JP2002266867A - セラミック動圧軸受、軸受付きモータ、ハードディスク装置及びポリゴンスキャナ - Google Patents

セラミック動圧軸受、軸受付きモータ、ハードディスク装置及びポリゴンスキャナ

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JP2002266867A
JP2002266867A JP2001065544A JP2001065544A JP2002266867A JP 2002266867 A JP2002266867 A JP 2002266867A JP 2001065544 A JP2001065544 A JP 2001065544A JP 2001065544 A JP2001065544 A JP 2001065544A JP 2002266867 A JP2002266867 A JP 2002266867A
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dynamic pressure
ceramic
bearing
motor
thrust
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JP2001065544A
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English (en)
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Takanobu Ishikawa
敬展 石川
Atsutoshi Sugiyama
敦俊 杉山
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 始動・停止時等において摩耗等が生じにく
く、かつ動圧軸受けの好適な回転を実現できるセラミッ
ク動圧軸受けを提供する。 【解決手段】 円筒状の外周面を有する第一部材14
と、円筒状の挿通孔15aを有した第二部材15とを有
し、ここに第一部材14が挿通される。そして、第二部
材15の挿通孔内面と第一部材14の外周面との間にラ
ジアル動圧隙間が形成される。第一部材14及び第二部
材15とはいずれも、Al換算したAl成分の含
有率が90〜99.5質量%であって、酸化物系焼結助
剤成分を酸化物換算にて0.5〜10質量%含有するア
ルミナ質セラミックにて構成される。そして、第二部材
15の外周面15b及び挿通孔15aの同軸度が1μm
以下に調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック動圧軸
受、軸受付きモータ、ハードディスク装置及びポリゴン
スキャナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気機器の駆動源となるモータ軸
の軸受としてはボールベアリングが用いられることが多
かったが、コンピュータ周辺機器などの精密機器におい
ては、モータの高速回転化が急速に進んでおり、低回転
ムラや異音・振動の少ない優れた軸受性能を得るため、
あるいは軸受の長寿命化のために、空気等の流体を媒介
とした動圧軸受が用いられている。動圧軸受は、例えば
主軸とこれを取り囲むように配置される軸受部とが軸線
周りに回転する場合には、主軸外周面と軸受部内周面と
の隙間に発生する流体動圧により回転軸を支持する。ま
た、主軸又は軸受部のスラスト面を動圧支持するように
した軸受もある。
【0003】ところで、動圧軸受においては、発生動圧
レベルの十分に高い高速回転状態では、動圧隙間を挟ん
で対向する部材同士の接触は生じないが、回転数の小さ
い起動時および停止時には十分な動圧が発生しないため
に、部材同士の接触が生ずる。そして、上記のような動
圧軸受の部品構成材料には、ステンレス等の金属もしく
はこれらに樹脂等のコーティングを施したものが一般的
に用いられてきたが、金属製のものは上記起動時あるい
は停止時の部材接触により、摩耗や焼き付きが問題にな
ることがある。これを防止するために、動圧隙間に面す
る部分に樹脂などの潤滑層をコーティングする試みもな
されているが、効果は必ずしも十分ではない。そこで、
摩耗や焼き付きに対する耐久性を十分に確保するため
に、上記主軸ないし軸受部など、動圧隙間を挟んで対向
する部材をアルミナ等のセラミックにより構成すること
が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、動圧部
品にアルミナ質セラミックを使用した従来の動圧軸受で
は、加工仕上げ精度の観点において、材料設計上の考慮
があまり払われていなかった。例えば、ラジアル方向の
動圧は、主軸外周面と軸受部内周面とを動圧隙間形成面
として、それらの間に形成されるラジアル動圧隙間に発
生する形となるが、本発明者らが検討したところによる
と、単に動圧隙間形成面の加工精度を確保するのみで
は、均一で安定な回転状態を確保するのには必ずしも十
分でないことが判明した。
【0005】本発明の課題は、始動・停止時等において
摩耗等が生じにくく、かつ動圧軸受の好適な回転を実現
できるセラミック動圧軸受を提供することにある。
【0006】
【課題を解決する手段及び作用・効果】上記課題を解決
するために本発明のセラミック動圧軸受は、円筒状の外
周面を有する第一部材と、円筒状の外周面及び円筒状の
挿通孔を有した第二部材とを有し、第二部材の挿通孔に
該第一部材が挿通されるとともに、第二部材の挿通孔内
面と、これに挿通される第一部材の外周面とをそれぞれ
ラジアル動圧隙間形成面として、それらラジアル動圧隙
間形成面の間にラジアル動圧隙間が形成され、それら第
一部材と第二部材との相対回転に伴い、ラジアル動圧隙
間に流体動圧を発生させるよう構成され、第一部材及び
第二部材とはいずれも、Al換算したAl成分の
含有率が90〜99.5質量%であって、酸化物系焼結
助剤成分を酸化物換算にて0.5〜10質量%含有する
アルミナ質セラミックにて構成され、さらに、第二部材
の外周面と挿通孔との同軸度が1μm以下に調整されて
いることを特徴とする。
【0007】本発明者が検討したところによると、ラジ
