JP2002266023A - 自動車用足廻り鍛造品の製造方法 - Google Patents
自動車用足廻り鍛造品の製造方法Info
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Abstract
自動車用足廻り鍛造品の製造方法を提供する。 【解決手段】 重量比にしてC:0.10超〜0.35
%,Si:0.05〜2.00%,Mn:1.5〜3.
0%,Cr:0.50〜3.00%,N:0.012〜
0.030%,P:0.035%以下,Al:0.02
0%以下,Ti:0.01%未満,Nb:0.01%未
満,Ti+Nb≦0.01%,B:0.0005%未
満,O:0.0020%未満,残部Fe及び不可避的不
純物から成る鋼を温度1150〜1300℃にて熱間鍛
造し,800〜400℃の温度範囲を平均冷却速度が4
0〜300℃/minとなる条件にて冷却してベイナイ
ト主体の組織かつHv320以下の硬さとした熱間鍛造
品に冷間加工を加えることを特徴とする自動車用足廻り
鍛造品の製造方法である。
Description
れる鍛造品であって,熱間鍛造後に冷間加工を実施し,
冷間加工により導入された歪により特別な熱処理を施す
ことなく歪時効効果を得て,優れた曲げ降伏強度の得ら
れる自動車用足廻り用鍛造品の製造方法に関するもので
ある。
アッパーアーム,キャンバーコントロール,トレーリン
グアーム等は,高強度と高い曲げ耐力が要求されるため
に,従来は炭素鋼又は低合金鋼を熱間鍛造後焼入焼もど
し処理を実施した後,機械加工して使用されてきた。し
かしながら,最近では,CO2削減,製造コスト低減の
観点から一部で非調質鋼も利用されてきている。
品の軽量化要求が高く材料を鋼からアルミ合金等の軽金
属へ置き換える試みがなされているが,材料コストが増
加する問題が生じる。そこで,高強度の鋼材を用いて足
廻り部品を薄肉軽量化する検討が盛んに進められてい
る。
間鍛造後の冷間加工を利用して鍛造品の高強度化を図る
試みがなされている。例えば,特開平6−248341
号,特開平10−152749号,特開平10−152
750号,特開平11−131134号等の出願がされ
ている。これらの公報に記載の発明はいずれも熱間加工
後の冷間加工を利用して引張強さ,降伏比等の強度の高
い鋼の提供を可能とし,部品の軽量化を図ることを目的
とするものである。
軽量化効果を得るまでに鋼を高強度化しようとした場合
に,強度向上のために硬さの増加が避けられず,工具寿
命の低下,切削に必要な時間の延長,切削工具交換周期
の短時間化等の被削性の低下をまねき,コスト的に高く
なるという問題がある。また,鍛造後に時効処理を施す
ことで硬さを増加させずに0.2%耐力を向上させる手
法が発明されている(特開平5−302116号,特開
平5−302117号)が,時効のための再加熱処理が
必要であり,コストが高くなるという問題がある。
に冷間加工を加えて,引張強度,引張耐力の向上が達成
できたとする記載はされているが,足廻り部品に必要な
特性である曲げ0.2%耐力と被削性について全く記載
がなく,高強度と優れた被削性をいかにして両立させる
かという点について全く検討されていない。そこで,十
分な軽量化効果を得る足廻り部品を低コストに製造する
方策について,発明者等は種々の検討を試みた結果,以
下の知見を得て本発明を得た。
つつ優れた被削性を得ることのできる自動車用足廻り部
品の製造方法を提供することを目的とする。
0.10超〜0.35%,Si:0.05〜2.00
%,Mn:1.5〜3.0%,Cr:0.50〜3.0
0%,N:0.012〜0.030%,P:0.035
%以下,Al:0.020%以下,Ti:0.01%未
満,Nb:0.01%未満,Ti+Nb≦0.01%,
B:0.0005%未満,O:0.0020%未満,残
部Fe及び不可避的不純物から成る鋼を温度1150〜
1300℃にて熱間鍛造し,800〜400℃の温度範
囲を平均冷却速度:CV(℃/min)が40℃/mi
