JP2002275646A - 加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents
加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法Info
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Abstract
%の溶融Al−Zn系めっき鋼板を下地鋼板とする表面
処理鋼板において、優れた加工性、加工部耐食性及びロ
ールフォーミング性を得る。 【解決手段】 めっき皮膜面に所定のCr付着量のクロ
メート皮膜と、その上層に形成される熱硬化性有機樹脂
を皮膜形成樹脂とする有機樹脂皮膜とからなる化成処理
皮膜を有し、好ましくは、めっき皮膜面が少なくとも下
記(a)及び(b)の熱履歴を経て得られためっき皮膜であ
る。 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷却
速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130〜3
00℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その後、温
度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下記(1)
式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、又は/及
び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後の130〜3
00℃の範囲の温度T(℃)から100℃までの平均冷却速
度が下記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
Description
l含有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系めっき
鋼板を下地鋼板とする表面処理鋼板とその製造方法に関
する。
含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板は、特公昭46−
7161号に示されるように溶融亜鉛めっき鋼板に比べ
て優れた耐食性を示すことから、近年、建材分野を中心
に需要が伸びている。このめっき鋼板は、酸洗脱スケー
ルした熱延鋼板又はこれをさらに冷間圧延して得られた
冷延鋼板を下地鋼板とし、連続式溶融めっき設備におい
て以下のようにして製造される。
元性雰囲気に保持された焼鈍炉内で所定温度に加熱さ
れ、焼鈍と同時に鋼板表面に付着する圧延油等の除去、
酸化膜の還元除去が行われた後、下端がめっき浴に浸漬
されたスナウト内を通って所定濃度のAlを含有した溶
融亜鉛めっき浴中に浸漬される。めっき浴に浸漬された
鋼板はシンクロールを経由してめっき浴の上方に引き上
げられた後、めっき浴上に配置されたガスワイピングノ
ズルから鋼板の表面に向けて加圧した気体を噴射するこ
とによりめっき付着量が調整され、次いで冷却装置によ
り冷却され、所定のめっき皮膜が形成された溶融Al−
Zn系めっき鋼板が得られる。
処理条件及び雰囲気条件、めっき浴組成やめっき後の冷
却速度等の操業条件は、所望のめっき品質や材質を確保
するために所定の管理範囲で精度よく管理される。上記
のようにして製造されためっき鋼板のめっき皮膜は、主
としてZnを過飽和に含有したAlがデンドライト凝固
した部分と、残りのデンドライト間隙の部分からなって
おり、デンドライトはめっき皮膜の膜厚方向に積層して
いる。このような特徴的な皮膜構造により、溶融Al−
Zn系めっき鋼板は優れた耐食性を示す。
のSiが添加されているが、このSiの働きにより、溶
融Al−Zn系めっき鋼板はめっき皮膜/下地鋼板界面
の合金相成長が抑えられ、合金相厚さは約1〜2μm程
度である。この合金相が薄ければ薄いほど優れた耐食性
を示す特徴的な皮膜構造の部分が多くなるので、合金相
の成長抑制は耐食性の向上に寄与する。また、合金相は
めっき皮膜よりも固く加工時にクラックの起点として作
用するので、合金相の成長抑制はクラックの発生を減少
させ、加工性の向上効果をもたらす。また、クラック部
は下地鋼板が露出していて耐食性に劣るので、クラック
の発生を減じることは加工部耐食性をも向上させる。
やめっき浴中の機器等から溶出するFe、合金相抑制の
ためのSiが含まれるが、それら以外にも何らかの元素
が添加されている場合もあり、合金相やめっき皮膜中に
はそれら元素が合金或いは単体の形で存在している。ま
た、溶融Al−Zn系めっき鋼板は実用に供されるに当
たって溶融めっきままで使用されることは極く稀であ
り、通常はめっき鋼板表面に化成処理や塗装を施した表
面処理鋼板として使用される。
−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜は、ロールフォーミン
グ加工時に金型との接触により摺動を受けた場合にめっ
きが“かじり”を生じやすく、外観品質が低下しやすい
という問題がある。これは、合理化の観点から無塗油で
の成型やクーラントを省略した加工を行う場合に、連続
的な加工によって金型の温度が上昇することが、加工に
対してさらに厳しい条件として作用するためであると考
えられる。ロールフォーミング性を高める目的で、特公
平4−2672号では有機樹脂を含む皮膜でめっき表面
を被覆する方法が提案されている。しかし、この方法に
