JP2000088830A - クロマトグラムの解析装置 - Google Patents

クロマトグラムの解析装置

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JP2000088830A
JP2000088830A JP10256363A JP25636398A JP2000088830A JP 2000088830 A JP2000088830 A JP 2000088830A JP 10256363 A JP10256363 A JP 10256363A JP 25636398 A JP25636398 A JP 25636398A JP 2000088830 A JP2000088830 A JP 2000088830A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被分析物のピークを検出した後、該ピークにつ
いてベースライン点を検出するための装置であって、被
分析物質以外の成分ピークやゴーストピークがあっても
解析結果が影響され難い解析装置を提供すること。 【解決手段】被分析物のピーク分析用ベースラインを設
定するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベ
ースライン検出終了時間(tb2)を記憶する第1記憶
手段、被分析物についてのクロマトグラフを記憶する第
2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、被分
析物のピーク及びその出現時間(tx)を検出する第1
演算手段、そして、tb1からtxの間でクロマトグラ
ム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上
の値を変数とする関数を用いて第1ベースライン点を検
出し、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高
さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変
数とする関数を用いて第2ベースライン点を検出し、こ
れら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースライ
ンとして設定する第2演算手段とを具備する装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラ
フィーやガスクロマトグラフィー等、被分析物を含む試
料をカラム等の分離手段に供して取得されるクロマトグ
ラムを解析する解析装置に関するものであり、更に具体
的には、例えば液体クロマトグラフィーによる血液や尿
中のカテコールアミンやアミノ酸の分析における、クロ
マトグラムの解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、種々の被分析物質を液体クロ
マトグラフィー等に供してクロマトグラムを得、該クロ
マトグラム中の被分析物のピークを検出し、その高さ、
巾、ピーク面積等を解析し、被分析物の定性、定量を行
うことが行われている。
【0003】クロマトグラムの解析には、被分析物の溶
出ピークを検出した後、検出されたピークを予めその存
在を予想した成分と関連付ける方法(以下、第1法とい
う)と、予め測定しようとする被分析物毎にピークが出
現する時間(標準ピーク出現時間)を予想しておき、こ
の付近でピークを探す方法(以下、第2法という)があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第1法では、予め予想
した成分のピーク以外に、予想していない未知成分のピ
ークを検出することが可能である。即ち、クロマトグラ
ムの解析に当たり、通常はクロマトグラムの傾き等によ
りピーク開始点とピーク終了点を検出し、この範囲で最
大値を取る点をピークとするが、試料中の成分に由来し
ないノイズピークをもピークとして検出してしまう恐れ
がある。また、ベースラインがドリフトしている状態
(安定していない状態)ではその傾き等を正確に検知す
ることが困難であるため、ピーク開始点及びピーク終了
点を正しく検出できないという課題もある。
【0005】これに対して前記第2法には、予め予想し
た被分析物以外のピークを検出することはできないもの
の、予想した被分析物のピークは正しく検出できるとい
う利点がある。
【0006】しかしながら、正確なクロマトグラム解析
を行うには、被分析物のピークを正しく検出すること以
外にベースラインを正しく設定する必要がある。
【0007】従来のピーク解析では、検出された被分析
物のピーク出現時間(tx)を基準として、その前後一
定の時間点でのクロマトグラム値を第1及び第2のベー
スライン点とし、これらを結ぶ直線をベースラインとし
ている。一定の時間点としては、例えば被分析物を含む
標準試料のクロマトグラムにおいて、被分析物のピーク
値が1/2となった時のピーク巾(ピーク半値巾)を一
定倍した時間点が使用されている。
【0008】このため、例えばベースラインを指定する
ベースライン点に被分析物質以外の成分ピークやゴース
トピーク(例えば液体クロマトグラフィーにおける、試
料を導入する際の切り替え弁の動作に由来するピーク)
が重なってしまうと、その点でのクロマトグラム値が本
来のベースライン値からずれてしまい、例えばピーク高
さを求める解析を行う際には、解析の結果、本来の高さ
とは異なるピーク高さが得られてしまうことになる。被
分析物質以外の成分ピークやゴーストピークは、その成
分の種類や分析条件、更には室温等の分析環境によって
大きさや出現時間が変動するため、これらを避けて正し
いベースラインを指定すべく、ベースライン点を予め設
定するにしても、分析環境等が変化するたびに設定を変
更しなければならないという課題がある。
【0009】そこで本発明の目的は、予め測定しようと
する被分析物毎にピークが出現する時間(標準ピーク出
現時間)を予想する等してピークを検出した後に適用さ
れるクロマトグラムの解析装置であって、被分析物質以
外の成分ピークやゴーストピークがあっても正しいベー
スラインを設定することが可能な解析装置を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に成された本願請求項1の発明(以下、第1発明とい
う)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに供す
ることによって得られるクロマトグラムの解析装置であ
