JP4009737B2 - クロマトグラム用解析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー、更には電気泳動等により複数種の被分析物を含む試料をカラム等の分離手段に供して取得されるクロマトグラムを解析する解析装置に関するものであり、特に測定する目的分析成分が予め定まっている場合に好適に用いられるクロマトグラム用解析装置に関するものである。このような例として、血液や尿中のカテコールアミンやアミノ酸の分析等が例示される。また、品質管理に使用される分析等が例示される。
【0002】
【従来の技術】
クロマトグラフィー装置を用いて目的とする被分析物の濃度を測定するためには、まず被分析物を含む試料を液体クロマトグラフ装置、ガスクロマトグラフ装置又は電気泳動装置等に供して分離、検出し、クロマトグラムを取得する。次にクロマトグラムを解析することによりクロマトグラム中のピークがいずれの被分析物のピークであるかを同定する(以下、時として単にピークの同定ともいう)。そして最後に、同定されたピークのピーク高さやピーク面積を求め、既知量の被分析物を同様の条件下でクロマトグラフィーに供した時のピーク高さやピーク面積と比較して当該被分析物の定量等を行うのである。
【0003】
従来のクロマトグラム解析は、ピークの同定に際して各被分析物のピークが出現すると予想される時間(標準ピーク出現時間;Ti)の前後をピーク検出開始時間及びピーク検出終了時間として設定し、このピーク検出範囲内でクロマトグラムの傾きが正から負へと変化する点やクロマトグラムがゼロに近い傾きから正の傾きをもって増加した後、負の傾きをもって再びゼロに近い傾きに減少するピーク等をピークとして検出し、各被分析物のピークと同定する方法や、前記ピーク検出範囲内のクロマトグラム最高点をピークとして検出し、各被分析物のピークとして同定する方法により行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ピークの同定は、従来、被分析物ピークの標準ピーク出現時間(Ti)とピーク検出開始時間からピーク検出終了時間までの時間巾(ΔTi)を設定し、TiとΔTiにより規定されるピーク検出範囲(通常はTi−ΔTi/2からTi+ΔTi/2)の範囲に存在するピークを検出し、検出されたピークを該被分析物ピークと同定している。
【0005】
ΔTiは、複数種の被分析物についてピーク検出を行う場合、各ピーク検出のために設定されるピーク検出範囲同士が重複しないように、隣接して出現すると予想されるピーク同士の間隔以下に設定するのが普通である。
【0006】
液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、電気泳動等で得られるクロマトグラムは、カラムやキャピラリ、溶離液組成やキャリアガス組成、流速等の内的要因と温度等の外的要因が一定であれば再現性は良好であり、同一被分析物ピークのピーク出現時間やピーク巾の変化は小さい。従って、これら要因が一定であれば予め設定したTi前後に狭い範囲のΔTiを設定しピークを検出すれば正しくピーク同定を行うことが可能である。
【0007】
ところが実際のクロマトグラフィーでは、例えば液体クロマトグラフィーを例とすれば、温度、流速、溶離液組成を一定にすることは事実上不可能であり、またカラムにもロット間格差や経時変化が存在することから、同一の被分析物をクロマトグラフィに供した場合であってもクロマトグラムの形や位置は一定ではなく、実際のピーク出現時間は早まったり、逆に遅くなったりして被分析物用のピーク検出範囲から外れる場合がある。
【0008】
このような場合には、従来の解析法では正しいピーク同定ができなくなり、信頼のおける測定を行うのは困難となる。このように実際のピーク出現時間が変動した場合でもピーク同定を実現するためにΔTiを大きく(ピーク検出範囲を広く)したとしても、何らかの理由により被分析物ピークの実際の出現時間が想定した隣接ピーク出現時間との間隔の1/2以上ずれると正しいピーク同定ができないという課題があった。またΔTiを大きくすると、ゴーストピーク(例えば液体クロマトグラフィーにおいて溶媒を切り替える際に出現する、被分析物に由来しないピーク)や夾雑物に由来するピーク等の妨害ピークを誤って被分析物のピークと同定したり、ピーク検出範囲に他の被分析物ピークが出現する可能性が大きくなるため、結局は正しいピーク同定を行うことは困難である。
【0009】
従って本発明の目的は、クロマトグラムの形や位置が大きく変化し、実際の被分析物ピークがTiと異なる時間に出現した場合でも、ゴーストピークや夾雑物ピークを誤って被分析物のピークと同定することなく、各被分析物ピークを正しく同定できるクロマトグラム用解析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために成された本願請求項1の発明(以下、第1発明という)は、n種の被分析物(nは2以上の自然数)を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムを解析してn種の被分析物の各ピークを検出するクロマトグラム用解析装置であり、各ピークを検出するためのピーク検出開始時間とピーク検出終了時間で規定されるピーク検出範囲であって互いに重複しないn個のピーク検出範囲を含む検索セットをm個(mは2以上の自然数であり、任意の一の検索セットと他の一の検索セットにおいて、n種の被分析物のそれぞれに対して同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が互いに重複する)記憶する第1記憶手段、試料のクロマトグラムを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、各検索セットに含まれる各n個の被分析物に対するピーク検出範囲においてピーク検出を行い、ピークが検出された場合には、該被分析物に検出されたピークを関係づけ、ピークが検出されない場合には、該被分析物にピークを関係づけないで、m個の検索セット間で同一又は異なるピーク同定結果を得る第1演算手段、そして、第1演算手段により得られたm個のピーク同定結果から一の同定結果を選択する第2演算手段とを具備する装置である。
【0011】
また本願請求項4の発明(以下、第2発明という)は、n種の被分析物(nは3以上の自然数)を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムを解析してn種の被分析物の各ピークを検出するクロマトグラム用解析装置であり、各ピークを検出するためのピーク検出開始時間とピーク検出終了時間で規定されるピーク検出範囲であって互いに重複しないn個のピーク検出範囲を含む検索セットをm個(mは2以上の自然数であり、任意の一の検索セットと他の一の検索セットにおいて、n種の被分析物のそれぞれに対して同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が互いに重複する)を記憶する第1記憶手段、試料のクロマトグラムを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、各検索セットに含まれる各n個のピーク検出範囲においてピーク検出を行い、ピークが検出された場合には、該被分析物に検出されたピークを関係づけ、ピークが検出されない場合には、該被分析物にピークを関係づけないで、m個の検索セット間で同一又は異なるピーク同定結果を得る第1演算手段、そして、第1演算手段により得られたm個のピーク同定結果から一の同定結果を選択する第2演算手段とを具備する装置である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のクロマトグラム用解析装置は、試料中の被分析物を分離・展開した後に検出を行う、いわゆるクロマトグラフィーにより取得されたクロマトグラムを解析するために使用することができる。クロマトグラフィーは、分離・展開の原理によって種々の液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーが存在するが、解析対象となるクロマトグラムはいかなるクロマトグラフィーにより得られたものであっても良い。例えば電気泳動結果を適当な染色試薬で染色後、光学測定装置でスキャンニングする等した場合でも、その解析に本発明を使用することができる。更に本発明は、時間の概念を質量数の概念に置き換えることにより、マススペクトル用の解析装置等に適用することも可能である。以下本明細書においては、説明を容易にするために液体クロマトグラフィーにより取得されたクロマトグラムを解析するための装置について説明する。
