JP2002275647A - 加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

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JP2002275647A JP2001082455A JP2001082455A JP2002275647A JP 2002275647 A JP2002275647 A JP 2002275647A JP 2001082455 A JP2001082455 A JP 2001082455A JP 2001082455 A JP2001082455 A JP 2001082455A JP 2002275647 A JP2002275647 A JP 2002275647A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass
%の溶融Al−Zn系めっき鋼板を下地鋼板とする表面
処理鋼板において、優れた加工性、加工部耐食性及びロ
ールフォーミング性を得る。 【解決手段】 めっき皮膜が少なくとも下記(a)の熱履
歴を経て得られためっき皮膜であり、めっき皮膜面に金
属クロム換算のCr付着量が0.1mg/m以上10
0mg/m未満のクロメート皮膜と、その上層に形成
される皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂
とする膜厚0.1〜5μmの有機樹脂皮膜とからなる化
成処理皮膜を有する。 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、めっき皮膜中のA
l含有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系めっき
鋼板を下地鋼板とする表面処理鋼板とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】めっき皮膜中にAlを20〜95mass%
含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板は、特公昭46−
7161号に示されるように溶融亜鉛めっき鋼板に比べ
て優れた耐食性を示すことから、近年、建材分野を中心
に需要が伸びている。このめっき鋼板は、酸洗脱スケー
ルした熱延鋼板又はこれをさらに冷間圧延して得られた
冷延鋼板を下地鋼板とし、連続式溶融めっき設備におい
て以下のようにして製造される。
【0003】連続式溶融めっき設備では、下地鋼板は還
元性雰囲気に保持された焼鈍炉内で所定温度に加熱さ
れ、焼鈍と同時に鋼板表面に付着する圧延油等の除去、
酸化膜の還元除去が行われた後、下端がめっき浴に浸漬
されたスナウト内を通って所定濃度のAlを含有した溶
融亜鉛めっき浴中に浸漬される。めっき浴に浸漬された
鋼板はシンクロールを経由してめっき浴の上方に引き上
げられた後、めっき浴上に配置されたガスワイピングノ
ズルから鋼板の表面に向けて加圧した気体を噴射するこ
とによりめっき付着量が調整され、次いで冷却装置によ
り冷却され、所定のめっき皮膜が形成された溶融Al−
Zn系めっき鋼板が得られる。
【0004】連続式溶融めっき設備における焼鈍炉の熱
処理条件及び雰囲気条件、めっき浴組成やめっき後の冷
却速度等の操業条件は、所望のめっき品質や材質を確保
するために所定の管理範囲で精度よく管理される。上記
のようにして製造されためっき鋼板のめっき皮膜は、主
としてZnを過飽和に含有したAlがデンドライト凝固
した部分と、残りのデンドライト間隙の部分からなって
おり、デンドライトはめっき皮膜の膜厚方向に積層して
いる。このような特徴的な皮膜構造により、溶融Al−
Zn系めっき鋼板は優れた耐食性を示す。
【0005】また、めっき浴には通常1.5mass%程度
のSiが添加されているが、このSiの働きにより、溶
融Al−Zn系めっき鋼板はめっき皮膜/下地鋼板界面
の合金相成長が抑えられ、合金相厚さは約1〜2μm程
度である。この合金相が薄ければ薄いほど優れた耐食性
を示す特徴的な皮膜構造の部分が多くなるので、合金相
の成長抑制は耐食性の向上に寄与する。また、合金相は
めっき皮膜よりも固く加工時にクラックの起点として作
用するので、合金相の成長抑制はクラックの発生を減少
させ、加工性の向上効果をもたらす。また、クラック部
は下地鋼板が露出していて耐食性に劣るので、クラック
の発生を減じることは加工部耐食性をも向上させる。
【0006】通常、めっき浴には不可避的不純物、鋼板
やめっき浴中の機器等から溶出するFe、合金相抑制の
ためのSiが含まれるが、それら以外にも何らかの元素
が添加されている場合もあり、合金相やめっき皮膜中に
はそれら元素が合金或いは単体の形で存在している。ま
た、溶融Al−Zn系めっき鋼板は実用に供されるに当
たって溶融めっきままで使用されることは極く稀であ
り、通常はめっき鋼板表面に化成処理や塗装を施した表
面処理鋼板として使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような溶融Al
−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜は、ロールフォーミン
グ加工時に金型との接触により摺動を受けた場合にめっ