よればロールフォーミング性はある程度改善されるもの
の、その改善効果は、加工によって金型の温度が上昇す
るような厳しい加工条件においても“かじり”のない良
好な外観品質が得られる、というものではない。
き鋼板は、折り曲げ等の加工を施すと加工の程度によっ
て被加工部のめっき皮膜にクラックが生じる。このめっ
き鋼板では、めっき皮膜/下地鋼板界面に存在する約1
〜2μm厚の合金相がクラックの起点となり、まためっ
き皮膜のデンドライト間隙部がクラックの伝播経路にな
ることから、同程度の加工を行った場合でも、同一めっ
き皮膜厚の溶融亜鉛めっき鋼板に比べてクラックが比較
的大きく開口する傾向がある。そのため加工の程度によ
ってはクラックが肉眼で視認され、外観を損ねるという
問題がある。さらに、上述のように溶融Al−Zn系め
っき鋼板は、同一めっき皮膜厚の溶融亜鉛めっき鋼板に
比べて優れた耐食性を発揮するが、下地鋼板の露出した
クラック部はクラックのない部分と比較して耐食性が顕
著に低下するという問題もある。
1−28748号公報には、溶融Al−Zn系めっき鋼
板に所定の熱処理を施すことによって、めっき鋼板の延
性を改善する方法が示されている。しかし、このような
従来技術の熱処理だけではめっき皮膜の延性を十分に改
善することは難い。また、上述したように溶融Al−Z
n系めっき鋼板は表面に化成処理を施した化成処理鋼板
や塗装を施した塗装鋼板として使用されるのが通常であ
る。そして、単に折り曲げ等の加工による加工部でのク
ラック発生抑止の観点から、上記従来技術のようにめっ
き皮膜の延性をある程度改善したとしても、必ずしも実
用に供される製品としての性能、すなわち化成処理や塗
装を行った表面処理鋼板としての加工性や加工部の耐食
性が直ちに改善されるものではない。
のAl含有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系め
っき鋼板を下地鋼板とし、従来にない優れた加工性、加
工部耐食性及びロールフォーミング性が得られる表面処
理鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、実用製品すなわち溶融Al−Zn系めっ
き鋼板に化成処理を施した表面処理鋼板としての性能に
視点を定め、加工性、加工部耐食性、ロールフォーミン
グ性等の特性を向上させるために最適なめっき皮膜と化
成処理皮膜の構成について鋭意検討を行った。その結
果、溶融Al−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜面に特定
の化成処理皮膜を形成することにより、さらに好ましく
はめっき皮膜を特定の熱履歴を経たものとすることによ
り、従来では達成できなかった極めて優れた加工性、加
工部耐食性及びロールフォーミング性が得られることを
見い出した。
たもので、その特徴は以下のとおりである。 [1] めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%の溶
融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有す
る表面処理鋼板であって、前記化成処理皮膜が、めっき
皮膜面に形成される金属クロム換算のCr付着量が0.
1mg/m2以上100mg/m2未満のクロメート皮
膜と、その上層に形成される皮膜であって、熱硬化性有
機樹脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μmの有機
樹脂皮膜とからなることを特徴とする加工性と加工部耐
食性に優れた表面処理鋼板。
っき皮膜が少なくとも下記(a)及び(b)の熱履歴を経て得
られためっき皮膜であることを特徴とする加工性と加工
部耐食性に優れた表面処理鋼板。 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷
却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
て、(b)の熱履歴の温度T(℃)が130〜200℃の
範囲であることを特徴とする加工性と加工部耐食性に優
れた表面処理鋼板。 [4] 上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼板の表面に単
層又は複層の塗膜を形成したことを特徴とする塗装鋼
板。
5mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処
理皮膜を有する表面処理鋼板の製造方法であって、溶融
めっき浴を出た鋼板のめっき皮膜に対して、少なくとも
下記(a)及び(b)の熱履歴を付与する工程と、 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷
却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1) めっき鋼板の表面に、金属クロム換算のCr付着量が
0.1mg/m2以上100mg/m2未満のクロメー
ト皮膜を形成させ、次いでその上層に、熱硬化性有機樹
脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μmの有機樹脂
皮膜を形成させる、化成処理皮膜の形成工程とを有する
ことを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処
理鋼板の製造方法。