【0013】
従来の解析方法を実施するための装置は、n種の被分析物ピークを同定する際、ピーク検出開始時間とピーク検出終了時間で規定されるピーク検出範囲であって互いに重複しないn個のピーク検出範囲からなる1個の検索セットを使用するのみであるが、第1発明ではこのような検索セットをm個(mは2以上の自然数)使用する点、そしてこれらm個の検索セットのうち、一の検索セットと他の一の検索セットにおける、同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲の一部を互いに重複させるという特徴を有する。また更には、各検索セットに含まれるn個のピーク検出範囲の各々でピーク検出を行い、検出されたピークを各被分析物のピークと同定して各検索セット間で同一又は異なるm個のピーク同定結果を得、これらのピーク同定結果を評価して最も適当な同定結果を選択する点にも特徴を有する。ピーク検出において、n個のピーク検出範囲のすべてに対してピークが検出されるわけではなく、ピークが検出されない場合もある。ピークが検出されない場合には、被分析物にピークの関係づけが存在しないというピーク同定結果になる。
【0014】
一方第2発明は、n種の被分析物(nは3以上の自然数)のピークを同定するに当たり、n個のピーク検出範囲を含む検索セットをm個(mは2以上の自然数)使用する点、そしてこれらm個の検索セットのうち、一の検索セットと他の一の検索セットにおける、同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲の一部をそれぞれ互いに重複させるという特徴を有する。また更には、各検索セットに含まれるn個のピーク検出範囲の各々でピーク検出を行い、検出されたピークを各被分析物のピークと同定して各検索セット間で同一又は異なるm個のピーク同定結果を得、これらのピーク同定結果を評価して最も適当な同定結果を選択する点にも特徴を有する。第1発明と同様に、ピーク検出において、n個のピーク検出範囲のすべてに対してピークが検出されるわけではなく、ピークが検出されない場合もある。ピークが検出されない場合には、被分析物にピークの関係づけが存在しないというピーク同定結果になる。
【0015】
第1記憶手段は、n種(nは、第1発明においては2以上の自然数、第2発明においては3以上の自然数である)の被分析物ピークを検出するためのn個のピーク検出範囲を含む検索セットを記憶する手段であり、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成することができる。第1記憶手段が記憶する検索セットの数は、m(mは2以上の自然数)である。各検索セットに含まれるピーク検出範囲は、n種の被分析物の各ピークを検出するためn個であるが、同一の検索セットに含まれる、異なる被分析物のピーク検出用ピーク検出範囲は互いに重複しないように、例えばキーボード等の外部入力手段を用いて第1記憶手段に記憶させる。
【0016】
第1記憶手段に記憶させる検索セット中の各ピーク検出範囲は、例えば既知量の各被分析物を含む標準試料をクロマトグラフィーに供して得たクロマトグラムから算出される、各ピーク出現時間(標準ピーク出現時間;Ti)に基づき設定することができる。測定は実際の測定と同一条件下で実施されることがより好ましいが、本発明においては必ずしも同一条件でなくともかまわない。即ち、標準ピーク出現時間に基づいて任意の検索セット中の各ピーク検出範囲を設定し、他の検索セットにおいてはこれとは異なるピーク検出範囲を設定し、第1記憶手段に記憶させるのである。例えば第1発明及び第2発明において、それぞれ、例えば後述する式に従ってTiに基づき任意の検索セット中の各ピーク検出範囲を設定することが例示できる。ここで、各被分析物ピークの出現時間の間隔や、実際のピーク出現時間は、内的又は外的要因の変化により変動する。例えば溶媒組成や温度が一定条件下で液体クロマトグラフィーを実施する場合には、内的・外的要因が変化しても一分析を実行している間はほぼ一定と考えられるならば、ピーク出現時間の間隔やピーク出現時間の変動量はピーク出現時間に比例した値又は素通り成分の出現時間からピーク出現時間までの時間差に比例した値になる。また溶媒組成や温度にグラジエントをかけた場合やカラムスイッチなどで流路を切り替えた場合は、通常、ピーク出現時間の変動量はピーク毎に異なる。このような変動を考慮した上で、第1記憶手段が記憶するm個の検索セットにおけるピーク検索範囲を設定する。
【0017】
第1発明においては、より具体的に、同一種の被分析物ピークを検出するための、m個の検索セットに含まれるm個のピーク検出範囲の中心は、実数Aj(j=1〜m、Aj<Aj+1)に対してT1+Aj×ΔT1、T2+Aj×ΔT2、T3+Aj×ΔT3、・・、Tn+Aj×ΔTnで与えられ、ここでAj+1−Aj<1であるように設定することが例示できる。特定のピークのピーク出現時間が内的・外的要因によって他のピークと逆方向に移動する場合には、該ピークに対する実数AjはAj>Aj+1であり、Aj+1−Aj>−1となるように設定する。ΔTiはピーク検出範囲の巾であり、正の値である。より具体的に、例えば2個の検索セットを設定する場合に、ピーク検出範囲の中心をTi−ΔTi/6及びTi+ΔTi/6とすることが例示できる。また3個の検索セットを設定する場合に、ピーク検出範囲の中心をTi−ΔTi/2、Ti、Ti+ΔTi/2とすることが例示できる。5個の検索セットを設定する場合に、ピーク検出範囲の中心をTi−ΔTi、Ti−ΔTi/2、Ti、Ti+ΔTi/2、Ti+ΔTiとすることが例示できる。ピーク検出範囲の中心とピーク検出範囲の巾が与えられた時、中心の前後、各ΔTi/2を検出範囲とすればよい。
【0018】
上記具体例は各検索セット中の、同一の被分析物のピークを検出するためのピーク検出範囲をΔTi×2/3又はΔTi/2づつ重複させる設定であるが、重複量は、一般的にはΔTi/4からΔTi×3/4程度の範囲で変更することができる。
【0019】
第2発明においては、n種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲の中心は、aj×T1+bj、aj×T2+bj、aj×T3+bj、・・、aj×Tn+bj(ただし、j=1〜m)で与えられ、その前ΔTi/2からその後ΔTi/2を検出範囲とすることが例示できる。各ピーク検出範囲の中心の位置は、標準ピーク出現時間を時間ゼロを基準として伸縮させた後に平行にずらしたものであるが、標準ピーク出現時間を時間ゼロ以外の点を基準として伸縮させたものと等価である。
【0020】
即ちajとbjの値を検索セット毎に変化させるのである。ただしいずれの検索セットにおいても、ajは1に近い実数、bjはゼロを含む範囲から選ばれる実数である。
【0021】
特にすべてのjに対してajが1のときに検索セットにおける各ピーク検出範囲の中心はT1+bj、T2+bj、T3+bj、・・、Tn+bjとなり、任意の検索セットにおける各ピーク検出範囲の中心の位置関係は他の検索セットで変動せず(相対的な位置関係を保持したまま)平行にずれるのみとなる。特にすべてのjに対してbjがゼロの時には他の検出セットにおける各ピーク検出範囲の中心はaj×T1、aj×T2、aj×T3、・・、aj×Tnとなり、任意の検索セットにおける各ピーク検出範囲の中心の位置関係は他の検索セットでは相対的な位置関係を保持したまま時間ゼロを基準にして伸縮するのみとなる。このように、第2発明においては、被分析物のピーク出現時間の位置関係が保持されたまま、平行にずれて出現し、伸縮して出現し、又は伸縮した上で平行にずれて(=時間ゼロ以外の点を基準として伸縮して)出現した場合に備えて検索セット中のピーク検出範囲を設定する。
