JP3911867B2 - クロマトグラム用の解析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等、被分析物を含む試料をカラム等の分離手段に供して取得されるクロマトグラムを解析する解析装置に関するものであり、更に具体的には、例えば液体クロマトグラフィーによる血液や尿中のカテコールアミンやアミノ酸の分析における、クロマトグラムの解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の被分析物質を液体クロマトグラフィー等に供してクロマトグラムを得、該クロマトグラム中の被分析物のピークを検出し、その高さ、巾、ピーク面積等を解析し、被分析物の定性、定量を行うことが知られている。
【0003】
クロマトグラムの解析では、被分析物の溶出ピークを検出した後、検出されたピークを予めその存在を予想した成分と関連付けることが必要である。このための方法として、クロマトグラム中のピークを全て検出した後で、被分析物毎に、検出したピークの中から1つのピークを選んで関係付けて同定する方法(以下、第1法という)と、予め測定しようとする被分析物毎にピークが出現する時間 (標準ピーク出現時間)を予想しておき、この付近でピークを探す方法(以下、第2法という)がある。
【0004】
第1法では、測定で対象とする被分析物のピーク以外に、予想していない未知成分のピークを検出することが可能である。即ち、クロマトグラムの解析に当たり、通常はクロマトグラムの傾き等によりピーク開始点とピーク終了点を検出し、この範囲で最大値を取る点をピークとすることにより、未知成分のピークも検出可能であるが、微小ピークの検出を可能とするようにピーク検出感度を上げれば、試料中の成分に由来しないノイズピークをもピークとして検出してしまう恐れがある。
【0005】
これに対して前記第2法では、測定で対象とする被分析物以外のピークを検出することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第2法においても、例えばヒト血液や血清等の生体試料等を試料として得られたクロマトグラムを解析する場合には、試料に含まれる被分析物以外の夾雑物に由来するピーク(妨害ピーク)により、ピーク検出が困難になることがある。例えば血清等はそれ自体がさまざまな成分を含むうえ、薬物投与を受けている者の血清試料では、該薬物やその代謝物までも含まれるため、クロマトグラム中には多数の妨害ピークが出現することになる。そして、被分析物ピークと妨害ピークが近接して出現する場合が生じる。
【0007】
被分析物ピークと妨害ピークの大きさが同程度である場合は、両ピークが重複したとするとピーク出現時間の差に応じて重複ピークのピーク巾が広がるため、ピーク巾の広がりを解析することにより妨害ピークの重複を知ることができる。しかし、被分析物ピークが妨害ピークに比較して小さい場合、重複ピークでは妨害ピークが支配的になり、被分析物ピークのピーク巾と妨害ピークのピーク巾の差が小さい時にはピークの巾の広がりを解析しても妨害ピークの重複を知ることは困難である。
【0008】
従って、妨害ピークが被分析物ピークの近くに出現すると、妨害ピークを被分析物のピークと誤認して同定する可能性が生じる。理論上は被分析物ピークの出現時間と妨害ピークの出現時間が異なれば、被分析物ピークを検出するための時間巾を狭くすることによりピーク同定の誤認を回避することが可能であるが、カラムの劣化、移動相の変化、測定温度等の環境の変化により被分析物ピークの出現時間が変動する可能性があり、実際上はある程度以上は該時間巾を狭くすることは困難で、妨害ピークを被分析物のピークと誤認する恐れを排除できない。
【0009】
そこで本発明の目的は、ピーク検出により被分析物ピークを同定した後、該同定結果が正しいか否かを判定するためのクロマトグラムの解析用装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために成された本発明の装置は、3種以上の被分析物を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、得られたクロマトグラムを記憶するための第1記憶手段、クロマトグラム中のピークを検出し、各被分析物のピークとして同定するための第1演算手段、同定された被分析物ピークを解析するための各被分析物毎の基準ピーク出現時間を記憶するための第2記憶手段、記憶された基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値を求める第2演算手段、そして、相関の程度を表示する表示手段とを具備するクロマトグラムの解析用装置である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の解析装置は、試料中の3種以上の被分析物を分離・展開した後に検出を行う、いわゆるクロマトグラフィーにおけるクロマトグラム解析に使用することができる。