JP3911866B2 - クロマトグラムの解析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等、被分析物を含む試料をカラム等の分離手段に供して取得されるクロマトグラムを解析する解析装置に関するものであり、更に具体的には、例えば液体クロマトグラフィーによる血液や尿中のカテコールアミンやアミノ酸の分析における、クロマトグラムの解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の被分析物質を液体クロマトグラフィー等に供してクロマトグラムを得、該クロマトグラム中の被分析物のピークを検出し、その高さ、巾、ピーク面積等を解析し、被分析物の定性、定量を行うことが行われている。
【0003】
クロマトグラムの解析には、被分析物の溶出ピークを検出した後、検出されたピークを予めその存在を予想した成分と関連付ける方法(以下、第1法という)と、予め測定しようとする被分析物毎にピークが出現する時間(標準ピーク出現時間)を予想しておき、この付近でピークを探す方法(以下、第2法という)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
第1法では、予め予想した成分のピーク以外に、予想していない未知成分のピークを検出することが可能である。即ち、クロマトグラムの解析に当たり、通常はクロマトグラムの傾き等によりピーク開始点とピーク終了点を検出し、この範囲で最大値を取る点をピークとするが、試料中の成分に由来しないノイズピークをもピークとして検出してしまう恐れがある。また、ベースラインがドリフトしている状態(安定していない状態)ではその傾き等を正確に検知することが困難であるため、ピーク開始点及びピーク終了点を正しく検出できないという課題もある。
【0005】
これに対して前記第2法には、予め予想した被分析物以外のピークを検出することはできないものの、予想した被分析物のピークは正しく検出できるという利点がある。
【0006】
しかしながら、正確なクロマトグラム解析を行うには、被分析物のピークを正しく検出すること以外にベースラインを正しく設定する必要がある。
【0007】
従来のピーク解析では、検出された被分析物のピーク出現時間(tx)を基準として、その前後一定の時間点でのクロマトグラム値を第1及び第2のベースライン点とし、これらを結ぶ直線をベースラインとしている。一定の時間点としては、例えば被分析物を含む標準試料のクロマトグラムにおいて、被分析物のピーク値が1/2となった時のピーク巾(ピーク半値巾)を一定倍した時間点が使用されている。
【0008】
このため、例えばベースラインを指定するベースライン点に被分析物質以外の成分ピークやゴーストピーク(例えば液体クロマトグラフィーにおける、試料を導入する際の切り替え弁の動作に由来するピーク)が重なってしまうと、その点でのクロマトグラム値が本来のベースライン値からずれてしまい、例えばピーク高さを求める解析を行う際には、解析の結果、本来の高さとは異なるピーク高さが得られてしまうことになる。被分析物質以外の成分ピークやゴーストピークは、その成分の種類や分析条件、更には室温等の分析環境によって大きさや出現時間が変動するため、これらを避けて正しいベースラインを指定すべく、ベースライン点を予め設定するにしても、分析環境等が変化するたびに設定を変更しなければならないという課題がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、予め測定しようとする被分析物毎にピークが出現する時間(標準ピーク出現時間)を予想する等してピークを検出した後に適用されるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物質以外の成分ピークやゴーストピークがあっても正しいベースラインを設定することが可能な解析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために成された本願請求項1の発明(以下、第1発明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を用いて第1のベースライン点を検出し、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第2のベースライン点を検出し、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する装置である。
【0011】
また本願請求項2の発明(以下、第2発明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベースライン点を検出し、前記tb2におけるクロマトグラム点を第2ベースライン点とし、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する装置である。
【0012】
また本願請求項3の発明(以下、第3発明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1におけるクロマトグラム点を第1ベースライン点とし、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第2ベースライン点を検出し、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する装置である。
【0013】
