JP2002267646A - クロマトグラフのピーク検出方法及びクロマトグラフ装置 - Google Patents

クロマトグラフのピーク検出方法及びクロマトグラフ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続測定に際し、測定対象成分を高精度に、
短時間でかつ安価に測定することを可能とするクロマト
グラフのピーク検出方法を得る。 【解決手段】 クロマトグラフ装置を用いた連続測定に
際し、測定対象成分のピークを検出した際に得られる該
測定対象成分の保持時間データを、次回以降の測定に際
し、制御手段としてのCPUを有する制御部7におい
て、参照データとして測定対象成分のピークの検出に利
用する、クロマトグラフのピーク検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロマトグラフの
ピーク検出方法及びクロマトグラフ装置に関し、より詳
細には、連続測定に際しての保持時間データの更新方法
が改良されたクロマトグラフのピーク検出方法及びクロ
マトグラフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クロマトグラフでは、測定条件が一定の
場合、同じ成分はクロマトグラムの同じ溶出位置に表わ
れる。適当な測定条件を選択すれば、予め成分と濃度が
既知である標準試料のクロマトグラムと、未知の測定試
料のクロマトグラムとを比較することにより、測定試料
中の特定の成分の定性や定量を行うことができる。
【0003】クロマトグラフでは、試料導入時点をスタ
ート時点(t0)とし、該スタート時点から各成分に由
来するピークの頂点までの時間が保持時間(リテンショ
ンタイム)と呼ばれている。特定の成分を検出するに際
しては、この保持時間が利用されている。
【0004】また、従来、保持時間の変動幅や他の成分
との誤認識を避けるために、クロマトグラフ装置では、
ある程度の幅を有する検出域が予め設定されており、溶
出してきたピークが該検出域内に属する場合に、すなわ
ち溶出してきたピークの保持時間が検出域内に存在する
場合に、該ピークが測定対象成分のピークであると認識
されている。
【0005】しかしながら、連続的に測定を行う場合に
は、測定環境の温度変化、クロマトグラフ装置の変動、
あるいは分離カラムの劣化などの様々な要因により、測
定対象成分の保持時間が予め設定された検出域外に現わ
れることがある。
【0006】そこで、特開平8−5625号公報には、
標準試料を流し、標準試料に基づき得られた各成分のピ
ーク保持時間を参照テーブルに書き込み、参照テーブル
を更新する方法が開示されている。すなわち、上述した
保持時間の変動に伴う問題を解決するために、標準試料
が流された際に、その都度参照テーブルを更新する方法
が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術に記載の方法では、連続測定の間に前記標準試料
を測定し、基準となる参照テーブルが更新されているた
め、以下のような問題があった。
【0008】第1に、標準試料が高価である場合、測定
コストが高くつく。第2に、標準試料を測定する分だ
け、測定時間が長くなる。第3に、標準試料が不安定な
場合には、保存条件などに特別な配慮が必要となる。
【0009】特に、糖尿病検査項目であるヘモグロビン
A1c(以下、HbA1c)をHPLC(高速液体クロ
マトグラフィー)で測定する際に、これらがより大きな
問題となる。
【0010】近年、測定施設間あるいは測定施設内にお
ける装置間における測定ばらつきを少なくするために、
標準試料による測定装置の校正が行われている。しかし
ながら、標準試料による校正は、分離カラム交換時や測
定装置のメンテナンスなどにより測定条件が変更した可
能性のある場合に実施されるのが一般的である。
【0011】これに対して、上述した先行技術に記載の
方法では、連続測定中に標準試料を測定するため、上記
測定コストの上昇及び測定時間の延長が大きな問題とな
る。また、HbA1cの測定に際し、測定時間を短縮し
ようとすると、HbA1cの前後に溶出してくる他のヘ
モグロビン成分ピークとの間隔が短くなり、誤認識の可
能性が高くなる。従って、より狭い検出域を設定しなけ
ればならない。
【0012】他方、分離カラムの劣化や溶離液の濃縮な
どによる保持時間の変動幅を考慮し、これらの変動があ
った場合でも保持時間が検出域内に収まるようにする必
要がある。従って、検出域を狭く設定した場合には、分
離カラムの劣化や溶離液の濃縮などによる影響が大きく
なるため、早めに分離カラムを変更しなければならなか
