JP2002265857A - カチオン電着塗料組成物及び塗膜を有する被塗装物 - Google Patents

カチオン電着塗料組成物及び塗膜を有する被塗装物

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JP2002265857A
JP2002265857A JP2001072707A JP2001072707A JP2002265857A JP 2002265857 A JP2002265857 A JP 2002265857A JP 2001072707 A JP2001072707 A JP 2001072707A JP 2001072707 A JP2001072707 A JP 2001072707A JP 2002265857 A JP2002265857 A JP 2002265857A
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resin
electrodeposition coating
cationic electrodeposition
coating composition
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JP2001072707A
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Kazuo Morichika
和生 森近
Toshitaka Kawanami
俊孝 川浪
Ichiro Kawakami
一郎 川上
Hiroyuki Sakamoto
裕之 坂本
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 カーボンブラックを添加しても防錆性を低下
させることなく、黒色電着被膜を得ることができるカチ
オン電着塗料組成物、及びこれから得られる被塗装物を
提供する。 【解決手段】 エポキシ樹脂からなる数平均分子量50
0〜20000の樹脂組成物、DBP吸収量が80cm
3 /100g以上であるカーボンブラックを含有するカ
チオン電着塗料組成物で、樹脂組成物は、樹脂固形分1
00gあたりスルホニウム基(a)5〜400mmo
l、C8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでもよ
い脂肪族炭化水素基(b)80〜355mmol、C3
〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基及び又は
プロパルギル基(c)10〜315mmolを含有し、
(a)、(b)、(c)の合計が、樹脂固形分100g
あたり500mmol以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料を添加しない
場合に得られる電着被膜の防錆性を低下させることな
く、黒色電着被膜を得ることができるカチオン電着塗料
組成物及び塗膜を有する被塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の塗装工程は、一般的には、リ
ン酸塩等により予め化成処理が施された被塗装物に、カ
チオン電着塗料による下塗り塗装をした後、中塗り塗
料、次いで上塗り塗料が塗装され、得られる塗膜を加熱
硬化させることからなる。
【0003】このうち、カチオン電着塗料は、防食、防
錆等を主目的として塗装されるものであり、特開200
0−38527号公報には、エポキシ樹脂を骨格とする
樹脂からなる数平均分子量500〜20000のカチオ
ン電着塗料用樹脂組成物であって、上記樹脂組成物は、
樹脂固形分100gあたりスルホニウム基(a)5〜4
00mmol、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖
中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)80〜3
55mmol並びに炭素数3〜7の、不飽和二重結合を
末端に有する有機基及びプロパルギル基のうち少なくと
も1種(c)10〜315mmolを含有し、かつ、上
記(a)、上記(b)及び上記(c)の合計含有量が、
樹脂固形分100gあたり500mmol以下であるこ
とを特徴とするカチオン電着塗料用樹脂組成物が開示さ
れている。この技術は、つきまわり性、塗膜の耐衝撃性
ともに優れるものである。
【0004】一方、従来、自動車の車体や部品類に用い
られる電着塗料は、被塗装物を着色する場合には、カー
ボンブラック等の顔料を添加される。しかしながら、上
記スルホニウム基及び脂肪族炭化水素基を含有するカチ
オン電着塗料組成物に、一般的なカーボンブラックを添
加する場合には、添加しない場合よりも防錆性に劣る被
膜が得られるという不具合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、カーボンブラックを添加しない場合に得ら
れる防錆性を低下させることなく、黒色電着被膜を得る
ことができるカチオン電着塗料組成物及び上記塗料組成
物から得られる塗膜を有する被塗装物を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、カチオン電
着塗料組成物が、スルホニウム基及び不飽和結合の他に
炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基をも有する樹脂組成
物、並びに、DBP吸収量が80cm3 /100g以上
であるカーボンブラックを含有するものである場合に
は、樹脂組成物とカーボンブラックとの相溶性が向上
し、その結果、カーボンブラックを添加しない場合に得
られる防錆性を損なうことなく、黒色電着被膜が得られ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、エポキシ樹脂を骨格とす
る樹脂からなる数平均分子量500〜20000の樹脂
組成物、並びに、DBP吸収量が80cm3 /100g
以上であるカーボンブラックを含有するカチオン電着塗
料組成物であって、上記樹脂組成物は、樹脂固形分10
0gあたりスルホニウム基(a)5〜400mmol、
炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいて
もよい脂肪族炭化水素基(b)80〜355mmol並
