JP2002275065A - 水溶性プロドラッグおよびその製造法 - Google Patents

水溶性プロドラッグおよびその製造法

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JP2002275065A
JP2002275065A JP2001079979A JP2001079979A JP2002275065A JP 2002275065 A JP2002275065 A JP 2002275065A JP 2001079979 A JP2001079979 A JP 2001079979A JP 2001079979 A JP2001079979 A JP 2001079979A JP 2002275065 A JP2002275065 A JP 2002275065A
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water
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mmol
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Yoshiaki Kiso
良明 木曽
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Shiono Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難溶性薬物について、安全性が高く、また、
構造的に簡単な物質を用いて水溶性プロドラッグを製造
する手段を提供すること。 【解決手段】 少なくとも一つの水酸基を有する難溶性
薬物の水酸基を、次の式(I)、 【化1】 [式中、Rは水素原子または次の式(II)、 【化2】 (ここにおいて、R'は、カルボキシル基、アミノカル
ボニル基、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し、n
は1ないし3の数を示す)を示し、Xは置換されていて
も良いアルキレン基を示す]で表される基で修飾してな
る水溶性プロドラッグおよびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難溶性薬物の水溶
性プロドラッグおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】薬物には、種々の水溶性のものが存在す
るが、水に容易に溶解しない難溶性薬物は、一般に生体
内での吸収性が悪く、また体内動態に悪影響を及ぼすた
め、薬物開発上大きな障害となる。従って、その薬理作
用面からは有用であると判断されても難溶性であること
が障害になり、実用化されていない薬物も多い。
【0003】従来、このような薬物について、生体内で
の吸収性を挙げるために、脂肪乳剤やマイクロカプセル
化等製剤面での工夫が行われていたが、十分に満足のゆ
くものとはいえなかった。
【0004】また、難溶性薬物について、簡単に水溶性
を高めることのできるプロドラッグ化技術が開発されれ
ば、従来、低い水溶性が隘路となって実用化できなかっ
た薬物についても医薬品として開発される可能性がでて
くるため、そのような技術が強く求められているが、現
時点でのプロドラッグ化により水溶性を高める技術は、
未だ十分とはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、このよう
な現状においてなされたものであり、難溶性薬物につい
て、安全性が高く、また、構造的に簡単な物質を用いて
水溶性プロドラッグを製造する手段の提供をその課題と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以前、抗エ
イズ薬である逆転写酵素阻害剤とHIVプロテアーゼ阻
害剤を、生体内で自発的に再生可能なリンカーを用いて
結合させたダブルドラッグを報告した。このリンカーは
ペプチド合成上の副反応であるイミド形成を利用してお
り、酸性下では安定であるが、生理的条件では構造によ
って速度に差はあるものの自発的な分子内環化反応によ
り親化合物を放出する性質を示す。
【0007】本発明者らは、更に、このリンカーを水溶
性向上の目的に使用できるのではないかと考え、モデル
化合物として、本発明者らが開発した難水溶性HIVプ
ロテアーゼ阻害剤KNI−727を選択し、種々のプロ
ドラッグを合成し、その水溶性と安定性を調べた。そし
てその結果、特定の基を難溶性薬物の水酸基に結合させ
ることにより、従来の薬物に比べ、飛躍的に水溶性を高
めることが可能となるだけでなく、当該基の選択によ
り、溶解性や親化合物の再生速度を調整することも可能
であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち本発明は、少なくとも一つの水酸
基を有する難溶性薬物の水酸基を、次の式(I)、
【化8】 [式中、Rは水素原子または次の式(II)、
【化9】 (ここにおいて、R'は、カルボキシル基、アミノカル
ボニル基、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し、n
は1ないし3の数を示す)を示し、Xは置換されていて
も良いアルキレン基を示す]で表される基で修飾してな
る水溶性プロドラッグを提供するものである。