ったり、溶離液を早めに交換しなければならないという
問題があった。そのため、測定コストが高くつくことに
なる。
【0013】また、HbA1cの標準試料は一般に冷蔵
保存されている。測定の度毎に、冷蔵庫から標準試料を
取り出し測定する必要があるため、標準試料をかなりの
頻度で測定する場合、測定作業が煩雑になるという問題
もあった。さらに、測定装置の検体架設部に冷蔵機能を
備えた場合には、測定装置が高価になる。
【0014】本発明の目的は、上述した従来技術の現状
に鑑み、連続測定に際し、測定コストを高めることな
く、かつ測定時間を実質的に延長することなく、測定対
象成分を常に正確に検出することを可能とするクロマト
グラフのピーク検出方法及びクロマトグラフ装置を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、ク
ロマトグラムデータを解析し少なくとも1種の測定対象
成分の保持時間に基づいて該測定対象成分の定性あるい
は定量を行うクロマトグラフのピーク検出方法であっ
て、測定対象成分のピークを検出した際に得られる該測
定対象成分の保持時間を参照データとして次回以降の測
定に際しての測定対象成分のピークの検出に利用するこ
とを特徴とする。
【0016】本願の第2の発明は、測定対象成分の保持
時間により該測定対象成分のピークを検出して測定対象
成分の定性もしくは定量を行うクロマトグラフ装置であ
って、分離カラムと、分離カラムから流出した移動相を
測定してクロマトグラムデータを出力する検出器と、測
定対象成分の保持時間に応じた参照データを記憶してい
る記憶手段と、前記検出器から与えられたクロマトグラ
ムデータを前記参照データと比較することにより、測定
対象成分のピークを検出して出力し、かつ測定対象成分
のピークを検出した場合に該測定対象成分の保持時間に
応じたデータを前記記憶手段に与えて前記記憶手段に記
憶されている参照データを更新する制御手段とを備える
ことを特徴とする。本発明の特定の局面では、上記測定
対象成分としてヘモグロビン類が用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明ら
かにする。
【0018】図1は、本発明にかかるクロマトグラフ装
置の一実施形態の概略構成図であり、図2は制御手段と
しての制御部の詳細を示すブロック図である。本実施例
のクロマトグラフ装置1は、測定対象成分としてHbA
1cを分離するための分離カラム2を有する。分離カラ
ム2としては、従来より様々な測定試料に応じてクロマ
トグラフ装置において用いられている適宜の分離カラム
を用いることができる。分離カラム2には、移動相とし
ての溶出液3が供給される。溶出液3はポンプ4により
分離カラム2に供給される。ポンプ4と分離カラム2と
の間には、特定試料を注入するための注入器5が接続さ
れている。注入器5の近傍には、試料の存在の有無と同
時に、試料が標準試料であるか否かを検出するセンサ5
aが配置されている。センサ5aは、試料容器の存在を
検出し得る、光学式センサなど適宜のものが用いられ得
る。
【0019】他方、分離カラム2の後段には検出器6が
配置されており、検出器6は、分離カラム2から流出し
てきた溶離液を検出し、クロマトグラムデータを出力す
る。上記検出器6としては、分離カラム2から流れてき
た移動相の電気伝導度を測定する形式の検出器、あるい
は吸光度、蛍光等を測定する、適宜のクロマトグラフ装
置用検出器を用いることができる。
【0020】クロマトグラフ装置1では、制御部7によ
り、ポンプ4、注入器5及び検出器6が駆動される。制
御部7の詳細を、図2を参照して説明する。制御部7
は、制御手段としてのCPU8を有する。CPU8に
は、ポンプ駆動部9、注入器駆動部10、検出器駆動部
11及びセンサ駆動部12が電気的に接続されている。
ポンプ駆動部9、注入器駆動部10、検出器駆動部11
及びセンサ駆動部12が、それぞれ、ポンプ4、注入器
5、検出器6及びセンサ5aに電気的に接続されてい
る。ポンプ駆動部9、注入器駆動部10、検出器駆動部
11及びセンサ駆動部12は、CPU8から与えられる
指令信号により、ポンプ4、注入器5、検出器6及びセ
ンサ5aをそれぞれ動作させるように構成されている。
【0021】また、検出器駆動部11は、検出器6が出
力するクロマトグラムデータを受け取り、CPU8に与
える。他方、センサ駆動部12は、センサ5aが出力す
る試料の存在の有無に応じた信号をCPUに与える。
【0022】制御部7には、メモリ13及び入力部14
が設けられている。記憶手段としてのメモリ13は、測
定対象成分の保持時間に応じた参照データ、及び測定さ
れたクロマトグラムデータ等を記憶させるのに用いられ