履歴の温度T(℃)が130〜200℃の範囲であるこ
とを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処理
鋼板の製造方法。 [7] 上記[5]又は[6]の製造方法において、めっき皮膜に
対する(b)の熱履歴の付与を、下記(1)〜(4)のうちの少
なくとも1つの段階で行うことを特徴とする加工性と加
工部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
程 [8] 上記[5]〜[7]のいずれかの製造方法の工程に加え
て、さらに、化成処理皮膜面に1コート又は2コート以
上の塗装を施す工程を有することを特徴とする塗装鋼板
の製造方法。
皮膜中にAlを20〜95mass%含有する溶融Al−Z
n系めっき鋼板を下地鋼板とする。また耐食性等の観点
から、めっき皮膜中のAl量より好ましい範囲は45〜
65mass%である。また、めっき皮膜の特に好ましい成
分組成は、Al:45〜65mass%、Si:0.7〜
2.0mass%、Fe:10mass%未満、残部が不可避的
不純物を含む実質的なZnであり、このような組成の場
合に特に優れた耐食性を発揮する。但し、この溶融Al
−Zn系めっき鋼板は、そのめっき組成だけで高い加工
部耐食性を得ることは難しく、上層の化成処理皮膜を組
み合せること、さらに好ましくは後述するめっき皮膜へ
の熱履歴の付与を組み合せることによってはじめて優れ
た加工部耐食性が得られる。また、この溶融Al−Zn
系めっき鋼板のめっき付着量に特に制限はないが、一般
には片面当たり30〜120g/m2程度とすることが
適当である。
膜面に形成される化成処理皮膜は、めっき皮膜面に形成
される金属クロム換算のCr付着量が0.1mg/m2
以上100mg/m2未満、好ましくは5mg/m2以
上40mg/m2以下のクロメート皮膜と、その上層に
形成される皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成
樹脂とする膜厚0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3
μmの有機樹脂皮膜とからなる。前記クロメート皮膜
は、めっき表面を不動態化することにより耐食性を向上
させる効果がある。クロメート皮膜の金属クロム換算で
のCr付着量が0.1mg/m2未満では耐食性の向上
効果が不十分であり、一方、Cr付着量が100mg/
m2以上では付着量に見合う耐食性向上効果が得られな
いばかりでなく、着色により外観品質が低下するので好
ましくない。
ることができ、これにより上層の有機樹脂皮膜との密着
性が高められるとともに、化成処理後にめっき皮膜に特
定の熱履歴を与えるための熱処理を行った際の化成処理
皮膜の耐食性低下を防止する効果が得られる。添加する
シリカの種類としては、上層樹脂皮膜との密着性向上の
面では乾式シリカの方が効果が大きく、一方、熱処理に
よる耐食性の低下防止の面からは湿式シリカの方が効果
が大きい。したがって、目的に応じて添加するシリカの
種類を選択すればよい。シリカの添加量としては、皮膜
中の固形分の割合で1〜50mass%、好ましくは5〜3
0mass%が望ましい。
添加剤を適宜添加してよく、例えば、耐食性の向上や着
色防止などを目的として、鉱酸、フッ化物、リン酸、リ
ン酸系化合物、Ni,Co,Fe,Zn,Mg,Ca等
の金属塩等を添加してもよい。クロメート処理は、めっ
き鋼板表面にクロメート処理液を塗布した後、通常、8
0〜250℃の温度で加熱乾燥し、クロメート皮膜を形
成する。
皮膜は、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂とする膜厚が
0.1〜5μmの皮膜である。上記有機樹脂皮膜中の有
機樹脂は熱硬化性樹脂であることが必要である。表面処
理鋼板に対して連続的なロールフォーミング加工がなさ
れるとロール温度が大きく上昇し、化成処理皮膜に含ま
れる有機樹脂が通常の熱可塑性樹脂や一般的なエマルジ
ョン樹脂の場合にはロールの温度上昇によって皮膜に傷
を生じ、加工後外観が劣化してしまう。そこで、このよ
うな問題を解消すべく検討した結果、皮膜の有機樹脂と
して熱硬化性樹脂を用いることにより、高温下での耐傷
付性が飛躍的に高まり、この結果、連続的なロールフォ
ーミング加工においても加工後外観に問題を生じないこ
とが判った。
加熱により、有機高分子の官能性側鎖どうしの、または
有機高分子と硬化剤との付加若しくは縮合反応、あるい
は主鎖または側鎖の二重結合を利用したラジカル重合等
の架橋反応が生じる樹脂であり、この熱硬化性樹脂とし
ては、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、若
しくはこれらの変性樹脂等の1種以上を用いることがで
きる。また、これらのなかでも特に、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂が加工性の観点か
ら望ましい。また、以上のような熱硬化性樹脂には水分
散系と溶剤系とがあり、いずれを用いてもよい。
により架橋反応が生じて硬化する。その硬化温度は、樹
脂種や硬化剤の種類によって異なる。本発明では硬化剤
の種類や添加量、樹脂溶液塗布後の加熱温度、加熱時間
を特に限定するものではなく、また、樹脂溶液は塗布後
の加熱により完全に硬化させてもよいが、塗布後の加熱
により適度な状態まで硬化(通板ロール等との接触によ
り皮膜が脱落しないような硬化状態)させ、後の熱処理
