力し、この回転を変速して車輪に伝達する。
自動変速機1は、主な構成要素として、トルクコンバータ10と、該トルクコンバータ10の出力回転が入力される変速機構20とを有している。該変速機構20の出力回転は中間伝動機構50に入力され、該中間伝達機構50の出力回転は差動装置60に入力されるようになっている。
前記トルクコンバータ10は、エンジン出力軸2に連結されたケース11と、該ケース11内に固設されたポンプ12と、該ポンプ12に対向して配置されて該ポンプ12により作動油を介して駆動されるタービン13と、該ポンプ12とタービン13との間に介設され、かつ、変速機ケース3(又は変速機ケース3に一体とされた後述のスリーブ部材6)にワンウェイクラッチ14を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ15と、前記ケース11とタービン13との間に設けられ、該ケース11を介してエンジン出力軸2とタービン15とを直結するロックアップクラッチ16とで構成されている。そして、前記タービン15の回転がタービン軸17を介して変速機構20側に出力されるようになっている。また、このトルクコンバータ10の後方には、該トルクコンバータ10のケース11を介してエンジン出力軸2に駆動されるオイルポンプ18が配置されている。
前記変速機構20は、第1〜第4プラネタリギヤセット21〜24と、これらのプラネタリギヤセット21〜24でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素31〜35とを有し、これらにより前進1〜6速及び後退速が得られるようになっている。
一方、前記第1〜第4プラネタリギヤセット21〜24は、いずれもサンギヤ21a〜24aと、このサンギヤ21a〜24aに噛合った複数のピニオン21b〜24bと、これらのピニオン21b〜24bを支持するキャリヤ21c〜24cと、ピニオン21b〜24bに噛合ったリングギヤ21d〜24dとで構成される、シングルピニオンタイプのプラネタリギヤセットである。
そして、第1プラネタリギヤセット21は、サンギヤ21aが変速機ケース3に固定され、リングギヤ21dが第1メンバ41によりタービン軸17に固定された構成になっている。第2プラネタリギヤセット22は、変速機ケース3の壁部にサンギヤ22aがスプライン嵌合され、リングギヤ22dが第2メンバ42によりタービン軸17に固定されている。
一方、第3プラネタリギヤセット23のリングギヤ23dと第4プラネタリギヤセット24のキャリヤ24cとが一体回転するように第3メンバ43により連結されていると共に、第4プラネタリギヤセット24のキャリヤ24cに出力ギヤ25が一体回転するように連結されている。また、第3プラネタリギヤセット23のキャリヤ23cと第4プラネタリギヤセット24のリングギヤ24dとが一体回転するように第4連結メンバ44により連結されている。ここで、第3及び第4プラネタリギヤセット23,24は、合わせて4つの回転要素を有するように互いに連結されている。
そして、第1〜第3クラッチ31〜33と、第1、第2ブレーキ34,35とを選択的に締結させて、タービン軸17から出力ギヤ25までの動力伝達経路を切り換えることにより、前進6速と後退速とが得られることになる。
前記第1クラッチ31は、第1プラネタリギヤセット21のキャリヤ21cと第4プラネタリギヤセット24のサンギヤ24aとの間の動力伝達経路を断接するクラッチである。また、第2クラッチ32は、第1プラネタリギヤセット21のリングギヤ21dと第3プラネタリギヤセット23のサンギヤ23aとの間の動力伝達経路を断接するクラッチである。また、第3クラッチ33は、第2プラネタリギヤセット22のキャリヤ22cと第3プラネタリギヤセット23のサンギヤ23aとの間の動力伝達経路を断接するものである。
一方、第1ブレーキ34は、第3プラネタリギヤセット23のサンギヤ23aを変速機ケース3に対して断接するものである。また、第2ブレーキ35は、第3プラネタリギヤセット23のキャリヤ23c及び第4プラネタリギヤセット23のリングギヤ23dとを連結する第4メンバ44を変速機ケース3に対して断接するものである。なお、第2ブレーキ35と並列にワンウェイクラッチを配設するようにしてもよい。
そして、出力ギヤ25が、中間伝動機構50を構成する中間軸51上の第1中間ギヤ52に噛合わされていると共に、該中間軸51上の第2中間ギヤ53と差動装置60の入力ギヤ61とが噛合わされて、前記出力ギヤ25の回転が差動装置60のデフケース62に入力され、該差動装置60を介して左右の車軸63,64が駆動されるようになっている。
ここで、前記クラッチ31〜33とブレーキ34,35の作動状態と変速段との関係を表1に示す。
Figure 2007239813