る。
【0023】また、入力部14は、キーボードなどの適
宜の入力手段に接続されており、入力部14から、初期
状態において測定対象成分に応じた保持時間や検出域な
どの情報などがCPU8に与えられ、CPU8は、この
参照データをメモリ13に記憶させる。
【0024】本実施例のクロマトグラフ装置1の特徴
は、測定対象成分の検出ピークを検出した場合に、該検
出ピークに応じた保持時間データが、メモリ13に与え
られ、メモリ13に記憶されている参照データが更新さ
れるように構成されていることにあり、それによって、
温度変化、分離カラムの劣化、あるいは溶出液の濃縮等
による変動に起因する誤認識や測定ばらつきを抑制し、
高精度に測定対象成分のピークの検出を可能としたこと
にある。これを、本実施例のクロマトグラフ装置1によ
る分析方法を図3に示すフローチャートを参照して説明
することにより、明らかにする。
【0025】まず、キーボードなどの入力手段を操作し
て、入力部14から測定開始信号をCPU8に与える。
CPU8は、ポンプ駆動部9に測定開始指令信号を与
え、それによってポンプ4が駆動され、溶出液3が分離
カラム2に流される。また、CPU8は、検出器駆動部
11に測定開始信号を与え、検出器駆動部11は、該測
定開始信号に応じて、検出器6の駆動を開始する。この
状態において、CPU8が、注入器駆動部10に試料を
注入するための信号を与え、注入器5から試料が注入さ
れる(ステップS1)。
【0026】次に、分離カラム2から流出された溶出液
3が検出器6に至ると、検出器6により、クロマトグラ
ムデータが出力される。ステップS2において、このク
ロマトグラムデータが制御部7のCPU8に与えられ、
CPU8は、このクロマトグラムデータをメモリ13に
記憶させる。次にステップS3において、CPU8は、
メモリ13に記憶されているクロマトグラムデータの保
持時間を解析する。すなわち、クロマトグラムデータに
現われる複数のピークの保持時間を検出する。
【0027】ステップS4において、CPU8は、セン
サ駆動部12からの情報に基づき、標準試料であるか否
かを認識する。試料が標準試料でない場合には、ステッ
プS5において、CPU8は、クロマトグラムデータの
複数のピークのうち、測定対象成分に基づくピークを同
定する。
【0028】次に、ステップS6において、測定対象成
分であるHbA1cの検出域に同定されたクロマトグラ
ムデータ中のピークが位置しているか否かを判断し、測
定対象成分であるHbA1cが存在するか否かを判断す
る。存在する場合には、ステップS7において、該Hb
A1cの保持時間データに基づく新たな検出域データを
メモリ13にCPU8が与え、該検出域データによりメ
モリ13に予め記憶されていた参照データが書き換えら
れ更新される。また、この時に、CPU8は測定対象成
分の存在や濃度に応じた信号を図示しないプリンタなど
に出力し、検出結果を与える。
【0029】このように、メモリ13に記憶されている
参照データが、実際に測定された試料中のHbA1cの
ピークの保持時間に基づいて更新されることになる。な
お、ステップS6において、測定対象成分が存在しない
場合には、検出域の更新は行われず、後述のステップS
8の動作に移動する。
【0030】次に、ステップS8において、CPU8は
試料の有無を判断する。すなわち、注入器5の部分に試
料が用意されているか否をセンサ5aからの信号に基づ
いて判断する。試料が存在する場合には、ステップ1に
戻り、測定を連続する。試料が存在しない場合には、測
定を終了する。
【0031】なお、ステップS4において、測定試料が
標準試料と判断された場合には、ステップS9において
標準試料に基づいて初期検出域が設定され、メモリ13
に与えられる。しかる後、ステップS8において試料の
有無が再度判断される。
【0032】上記のように、本実施例のクロマトグラフ
のピーク検出方法では、具体的な測定試料を測定した際
に、測定対象成分のピークの保持時間に基づいて記憶手
段12に記憶されている参照データが書き換えられる。
従って、分離カラムが劣化したり、溶離液が濃縮したり
したとしても、常に、これらの変動状況に応じて測定対
象成分の検出域データが更新されるため、高精度に測定
対象成分の検出を行うことができる。
【0033】また、標準試料が流された場合には、自動
的に初期検出域が設定される。従って、分離カラム2の
劣化や溶離液3の濃縮による変動に影響されることな
く、常に測定対象成分であるHbA1cを高精度に測定
することができる。また、本実施例では、上記のよう
に、実際に測定される試料中の測定対象成分のピークの
保持時間に基づいて参照データが更新されるので、連続