n〜300℃/minとなる条件にて冷却してベイナイ
ト組織又はベイナイト+フェライト組織とし,得られた
硬さがHv320以下とした熱間鍛造品に,曲げ降伏強
度が必要な部位に圧縮方向の冷間加工率で12〜50%
までの冷間加工を加えることを特徴とする自動車用足廻
り鍛造品の製造方法である(請求項1)。
廻り部品で使用されているフェライト・パーライト型非
調質鋼に比べC量を低くしMn,Cr量を高めること及
び熱間鍛造後の冷却速度を一定範囲内にすることでベイ
ナイト又はベイナイト+フェライト組織を得つつ,Hv
320以下の硬さとした場合,優れた被削性が確保でき
る。第2に,窒化物形成元素であるAl,Ti,Nb,
Bを極力低減して固溶N量を一定以上確保し,かつ熱間
鍛造後高い曲げ強度を必要とする箇所を特定範囲の加工
率で冷間加工して部品内部に歪を導入すると,その後特
別な処理を施さなくても,大きな歪時効効果が得られ,
熱間鍛造後の硬さがHv320以下であるにもかかわら
ず,優れた曲げ0.2%耐力を確保できる。
製造条件を限定した理由を明らかにする。
である。しかし,少なすぎると炭素量の微少なバラツキ
による硬さ変化が大きく,結果として引張強さのバラツ
キが極めて大きくなり安定した強度が得られないため,
Cを0.10%超とした。又,炭素量が多すぎると熱間
鍛造後の硬さをHv320以下にすることが困難とな
り,被削性が悪化するためCを0.35%以下とした。
0.05%以上とする。しかし,多量に含有させると,
被削性が悪化するためSiを2.00%以下とした。
ために必要な元素であり,ベイナイト組織を安定して得
るためにはMnは少なくとも1.5%以上必要である。
しかし,多すぎると熱間鍛造後の冷却時にマルテンサイ
ト組織等が発生し,被削性に優れたベイナイト組織を得
られなくなるためMnを3.0%以下とした。
ト組織を得るために必要な元素であり,ベイナイト組織
を安定して得るためにはCrは少なくとも0.50%以
上必要である。しかし,多すぎると熱間鍛造後の冷却時
にマルテンサイト組織等が発生し,被削性に優れたベイ
ナイト組織を得られなくなるためCrを3.00%以下
とした。
とにより,歪時効効果を得て高い曲げ0.2%耐力を確
保するために必要な元素である。また,結晶粒の粗大化
を防止する効果も有する。前記効果を十分に得るために
は,Nを0.012%以上の含有が必要である。しか
し,多すぎると製鋼精練時での成分調整が困難になるた
めNを0.030%以下とする。
分に得るために必要な固溶Nの量を,Nと化合物を生成
する元素をできるだけ低減(後述)することにより確保
している。前記効果を得るために,固溶Nは0.004
0%以上,好ましくは0.080%以上含有させること
が望ましい。しかし,多量の含有は成分調整が困難とな
るので,固溶Nを0.0200%以下とするのがより望
ましい。
間圧延,熱間鍛造時の割れを防ぐため上限を0.035
%とする。
下,Ti(チタン):0.01%未満,Nb(ニオ
ブ):0.01%未満,B(ホウ素):0.0005%
未満 Al,Ti,Nb,BはNと化合物を形成し,歪時効効
果を得るために必要な固溶Nの量を減らすため,歪時効
効果を減少させて冷間加工後の曲げ0.2%耐力を低下
させる原因となる元素である。Alは脱酸のため少量の
添加は必要であるが,最低限の量に抑える必要があり,
また他の3つの元素は製造時に添加しなくても電気炉溶
解する際に使用するスクラップやスラグから混入する場
合があり,本発明のように少量の含有が問題となる場合
には,この3元素が不純物として多量に含有されないよ
うに注意して製造する必要がある。従って,4元素共極
力低減する必要があり,Al,Ti,Nb,Bをそれぞ
れ,0.020%以下,0.01%未満,0.01%未
満,0.0005%未満とした。
歪時効効果を得るためには特にその含有量の上限を厳し
く管理する必要がある。従って,合計含有率の上限を
0.01%とした。好ましくは上限を0.005%とす