きが“かじり”を生じやすく、外観品質が低下しやすい
という問題がある。これは、合理化の観点から無塗油で
の成型やクーラントを省略した加工を行う場合に、連続
的な加工によって金型の温度が上昇することが、加工に
対してさらに厳しい条件として作用するためであると考
えられる。ロールフォーミング性を高める目的で、特公
平4−2672号では有機樹脂を含む皮膜でめっき表面
を被覆する方法が提案されている。しかし、この方法に
よればロールフォーミング性はある程度改善されるもの
の、その改善効果は、加工によって金型の温度が上昇す
るような厳しい加工条件においても“かじり”のない良
好な外観品質が得られる、というものではない。
【0008】また、上記のような溶融Al−Zn系めっ
き鋼板は、折り曲げ等の加工を施すと加工の程度によっ
て被加工部のめっき皮膜にクラックが生じる。このめっ
き鋼板では、めっき皮膜/下地鋼板界面に存在する約1
〜2μm厚の合金相がクラックの起点となり、まためっ
き皮膜のデンドライト間隙部がクラックの伝播経路にな
ることから、同程度の加工を行った場合でも、同一めっ
き皮膜厚の溶融亜鉛めっき鋼板に比べてクラックが比較
的大きく開口する傾向がある。そのため加工の程度によ
ってはクラックが肉眼で視認され、外観を損ねるという
問題がある。さらに、上述のように溶融Al−Zn系め
っき鋼板は、同一めっき皮膜厚の溶融亜鉛めっき鋼板に
比べて優れた耐食性を発揮するが、下地鋼板の露出した
クラック部はクラックのない部分と比較して耐食性が顕
著に低下するという問題もある。
【0009】このような問題に対して、例えば特公昭6
1−28748号公報には、溶融Al−Zn系めっき鋼
板に所定の熱処理を施すことによって、めっき鋼板の延
性を改善する方法が示されている。しかしながら、上述
したように溶融Al−Zn系めっき鋼板は表面に化成処
理を施した化成処理鋼板や塗装を施した塗装鋼板として
使用されるのが通常である。そして、単に折り曲げ等の
加工による加工部でのクラック発生抑止の観点から、上
記従来技術のようにめっき皮膜の延性をある程度改善し
たとしても、必ずしも実用に供される製品としての性
能、すなわち化成処理や塗装を行った表面処理鋼板とし
ての加工性や加工部の耐食性が直ちに改善されるもので
はない。
【0010】したがって本発明の目的は、めっき皮膜中
のAl含有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系め
っき鋼板を下地鋼板とし、従来にない優れた加工性、加
工部耐食性及びロールフォーミング性が得られる表面処
理鋼板及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決のために
本発明者らは、実用製品すなわち溶融Al−Zn系めっ
き鋼板に化成処理を施した表面処理鋼板としての性能に
視点を定め、加工性、加工部耐食性、ロールフォーミン
グ性等の特性を向上させるために最適なめっき皮膜と化
成処理皮膜の構成について鋭意検討を行った。その結
果、溶融Al−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜を特定の
熱履歴を経たものとし、且つこのめっき皮膜面に特定の
化成処理皮膜を形成することにより、従来では達成でき
なかった極めて優れた加工性、加工部耐食性及びロール
フォーミング性が得られることを見い出した。
【0012】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たもので、その特徴は以下のとおりである。 [1] めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%の溶
融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有す
る表面処理鋼板であって、前記めっき皮膜が少なくとも
下記(a)の熱履歴を経て得られためっき皮膜であり、前
記化成処理皮膜が、めっき皮膜面に形成される金属クロ
ム換算のCr付着量が0.1mg/m以上100mg
/m未満のクロメート皮膜と、その上層に形成される
皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂とする
膜厚0.1〜5μmの有機樹脂皮膜とからなることを特
徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板。 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
【0013】[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、(a)
の熱履歴の温度T(℃)が130〜200℃の範囲であ
ることを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面
処理鋼板。 [3] 上記[1]又は[2]の表面処理鋼板の表面に単層又は複
層の塗膜を形成したことを特徴とする塗装鋼板。
【0014】[4] めっき皮膜中のAl含有量が20〜9
5mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処
理皮膜を有する表面処理鋼板の製造方法であって、溶融
めっき浴を出た鋼板のめっき皮膜に対して、少なくとも