測定に際し標準試料をほとんど流す必要がないため、測
定時間の短縮を図ることができるとともに、測定コスト
を低減することができる。
【0034】なお、上記参照データの更新方法について
は、様々な方法を用いることができる。すなわち、上記
実施例のように、1回の測定により得られたクロマトグ
ラムデータに基づいて参照データを書き換える方法の
他、それ以前の測定により得られたクロマトグラムデー
タをも用いて参照データを更新する方法などを用いるこ
とができる。このように複数回の測定により得られたク
ロマトグラムデータを用いる場合、複数回の測定により
得られた保持時間データの単純平均を用いる方法、ある
いは重み付け平均で得られた値を用いる方法などが挙げ
られる。この更新方法の具体的な例として、以下の第1
及び第2の更新方法を図4〜図9のクロマトグラムデー
タ及び下記の表1を参照して説明する。
【0035】なお、第1,第2の更新方法のいずれにお
いても、図4に示す標準試料1のクロマトグラムデー
タ、すなわち最初に標準試料を流した場合のクロマトグ
ラムデータで、初期設定検出域として、T0±R0を設
定しておく。この場合、R<R0としておく。なお、R
は、測定対象成分に応じて適宜定められる数値である。
【0036】次に、下記の表1に示す標準試料2及び未
知試料1〜4を連続的に分析する。標準試料2、未知試
料1〜4を測定した場合のクロマトグラムデータを図5
〜図9に示す。
【0037】第1の更新方法では、前2回の測定により
得られた保持時間を反映した重み付け平均を用いて、参
照データが更新される。下記の表1に示すように、標準
試料2を流すことにより、図5に示すクロマトグラムデ
ータが得られ、クロマトグラムデータでは、HbA1c
の保持時間はTSである。従って、下記の表1に示すよ
うに、更新される保持時間データとしてT1=(T0+
TS)/2がCPU8により得られ、CPU8は新たな
検出域データとしてT1±Rをメモリ13に与えて、参
照データを更新する。
【0038】従って、次の測定試料である未知試料1が
測定されると、図6に示すクロマトグラムデータが得ら
れるが、ここでは、検出域として、T1±Rが設定され
ているので、図6の保持時間U1のピークが検出域内に
属するため、HbA1cに属すると判断される。そし
て、次にCPU8により、保持時間T2=(T1+U
1)/2が求められ、更新検出域データとしてT2±R
がメモリ13に与えられる。
【0039】従って、次の未知試料2を測定し、クロマ
トグラムデータ(図7)が得られた場合、検出域はT2
±Rであり、図7の保持時間U2のピークがHbA1c
と判断される。そして、新たに更新すべき保持時間デー
タT3=(T2+U2)/2が求められ、これに基づく
更新検出域データT3±Rがメモリ13に与えられる。
【0040】次に、未知試料3を流した場合、図8に示
すクロマトグラムデータが得られる。ここで、検出域は
T3±Rと設定されており、図8から明らかなように、
この検出域にピークは存在しない。この場合、CPU8
は、検出域データを更新しない。従って、検出域はT3
±Rのままとされる。
【0041】次に、未知試料4を測定し、図9に示すク
ロマトグラムデータが得られたとする。この場合、検出
域は更新されていないのでT3±Rであり、図9の保持
時間U4のピークがこの検出域に属する。従って、保持
時間U4のピークがHbA1cと判断される。そして、
CPU8は、新たな保持時間データとして、T4=(T
3+U4)/2を計算し、かつ更新検出域データとして
T4±Rをメモリ13に与える。
【0042】このように、第1の更新方法では、前2回
の測定により得られた保持時間データを反映した重み付
け平均値を用いて更新すべき参照データが求められる。
他方、第2の更新方法は、上記実施例と同様に、1回の
測定で得られた測定対象成分のピーク保持時間に基づ
き、参照データを書き換える方法であり、下記の表1に
示す通りとなる。
【0043】
【表1】
【0044】なお、表1から明らかなように、第1,第
2の更新方法のいずれにおいても、未知試料3を測定し
た場合のように特定対象成分が検出されなかった場合に
は、参照データの更新は行わない。
【0045】上記第1,第2の更新方法は、あくまでも
本発明における保持時間データの更新方法の例にすぎ
ず、本発明においては、測定対象成分の保持時間データ
をもとに、様々な方法で参照データの更新を行ってもよ
い。すなわち、3回以上の測定により得られた保持時間
データを平均することにより参照データを得てもよい。
【0046】また、本発明においては、上記のように標
準試料を頻繁に流すことなく、具体的な測定試料に基づ