【0009】また本発明は、次の式(III)
【化10】 (式中、Aは1個の水酸基以外の難溶性薬物構造を示
す)で表される難溶性薬物に、次の式(IV)
【化11】 (式中、AおよびXは前記した意味を有する)で表され
る酸無水物を作用させて式(V)
【化12】 (式中、AおよびX前記した意味を有する)で表される
ハーフエステルとし、次いで、当該ハーフエステルの水
酸基に次の式(VI)
【化13】 (式中、A、XおよびRは前記した意味を有する)で表
されるアミン類を反応させることを特徴とする、式(VI
I)
【化14】 (式中、A、XおよびRは前記した意味を有する)で表
される水溶性プロドラッグの製造法を提供するものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の水溶性プロドラッグは、
例えば次の式に従い、親化合物である難溶性薬物(I)
の水酸基に、式(IV)で表される酸無水物を反応させて
ハーフエステル(V)とし、次いで、このハーフエステ
ル(V)の水酸基に式(VI)で表されるアミン類を作用
させることにより製造される。
【0011】
【化15】
【0012】本発明の水溶性プロドラッグの親化合物
(III)として利用される薬物は、水に対し難溶性であ
り、その構造中に少なくとも一つの水酸基を有するもの
であれば、特に制約はない。具体的には、サキナビル、
リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレ
ナビルなどのHIVプロテアーゼ阻害剤、レニンインヒ
ビター、サイクロスポリンなどの環状ペプチド、プレド
ニゾロンなどのコルチコステロイド、タキソールなどの
抗癌剤、クロラムフェニコール、クリインダマイシンな
どの抗生物質、ビタミンK、アロプリノール、メトロニ
ダゾール等の薬物を親化合物として例示することができ
る。
【0013】本発明の親化合物(III)と、酸無水物(I
V)の反応は、例えば、トリエチルアミンやジシクロヘ
キシルアミンなどの塩基あるいはジメチルアミノピリジ
ンなどの塩基性触媒の存在下で行われる。この反応にお
いて、親化合物1モルに対し、酸無水物(IV)は、1か
ら3モル程度使用すれば良く、また、この反応は、TH
F、エーテル、DMF、クロロホルム、酢酸エチル等の
溶媒の存在下、4から50℃程度の温度で8から24時
間程度行えばよい。
【0014】上記反応により得られたハーフエステル
(V)と、アミン類(VI)との反応は、公知の縮合反応
により実施されるが、好ましい方法の一つとしては、E
DC−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール法(HOBt
法)を挙げることができる。この方法による場合、反応
は、ハーフエステル1モルに対し、アミン類(VI)を、
1から2.5モル程度使用し、DMFやクロロホルム等
の溶媒中、20から50℃程度の温度で8から24時間
程度行えばよい。
【0015】更に、かくして得られた水溶性プロドラッ
グ(VII)は必要により、種々の精製手段により精製し
た後、必要により鉱酸により酸付加物としたり、凍結乾
燥した粉末とすることができる。
【0016】以上のようにして得られる本発明の水溶性
プロドラッグ(VII)は、後記実施例で示すように、親
化合物(III)に比べ、5から10000倍の水溶性を
有するものである。従って、従来水溶性が低いため、利
用されなかった薬物について利用の可能性を高めること
ができるものである。
【0017】また、使用する酸無水物(IV)の基Xと、
アミン類(V)の基Rの相違により、同じ化合物につい
て2000倍という水溶性の差を生じることから、水溶
性調整の手段としても使用できるものである。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるもの
ではない。
【0019】実 施 例 1 (R)−N−tert−ブチル−3−[(2S,3S)
−3−(2,6−ジメチルフェノキシ)アミノ−2−サ
クシニルオキシ−4−フェノキシブタノイル]−5,5
−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミ
ドの調製:下記式(VIII)で表されるKNI−727
(Mimoto,T.et al.J.Med.Chem.1999,42,1789-1802)を
試験化合物とし、この化合物の水溶性プロドラッグの調
製を行った。すなわち、氷浴下、KNI−727 50
0mg(0.90mmol)のTHF−エーテル(1:
2)溶液に無水コハク酸 108mg(1.08mmo
l)およびDCHA 0.215ml(1.08mmo
l)を加え、室温で18時間攪拌した。
【0020】反応液を減圧濃縮後、残渣を酢酸エチルに
溶解させ、有機層を10%クエン酸と飽和食塩水でそれ
ぞれ3回ずつ洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し
た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CHC
3 −MeOH)で精製し、最後にn−ヘキサンで再結
晶して表題化合物を白色粉末として443mg(収率:
75%)得た。
【0021】融点:108−112℃1 HNMR(300MHz,DMSO−d6 )δ:8.2
3(d,J=8.6Hz,1H),7.64(s,1H),7.