るのが良い。
の限界加工率を低くする原因となる元素である。特に変
形方向の冷間加工率が40%以上の高い冷間加工を加え
る場合には,酸素が多量に含有すると有害な割れを引き
起こす可能性が高くなるため,Oを0.0020%未満
とした。その他,本発明の鋼には,Fe,不可避的不純
物を含む。
明する。熱間鍛造時の加熱温度を1150〜1300℃
に限定した理由は,加熱温度が1150℃未満になる
と,鍛造加熱時にAlN等の窒化物が十分に鋼中に固溶
せず,固溶Nが減少しその後の歪時効効果が十分に得ら
れず,必要な曲げ0.2%耐力が得られないからであ
る。また1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大
化し,靭性が低下するとともに,硬さが上昇し,被削性
が低下するため,上限を1300℃とした。本願発明で
は特に歪時効効果を重視しているため,その効果を得る
ために下限を1200℃を超える高い温度に設定するの
がより好ましい。
度CV(℃/min)を40〜300℃/minとした
のは,冷却が遅すぎるとフェライトの割合が増加し,必
要な曲げ0.2%耐力が得られなくなるためであり,冷
却速度が300℃/minを超えると熱間鍛造後の冷却
時にマルテンサイト組織が現れ,熱間加工後の硬さHv
320を超え機械加工の工具寿命が悪くなるからであ
る。また,この温度範囲においては同一の冷却方法(例
えば空冷)を施すのが好ましく,前記温度範囲の途中か
ら徐冷する等冷却速度が大きく変化する方法を施すと,
規定された平均冷却速度の範囲内であっても狙いとする
組織が得られなくなる場合があるので注意が必要であ
る。温度範囲の下限を400℃としたのは,熱間鍛造後
の冷却中にベイナイト組織の出現を完了させるためであ
る。400℃に冷却されるまでに組織の出現が完了する
ため,400℃未満の温度における冷却速度は特に特定
範囲に限定する必要はない。
のは,Hv320を超すとドリルに代表される機械加工
時の工具寿命が著しく悪くなるためである。
で12〜50%までの冷間加工を加えるのは,冷間加工
率が12%未満であると加工硬化及び歪時効による強度
向上効果が小さくなって,必要な曲げ0.2%耐力が得
られないためである。しかし,必要以上の冷間加工を加
えると十分な歪時効効果は得られるが,割れ発生の可能
性が高くなるので,冷間加工率を50%以下とした。な
お,冷間加工率とは,圧縮方向の高さ変化率のことを示
す。例えば,図1の場合には,冷間加工率(%)=
((L−L2)/L)×100となる。
ベイナイト又はベイナイト+フェライトとしている。こ
の鋼の主な組織はベイナイトであって,フェライトの割
合は15%以内,好ましくは10%以下である。これ
は,高い曲げ耐力と優れた被削性を得るのに最も適した
組織であるからである。もし,マルテンサイト組織が生
成されると,硬さが高くなり,割れやすくなるととも
に,被削性が低下する。また,パーライト組織が生成さ
れると曲げ耐力が低下する。従って,マルテンサイト組
織,パーライト組織は極力少ないことが望ましく,共に
0%であることが最適である。
ることによって,優れた被削性と曲げ0.2%耐力95
0MPa以上の確保が可能となる。本発明の自動車用足
廻り鍛造品としては,たとえば,ロアーアーム,アッパ
ーアーム,キャンバーコントロール,トレーリングアー
ム,ステアリングナックル,タイロッドなどがある。
え,さらに重量%で,S:0.04〜0.20%,P
b:0.01〜0.30%,Bi:0.01〜0.30
%,Ca:0.0005〜0.01%,Mg:0.00
03〜0.01% ,REM:0.01〜0.20%か
ら選択した1種または2種以上を含有させた鋼を温度1
150〜1300℃にて熱間鍛造し,800〜400℃
の温度範囲を平均冷却速度:CV(℃/min)が40
℃/min〜300℃/minとなる条件にて冷却して
ベイナイト組織又はベイナイト+フェライト組織とし,
得られた硬さがHv320以下とした熱間鍛造品に,曲