クロマトグラフィーは、分離・展開の原理によって種々の液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーが存在するが、解析対象となるクロマトグラムはいかなるクロマトグラフィーにより得られたものであっても良い。例えば電気泳動結果を適当な染色試薬で染色後、光学測定装置でスキャンニングする等した場合でも、その解析に本発明を使用することができる。
【0012】
本発明が、試料が3種以上の被分析物を含む場合にのみ適用されるのは、ピークの出現時間の相関を評価するために少なくとも3つのピークが必要であることによる。
【0013】
クロマトグラムは、本発明の装置による解析に先立ち、例えば単純移動平均、多項式フィッティング、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるスムージング処理を行ったり、単純スパイク除去処理、フーリエ変換又はウェーブレット変換等によるノイズ除去処理を行っておくことが好ましい。これらの処理を行うことにより、ノイズを除去しておけば、クロマトグラムにおける被分析物ピークの最高値や最低値が正確になり、ピーク検出精度が向上するため、高い解析結果を得ることができる。
【0014】
単純移動平均はYn=Sum(Xi)/mで表され(Sumは連続するデータXiを加算する関数であり、mは加算するデータの数である)、多項式フィッティングはYn=Sum(Ki×Xi)/Sum(Ki)で表され(Sum及びXiは前記同様であり、Kiは例えばSavitzky−Golay法により、データを2次式又は3次式にフィッティングするように決定される係数である)、フーリエ変換はデータをフーリエ変換して周波数軸で高周波成分をカットするウィンドウ関数をかけ、逆フーリエ変換で時間軸に戻すことをいい、ウェーブレット変換は例えばAnalytical Chemistry、第69巻、1号、1997年、第78〜90頁に記載された処理であり、単純スパイク除去処理としてはメディアン法(Y=Median(Xi)で表される、連続する3ないし5のデータの中心を取る方法)等が例示できる。
【0015】
本発明の装置は、ピーク検出により被分析物ピークを同定した後、該同定結果が正しいか否かを評価するための装置である。しかしながら、本発明の装置に更に被分析物のピーク面積やピーク高さ等を解析するためのベースラインを設定する手段や、設定されたベースラインを用いてピーク高さ、ピーク面積等を検出するための手段を追加することに制限はない。
【0016】
第1記憶手段は、解析するクロマトグラムを記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成でき、例えば液体クロマトグラフィーにおける検出装置からの検出信号を経時的に記憶できれば良い。第1記憶手段は後述する第2記憶手段と一体に構成することもできる。なお、該経時的記憶は連続的なものであっても良いし、例えば1秒毎等の、間欠的なものであっても良い。間欠的にクロマトグラムを記憶する場合には、ピーク巾に比較して十分に短い時間間隔で値を記憶することが好ましい。ここで、時間は、例えば分離カラム等の分離手段に試料を供した時間を0(ゼロ)として計算しても良いし、例えばクロマトグラフィーに試料を供してから所定時間経過後にクロマトグラムの経時的記憶を開始する場合には該開始時間を0(ゼロ)として計算しても良い。電気泳動の結果をスキャンする場合には、移動距離を時間に置き換えて考えれば良い。
【0017】
第1演算手段は、第1記憶手段に記憶された、3種以上の被分析物を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムを解析し、その中のピークを検出するための手段であり、例えばコンピュータ等で構成することができるが、後述する第2演算手段と兼用としても良い。第1演算手段としては、従来のピーク検出手段等を用いることができるが、具体的な構成として以下の例を例示することができる。まず、適当な記憶手段に被分析物のピークを検出するためのピーク検出開始時間(tp1)やピーク検出終了時間(tp2)等を記憶する。該手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成することが可能であり、例えばキーボード等の入力装置を用いてこれらを入力し、記憶させれば良い。この記憶のため、第1演算手段に別途記憶手段を併設するか、又は、本発明の記憶手段を兼用としても良い。