38(d,J=6.8Hz,2H),7.28−7.18
(m,3H),7.00(d,J=7.7Hz,2H),6.9
4−6.89(m,1H),5.34(d,J=3.9Hz,
1H),5.08(d,J=8.6Hz、1H),4.90
(d,J=8.6Hz,1H),4.52(s,1H),4.5
0(brm,1H),4.21(d,J=14.1Hz,l
H),3.99(d,J=14.1Hz、1H),2.98−
2.89(m,2H),2.75−2.55(m,4H, pa
r−tially covered by DMSO
peaks),2.14(s,6H),1.47(s,3
H),1.40(s,3H),1.25(s,9H) MS(FAB)m/z=656[M+H]+ 元素分析(C344135Sとして): 計算値 C,62.27;H,6.92;N,6.41 実測値 C,61.98;H,6.94;N,6.37
【0022】
【化16】
【0023】
【化17】
【0024】実 施 例 2 (R)−N−tert−ブチル−3−[(2S,3S)
−3−(2,6−ジメチルフェノキシ)アミノ−2−グ
ルタリルオキシ−4−フェノキシブタノイル]−5,5
−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミ
ドの調製:無水コハク酸を無水グルタル酸に代える以外
は実施例1と同様にして表題化合物を白色粉末として得
た(収率:60%)。
【0025】融点:112−113℃1 HNMR(300MHz,DMSO−d6 )δ:8.1
2(d,J=9.0Hz,lH),7.66(s,1H),7.
35(d,J=6.6Hz,2H),7.25−7.15
(m,3H),7.01−6.89(m,3H),5.36−
5.33(m,1H),4.97(d,J=8.7Hz,1
H),4.93(d,J=8.7Hz,1H),4.52(s,
1H),4.48(brm,1H),4.18(d,J=1
4.1Hz,1H),3.97(d,J=14.1Hz,1
H),2.91−2.88(m,2H),2.77−2.74
(m,2H),2.30−2.20(m,4H),2.13
(s,6H),1.48(s,3H),1.46(s,3H),
1.26(s,9H) HRMS(FAB):m/z 670.3170、[M+
H]+ として(C354838Sとしての計算値は67
0.3162)
【0026】実 施 例 3 (R)−N−tert−ブチル−3−[(2S,3S)
−3−(2,6−ジメチルフェノキシ)アミノ−2−ジ
メチルサクシニルオキシ−4−フェノキシブタノイル]
−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボ
キサミドの調製:無水コハク酸を2,2−ジメチルコハ
ク酸無水物に代える以外は実施例1と同様にして表題化
合物200mgを白色粉末として得た(収率:54.2
%)。
【0027】 MS(TOF):m/z=684[M+H]+
【0028】実 施 例 4 氷浴下、KNI−727 200mg(0.36mmo
l)のDMF溶液にコハク酸 50.6mg(0.43m
mol)、EDC・HCl 89.7mg(0.47mm
ol)およびDMAP 65.9mg(0.54mmo
l)を加え、室温で16時間攪拌した。反応溶液を減圧
濃縮した後、残渣を酢酸エチルに溶解させ有機層を飽和
食塩水で3回洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮後、
n−ヘキサンを加えて沈殿させ白色粉末を得た。最後に
分取逆層HPLCで精製、凍結乾燥し、式(IX)中、X
=−CH2CH2−、R=Hである化合物(本発明化合物
1)20.0mgを白色の無晶形として得た(収率:2
1.6%)。
【0029】 MS(TOF):m/z=667[M+Na]+
【0030】実 施 例 5 氷浴下、実施例1で得た本発明化合物1 120mg
(0.18mmol)のDMF溶液にGly−OBu・
HCl 30.7mg(0.18mmol)、トリエチル
アミン 61.0μL(0.44mmol)、HOBt 5
0.6mg(0.37mmol)およびBOP 113.3
mg(0.3mmol)を加え、室温で16時間攪拌し
た。
【0031】反応液を減圧濃縮した後、残渣を酢酸エチ
ルに溶解させ有機層を1N塩酸と飽和食塩水でそれぞれ
3回ずつ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濃
縮した後、シリカゲルクロマトグラフィ(CHCl3
MeOH)で精製しtert−ブチルエステル 140
mg(0.18mmol)を得た。これに氷浴下、トリ
フルオロ酢酸 280μL(3.64mmol)を加え、
室温で1時間攪拌後、反応液を減圧濃縮した。残渣を酢
酸エチルに溶かし有機層を飽和食塩水で3回洗浄、硫酸
ナトリウムで乾燥後、濃縮しn−ヘキサンで沈殿させて
式(IX)中、X=X=−CH2CH2−、R=−CH2
OOHである化合物(本発明化合物2)86.5mgを
白色粉末として得た(収率:66.4%)。
【0032】 MS(TOF):m/z=713[M+H]+
【0033】実 施 例 6 Gly−OBu・HClをβ−Ala−OBu・HCl
に代える以外は実施例5と同様にして式(IX)中、X=
−CH2CH2−、R=−(CH22COOHである化合
物(本発明化合物3)44.0mgを得た(収率:60.