により完全硬化させるようにしてもよい。有機樹脂皮膜
の膜厚が0.1μm未満ではロールフォーミング性が不
十分であり、一方、膜厚が5μmを超えると成形ロール
への樹脂付着が多くなるため好ましくない。
膜に後述するような特定の熱履歴を付与するために化成
処理皮膜の形成後に熱処理を行う場合、化成処理皮膜中
に含まれる有機樹脂の特性が損なわれるおそれがある場
合があり、その場合には化成処理皮膜(有機樹脂皮膜)
中に無機添加物(微粒子)を添加することが有効であ
る。無機添加物としては、シリカ、リン酸系化合物、ケ
イ酸化合物(例えば、Ca塩、Mg塩)等の1種以上を
配合することが可能である。また、本発明の表面処理鋼
板では、化成処理皮膜の下層がクロメート皮膜であるた
め有機樹脂皮膜中にはCrは含まれない。このため表面
処理鋼板は、特に耐Cr溶出性に優れた性能を有する。
n系めっき鋼板のめっき皮膜が、少なくとも下記(a)及
び(b)の熱履歴を経て得られためっき皮膜であることが
好ましく、このような(a)及び(b)の熱履歴を経ためっき
皮膜の表面に上述した特定の化成処理皮膜を形成するこ
とにより、特に優れた加工性と加工部耐食性が得られ
る。 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の最初の10秒間の
平均冷却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
(℃)のより好ましい範囲は130〜200℃である。
ここで、上記(1)式は本発明者らがめっき皮膜の昇温加
熱及びその後の冷却条件や溶融めっきされためっき金属
凝固後の冷却条件がめっき皮膜に与える影響を実験に基
づき詳細に検討し、その結果導かれた実験式である。
たものとすることにより、溶融Al−Zn系めっき皮膜
でありながら、その加工性(耐クラック性など)は顕著
に向上する。上記(a)及び(b)の熱履歴を経ることにより
めっき皮膜の加工性が顕著に改善されるのは、以下のよ
うな理由によるものと考えられる。まず、鋼板が溶融め
っき浴を出た直後に上記(a)の熱履歴、すなわち溶融め
っき浴を出た直後の10秒間の平均冷却速度を十分に遅
くした熱履歴を経ることにより、溶融めっき皮膜の凝固
が通常の冷却過程による凝固よりも平衡状態に近いもの
となるため、半溶融状態での拡散によってAlとZnの
二相分離が促進され、この結果、めっき皮膜が軟質化す
る。そして、このような熱履歴を経ためっき皮膜がさら
に上記(b)の熱履歴、すなわち130〜300℃(好ま
しくは130〜200℃)の温度範囲に昇温加熱された
後に特定の条件で徐冷される熱履歴、又は/及びめっき
皮膜凝固後の130〜300℃(好ましくは130〜2
00℃)の温度範囲から特定の条件で徐冷される熱履歴
を経ることにより、凝固時点でめっき皮膜に蓄積された
歪が開放されるとともに、めっき皮膜中で固体拡散が生
じ、上記(a)の熱履歴によって生じためっき皮膜中のA
lとZnの二相分離がさらに効果的に促進される。これ
らの結果、めっき皮膜が著しく軟質化してその加工性が
顕著に改善されるものと考えられる。
化とこれに伴う加工性の顕著な改善は、上記(a)及び(b)
の熱履歴の複合的な作用によるものであり、いずれか一
方の熱履歴だけで達成するのは困難である。
いて説明する。まず、上記(a)の熱履歴については、鋼
板が溶融めっき浴を出た直後の最初の10秒間のめっき
皮膜の平均冷却速度を11℃/sec未満とすることによ
り、上述したように溶融めっき皮膜の凝固が通常の冷却
過程による凝固よりも平衡状態に近いものとなるため、
半溶融状態での拡散によってAlとZnの二相分離が促
進されることによりめっき皮膜が軟質化する。鋼板が溶
融めっき浴を出た直後の最初の10秒間での平均冷却速
度が11℃/sec以上では、凝固速度が速すぎるため溶
融めっき皮膜の凝固が非平衡状態で進行し、半溶融状態
である時間が短いためAlとZnの二相分離が十分に促
進されず、上記(b)の熱履歴との複合化によるめっき皮
膜の軟質化が十分に達成できない。
最初の10秒間のめっき皮膜の平均冷却速度が表面処理
鋼板の加工性に及ぼす影響を調べたもので、この結果が
得られた供試材は、いずれもめっき皮膜が上記(b)の熱
履歴を経て製造されためっき鋼板に本発明条件を満足す
る化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板である。なお、
この試験における加工性の評価は、後述する実施例の加
工性の評価に準じて行った。図1に示されるように、鋼
板が溶融めっき浴を出た直後の最初の10秒間でのめっ
き皮膜の平均冷却速度が11℃/sec以上では、0T曲
げでの加工性の評点は2点以下である。これに対して、
めっき皮膜の平均冷却速度が11℃/sec未満では加工
性の評点は4点以上となり、加工性が格段に改善されて
いることが判る。
とするには、連続式溶融めっき設備の溶融めっき浴面か
ら溶融めっき浴を出た鋼板が最初に接触するロールまで
の間に温度調整装置を設け、この温度調整装置によりめ
っき皮膜の冷却速度を制御する必要がある。温度調整装
置としては加熱又は保熱手段を備えるとともに、必要に
応じて冷却手段を備えたものが好ましい。なお、この冷
却手段は、前記加熱又は保熱手段によってめっき皮膜の
冷却速度が制御されためっき鋼板が最初のロール(トッ
プロールなど)に接触する前にこれを冷却し、ロール表
面でのピックアップ発生を防止することなどを目的とす
るものである。温度調整装置の加熱又は保熱手段として