って、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定する
ためのベースライン検出開始時間(tb1)とベースラ
イン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb2で
ある)を記憶する第1記憶手段、被分析物についてのク
ロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロ
マトグラムについて、被分析物のピーク及びその出現時
間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を検出
する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの間で
クロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差の
うちの2以上の値を用いて第1のベースライン点を検出
し、前記txからtb2の間でクロマトグラム点の高
さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変
数とする関数を用いて第2のベースライン点を検出し、
これら設定されたベースライン点を結ぶ直線をベースラ
インとして設定する第2演算手段とを具備する装置であ
る。
【0011】また本願請求項2の発明(以下、第2発明
という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベー
スライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb
2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物について
のクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶された
クロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出
現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を
検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの
間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの
差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベ
ースライン点を検出し、前記tb2におけるクロマトグ
ラム点を第2ベースライン点とし、これら設定されたベ
ースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する
第2演算手段とを具備する装置である。
【0012】また本願請求項3の発明(以下、第3発明
という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベー
スライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb
2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物について
のクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶された
クロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出
現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を
検出する第1演算手段、そして、前記tb1におけるク
ロマトグラム点を第1ベースライン点とし、前記txか
らtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及
びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用
いて第2ベースライン点を検出し、これら設定されたベ
ースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する
第2演算手段とを具備する装置である。
【0013】また本願請求項4の発明(以下、第4発明
という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
するためのベースライン検出開始時間(tb1)を記憶
する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフ
を記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムに
ついて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、こ
こでtb1<txである)を検出する第1演算手段、そ
して、前記tbxからtxの間でクロマトグラム点の高
さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変
数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベース
ライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースライ
ンとして設定する第2演算手段とを具備する装置であ
る。
【0014】そして本願請求項5の発明(以下、第5発
明という)は、試料中の被分析物をクロマトグラフィー
に供することによって得られるクロマトグラムの解析装
置であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設
定するためのベースライン検出終了時間(tb2)を記
憶する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラ
フを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラム
について、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、
ここでtx<tb2である)を検出する第1演算手段、
そして、txからtb2の間でクロマトグラム点の高
さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変
数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベース
ライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースライ
ンとして設定する第2演算手段とを具備する装置であ
る。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
解析装置は、試料中の被分析物を分離・展開した後に検
出を行う、いわゆるクロマトグラフィーにおけるクロマ
トグラム解析に使用することができる。クロマトグラフ
ィーは、分離・展開の原理によって種々の液体クロマト
グラフィーやガスクロマトグラフィーが存在するが、解
析対象となるクロマトグラムはいかなるクロマトグラフ
ィーにより得られたものであっても良い。例えば電気泳
動結果を適当な染色試薬で染色後、光学測定装置でスキ
ャンニングする等した場合でも、その解析に本発明を使
用することができる。
【0016】クロマトグラムは、本発明の装置による解
析に先立ち、例えば単純移動平均、多項式フィッティン
グ、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるスム
ージング処理を行ったり、単純スパイク除去処理、フー
リエ変換又はウェーブレット変換等によるノイズ除去処
理を行っておくことが好ましい。これらの処理を行うこ
とにより、ノイズを除去しておけば、クロマトグラムに
おける被分析物ピークの最高値や最低値がノイズの影響
を受けにくくなり、より信頼性の高い解析結果を得るこ
とができる。
【0017】単純移動平均はYn=Sum(Xi)/m
で表され(Sumは連続するデータXiを加算する関数
であり、mは加算するデータの数である)、多項式フィ
ッティングはYn=Sum(Ki×Xi)/Sum(K
i)で表され(Sum及びXiは前記同様であり、Ki
は例えばSavitzky−Golay法により、デー
タを2次式又は3次式にフィッティングするように決定
される係数である)、フーリエ変換はデータをフーリエ
変換して周波数軸で高周波成分をカットするウィンドウ
関数をかけ、逆フーリエ変換で時間軸に戻すことをい
い、ウェーブレット変換は例えばAnalytical
Chemistry、第69巻、1号、1997年、
第78〜90頁に記載された処理であり、単純スパイク
除去処理としてはメディアン法(Y=Median(X
i)で表される、連続する3ないし5のデータの中心を
取る方法)等が例示できる。
【0018】なお本発明において第2演算手段で第1の
ベースライン点及び第2のベースライン点を検出するに
当たり、単純移動平均処理等を行ってスムージングをし
た後にこれら点を計算することは、これら点を計算する
に当たり、任意時点のクロマトグラムの値としてその前
後の値を平均した値を用いてこれら点を計算することと
同価となる。
【0019】本発明の解析装置は、クロマトグラムにつ
いて初期的な解析が行われ、クロマトグラム中のピーク
を被分析物のピークと同定した後にベースライン設定等
を行うための装置である。しかしながら、本発明の装置
に被分析物のピークを検出するための手段を追加するこ
とに制限はない。
【0020】被分析物のピークを検出するための第1演
算手段としては、従来のピーク検出手段等を用いること
ができるが、以下のような構成をも一例として例示する
ことができる。まず、適当な記憶手段に被分析物のピー
クを検出するためのピーク検出開始時間(tp1)やピ
ーク検出終了時間(tp2)等を記憶する。該手段は、
例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換
え可能な記憶媒体で構成することが可能であり、例えば
キーボード等の入力装置を用いてこれらを入力し、記憶
させれば良い。この記憶のため、第1演算手段に別途記
憶手段を併設するか、又は、本発明の第1又は第2記憶
手段を兼用に配置しても良い。第1演算手段は例えばコ
ンピュータ等で構成することができるが、後述する第2
演算手段と兼用としても良い。
【0021】tp1とtp2は、クロマトグラムにおい
て解析しようとする被分析物のピークを検出するための
ものであり、被分析物の種類毎に設定される。これらの
値はtp1<tp2の関係を満たすが、例えば、被分析
物のみを含む標準試料をクロマトグラフィーに供してク
ロマトグラムを得、このクロマトグラムから被分析物の
標準出現時間(ts)を求め、tp1<ts<tp2と
設定することが例示できる。より具体的にtp1及びt
p2は、使用するクロマトグラフィーの分離の様式、移
動相等の速度、分析を行う室温等の分析環境等における
tsと、該環境が変動した場合にtsが変動する時間巾
を勘案し、適宜設定すれば良い。即ち、tp1<tx<
tp2とするのである。なお関係を満たすようにtp1
及びtp2を設定するために、tsとtxの差を求め、
tsに基づいて設定したtp1及びtp2の設定をこの
差に基づいて変更する等しても良い。
【0022】tp1及びtp2については、被分析物以
外の成分が含まれていることが予想される場合にはtp
2−tp1が小さくなるように設定し、被分析物以外の
成分の存在が予想されない場合にはtp2−tp1が大
きくなるように設定することが好ましいが、一般的にt
p2−tp1は被分析物を含む標準試料のクロマトグラ
ムにおけるピークの高さが1/2となる時のピーク巾
(ピーク半値巾)の1倍程度〜2倍程度となるように設
定することが例示できる。ただし、必ずしもts−tp
1=tp2−tsとする必要はない。そしてtp1〜t
p2までの範囲内で、最高値を有するクロマトグラム点
を被分析物のピークとする等すれば良い。本発明の第1
記憶手段は、第1〜第5発明の態様に応じて、前記のよ
うにして検出された被分析物のピークについて、その分
析用ベースラインを設定するためのベースライン検出開
始時間(tb1)及びベースライン検出終了時間(tb
2)等を記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーや
フラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成
することが可能である。
【0023】第1〜第3発明において第1記憶手段が記
憶するベースライン検出開始時間(tb1)とベースラ
イン検出終了時間(tb2)は、ベースラインを設定す
るベースライン点を検出するためのものである。tb1