【0018】
tp1とtp2は、クロマトグラムにおいて解析しようとする被分析物のピークを検出するためのものであり、被分析物の種類毎に設定される。これらの値はtp1<tp2の関係を満たすが、例えば、被分析物のみを含む標準試料をクロマトグラフィーに供してクロマトグラムを得、このクロマトグラムから被分析物の基準ピーク出現時間(ts)を求め、tp1<ts<tp2と設定することが例示できる。tp1及びtp2は、より好ましくは、使用するクロマトグラフィーの分離の様式、移動相等の速度、分析を行う室温等の分析環境等が変化した場合にも被分析物ピークを検出し得るように、tsがこれら環境が変化した場合に変動する時間巾を勘案し、適宜設定する。
【0019】
tp1及びtp2については、被分析物以外の成分が含まれていることが予想される場合にはtp2−tp1が小さくなるように設定し、被分析物以外の成分の存在が予想されない場合にはtp2−tp1が大きくなるように設定することが好ましいが、一般的にtp2−tp1は被分析物を含む標準試料のクロマトグラムの高さがピーク高さの1/2となる時のピーク巾(ピーク半値巾)の1倍程度〜2倍程度となるように設定することが例示できる。ただし、必ずしもts−tp1=tp2−tsとする必要はない。そしてtp1 〜tp2までの範囲内で、最高値を有するクロマトグラム点を被分析物のピークとする等すれば良い。
【0020】
第2記憶手段は、例えば通常のメモリーやフラッシュメモリー等の書き換え可能な記憶媒体で構成することができ、前記第1記憶手段と一体に構成することもできる。第2記憶手段には、各被分析物の基準ピーク出現時間を記憶させるため、外部入力装置等を接続する。
【0021】
第2記憶手段は、同定された被分析物ピークを評価するための各被分析物毎の基準ピーク出現時間を記憶する。基準ピーク出現時間としては、被分析物ピークが出現すると予想される時間を記憶すれば良い。該時間としては、前記したts、即ち被分析物のみを含む標準試料をクロマトグラフィーに供して得たクロマトグラムから算出された、該被分析物のピーク出現時間を用いることが特に好ましい。 第2演算手段は、基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値を求める手段であり、コンピュータ等を例示することができる。 相関を示す値としては、例えば相関係数の値、相関係数の値を二乗した値を例示することができる。例えばXiとYiの相関係数(r)を二乗した値は、r2=(n×ΣXiYi−ΣXi×ΣYi)2/(n×ΣXi2−(ΣXi)2)(n×ΣYi2−(ΣYi)2)で表される。基準ピーク出現時間をXi、同定された被分析物のピーク出現時間をYiとして前記式を適用すると、被分析物ピーク出現時間の間隔が基準ピーク出現時間の間隔と同一で、単にピークの出現時間が平行に移動した(早まったか、遅くなった)だけの場合や、クロマトグラムにおける時間軸が伸縮しただけの場合(即ち、被分析物のうち任意の2つの被分析物のピーク出現時間の間隔と、対応するこれらの基準ピークの出現時間の間隔の比が一定となっている場合)には相関が保持され、r=1となる。従って、例えばr=1の場合には、仮にピーク出現時間にズレがあったとしても、ピーク出現時間が分析環境の変化によって生じたものであると考えることができ、第1演算手段におけるピーク同定結果を正しいと判定すること等ができる。この判定の基準については、本発明を適用しようとするクロマトグラフィーの種類(分離・展開手段の種類)や被分析物の種類、更には分析環境のうち変化し得る要因とその影響の様子等を総合的に勘案したり、実際の被分析物を含む標準試料と妨害ピークを出現させる夾雑物やゴーストピークの様子等を勘案して決定することができるが、通常はr>0.999又はr2>0.998とならない場合には第1演算手段における同定結果を誤りと判定することが例示できる。
【0022】