げ降伏強度が必要な部位に圧縮方向の冷間加工率で12
〜50%までの冷間加工を加えることを特徴とする自動
車用足廻り鍛造品の製造方法である(請求項2)。
加え,更に,切削抵抗を低減でき刃具の寿命を延ばすこ
とができるという効果を得ることができる。
(鉛):0.01〜0.30%,Bi(ビスマス):
0.01〜0.30%,Ca(カルシウム):0.00
05〜0.01%,Mg(マグネシウム):0.000
3〜0.01%,REM:0.01〜0.20%の1種
または2種以上 S,Pb,Bi,Ca,Mg,REMは旋削,ドリル穿
孔時に切削抵抗を低減し,刃具の寿命向上に有効な元素
であり,必要に応じて添加されるものである。前記効果
を得るためには,Sは0.04%以上,Pbは0.01
%以上,Biは0.01%以上,Caは0.0005%
以上,Mgは0.0003%以上,REMは0.01%
以上の含有が必要である。しかし多量に含有すると,コ
スト増加を招くとともに,非金属介在物が増し,異方性
の増大,疲労強度の低下がある為,Sは0.20%以
下,Pbは0.30%以下,Biは0.30%以下,C
aは0.01%以下,Mgは0.01%以下,REMは
0.20%以下とした。
鋼に加え,さらに重量%で,Ni:3.0%以下,M
o:0.30%以下,V:0.20%以下から選択した
1種または2種以上を含有させた鋼を温度1150〜1
300℃にて熱間鍛造し,800〜400℃の温度範囲
を平均冷却速度:CV(℃/min)が40℃/min
〜300℃/minとなる条件にて冷却してベイナイト
組織又はベイナイト+フェライト組織とし,得られた硬
さがHv320以下とした熱間鍛造品に,曲げ降伏強度
が必要な部位に圧縮方向の冷間加工率で12〜50%ま
での冷間加工を加えることを特徴とする自動車用足廻り
鍛造品の製造方法である(請求項3)。
の効果に加え,更に,ベイナイト組織の微細化と曲げ
0.2%耐力の上昇という効果を得ることができる。
(モリブデン):0.30%以下,V(バナジウム):
0.20%以下 Ni,Mo,Vはベイナイト組織の微細化と曲げ0.2
%耐力の上昇に効果があり,必要に応じ添加することが
可能である。しかし,必要以上の添加はベイナイトミク
ロ組織中に残留オーステナイトを増加させ,逆に曲げ
0.2%耐力を低下させるとともに,コスト増加を招く
ため,Niは3.0%以下,Moは0.30%以下,V
は0.20%以下とした。
用足廻り鍛造品の供試材,及び比較例の供試材を作製し
た。表1及び表2は,供試材の化学成分を示すものであ
る。
第一,第二,第三発明鋼であり,20〜30鋼は一部の
成分が上記本発明の範囲外である比較鋼である。また,
31〜35鋼は従来鋼であって,31,32,35鋼は
焼入れ焼もどしを実施しない足廻り部品に既に適用され
ているベイナイト型非調質鋼であり,33鋼はBを含有
した従来のベイナイト型非調質鋼であり,34鋼は従来
のフェライトパーライト型非調質鋼である。35鋼は,
Ti,Nbの低減対策がされていない従来のベイナイト
型非調質鋼である。以上説明した供試材を使用して,自
動車用ロアアーム鍛造品を作製し,部品形状での曲げ試
験,被削性試験を実施した。
置で溶解後造塊し,φ40mmに熱間鍛造しその後ロア
アーム熱間鍛造品を作製した。その後熱間鍛造品につい
て表面を磁粉探傷し,1500tonプレスを用いて強
度が必要な部分に冷間加工を実施した。冷間加工は,図
1に示すごとく,一対のダイ2,3で供試材1を挟み,
上下方向から加圧した。加圧前の供試材1の高さLと加
圧後の供試材1の高さL2を求め,これらの値を((L
−L2)/L)×100%の算出式に代入して,冷間加
工率(%)を得た。
する方法で組織観察,硬さ測定,曲げ試験,被削性の評
価を実施した。硬さ試験は断面切断後研磨しビッカース
硬さ試験機で荷重10kgで実施した。
研磨したものを試料として用い,光学顕微鏡にて観察
し,鍛造後の組織について調査した。
60mm,ポンチ速度1mm/分で実施した。曲げ0.