とtb2は、tb1<tb2との関係を満たすが、被分
析物のピーク出現時間(tx)との関係ではtb1<t
x<tb2の関係をも満たすように設定する。一般的に
tb2−tb1は被分析物のピーク高さが1/2となる
ときのピーク巾(ピーク半値巾)の2倍〜6倍程度とす
ることが例示できる。またここで、必ずしもtx−tb
1=tb2−txとする必要はない。なお、本発明の解
析装置において、ベースラインを設定するまではピーク
高さやピーク巾を得ることはできないがピーク巾の概略
値を求めれば十分であるため、ピーク巾の初期値として
例えば被分析物のみを含む標準試料を予め分析し、得ら
れたクロマトグラムについて大まかに設定したベースラ
インに基づきピーク巾を求め、この値を第1記憶手段に
入力して第2演算手段に伝えるようにすれば良い。そし
て本発明の解析装置における第2演算手段でベースライ
ンを設定した後は、該ベースラインに基づき決定された
ピーク巾を第1記憶手段にフィードバックしても良い。
tb1及びtb2は、各被分析物のピークに対して異な
る値を設定するが、tb1からtb2の巾、即ちtb2
−tb1は、全て同一であっても、ピーク毎に異なって
いても良い。またtb1及びtb2は、tsの値に基づ
いて予め設定しておいても良い。更に、ts−tb1と
tb2−tsは等しくても異なっていても良い。
【0024】一方、例えばtsと実際の被分析物の出現
時間txに差が生じた場合には、該差によりtb1、t
b2を補正するように構成しても良い。また、標準試料
では既知量の被分析物が含まれるのに対し、試料には未
知量の被分析物が含まれるため、標準試料として予想さ
れる量の被分析物を含むものを使用してピーク半値巾を
求めることが好ましい。
【0025】本発明者の知見によれば、ベースライン点
の設定において夾雑物のピークやゴーストピークによる
妨害がないと予想される場合、tb1とtb2として
は、共にtxから被分析物のピーク高さが1/2となる
ときのピーク巾分離れた時点を設定できるが、2倍分又
は3倍分離れた時点を設定することもできる。またベー
スライン点の設定において夾雑物のピークやゴーストピ
ークによる妨害があると予想される場合、tb1とtb
2としては、共にtxから被分析物のピーク高さが1/
2となるときのピーク巾の3倍分離れた時点を設定する
ことが好ましい。第2記憶手段は、解析するクロマトグ
ラムを記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフ
ラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成で
き、例えば液体クロマトグラフィーにおける検出装置か
らの検出信号を経時的に記憶できれば良い。第2記憶手
段は前記第1記憶手段と一体に構成することもできる。
なお、該経時的記憶は連続的なものであっても良いし、
例えば1秒毎等の、間欠的なものであっても良い。間欠
的にクロマトグラムを記憶する場合には、可能な限り短
い時間間隔で値を記憶することが好ましい。なお、時間
は、例えば分離カラム等の分離手段に試料を供した時間
を0(ゼロ)として計算しても良いし、例えばクロマト
グラフィーに試料を供してから所定時間経過後にクロマ
トグラムの経時的記憶を開始する場合には、該開始時間
を0(ゼロ)として計算しても良い。電気泳動の結果を
スキャンする場合には、移動距離を時間に置き換えて考
えれば良い。
【0026】第2演算手段では、以上のように設定した
tb1とtxの間、及び、txとtb2の間で、クロマ
トグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの
2以上の値を変数とする関数を用いてそれぞれ第1ベー
スライン点、第2ベースライン点を設定し、これらを結
ぶ直線をベースラインとして設定する。該手段として
は、コンピュータ等を例示することができる。
【0027】前記関数は、詳しくは、クロマトグラム点
の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値
を変数とし、それらの値又はそれらの値の絶対値の和を
表す関数や、それぞれの値の和と積を組み合わせる関数
が例示できる。クロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及
びtxとの差のうちの3以上の値を変数とする関数では
ゴーストピーク等を避けた位置にベースライン点を決定
するために好ましく、これら全てを変数とする関数は特
に好ましい。
【0028】特に好ましいクロマトグラム点の高さ、傾
き、曲率及びtxとの差の全てを変数とする関数とし
て、より具体的に以下のような関数が例示できる。
【0029】例えば、関数=(クロマトグラム点の高
さ)+a×(クロマトグラムの傾きの絶対値)+b×
(クロマトグラムの曲率の絶対値)+c×(((t−t
x)/(tb1−tx))の4乗)で表される関数。ま
た例えば、関数=(クロマトグラム点の高さ)×(1+
a×(クロマトグラムの傾きの絶対値))×(1+b×
(クロマトグラムの曲率の絶対値))×(1+c×
(((t−tx)/(tb1−tx))の4乗)で表さ
れる関数。
【0030】前記式において、クロマトグラムの傾きは
任意の点におけるクロマトグラム値の一次微分の値であ
り、クロマトグラムの曲率は任意の点におけるクロマト
グラム値の二次微分の値である。またa〜cは係数であ
り、正又はゼロの数となる。ここで変数を2又は3とす
る場合には、各2又は1の係数がゼロとすれば良い。係
数cを含む項は、tx−tb1とtb2−txが異なる
場合には、c×(((t−tx)/(tb2―tx))
の4乗)とし、t>txでc×(((t−tx)/(t
b2−tx))の4乗)としても良い。係数cを含む項
は、tx−tb1とtb2−txが異なる場合には、c
×(((t−tx)/(tb2−tx))の4乗)とし
ても良い。また、t<txでc×(((t−tx)/
(tb−tx))の4乗)とし、t>txでc(((t
−tx)/(tb2−tx))の4乗)としても良い。
【0031】前記式における係数の値は、被分析物のピ
ークや予想されるゴーストピークの出現時間、高さ、巾
等の値に応じて適宜決定することができる。また、予想
される夾雑物のピーク出現時間、高さ、巾等の値や、ク
ロマトグラフィーを実施する温度条件、溶離液組成に応
じて被分析物のピークと夾雑物のピークの出現する位置
関係が変化すること等を考慮し、適宜決定することがで
きる。これらに加え、tb1やtb2の設定の仕方、更
には被分析物のピークの高さ等に応じて適宜決定するこ