アル動圧隙間形成面の局所的な摩耗を防止しつつ、均一
で安定な動圧発生状態ひいては回転状態を確保するに
は、単にラジアル動圧隙間形成面の加工仕上げ精度を一
定レベル以上に確保するのみならず、ハードディスクや
ポリゴンミラー等の取付けがなされる第二部材の外周面
の加工精度を一定以上に確保すること、具体的には、第
二部材の外周面と挿通孔との同軸度が上記範囲のものと
なっていることが重要であることが判明した。そして、
さらに鋭意検討を重ねた結果、それら第一部材及び第二
部材をアルミナ質セラミックにて構成する場合、該セラ
ミックのアルミナ含有率を90〜99.5質量%に調整
することが、上記のような加工精度を確保する上で有効
であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】第二部材の外周面と挿通孔との同軸度が1
μmより大きくなっていると、第二部材の外周面に取り
付けられるハードディスクやポリゴンミラー等の中心軸
線が、動圧軸受の回転軸線に対して偏心しやすくなり、
芯ぶれによる振動や、起動あるいは停止時の動圧隙間形
成面の局所摩耗等が避けがたくなる。なお、同軸度の定
義は、JIS:B0021の18.13.2に規定され
たものを使用する。第二部材の外周面及び挿通孔の同軸
度は、精度確保上、必要十分な数だけ設定した軸直交断
面において、その面外形線形状を公知の形状プロファイ
ル測定装置を用いて測定し、その形状プロファイルから
算出することができる。なお、後述する動圧溝が形成さ
れている場合は、その動圧溝の形成領域を除いた面領域
を用いて同軸度の評価を行なうものとする。
【0009】なお、同軸度は小さければ小さいほどよい
が、加工コストの兼ね合いを考慮すれば、0.5μm程
度を下限とすることが妥当である。
【0010】第二部材を構成するアルミナ質セラミック
のアルミナ含有率あるいは焼結助剤成分含有率を上記の
ような範囲に調整するのは、以下のような理由による。
すなわち、焼結助剤成分が過度に増加してアルミナ含有
率が不足すると、焼成時に発生する液相量が増加して焼
結体の結晶粒成長が過度に進行する。このように、焼結
助剤成分の含有率が高く、また、結晶粒成長が進みすぎ
たセラミック組織は硬さが小さく、砥石や砥粒にて加工
仕上げする際の研削抵抗が小さくなる。研磨が不必要に
急速進行する傾向があり、研磨面の精度を確保しにくく
なる欠点がある。すなわち、研磨面の加工精度を高める
には、セラミックの材質が適度な硬さを有していること
が重要である。
【0011】そこで、セラミックのアルミナ含有率を最
低でも90質量%確保すること、あるいは焼結助剤成分
の含有率を10質量%以下に制限することにより、上記
のような過度の結晶粒成長が生じ難くなり、ひいては、
第二部材の外周面と挿通孔との同軸度を前記数値範囲内
に容易に確保することができるようになる。その結果、
回転時の芯ぶれや起動停止時のラジアル動圧隙間形成面
の局所的な摩耗が生じ難くなり、ひいては軸受の回転状
態を均一で安定なものとすることができる。
【0012】他方、焼結助剤成分含有率が減少してアル
ミナ含有量が過剰になると、焼結時の液相発生量が減少
し、結晶粒子の成長が抑制されて平均結晶粒径は相当小
さな値となる。その結果、逆にセラミックの研磨や研削
に対する抵抗が大きくなりすぎて、加工能率の大幅な低
下を招くことにつながる。
【0013】以上の観点において、アルミナ含有率は、
望ましくは92〜98質量%、より望ましくは93〜9
7質量%とするのがよい。さらに、粒界相を構成する酸
化物系焼結助剤成分は、酸化物換算にて望ましくは2〜
8質量%、より望ましくは3〜7質量%含有させること
ができる。
【0014】酸化物系焼結助剤成分としては、例えばカ
チオン成分がLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、B
a、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及び
Siである酸化物を使用することができる。この場合、
アルミナ質セラミックには、上記カチオン成分群から選
ばれる1種又は2種以上を酸化物換算した値にて、合計
で0.5〜10質量%(望ましくは2〜8質量%、より
望ましくは3〜7質量%)含有させることができる。
【0015】これらのうち、Si成分は粒界相の骨格を
形成して強度を高めるとともに、液相の流動性を改善す
る効果を有する。また、アルカリ金属であるLi、Na
及びKの3成分は、焼成時に生ずる液相の融点を下げ、
液相の流動性を向上させて焼結体の緻密化を促進する効
果がある。このうち、Naは安価であり、また、バイヤ
ー法にて製造された一般的なアルミナ原料粉末中では、
本来不純物として存在するNaも、焼結助剤として流用
できる利点がある。なお、これら3成分は、いずれも組
成式MO(ただし、Mはカチオン金属元素である)に
て酸化物換算する。
【0016】他方、アルカリ土類金属であるMg、C
a、Sr及びBaの4成分も、アルカリ金属に次いで焼
成時に生ずる液相の融点を下げる効果が大きい。他方、
これらの元素は、粒界相中に取り込まれた際にその強度
を向上させる効果を有する。その結果、焼結体全体(ひ
いては動圧隙間形成面)の強度及び耐摩耗性を向上させ
ることができる。該効果は、Caを用いた場合に特に大
きい。これら4成分は、いずれも組成式MO(ただし、
Mはカチオン金属元素である)にて酸化物換算する。
【0017】また、希土類金属であるSc、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb及びLuは、粒界相の結晶化を促
進し、その強度を向上させる効果を有する。その結果、
焼結体全体ひいては動圧隙間形成面の強度及び耐摩耗性
を向上させることができる。該効果は、Ceを用いた場
合に特に大きい。これら成分は、Ceのみ組成式MO
により、他は組成式M (ただし、Mはカチオン金
属元素である)にて酸化物換算する。
【0018】次に、アルミナ質セラミックの見かけ密度
は、3.5〜3.9g/cmであることが望ましい。
アルミナ質セラミックの密度を比較的高い値である3.