【0022】
係数ajは、通常は0.7〜1.3程度の範囲の値とすることが好ましく、特に好ましくは0.8〜1.2程度の値である。一方係数bmは、通常は全ピークが溶出される時間の10〜15%程度の値とすることが好ましい。
【0023】
係数ajとbjの設定についてさらに好ましい具体的例をあげて説明する。
【0024】
クロマトグラムが唯一の要因により変動する場合には、一般に時間ゼロ以外の一点(r)を基準として伸縮すると考えられるので、各ピーク検出範囲の中心を (1+p(j−(m+1)/2))(Ti−r)+r(ただし、p、qは実数、j=1〜m)と表わすことができる。この時、係数ajとbjはaj=1+p (j−(m+1)/2)、bj=p(j−(m+1)/2)(−r)となる。
【0025】
クロマトグラムが二つの要因により変動する場合には、一般に時間ゼロ以外の一点(r)を基準として伸縮した上で、時間ゼロ以外の一点(s)を基準として伸縮すると考えられるので、各ピーク検出範囲の中心を(1+q(u−(m2+1)/2))((1+p(t−(m1+1)/2))(Ti−r)+r−s)+s(ただし、p、qは実数、t=1〜m1、u=1〜m2)と表わすことができる。ここで、m=m1×m2、j=(t−1)×m2+uとおけば、j=1〜mの整数となり、係数ajとbjはaj=(1+q(u−(m2+1)/2)) (1+p(t−(m1+1)/2))、bj=(1+q(u−(m2+1)/2))p(t−(m1+1)/2)(−r)+q(u−(m2+1)/2)(−s)となる。
【0026】
クロマトグラムが3つの要因で変動する場合には、一般に時間ゼロ以外の一点(r)を基準として伸縮した上で、時間ゼロ以外の一点(s)を基準として伸縮し、さらに第3の時間ゼロ以外の一点を基準として伸縮すると考えられるが、第3の時間ゼロ以外の一点を基準とした伸縮は第1の点(r)と第2の点(s)を基準とした伸縮の組み合わせで表現することが可能である。したがって、3つの要因から、クロマトグラムに与える影響が大きい要因を2つ取出し、2つの要因により変動する場合と同じように係数ajとbjを設定することができる。第3の要因による変動の大きさが第1と第2の要因による変動の大きさに比例して十分に小さいといえない場合は、第3の要因による変動を第1及び第2の要因を組み合わせて表現できるように全体としての検索範囲を広くすることが好ましい。例えば、パラメータp、q及びm1、m2を第3の要因を考慮して大きめの値に設定することが好ましい。
【0027】
クロマトグラムが4つ以上の要因で変動する場合には、3つの要因で変動する場合と同じで、クロマトグラムに与える影響が大きい要因を2つ取出し、2つの要因により変動する場合と同じように係数ajとbjを設定することができる。 第1発明及び第2発明において、ピーク検出範囲の巾ΔTiは、各隣接して出現するピークの標準ピーク出現時間の差(Ti+1−Ti又はTi−Ti-1の差)より小さくなるようにΔTi=α×Ti+β(α、βは係数)とすることが例示できる。内的・外的要因による各ピーク出現時間の変動量がピーク出現時間に比例する場合にはΔTi=α×Tiとすることができる。内的・外的要因による各ピーク出現時間の変動量がほぼ同じ大きさである場合やほぼ同じ時間に出現する複数のピークを扱う場合にはΔTi=βとすることができる。また、隣接するピーク間隔が比較的狭い場合には、全検索セット中の各ピーク検出範囲の巾ΔTiを、可能な限り小さい値とすることが例示できる。内的・外的要因による各ピーク出現時間の変動が時間ゼロ以外の一点(r)を基準とした伸縮で表わすことができる場合には、ΔTiを小さくして検索セットの数を多くし、全体としての検索範囲を広くすることができる。一方、ピークの間隔が十分に広い場合又は各ピーク出現時間が不規則に変動する場合には、ΔTiを大きくし、検索セットの数を少なくすることが例示できる。第1演算手段が十分な処理能力を有する場合には、多数の検索セットを設定して、ΔTiをピーク出現時間の自然な変動の大きさの数倍程度の大きさまで小さくすることが特に好ましい。ここで自然な変動とは、内的・外的環境を一定の条件に保持した場合でも避けられないピーク出現時間の変動を意味する。ΔTiを小さくすることにより、一つのピーク検出範囲に二つ以上のピークが含まれることを防止することができ、評価関数による選択と組合せることにより、夾雑物ピークやゴーストピークによる同定ミスを避けることができるからである。
【0028】
検索セットの数、検出範囲の巾は、被分析物のピーク出現時間が変動すると予想される範囲を勘案のうえ決定する。全体としての検索範囲を一定とした場合、各検索セットにおけるピーク検出範囲を仮に同一の小さな値とすると、検索セット数は多くなる。各検索セット間でのピーク検出範囲の重複を大きくとった場合も同様である。例えば第2発明を用いて液体クロマトグラフィーによりノルエピネフリン(NE)、エピネフリン(E)、ドーパミン(DA)を分離後、そのクロマトグラムを分析する場合には、本発明者の知見では、変動要因1つ当たり5〜21程度、変動要因が2つ以上の時は5×5〜21×21程度の検索セットを設定し、各検索セットに対してNE、E、DAの各被分析物のピーク検出範囲を設定し(各検索範囲のΔTiは5〜30秒程度である)、標準試料のクロマトグラムにおいては全ピーク検索セットにより、流量要因と温度要因に対してそれぞれ、NEについては2.1分と0.9分、Eについては2.7分と1.6分、DAについては4.6分と4.2分の範囲をカバーすることが好ましい具体例として例示できる。また、未知試料のクロマトグラムにおいては全ピーク検索セットにより、流量要因と温度要因に対してそれぞれ、NEについては0.4分と0.7分、Eについては0.5分と1.2分、DAについては0.9分と3.2分の範囲をカバーすることが好ましい具体例として例示できる。
【0029】
なお検索セット中の各ピーク検出範囲のΔTiは同一である必要がなく、通常、被分析物毎に異なる値を設定する。また、異なる検索セット中の同一の被分析物に対するピーク検出範囲についてもΔTiを同一とする必要はない。たとえば、k番目のピーク検索セットにおいてΔTi=αk×Ti+βk(αk,βkは係数)としてもよい。
【0030】
以上のように、第1記憶手段が記憶するm個の検索セット中には、同一種の被分析物ピークを検出するためのm個のピーク検出範囲が含まれるが、クロマトグラムに変動が生じた場合であっても、通常、ピーク検出範囲の中心の時間(又はピーク検出開始時間とピーク検出終了時間)が異なる少なくとも1つのピーク検出範囲においてピーク同定が可能となる。
【0031】
本発明における第2記憶手段は、解析するクロマトグラムを記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成でき、例えば液体クロマトグラフィーにおける検出装置からの検出信号を経時的に記憶できれば良い。また第2記憶手段は前記第1記憶手段と一体に構成することもできる。なお、該経時的記憶は連続的なものであっても良いし、例えば1秒毎等の、間欠的なものであっても良い。間欠的にクロマトグラムを記憶する場合には、ピーク巾に比較して十分に短い時間間隔で値を記憶することが好ましい。なお、時間は、例えば分離カラム等の分離手段に試料を供した時間を0(ゼロ)として記憶しても良いし、試料を供した時間から所定の時間経過した後に検出信号の記憶を開始する場合には該時間を0(ゼロ)として記憶しても良い。電気泳動の結果をスキャンする場合には、移動距離を時間に置き換えて考えれば良い。
【0032】