下記(a)の熱履歴を付与する工程と、(a) 溶融めっきさ
れためっき金属が凝固した後、130〜300℃の範囲
の温度T(℃)に昇温加熱され、その後、温度T(℃)
から100℃までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC
(℃/hr)以下を満足する熱履歴、又は/及び、溶融
めっきされためっき金属が凝固した後の130〜300
℃の範囲の温度T(℃)から100℃までの平均冷却速
度が下記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱
履歴 C=(T−100)/2 …… (1) めっき鋼板の表面に、金属クロム換算のCr付着量が
0.1mg/m以上100mg/m未満のクロメー
ト皮膜を形成させ、次いでその上層に、熱硬化性有機樹
脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μmの有機樹脂
皮膜を形成させる、化成処理皮膜の形成工程とを有する
ことを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処
理鋼板の製造方法。
【0015】[5] 上記[4]の製造方法において、(a)の熱
履歴の温度T(℃)が130〜200℃の範囲であるこ
とを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処理
鋼板の製造方法。 [6] 上記[4]又は[5]の製造方法において、めっき皮膜に
対する(a)の熱履歴の付与を、下記(1)〜(4)のうちの少
なくとも1つの段階で行うことを特徴とする加工性と加
工部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
程 [7] 上記[4]〜[6]のいずれかの製造方法の工程に加え
て、さらに、化成処理皮膜面に1コート又は2コート以
上の塗装を施す工程を有することを特徴とする塗装鋼板
の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理鋼板は、めっき
皮膜中にAlを20〜95mass%含有する溶融Al−Z
n系めっき鋼板を下地鋼板とする。また耐食性等の観点
から、めっき皮膜中のAl量より好ましい範囲は45〜
65mass%である。また、めっき皮膜の特に好ましい成
分組成は、Al:45〜65mass%、Si:0.7〜
2.0mass%、Fe:10mass%未満、残部が不可避的
不純物を含む実質的なZnであり、このような組成の場
合に特に優れた耐食性を発揮する。但し、この溶融Al
−Zn系めっき鋼板は、そのめっき組成だけで高い加工
部耐食性を得ることは難しく、後述する熱履歴を経るこ
と及び上層の化成処理皮膜と組み合せることによっては
じめて優れた加工部耐食性が得られる。また、この溶融
Al−Zn系めっき鋼板のめっき付着量に特に制限はな
いが、一般には片面当たり30〜120g/m程度と
することが適当である。
【0017】さらに、この溶融Al−Zn系めっき鋼板
のめっき皮膜は、少なくとも下記(a)の熱履歴を経て得
られためっき皮膜であることが必要である。 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1) また、上記(a)の熱履歴において、温度T(℃)のより
好ましい範囲は130〜200℃である。ここで、上記
(1)式は本発明者らがめっき皮膜の昇温加熱及びその後
の冷却条件や溶融めっきされためっき金属凝固後の冷却
条件がめっき皮膜に与える影響を実験に基づき詳細に検
討し、その結果導かれた実験式である。
【0018】めっき皮膜を上記(a)の熱履歴を経たもの
とすることにより、溶融Al−Zn系めっき皮膜であり
ながら、その加工性(耐クラック性など)が大きく向上
する。このように加工性が改善されるのは、めっき皮膜
が130〜300℃(好ましくは130〜200℃)の
温度範囲に昇温加熱された後に特定の条件で徐冷される
熱履歴、又は/及びめっき皮膜凝固後の130〜300
℃(好ましくは130〜200℃)の温度範囲から特定
の条件で徐冷される熱履歴を経ることにより、凝固時点
でめっき皮膜に蓄積された歪が開放されるとともに、め
っき皮膜中で固体拡散が生じ、めっき皮膜中のAlとZ
nの二相分離が効果的に促進される結果、めっき皮膜が
軟質化するためであると考えられる。
【0019】上記(a)の熱履歴では、めっき皮膜(溶融
めっきされためっき金属が凝固した後のめっき皮膜)を
130〜300℃、好ましくは130〜200℃の範囲
の温度T(℃)に昇温加熱し、その後、温度T(℃)か
ら100℃までの平均冷却速度が上記(1)式に示すC
(℃/hr)以下を満足するように冷却するか、或いは
溶融めっきされためっき金属が凝固した後のめっき皮膜
をその冷却過程である130〜300℃の範囲の温度T
(℃)から100℃までの平均冷却速度が上記(1)式に
示すC(℃/hr)以下を満足するように冷却する。
【0020】この(a)の熱履歴において、めっき皮膜の
昇温加熱温度Tが130℃未満では上記のような作用が
十分に得られず、一方、昇温加熱温度Tが300℃超で
は下地鋼板とめっき皮膜との界面での合金相の成長を促
進させるため、却って加工性に悪影響を及ぼす。またこ