とができる。
【0032】前記した関数における係数は、例えば本発
明の装置を用いて解析するクロマトグラムが被分析物の
ピークが夾雑物を含むことが予想される通常の試料のク
ロマトグラムであるか、又は、夾雑物を含まない標準試
料のクロマトグラムであるかに応じて変更できる。即
ち、標準試料及び試料のクロマトグラムを解析するに当
たり、同一の係数を使用することも可能であるが、異な
る係数を使用することもできる。特に、標準試料では既
知量の被分析物のみを含み夾雑物を含まないのでゴース
トピークの存在だけを考慮して係数を決定すれば良く、
係数の値を広い範囲で変化させてもベースライン点はほ
とんど同一となる。一方、通常の試料では、未知量の被
分析物を含むため、ピーク高さ等が大きく変わったり、
又は夾雑物に由来するピークが出現するため、正しいベ
ースライン点を検出するためにはこれらで使用する関数
の係数を適切な値に設定する必要がある。
【0033】上記のうち、クロマトグラム点の高さを変
数として用れば、tb1〜tx及びtx〜tb2の間で
最低点に近いクロマトグラム点をベースライン点として
検出できる。またクロマトグラムの傾きを変数として用
いれば、ピークの斜面ではなくクロマトグラムが水平に
近い部分をベースライン点として検出できる。またクロ
マトグラムの曲率を変数として用いれば、負のゴースト
ピークの頂点をベースライン点として検出しないように
することができる。そしてtxとの差を変数として用い
れば、ピークにできるだけ近い点をベースライン点とし
て検出することができる。従ってこれら変数を2以上、
好ましくは3以上、そして特に好ましくは全て使用する
ことで、被分析物の定量等を最も正確に行い得るベース
ラインを設定するためのベースライン点を検出すること
が可能となる。
【0034】即ち、これら変数を組み合わせることによ
り、基本的には高さが最も低い点をベースライン点とし
て検出するが、該点が傾斜面に存在するときや負のゴー
ストピークの頂点に位置するときはこれを無視し、むし
ろ高さは最低ではないが、より平らな部分をベースライ
ン点として検出するようなことが可能となるのである。
また更には、被分析物のピークの裾部分が他の被分析物
や夾雑物のピークの裾部分と重複していることが予想さ
れる場合にtx−tb1及びtb2−txが大きくなる
ように設定しても、実際にはピークの裾部分の重複が存
在しなければ被分析物のピーク出現時間tx付近にベー
スライン点を設定することが可能となり、ベースライン
ドリフト等の影響を排除することも可能になる。
【0035】このようにしてクロマトグラムにおけるt
b1〜tx、tx〜tb2の値を関数に代入し、各範囲
内で関数の値が最も小さくなる点を各第1ベースライン
点、第2ベースライン点とする。その後、両点を結ぶ直
線をベースラインとして設定するのである。ベースライ
ンが設定された後は、例えば被分析物のピーク高さやピ
ーク面積、ピーク半値巾等を算出し、被分析物の定量等
を行うことになるが、本発明においては第2演算手段を
当該算出手段と兼用に構成することもできる。第2発明
又は第3発明においては、tb1〜txの間又はtx〜
tb2の間で前記のようにして第1又は第2ベースライ
ン点を検出する一方、もうひとつのベースライン点とし
ては、tb2又はtb1におけるクロマトグラム点を用
いる。第4発明又は第5発明においては、第2演算手段
において、それぞれ、上記した第1発明におけるベース
ライン検出開始時間(tb1)又はベースライン検出終
了時間(tb2)のみを使用してベースライン点を1点
のみ検出し、ベースライン点を通過しかつ時間軸に平行
な直線をベースラインとして設定する。
【0036】第4発明及び第5発明においても、tb1
又はtb2の設定は同様である。第1〜第3発明は、被
分析物の前後に他の被分析物や夾雑物のピークが出現す
る場合に特に効果的であり、第4発明は、被分析物のピ
ークの後に他の被分析物ピークや夾雑物のピークが複数
個連なって存在する場合やベースラインが変動する場合
に特に効果的であり、第5発明は被分析物のピーク前に
他の被分析物ピークや夾雑物のピークが複数個連なって
存在する場合やベースラインが変動するする場合に特に
効果的である。従って本発明の解析装置は、解析するク
ロマトグラムにおける被分析物ピークの前後に出現する
ピークの有無により、第1〜第5発明を適宜選択して適
用することが特に好ましい。この目的を達成するため、
例えば、コンピュータと記憶装置で本発明の装置を構成
し、第1〜第5発明の全ての機能をカバーするようにし
ておき、必要に応じていずれかの態様を選択のうえ、ク
ロマトグラム解析を行うことが例示できる。
【0037】本発明の解析装置においては、これまでに
説明した各手段に加え、例えば解析結果を表示したり印
刷する出力手段や、被分析物のピークを検出できなかっ
た場合に警告を発生する手段等を装備することができ
る。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
るために実施例を示すが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0039】図1は、本発明を液体クロマトグラフィー
用のクロマトグラム解析装置に適用した一例を示すもの
である。図中、1は分離カラム、2は検出器を示し、送
液ポンプや試料導入装置等のその他のクロマトグラフィ
ー装置は省略した。
【0040】図中、点線で囲った部分が本発明の解析装
置であり、一台のコンピュータにより本発明の各手段を
構成した。図中、3は第1記憶手段、4は第2記憶手
段、5は第1演算手段、6は第2演算手段をそれぞれ示
す。第1記憶手段3はキーボード7からの入力を記憶
し、第2記憶手段4は検出器2からの出力(クロマトグ
ラム)を記憶し、第1演算手段5は第1及び第2の記憶
手段と連絡され、そして第2演算演算手段は第1演算手
段と連絡されている。また第2演算手段6は、クロマト
グラム解析結果をプリンタ8に出力する。
【0041】図2は、以下の実施例で用いた液体クロマ
トグラム装置の構成の概略を示すものである。該装置
は、溶離液ポンプ9a、9b、試薬ポンプ10a、10
b、オートサンプラ11、2本の前処理カラム12及び
13と1本の分析カラム14、リアクタ15、そして蛍
光検出器16から構成され、さらに溶離液を切り替える
バルブや流路を切り替えるバルブを有するものである。
図1に示した本発明の解析用装置は、検出器16と連結
される。
【0042】図3〜図7は、液体クロマトグラフィーで