5〜3.9g/cmに調整することにより、動圧隙間
発生面を構成するアルミナ質セラミックの強度及び耐摩
耗性の絶対値を向上させることができ、ひいては部材間
の接触が生じやすい回転の起動・停止時において、動圧
隙間形成面の摩耗を効果的に防止することができる。
【0019】なお、理想的に緻密化したアルミナ質セラ
ミックの密度は最大で4.0g/cmに到達するが、
このように完全に緻密化するまでアルミナ質セラミック
を焼結しようとすると、焼結温度をどうしても高温に設
定せざるを得なくなり、結晶粒成長が避けがたくなる。
このような状態になると、前述の通りラジアル動圧隙間
形成面の精度を確保しにくくなる場合がある。しかしな
がら、アルミナ質セラミックの見かけ密度を3.9g/
cm程度までに留めれば、焼結温度をそれほど高温化
する必要はなくなり、結晶粒成長も抑制されるので、第
二部材の外周面と挿通孔との同軸度を前記した数値範囲
内のものとする上で一層好都合である。他方、見かけ密
度が3.5未満になるとアルミナ質セラミックの強度及
び耐摩耗性が損なわれ、起動・停止時の動圧隙間形成面
の摩耗が却って生じやすくなる場合がある。アルミナ質
セラミックの見かけ密度は、より望ましくは3.6〜
3.9g/cmの範囲にて調整することが望ましい。
【0020】なお、アルミナ質セラミックの見かけ密度
は、緻密化の進行状態のみでなく、添加する焼結助剤の
種類や含有量の影響も多少は受ける。そして、セラミッ
クの緻密化レベルと結晶粒成長の度合いとの関係を論ず
る場合は、相対密度(すなわち、アルミナ及び焼結助剤
の組成比から見積もられる真密度により、見かけ密度を
除した値)を尺度として用いることもできる。本発明に
おいては、アルミナ質セラミックの相対密度は90%以
上とするのがよく、望ましくは90〜98%、より望ま
しくは94〜97%とするのがよい。
【0021】上記のような密度範囲に調整されたアルミ
ナ質セラミックは、その曲げ強度レベルとして、280
〜550MPaの比較的高い値が可能となる。また、荷
重15Nにて測定したロックウェル硬さは、92〜98
程度とすることができる。さらに、破壊靭性値は3〜5
MPa・m1/2程度とすることができる。アルミナ質
セラミックの強度、硬さあるいは破壊靭性値がこのよう
な範囲のものとなることで、研磨ないし研削といった加
工能率を極端に低下させることなく、十分な加工精度を
確保することができる。なお、本明細書において曲げ強
度は、JIS:R1601(1981)に規定された方
法に基づいて、室温にて測定した3点曲げ強度を意味す
る。また、荷重15Nにて測定したロックウェル硬さ
は、JIS:Z2245に規定された方法に基づいて、
室温にて測定した硬さ値を意味する。さらに、破壊靭性
値はJIS:R1607(1990)に規定されたIF
法による測定値を意味する。
【0022】なお、本発明のセラミック動圧軸受は、回
転軸線方向における第二部材の少なくとも一方の端面に
対向する形で配置されるスラスト板を有し、第二部材の
端面と、これに対向するスラスト板の対向面とをそれぞ
れスラスト動圧隙間形成面として、それらスラスト動圧
隙間形成面の間にスラスト動圧隙間が形成されるものと
して構成することができる。
【0023】例えば図1に例示する構造の動圧軸受の場
合には、ラジアル方向とは、主軸の回転軸線方向(図の
上下方向)と垂直な方向(従って径方向)である。図1
では、第一部材である固定された主軸の外周面と、筒状
回転体として構成された第二部材である軸受部の内周面
とが、ラジアル動圧隙間形成面である。回転軸線方向に
長い形態の軸受の場合、ラジアル動圧が十分に発生する
か否かは、回転軸線を安定に支持する上で重要である。
また、スラスト方向とは、主軸の軸方向、すなわち回転
軸線の向き(図の上下方向)である。図1では、軸受部
の端面と、軸線方向においてその軸受部の端面と対向す
るスラスト板の板面とが、スラスト動圧隙間形成面とな
る。なお、スラスト動圧隙間形成面は、回転軸線方向に
対する垂直面より僅かに傾斜していてもよい。後述の通
り、回転軸線方向に短い形態の軸受の場合、スラスト動
圧が十分に発生するか否かは、回転軸線を安定に支持す
る上で重要である。なお、図10に示すように、主軸2
12が回転側となり、筒状の軸受部221が固定側とな
る軸受251も可能である。なお、以下において、ラジ
アル動圧隙間(形成面)とスラスト動圧隙間(形成面)
とを総称する場合は、単に動圧隙間(形成面)ともい
う。
【0024】また、上記の加工精度確保の観点から、本
発明に使用するアルミナ質セラミックの結晶粒子の平均
粒径は、1〜7μmの範囲に調整することが望ましい。
アルミナ質セラミック結晶粒子の平均粒径が7μmより
も大きくなると、研磨加工時に比較的大きなアルミナ結
晶粒子が脱落して研磨面を傷つけやすくなり、加工精度
低下を招く場合がある。一方、平均粒径を1μm未満と
することは焼成温度をそれほど高くできなくなることを
意味し、焼結体密度の低下ひいては強度不足等を招く結
果につながる。
【0025】次に、動圧隙間を形成する第一部材及び第
二部材は、それぞれ全体をアルミナ質セラミック(以
下、単にセラミックともいう)にて構成することができ
る。部材を構成するセラミックは、内部は空孔の少ない
緻密な焼結体組織とし、動圧隙間形成面部分は空孔が比
較的多く形成された組織とすることが、発生動圧レベル
の向上や、凝着摩耗あるいはリンキングの防止効果と、
強度及び耐摩耗性向上効果とを両立させる上で望まし
い。具体的には、セラミック焼結体中に存在する寸法2
〜20μmの空孔が主に、動圧隙間形成面に表面空孔の
形で局在化した形で存在しているのがよい。そして、こ