次に、前記第1クラッチ13の周辺の構造について説明すると、図2に示すように、前記トルクコンバータ10を収容するコンバータハウジング4と前記変速機ケース3とがボルト4aにより締結されていると共に、前記オイルポンプ18を収容するポンプハウジング5と前記変速機ケース3とがボルト5aにより締結されている。また、ポンプハウジング5の反トルクコンバータ10側の壁部にはスリーブ部材6がボルト6aにより締結されている。
前記第1クラッチ31は、第1プラネタリギヤセット21のキャリヤ21cに連結されて前記スリーブ部材6に対して回転自在に嵌合された内径部材31aと、該内径部材31aに固設されたクラッチドラム31bと、該クラッチドラム31bの内周側に設けられて第4プラネタリギヤセット34のキャリヤ34cに連結されたクラッチハブ31cと、これらのクラッチドラム31b及びクラッチハブ31cにそれぞれ交互にスプライン嵌合された複数の摩擦プレート31d…31dと、クラッチドラム31b内に軸方向に移動可能に収納されたピストン31eとを有している。前記摩擦プレート31d…31dのうちのクラッチハブ31cに嵌合するものには、両面にそれぞれ摩擦材としてのフェーシング31d′…31d′が貼り付けられている(図3参照)。
また、該ピストン31eとクラッチドラム31bとの間には受圧室31fが形成されている。さらに、前記内径部材31aには、ピストン31eのクラッチドラム31bに対する反対側にバランスプレート31gが固設され、該プレート31gとピストン31eとの間に受圧室31fの遠心油圧を相殺するためのバランス室31hが形成されている。また、前記バランスプレート31gには、ピストン31eをクラッチドラム31b側に常時付勢するリターンスプリング31iの一端が支持されている。
一方、スリーブ部材6には、第1クラッチ31を締結又は解放させるための作動油が通る油路6bが設けられ、この油路6bは前記内径部材31aに設けられた連通路31a′を介して前記受圧室31fに連通している。また、タービン軸17には潤滑用油路17aが設けられ、この潤滑用油路17aが前記スリーブ部材6に設けられた油路6cに連通し、この油路6cを介して前記第1プラネタリギヤセット21の内周側付近から潤滑油が噴出すようになっている。さらに、前記油路6cは、内径部材31aに設けられた連通路31a″を介して前記バランス室31hにも連通している。
また、図3に示すように、前記クラッチハブ31cにおける摩擦プレート31d…31dが嵌合された範囲には、潤滑油を各摩擦プレート31d…31dに供給するための潤滑油供給口31c′…31c′が設けられていると共に、クラッチドラム31bの外周部には摩擦プレート31d…31d間を流れた作動油を該クラッチドラム31bの径方向外部に排出するための複数の潤滑油排出口31b′…31b′が設けられている。前記潤滑油排出口31b′…31b′のうちの少なくとも一つ(31b″)は、摩擦プレート31d…31dが配置された範囲において軸方向の略中間位置に形成されている。
また、前記変速機ケース3には、クラッチドラム31bの外周側に位置して潤滑油温度検出センサ110が装着されている。潤滑油温度検出センサ110は、温度を電気信号に変換するセンサであり、感温部111は例えば熱電対、サーミスタ等で構成されている。図3に示すように、潤滑油温度検出センサ110は、中心に穴112aが形成された筒状の支持部材112を有し、該支持部材112は、変速機ケース3に固定される固定部112bと、固定部112bからクラッチドラム31bの外周壁の外側表面へ向けて延びる延設部112cとを有する。固定部112bは変速機ケース3を貫通しており、ネジ締結或いは接着剤等により両者が固定される。そして、支持部材112の中心の穴112aにおいて延設部112cの先端の部分に前記感温部111が配設されている。さらに、穴112aには感温部111から伸びる信号線113が通過すると共に、穴112aは樹脂材により埋められている。また、前記感温部111は、前記クラッチドラム31bの潤滑油排出口31b″に対峙した位置に配置されている。
そして、図4に示すように、この第1クラッチ31を制御する油圧制御回路には、該第1クラッチ31の締結状態を制御する制御手段としてのデューティソレノイドバルブ70が配設されている。前記デューティソレノイドバルブ70に印加するデューティ率を小さくしていくと、クラッチ圧(受圧室31fに供給するための油圧)が大きくなり、その結果、第1クラッチ31は、受圧室31fに作動油が充填されてピストン31eがリターンスプリング31iに抗して移動し、締結状態になる。また、デューティー率を調整し、ピストン31eを移動させる圧力と、リターンスプリング31iの付勢力、及びシール部材31kとピストン31eとの摩擦力とが略釣り合うように制御することにより、クラッチドラム31bとクラッチハブ31cとの間に所定の差回転が実現されてスリップ状態となる。また、第1クラッチ31は、デューティ率を大きくしていくと、クラッチ圧が小さくなり、ピストン31eがリターンスプリング31iに付勢されて受圧室31fの油圧がドレーンされ、解放状態になる。このように、デューティソレノイドバルブ70のデューティ率とクラッチ圧とは、図5に示すように、デューティ率が大きくなるほどクラッチ圧が小さくなる特性を有している。