また相関を示す値としては、例えば基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間の間の直線回帰式で表される直線と基準ピーク出現時間及び被分析物のピーク出現時間で示される点の間の距離を被分析物のピーク出現時間の誤差とし、誤差の絶対値の最大値、該誤差の絶対値の平均値、該誤差の標準偏差又は該誤差の分散値を用いることもできる。直線と点の距離は、縦方向(y軸に平行)に測っても、横方向(x軸に平行)に測っても、点から該直線に垂線をおろした方向に測っても良い。例えば直線回帰式をy=A+Bx、基準ピーク出現時間をXi、同定された被分析物のピーク出現時間をYiとすると、係数A及びBはXi及びYiを用いて、B=(n×ΣXiYi−ΣXi×ΣYi)/(n×ΣXi2−(ΣXi)2)、A=(ΣYi−B×ΣXi)/nと表すことができる。
【0023】
回帰直線と点(Xi、Yi)の距離を縦方向に測った場合、被分析物のピーク出現時間の誤差はYi−(A×Xi+B)で表される。被分析物ピーク出現時間の間隔が基準ピーク出現時間の間隔と同一で、単にピークの出現時間が平行に移動した(早まったか、遅くなった)だけの場合や、クロマトグラムにおける時間軸が伸縮しただけの場合(即ち、被分析物のうち任意の2つの被分析物のピーク出現時間の間隔と、対応するこれらの基準ピークの出現時間の間隔の比が一定となっている場合)には相関が保持され、基準ピークの出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間で示される点は回帰直線の上に並ぶため、ピーク出現時間の検出誤差を考慮しても、誤差の絶対値の最大値<0.02分程度となる。従って、例えば誤差の絶対値の最大値>0.1分の場合には、第1演算手段におけるピーク同定結果が正しくないと判定すること等ができる。この判定の基準については、本発明を適用しようとするクロマトグラフィーの種類(分離・展開手段の種類)や被分析物の種類、更には分析環境のうち変化し得る要因とその影響の様子等を総合的に勘案したり、実際の被分析物を含む標準試料と妨害ピークを出現させる夾雑物やゴーストピークの様子等を勘案して決定することができるが、通常は誤差の絶対値の最大値<0.1分とならない場合には第1演算手段における同定結果を誤りと判定することが例示できる。
【0024】
ここで、例えば液体クロマトグラフィーにおいて溶出液の構成成分の濃度を連続的又はステップ式に切り替えて被分析物を溶出させるような場合、単に上記のような相関を示す値を用いて本発明を実施することは困難である。これは、被分析物の出現時間の変動が平行な移動や時間軸の伸縮にとどまらないという理由による。従って、かかる場合には得られたクロマトグラムを溶出液の構成成分の濃度の変化に応じて適当な時間で分割して本発明を実施することができる。また例えば、被分析物がイオン交換作用だけではなく、疎水吸着作用で液体クロマトグラフカラムと相互作用するような場合には、複数の被分析物を温度や溶出液の濃度、pH変化等に対して同じ挙動を示す群に分け、各群に含まれる被分析物に対して本発明を実施することができる。
【0025】
第2演算手段には、前記のようにして算出される相関を示す値について、相関基準値を設定しておくこともできる。相関基準値としては、相関を示す値について許容し得る範囲をしきい値として設定しておくことが例示ができる。即ち、前記のようにして算出された相関を示す値とこの相関基準値を比較し、その結果を後述の表示手段に出力するように構成するのである。しきい値としては、前記した0.999や0.1を用いることが例示できる。
【0026】
なお、既知の濃度の被分析物のみを含む標準試料の評価と被分析物以外の成分が含まれる可能性のある未知試料の評価においては、基準ピーク出現時間及び/又は相関基準値を変えても良い。例えば、標準試料の評価に用いる基準ピーク出現時間は予め別の装置で標準試料を測定して得られたピーク出現時間を用い、相関基準値を甘く設定することができる。また、未知試料の評価に用いる基準ピーク出現時間はバッチ毎に測定する標準試料の測定結果から得られたピーク出現時間を用い、相関基準値を厳しく設定することができる。
【0027】
表示手段は、第2演算手段が算出した相関を示す値等を表示し又は印刷等する手段であるが、第1演算手段による各被分析物のピーク同定結果をも表示・印刷し得る手段であることが好ましい。算出した相関を示す値と相関基準値を比較するように第2演算手段を構成した場合には、比較結果や該結果に基づくクロマトグラムの同定の可否を表示するように構成することもできる。また例えば、第1記憶手段中に記憶されたクロマトグラムを表示・印刷したり、第2記憶手段中に記憶された基準ピーク出現時間をも表示・印刷できるように構成しても良い。