1%)。
【0034】 MS(TOF):m/z=749[M+Na]
【0035】実 施 例 7 氷浴下、実施例1で得た本発明化合物1 100mg
(0.15mmol)のDMF溶液にGly−NH2・H
Cl 20.2mg(0.18mmol)とトリエチルア
ミン 25.4μL(0.18mmol)、HOBt 2
8.0mg(0.18mmol)およびEDC・HCl
38mg(0.20mmol)を加え、室温で16時間
攪拌した。
【0036】反応液を減圧濃縮した後、残渣を酢酸エチ
ルに溶解させ有機層を10%クエン酸と飽和食塩水でそ
れぞれ3回ずつ洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し
n−ヘキサンで沈殿させて白色粉末を得た。最後に分取
逆層HPLCで精製、凍結乾燥し、式(IX)中、X=−
CH2CH2−、R=−CH2CONH2である化合物(本
発明化合物4)27.5mgを白色の無晶形として得た
(収率:25.5%)。
【0037】 MS(FAB):m/z=712[M+H]+
【0038】実 施 例 8 氷浴下、実施例1で得た本発明化合物1 100mg
(0.15mmol)のDMF溶液にN−Boc−エチ
レンジアミン 31.0mg(0.19mmol)、HO
Bt 32.0mg(0.21mmol)およびEDC・
HCl 37.2mg(0.19mmol)を加え、室温
で16時間攪拌した。
【0039】反応液を減圧濃縮後、残渣を酢酸エチルに
溶解させ有機層を10%クエン酸と飽和食塩水でそれぞ
れ3回ずつ洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。
残渣にアニソール 28.1μL(0.26mmol)お
よび4N HCl/ジオキサン0.9mL(3.6mmo
l)を加え室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮した後
エーテルを加えて沈殿物を得た。最後に分取逆層HPL
Cで精製、凍結乾燥し、式(IX)中、X=−CH2CH2
−、R=−(CH22NH2・HClである化合物(本
発明化合物5)35.2mgを白色の無晶形として得た
(収率:31.4%)。
【0040】 MS(FAB):m/z=698[M+H]+
【0041】実 施 例 9 実施例2で得た化合物とN−Boc−エチレンジアミン
を用いる以外は実施例8と同様にして、式(IX)中、X
=−CH2CH2CH2−、R=−(CH22NH2・HC
lである化合物(本発明化合物6)40.0mgを得た
(収率:40%)。
【0042】 MS(FAB):m/z=712[M+H]+
【0043】実 施 例 10 実施例3で得た化合物 120mg(0.17mmol)
のDMF溶液にN−Bocエチレンジアミン 33.1m
g(0.21mmol)、HOBt 31.6mg(0.2
1mmol)およびEDC・HCl 42.9mg(0.
22mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。
【0044】反応溶液を減圧濃縮した後、残渣を酢酸エ
チルに溶解させ、有機層を10%クエン酸と飽和食塩水
でそれぞれ3回ずつ洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させ濃
縮した。これを分取逆層HPLCで精製、凍結乾燥した
後4N HCl/ジオキサンとアニソールで脱Boc
し、エーテルを加えて沈殿させ、式(IX)中、X=−C
2C(Me)2−、R=−(CH22NH2・HClで
ある化合物(本発明化合物7)36.4mgを白色粉末
として得た(収率:23%)。
【0045】 MS(TOF):m/z=727[M+H]+
【0046】実 施 例 11 氷浴下、実施例1で得た本発明化合物1 100mg
(0.15mmol)のDMF溶液にN,N−ジメチルエ
チレンジアミン 25.1μL(0.23mmol)、H
OBt 28.0mg(0.18mmol)およびEDC
・HCl 44.0mg(0.23mmol)を加え、室
温で16時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮した後、残
渣を酢酸エチルに溶かし有機層を10%クエン酸と飽和
食塩水でそれぞれ3回ずつ洗浄、さらに硫酸ナトリウム
で乾燥させ濃縮した。残渣を分取逆層HPLCで精製し
凍結乾燥し、式(IX)中、X=−CH2CH2−、R=−
(CH 22N(CH32・HClである化合物(本発明
化合物8)49.1mgを白色の無晶形として得た(収
率:42.2%)。
【0047】 MS(FAB):m/z=726[M+H]+
【0048】実 施 例 12 実施例1で得た化合物とベンジルアミンを用い、実施例
11と同様にして式(IX)中、X=−CH2CH2−、R