一方、図4に示すように、この自動変速機1のコントロールユニット100は、潤滑油の温度を検出する潤滑油温度検出センサ110からの信号、オイルパン内の作動油の温度を検出する作動油温度検出センサ120からの信号、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ130からの信号、エンジン回転数としてエンジン出力軸2の回転数を検出するエンジン回転センサ140からの信号、タービン回転数としてタービン軸17の回転数を検出するタービン回転センサ150からの信号、車速として出力ギヤ25の回転数を検出する車速センサ160からの信号、運転者により選択されているレンジでONするレンジスイッチ170からの信号、アクセルペダルの非踏み込みでONするアイドルスイッチ180からの信号、及びブレーキペダルの踏み込みでONするブレーキスイッチ190からの信号等を入力する。そして、コントロールユニット100は、それらの信号が示す車両の走行状態(特にスロットル開度及び車速)に基づいて、目標変速段を設定し、その目標変速段が達成されるように、前記摩擦要素31〜35に対する作動圧の給排を行う変速制御用デューティソレノイドバルブ70,80…80に制御信号を出力する。
また、変速時に第1クラッチ31の掛け換えが行われる際に、締結される場合ではプリチャージ制御、解放される場合ではプリドレーン制御が行われるようになっている。プリチャージ制御は、変速指令信号が入力されてから実際に変速動作が開始されるまでの間に、受圧室31fに所定の油圧(プリチャージ油圧値)を供給することによってピストン31eを締結位置まで移動させるが、締結力は発生させない状態とする。プリドレーン制御は、変速指令信号が入力されてから実際に変速動作が開始されるまでの間に、受圧室31fの油圧をドレーンし、締結力がなくなる直前の油圧(プリドレーン油圧値)に低下させた状態とする。これらのプリチャージ制御及びプリドレーン制御を行うことによって、変速動作開始のタイミングが適正に制御されることになるため、応答遅れが防止されつつショック等の発生が防止されるのである。
なお、前記コントロールユニット100は、請求項1に記載の自動変速機の制御装置における油圧制御手段及び油圧設定手段に相当し、潤滑油温度検出センサ110はフェーシング温度検出手段に相当する。
次に、前記自動変速機1において、適正にプリチャージ制御及びプリドレーン制御を行うための前記デューティソレノイドバルブ70のデューティ率D1、D2の設定方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、コントロールユニット100は、ステップS1で前記各センサ、スイッチからの入力信号により車両の状態量を検出する。
次に、ステップS2で、レンジがPレンジ又はNレンジにあり、かつ車速ゼロか否かの判定を行い、レンジが非走行レンジかつ車速ゼロであると判定されたときは、ステップS3に進む。ステップS3では、デューティ率D1、D2の設定が完了したか否かの判定を行い、完了していないと判定されたときはステップS4で、ストローク完了油圧値導出制御を行う。
このストローク完了油圧値導出制御は、図7のフローチャートに示すように、ステップS11でクラッチ圧を徐々に増加させる(油圧のスイープアップ)。ここでは、図8に矢印アで示すように、時刻t1でデューティ率を100%から徐々に低下させることになる。このとき、図5の特性図に示したように、デューティ率が減少するとクラッチ圧が増加することになり、この結果、図9に示すように、ピストン31eが解放側から締結側にストロークする。
次に、ステップS12で、前記潤滑油温度検出センサ110により潤滑油温度としてのクラッチ温度を検出すると共に、前記作動油温度検出センサ120により前記オイルパン内の作動油の温度としてのオイルパン温度を検出し、ステップS13で、このクラッチ温度とオイルパン温度との温度差ΔTを算出する。そして、温度差ΔTの単位時間あたりの増分ΔT/dtが所定値Td1よりも大きいか否かについて判定を行い、増分ΔT/dtが所定値Td1よりも小さいと判定されたときは、ステップS11に戻って油圧を徐々に増加させつつ同様の判定を行う。
そして、ステップS14で、増分ΔT/dtが所定値Td1よりも大きいと判定されたときは、ステップS15に進み、このときのデューティ率をD1に設定する。このとき、図8に示すように、デューティ率がD1まで低下した時刻t2で、クラッチ圧がP1となって、摩擦プレートのフェーシング31d′…31d′同士の接触が始まり、これによってフェーシング31d′…31d′が発熱する。そして、フェーシング31d′…31d′を流れる潤滑油が昇温されることから、クラッチ温度が上昇し、点aで示すように温度差ΔTの増加が始まる。また、図9に示すように、デューティ率D1は、ピストン31eが締結位置に至ったときの値となる。