【0028】
本発明の解析装置においては、これまでに説明した各手段に加え、例えば各被分析物のピークと同定され、かつ、本発明の装置によってピーク同定結果が正しい等と判定された場合に、各ピークについてベースラインを設定し、ピーク高さやピーク面積などを算出するための演算手段を追加装備したり、同定結果が誤っていると判定された場合や被分析物のピークを検出できなかった場合に警告を発生する手段等を追加装備することができる。更に、相関を示す値が同定結果の判定の境界領域にある値の場合には、ピーク高さやピーク面積などを算出する演算手段と警告を発生する手段を追加装備することも例示できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明するために図面に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
図1は、本発明を液体クロマトグラフィー用のクロマトグラム解析装置に適用した一例を示すものである。図中、1は分離カラム、2は検出器を示し、送液ポンプや試料導入装置等のその他のクロマトグラフィー装置は省略した。図中、点線で囲った部分が本発明の解析装置であり、一台のコンピュータにより本発明の各手段を構成した。図中、3は第2記憶手段、4は第1記憶手段、5は第1演算手段、6は第2演算手段、8はプリンタを用いた表示手段をそれぞれ示す。第2記憶手段3はキーボード7からの入力を記憶し、第1記憶手段4は検出器2からの出力(クロマトグラム)を記憶し、第1演算手段5は第1記憶手段と連絡され、そして第2演算手段は第1演算手段、第2記憶手段及び表示手段と連絡されている。
【0031】
図2は、以下の実施例で用いた液体クロマトグラム装置の構成の概略を示すものである。該装置は、溶離液ポンプ9a、9b、試薬ポンプ10a、10b、オートサンプラ11、2本の前処理カラム12及び13と1本の分析カラム14、リアクタ15、そして蛍光検出器16から構成され、さらに溶離液を切り替えるバルブや流路を切り替えるバルブを有するものである。図1に示した本発明の解析装置は検出器16と連結される。
【0032】
図3は液体クロマトグラフィーで得られたカテコールアミンの成分であるノルエピネフリン(NorEpinephrine;NE)、エピネフリン(Epinephrine;E)及びドーパミン(Dopamine;DA)のクロマトグラムについて第1演算手段によりピーク検出を行った結果を示す結果である。分析に供した試料は、カテコールアミン成分であるNE、E及びDAを各1pg/ml含む標準試料であり、これを室温(24.6℃)条件下で測定したものである。ピーク出現時間が約16分のピークがNE、約18分のピークがE、そして約25分のピークがDAである。液体クロマトグラフィー装置としては、前処理カラムとして2本のカラム(第1の前処理カラム12は直径4.6mm×75mmの逆相(エーテルゲル)カラム、第2の前処理カラム13は直径3.0mm×60mmのイオン交換カラム)、分離カラム14として逆相(ODS)用カラム(直径4.0mm×150mm)を配置した装置を用いた。この装置では、ポンプ9aで溶離液(リン酸緩衝液(pH7))で試料を第1の前処理用カラムに送液し(1.0ml/分)、第1の前処理用カラムに保持された成分に対して、電磁弁を切り替えることによりポンプ9aで溶離液(硝酸アンモニウム水溶液とアセトニトリルの混合液)を送液して第2の前処理用カラムに導入し、そして第2の前処理用カラムに保持された成分に対して、ポンプ9bで溶離液(硝酸アンモニウムを含むトリス緩衝液(pH7))を分析カラムに送液して分離し(0.7ml/分)、分析カラムから溶出する成分に蛍光反応試薬を混合した後にリアクタ15に導入した。リアクタで蛍光反応試薬であるDPE(Diphenylethylendiamine)と90℃、3分間反応させて蛍光誘導体化した。蛍光反応試薬はポンプ10aとポンプ10b(各0.25ml/分)を用いて送液した。蛍光誘導体化した各被分析物は、蛍光検出器を用いて励起波長340〜360nm、蛍光波長460nmで測定し、クロマトグラムを得た。
【0033】
図4は、前記同様の試料を24.6℃条件下で液体クロマトグラフィーに供した場合の各被分析物のピーク出現時間をプロットした図である。横軸は24.6℃での各被分析物のピーク出現時間(基準ピーク出現時間)であり、縦軸は22.2℃及び25.6℃の各被分析物のピーク出現時間である。NE、E及びDAに関するプロットは22.2℃と25.6℃でそれぞれ直線上に並んでおり、温度条件を変えて取得したクロマトグラムにおける各被分析物のピーク出現時間では良好な相関が保たれていることが分かる。