ここで第2記憶手段は、第1演算手段による各被分析物のピーク同定に先立ち、記憶したクロマトグラムについて、例えば単純移動平均、多項式フィッティング、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるスムージング処理を行ったり、単純スパイク除去処理、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるスパイクノイズ除去処理を行うものであっても良い。もちろんスパイクノイズ処理を行ってからスムージング処理を行うこともできる。これらの処理を行うことにより、ノイズを除去しておけば、クロマトグラムから得られる被分析物ピークの最高値や最低値が正確になり、より信頼性の高い解析結果を得ることができる。むろん、第2記憶手段に代えて第1演算手段で上記のようなクロマトグラムの処理を行うように構成することもできる。
【0033】
単純移動平均はYn=Sum(Xi)/mで表され(Sumは連続するデータXiを加算する関数であり、mは加算するデータの数である)、多項式フィッティングはYn=Sum(Ki×Xi)/Sum(Ki)で表され(Sum及びXiは前記同様であり、Kiは例えばSavitzky−Golay法により、データを2次式又は3次式にフィッティングするように決定される係数である)、フーリエ変換によるスムージング処理はデータをフーリエ変換して周波数軸で高周波成分をカットするウィンドウ関数をかけ、逆フーリエ変換で時間軸に戻すことをいい、ウェーブレット変換によるスムージング処理とスパイクノイズ除去処理は例えばAnalyticalChemistry、第69巻、1号、1997年、第78〜90頁に記載された処理であり、単純スパイク除去処理としてはメディアン法(Y=Median(Xi)で表される、連続する3ないし5のデータの中心を取る方法)等が例示できる。
【0034】
第1演算手段は、前記第1記憶手段が記憶したm個の検索セット毎に、各被分析物のピークを同定する手段であり、コンピュータ等を用いて構成することができる。各被分析物のピーク同定は、検索セットに含まれる各被分析物ピークを検出するためのピーク検出範囲においてピークを検出し、各検索セット毎のピーク同定結果を第2演算手段に出力する。即ち、例えばn=3でm=3である場合、第1〜第3の検索セットのそれぞれが第1〜第3の被分析物のピーク同定結果を含む。むろん、ピーク検出範囲でピークが検出されないことも起こり得る。したがって、n=3である場合には、各ピーク同定結果に、3又は2以下の被分析物とピークの関係づけが含まれる。
【0035】
第1演算手段による各ピーク検出範囲でのピーク検出は、従来のクロマトグラム検出方法でのピーク検出と同様にすれば良い。具体的に例えば、(1)各ピーク検出範囲でクロマトグラムの傾きが正から負へと変化するクロマトグラム点を含むピークを検出し、(2)各ピーク検出範囲でクロマトグラムがゼロに近い傾きから正の傾きをもって増加した後、負の傾きをもって再びゼロに近い傾きに減少するピークを検出し、又は、(3)各ピーク検出範囲でのクロマトグラム最高点をピークとして検出するように第1演算手段を構成することが例示できる。第1演算手段を(1)又は(2)のように構成すると、ピーク検出範囲内で複数のピークが検出され得るが、この場合には検出された複数のピークの中で最高のクロマトグラム点を含むピークを選択し、又は、面積が最大のピークを選択するように構成すれば良い。また(1)又は(2)の構成では、各ピーク検出範囲毎にピーク検出を行う代わりに、予め全てのピークを検出し、その属性を求め、続いて各ピーク検出範囲毎にその範囲に出現したピークを予め検出されたピークの中から選択することもできる。
【0036】
なお、第1演算手段を(3)のように構成した場合であって、検出されたクロマトグラム最高点がピーク検出範囲の端に位置するときは、これをピークとして検出しないように第1演算手段を構成することが好ましい。
【0037】
第2演算手段は、第1演算手段によるピーク同定結果を検索セット毎に評価し、その中から1の同定結果を選択するものである。ここで評価とは、m個の被分析物ピーク同定結果について、それぞれ同定されたピークが真に被分析物に由来するピークであるか否かを判定することを意味する。第2演算手段はコンピュータ等を用いて構成することができ、第1演算手段と兼用としても良い。また第2演算手段は、単にm個のピーク同定結果から1の同定結果を選択することに留まらず、例えば各同定された各被分析物ピークについて更に解析を行い、ピーク高さ又はピーク面積を既知濃度の被分析物を含む試料のクロマトグラム解析結果と比較する等してその定量を行うように構成することもできる。
【0038】
第1演算手段と第2演算手段の間にさらに第3演算手段を設けることができる。第3演算手段は第1演算手段によるピーク同定結果を入力とし、同定結果について各被分析物ピークが適正かどうかを判定し、適正でない場合には被分析物とピークの関係づけを削除する。このように第3演算手段で処理されたピーク同定結果が第2演算手段に与えられる。
【0039】
第3演算手段における被分析物ピークの判定は、例えば、各被分析物ピークの属性を数値化した基準を用い、m個の検索セットにおいて同定された各ピーク属性を数値化した後、前記基準と比較し、該基準値を満たさない同定結果を除外することにより実行されるようにすることが例示される。比較は一種のピーク属性に基づいて行うこともできるが、複数のピーク属性に基づいて行うこともできる。 この構成におけるピーク属性を数値化した基準値としては、各被分析物のピーク出現時間、ピーク巾、ピーク高さ、ピーク面積から選ばれる1以上の基準値を例示できる。複数のピーク属性の基準値を用いる例として、ピーク巾とピーク高さを基準値とすることもできる。
【0040】
基準値は予め各被分析物を含む標準試料についてのクロマトグラムに基づいて設定されるが、ピーク巾、ピーク高さ、ピーク面積等の変動要因である内的・外的要因は刻々と変化することから、例えば一定時間毎に標準試料についてのクロマトグラムを取得し、第3演算回路が使用する基準値を更新することが好ましい。なおピーク高さ等を求めるためには、各ピーク毎にベースラインを設定等し、ベースラインから該点までの距離を求める等すれば良い。
【0041】
より具体的に、第3演算手段は、例えばピーク巾を基準値として使用するのであれば、半値巾(ピーク高さの1/2の高さにおけるピーク巾)、1/5値巾 (ピーク高さの1/5の高さにおけるピーク巾)、1/10値巾(ピーク高さの1/10の高さにおけるピーク巾)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基準値を用い、第1演算手段で検出されたピークの属性を数値化した値を同定された被分析物のピーク基準値と比較し、該値が該基準値と大きく異なる場合にはゴーストピークや夾雑物に由来するピークと判定して被分析物とピークの関係づけを削除する。該値が該基準値と大きく異なる場合として、例えば該値が基準値のプラスマイナス40%の範囲内に収まらない場合や、ピーク巾の上限及び下限として設定された値の範囲に含まれない場合等を例示することができる。
【0042】
本発明のクロマトグラム用解析装置では、第3演算手段において、既知の被分析物を含む標準試料についてのクロマトグラム解析に用いるピーク巾等の基準値と、被分析物を含むか否かさえ不明の試料についてのクロマトグラム解析に用いるピーク巾等の基準値として、異なる値を基準値とすることもできる。ここでいう標準試料とは、例えば被分析物を含む(又は含むと予想される)試料を液体クロマトグラフィー等に供するに先立ち、一定時間経過毎に供される、既知濃度の被分析物を含む試料を意味する。つまり、標準試料のクロマトグラムを解析するに当たり、別の装置を使用するか、又は以前に同じ装置で取得した標準試料のクロマトグラムにおけるピーク出現時間やピーク巾を基準値として使用し、以後の被分析物を含む試料のクロマトグラム解析に当たっては、この新たに取得された標準試料のクロマトグラムにおけるピーク出現時間やピーク巾を基準値として使用するのである。
【0043】