のような組織を能率よく形成するには、前述のように、
動圧隙間形成面を加工仕上げする際に、セラミック結晶
粒子を脱落させて表面空孔を形成することが有効であ
る。
【0026】また、本発明の動圧軸受は、動圧軸受の軸
方向の長さがスラスト動圧隙間形成面の外径よりも長い
か、あるいはスラスト動圧隙間が形成されないものと
し、回転体の回転時の傾斜がラジアル動圧隙間に発生す
る動圧により規制されるように構成できる。これは、例
えば図7に示すように、回転軸の長い動圧軸受を規定し
たものであり、回転体である軸受部35が傾斜すると、
ラジアル動圧隙間37に発生する圧力により、その傾斜
が修正される。他方、動圧軸受の軸方向の長さがスラス
ト動圧隙間形成面の外径よりも短く、回転体の回転時の
傾斜が、主にスラスト動圧隙間に発生する動圧により規
制されるように構成することもできる。これは、例えば
図3に示すような回転軸が短い動圧軸受を規定したもの
であり、回転体である軸受部が傾斜すると、スラスト動
圧隙間に発生する動圧により、その傾斜が修正される。
【0027】なお、動圧隙間形成面には動圧溝を形成す
ることができる。例えば、ラジアル動圧隙間形成面とな
る回転軸外周面に、周知の動圧溝が形成されていること
により、より一層スムーズな回転が実現できる。この動
圧溝としては、図2(a)に例示するように、例えば軸
受部に挿入される軸外周面(ラジアル動圧隙間形成面)
に周方向に所定間隔で複数の動圧溝を形成できる。この
実施形態では軸外周面の母線と一定角度をなす形で傾斜
した直線状の溝列とされているが、山型(あるいはブー
メラン型)の溝パターンを、軸周方向の基準線上に、溝
パターンの先端が位置するように、所定の間隔で全周に
わたって形成した、いわゆるヘリングボーン形態など、
他の公知の形態を採用することもできる。また、図2
(b)に例示するように、例えばスラスト板の表面(ス
ラスト動圧隙間形成面)に動圧溝を形成することもでき
る。この例では、板面周方向において、スラスト板中心
位置からの距離が漸減する曲線状の溝部を周方向に所定
の間隔で複数形成している。
【0028】本発明の動圧軸受は、例えばハードディス
ク装置のハードディスク回転主軸部分、あるいはCD−
ROMドライブ、MOドライブあるいはDVDドライブ
などのコンピュータ用周辺機器のディスク回転主軸部
分、さらにはレーザープリンタやコピー機等に使用され
るポリゴンスキャナのポリゴンミラー回転主軸部分の軸
受として有効に使用することができる。これらの精密機
器における回転駆動部の軸受には、例えば8000rp
m以上(さらに高速性の要求される場合には、1000
0rpm以上ないし30000rpm以上)の高速回転
が要求されるため、本発明の適用により、発生する流体
動圧レベルを高く安定なものとでき、ひいては振動等を
低減する効果を特に有効に引き出すことができる。ま
た、本発明は、上記セラミック動圧軸受をモータ回転出
力部の軸受として用いた軸受付きモータを提供する。さ
らに、上記の軸受付きモータと、その軸受付きモータに
より回転駆動されるハードディスクとを備えたハードデ
ィスク装置、あるいは、上記の軸受付きモータと、その
軸受付きモータにより回転駆動されるポリゴンミラーと
を備えたポリゴンスキャナも提供する。
【0029】なお、アルミナ質セラミックにさらに強靭
性を付与するために、ジルコニア質セラミックを配合し
た複合セラミック材料とすることもできる。このような
複合セラミック材料は、最も含有率の高いセラミック成
分がアルミナ及びジルコニアの一方であり、二番目に含
有率の高いセラミック成分がアルミナ及びジルコニアの
他方であるセラミック粉末を用いて、成形・焼成するこ
とにより得ることができる。なお、アルミナ質セラミッ
クに対するジルコニア質セラミックの配合量は、5〜6
0体積%とするのがよい。
【0030】また、アルミナ質セラミックを基質とし
て、これに、金属カチオン成分がTi、Zr、Nb、T
a及びWの少なくともいずれかである導電性無機化合物
相を含有させた複合セラミック材料とすることもでき
る。このような複合セラミック材料は、基質セラミック
の成形用素地粉末に、導電性無機化合物相の形成源とな
る粉末を配合して、成形・焼成することにより得ること
ができる。導電性無機化合物相を含有させることによ
り、セラミック材料に導電性を付与することができ、ひ
いては該セラミック材料にワイヤーカット等の放電加工
を施すことが可能となる。また、導電性の付与により、
帯電防止の効果を達成することができる。
【0031】導電性無機化合物は、Ti、Zr、Nb、
Taの少なくともいずれかを金属カチオン成分とする金
属窒化物、金属炭化物、金属硼化物、金属炭窒化物、及
び炭化タングステンの少なくともいずれかとすることが
でき、具体的には、窒化チタン、炭化チタン、硼化チタ
ン、炭化タングステン、窒化ジルコニウム、炭窒化チタ
ン及び炭化ニオブ等を例示できる。なお、導電性無機化
合物相の含有量は、複合セラミック材料の強度及び破壊
靭性値を確保しつつ十分な導電性向上を図るため、20
〜60体積%とするのがよい。なお、上記のような複合
セラミックを使用する場合、すでに説明したアルミナ含
有率あるいは焼結助剤の含有率は、複合セラミック全体
における含有率ではなく、アルミナ質セラミックからな
る基質中での含有率に読み替えるものとする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例により説明する。 (実施例1)図3に示すセラミック動圧軸受3は、(以
下単に動圧軸受とも記す)は、例えばポリゴンスキャナ
1において、ポリゴンミラー8を回転駆動するための動