また本願請求項4の発明(以下、第4発明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<txである)を検出する第1演算手段、そして、前記tbxからtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する装置である。
【0014】
そして本願請求項5の発明(以下、第5発明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出終了時間(tb2)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する装置である。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の解析装置は、試料中の被分析物を分離・展開した後に検出を行う、いわゆるクロマトグラフィーにおけるクロマトグラム解析に使用することができる。クロマトグラフィーは、分離・展開の原理によって種々の液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーが存在するが、解析対象となるクロマトグラムはいかなるクロマトグラフィーにより得られたものであっても良い。例えば電気泳動結果を適当な染色試薬で染色後、光学測定装置でスキャンニングする等した場合でも、その解析に本発明を使用することができる。
【0016】
クロマトグラムは、本発明の装置による解析に先立ち、例えば単純移動平均、多項式フィッティング、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるスムージング処理を行ったり、単純スパイク除去処理、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるノイズ除去処理を行っておくことが好ましい。これらの処理を行うことにより、ノイズを除去しておけば、クロマトグラムにおける被分析物ピークの最高値や最低値がノイズの影響を受けにくくなり、より信頼性の高い解析結果を得ることができる。
【0017】
単純移動平均はYn=Sum(Xi)/mで表され(Sumは連続するデータXiを加算する関数であり、mは加算するデータの数である)、多項式フィッティングはYn=Sum(Ki×Xi)/Sum(Ki)で表され(Sum及びXiは前記同様であり、Kiは例えばSavitzky−Golay法により、データを2次式又は3次式にフィッティングするように決定される係数である)、フーリエ変換はデータをフーリエ変換して周波数軸で高周波成分をカットするウィンドウ関数をかけ、逆フーリエ変換で時間軸に戻すことをいい、ウェーブレット変換は例えばAnalytical Chemistry、第69巻、1号、1997年、第78〜90頁に記載された処理であり、単純スパイク除去処理としてはメディアン法(Y=Median(Xi)で表される、連続する3ないし5のデータの中心を取る方法)等が例示できる。
【0018】
なお本発明において第2演算手段で第1のベースライン点及び第2のベースライン点を検出するに当たり、単純移動平均処理等を行ってスムージングをした後にこれら点を計算することは、これら点を計算するに当たり、任意時点のクロマトグラムの値としてその前後の値を平均した値を用いてこれら点を計算することと同価となる。
【0019】
本発明の解析装置は、クロマトグラムについて初期的な解析が行われ、クロマトグラム中のピークを被分析物のピークと同定した後にベースライン設定等を行うための装置である。しかしながら、本発明の装置に被分析物のピークを検出するための手段を追加することに制限はない。
【0020】
被分析物のピークを検出するための第1演算手段としては、従来のピーク検出手段等を用いることができるが、以下のような構成をも一例として例示することができる。まず、適当な記憶手段に被分析物のピークを検出するためのピーク検出開始時間(tp1)やピーク検出終了時間(tp2)等を記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成することが可能であり、例えばキーボード等の入力装置を用いてこれらを入力し、記憶させれば良い。この記憶のため、第1演算手段に別途記憶手段を併設するか、又は、本発明の第1又は第2記憶手段を兼用に配置しても良い。第1演算手段は例えばコンピュータ等で構成することができるが、後述する第2演算手段と兼用としても良い。
【0021】
tp1とtp2は、クロマトグラムにおいて解析しようとする被分析物のピークを検出するためのものであり、被分析物の種類毎に設定される。これらの値はtp1<tp2の関係を満たすが、例えば、被分析物のみを含む標準試料をクロマトグラフィーに供してクロマトグラムを得、このクロマトグラムから被分析物の標準出現時間(ts)を求め、tp1<ts<tp2と設定することが例示できる。より具体的にtp1及びtp2は、使用するクロマトグラフィーの分離の様式、移動相等の速度、分析を行う室温等の分析環境等におけるtsと、該環境が変動した場合にtsが変動する時間巾を勘案し、適宜設定すれば良い。即ち、tp1<tx<tp2とするのである。なお関係を満たすようにtp1及びtp2を設定するために、tsとtxの差を求め、tsに基づいて設定したtp1及びtp2の設定をこの差に基づいて変更する等しても良い。
【0022】