基準値として例示したピーク出現時間、ピーク巾、ピーク高さ、ピーク面積の中で、ピーク巾とピーク高さ又はピーク面積を基準値として使用することが特に好ましい。またピーク巾の中では、ピークの重なりの影響を受けにくいことから、半値巾を使用することが特に好ましい。標準試料のクロマトグラム解析ではピーク巾とピーク高さをピーク巾とピーク高さの基準値と比較することにより判定することができる。一方、未知試料の場合には、ピーク巾については標準試料と同じように判定できるが、含まれている被分析物濃度(もし含まれていればであるが)により、クロマトグラムのピーク高さや面積が異なるので、クロマトグラムのノイズの大きさに応じてピーク高さ又はピーク面積の基準値を設定し、該基準値以下のピークをノイズによるピークであると判定し、被分析物とピークとの関係づけを削除することが好ましい。
【0044】
夾雑物に由来するピークが出現すると予想される試料のクロマトグラム解析においては、検索セットに含まれるピーク検出範囲の巾を狭くして被分析物ピーク検出を行うことが好ましいが、これと共にピーク巾等の基準値を厳密に設定することが好ましい。この目的を達成するためには、既知濃度の被分析物を含む標準試料を一定時間毎にクロマトグラフィーに供してクロマトグラムを得、該クロマトグラムからこれら基準値を求めて第3演算手段が使用する基準値を随時更新することが特に好ましい。いずれにせよ、外的要因が変化した場合には、前記標準試料のクロマトグラムを広いピーク検出範囲又はピーク巾等の緩やかな基準で解析し、ピークの出現時間とピーク巾を求めたうえで、試料のクロマトグラムを狭いピーク検出範囲又はピーク巾等のきつい基準値で解析するようにすることが好ましい。
【0045】
第2演算手段においてm個の検索セットによるm個の同定結果を評価し、1個の同定結果を選択するためには、被分析物のピーク属性等を組合せて用いることができる。評価は評価内容を評価関数で表現し、評価関数の関数値の大小で評価することが好ましい。また例えば、(1)関係づけられた被分析物の数を関数値として出力する関数を用い、該関数の結果に基づき実行されるようにしたり、 (2)関係づけられた被分析物ピークの数、及び各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間との差のうち1以上の値を変数とする評価関数を用い、m個の検索セットにおいて同定された各ピークによって得られた値を該評価関数に代入して得られる結果に基づき実行されるようにしたり、又は、(3)関係づけられた被分析物ピークの数、及び各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積の均一性、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間との差のうち1以上の値を変数とする評価関数を用い、m個の検索セットにおいて同定された各ピークによって得られた値を該評価関数に代入して得られる結果に基づき実行されるように第2演算手段を構成することが例示できる。相関の指標としては、ピーク出現時間の標準値と検出されたピーク検出時間の相関係数、ピーク出現時間の標準値と検出されたピーク出現時間の間の回帰直線からの誤差の絶対値の最大値、誤差の絶対値の平均値、回帰直線からの誤差の分散又は標準偏差などを使うことができる。
【0046】
(2)及び(3)において同じ評価内容に対して、評価関数を単一の評価関数で表現することも複数の評価関数の組み合わせで表現することも可能である。後者の場合には、複数の評価関数で表現し、複数回繰返して評価することもできる。より具体的には、被分析物ピークの数とピーク高さの均一性を変数とする関数を用いて評価してもよいし、被分析物ピークの数を変数とする関数を用いて評価して被分析物ピークの数が最大となる同定結果を選択した後で、選択された同定結果をピーク高さの均一性を変数とする関数を用いて評価してもよい。
【0047】
上記(1)の評価関数の例として、各検索セット中で被分析物ピークであると判定されたピークの数を関数値として出力する関数を例示することができる。そして、関数が最大値をとる検索セットを選択する。被分析物ピークであると評価されるピーク数は最大nであるが、被分析物ピークであると評価されたピーク数がnである検索セットが複数存在する場合には、単に、先に評価した結果を選択することが例示できる。第2演算手段において、上記(1)のように被分析物ピークの数だけで評価することは、夾雑物ピークやゴーストピークが被分析物ピークの近くに出現しない場合に有効である。これに対し、例えば血漿や尿等の試料のカテコールアミン分析のように、夾雑物ピークやゴーストピークが被分析物ピークの近くに出現する場合等には、第2演算手段において前記(2)又は(3)のようにピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間との差等を変数とする評価関数を用いることが好ましい。
【0048】
全検索セットにおいて被分析物ピークであると評価されたピーク数が0である場合には、検索セットの設定にもよるが、試料に被分析物が含まれていない、クロマトグラムが何らかの外的・内的要因により解析不能となるほど変動している、という理由が考えられる。従ってこのような場合には、第2演算手段と連絡する出力手段を設け、評価結果とともにこのようなアラートを表示することが好ましい。第2演算手段は、このような評価結果を出力するため、ディスプレイ装置又はプリンタ等の出力装置と連絡していることが好ましい。また、全検索セットにおいて被分析物ピークであると評価されたピーク数がn以下である場合には、n種の被分析物のうち一以上の被分析物について上記同様のことが考えられる。
【0049】
評価関数としては、各被分析物ピーク数、各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積に関する評価関数や、各被分析物ピーク数、各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積の均一性に関する評価関数を例示できる。関係づけられない被分析物ピークの扱いについては、各被分析物ピーク数を評価関数の変数とし関係づけられた被分析物ピークに関する変数だけを評価関数に代入することも、また、関係づけられない被分析物ピークには適当な値を割り付けて全被分析物ピークに関する値を評価関数に代入することもできる。この時の適当な値としては、第3演算手段で用いたピーク巾やピーク高さの限界値などを選択することができる。例えば既知濃度の被分析物を含む標準試料のクロマトグラム解析用評価関数としては、各被分析物ピーク数に加えて、標準試料のクロマトグラムでは各被分析物ピークの巾がある程度予想可能であること、各ピークの高さ又は面積が大きく、しかも各ピークの高さ又は面積の値が同じオーダの値であること等を総合的に考慮して、これらの要素を単一又は組み合わせて評価する関数を使用することが好ましい。単一の要素を用いる場合、ピーク巾を用いることが好ましいが、特にピークの重なりの影響を受けにくい半値巾が好ましい。また、2以上の要素を用いる場合には、優先される要素を決定しておくこともできる。
【0050】
第2演算手段において、各ピークの高さ又は面積が大きく、しかも各ピークの高さ又は面積の値が同じオーダの値であることから評価を行うためには、例えば、i番目に出現したピークの高さ又は面積の値をXiとすれば(X1・X2・・・Xn)×((min(X)/max(X))p(pは1を超える値)という評価関数を使用することが例示できる。従って、全成分数が3の時に、Xiを小さい順にXmin、Xmid、Xmaxとし、pを2とすると評価関数はXmin 3×Xmid/Xmaxとなる。また、pを3とすると評価関数はXmin 4×Xmid/Xmax 2となる。なお、評価関数としてここに例示した関数を累乗した関数を用いても評価関数が最大となるピーク検索セットは同一であり、同じ効果が得られる。また、例えば既知濃度の被分析物を含む標準試料のクロマトグラムにおいて、ピークの高さ又は面積が検出感度の差異等により各被分析物のピークによって大きく異なることが予想される場合には、ピークの高さ又は面積の値に係数をかけ、ほぼ一定の値に変換してから上記評価関数による評価を行うことが好ましい。
【0051】