圧軸受付きモータに使用されるものであり、空気を動圧
発生用流体として使用するものである。この動圧軸受付
きモータ2では、円筒状の軸受部15(回転体)を回転
させるために、軸受部15の外周面に一体化された支持
体7に永久磁石9が取り付けられ、基台11にはこの永
久磁石9と対向するコイル13が取り付けられている。
なお、永久磁石9とコイル13との配置関係はこれを入
れ替えてもよい。
【0033】セラミック動圧軸受3は、筒状の軸受部1
5(例えば、内径15mm、外径25mm、軸方向長さ
8mm)の挿通孔15aに、筒状の主軸(例えば、内径
5mm、外径15mm、軸方向長さ8mm)14が挿通
されている。図4に示すように、挿通孔15aの内周面
M2と、主軸14の外周面M1とはいずれも円筒状のラ
ジアル動圧隙間形成面であり、それらの間には、回転軸
線Оに関するラジアル方向の動圧を発生させるために、
空気にて満たされたラジアル動圧隙間17が形成されて
いる。なお、ここでは主軸14が請求項でいう第一部材
であり、軸受部15が同じく第二部材である。
【0034】一方、主軸14の両端面には、円板状のス
ラスト板(例えば、内径5mm、外径25mm、厚さ2
mm)21,23が同軸的に一体化されており、それら
スラスト板21,23の内側の板面M4,M6が、回転
体である軸受部15の両端面M3,M5と対向してい
る。本実施例では、スラスト板21,23は、図3に示
すように、各内孔21b,23bの内縁部にて主軸14
の端面に重ねられ、主軸14の中心孔14bに挿通され
たボルト25を基台11にねじ込むことにより押圧固定
されているが、固定形態はこれに限られるものではな
い。
【0035】そして、図4に示すように、スラスト板2
1,23の板面M4,M6と、軸受部15の両端面M
3,M5とが各々スラスト動圧隙間形成面となり、それ
らの間には、回転軸線Оに関するスラスト方向の動圧を
発生させるために、空気にて満たされたスラスト動圧隙
間18,18が形成されている。スラスト動圧隙間1
8,18の各大きさは例えば約6μm程度である。ま
た、スラスト動圧隙間18形成の観点から見た場合、ス
ラスト板21,23が第一部材であり、軸受部15が第
二部材である。
【0036】主軸14、軸受部15及びスラスト板2
1,23は、それぞれ全体がアルミナ質セラミックにて
構成されており、そのアルミナ含有率は90〜99.5
質量%、望ましくは92〜98質量%であり、残部が酸
化物系焼結助剤成分と不可避不純物である。そして、軸
受部(第二部材)15の外周面15bと挿通孔15aと
の同軸度が0.5μm以上1μm以下である。
【0037】軸受部(第二部材)15の外周面15bと
挿通孔15aとの同軸度が1μmより大きくなっている
と、図5に誇張して示すように、該外周面にハードディ
スク、ポリゴンミラーもしくはそれらの支持体(以下、
これらを総称する場合に、被圧入体ともいう)を取り付
けた際に、同軸度が小さいために、該被圧入体の軸線O
2が第二部材の回転軸線O1に対して偏心しやすくな
り、芯ぶれ及びそれによる振動や、回転・停止時の動圧
隙間形成面の凝着摩耗等の原因となりうる。しかしなが
ら、図6に示すように、同軸度を1μm以下に留めるこ
とで偏心が生じにくくなり、ひいては上記不具合を解消
することができる。
【0038】各部材を構成するアルミナ質セラミックの
見かけ密度は3.5〜3.9g/cm、望ましくは
3.6〜3.8g/cmであり、相対密度は90〜9
8%、望ましくは94〜97%である。さらに、セラミ
ック結晶粒子の平均粒径は1〜7μm、望ましくは2〜
5μmである。
【0039】ラジアル動圧隙間形成面M1,M2の少な
くとも一方(例えば主軸14側のM1)には、発生動圧
レベルを高めるために、図2(a)に示すような周知の
動圧溝を形成することができる。また、スラスト動圧隙
間形成面M3〜M6の少なくともいずれか(例えばスラ
スト板21,23側のM4,M6)にも、図2(b)に
示すような周知の動圧溝を形成することができる。
【0040】以下、上述したセラミック動圧軸受3の製
造方法について説明する。各セラミック部材すなわち、
主軸14、軸受部15、及びスラスト板21,23は、
公知の焼結法により製造できる。すなわち、平均粒径1
〜5μmのアルミナ原料粉末に対し、焼結助剤粉末とし
てMgO,CaO,CeO,SiO,NaO等の
酸化物粉末を配合して成形用素地粉末とし、これを金型
成形あるいは冷間静水圧プレス等の公知の成形法により
対応する形状にプレス成形する。その成型体を温度14
00〜1700℃にて焼結することにより焼結体を得
る。
【0041】この焼結体には、動圧隙間形成面の予定面
を含む必要な面に研磨加工が施され、所定の寸法に仕上
げられる。具体的には、軸受部15の挿通孔15aの内
周面、外周面及び両端面、主軸14の外周面、及び両ス
ラスト板21,23の軸受部15端面への対向面に、例
えば番手#100〜#200のダイアモンド砥石によ
り、周速1000〜1200m/sの高速研磨を施し、
さらに仕上げのために、番手#4000〜#6000の
ダイアモンド砥粒によりバフ研磨を行なう。各部材を構
成するアルミナ質セラミックの材質として、アルミナ含
有率が90〜99.5質量%、望ましくは92〜98質
量%のものを使用することで、軸受部15の外周面15
bのと挿通孔15aとの同軸度を前記の範囲のものとす
る上で好都合となる。
【0042】加工仕上げが終了すれば、各動圧隙間形成
面Mに前述の動圧溝がサンドブラストやエッチングなど
により刻設され、最終的な主軸14、軸受部15あるい
はスラスト板21,23が得られる。そして、図3に示
すように、支持体7、永久磁石9及びコイル13を組み