得られたカテコールアミンの成分であるノルエピネフリ
ン(NorEpinephrine;NE)、エピネフ
リン(Epinephrine;E)及びドーパミン
(Dopamine;DA)のクロマトグラムについて
第1演算手段によりピーク検出を行った結果を示す結果
である。分析に供した試料は、カテコールアミン成分で
あるNE、E及びDAを各1pg/ml含む標準試料で
あり、これを室温(24.6℃)条件下で測定したもの
である。ピーク出現時間が約16分のピークがNE、約
18.5分のピークがE、そして約25.5分のピーク
がDAである。液体クロマトグラフィー装置としては、
前処理カラムとして2本のカラム(第1の前処理カラム
12は直径4.6mm×75mmの逆相(エーテルゲ
ル)カラム、第2の前処理カラム13は直径3.0mm
×60mmのイオン交換カラム)、分離カラム14とし
て逆相(ODS)用カラム(直径4.0mm×150m
m)を配置した装置を用いた。この装置では、ポンプ9
aで溶離液(リン酸緩衝液(pH7))で試料を第1の
前処理用カラムに送液し(1.0ml/分)、第1の前
処理用カラムに保持された成分に対して、電磁弁を切り
替えることによりポンプ9aで溶離液(硝酸アンモニウ
ム水溶液とアセトニトリルの混合液)を送液して第2の
前処理用カラムに導入し、そして第2の前処理用カラム
に保持された成分に対して、ポンプ9bで溶離液(硝酸
アンモニウムを含むトリス緩衝液(pH7))を分析カ
ラムに送液して分離し(0.7ml/分)、分析カラム
から溶出する成分に蛍光反応試薬を混合した後にリアク
タ15に導入した。リアクタで蛍光反応試薬であるDP
E(Diphenylethylendiamine)
と90℃、3分間反応させて蛍光誘導体化した。蛍光反
応試薬はポンプ10aと10b(各0.25ml/分)
を用いて送液した。蛍光誘導体化した各被分析物は、蛍
光検出器を用いて励起波長340〜360nm、蛍光波
長460nmで測定し、クロマトグラムを得た。
【0043】図3〜図7は、従来の解析方法でベースラ
イン点を設定した図(図3、6)及び本発明の解析装置
でベースライン点を設定した図(図4、5、7)であ
る。図中、NEの前の負のピークとEとDAの間の負の
ピーク(図中矢印を付す)は、装置の切り替えバルブを
切り替えた際に発生したゴーストピークである。
【0044】図中Pは、第1演算手段により検出された
NEのピークであり、tb1及びtb2はNEのピーク
についてベースラインを設定するために第1記憶手段に
記憶されたベースライン検出開始時間及びベースライン
検出終了時間、そしてBは検出されたベースライン点を
それぞれ示す。
【0045】図3は、txからピーク半値巾の5倍ずつ
離れた点をtb1、tb2として、ベースライン点を検
出した結果を示す図である。本例では、tb1〜tx及
びtx〜tb2の間で最も低いクロマトグラム点を検出
し、これらをそれぞれ第1ベースライン点、第2ベース
ライン点とした。
【0046】この例では、負のゴーストピークの影響を
受けて検出された第1ベースライン点がゴーストピーク
の斜面上に設定されてしまった。この結果、NEのピー
ク面積やピーク高さ等が僅かではあるが不正確となっ
た。
【0047】図4は、本発明の第1発明の解析装置によ
りベースライン点を検出した例を示す図である。第2記
憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示したもの
と同一である。本例では、txからピーク半値巾の5倍
ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段に記
憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検出に
は、関数=クロマトグラム点の高さ+c×(((t−t
x)/(tb1−tx)の4乗))という関数を用い、
tb1〜tx及びtx〜tb2の間で該関数が最低値と
なるクロマトグラム点を第1及び第2ベースライン点と
して検出した。
【0048】なお、前記関数における係数cは、検出下
限濃度のピーク高さと同じオーダの値になるように決定
した。
【0049】この例では、検出されたベースライン点は
NEのピーク近くにあり、図3に示した例のように負の
ゴーストピークの影響を受けて第1ベースライン点がゴ
ーストピークの斜面上に検出されることはなかった。
【0050】図5は、本発明の第1発明の解析装置によ
りベースライン点を検出した他の例を示す図である。第
2記憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示した
ものと同一である。本例では、txからピーク半値巾の
5倍ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段
に記憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検
出には、関数=クロマトグラム点の高さ+a×(クロマ
トグラムの傾きの絶対値)という関数を用い、tb1〜
tx及びtx〜tb2の間で該関数が最低値となるクロ
マトグラム点を第1及び第2ベースライン点として検出
した。
【0051】なお、前記関数における係数aは、a×
(クロマトグラムの傾きの絶対値)の値が、クロマトグ
ラムのピーク以外で最大傾きを持つ点で引いた接線の3
0秒あたりの変化量にほぼ等しくなるように決定した。
【0052】この例でも、検出されたベースライン点は
NEのピーク近くにあり、図3に示した例のように負の
ゴーストピークの影響を受けて第1ベースライン点がゴ
ーストピークの斜面上に検出されることはなかった。
【0053】図6は、図3に示したクロマトグラムにつ
いてtxからピーク半値巾の6倍ずつ離れた点をtb
1、tb2としてベースライン点を検出した結果を示す
図である。本例では、tb1〜tx及びtx〜tb2の
間で最も低いクロマトグラム点を検出し、これらをそれ
ぞれ第1ベースライン点、第2ベースライン点とした。
この例では、負のゴーストピークの影響を受けて検出さ
れた第1ベースライン点がゴーストピークの頂点に検出
されてしまった。この結果、NEのピーク面積やピーク
高さ等が僅かではあるが不正確となった。
【0054】図7は、本発明の第1発明の解析装置によ
りベースライン点を検出した例を示す図である。第2記
憶手段に記憶されたクロマトグラムは図3に示したもの
と同一である。本例では、txからピーク半値巾の6倍
ずつ離れた点をtb1、tb2として第1記憶手段に記
憶した。第2演算手段におけるベースライン点の検出に