のような観点から、加工性の改善にとってより好ましい
昇温加熱温度Tの上限は200℃である。また、溶融め
っきされためっき金属が凝固した後の冷却過程である1
30〜300℃の範囲の温度T(℃)から上記(a)の熱
履歴が付与される条件で冷却を行う場合についても、温
度Tが130℃未満では上記のような作用が十分に得ら
れない。
【0021】図1(a)は、溶融めっきされためっき金属
が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した際の、めっき皮
膜の昇温加熱温度が表面処理鋼板の加工性に及ぼす影響
を調べたもので、この結果が得られた供試材は、いずれ
も昇温加熱温度から100℃までのめっき皮膜の平均冷
却速度が上記(a)の熱履歴の条件内であるめっき鋼板
に、本発明条件を満足する化成処理皮膜を形成した表面
処理鋼板である。なお、この試験における加工性の評価
は、後述する実施例の加工性の評価に準じて行った。
【0022】また図1(b)は、溶融めっきされためっき
金属が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した際の、めっ
き皮膜の平均冷却速度(昇温加熱温度から100℃まで
の平均冷却速度)が表面処理鋼板の加工性に及ぼす影響
を調べたもので、この結果が得られた供試材は、いずれ
もめっき皮膜の昇温加熱温度が上記(a)の熱履歴の条件
内であるめっき鋼板に、本発明条件を満足する化成処理
皮膜を形成した表面処理鋼板である。なお、この試験に
おける加工性の評価は、後述する実施例の加工性の評価
に準じて行った。
【0023】図1(a),(b)に示されるように、めっき皮
膜の昇温加熱温度が130〜300℃の範囲では2T曲
げの加工性の評点が4点以上であり、また好ましい条件
である130〜200℃の範囲では加工性の評点は4点
〜5点となっている。これに対して昇温加熱温度が13
0〜300℃の範囲外では加工性の評点は3点しか得ら
れていない。また、昇温加熱温度から100℃までの平
均冷却速度と上記(1)式の“C”との差が零〜マイナス
(本発明範囲内)の場合には2T曲げの加工性の評点は
4〜5点であるのに対し、その差がプラス(本発明範囲
外)の場合には加工性の評点は3点しか得られていな
い。
【0024】めっき皮膜を上記(a)の熱履歴を経たもの
とするには、連続式溶融めっき設備内に或いは同設備外
にめっき皮膜を熱処理又は保熱するための加熱又は保熱
装置を設け、所定の熱処理又は保熱を行う。例えば、連
続式溶融めっき設備内に加熱機構(例えば、インダクシ
ョンヒーター、ガス加熱炉、熱風炉など)を設けてイン
ラインで連続加熱して行ってもよいし、また、コイルに
巻取った後にオフラインでバッチ加熱して行ってもよ
い。また、めっきライン外の連続処理設備において加熱
機構(例えば、インダクションヒーター、ガス加熱炉、
熱風炉など)により連続加熱して行ってもよい。さらに
は、めっきライン内や上記連続処理設備で連続加熱され
ためっき鋼板をコイルに巻き取った後に適当な保熱又は
加熱保持を行ってもよい。また、溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後の冷却過程においてめっき皮膜を保
熱して徐冷できるような保熱装置を設けてもよい。但
し、加熱又は保熱装置の方式、形状、規模等については
特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記(a)の熱履歴
を与え得るものであればよい。
【0025】以上のような(a)の熱履歴を経ためっき皮
膜の表面に特定の化成処理皮膜を形成することにより、
この表面処理鋼板は優れた加工性と加工部耐食性、さら
にはロールフォーミング性を示す。めっき皮膜面に形成
される化成処理皮膜は、めっき皮膜面に形成される金属
クロム換算のCr付着量が0.1mg/m以上100
mg/m未満、好ましくは5mg/m以上40mg
/m以下のクロメート皮膜と、その上層に形成される
皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂とする
膜厚0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3μmの有機
樹脂皮膜とからなる。前記クロメート皮膜は、めっき表
面を不動態化することにより耐食性を向上させる効果が
ある。クロメート皮膜の金属クロム換算でのCr付着量
が0.1mg/m未満では耐食性の向上効果が不十分
であり、一方、Cr付着量が100mg/m以上では
付着量に見合う耐食性向上効果が得られないばかりでな
く、着色により外観品質が低下するので好ましくない。
【0026】このクロメート皮膜中にはシリカを添加す
ることができ、これにより上層の有機樹脂皮膜との密着
性が高められるとともに、化成処理後にめっき皮膜に特
定の熱履歴を与えるための熱処理を行った際の化成処理
皮膜の耐食性低下を防止する効果が得られる。添加する
シリカの種類としては、上層樹脂皮膜との密着性向上の
面では乾式シリカの方が効果が大きく、一方、熱処理に
よる耐食性の低下防止の面からは湿式シリカの方が効果
が大きい。したがって、目的に応じて添加するシリカの
種類を選択すればよい。シリカの添加量としては、皮膜
中の固形分の割合で1〜50mass%、好ましくは5〜3