tp1及びtp2については、被分析物以外の成分が含まれていることが予想される場合にはtp2−tp1が小さくなるように設定し、被分析物以外の成分の存在が予想されない場合にはtp2−tp1が大きくなるように設定することが好ましいが、一般的にtp2−tp1は被分析物を含む標準試料のクロマトグラムにおけるピークの高さが1/2となる時のピーク巾(ピーク半値巾)の1倍程度〜2倍程度となるように設定することが例示できる。ただし、必ずしもts−tp1=tp2−tsとする必要はない。そしてtp1〜tp2までの範囲内で、最高値を有するクロマトグラム点を被分析物のピークとする等すれば良い。本発明の第1記憶手段は、第1〜第5発明の態様に応じて、前記のようにして検出された被分析物のピークについて、その分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)及びベースライン検出終了時間(tb2)等を記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成することが可能である。
【0023】
第1〜第3発明において第1記憶手段が記憶するベースライン検出開始時間 (tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)は、ベースラインを設定するベースライン点を検出するためのものである。tb1とtb2は、tb1<tb2との関係を満たすが、被分析物のピーク出現時間(tx)との関係ではtb1<tx<tb2の関係をも満たすように設定する。一般的にtb2−tb1は被分析物のピーク高さが1/2となるときのピーク巾(ピーク半値巾)の2倍〜6倍程度とすることが例示できる。またここで、必ずしもtx−tb1=tb2−txとする必要はない。なお、本発明の解析装置において、ベースラインを設定するまではピーク高さやピーク巾を得ることはできないがピーク巾の概略値を求めれば十分であるため、ピーク巾の初期値として例えば被分析物のみを含む標準試料を予め分析し、得られたクロマトグラムについて大まかに設定したベースラインに基づきピーク巾を求め、この値を第1記憶手段に入力して第2演算手段に伝えるようにすれば良い。そして本発明の解析装置における第2演算手段でベースラインを設定した後は、該ベースラインに基づき決定されたピーク巾を第1記憶手段にフィードバックしても良い。tb1及びtb2は、各被分析物のピークに対して異なる値を設定するが、tb1からtb2の巾、即ちtb2−tb1は、全て同一であっても、ピーク毎に異なっていても良い。またtb1及びtb2は、tsの値に基づいて予め設定しておいても良い。更に、ts−tb1とtb2−tsは等しくても異なっていても良い。
【0024】
一方、例えばtsと実際の被分析物の出現時間txに差が生じた場合には、該差によりtb1、tb2を補正するように構成しても良い。また、標準試料では既知量の被分析物が含まれるのに対し、試料には未知量の被分析物が含まれるため、標準試料として予想される量の被分析物を含むものを使用してピーク半値巾を求めることが好ましい。
【0025】
本発明者の知見によれば、ベースライン点の設定において夾雑物のピークやゴーストピークによる妨害がないと予想される場合、tb1とtb2としては、共にtxから被分析物のピーク高さが1/2となるときのピーク巾分離れた時点を設定できるが、2倍分又は3倍分離れた時点を設定することもできる。またベースライン点の設定において夾雑物のピークやゴーストピークによる妨害があると予想される場合、tb1とtb2としては、共にtxから被分析物のピーク高さが1/2となるときのピーク巾の3倍分離れた時点を設定することが好ましい。第2記憶手段は、解析するクロマトグラムを記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成でき、例えば液体クロマトグラフィーにおける検出装置からの検出信号を経時的に記憶できれば良い。第2記憶手段は前記第1記憶手段と一体に構成することもできる。なお、該経時的記憶は連続的なものであっても良いし、例えば1秒毎等の、間欠的なものであっても良い。間欠的にクロマトグラムを記憶する場合には、可能な限り短い時間間隔で値を記憶することが好ましい。なお、時間は、例えば分離カラム等の分離手段に試料を供した時間を0(ゼロ)として計算しても良いし、例えばクロマトグラフィーに試料を供してから所定時間経過後にクロマトグラムの経時的記憶を開始する場合には、該開始時間を0(ゼロ)として計算しても良い。電気泳動の結果をスキャンする場合には、移動距離を時間に置き換えて考えれば良い。
【0026】
第2演算手段では、以上のように設定したtb1とtxの間、及び、txとtb2の間で、クロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いてそれぞれ第1ベースライン点、第2ベースライン点を設定し、これらを結ぶ直線をベースラインとして設定する。該手段としては、コンピュータ等を例示することができる。
【0027】
前記関数は、詳しくは、クロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とし、それらの値又はそれらの値の絶対値の和を表す関数や、それぞれの値の和と積を組み合わせる関数が例示できる。クロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの3以上の値を変数とする関数ではゴーストピーク等を避けた位置にベースライン点を決定するために好ましく、これら全てを変数とする関数は特に好ましい。
【0028】
特に好ましいクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差の全てを変数とする関数として、より具体的に以下のような関数が例示できる。
【0029】
例えば、関数=(クロマトグラム点の高さ)+a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)+b×(クロマトグラムの曲率の絶対値)+c×(((t−tx)/ (tb1−tx))の4乗)で表される関数。また例えば、関数=(クロマトグラム点の高さ)×(1+a×(クロマトグラムの傾きの絶対値))×(1+b×(クロマトグラムの曲率の絶対値))×(1+c×(((t−tx)/(tb1−tx))の4乗)で表される関数。