付け、さらに、ボルト25を用いて主軸14、軸受部1
5及びスラスト板21,23を組み立てることにより、
動圧軸受付きモータが得られる。また、支持体7にポリ
ゴンミラー8を取り付ければ、ポリゴンスキャナ1の組
立てが完了する。
【0043】ポリゴンスキャナ1は以下のように動作す
る。すなわち、動圧軸受付きモータ2は交流誘導モータ
として構成され、コイル13への通電によりにポリゴン
ミラー8が主軸14を固定軸として、軸受部15及び支
持体7とともに一体的に回転駆動される。その最大回転
数は8000rpm以上の高速回転であり、より大きな
スキャン速度が要求される場合には、最大回転数にて1
0000rpm以上、さらには30000rpm以上
(例えば50000rpm程度)にも達する場合があ
る。従って、コイル13のターン数や励磁用の永久磁石
9が発生する外部磁界の値、さらには定格駆動電圧等
が、ポリゴンミラー8の回転負荷を考慮して上記最大回
転数が実現されるように適宜設定される。ここで、主軸
14と軸受部15との間のラジアル動圧隙間17には回
転軸線Оに関するラジアル動圧が、スラスト板21,2
3と軸受部15との間のスラスト動圧隙間18には同じ
くスラスト動圧が発生し、ラジアル方向及びスラスト方
向の双方において、相対回転する部材間の非接触状態が
維持された状態でポリゴンミラー8の回転軸線が支持さ
れる。
【0044】次に、図7は、ポリゴンスキャナに使用す
るモータの別例を示すものである(ポリゴンミラーは図
示を省略している)。このモータ31も、図3と類似の
構成の、本発明のセラミック動圧軸受33を含んで構成
される。セラミック動圧軸受33は、円筒状の軸受部3
5(例えば、内径13mm強、外径25mm、軸方向長
さ5mm)と、その挿通孔37にて軸受部35の軸方向
に嵌挿された主軸39(直径13mm弱、長さ8mm)
とを有し、主軸39は固定されて回転せず、その周囲の
軸受部35側が回転する構成となっている。軸受部35
の内周面及び主軸39の外周面をそれぞれラジアル動圧
隙間形成面M2,M1として、それらの間にはラジアル
動圧隙間38が形成される。なお、図7のセラミック動
圧軸受33では、軸受部35及び主軸39の軸線方向寸
法が図3のセラミック動圧軸受3よりも大きく、回転軸
線Оの支持力としてはラジアル動圧が主体的となること
から、スラスト板が省略された構成となっている。
【0045】なお、図3のセラミック動圧軸受3と同様
に、軸受部35側を回転させるために、軸受部35の外
周に一体化された環状の支持体41に永久磁石43が配
置され、この永久磁石43と対向するコイル47が基台
45上に取り付けられている。さらに、軸受部35及び
主軸39の少なくとも一方の動圧隙間形成面M、例えば
主軸39の外側の動圧隙間形成面(外側ラジアル動圧隙
間形成面)M1には、前記図2(a)に示すような動圧
溝が形成されている。そして、軸受部35の外周面35
bと挿通孔37との同軸度が、図3と同様の範囲内のも
とされている。
【0046】図9は、ポリゴンスキャナのさらに具体的
な構成例を示すものである。ポリゴンスキャナ90にお
いて基台100上には、本発明のセラミック動圧軸受1
01を支持固定するための芯軸102の一端を垂直に固
定してある。この芯軸102にはセラミック製の下スラ
スト板103を固定して設けてある。芯軸102にはセ
ラミックス製の主軸105を貫通して固定してある。さ
らに、セラミック製の軸受部107は、主軸105の円
筒外周面をなすラジアル動圧隙間形成面106と、軸受
部107の内周面をなすラジアル動圧隙間形成面108
との間にラジアル動圧隙間91を有していて、回転自在
に設けてある。さらに、セラミック製の上スラスト板1
09は、芯軸102に貫通されて固定してある。また、
軸受部107の上部と下部に形成したスラスト動圧隙間
形成面110,111と、下スラスト板103のスラス
ト動圧隙間形成面112、及び上スラスト板109のス
ラスト動圧隙間形成面113とのそれぞれの間にスラス
ト動圧隙間92,92が形成される。各セラミック部材
の材質は、ここでもアルミナ系セラミックであり、組織
的あるいは組成的には図3及び図7のセラミック動圧軸
受3ないし33と同様の構成である。
【0047】軸受部107の外周面107bには、別体
で形成された支持部114を固定し、さらに、多数の反
射面115が形成されたポリゴンミラー116を固定部
材117で支持部114に固定する(回転体と支持部1
14は一体でもよい)。芯軸102の他端は保持座板1
18とボルト119で固定してある。また、下スラスト
板103のスラスト動圧隙間形成面112に、図2
(b)に示すものと同様の動圧溝121を形成する。さ
らに、図示はしていないが、ラジアル動圧隙間形成面1
06をなす、主軸105の外周面(以下、外周面106
とも記す。)にも図2(a)に示すものと同様の動圧溝
を形成する。また、軸受部107の外周面107b及び
挿通孔108の同軸度が、図3と同様の範囲内のものと
されている。
【0048】そして基台100上には、三相ブラシレス
モータ133の構成として、絶縁部材123を介して巻
き線129を設け、軸受部107の支持部114の下部
には回転方向に対して巻き線129に対向したマグネッ
ト125が設けられる。巻き線129に通電すること
で、軸受部107を高速度で誘導回転させる上記ポリゴ
ンミラー116の駆動モータとして機能する。該三相ブ
ラシレスモータ133の回転により、ラジアル動圧隙間
91に動圧が発生し、円滑な高速度回転が可能となる。
【0049】軸受部107が停止しているときは、該軸
受部107の対向面110と下スラスト板103のスラ