き参照データの更新が行われるが、測定時間の延長を厭
わないのであれば、連続的に未知試料を複数測定する際
に、その間に標準試料を流し、参照データを更新しても
よい。さらに、本発明は、HbA1cの測定だけでな
く、様々な成分の検出に広く用いられ得る。
【0047】
【発明の効果】本発明にかかるクロマトグラフのピーク
検出方法では、測定対象成分のピークを検出した際に得
られる該測定対象成分の保持時間データを、次回以降の
測定に際し、参照データとして測定対象成分のピークの
検出に利用する。従って、分離カラムが劣化したり、溶
離液が濃縮したりし、クロマトグラフ装置の状況が変動
した場合であっても、このような状況の下に測定された
保持時間データに基づき測定対象成分を検出するための
参照データが更新されることになるため、周囲の温度変
化、分離カラムの劣化または溶離液の濃縮等が生じた場
合であっても、高精度に測定対象成分のピークを検出す
ることができる。
【0048】しかも、測定試料を連続測定する際に上記
のように参照データの更新が行われるので、測定時間の
実質的な延長をもたらすこともなく、かつ高価な標準試
料の消費を軽減でき、測定コストの低減を図ることがで
きる。
【0049】特に、HbA1cの測定では、実際に用意
されるほとんどの測定試料に測定対象成分であるHbA
1cが存在しているのが普通であるため、本発明に係る
クロマトグラフのピーク検出方法が効果的である。
【0050】また、本発明に係るクロマトグラフ装置で
は、分離カラム、検出器、記憶手段及び制御手段を備
え、制御手段が、検出器から与えられたクロマトグラム
データを参照データと比較することにより測定対象成分
のピークを検出するが、測定対象成分のピークを検出し
た場合に、該測定対象成分の保持時間に基づいて次回以
降の測定に利用される参照データが記憶手段に与えられ
るので、本発明にかかるクロマトグラフのピーク検出方
法を利用して、測定対象成分を高精度に、安価にかつ短
時間で測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクロマトグラフ装置
の概略構成図。
【図2】図1に示した実施形態のクロマトグラフ装置の
制御部を説明するための概略ブロック図。
【図3】本発明の一実施形態におけるクロマトグラフの
ピーク検出方法のフローチャートを示す図。
【図4】標準試料1のクロマトグラムデータを示す図。
【図5】標準試料2のクロマトグラムデータを示す図。
【図6】未知試料1のクロマトグラムデータを示す図。
【図7】未知試料2のクロマトグラムデータを示す図。
【図8】未知試料3のクロマトグラムデータを示す図。
【図9】未知試料4のクロマトグラムデータを示す図。
【符号の説明】
1…クロマトグラフ装置 2…分離カラム 3…溶離液 4…ポンプ 5…試料注入器 5a…センサ 6…検出器 7…制御部 8…制御手段としてのCPU 9…ポンプ駆動部 10…注入器駆動部 11…検出器駆動部 12…センサ駆動部 13…メモリ 14…入力部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロマトグラムデータを解析し少なくと
    も1種の測定対象成分の保持時間に基づいて該測定対象
    成分の定性あるいは定量を行うクロマトグラフのピーク
    検出方法であって、 測定対象成分のピークを検出した際に得られる該測定対
    象成分の保持時間を参照データとして次回以降の測定に
    際しての測定対象成分のピークの検出に利用することを
    特徴とするクロマトグラフのピーク検出方法。
  2. 【請求項2】 前記測定対象成分がヘモグロビン類であ
    る請求項1に記載のクロマトグラフのピーク検出方法。
  3. 【請求項3】 測定対象成分の保持時間により該測定対
    象成分のピークを検出して測定対象成分の定性もしくは
    定量を行うクロマトグラフ装置であって、 分離カラムと、 分離カラムから流出した移動相を測定してクロマトグラ
    ムデータを出力する検出器と、 測定対象成分の保持時間に応じた参照データを記憶して
    いる記憶手段と、 前記検出器から与えられたクロマトグラムデータを前記
    参照データと比較することにより、測定対象成分のピー
    クを検出して出力し、かつ測定対象成分のピークを検出
    した場合に該測定対象成分の保持時間に応じたデータを
    前記記憶手段に与えて前記記憶手段に記憶されている参
    照データを更新する制御手段とを備えることを特徴とす
    るクロマトグラフ装置。
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