【0030】
前記式において、クロマトグラムの傾きは任意の点におけるクロマトグラム値の一次微分の値であり、クロマトグラムの曲率は任意の点におけるクロマトグラム値の二次微分の値である。またa〜cは係数であり、正又はゼロの数となる。ここで変数を2又は3とする場合には、各2又は1の係数がゼロとすれば良い。係数cを含む項は、tx−tb1とtb2−txが異なる場合には、c×(( (t−tx)/(tb2―tx))の4乗)とし、t>txでc×(((t−tx)/(tb2−tx))の4乗)としても良い。係数cを含む項は、tx−tb1とtb2−txが異なる場合には、c×(((t−tx)/(tb2−tx))の4乗)としても良い。また、t<txでc×(((t−tx)/(tb−tx))の4乗)とし、t>txでc(((t−tx)/(tb2−tx))の4乗)としても良い。
【0031】
前記式における係数の値は、被分析物のピークや予想されるゴーストピークの出現時間、高さ、巾等の値に応じて適宜決定することができる。また、予想される夾雑物のピーク出現時間、高さ、巾等の値や、クロマトグラフィーを実施する温度条件、溶離液組成に応じて被分析物のピークと夾雑物のピークの出現する位置関係が変化すること等を考慮し、適宜決定することができる。これらに加え、tb1やtb2の設定の仕方、更には被分析物のピークの高さ等に応じて適宜決定することができる。
【0032】
前記した関数における係数は、例えば本発明の装置を用いて解析するクロマトグラムが被分析物のピークが夾雑物を含むことが予想される通常の試料のクロマトグラムであるか、又は、夾雑物を含まない標準試料のクロマトグラムであるかに応じて変更できる。即ち、標準試料及び試料のクロマトグラムを解析するに当たり、同一の係数を使用することも可能であるが、異なる係数を使用することもできる。特に、標準試料では既知量の被分析物のみを含み夾雑物を含まないのでゴーストピークの存在だけを考慮して係数を決定すれば良く、係数の値を広い範囲で変化させてもベースライン点はほとんど同一となる。一方、通常の試料では、未知量の被分析物を含むため、ピーク高さ等が大きく変わったり、又は夾雑物に由来するピークが出現するため、正しいベースライン点を検出するためにはこれらで使用する関数の係数を適切な値に設定する必要がある。
【0033】
上記のうち、クロマトグラム点の高さを変数として用れば、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で最低点に近いクロマトグラム点をベースライン点として検出できる。またクロマトグラムの傾きを変数として用いれば、ピークの斜面ではなくクロマトグラムが水平に近い部分をベースライン点として検出できる。またクロマトグラムの曲率を変数として用いれば、負のゴーストピークの頂点をベースライン点として検出しないようにすることができる。そしてtxとの差を変数として用いれば、ピークにできるだけ近い点をベースライン点として検出することができる。従ってこれら変数を2以上、好ましくは3以上、そして特に好ましくは全て使用することで、被分析物の定量等を最も正確に行い得るベースラインを設定するためのベースライン点を検出することが可能となる。
【0034】
即ち、これら変数を組み合わせることにより、基本的には高さが最も低い点をベースライン点として検出するが、該点が傾斜面に存在するときや負のゴーストピークの頂点に位置するときはこれを無視し、むしろ高さは最低ではないが、より平らな部分をベースライン点として検出するようなことが可能となるのである。また更には、被分析物のピークの裾部分が他の被分析物や夾雑物のピークの裾部分と重複していることが予想される場合にtx−tb1及びtb2−txが大きくなるように設定しても、実際にはピークの裾部分の重複が存在しなければ被分析物のピーク出現時間tx付近にベースライン点を設定することが可能となり、ベースラインドリフト等の影響を排除することも可能になる。
【0035】
このようにしてクロマトグラムにおけるtb1〜tx、tx〜tb2の値を関数に代入し、各範囲内で関数の値が最も小さくなる点を各第1ベースライン点、第2ベースライン点とする。その後、両点を結ぶ直線をベースラインとして設定するのである。ベースラインが設定された後は、例えば被分析物のピーク高さやピーク面積、ピーク半値巾等を算出し、被分析物の定量等を行うことになるが、本発明においては第2演算手段を当該算出手段と兼用に構成することもできる。第2発明又は第3発明においては、tb1〜txの間又はtx〜tb2の間で前記のようにして第1又は第2ベースライン点を検出する一方、もうひとつのベースライン点としては、tb2又はtb1におけるクロマトグラム点を用いる。第4発明又は第5発明においては、第2演算手段において、それぞれ、上記した第1発明におけるベースライン検出開始時間(tb1)又はベースライン検出終了時間(tb2)のみを使用してベースライン点を1点のみ検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインとして設定する。
【0036】