【0034】
また、図には記載していないが、24.6℃での各基準ピーク出現時間に対して24.6℃での各ピーク出現時間をプロットすると、y=xの直線上に並ぶが、これら3本の直線は15分付近で一点に交わる。この事実から、クロマトグラムを行う温度が変化すると15分を基準にして時間軸が伸縮することが示された。 図5は、22.2℃の温度条件下で、夾雑物であるレボノルデフリン(Levonordefrin;LE)を含む試料を前記同様に液体クロマトグラフィーに供した場合のピーク出現時間を図3におけるEに代えてプロットした図である。LEのピーク出現時間は約17.7分であり、Eのピーク出現時間と近い。このため、従来方法ではクロマトグラム中のピーク検出後にLEのピークを検出し、かつ、LEのピークをEのピークと誤って同定してしまう可能性がある。
【0035】
図6は、22.2℃条件下でNE、E及びDAを含む試料を液体クロマトグラフィーに供した場合のクロマトグラムであり、図7は同一条件下でNE、LE及びDAを含む試料を液体クロマトグラフィーに供した場合のクロマトグラムである。このように実際のクロマトグラムについても、LEのピークはEのピークに近い位置に出現することから、ピーク検出のやり方によってはLEのピークをEのピークとして同定してしまう可能性を否定できない。
【0036】
表1は、図6及び図7のクロマトグラムを本発明の解析装置で解析した結果を示すものである。本例では、24.6℃条件下でNE、E及びDAを含む標準試料を液体クロマトグラフィーに供して得たクロマトグラムから求めたこれら被分析物のピーク出現時間を基準ピーク出現時間として第2記憶手段に記憶してある。なお、図7のクロマトグラムの解析においては、LEのピークをEのピークと誤同定したとして本発明の装置による解析を行った。
【0037】
【表1】
Figure 0003911867
【0038】
表1から明らかなように、標準試料に含まれるNE、E及びDAの各被分析物ピークの出現時間は液体クロマトグラフィーを実施する温度条件が変化することにより変動するが、各ピーク出現時間は良好な相関を保持しているため、本発明の第2演算手段により算出される「相関を示す値」のうち相関係数等は1.0000となり、誤差の絶対値の最大値等は非常に小さい値となる。これに対してLEのピークをEのピークと誤同定したと仮定して本発明の解析装置により解析した場合には、第2演算手段により算出される「相関を示す値」のうち相関係数等は0.999未満となり、誤差の絶対値の最大値等は大きい値となる。この結果、カテコールアミンの分析においてNE、E及びDAのピーク同定結果を判定するにあたっては、相関係数等を「相関を示す値」とする場合には該値として0.999未満の値が第2演算手段で算出されたとき、そして誤差の絶対値の最大値等を「相関を示す値」とする場合には該値として0.1分以上の値が第2演算手段で算出された時に、第1演算手段による同定結果が誤りであることを知ることができる。
【0039】
以上、本例ではカテコールアミン分析におけるNE、E及びDAを被分析物とし、LEを妨害ピークを発生する夾雑物として本発明における相関を示す値と誤同定を判定するための値を具体的に説明したが、被分析物の具体的な種別や予想される夾雑物の種別と実際のクロマトグラムから、前記のようなしきい値的な数値を勘案することが可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の装置により、内的・外的要因によりピーク出現時間が変化することがあっても、クロマトグラム中の測定されるべき被分析物に由来するピーク近傍に夾雑物に由来する妨害ピークやゴーストピークが出現する可能性がある場合に、従来のピーク検出方法によって検出されたピークが被分析物に由来するピークか否かを判定することが可能となる。即ち、従来の方法によって被分析物ピークであると同定されたピークについて解析を行い、その同定結果が正しいか否かを判定することが可能となるのである。
【0041】
この結果、夾雑物の妨害ピークやゴーストピークを被分析物のピークといったん同定してしまった場合にも、これら誤った同定に基づいて妨害ピーク等を被分析物のピークとしたままピークの解析を行ってしまうという可能性を排除できるようになる。このことは、多くのクロマトグラフィーが微量の被分析物の定量等に用いられていることや、時にはクロマトグラフィーが臨床的意義を有する微量の被分析物(例えば血液中に存在する蛋白質等)の定量に用いられ、その結果が患者の治療等に反映される臨床診断の分野においては重要な意義を有する。