0mass%が望ましい。
【0027】また、クロメート皮膜中にはシリカ以外の
添加剤を適宜添加してよく、例えば、耐食性の向上や着
色防止などを目的として、鉱酸、フッ化物、リン酸、リ
ン酸系化合物、Ni,Co,Fe,Zn,Mg,Ca等
の金属塩等を添加してもよい。クロメート処理は、めっ
き鋼板表面にクロメート処理液を塗布した後、通常、8
0〜250℃の温度で加熱乾燥し、クロメート皮膜を形
成する。
【0028】クロメート皮膜の上層に形成される有機樹
皮膜は、熱硬化性有機樹脂を主剤樹脂とする膜厚が0.
1〜5μmの皮膜である。上記有機樹脂皮膜中の有機樹
脂は熱硬化性樹脂であることが必要である。表面処理鋼
板に対して連続的なロールフォーミング加工がなされる
とロール温度が大きく上昇し、化成処理皮膜に含まれる
有機樹脂が通常の熱可塑性樹脂や一般的なエマルジョン
樹脂の場合にはロールの温度上昇によって皮膜に傷を生
じ、加工後外観が劣化してしまう。そこで、このような
問題を解消すべく検討した結果、皮膜の有機樹脂として
熱硬化性樹脂を用いることにより、高温下での耐傷付性
が飛躍的に高まり、この結果、連続的なロールフォーミ
ング加工においても加工後外観に問題を生じないことが
判った。
【0029】ここで、熱硬化性樹脂とは、皮膜形成時の
加熱により、有機高分子の官能性側鎖どうしの、または
有機高分子と硬化剤との付加若しくは縮合反応、あるい
は主鎖または側鎖の二重結合を利用したラジカル重合等
の架橋反応が生じる樹脂であり、この熱硬化性樹脂とし
ては、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、若
しくはこれらの変性樹脂等の1種以上を用いることがで
きる。また、これらのなかでも特に、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂が加工性の観点か
ら望ましい。また、以上のような熱硬化性樹脂には水分
散系と溶剤系とがあり、いずれを用いてもよい。
【0030】これらの樹脂は、樹脂溶液の塗布後の加熱
により架橋反応が生じて硬化する。その硬化温度は、樹
脂種や硬化剤の種類によって異なる。本発明では硬化剤
の種類や添加量、樹脂溶液塗布後の加熱温度、加熱時間
を特に限定するものではなく、また、樹脂溶液は塗布後
の加熱により完全に硬化させてもよいが、適度な状態ま
で硬化(通板ロール等との接触により皮膜が脱落しない
ような硬化状態)させ、後の熱処理により完全硬化させ
るようにしてもよい。有機樹脂皮膜の膜厚が0.1μm
未満ではロールフォーミング性が不十分であり、一方、
膜厚が5μmを超えると成形ロールへの樹脂付着が多く
なるため好ましくない。
【0031】本発明の表面処理鋼板において、めっき皮
膜に特定の熱履歴を付与するために化成処理皮膜の形成
後に熱処理を行う場合、化成処理皮膜中に含まれる有機
樹脂の特性が損なわれるおそれがある場合があり、その
場合には化成処理皮膜(有機樹脂皮膜)中に無機添加物
(微粒子)を添加することが有効である。無機添加物と
しては、シリカ、リン酸系化合物、ケイ酸化合物(例え
ば、Ca塩、Mg塩)等の1種以上を配合することが可
能である。また、本発明の表面処理鋼板では、化成処理
皮膜の下層がクロメート皮膜であるため有機樹脂皮膜中
にはCrは含まれない。このため表面処理鋼板は、特に
耐Cr溶出性に優れた性能を有する。
【0032】次に、本発明による上記表面処理鋼板の製
造方法について説明する。本発明の製造方法は、連続式
溶融めっき設備などで製造されるめっき皮膜中のAl含
有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板
を下地鋼板とし、その表面に化成処理皮膜を形成した表
面処理鋼板の製造方法であり、溶融めっき浴を出た鋼板
のめっき皮膜に対して、少なくとも下記(a)の熱履歴を
付与する工程と、めっき鋼板の表面に特定の化成処理皮
膜を形成させる工程とを有する。 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
【0033】上記(a)の熱履歴の付与は、溶融めっきさ
れためっき金属が凝固した後のめっき鋼板に対して特定
の熱処理を施すか、或いは溶融めっきされためっき金属
が凝固した後のめっき皮膜の冷却を保熱などによって制
御することによりなされる。本発明の製造方法ではめっ
き鋼板のめっき皮膜面に特定の化成処理皮膜を形成させ
るが、めっき皮膜に上記(a)の熱履歴を付与するための
熱処理は、化成処理皮膜の形成前、化成処理皮膜の
乾燥工程中、化成処理皮膜の形成後(処理液の塗布及
びその乾燥工程による皮膜の形成後)、のいずれの段階
で行ってもよい。また、これらのうちの2つ以上の段階
で行ってもよい。
【0034】したがって、めっき皮膜に対する(a)の熱
履歴の付与は、下記(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの
段階で行うことができる。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
程 なお、熱処理を行う上記方式うち、の方式は熱処理工
程と化成処理工程の各条件をそれぞれ独立に最適化でき
るという利点があり、また、,の方式は連続式溶融
めっき設備内で全ての処理を行うのに適している。ま