第4発明及び第5発明においても、tb1又はtb2の設定は同様である。第1〜第3発明は、被分析物の前後に他の被分析物や夾雑物のピークが出現する場合に特に効果的であり、第4発明は、被分析物のピークの後に他の被分析物ピークや夾雑物のピークが複数個連なって存在する場合やベースラインが変動する場合に特に効果的であり、第5発明は被分析物のピーク前に他の被分析物ピークや夾雑物のピークが複数個連なって存在する場合やベースラインが変動するする場合に特に効果的である。従って本発明の解析装置は、解析するクロマトグラムにおける被分析物ピークの前後に出現するピークの有無により、第1〜第5発明を適宜選択して適用することが特に好ましい。この目的を達成するため、例えば、コンピュータと記憶装置で本発明の装置を構成し、第1〜第5発明の全ての機能をカバーするようにしておき、必要に応じていずれかの態様を選択のうえ、クロマトグラム解析を行うことが例示できる。
【0037】
本発明の解析装置においては、これまでに説明した各手段に加え、例えば解析結果を表示したり印刷する出力手段や、被分析物のピークを検出できなかった場合に警告を発生する手段等を装備することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
図1は、本発明を液体クロマトグラフィー用のクロマトグラム解析装置に適用した一例を示すものである。図中、1は分離カラム、2は検出器を示し、送液ポンプや試料導入装置等のその他のクロマトグラフィー装置は省略した。
【0040】
図中、点線で囲った部分が本発明の解析装置であり、一台のコンピュータにより本発明の各手段を構成した。図中、3は第1記憶手段、4は第2記憶手段、5は第1演算手段、6は第2演算手段をそれぞれ示す。第1記憶手段3はキーボード7からの入力を記憶し、第2記憶手段4は検出器2からの出力(クロマトグラム)を記憶し、第1演算手段5は第1及び第2の記憶手段と連絡され、そして第2演算演算手段は第1演算手段と連絡されている。また第2演算手段6は、クロマトグラム解析結果をプリンタ8に出力する。
【0041】
図2は、以下の実施例で用いた液体クロマトグラム装置の構成の概略を示すものである。該装置は、溶離液ポンプ9a、9b、試薬ポンプ10a、10b、オートサンプラ11、2本の前処理カラム12及び13と1本の分析カラム14、リアクタ15、そして蛍光検出器16から構成され、さらに溶離液を切り替えるバルブや流路を切り替えるバルブを有するものである。図1に示した本発明の解析用装置は、検出器16と連結される。
【0042】
図3〜図7は、液体クロマトグラフィーで得られたカテコールアミンの成分であるノルエピネフリン(NorEpinephrine;NE)、エピネフリン(Epinephrine;E)及びドーパミン(Dopamine;DA)のクロマトグラムについて第1演算手段によりピーク検出を行った結果を示す結果である。分析に供した試料は、カテコールアミン成分であるNE、E及びDAを各1pg/ml含む標準試料であり、これを室温(24.6℃)条件下で測定したものである。ピーク出現時間が約16分のピークがNE、約18.5分のピークがE、そして約25.5分のピークがDAである。液体クロマトグラフィー装置としては、前処理カラムとして2本のカラム(第1の前処理カラム12は直径4.6mm×75mmの逆相(エーテルゲル)カラム、第2の前処理カラム13は直径3.0mm×60mmのイオン交換カラム)、分離カラム14として逆相(ODS)用カラム(直径4.0mm×150mm)を配置した装置を用いた。この装置では、ポンプ9aで溶離液(リン酸緩衝液(pH7))で試料を第1の前処理用カラムに送液し(1.0ml/分)、第1の前処理用カラムに保持された成分に対して、電磁弁を切り替えることによりポンプ9aで溶離液(硝酸アンモニウム水溶液とアセトニトリルの混合液)を送液して第2の前処理用カラムに導入し、そして第2の前処理用カラムに保持された成分に対して、ポンプ9bで溶離液(硝酸アンモニウムを含むトリス緩衝液(pH7))を分析カラムに送液して分離し(0.7ml/分)、分析カラムから溶出する成分に蛍光反応試薬を混合した後にリアクタ15に導入した。リアクタで蛍光反応試薬であるDPE (Diphenylethylendiamine)と90℃、3分間反応させて蛍光誘導体化した。蛍光反応試薬はポンプ10aと10b(各0.25ml/分)を用いて送液した。蛍光誘導体化した各被分析物は、蛍光検出器を用いて励起波長340〜360nm、蛍光波長460nmで測定し、クロマトグラムを得た。
【0043】
図3〜図7は、従来の解析方法でベースライン点を設定した図(図3、6)及び本発明の解析装置でベースライン点を設定した図(図4、5、7)である。図中、NEの前の負のピークとEとDAの間の負のピーク(図中矢印を付す)は、装置の切り替えバルブを切り替えた際に発生したゴーストピークである。
【0044】
図中Pは、第1演算手段により検出されたNEのピークであり、tb1及びtb2はNEのピークについてベースラインを設定するために第1記憶手段に記憶されたベースライン検出開始時間及びベースライン検出終了時間、そしてBは検出されたベースライン点をそれぞれ示す。
【0045】
図3は、txからピーク半値巾の5倍ずつ離れた点をtb1、tb2として、ベースライン点を検出した結果を示す図である。本例では、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で最も低いクロマトグラム点を検出し、これらをそれぞれ第1ベースライン点、第2ベースライン点とした。
【0046】
この例では、負のゴーストピークの影響を受けて検出された第1ベースライン点がゴーストピークの斜面上に設定されてしまった。この結果、NEのピーク面積やピーク高さ等が僅かではあるが不正確となった。
【0047】