は、例えばインダクションヒータやガス加熱炉などを用
いることができ、また冷却手段としてはガス吹付装置な
どを用いることができる。但し、温度調整装置が有する
加熱又は保熱手段や冷却手段の方式、形状、規模等につ
いては特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記(a)の
熱履歴を付与し得るものであればよい。
(a)の熱履歴を経ためっき皮膜(溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後のめっき皮膜)を130〜300
℃、好ましくは130〜200℃の範囲の温度T(℃)
に昇温加熱し、その後、温度T(℃)から100℃まで
の平均冷却速度が上記(1)式に示すC(℃/hr)以下
を満足するように冷却することにより、或いは溶融めっ
きされためっき金属が凝固した後のめっき皮膜をその冷
却過程である130〜300℃の範囲の温度T(℃)か
ら100℃までの平均冷却速度が上記(1)式に示すC
(℃/hr)以下を満足するように冷却することによ
り、上述したようにめっき皮膜に蓄積された歪が開放さ
れるとともに、めっき皮膜中で固体拡散が生じ、上記
(a)の熱履歴によって生じためっき皮膜中のAlとZn
の二相分離がさらに効果的に促進される。そして、この
ような熱履歴と上記(a)の熱履歴の複合的な作用により
めっき皮膜が著しく軟質化し、その加工性が顕著に改善
される。
皮膜の昇温加熱温度Tが130℃未満では上記のような
作用が十分に得られず、一方、昇温加熱温度Tが300
℃超では下地鋼板とめっき皮膜との界面での合金相の成
長を促進させるため、却って加工性に悪影響を及ぼす。
またこのような観点から、加工性の改善にとってより好
ましい昇温加熱温度Tの上限は200℃である。また、
溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過程で
ある130〜300℃の範囲の温度T(℃)から上記
(b)の熱履歴が付与される条件で冷却を行う場合につい
ても、温度Tが130℃未満では上記のような作用が十
分に得られない。
が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した際の、めっき皮
膜の昇温加熱温度が表面処理鋼板の加工性に及ぼす影響
を調べたもので、この結果が得られた供試材は、いずれ
も昇温加熱温度から100℃までのめっき皮膜の平均冷
却速度が上記(b)の熱履歴の条件内であり、且つめっき
皮膜が上記(a)の熱履歴を経て製造されためっき鋼板
に、本発明条件を満足する化成処理皮膜を形成した表面
処理鋼板である。なお、この試験における加工性の評価
は、後述する実施例の加工性の評価に準じて行った。
金属が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した際の、めっ
き皮膜の平均冷却速度(昇温加熱温度から100℃まで
の平均冷却速度)が表面処理鋼板の加工性に及ぼす影響
を調べたもので、この結果が得られた供試材は、いずれ
もめっき皮膜の昇温加熱温度が上記(b)の熱履歴の条件
内であり、且つめっき皮膜が上記(a)の熱履歴を経て製
造されためっき鋼板に化成処理皮膜を形成した表面処理
鋼板である。なお、この試験における加工性の評価は、
後述する実施例の加工性の評価に準じて行った。
膜の昇温加熱温度が130〜300℃の範囲では0T曲
げの加工性の評点が4点以上であり、また好ましい条件
である130〜200℃の範囲では加工性の評点は4点
〜5点となっている。これに対して昇温加熱温度が13
0〜300℃の範囲外では加工性の評点は3点しか得ら
れていない。また、昇温加熱温度から100℃までの平
均冷却速度と上記(1)式の“C”との差が零〜マイナス
(本発明範囲内)の場合には0T曲げの加工性の評点は
4〜5点であるのに対し、その差がプラス(本発明範囲
外)の場合には加工性の評点は3点しか得られていな
い。
とするには、連続式溶融めっき設備内に或いは同設備外
にめっき皮膜を熱処理又は保熱するための加熱又は保熱
装置を設け、所定の熱処理又は保熱を行う。例えば、連
続式溶融めっき設備内に加熱機構(例えば、インダクシ
ョンヒーター、ガス加熱炉、熱風炉など)を設けてイン
ラインで連続加熱して行ってもよいし、また、コイルに
巻取った後にオフラインでバッチ加熱して行ってもよ
い。また、めっきライン外の連続処理設備において加熱
機構(例えば、インダクションヒーター、ガス加熱炉、
熱風炉など)により連続加熱して行ってもよい。さらに
は、めっきライン内や上記連続処理設備で連続加熱され
ためっき鋼板をコイルに巻き取った後に適当な保熱又は
加熱保持を行ってもよい。また、溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後の冷却過程においてめっき皮膜を保
熱して徐冷できるような保熱装置を設けてもよい。但
し、加熱又は保熱装置の方式、形状、規模等については
特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記(b)の熱履歴
を与え得るものであればよい。
造方法について説明する。本発明の製造方法は、連続式
溶融めっき設備などで製造されるめっき皮膜中のAl含
有量が20〜95mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板
を下地鋼板とし、その表面に化成処理皮膜を形成した表
面処理鋼板の製造方法であり、溶融めっき浴を出た鋼板