た、の方式は化成処理の乾燥工程における加熱を利用
して熱処理を行うので、特に経済性に優れている。
【0035】上記(a)の熱履歴を付与するための熱処理
又は保熱は、連続式溶融めっき設備内に或いは同設備外
に設けられた加熱又は保熱装置などにより行う。連続式
溶融めっき設備内に加熱機構(例えば、インダクション
ヒーター、熱風炉など)を設けてインラインで連続加熱
して行ってもよいし、また、コイルに巻取った後にオフ
ラインでバッチ加熱して行ってもよい。また、めっきラ
イン外の連続処理設備において加熱機構(例えば、イン
ダクションヒーター、熱風炉など)により連続加熱して
行ってもよい。さらには、めっきライン内や上記連続処
理設備で連続加熱されためっき鋼板をコイルに巻き取っ
た後に適当な保熱又は加熱保持を行ってもよい。また、
溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過程に
おいてめっき皮膜を保熱して徐冷できるような保熱装置
を設けてもよい。但し、加熱又は保熱装置の方式、形
状、規模等については特別な制限はなく、要はめっき皮
膜に上記(a)の熱履歴を与え得るものであればよい。な
お、製造される溶融Al−Zn系めっき鋼板の好ましい
めっき組成、めっき付着量、上記(a)の熱履歴の限定理
由及び得られる作用効果などは先に述べた通りである。
【0036】本発明の製造方法では、めっき鋼板表面に
クロメート処理を施して、金属クロム換算のCr付着量
が0.1mg/m以上100mg/m未満、好まし
くは5mg/m以上40mg/m以下のクロメート
皮膜を形成させ、次いで、その上層に、熱硬化性有機樹
脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μm、好ましく
は0.5〜3μmの有機樹脂皮膜を形成させる。上記ク
ロメート処理では、必要に応じてシリカ等の添加剤が添
加されたクロメート処理液をめっき鋼板面に塗布し、通
常、水洗することなく80〜300℃で加熱乾燥する。
上記有機樹脂皮膜を形成するには、熱硬化性有機樹脂を
皮膜形成樹脂とし、必要に応じて他の添加剤を配合した
樹脂溶液を塗布し、加熱処理することにより樹脂を硬化
させ、有機樹脂皮膜を形成させる。この化成処理皮膜の
皮膜構成の限定理由、化成処理皮膜を形成する工程と上
記(a)の熱履歴を付与する工程との前後関係などは、先
に述べた通りである。
【0037】
【実施例】[実施例1]常法で製造した冷延鋼板(板厚
0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55%
Al−1.5%Si−Znめっき浴(表1〜表4のN
o.1〜No.18、No.21、No.22)、40
%Al−1.0%Si−Znめっき浴(表3及び表4の
No.19)及び70%Al−1.8%Si−Znめっ
き浴(表3及び表4のNo.20)を用いて溶融めっき
を行った。ラインスピードは160m/secとし、片面
めっき付着量は75g/mとした。
【0038】このめっき鋼板の製造工程においてめっき
皮膜に表1及び表3に示す熱履歴を付与するとともに、
めっき皮膜面に化成処理皮膜を形成した。クロメート処
理では、乾式シリカ、リン酸及びクロム酸を乾式シリ
カ:リン酸:Cr=1:1:1の割合で混合し、Cr還
元率を40%に調整した処理液をめっき鋼板面に塗布
し、板温80℃で乾燥することによりクロメート皮膜を
形成した。このクロメート皮膜面に形成する有機樹脂皮
膜の有機樹脂としては下記のものを用いた。 (a) 熱硬化性樹脂(主剤樹脂:ポリエステルポリオール
樹脂、硬化剤:ジイソシアネート系硬化剤) (b) 熱硬化性樹脂(主剤樹脂:アクリルポリオール樹
脂、硬化剤:メラミン樹脂) (c) 熱可塑性樹脂(MMA−MA系アクリルエマルジョ
ン樹脂)
【0039】上記いずれかの有機樹脂を含む溶剤型樹脂
溶液を、ロールコーターにてクロメート処理面に塗布
し、板温170℃で加熱乾燥した。このようにして製造
した表面処理鋼板について、以下の方法により加工性
(耐クラック性)、加工部耐食性及びロールフォーミン
グ性を評価した。その結果を、めっき皮膜に付与した熱
履歴、化成処理条件とともに表1〜表4に示す。
【0040】(1) 加工性 表面処理鋼板を0T曲げしてこの0T曲げ先端部のクラ
ックを観察し、以下の基準で評価した。 5:20倍のルーペで観察してもクラックは認められな
い。 4:目視で観察するとクラックは認められないが、20
倍のルーペで観察するとクラックが認められる。 3:目視で観察してクラックが認められる。 2:目視で観察して大きく開口したクラックが認められ
る。 1:剥離を伴うクラックが生じている。
【0041】(2)加工部耐食性 表面処理鋼板を5T曲げした後、複合サイクル試験機に
装入して150サイクル経過後の曲げ部からの錆発生状
態を観察し、以下の基準で評価した。なお、複合サイク
ル試験の1サイクルは、[30℃、5%NaCl噴霧、
0.5時間]→[30℃湿潤、1.5時間]→[乾燥
(50℃、2時間)]→[乾燥(30℃、2時間)]と
した。 ◎:異常無し(錆発生面積率10%未満) ○:軽度の白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率10%
以上25%未満) △:白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率25%以上8