図4は、本発明の第1発明の解析装置によりベースライン点を検出した例を示す図である。第2記憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示したものと同一である。本例では、txからピーク半値巾の5倍ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段に記憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検出には、関数=クロマトグラム点の高さ+c×(((t−tx)/(tb1−tx)の4乗))という関数を用い、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で該関数が最低値となるクロマトグラム点を第1及び第2ベースライン点として検出した。
【0048】
なお、前記関数における係数cは、検出下限濃度のピーク高さと同じオーダの値になるように決定した。
【0049】
この例では、検出されたベースライン点はNEのピーク近くにあり、図3に示した例のように負のゴーストピークの影響を受けて第1ベースライン点がゴーストピークの斜面上に検出されることはなかった。
【0050】
図5は、本発明の第1発明の解析装置によりベースライン点を検出した他の例を示す図である。第2記憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示したものと同一である。本例では、txからピーク半値巾の5倍ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段に記憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検出には、関数=クロマトグラム点の高さ+a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)という関数を用い、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で該関数が最低値となるクロマトグラム点を第1及び第2ベースライン点として検出した。
【0051】
なお、前記関数における係数aは、a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)の値が、クロマトグラムのピーク以外で最大傾きを持つ点で引いた接線の30秒あたりの変化量にほぼ等しくなるように決定した。
【0052】
この例でも、検出されたベースライン点はNEのピーク近くにあり、図3に示した例のように負のゴーストピークの影響を受けて第1ベースライン点がゴーストピークの斜面上に検出されることはなかった。
【0053】
図6は、図3に示したクロマトグラムについてtxからピーク半値巾の6倍ずつ離れた点をtb1、tb2としてベースライン点を検出した結果を示す図である。本例では、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で最も低いクロマトグラム点を検出し、これらをそれぞれ第1ベースライン点、第2ベースライン点とした。この例では、負のゴーストピークの影響を受けて検出された第1ベースライン点がゴーストピークの頂点に検出されてしまった。この結果、NEのピーク面積やピーク高さ等が僅かではあるが不正確となった。
【0054】
図7は、本発明の第1発明の解析装置によりベースライン点を検出した例を示す図である。第2記憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示したものと同一である。本例では、txからピーク半値巾の6倍ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段に記憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検出には、関数=クロマトグラム点の高さ+a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)+b×(クロマトグラムの曲率の絶対値)+c×(((t−tx)/(tb1−tx))の4乗))という関数を用い、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で該関数が最低値となるクロマトグラム点を第1及び第2ベースライン点として検出した。
【0055】
なお、前記関数における係数aは、a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)の値がクロマトグラムのピーク以外で最大傾きを持つ点で引いた接線の30秒あたりの変化量にほぼ等しくなるように、bは、b×(クロマトグラムの曲率の絶対値)がゴーストピークの頂点付近を2次曲線で近似した時に頂点から10秒離れた点での2次曲線の変化量に等しくなるように、係数cは、検出下限濃度のピーク高さと同じオーダの値になるように決定した(ただしcは、図4における係数cの1/2とした)。
【0056】
本例では、tb1〜txの間に負のゴーストピークが存在するにもかかわらず、図6に示した例のように負のゴーストピークの影響を受けて第1ベースライン点がゴーストピークの頂点に検出されることはなかった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー、更には電気泳動等の結果得られるクロマトグラムを解析する際に、被分析物のピークの前及び/又は後ろに夾雑物のピークやゴーストピークが出現しても、より的確なベースラインを設定することが可能となる。この結果、夾雑物ピークやゴーストピークによる影響を排除して、より正確に被分析物のピーク高さやピーク面積等を求めることができる。
【0058】