2%耐力はゲージ長さ1mmの歪ゲージにて測定した。
評価を実施し,ドリルがφ6mmのストレートシャン
ク,ドリルの材質はSKH51,ドリル回転数は966
r.p.m.,潤滑油なし,荷重75kgの条件で実施
した。測定した結果は従来鋼を使用して製造した鍛造品
である32鋼の鍛造品の穿孔距離を100とし,それぞ
れの穿孔距離を整数比で表3に示した。
こに示すように,各合金成分が本発明範囲内である1〜
19鋼はいずれも熱間鍛造後の組織がベイナイトを主体
とするベイナイト+フェライト組織となっており,冷間
加工後の割れもなく,硬さ,曲げ耐力,被削性の全てに
ついて従来鋼に比べ優れた特性を示している。
冷間加工後の曲げ0.2%耐力が950MPa未満であ
る。また21鋼は逆にC量が高いために,マルテンサイ
ト組織が現れ,硬さがHv320を超え被削性指数が1
00以下で従来鋼より劣る。
工後の曲げ0.2%耐力が950MPa未満である。2
3鋼については,逆にMn量が高いために,マルテンサ
イト組織が現れ,硬さがHv320を超え,被削性指数
が100以下で従来鋼より劣る。24鋼についてはCr
量が低いため冷間加工後の曲げ0.2%耐力が950M
Pa未満である。25鋼については 逆にCr量が高い
ために,マルテンサイト組織が現れ,硬さがHv320
を超え被削性指数が100以下で従来鋼より劣る。26
鋼についてはAl量が高いため固溶Nによる歪時効効果
が少なく冷間加工後の曲げ0.2%耐力が950MPa
未満である。27鋼についてはN量が低いため,歪時効
効果量が少なく冷間加工後の曲げ0.2%耐力が950
MPa未満である。28鋼についてはTi量が高いため
固溶Nによる歪時効効果量が少なく冷間加工後の曲げ
0.2%耐力が950MPa未満である。29鋼はOが
多いため冷間加工後に割れが発生する。
間加工後の曲げ0.2%耐力が本願発明鋼を用いた鍛造
品に比べ著しく劣るものである。
度,鍛造後の冷却条件,冷間加工量,影響を調査した実
施例を示す。
の条件を満足する鋼種2について,製造条件を変化さ
せ,前述の試験方法と同様に試験を実施した。結果を表
5に示す。
製造条件が本願発明範囲内であり,全てについて優れた
被削性,曲げ0.2%耐力が得られている。
物が十分に固溶しないために冷間加工による歪時効の効
果が少なく曲げ0.2%耐力が950MPa未満であ
る。Kは加熱温度が1300℃を超え,硬さが硬いた
め,被削性が従来品より悪い。Lは冷却速度が遅くパー
ライト組織が現出し曲げ0.2%耐力が950MPa未
満である。Mは冷却速度が速くマルテンサイト組織が現
出し硬さが高いため被削性が従来品より悪い。Nは70
0℃までを空冷し,その後徐冷(5℃/min)した実
施例であるが,ベイナイト変態が完了する前に冷却速度
が急変し,徐冷されるため,パーライト組織が現出し,
曲げ0.2%耐力が低いものである。なお,表5に示し
た冷却速度は,空冷中のみの平均冷却速度である。Oは
熱間鍛造後の冷間加工率が12%未満であり,十分に大
きな歪時効効果が得られず曲げ0.2%耐力が低いもの
であり,Pは逆に冷間加工率が高いため,冷間鍛造割れ
を呈す。以上の実施例から明らかなように,化学成分が
本発明で規定した条件範囲内であっても,製造条件(鍛
造加熱温度,鍛造後の冷却条件,冷間加工率)のいずれ
か1項目でも満足しない場合には,得られる特性が劣る
ものである。
の足廻り部品に用いられる鍛造品で,熱間鍛造後に冷間