のめっき皮膜に対して、少なくとも下記(a)及び(b)の熱
履歴を付与する工程と、めっき鋼板の表面に特定の化成
処理皮膜を形成させる工程とを有する。 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷
却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、
又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1)
熱履歴のうち、(a)の熱履歴の付与は、めっき直後のめ
っき皮膜の冷却条件を制御することによりなされる。こ
の(a)の熱履歴をめっき皮膜に付与するには、上述した
ように連続式溶融めっき設備の溶融めっき浴面から溶融
めっき浴を出た鋼板が最初に接触するロールまでの間に
温度調整装置を設け、この温度調整装置によりめっき皮
膜の冷却速度を制御する必要がある。上述したように温
度調整装置としては加熱又は保熱手段を備えるととも
に、必要に応じて冷却手段を備えたものが好ましいが、
加熱又は保熱手段や冷却手段の方式、形状、規模等につ
いては特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記(a)の
熱履歴を与え得るものであればよい。温度調整装置の加
熱又は保熱手段としては、例えばインダクションヒータ
やガス加熱炉などを用いることができ、また冷却手段と
してはガス吹付装置などを用いることができる。
っきされためっき金属が凝固した後のめっき鋼板に対し
て特定の熱処理を施すか、或いは溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後のめっき皮膜の冷却を保熱などによ
って制御することによりなされる。本発明の製造方法で
はめっき鋼板のめっき皮膜面に特定の化成処理皮膜を形
成させるが、めっき皮膜に上記(b)の熱履歴を付与する
ための熱処理は、化成処理皮膜の形成前、化成処理
皮膜の乾燥工程中、化成処理皮膜の形成後(処理液の
塗布及びその乾燥工程による皮膜の形成後)、のいずれ
の段階で行ってもよい。また、これらのうちの2つ以上
の段階で行ってもよい。
履歴の付与は、下記(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの
段階で行うことができる。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
程 なお、熱処理を行う上記方式うち、の方式は熱処理工
程と化成処理工程の各条件をそれぞれ独立に最適化でき
るという利点があり、また、,の方式は連続式溶融
めっき設備内で全ての処理を行うのに適している。ま
た、の方式は化成処理の乾燥工程における加熱を利用
して熱処理を行うので、特に経済性に優れている。
又は保熱は、連続式溶融めっき設備内に或いは同設備外
に設けられた加熱又は保熱装置などにより行う。連続式
溶融めっき設備内に加熱機構(例えば、インダクション
ヒーター、熱風炉など)を設けてインラインで連続加熱
して行ってもよいし、また、コイルに巻取った後にオフ
ラインでバッチ加熱して行ってもよい。また、めっきラ
イン外の連続処理設備において加熱機構(例えば、イン
ダクションヒーター、熱風炉など)により連続加熱して
行ってもよい。さらには、めっきライン内や上記連続処
理設備で連続加熱されためっき鋼板をコイルに巻き取っ
た後に適当な保熱又は加熱保持を行ってもよい。また、
溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過程に
おいてめっき皮膜を保熱して徐冷できるような保熱装置
を設けてもよい。但し、加熱又は保熱装置の方式、形
状、規模等については特別な制限はなく、要はめっき皮
膜に上記(b)の熱履歴を与え得るものであればよい。な
お、製造される溶融Al−Zn系めっき鋼板の好ましい
めっき組成、めっき付着量、上記(a)及び(b)の熱履歴の
限定理由及び得られる作用効果などは先に述べた通りで
ある。
クロメート処理を施して、金属クロム換算のCr付着量
が0.1mg/m2以上100mg/m2未満、好まし
くは5mg/m2以上40mg/m2以下のクロメート
皮膜を形成させ、次いで、その上層に、熱硬化性有機樹
脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μm、好ましく
は0.5〜3μmの有機樹脂皮膜を形成させる。上記ク
ロメート処理では、必要に応じてシリカ等の添加剤が添
加されたクロメート処理液をめっき鋼板面に塗布し、通
常、水洗することなく80〜300℃で加熱乾燥する。
上記有機樹脂皮膜を形成するには、熱硬化性有機樹脂を
皮膜形成樹脂とし、必要に応じて他の添加剤を配合した
樹脂溶液を塗布し、加熱処理することにより樹脂を硬化
させ、有機樹脂皮膜を形成させる。この化成処理皮膜の
皮膜構成の限定理由、化成処理皮膜を形成する工程と上
記(b)の熱履歴を付与する工程との前後関係などは、先
に述べた通りである。
0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55%
Al−1.5%Si−Znめっき浴を用いて溶融めっき
を行った。ラインスピードは160m/secとし、片
面めっき付着量は75g/m2とした。
っき皮膜に対して鋼板がめっき浴を出た直後の10秒間
の平均冷却速度を15℃/secとする熱履歴を付与す
るとともに、めっき皮膜面に化成処理を施した。クロメ