そして、ステップS16に進み、タイマーをセットした上で、ステップS17で油圧の増加を継続しつつ、ステップS18で、所定時間が経過したか否かを判定する。そして、所定時間が経過していないと判定されたときは、ステップS17に戻り、所定時間が経過したと判定されたときは、ステップS19に進む。ここでは、図8に矢印イに示すように、時刻t2においてデューティ率の減少、つまりクラッチ圧の増加を継続し、時刻t3においてデューティ率の減少を停止する。なお、前記所定時間は(t3−t2)の値に設定されている。また、図9に示すように、ピストンストロークは時刻t2〜t3間では締結位置で一定となる。
次に、ステップS19で、油圧を徐々に減少させる(油圧のスイープダウン)。これは、図8に矢印ウで示すようにデューティ率を徐々に増加させ、これに伴ってクラッチ圧が減少する。また、これによって温度差ΔTの増加が緩やかになる。
そして、ステップS20、S21で、前記ステップS12、S13と同様に、クラッチ温度及びオイルパン温度を検出し、これらの温度差ΔTを設定する。次に、ステップS22で、温度差ΔTの単位時間あたりの増分ΔT/dtが負の値である所定値Td2よりも小さいか否かについて判定を行い、増分ΔT/dtが所定値Td2よりも大きいときは、ステップS19に戻って油圧を減少させながら同様の判定を行う。このときは、フェーシング31d′…31d′同士の摩擦があり、この摩擦による昇温のために、潤滑油温度が上昇し、又は一定に維持される。
また、ステップS22で、増分ΔT/dtが所定値Td2よりも小さいときは、ステップS23に進み、このときのデューティ率をD2に設定する。このとき、図8に示すように、デューティ率がD2まで増加した時刻t4で、のフェーシング31d′…31d′接触が解除され、点bで示すように温度差ΔTが急に低下する。また、図9に示すように、時刻t3〜t4において、クラッチ圧を徐々に低下させている間は、ピストンストロークは締結位置で一定である。
なお、フェーシング31d′…31d′が接触し始めて、フェーシング温度の上昇が確認されてからすぐに油圧を低下させると、フェーシング31d′…31d′がすぐに離れてフェーシング温度が低下し、フェーシング31d′…31d′が離れたことを認識する点bが検出できなくなる。前記ステップS17、S18で、所定時間油圧の増加を継続することにより、油圧の低下に対してフェーシング31d′…31d′が離間して、摩擦による発熱が停止され、急にフェーシング温度、即ち温度差ΔTが低下する点bが確実に検出されることになる。
次に、ステップS24で、クラッチ圧をさらに減少させてゼロとする。図8に矢印エで示すように、時刻t4からデューティ率をさらに増加させて100%とする。これに伴ってクラッチ圧も減少してゼロとなり、この後、前記温度差ΔTも低下して一定値となる。
一方、図6のフローチャートのステップS5では、ストローク完了油圧値導出制御が所定回数(例えば5回)終了したか否かについて判定を行い、所定回数終了していないときはステップS4に戻って前記の同様のストローク完了油圧値導出制御を行う。そして、図8に破線で示すように、そのときのデューティ率D1′、D2′の値を記憶する。所定回数終了したときは、ステップS6に進み、デューティ率D1、D2それぞれの平均値を算出する。例えば所定回数が5回のときは、求められた5つのデューティ率D1…D1、D2…D2の値の平均値をそれぞれ算出することになる。
そして、ステップS7に進み、デューティ率D1、D2の平均値をテーブルに書き込む。このテーブルは、図10に示すように、オイルパン温度Tmin〜Tmaxに応じて(例えば10℃毎に)デューティ率D1、D2の値を書き込むようになっている。これは、作動油の粘性や流路抵抗が作動油の温度に応じて異なり、受圧室31fの油圧はオイルパン温度に応じて変わるからである。なお、オイルパン温度がTmaxを越える場合は、Tmin〜Tmaxにおけるデューティ率の傾向等に基づいて、そのオイルパン温度におけるデューティ率D1、D2を推定するようになっている。
一方、前記ステップS2で、レンジがP、Nレンジかつ車速ゼロでないときや、前記ステップS3で既にデューティ率D1、D2の設定が完了していると判定されたときは、ステップS1に戻る。
以上のように、N、Pレンジにおいて、デューティ率を徐々に増加又は減少させることによりクラッチ圧を徐々に増加又は減少させた結果、フェーシング31d′…31d′の接触状態が変化して、摩擦の発生による温度上昇或いは摩擦がなくなることによる温度下降が生じると共に、前記潤滑油温度検出センサ110によりこの温度変化が検出されたときのデューティ率がD1又はD2に設定される。