0%未満) ×:著しい白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率80%
以上)
【0042】(3)ロールフォーミング加工性 30mm×300mmの表面処理鋼板について、ドロー
ビード試験機を用いて金型温度120℃、ビード押付け
荷重100kgで先端5mmRのビードを押し付けた状
態で摺動試験を行い、引抜き後の外観を目視にて観察
し、以下の基準で評価した。 ◎:黒化面積が10%未満であり、且つ金型への皮膜剥
離物の付着なし ○:黒化面積が10%以上25%未満であるか、又は金
型への皮膜剥離物の付着が僅かにあり △:黒化面積が25%以上50%未満であるか、又は金
型への皮膜剥離物の著しい付着あり ×:黒化面積が50%以上であるか、又はめっき鋼板表
面に著しい“かじり”あり
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】[実施例2]常法で製造した冷延鋼板(板
厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55
%Al−1.5%Si−Znめっき浴を用いて溶融めっ
きを行った。ラインスピードは160m/secとし、片
面めっき付着量は75g/mとした。
【0048】このめっき鋼板の製造工程においてめっき
皮膜に表5に示す熱履歴を付与するとともに、めっき皮
膜面に化成処理を施した。化成処理条件は、実施例1と
同様のクロメート処理を施してCr付着量(金属クロム
換算)が20mg/mのクロメート皮膜を形成した
後、主剤樹脂であるポリエステルポリオール樹脂100
重量部に対して硬化剤であるジイソシアネート樹脂を1
0重量部添加した溶剤型樹脂液をロールコーターにてク
ロメート処理面に塗布し、板温170℃で加熱乾燥して
膜厚が2μmの有機樹脂皮膜を形成した。このようにし
て製造した表面処理鋼板について、実施例1と同じ方法
により加工性(耐クラック性)及び加工部耐食性を評価
した。その結果を、めっき皮膜に付与した熱履歴ととも
に表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】以上述べたように本発明の表面処理鋼板
は、めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%の溶
融Al−Zn系めっき鋼板を下地鋼板とする表面処理鋼
板でありながら極めて優れた加工性、加工部耐食性及び
ロールフォーミング性を有する。また、本発明の製造方
法によれば、このような表面処理鋼板を安定して且つ高
い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、溶融めっきされためっき金属が凝
固した後のめっき鋼板を熱処理した場合において、めっ
き皮膜の昇温加熱温度が表面処理鋼板の加工性に及ぼす
影響を示すグラフ、図1(b)は、溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した場合にお
いて、めっき皮膜の平均冷却速度(昇温加熱温度から1
00℃までの平均冷却速度)が表面処理鋼板の加工性に
及ぼす影響を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/28 C23C 2/28 2/40 2/40 28/00 28/00 C (72)発明者 大居 利彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 吉田 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 間島 康弘 神奈川県川崎市川崎区水江町6−1 エヌ ケーケー鋼板株式会社内 (72)発明者 石田 信之 神奈川県川崎市川崎区水江町6−1 エヌ ケーケー鋼板株式会社内 (72)発明者 福島 祐一 神奈川県川崎市川崎区水江町6−1 エヌ ケーケー鋼板株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB18Y BB23Y BB74Y BB87X BB91X BB91Y BB92Z BB93Y BB95Y CA09 CA33 DA06 DB05 DB07 DC01 EA06 EA07 EA13 EA19 EB14 EB22 EB32 EB33 EB35 EB36 EB38 EB45 4K026 AA02 AA13 AA22 BA06 BA07 BB08 BB09 CA16 CA18 CA22 CA23 CA26 CA27 CA28 DA03 DA16 EB08 4K027 AA02 AA05 AA22 AB02 AB05 AB44 AB48 AC12 AC82 4K044 AA02 AB02 BA15 BA17 BA21 BB04 BC02 BC05 CA11 CA16 CA53

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき皮膜中のAl含有量が20〜95
    mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理
    皮膜を有する表面処理鋼板であって、 前記めっき皮膜が少なくとも下記(a)の熱履歴を経て得