ート処理では、乾式シリカ、リン酸及びクロム酸を乾式
シリカ:リン酸:Cr=1:1:1の割合で混合し、C
r還元率を40%に調整した処理液をめっき鋼板面に塗
布し、板温80℃で乾燥することによりクロメート皮膜
を形成した。このクロメート皮膜面に形成する有機樹脂
皮膜の皮膜形成樹脂としては下記のものを用いた。 (a) 熱硬化性樹脂(主剤樹脂:ポリエステルポリオール
樹脂、硬化剤:ジイソシアネート系硬化剤) (b) 熱硬化性樹脂(主剤樹脂:アクリルポリオール樹
脂、硬化剤:メラミン樹脂 (c) 熱可塑性樹脂(MMA−MA系アクリルエマルジョ
ン樹脂)
溶液を、ロールコーターにてクロメート処理面に塗布
し、板温160℃で加熱乾燥した。このようにして製造
した表面処理鋼板について、以下の方法により加工部耐
食性及びロールフォーミング性を評価した。その結果
を、化成処理条件とともに表1に示す。
して500時間経過後の曲げ部からの錆発生状態を観察
し、以下の基準で評価した。 ◎:異常無し(錆発生面積率10%未満) ○:軽度の白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率10%
以上25%未満) △:白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率25%以上8
0%未満) ×:著しい白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率80%
以上)
ビード試験機を用いて金型温度120℃、ビード押付け
荷重100kgで先端5mmRのビードを押し付けた状
態で摺動試験を行い、引抜き後の外観を目視にて観察
し、以下の基準で評価した。 ◎:黒化面積が10%未満であり、且つ金型への皮膜剥
離物の付着なし ○:黒化面積が10%以上25%未満であるか、又は金
型への皮膜剥離物の付着が僅かにあり △:黒化面積が25%以上50%未満であるか、又は金
型への皮膜剥離物の著しい付着あり ×:黒化面積が50%以上であるか、又はめっき鋼板表
面に著しい“かじり”あり
厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55
%Al−1.5%Si−Znめっき浴(表2〜表5のN
o.1〜No.11、No.14〜No.24)、40
%Al−1.0%Si−Znめっき浴(表2及び表3の
No.12)及び70%Al−1.8%Si−Znめっ
き浴(表2及び表3のNo.13)を用いて溶融めっき
を行った。ラインスピードは160m/secとし、片面
めっき付着量は75g/m2とした。
皮膜に表2及び表4に示す熱履歴を付与するとともに、
めっき皮膜面に化成処理皮膜を形成した。クロメート処
理では、乾式シリカ、リン酸及びクロム酸を乾式シリ
カ:リン酸:Cr=1:1:1の割合で混合し、Cr還
元率を40%に調整した処理液をめっき鋼板面に塗布
し、板温80℃で乾燥することによりクロメート皮膜を
形成した。このクロメート皮膜面に形成する有機樹脂皮
膜の有機樹脂としては実施例1と同じものを用い、上記
いずれかの有機樹脂を含む溶剤型樹脂溶液を、ロールコ
ーターにてクロメート処理面に塗布し、板温160℃で
加熱乾燥した。このようにして製造した表面処理鋼板に
ついて、実施例1と同じ方法によりロールフォーミング
性を評価するとともに、以下の方法により加工性(耐ク
ラック性)及び加工部耐食性を評価した。その結果を、
めっき皮膜に付与した熱履歴、化成処理条件とともに表
2〜表5に示す。
ックを観察し、以下の基準で評価した。 5:20倍のルーペで観察してもクラックは認められな
い。 4:目視で観察するとクラックは認められないが、20
倍のルーペで観察するとクラックが認められる。 3:目視で観察してクラックが認められる。 2:目視で観察して大きく開口したクラックが認められ
る。 1:剥離を伴うクラックが生じている。
装入して50サイクル経過後の曲げ部からの錆発生状態
を観察し、以下の基準で評価した。なお、複合サイクル
試験の1サイクルは、[30℃、5%NaCl噴霧、
0.5時間]→[30℃湿潤、1.5時間]→[乾燥
(50℃、2時間)]→[乾燥(30℃、2時間)]と
した。 ◎:異常無し(錆発生面積率10%未満) ○:軽度の白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率10%
以上25%未満) △:白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率25%以上8
0%未満) ×:著しい白錆、黒錆の発生あり(錆発生面積率80%
以上)
厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55
%Al−1.5%Si−Znめっき浴を用いて溶融めっ
きを行った。ラインスピードは160m/secとし、
片面めっき付着量は75g/m2とした。
皮膜に表6に示す熱履歴を付与するとともに、めっき皮
膜面に化成処理を施した。化成処理条件は、実施例2と
同様のクロメート処理を施してCr付着量(金属クロム
換算)が20mg/m2のクロメート皮膜を形成した
後、主剤樹脂であるポリエステルポリオール樹脂100
重量部に対して硬化剤であるジイソシアネート樹脂を1
0重量部添加した溶剤型樹脂液をロールコーターにてク
ロメート処理面に塗布し、板温160℃で加熱乾燥して
膜厚が2μmの有機樹脂皮膜を形成した。このようにし
て製造した表面処理鋼板について、実施例2と同じ方法