ここでは、フェーシング31d′…31d′の摩擦状態の変化により温度変化が生じることに着目し、プリチャージ制御においてピストンストロークが締結位置にあり、かつ締結力が発生しない油圧を供給するためのデューティ率D1、及びプリドレーン制御においてピストンストロークが締結位置にあり、かつ締結力がなくなる直前の油圧を供給するためのデューティ率D2がそれぞれ精度良く求められることになる。さらに、このような方法によれば、非走行レンジ選択時に悪影響を及ぼすことなく、デューティ率D1、D2が求められるという利点がある。
また、クラッチハブ31cの潤滑油供給口31c′…31c′から摩擦プレート31d…31dに供給された潤滑油がフェーシング31d′…31d′を通過して、遠心力によりクラッチドラム31bに設けられた潤滑油排出口31b′…31b′から径方向外部に排出される。そして、この潤滑油排出口31b′…31b′から排出された潤滑油の油温が潤滑油温度検出センサ110により検出される。このとき、フェーシング31b′…31b′の摩擦が発生したときは潤滑油を介して温度上昇変化が検出され、フェーシング31b′…31b′の摩擦が解除されたときは同じく潤滑油を介して温度下降変化が検出されることになる。このように、フェーシング31b′…31b′を通過した直後の潤滑油の温度に基づいてフェーシング温度が精度良く検出され、この温度変化に基づいてデューティ率D1、D2が設定されることにより、この油圧値の精度が向上する。
一方、複数回デューティ率D1、D2を求め、これらの平均値D1、D2を図10のテーブルに書き込むようになっているので、ばらつきによる誤差が吸収されて、デューティ率D1、D2の精度が向上する。なお、前記図8の例では、デューティ率を減少させた後増加させ、D1を求めた後D2を求めるようになっているが、始めにある程度減少させておいて、そこから増加させることによりD2を求め、この後デューティ率を減少させてD1を求めるようにしてもよい。
そして、前記のようにして求められたデューティ率D1は、第1クラッチ31の締結時のプリチャージ制御に適用されるので、第1クラッチ31の締結時の応答性が確保されると共に、ショック等の発生が防止される。
また、前記のようにして求められたデューティ率D2は、第1クラッチ31の解放時のプリドレーン制御に適用されるので、第1クラッチ31の解放時のプリドレーン制御に適用されるので、第1クラッチ31の解放時の応答性が確保されると共に、ショック等の発生が防止される。また、減速時に適切なエンジンブレーキの制御が可能となり、走行性が向上する。
ところで、前記プリチャージ制御及びプリドレーン制御は、変速の際の摩擦要素の掛け換え時だけでなく、ニュートラルアイドル制御に切換えられた際にも適用される。このニュートラルアイドル制御は、走行レンジにおいて、車速ゼロの状態でブレーキが踏み込まれたときに、第1クラッチ31をニュートラル状態に近いスリップ状態としてエンジン負荷を軽減させることにより、燃費の向上を図るものである。
まず、図10のテーブルに書き込まれたデューティ率D1の値がプリチャージ制御に使用される例として、NレンジからDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときの制御を図11のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS31で、前記各センサ、スイッチからの入力信号により車両の状態量を検出する。次に、ステップS32で、レンジがDレンジかつ車速ゼロであるか否かについての判定を行い、レンジがDレンジかつ車速ゼロであるときは、ステップS33でブレーキスイッチ190がオンであるか否かについて判定を行う。そして、ブレーキスイッチ190がオンのときは、ステップS34で、前回Nレンジであるか否かについて判定を行う。
そして、ステップS34で前回Nレンジであると判定されたとき、即ちNレンジからDレンジへの切換え直後は、ステップS35に進み、プリチャージ制御として、図10のテーブルからオイルパン温度に応じたデューティ率D1を読み込んで、デューティ率初期値をD1に設定する。
このとき、図12に示すように、NレンジからDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときに、デューティ率D1に制御されることによって、クラッチ圧が上昇し、時刻T2でクラッチ圧P1が実現される。
一方、ステップS34で、前回Nレンジでないと判定されたとき、即ち前回Dレンジと判定されているときは、ステップS36に進み、第1クラッチ31のスリップ制御の差回転が目標差回転になるようにフィードバック制御を行う。
また、前記ステップS32で、レンジがDレンジかつ車速ゼロでないと判定されたとき、及び前記ステップS33で、ブレーキスイッチ190がオフであると判定されたときは、ステップS31に戻る。