未知濃度の被分析物を含む複数の試料についてのクロマトグラム解析では、各試料に含まれる同一種の被分析物濃度が同じオーダであることが分かっている場合には、上記説明したような評価関数を用いてクロマトグラム解析を行うことができる。一方、被分析物濃度が試料により数10倍以上まで変化する場合には、上記した評価関数を用いることは困難となるが、ピーク巾や被分析物の予想される濃度範囲から推定されるピークの高さ又はピーク面積の取り得る値の範囲等を考慮して解析を行うことができる。
【0052】
第2演算手段において評価関数を用いてm個の検索セットによるm個の同定結果を評価し、1個の評価結果を選択するためには、関係づけられた被分析物ピークの数、及び被分析物ピークに関する1以上の値を変数とする前記(2)又は (3)の評価関数が最大となる検索セットにおける同定結果を選択すれば良い。また先に、ピークが検出されたピーク検出範囲数の数により第1の評価関数を用いて評価を行っておき、次に第2の評価関数を用いる評価を行って最終的に1の同定結果を選択することもできる。
【0053】
本発明のクロマトグラム用解析装置を用いてクロマトグラムを解析するに当たっては、クロマトグラム全体を一度に解析する以外に、例えばクロマトグラムを標準的なピーク出現時間や被分析物の溶出挙動により、複数の、1以上のピークを含む群に分割したうえで2以上のピークを含む群に対して本発明を適用することもできる。ピーク出現時間による分割は、クロマトグラム中のピーク数が多い場合やピーク出現時間の変動量が比較的出現時間の早い被分析物と遅い被分析物の間で良好に相関しない場合には、特に有効である。被分析物の溶出挙動による分割は、酸性物質と中性物質と塩基性物質に分割したり、親水性物質と疎水性物質に分割する例が例示できる。このような例としてはアミノ酸分析などが例示できる。
【0054】
本発明の解析装置は、例えばコンピュータ等の単一装置で構成することができる。この場合、複数の第1記憶手段を構成しておき、被分析物の種類によって適宜適当な手段を選択使用するように構成したり、第2演算手段及び第3演算手段が使用する評価又は判定用の基準値や評価関数を複数設定しておき、適宜適当なものを選択使用するように構成することができる。
【0055】
また、これまでに説明した各手段に加え、例えば解析結果を表示したり印刷する出力手段や被分析物のピークを検出できなかった場合にアラートを発生する手段等を装備することもできる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
図1は、本発明を液体クロマトグラフィー用のクロマトグラム解析装置に適用した一例を示すものである。図中、1は分離カラム、2は検出器を示し、送液ポンプや試料導入装置等のその他のクロマトグラフィー装置は省略した。
【0058】
図中、点線で囲った部分が本発明の解析装置であり、一台のコンピュータにより各手段を構成してある。図中、3は第1記憶手段、4は第2記憶手段、5は第1演算手段、6は第2演算手段である。第3演算手段を追加する場合には、第1演算手段と第2演算手段の間に配置すれば良い。第1記憶手段3はキーボード7からの入力を記憶し、第2記憶手段4は検出器2からの出力(クロマトグラム)を記憶し、第1演算手段5は第1及び第2の記憶手段と連絡され、そして第2演算手段は第1演算手段と連絡されている。また第2演算手段6は、クロマトグラム解析結果をプリンタ8に出力する。
【0059】
図2は、以下の実施例で用いた液体クロマトグラム装置の構成の概略を示すものである。該装置は、溶離液ポンプ9a、9b、試薬ポンプ10a、10b、オートサンプラ11、2本の前処理カラム12及び13と1本の分析カラム14、リアクタ15、そして蛍光検出器16から構成され、さらに溶離液を切り替えるバルブや流路を切り替えるバルブを有するものである。図1に示した本発明の解析装置は、検出器16と連結される。
【0060】
図3は、高速液体クロマトグラフィーにノルエピネフリン(NE)、エピネフリン(E)、ドーパミン(DA)を各1pg/ml含む標準試料を供して得られたクロマトグラムを模式的に示す図である。図中、「×」を付したピークは、装置中の溶離液や流路切り替えバルブを切り替えた際に発生した、前記被分析物に由来しないゴーストピークである。液体クロマトグラフィー装置としては、前処理カラムとして2本のカラム(第1の前処理カラム12は直径4.6mm×75mmの逆相(エーテルゲル)カラム、第2の前処理カラム13は直径3.0mm×60mmのイオン交換カラム)、分離カラム14として逆相(ODS)用カラム(直径4.0mm×150mm)を配置した装置を用いた。この装置では、ポンプ9aで溶離液(リン酸緩衝液(pH7))で試料を第1の前処理用カラムに送液し(1.0ml/分)、第1の前処理用カラムに保持された成分に対して、電磁弁を切り替えることによりポンプ9aで溶離液(硝酸アンモニウム水溶液とアセトニトリルの混合液)を送液して第2の前処理用カラムに導入し、そして第2の前処理用カラムに保持された成分に対して、ポンプ9bで溶離液(硝酸アンモニウムを含むトリス緩衝液(pH7))を分析カラムに送液して分離し(0.7ml/分)、分析カラムから溶出する成分に蛍光反応試薬を混合した後にリアクタ15に導入した。リアクタで蛍光反応試薬であるDPE(Diphenylethylendiamine)と90℃、3分間反応させて蛍光誘導体化した。蛍光反応試薬はポンプ10aとポンプ10b(各0.25ml/分)を用いて送液した。蛍光誘導体化した各被分析物は、蛍光検出器を用いて励起波長340〜360nm、蛍光波長460nmで測定し、クロマトグラムを得た。
【0061】
図4は、NE、E及びDAを含む試料のクロマトグラムを解析する例について説明するための図であり、前記標準試料のクロマトグラムからNE、E、DAそれぞれのピーク出現時間1、2又は3を求め、NEとEについては1と2の時間差の80%のピーク検出範囲巾(ΔTi)を設定し、DAについては、DAのピーク付近に他のピークが存在しないことから、他の検出範囲巾の2倍とした。NEについてのピーク検出開始時間は1の前ΔTi/2から1の後ΔTi/2であり、Eについてのピーク検出開始時間は2の前ΔTi/2から2の後ΔTi/2、そしてDAについてのピーク検出範囲は3の前ΔTi/2から3の後ΔTi/2である。
【0062】
図4の例では、実際のクロマトグラムにおけるNE、E及びDAのピーク出現時間が、外部環境温度の変化により、標準試料におけるピーク出現時間1、2又は3からそれぞれ点線の位置にずれて(遅れて)いるが、ずれの巾が小さいため、各ピーク検出範囲内でクロマトグラムの最高点を探し、該点を含むピークを検出することにより、各ピークの同定を正しく行える。
【0063】
図5では、実際のクロマトグラムにおけるNE、E及びDAのピーク出現時間が1、2及び3からそれぞれ点線の位置にずれて(遅れて)いるが、ずれの巾がピーク間隔よりは小さいにもかかわらず、E及びDAのピーク検出範囲に実際のピークが入らないため、正しいピーク検出ができない例を示すものである。
【0064】
図6は、第1発明の第1記憶手段に記憶させる検索セットの一例、及び、第2演算手段における同定結果の選択について説明するための図である。本例では、それぞれNE、E及びDAのピーク検出範囲を含む3つの検索セットを記憶させる例を示している。また解析対象のクロマトグラムは、図5に示したクロマトグラムである。
【0065】
NEとEのピーク検索巾ΔTiは、図4と同様にNEとEのピーク出現時間1と2の時間差の80%に設定してある。DAについては、DAのピーク付近に他のピークが存在しないことから、他の検出範囲巾の2倍とした。標準試料におけるNE、E及びDAのピーク出現時間をそれぞれ1、2又は3とすると、第1の検索セットに含まれる各ピーク検出開始時間は、NE;1−ΔTi、E;2−Ti、DA;3−Tiであり、第2の検索セットに含まれる各ピーク検出開始時間は、NE;1−ΔTi/2、E;2−Ti/2、DA;3−Ti/2であり、第3の検索セットに含まれる各ピーク検出開始時間は、NE;1、E;2、DA;3である。
【0066】