【0042】
本発明は、温度や溶媒組成を一定にして分析する場合に好ましく適用することができる。温度や溶媒組成を連続的に、又は、段階的に変化させながら分析する場合には、クロマトグラムを時間を基準にして複数のクロマトグラムに分割し、分割したクロマトグラムに対して本発明を適用することができる。また、被分析物がイオン交換作用だけでなく、疎水吸着作用で液体クロマトグラムカラムと相互作用するような場合には、複数の被分析物を同じ挙動を示す群に分け、各々の群に含まれる被分析物に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の解析装置を説明するための模式図である。
【図2】図2は、実施例で用いたカテコールアミン分析用の液体クロマトグラフィー装置の概要を示す図である。
【図3】図3は、カテコールアミンの成分であるNE、E及びDAを含む標準試料を液体クロマトグラフィー装置に供して得たクロマトグラムを示す図である。
【図4】図4は、NE、E及びDAを含む試料を各種温度条件下で液体クロマトグラフィーに供して得たクロマトグラムについてピーク検出を行い、検出された各ピークのピーク出現時間をプロットした図である。
【図5】図5は、夾雑物であるLEを含む試料を前記同様に液体クロマトグラフィーに供した場合のピーク出現時間を図3におけるEに代えてプロットした図である。
【図6】図6は、22.2℃条件下でNE、E及びDAを含む試料を液体クロマトグラフィーに供した場合のクロマトグラムを示す図である。
【図7】図7は、図5のクロマトグラムを得たのと同一条件下でNE、LE及びDAを含む試料を液体クロマトグラフィーに供した場合のクロマトグラムを示す図である。
【符号の説明】
1 分離カラム、2 検出器、3 第1記憶手段、4 第2記憶手段、5 第1演算手段、6 第2演算手段、7 入力手段、8 表示手段、9a、9b 溶離液ポンプ、10a、10b 試薬ポンプ、11 オ−トサンプラ、12、13前処理カラム、14 分析カラム、15 リアクタ、16 検出器

Claims (6)

  1. 3種以上の被分析物を含む試料をクロマトグラフィーに供することによって得られるクロマトグラムの解析装置であって、得られたクロマトグラムを記憶するための第1記憶手段、クロマトグラム中のピークを検出し、各被分析物のピークとして同定するための第1演算手段、同定された被分析物ピークを評価するための各被分析物毎の基準ピーク出現時間を記憶するための第2記憶手段、記憶された基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値を求める第2演算手段、そして、相関の程度を表示する表示手段とを具備するクロマトグラムの解析用装置。
  2. 第2記憶手段が、クロマトグラムにおいて被分析物のピークが出現すると予想される標準ピーク出現時間を基準ピーク出現時間として記憶するものである請求項1の装置。
  3. 前記標準ピーク出現時間が、各被分析物を含む標準試料をクロマトグラフィーに供して得られたクロマトグラムから計測されたピーク出現時間であることを特徴とする請求項2の装置。
  4. 第2演算手段が、相関係数の値又は相関係数の値を二乗した値を基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値として求めるものであることを特徴とする請求項1の装置。
  5. 第2演算手段が、基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間の間の直線回帰式で表される直線と基準ピーク出現時間及び被分析物のピーク出現時間で示される点の間の距離を被分析物のピーク出現時間の誤差とし、誤差の絶対値の最大値、該誤差の絶対値の平均値、該誤差の標準偏差又は該誤差の分散値を基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値として求めるものであることを特徴とする請求項1の装置。
  6. 第2演算手段が基準ピーク出現時間と同定された被分析物ピークの出現時間との相関を示す値を求めた後、該値を所定の相関基準値と比較するものであり、表示手段が該比較結果を表示するものである、請求項1の装置。
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