このように、NレンジからDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときに、デューティ率をD1としてプリチャージ制御が行われることにより、速やかにスリップ制御用のクラッチ圧P1に切換えられて、燃費が効果的に低減されると共に次回発進時の応答性が確保され、また、クラッチ圧P1が適正な値であるからショック等の発生が防止される。
次に、図10のテーブルに書き込まれたデューティ率D2の値がプリドレーン制御に使用される例として、Dレンジから減速されてDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときの制御を図13のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS41で、前記各センサ、スイッチからの入力信号により車両の状態量を検出する。次に、ステップS42で、レンジがDレンジかつ車速ゼロであるか否かについての判定を行い、レンジがDレンジかつ車速ゼロであるときは、ステップS43でブレーキスイッチ190がオンであるか否かについて判定を行う。そして、ブレーキスイッチ190がオンのときは、ステップS44で、フラグFlag−Nが1か否かを判定し、フラグFlag−Nがゼロのときは、ステップS45に進み、図10のテーブルからオイルパン温度に応じたデューティ率D2を読み込んで、デューティ率初期値をD2に設定する。
このとき、図14に示すように、時刻T3でDレンジにおける減速からDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えが行われ、デューティ率D2としたプリドレーン制御によりクラッチ圧が下降し、時刻T4でクラッチ圧P2が実現される。次に、ステップS46で、フラグFlag−Nに1を代入し、ステップS31に戻る。
一方、前記ステップS44で、フラグFlag−Nが1と判定されたときは、ステップS47に進み、スリップ制御の差回転が目標差回転になるようにフィードバック制御を行う。
また、前記ステップS42で、レンジがDレンジかつ車速ゼロでないと判定されたとき、及び前記ステップS43で、ブレーキスイッチ190がオフであると判定されたときは、ステップS48に進み、フラグFlag−Nをゼロにリセットする。
このように、Dレンジからニュートラルアイドル制御に切換えられたときに、デューティ率をD2としてプリチャージ制御が行われることにより、速やかにスリップ制御用のクラッチ圧P2に切換えられて、燃費が効果的に低減されると共に次回発進時の応答性が確保され、また、クラッチ圧P2が適正な値であるからショック等の発生が防止される。
本発明は、変速クラッチを備えた自動変速機に関し、適正なプリチャージ油圧値とプリドレーン油圧値とが求められ、変速クラッチの締結解放の応答性の向上とショック等の発生の防止とが両立されるので、自動車産業に広く好適である。
本発明の実施の形態に係る自動変速機の概略構成を示す骨子図である。 第1クラッチ周辺の断面図である。 潤滑油温度検出センサの拡大断面図である。 制御システムのブロック図である。 デューティ率に対するクラッチ圧の特性図である。 プリチャージ油圧値、プリドレーン油圧値を設定するための制御のフローチャートである。 ストローク完了油圧値導出制御のフローチャートである。 同制御に係るデューティ率に応じた温度差ΔTの変化を示すタイムチャートである。 同制御に係るクラッチ圧に応じたピストンストロークの説明図である。 オイルパン温度に応じたデューティ率D1、D2のテーブルの説明図である。 NレンジからDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときのプリチャージ制御のフローチャートである。 同切換時のクラッチ圧の説明図である。 DレンジからDレンジのニュートラルアイドル制御に切換えられたときのプリドレーン制御のフローチャートである。 同切換時のクラッチ圧の説明図である。
符号の説明
1 自動変速機
31 第1クラッチ
31b クラッチドラム
31b′ 潤滑油排出口
31c クラッチハブ
31c′ 潤滑油供給口
31d 摩擦プレート
31e ピストン
31f 受圧室
100 コントロールユニット
110 潤滑油温度検出センサ

Claims (9)

  1. 摩擦プレートと、受圧室に供給された油圧によりストロークして前記摩擦プレートを締結するピストンと、該ピストンを解放側に付勢するリターンスプリングとを有する変速クラッチと、前記受圧室に供給される油圧を制御して変速時に予めピストンのストロークを完了させるように油圧を所定のピストンストローク完了油圧値に制御する油圧制御手段とが備えられた自動変速機の制御装置であって、
    前記変速クラッチのフェーシング温度に関連する温度を検出するフェーシング温度検出手段と、