加工を実施し,一定量以上の固溶N量を確保して歪時効
効果を十分に得ることにより,冷間加工後に熱処理を施
すことなく優れた曲げ耐力と被削性の両立できる自動車
用足廻り用鍛造品を得ることができる。従って,CO2
発生を抑制しつつ自動車用足廻り鍛造品の大幅な軽量化
を達成することができる。
する説明図(a),(b)。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量比にしてC:0.10超〜0.35
%,Si:0.05〜2.00%,Mn:1.5〜3.
0%,Cr:0.50〜3.00%,N:0.012〜
0.030%,P:0.035%以下,Al:0.02
0%以下,Ti:0.01%未満,Nb:0.01%未
満,Ti+Nb≦0.01%,B:0.0005%未
満,O:0.0020%未満,残部Fe及び不可避的不
純物から成る鋼を温度1150〜1300℃にて熱間鍛
造し,800〜400℃の温度範囲を平均冷却速度:C
V(℃/min)が40℃/min〜300℃/min
となる条件にて冷却してベイナイト組織又はベイナイト
+フェライト組織とし,得られた硬さがHv320以下
とした熱間鍛造品に,曲げ降伏強度が必要な部位に圧縮
方向の冷間加工率で12〜50%までの冷間加工を加え
ることを特徴とする自動車用足廻り鍛造品の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の鋼に加え,さらに重量
%で,S:0.04〜0.20%,Pb:0.01〜
0.30%,Bi:0.01〜0.30%,Ca:0.
0005〜0.01%,Mg:0.0003〜0.01
% ,REM:0.01〜0.20%から選択した1種
または2種以上を含有させた鋼を温度1150〜130
0℃にて熱間鍛造し,800〜400℃の温度範囲を平
均冷却速度:CV(℃/min)が40℃/min〜3
00℃/minとなる条件にて冷却してベイナイト組織
又はベイナイト+フェライト組織とし,得られた硬さが
Hv320以下とした熱間鍛造品に,曲げ降伏強度が必
要な部位に圧縮方向の冷間加工率で12〜50%までの
冷間加工を加えることを特徴とする自動車用足廻り鍛造
品の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の鋼に加え,さ
らに重量%で,Ni:3.0%以下,Mo:0.30%
以下,V:0.20%以下から選択した1種または2種
以上を含有させた鋼を温度1150〜1300℃にて熱
間鍛造し,800〜400℃の温度範囲を平均冷却速
度:CV(℃/min)が40℃/min〜300℃/
minとなる条件にて冷却してベイナイト組織又はベイ
ナイト+フェライト組織とし,得られた硬さがHv32
0以下とした熱間鍛造品に,曲げ降伏強度が必要な部位
に圧縮方向の冷間加工率で12〜50%までの冷間加工
を加えることを特徴とする自動車用足廻り鍛造品の製造
方法。
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JP2001064407A JP3798251B2 (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 自動車用足廻り鍛造品の製造方法 |
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