    られためっき皮膜であり、 前記化成処理皮膜が、めっき皮膜面に形成される金属ク
    ロム換算のCr付着量が0.1mg/m以上100m
    g/m未満のクロメート皮膜と、その上層に形成され
    る皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂とす
    る膜厚0.1〜5μmの有機樹脂皮膜とからなることを
    特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼
    板。 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
    〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
    後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
    記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、 又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
    の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
    までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
    以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
  2. 【請求項2】 (a)の熱履歴の温度T(℃)が130〜
    200℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載
    の加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の表面処理鋼板の
    表面に単層又は複層の塗膜を形成したことを特徴とする
    塗装鋼板。
  4. 【請求項4】 めっき皮膜中のAl含有量が20〜95
    mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理
    皮膜を有する表面処理鋼板の製造方法であって、 溶融めっき浴を出た鋼板のめっき皮膜に対して、少なく
    とも下記(a)の熱履歴を付与する工程と、 (a) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
    〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
    後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
    記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、 又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
    の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
    までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
    以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1) めっき鋼板の表面に、金属クロム換算のCr付着量が
    0.1mg/m以上100mg/m未満のクロメー
    ト皮膜を形成させ、次いでその上層に、熱硬化性有機樹
    脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μmの有機樹脂
    皮膜を形成させる、化成処理皮膜の形成工程とを有する
    ことを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処
    理鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 (a)の熱履歴の温度T(℃)が130〜
    200℃の範囲であることを特徴とする請求項4に記載
    の加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 めっき皮膜に対する(a)の熱履歴の付与
    を、下記(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの段階で行う
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の加工性と加工
    部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
  7. 【請求項7】 請求項4、5又は6に記載の製造方法の
    工程に加えて、さらに、化成処理皮膜面に1コート又は
    2コート以上の塗装を施す工程を有することを特徴とす
    る塗装鋼板の製造方法。
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