=−CH265−である化合物(本発明化合物9)4
3mgを得た(収率:55.5%)。
【0049】 MS(TOF):m/z=767[M+Na]+
【0050】実 施 例 5 水溶性プロドラッグの溶解性および安定性試験 実施例5から12で調製した、KNI−727の水溶性
プロドラッグについて、水溶性およびリン酸緩衝食塩水
(PBS;pH7.4)中での安定性を調べた。
【0051】このうち水溶性は、各プロドラッグを水に
懸濁させてボルテックスミキサーで攪拌し、さらに超音
波処理(15分,25℃)をすることにより得た懸濁液
をメンブランフィルター(0.45μm)で濾過して飽
和溶液を調製し、この濃度をHPLCを用いて定量する
ことにより溶解度を算出した。
【0052】また安定性は、各水溶性プロドラッグを
0.5mMのDMDO溶液とし、その100μLを10
mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH7.4)に添
加し、37℃でインキュベートした後、この溶液を、経
時的にサンプリングし、直接、逆相HPLCで分析した
ピークエリアから薬物濃度を算出した。なお、PBSは
市販の10倍濃縮液を購入し希釈して用いた。また、H
PLC分析は、C18カラムとしてYMC AM−30
2(4.6×150mm)を用い、0.1%TFAとアセ
トニトリルの直線濃度勾配(flow rate:0.9
mL/min)、UV230nmにて分析、定量し、t
1/2を算出した。この結果を表1に示す。
【0053】( 結 果 )
【表1】
【0054】この結果から、すべての水溶性プロドラッ
グは、親化合物に比べ溶解性が向上していた。なかでも
塩酸基を形成している本発明化合物4〜7では、水溶性
は親化合物に比べ3,800から11,000倍と顕著に
上昇した。また、本発明化合物1〜3では、水溶性はそ
れほど上昇せず、プロドラッグの選択により水溶性を調
整しうることが示された。
【0055】また、すべての水溶性プロドラッグは、速
度に差はあるものの親化合物を完全に再生した。本発明
化合物5と比較して、Xの炭素鎖数3の本発明化合物6
では半減期が大幅に延長した一方、ジェム−メチルを導
入した本発明化合物7では半減期が1分以下へと大幅に
短縮した。また、R中にカルボキシル基を有する本発明
化合物2では半減期は非常に延長した一方で、本発明化
合物7では逆に半減期が短縮した。以上の結果から、イ
ミド形成を伴う分子内環化反応による薬物の放出が、ス
ペーサーの構造及びこれに結合させる修飾基の種類を変
えることで制御できる可能性が示された。
【0056】さらに、薬物放出速度とpHの関係を調べ
た結果、これらプロドラッグはpH2.0では安定で、
pHの上昇に従って放出速度が上昇した。
【0057】
【発明の効果】本発明の水溶性プロドラッグは、難溶性
の薬物の水溶性を著しく高めるものであるが、それと同
時に水溶性を調整することもできるものである。また、
本発明の水溶性プロドラッグは、その修飾基の選択によ
り、親化合物への変換時間を調整できるものであり、こ
の面でも特徴を有するものである。
【0058】従って本発明は、難溶性化合物の水溶性を
高めるための技術としてのみならず、医薬品の効果発現
時間を調節する手段としても利用しうるものであり、新
しい医薬の開発において有用なものである。 以 上

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの水酸基を有する難溶性
    薬物の水酸基を、次の式(I)、 【化1】 [式中、Rは水素原子または次の式(II)、 【化2】 (ここにおいて、R'は、カルボキシル基、アミノカル
    ボニル基、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し、n
    は1ないし3の数を示す)を示し、Xは置換されていて
    も良いアルキレン基を示す]で表される基で修飾してな
    る水溶性プロドラッグ。
  2. 【請求項2】 次の式(III) 【化3】 (式中、Aは1個の水酸基以外の難溶性薬物構造を示
    す)で表される難溶性薬物に、次の式(IV) 【化4】 (式中、AおよびXは前記した意味を有する)で表され
    る酸無水物を作用させて式(V) 【化5】 (式中、AおよびX前記した意味を有する)で表される
    ハーフエステルとし、次いで、当該ハーフエステルの水
    酸基に次の式(VI) 【化6】 (式中、A、XおよびRは前記した意味を有する)で表
    されるアミン類を反応させることを特徴とする、式(VI
    I) 【化7】 (式中、A、XおよびRは前記した意味を有する)で表
    される水溶性プロドラッグの製造法。
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