特に、被分析物のピークの近くに負のゴーストピークが存在し、その位置が温度等の条件によって変化する場合には、従来は、クロマトグラムから実施者が経験的に判断してその影響を排除し得るようにベースラインを設定していたが、本発明により、自動的に負のゴーストピークの影響をも排除できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の解析装置の概略を示すための図である。
【図2】図2は、実施例で使用した液体クロマトグラフィー装置の概要を示す図である

【図3】図3は、カテコールアミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについてベースライン点を検出した様子を示す図である。
【図4】図4は、本発明の解析装置を用いてカテコールアミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについてベースライン点を検出した様子を示す図である。
【図5】図5は、本発明の解析装置を用いてカテコールアミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについてベースライン点を検出した他の様子を示す図である。
【図6】図6は、カテコールアミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについてベースライン点を検出した様子を示す図である。
【図7】図7は、本発明の解析装置を用いてカテコールアミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについてベースライン点を検出した他の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 分離カラム、2 検出器、3 第1記憶手段、4 第2記憶手段、5 第1演算手段、6 第2演算手段、7 入力手段、8 出力手段、9a、9b 溶離液ポンプ、10a、10b 試薬ポンプ、11 オートサンプラ、12、13前処理カラム、14 分析カラム、15 リアクタ、16 検出器

Claims (8)

  1. 試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベースライン点を検出し、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第2ベースライン点を検出し、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  2. 試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベースライン点を検出し、前記tb2におけるクロマトグラム点を第2ベースライン点とし、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  3. 試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、前記tb1におけるクロマトグラム点を第1ベースライン点とし、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第2ベースライン点を検出し、これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  4. 試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開始時間(tb1)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtb1<txである)を検出する第1演算手段、そして、前記tbxからtxの間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  5. 試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定するためのベースライン検出終了時間(tb2)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、ここでtx<tb2である)を検出する第1演算手段、そして、txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  6. 前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数とし、かつ、変数が小さいほど値の小さくなる又は変数が大きいほど値の小さくなる関数であり、第2演算手段は該関数の値が最も小さくなる点又は大きくなる点をベースライン点とすることを特徴とする請求項1〜5いずれかの装置。
  7. 前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの3以上の値を変数とし、かつ、変数が小さいほど値の小さくなる又は変数が大きいほど値の小さくなる関数であり、第2演算手段は該記関数の値が最も小さくなる点又は大きくなる点をベースライン点とすることを特徴とする請求項1〜5いずれかの装置。
  8. 前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差の値を変数とし、かつ、変数が小さいほど値の小さくなる又は変数が大きいほど値の小さくなる関数であり、第2演算手段は該関数の値が最も小さくなる点又は大きくなる点をベースライン点とすることを特徴とする請求項1〜3いずれかの装置。
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