第1演算手段では、各ピーク検出範囲の中でクロマトグラムの最高点を探し、該点を含むピークを検出する。そして、NEのピークを検出するためのピーク検出範囲で検出されたピークはNEのピークと、Eのピークを検出するためのピーク検出範囲で検出されたピークはEのピークと、DAのピークを検出するためのピーク検出範囲で検出されたピークはDAのピークと同定する。
【0067】
第3演算手段では、第1演算手段で同定されたピークについてベースラインを設定し、ベースラインと該最高点との距離をピーク高さとする。次いで、ベースラインからピーク高さの1/2となる点を求め、半値巾を求める。一方、図3における標準試料のクロマトグラムからNE、E及びDAのピーク半値巾を計算して基準値とし、前記のように求めた巾と比較した。第3演算手段におけるこれら半値巾等の比較は、1のピークについて半値巾を基準値と比較して、プラスマイナス40%の巾に収まらない場合には被分析物ピークとして同定したピークは正しいピークでないと判定する。同定結果の中で前記比較により異常と判定されたものはなかった。
【0068】
第2演算手段では、先に第1の評価関数で関係づけられた被分析物ピークの数で評価し、全ての被分析物ピークが同定された検索セットについてだけ、第2の評価関数で評価を行うように構成した。本例では、第1検索セットにおいてNE、E及びDAのピーク検出ができず、第3検索セットにおいてE及びDAのピーク検出ができなかったため、第2演算手段により被検出物ピークの数で評価し、第3検索セットが選択されたが、実際、第2演算手段は、2個以上の検索セットが除外されずに残った場合に、これらの中から1の検索セットを選択するため、再度、評価関数を用いる評価を行うように構成してある。
【0069】
評価関数による評価は、同定されたNE、E、DAのピーク高さのうち、最大の値をXmax、最小の値をXmin、真中の値をXmidとし、Xmin 4×Xmid/Xmax 2との評価関数に代入して行った。なお例えば、ベースラインとクロマトグラムの距離を1/10値巾の範囲で積算した値をピーク面積として上記式を適用することも可能である。
【0070】
図7は、図6で説明した検索セット等を用いて、他のクロマトグラムを解析する様子について説明するための図である。第3演算手段における基準値との比較により、第3検索セットでは、Eのピーク検出範囲で検出され、Eのピークであると同定されたピークの巾はピーク巾の基準値とほぼ同等であり、正常と評価された。第3検索セットでは、DAのピーク検出範囲ではピークが検出されなかった。第1のピーク検索セットと第2のピーク検索セットでは、NEのピークであると同定されたピークの巾が基準値のプラスマイナス40%以内に収まり正常と判定された。
【0071】
第1検索セットを除外した後、第2検索セットと第3検索セットについて評価関数を用いて評価したが、評価結果は一致したため、第2演算手段は、評価結果が同等である場合には先に評価した結果を優先させるという基準に基づいて第2検索セットの同定結果を選択した。なお、本例において第2検索セットと第3検索セットは同等の同定結果となっているので、どちらを選択しても同じである。実際、少なくとも1つの検索セットの各ピーク検出範囲は他の検索セットの対応するピーク検出範囲と一部が重なっているので、まったく同一の同定結果が複数の検索セットで得られることが生じる。
【0072】
図8は、図6で説明した検索セット等を用いて、外部環境が異なる条件下で取得した他のクロマトグラムを解析する様子について説明するための図である。
【0073】
図8において、第3検索セットにおけるEのピーク検出範囲で検出されたピークは、夾雑物のピークである。また第3検索セットにおけるDAのピーク検出範囲で検出されたピークは、実際にはゴーストピークである。ここで、該ゴーストピークのピーク巾がDAのピーク巾と近似している場合、ピーク巾に関する判定基準のみを用いて判定するとゴーストピークをDAのピークと同定することは正しいと判定してしまう。しかし、本発明の第2演算手段では、DAのピークと同定されたゴーストピークのピーク高さがNEやEのピークと同定されたピークのピーク高さよりはるかに大きいため、ピーク高さの不均一性が大きくなることに着目し、評価関数を用いた評価の段階で第3検索セットの同定結果に対する評価を小さくし、その結果、第1及び第2の検索セットから、先に評価した第1の検索セットの同定結果を選択した。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、クロマトグラムにおけるピークの位置が外的・内的要因の変動によって隣接するピークとの間隔に近い量だけ変化した場合や、隣接するピークとの間隔より大きな量だけ変化した場合でも、試料に含まれる可能性のある被分析物のピークとして正しく同定できるようになる。特に、第2発明では、基準ピーク出現時間と相関を保持したピーク出現時間をもつピークを検出するのに適したピーク検索セットが設定されるため、夾雑物ピーク又はゴーストピークと一つの被分析物ピークが特定のピーク検索セットで同定されることはあっても、夾雑物ピーク又はゴーストピークが一つのピーク検出範囲で検出された場合に残りの複数の被分析物がピークと関係づけられる可能性は非常に小さいので、正確な同定が達成できる。
【0075】
本発明によれば、検索範囲を広くしても、ゴーストピークを被分析物のピークと同定したり、あるピークを誤って隣接して出現するはずの他の被分析物と同定してしまう危険性を排除できるようになる。更に本発明によれば、カラムや溶媒の製造ロットの切り替えによりピーク出現時間が大きく変化したため、標準試料のクロマトグラムを解析するために、従来はピークの出現時間等を改めて設定しなければならないような場合にも、再設定を行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のクロマトグラム用解析装置の各手段を説明するための図である。
【図2】図2はカテコールアミンのクロマトグラムを求めるのに用いた装置の概略構成を示す図である。
【図3】図3はカテコールアミン標準試料のクロマトグラムを示す図である。
【図4】図4はクロマトグラムがずれた場合(遅れた場合)のピーク同定の様子を説明するための図である。
【図5】図5はクロマトグラムがずれた場合(遅れた場合)のピーク同定の様子を説明するための図である。
【図6】図6は本発明における検索セットを説明するための図である。
【図7】図7は本発明におけるピーク同定の様子を説明するための図である。
【図8】図8は本発明におけるピーク同定の様子を説明するための図である。
【符号の説明】
1 分離カラム、2 検出器、3 第1記憶手段、4 第2記憶手段、5 第1演算手段、6 第2演算手段、7 入力手段、8 出力手段、9a、9b 溶離液ポンプ、10a、10b 試薬ポンプ、11 オートサンプラ、12、13前処理カラム、14 分析カラム、15 リアクタ、16 検出器

Claims (19)

  1. n種の被分析物(nは2以上の自然数)を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムを解析してn種の被分析物の各ピークを検出するクロマトグラム用解析装置であり、m個(mは2以上の自然数)の検索セットであって、(1)各検索セットはそれぞれ各ピークを検出するためのピーク検出開始時間とピーク検出終了時間で規定されるピーク検出範囲であって互いに重複しないn個のピーク検出範囲を含み、(2)任意の一の検索セットと他の一の検索セットにおいてn種の被分析物のそれぞれに対して同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が互いに重複する検索セットを記憶する第1記憶手段、試料のクロマトグラムを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、各検索セットに含まれる各n個の被分析物に対するピーク検出範囲においてピーク検出を行い、ピークが検出された場合には、該被分析物に検出されたピークを関係づけ、ピークが検出されない場合には、該被分析物にピークを関係づけないで、m個の検索セット間で同一又は異なるピーク同定結果を得る第1演算手段、そして、第1演算手段により得られたm個のピーク同定結果から一の同定結果を選択する第2演算手段とを具備する前記装置。