は、関数=クロマトグラム点の高さ+a×(クロマトグ
ラムの傾きの絶対値)+b×(クロマトグラムの曲率の
絶対値)+c×(((t−tx)/(tb1−tx))
の4乗))という関数を用い、tb1〜tx及びtx〜
tb2の間で該関数が最低値となるクロマトグラム点を
第1及び第2ベースライン点として検出した。
【0055】なお、前記関数における係数aは、a×
(クロマトグラムの傾きの絶対値)の値がクロマトグラ
ムのピーク以外で最大傾きを持つ点で引いた接線の30
秒あたりの変化量にほぼ等しくなるように、bは、b×
(クロマトグラムの曲率の絶対値)がゴーストピークの
頂点付近を2次曲線で近似した時に頂点から10秒離れ
た点での2次曲線の変化量に等しくなるように、係数c
は、検出下限濃度のピーク高さと同じオーダの値になる
ように決定した(ただしcは、図4における係数cの1
/2とした)。
【0056】本例では、tb1〜txの間に負のゴース
トピークが存在するにもかかわらず、図6に示した例の
ように負のゴーストピークの影響を受けて第1ベースラ
イン点がゴーストピークの頂点に検出されることはなか
った。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、液体クロマトグラフィ
ーやガスクロマトグラフィー、更には電気泳動等の結果
得られるクロマトグラムを解析する際に、被分析物のピ
ークの前及び/又は後ろに夾雑物のピークやゴーストピ
ークが出現しても、より的確なベースラインを設定する
ことが可能となる。この結果、夾雑物ピークやゴースト
ピークによる影響を排除して、より正確に被分析物のピ
ーク高さやピーク面積等を求めることができる。
【0058】特に、被分析物のピークの近くに負のゴー
ストピークが存在し、その位置が温度等の条件によって
変化する場合には、従来は、クロマトグラムから実施者
が経験的に判断してその影響を排除し得るようにベース
ラインを設定していたが、本発明により、自動的に負の
ゴーストピークの影響をも排除できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の解析装置の概略を示すための
図である。
【図2】図2は、実施例で使用した液体クロマトグラフ
ィー装置の概要を示す図である。
【図3】図3は、カテコールアミンの一成分であるノル
エピネフリンのピークについてベースライン点を検出し
た様子を示す図である。
【図4】図4は、本発明の解析装置を用いてカテコール
アミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについ
てベースライン点を検出した様子を示す図である。
【図5】図5は、本発明の解析装置を用いてカテコール
アミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについ
てベースライン点を検出した他の様子を示す図である。
【図6】図6は、カテコールアミンの一成分であるノル
エピネフリンのピークについてベースライン点を検出し
た様子を示す図である。
【図7】図7は、本発明の解析装置を用いてカテコール
アミンの一成分であるノルエピネフリンのピークについ
てベースライン点を検出した他の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 分離カラム、2 検出器、3 第1記憶手段、4
第2記憶手段、5 第1演算手段、6 第2演算手段、
7 入力手段、8 出力手段、9a、9b 溶離液ポン
プ、10a、10b 試薬ポンプ、11 オートサンプ
ラ、12、13前処理カラム、14 分析カラム、15
リアクタ、16 検出器

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
    供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
    であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
    するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベー
    スライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb
    2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物について
    のクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶された
    クロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出
    現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を
    検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの
    間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの
    差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベ
    ースライン点を検出し、前記txからtb2の間でクロ
    マトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの差のうち
    の2以上の値を変数とする関数を用いて第2ベースライ
    ン点を検出し、これら設定されたベースライン点を結ぶ
    直線をベースラインとして設定する第2演算手段とを具
    備する前記装置。
  2. 【請求項2】試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
    供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
    であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
    するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベー
    スライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb
    2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物について
    のクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶された
    クロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出
    現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を
    検出する第1演算手段、そして、前記tb1からtxの
    間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及びtxとの
    差のうちの2以上の値を変数とする関数を用いて第1ベ
    ースライン点を検出し、前記tb2におけるクロマトグ
    ラム点を第2ベースライン点とし、これら設定されたベ
    ースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する
    第2演算手段とを具備する前記装置。
  3. 【請求項3】試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
    供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
    であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
    するためのベースライン検出開始時間(tb1)とベー
    スライン検出終了時間(tb2)(ここでtb1<tb
    2である)を記憶する第1記憶手段、被分析物について
    のクロマトグラフを記憶する第2記憶手段、記憶された
    クロマトグラムについて、被分析物のピーク及びその出
    現時間(tx、ここでtb1<tx<tb2である)を
    検出する第1演算手段、そして、前記tb1におけるク
    ロマトグラム点を第1ベースライン点とし、前記txか
    らtb2の間でクロマトグラム点の高さ、傾き、曲率及
    びtxとの差のうちの2以上の値を変数とする関数を用
    いて第2ベースライン点を検出し、これら設定されたベ
    ースライン点を結ぶ直線をベースラインとして設定する
    第2演算手段とを具備する前記装置。
  4. 【請求項4】試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
    供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
    であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
    するためのベースライン検出開始時間(tb1)を記憶
    する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフ
    を記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムに
    ついて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、こ
    こでtb1<txである)を検出する第1演算手段、そ
    して、前記tbxからtxの間でクロマトグラム点の高
    さ、傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変
    数とする関数を用いてベースライン点を検出し、ベース
    ライン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースライ
    ンとして設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  5. 【請求項5】試料中の被分析物をクロマトグラフィーに
    供することによって得られるクロマトグラムの解析装置
    であって、被分析物のピーク分析用ベースラインを設定
    するためのベースライン検出終了時間(tb2)を記憶
    する第1記憶手段、被分析物についてのクロマトグラフ
    を記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムに
    ついて、被分析物のピーク及びその出現時間(tx、こ
    こでtx<tb2である)を検出する第1演算手段、そ
    して、txからtb2の間でクロマトグラム点の高さ、
    傾き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数と
    する関数を用いてベースライン点を検出し、ベースライ
    ン点を通過しかつ時間軸に平行な直線をベースラインと
    して設定する第2演算手段とを具備する前記装置。
  6. 【請求項6】前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾
    き、曲率及びtxとの差のうちの2以上の値を変数と
    し、かつ、変数が小さいほど値の小さくなる又は変数が
    大きいほど値の小さくなる関数であり、第2演算手段は
    該関数の値が最も小さくなる点又は大きくなる点をベー
    スライン点とすることを特徴とする請求項1〜5いずれ
    かの装置。
  7. 【請求項7】前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾
    き、曲率及びtxとの差のうちの3以上の値を変数と
    し、かつ、変数が小さいほど値の小さくなる又は変数が
    大きいほど値の小さくなる関数であり、第2演算手段は
    該記関数の値が最も小さくなる点又は大きくなる点をベ
    ースライン点とすることを特徴とする請求項1〜5いず
    れかの装置。
  8. 【請求項8】前記関数がクロマトグラム点の高さ、傾
    き、曲率及びtxとの差の値を変数とし、かつ、変数が
    小さいほど値の小さくなる又は変数が大きいほど値の小
    さくなる関数であり、第2演算手段は該関数の値が最も
    小さくなる点又は大きくなる点をベースライン点とする
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれかの装置。
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