    非走行レンジ選択時に、前記油圧制御手段により受圧室に供給される油圧を徐々に増加又は減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの油圧を前記ピストンストローク完了油圧値に設定する油圧設定手段とが備えられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、
    前記変速クラッチは、クラッチドラムと、該クラッチドラムの内周側に複数の前記摩擦プレートを挟んで配設されたクラッチハブと、前記クラッチハブの内周側から潤滑油を該摩擦プレートに供給する潤滑油供給手段とを有し、
    前記クラッチドラムには、前記摩擦プレートに供給された潤滑油を径方向外部に排出する潤滑油排出口が設けられていると共に、
    前記フェーシング温度検出手段は、前記潤滑油排出口から径方向外部に排出された潤滑油の油温を検出することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
    前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に増加させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度上昇変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として締結方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
    前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度下降変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として解放方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  5. 前記請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
    前記油圧設定手段は、非走行レンジ選択時に、油圧を徐々に増加させ、また徐々に減少させると共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度上昇変化又は温度下降変化が検出されたときの油圧をピストンストローク完了油圧値として締結方向又は解放方向のストロークを完了させる油圧値に設定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  6. 前記請求項3から請求項5のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、
    前記油圧設定手段は、油圧の増加又は減少を複数回行うと共に、前記フェーシング温度検出手段により所定の温度変化が検出されたときの各回の油圧の平均値をピストンストローク完了油圧値に設定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  7. 前記請求項3、請求項5または請求項6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、
    前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの締結制御時に適用されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  8. 前記請求項4、請求項5または請求項6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置において、
    前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、前記変速クラッチの解放制御時に適用されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  9. 前記請求項3から請求項6に記載の自動変速機の制御装置において、
    前記油圧制御手段は、走行レンジでの停車中かつブレーキ踏み込み時に前記変速クラッチをスリップさせるように受圧室に供給する油圧を制御するニュートラルアイドル制御を行うようになっており、
    前記締結方向のストロークを完了させる油圧値は、非走行レンジからニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されると共に、
    前記解放方向のストロークを完了させる油圧値は、走行レンジでの走行中からニュートラルアイドル制御に切換えられたときに適用されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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