  2. 第1演算手段の出力と第2演算手段の入力に接続され、同定結果について各被分析物ピークが適正かどうかを判定する第3演算手段を具備する請求項1のクロマトグラム用解析装置。
  3. 第1記憶手段が記憶するm個の検索セットに含まれる同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が、当該n種の被分析物のピークが出現すると予想される標準ピーク出現時間をT、T、T、・・、Tとし、ピーク検出開始時間からピーク検出終了時間までの時間巾をΔTとした場合に実数A(ここでj=1〜mなる整数、A<Aj+1)に対してT+A×ΔT、T+A×ΔT、T+A×ΔT、・・・、T+A×ΔTを中心とする範囲で与えられ、ここでAj+1−A<1であることを特徴とする請求項1のクロマトグラム用解析装置。
  4. n種の被分析物(nは3以上の自然数)を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムを解析してn種の被分析物の各ピークを検出するクロマトグラム用解析装置であり、m個(ただし、mは2以上の自然数)の検索セットであって、(1)各検索セットはそれぞれ各ピークを検出するためのピーク検出開始時間とピーク検出終了時間で規定されるピーク検出範囲であって互いに重複しないn個のピーク検出範囲を含み、(2)任意の一の検索セットと他の一の検索セットにおいてn種の被分析物のそれぞれに対して同一種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が互いに重複する検索セットを記憶する第1記憶手段、試料のクロマトグラムを記憶する第2記憶手段、記憶されたクロマトグラムについて、各検索セットに含まれる各n個のピーク検出範囲においてピーク検出を行い、ピークが検出された場合には、該被分析物に検出されたピークを関係づけ、ピークが検出されない場合には、該被分析物にピークを関係づけないで、m個の検索セット間で同一又は異なるピーク同定結果を得る第1演算手段、そして、第1演算手段により得られたm個のピーク同定結果から一の同定結果を選択する第2演算手段とを具備する前記装置。
  5. 第1演算手段の出力と第2演算手段の入力に接続され、同定結果について各被分析物ピークが適正かどうかを判定する第3演算手段を具備する請求項4のクロマトグラム用解析装置。
  6. 第1記憶手段が記憶するm個の検索セットに含まれるn種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が、当該n種の被分析物のピークが出現すると予想される標準ピーク出現時間をT、T、T、・・、Tとした場合に、a×T+b、a×T+b、a×T+b、・・、a×T+b(ここでj=1〜mなる整数)の各点を中心とする範囲であることを特徴とする請求項4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  7. 第1記憶手段が記憶するm個の検索セットに含まれるn種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が、当該n種の被分析物のピークが出現すると予想される標準ピーク出現時間をT、T、T、・・、Tとした場合に、T+b、T+b、T+b、・・、T+b(ここでj=1〜mなる整数)の各点を中心とする範囲であることを特徴とする請求項6のクロマトグラム用解析装置。
  8. 第1記憶手段が記憶するm個の検索セットに含まれるn種の被分析物ピーク検出用のピーク検出範囲が、当該n種の被分析物のピークが出現すると予想される標準ピーク出現時間をT、T、T、・・、Tとした場合に、a×T、a×T、a×T、・・、a×T(ここでj=1〜mなる整数)の各点を中心とする範囲であることを特徴とする請求項6のクロマトグラム用解析装置。
  9. 第1演算手段におけるピーク検出が、各ピーク検出範囲でクロマトグラムの傾きが正から負へと変化するクロマトグラム点を含むピークを検出するものである、請求項1、2、4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  10. 第1演算手段におけるピーク検出が、各ピーク検出範囲でクロマトグラムがゼロに近い傾きから正の傾きをもって増加した後、負の傾きをもって再びゼロに近い傾きに減少するピークをピークとして検出するものである、請求項1、2、4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  11. 第1演算手段におけるピーク検出が、各ピーク検出範囲でのクロマトグラムの最高点を含むピークをピークとして検出するものである、請求項1、2、4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  12. 第3演算手段における各被分析物に関係づけられたピークが適正かどうかの判定が、各被分析物ピークの属性を数値化した基準値を用い、m個の検索セットに対して求められた同定結果毎に各被分析物ピーク属性を数値化した後、前記基準値と比較し、該基準値を満たさない場合に該被分析物ピークの関係づけを外すことに基づき実行される、請求項2又は5のクロマトグラム用解析装置。
  13. ピーク属性を数値化した基準値が、各被分析物のピーク巾、ピーク高さ、ピーク面積から選ばれる1以上の基準値であることを特徴とする請求項12のクロマトグラム用解析装置。
  14. 第2演算手段におけるピーク同定結果の選択が、各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間との差のうち1以上の値を変数とする評価関数を用い、m個の検索セットにおいて同定された各ピークの前記値を該評価関数に代入して得られる結果に基づき実行される、請求項1、2、4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  15. 第2演算手段におけるピーク同定結果の選択が、各被分析物のピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積の均一性、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間との差のうち1以上の値を変数とするに関する評価関数を用い、m個の検索セットにおいて同定された各ピークのピーク巾、ピーク高さ又はピーク面積の均一性、ピーク出現時間の相関の指標、基準ピーク時間を該評価関数に代入して得られる結果に基づき実行される、請求項1、2、4又は5のクロマトグラム用解析装置。
  16. 第2演算手段におけるピーク同定結果の選択が、被分析物のピークの関係づけが存在しない時には、予め定めた所定の値を評価関数に代入して得られる結果に基づき実行される、請求項14又は15のクロマトグラム用解析装置。
  17. 被分析物のピークの関係づけが存在しない時の評価関数の値が被分析物のピークの関係づけが存在する時の評価関数の値と比較して評価が不利になるように予め定める所定の値を設定する、請求項16のクロマトグラム用解析装置。
  18. n個の被分析物のうち、ピークに関係づけられた被分析物の数に対応した複数の評価関数を用意し、第2演算手段におけるピーク同定結果の選択が、関係づけられた被分析物の数に応じて評価関数を選択し、各被分析物の前記値を評価関数に代入して得られる結果に基づき実行される、請求項14のクロマトグラム用解析装置。
  19. ピークに関係づけられた被分析物の数が少ない同定結果が、ピークに関係づけられた被分析物の数が多い同定結果より、評価が不利になるように複数の評価関数を設定する、請求項18のクロマトグラム用解析装置。
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