により加工性(耐クラック性)及び加工部耐食性を評価
した。その結果を、めっき皮膜に付与した熱履歴ととも
に表6に示す。
発明の表面処理鋼板は、めっき皮膜中のAl含有量が2
0〜95mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板を下地鋼
板とする表面処理鋼板でありながら極めて優れた加工部
耐食性とロールフォーミング性を有する。また、本願の
請求項2及び請求項3に係る発明の表面処理鋼板は、優
れた加工性とロールフォーミング性を有するとともに、
特に優れた加工部耐食性を有する。また、本発明の製造
方法によれば、このような表面処理鋼板を安定して且つ
高い生産性で製造することができる。
間のめっき皮膜の平均冷却速度が表面処理鋼板の加工性
に及ぼす影響を示すグラフ
固した後のめっき鋼板を熱処理した場合において、めっ
き皮膜の昇温加熱温度が表面処理鋼板の加工性に及ぼす
影響を示すグラフ、図2(b)は、溶融めっきされためっ
き金属が凝固した後のめっき鋼板を熱処理した場合にお
いて、めっき皮膜の平均冷却速度(昇温加熱温度から1
00℃までの平均冷却速度)が表面処理鋼板の加工性に
及ぼす影響を示すグラフ
Claims (8)
- 【請求項1】 めっき皮膜中のAl含有量が20〜95
mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理
皮膜を有する表面処理鋼板であって、 前記化成処理皮膜が、めっき皮膜面に形成される金属ク
ロム換算のCr付着量が0.1mg/m2以上100m
g/m2未満のクロメート皮膜と、その上層に形成され
る皮膜であって、熱硬化性有機樹脂を皮膜形成樹脂とす
る膜厚0.1〜5μmの有機樹脂皮膜とからなることを
特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼
板。 - 【請求項2】 めっき皮膜が少なくとも下記(a)及び(b)
の熱履歴を経て得られためっき皮膜であることを特徴と
する請求項1に記載の加工性と加工部耐食性に優れた表
面処理鋼板。 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷
却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、 又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1) - 【請求項3】 (b)の熱履歴の温度T(℃)が130〜
200℃の範囲であることを特徴とする請求項1又は2
に記載の加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の表面処理鋼
板の表面に単層又は複層の塗膜を形成したことを特徴と
する塗装鋼板。 - 【請求項5】 めっき皮膜中のAl含有量が20〜95
mass%の溶融Al−Zn系めっき鋼板の表面に化成処理
皮膜を有する表面処理鋼板の製造方法であって、 溶融めっき浴を出た鋼板のめっき皮膜に対して、少なく
とも下記(a)及び(b)の熱履歴を付与する工程と、 (a) 鋼板が溶融めっき浴を出た直後の10秒間の平均冷
却速度が11℃/sec未満である熱履歴 (b) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後、130
〜300℃の範囲の温度T(℃)に昇温加熱され、その
後、温度T(℃)から100℃までの平均冷却速度が下
記(1)式に示すC(℃/hr)以下を満足する熱履歴、 又は/及び、溶融めっきされためっき金属が凝固した後
の130〜300℃の範囲の温度T(℃)から100℃
までの平均冷却速度が下記(1)式に示すC(℃/hr)
以下を満足する熱履歴 C=(T−100)/2 …… (1) めっき鋼板の表面に、金属クロム換算のCr付着量が
0.1mg/m2以上100mg/m2未満のクロメー
ト皮膜を形成させ、次いでその上層に、熱硬化性有機樹
脂を皮膜形成樹脂とする膜厚0.1〜5μmの有機樹脂
皮膜を形成させる、化成処理皮膜の形成工程とを有する
ことを特徴とする加工性と加工部耐食性に優れた表面処
理鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 (b)の熱履歴の温度T(℃)が130〜
200℃の範囲であることを特徴とする請求項5に記載
の加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方
法。 - 【請求項7】 めっき皮膜に対する(b)の熱履歴の付与
を、下記(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの段階で行う
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の加工性と加工
部耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 (1) 化成処理皮膜の形成前 (2) 化成処理皮膜の乾燥工程中 (3) 化成処理皮膜の形成後 (4) 溶融めっきされためっき金属が凝固した後の冷却過
程 - 【請求項8】 請求項5、6又は7に記載の製造方法の
工程に加えて、さらに、化成処理皮膜面に1コート又は
2コート以上の塗装を施す工程を有することを特徴とす
る塗装鋼板の製造方法。
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