スト動圧隙間形成面112とが接触している。そして、
軸受部107が主軸105を中心に回転を開始すると、
スラスト動圧隙間92にスラスト動圧が発生して接触状
態が解除され、高速回転を可能とする。
【0050】図10は、本発明をハードディスク装置に
適用した例を示すものである。このハードディスク装置
200は、ハブ211の外周に磁気ディスク209a、
209bが固定され、中央にはモータ回転軸212が固
設されている。ハブ211は、これに固定されたディス
ク209a,209bと共に回転する。モータ回転軸2
12は、アルミナ質セラミックからなる固定軸受部22
1によってラジアル方向に支承され、またアルミナ質セ
ラミックからなるスラスト板222でスラスト方向に支
承されている。
【0051】上記モータ回転軸212、固定軸受部22
1及びスラスト板222はセラミック材料からなるた
め、そのモータ回転軸212及び固定軸受部221は高
速で回転するディスク209a,209bの負荷及び高
速回転に耐えるだけの機械剛性を持つ。
【0052】次に、上記モータ回転軸212と固定軸受
部221との間、モータ回転軸212とスラスト板22
2との間には空気が充填され、モータ回転軸212と固
定軸受部221との間には周方向にラジアル動圧隙間2
40が形成されており、固定軸受部221の内周面21
7には図示しない動圧溝が形成されている。モータ回転
軸212は、その回転に伴い、ラジアル動圧隙間240
にラジアル動圧が発生して固定軸受部221に対し非接
触で回転する。ラジアル動圧隙間形成面をなすモータ回
転軸212の外周面及び固定軸受部221の内周面と
は、図3及び図7のセラミック動圧軸受3ないし33と
同様に構成されている(すなわち、本発明のセラミック
動圧軸受の構成を有している)。なお、モータ回転軸2
12の軸端212aは球面ピボット形状になっており、
スラスト方向の力をスラスト板222で支えている。
【0053】ハードディスク装置200においては、ス
テータコア224はブラケット223に固定されてい
る。そのステータコア224にはステータコイル225
が巻回されている。図9のポリゴンスキャナ90と同様
に、モータの回転駆動力は、そのステータコイル225
に電流を流すことにより励磁されたステータコア224
がつくる回転磁界と、そのステータコア224の周囲を
取り巻く多極着磁された駆動マグネット214とにより
発生する。そのマグネット214はハブ211の内周に
固着され、ハブ211とともにロータ210を構成す
る。そして、固定軸受部221の外周面232と挿通孔
217との同軸度が、図3と同様の範囲内のものとされ
ている。
【0054】なお、ハードディスク装置200において
は外側の軸受部221側が固定、内側の主軸(回転軸)
212側が回転となっていたが、図3を援用して説明す
れば、ポリゴンミラー8を磁気ディスク408にて置き
換えることにより、軸受部15側が回転となり、主軸1
4側が固定となるハードディスク装置構成も当然に可能
である。
【0055】なお、本発明は上記の実施例に何ら限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々の態様で実施しうることは言うまでもない。例
えば、動圧発生用流体としては、空気以外の気体を用い
てもよいし、気体に代えて油や水等の液体を用いてもよ
い。
【0056】
【実施例】本発明の効果を確認するために以下の実験を
行なった。まず、図3に示す軸受部15、主軸14及び
スラスト板21,23の各部材を、アルミナ質セラミッ
ク焼結体として以下のように製造した。すなわち、原料
として、レーザー回折式粒度計にて測定した平均粒径が
1.8μmのアルミナ粉末(純度:99.9%)と、C
aO粉末(平均粒径:4μm)、MgO粉末(平均粒
径:4μm)及びSiO粉末(平均粒径:4μm)
を、重量比にて3:1:1に配合した焼結助剤粉末とを
用意した。そして、焼結助剤粉末が0.3〜15質量
%、残部アルミナ粉末となるように配合して、水と適量
のバインダーとしてのPVAとを加えて湿式混合した
後、スプレードライ法にて噴霧乾燥することにより、造
粒原料素地粉末を得た。
【0057】造粒原料素地粉末は、金型プレス法により
各部材形状に成形した後、1400〜1700℃の温度
にて焼成した得られた焼結体は、動圧隙間形成面となる
軸受部15の挿通孔15aの内周面及び両端面、主軸1
4の外周面、さらにスラスト板21,23の軸受部15
の端面に対する対向面に、番手#100〜200のダイ
アモンド砥石により、周速1000m/分の高速研磨を
施し、さらに仕上げのために、番手#2000〜#60
00のダイアモンド砥粒によりバフ研磨を行なった。次
いで、各部材の溝パターンに予定された以外の領域をマ
スキングしてショットブラスト処理することにより、図
2に示す動圧溝を形成した。
【0058】そして、各動圧隙間形成面において、動圧
溝を形成していない研磨面領域を光学顕微鏡観察し、そ
の観察画像上において公知の手法を用いて画像解析する
ことにより、アルミナ結晶粒子の平均寸法(平均粒径)
を求めた。また、各部材の見かけ密度をアルキメデス法
により測定し、アルミナ及び焼結助剤の配合比から見積
もられる真密度を用いて相対密度の値を算出した。
【0059】次に、上記各部材を図3に示す動圧軸受付
きモータに組み込み、以下の試験を行なった。 回転数30000rpmにて連続回転させたときの、
回転部分となる軸受部15の回転振れ量(回転軸線と直
交する向きにおける外周面測定位置の最大振れ振幅)
を、レーザー干渉式測長器を用いて測定する。そして、
振れ量が0.1μm未満のものを優(◎)、同じく0.
1μm以上0.2μm未満のものを良(○)、0.2μ
m以上0.3μm未満のものを可(△)、0.3μmを
超えるものを不可(×)として評価した。
【0060】停止状態から回転数30000rpmま
で加速し、1分保持した後、停止させるサイクルを10
0000回まで繰り返す。そして、動圧隙間形成面の凝
着摩耗に関しては、サイクル終了まで、動圧隙間形成面
に凝着摩耗の全く見られなかったものを優(◎)、サイ
クル終了時に凝着摩耗が見られたが極めて僅かであった
ものを良(○)、サイクル終了時に多少の凝着摩耗が見
られたが問題のなかったものを可(△)、サイクル途中
で大きな凝着摩耗が発生し、試験続行不能となったもの
を不可(×)として評価した。さらに、軸受部15のス
ラスト動圧隙間形成面を利用して、JIS:Z2245
に規定された方法により荷重15Nにてロックウェル硬
さを測定した。
【0061】また、軸受部15に圧入された支持体7を
取り外し、公知の形状プロファイル測定機により、軸受
部15の外周面15bと挿通孔との同軸度を、公知の形
状プロファイル測定機により測定した。以上の結果を表
1及び表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】この結果からも明らかな通り、アルミナ質
セラミックのアルミナ含有率を90〜99.5質量%と
することにより、上記同軸度を1μm以下の範囲に収め
ることができ、それにより、回転振れや凝着摩耗も生じ
にくくなることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック動圧軸受の一構成例を示す
断面模式図。
【図2】ラジアル動圧隙間形成面に形成される動圧溝及
びスラスト動圧隙間形成面に形成される動圧溝の一例を
それぞれ示す説明図。
【図3】本発明のセラミック動圧軸受が使用されたポリ
ゴンスキャナ用モータユニットの一例を示す正面断面
図。
【図4】図3の要部をなすセラミック動圧軸受の正面断
面図及び分解斜視図。
【図5】第二部材(軸受部)の外周面の同軸度の値が大
きすぎる場合の問題点を説明する図。
【図6】同じく、同軸度を本発明の範囲内に調整するこ
とによりもたらされる効果を説明する図。
【図7】本発明のセラミック動圧軸受が使用されたモー
タユニットの変形例を示す断面模式図。
【図8】さらに別の変形例の要部を示す斜視図。
【図9】本発明のセラミック動圧軸受を用いたポリゴン
スキャナの一例を示す正面断面図。
【図10】本発明のセラミック動圧軸受を用いたハード
ディスク装置の一例を示す正面断面図。
【符号の説明】
1,90 ポリゴンスキャナ 3,33,101,251 セラミック動圧軸受 14,39,105,212 主軸 15,35,107,221 軸受部 15a 挿通孔 17,38,91,240 ラジアル動圧隙間 18,92 スラスト動圧隙間 21,23,103,109,222 スラスト板 M 動圧隙間形成面 M1,M2 ラジアル動圧隙間形成面 M3〜M6 スラスト動圧隙間形成面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA02 BA02 BA06 CA02 KA04 SD04 4G030 AA07 AA08 AA36 AA37 BA18 BA20 CA04 GA11 5H605 AA13 BB05 CC04 DD03 EA06 EB06 EB17 EB36 FF10 5H607 BB01 BB14 BB25 DD03 DD16 GG01 GG09 GG12 KK04 KK10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の外周面を有する第一部材と、円
    筒状の外周面及び円筒状の挿通孔を有した第二部材とを
    有し、前記第二部材の前記挿通孔に該第一部材が挿通さ
    れるとともに、前記第二部材の挿通孔内面と、これに挿
    通される前記第一部材の外周面とをそれぞれラジアル動
    圧隙間形成面として、それらラジアル動圧隙間形成面の
    間にラジアル動圧隙間が形成され、それら第一部材と第
    二部材との相対回転に伴い、前記ラジアル動圧隙間に流
    体動圧を発生させるよう構成され、 前記第一部材及び前記第二部材とはいずれも、Al
    換算したAl成分の含有率が90〜99.5質量%で
    あって、酸化物系焼結助剤成分を酸化物換算にて0.5
    〜10質量%含有するアルミナ質セラミックにて構成さ
    れ、 さらに、前記第二部材の前記外周面と前記挿通孔との同
    軸度が1μm以下に調整されていることを特徴とするセ
    ラミック動圧軸受。
  2. 【請求項2】 前記アルミナ質セラミックの見かけ密度
    が3.5〜3.9g/cmである請求項1記載のセラ
    ミック動圧軸受。
  3. 【請求項3】 前記アルミナ質セラミックの相対密度が
    90%以上である請求項1又は2に記載のセラミック動
    圧軸受。
  4. 【請求項4】 前記アルミナ質セラミック結晶粒子の平
    均粒径が1〜7μmである請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載のセラミック動圧軸受。
  5. 【請求項5】 回転軸線方向における前記第二部材の少
    なくとも一方の端面に対向する形で配置されるスラスト
    板を有し、前記第二部材の端面と、これに対向する前記
    スラスト板の対向面とをそれぞれスラスト動圧隙間形成
    面として、それらスラスト動圧隙間形成面の間にスラス
    ト動圧隙間が形成されている請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載のセラミック動圧軸受。
  6. 【請求項6】 前記ラジアル動圧隙間形成面及び前記ス
    ラスト動圧隙間形成面の少なくともいずれかに動圧溝が
    形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    のセラミック動圧軸受。
  7. 【請求項7】 ハードディスク装置のハードディスク回
    転主軸部分の軸受として使用される請求項1ないし6の
    いずれか1項に記載のセラミック動圧軸受。
  8. 【請求項8】 ポリゴンスキャナのポリゴンミラー回転
    主軸部分の軸受として使用される請求項1ないし6のい
    ずれか1項に記載のセラミック動圧軸受。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
    のセラミック動圧軸受をモータ回転出力部の軸受として
    用いたことを特徴とする軸受付きモータ。
  10. 【請求項10】 ハードディスク装置のハードディスク
    回転駆動部に使用される請求項9記載の軸受付きモー
    タ。
  11. 【請求項11】 ポリゴンスキャナのポリゴンミラー駆
    動部に使用される請求項9記載の軸受付きモータ。
  12. 【請求項12】 最大回転数が8000rpm以上の高
    速回転用モータである請求項9ないし11のいずれか1
    項に記載の軸受付きモータ。
  13. 【請求項13】 請求項10又は12に記載の軸受付き
    モータと、その軸受付きモータにより回転駆動されるハ
    ードディスクとを備えたことを特徴とするハードディス
    ク装置。
  14. 【請求項14】 請求項11又は12に記載の軸受付き
    モータと、そのベアリング付きモータにより回転駆動さ
    れるポリゴンミラーとを備えたことを特徴とするポリゴ
    ンスキャナ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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