びに炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有
機基及びプロパルギル基のうち少なくとも1種(c)1
0〜315mmolを含有し、かつ、スルホニウム基
(a)、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含
んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)並びに炭素数3
〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロ
パルギル基のうち少なくとも1種(c)の合計含有量
が、樹脂固形分100gあたり500mmol以下であ
ることを特徴とするカチオン電着塗料組成物である。上
記DBP吸収量が80cm3 /100g以上であるカー
ボンブラックは、カチオン電着塗料組成物の固形分重量
に対して0.1〜5重量%であることが好ましい。上記
カチオン電着塗料組成物は、DBP吸収量が80cm3
/100g未満であるカーボンブラックを含有しないも
のであることが好ましい。
【0008】上記エポキシ樹脂は、ノボラックフェノー
ル型エポキシ樹脂又はノボラッククレゾール型エポキシ
樹脂であり、数平均分子量は、700〜5000であ
り、樹脂固形分100gに対してスルホニウム基(a)
5〜250mmol、炭素数8〜24の、不飽和二重結
合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)1
00〜300mmol並びに炭素数3〜7の、不飽和二
重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基のうち
少なくとも1種(c)20〜295mmol含有し、か
つ、上記(a)、上記(b)及び上記(c)の合計含有
量は、樹脂固形分100gあたり400mmol以下で
あることがより好ましい。上記カチオン電着塗料組成物
は、更に、エポキシ樹脂を骨格とし、スルホニウム基及
びプロパルギル基を含有する樹脂組成物を含有するもの
であって、上記カチオン電着塗料組成物は、樹脂成分の
数平均分子量が500〜20000であり、樹脂固形分
100gあたりスルホニウム基(a)5〜400mmo
l、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んで
いてもよい脂肪族炭化水素基(b)10〜300mmo
l並びにプロパルギル基及び炭素数3〜7の、不飽和二
重結合を末端に有する有機基の合計10〜485mmo
lを含有し、かつ、上記(a)、上記(b)、並びに、
プロパルギル基及び炭素数3〜7の、不飽和二重結合を
末端に有する有機基の合計含有量が、樹脂固形分100
gあたり500mmol以下であり、上記(b)の含有
割合が、樹脂固形分の3〜30重量%であることが更に
好ましい。本発明は、また、上記カチオン電着塗料組成
物から得られる塗膜を有することを特徴とする被塗装物
である。以下に本発明を詳述する。
【0009】本発明のカチオン電着塗料組成物は、DB
P吸収量が80cm3 /100g以上であるカーボンブ
ラックを含有する。80cm3 /100g未満である
と、樹脂組成物との相溶性に劣り、電着塗料中における
分散性が悪化して不均一となり、得られる電着被膜にピ
ンホール等の不具合を生じて、防錆性が劣る。好ましく
は、100cm3 /100g以上である。本明細書にお
いてDBP吸収量は、JIS K 6221のA法に準
ずる方法により測定される。
【0010】上記DBP吸収量が80cm3 /100g
以上であるカーボンブラックとしては、例えば、MA−
100(商品名、DBP吸収量100cm3 /100
g、三菱化学社製)、MA−600(商品名、DBP吸
収量131cm3 /100g、三菱化学社製)、BP−
280(商品名、DBP吸収量120cm3 /100
g、キャボット社製)、#990(商品名、DBP吸収
量112cm3 /100g、三菱化学社製)等が挙げら
れる。上記DBP吸収量が80cm3 /100g以上で
あるカーボンブラックは、1種又は2種以上を用いるこ
とができる。
【0011】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記
DBP吸収量が80cm3 /100g以上であるカーボ
ンブラックに併用して、DBP吸収量が80cm3 /1
00g未満であるカーボンブラックを含有するものであ
ってもよい。上記DBP吸収量が80cm3 /100g
未満であるカーボンブラックは、本発明のカチオン電着
塗料組成物が含有するカーボンブラックの全重量の20
重量%未満であることが好ましい。20重量%を超える
と、樹脂組成物との相溶性に劣るカーボンブラック粒子
が多くなりすぎて、カーボンブラック全体として樹脂組
成物に均一に分散しにくくなり、被膜の防錆性を損なう
おそれがある。より好ましくは、10重量%未満であ
り、更に好ましくは、6重量%未満である。
【0012】本発明のカチオン電着塗料組成物におい
て、得られる電着被膜の防錆性は、通常酸性であるカー
ボンブラックを中和する等の極性の調整や、カーボンブ
ラックの粒径の調整には依存しないが、DBP吸収量が
80cm3 /100g以上であるカーボンブラックを含
有させることにより、防錆性の低下が防止される。本発
明のカチオン電着塗料組成物は、カーボンブラックを含
有することにより、電着被膜を黒色にすることができ
る。
【0013】上記DBP吸収量が80cm3 /100g
以上であるカーボンブラックは、本発明のカチオン電着
塗料組成物の固形分重量に対して0.1〜5重量%であ
ることが好ましい。0.1重量%未満であると、充分な
黒色を呈することが困難となる場合があり、5重量%を
超えると、樹脂組成物との相溶性がかえって低下し、塗
料中においてカーボンブラックが不均一に存在して、防
錆性が低下するおそれがある。好ましくは、0.5〜3
重量%である。
【0014】本発明のカチオン電着塗料組成物は、エポ
キシ樹脂を骨格とする樹脂からなる樹脂組成物を含有す
る。上記樹脂組成物を有することにより、高いつきまわ
り性が実現されるとともに、耐衝撃性に優れた塗膜を形
成することができる。上記エポキシ樹脂としては特に限
定されず、例えば、エピビスエポキシ樹脂、これをジオ
ール、ジカルボン酸、ジアミン等により鎖延長したも
の;エポキシ化ポリブタジエン;ノボラックフェノール
型ポリエポキシ樹脂;ノボラッククレゾール型ポリエポ
キシ樹脂;ポリグリシジルアクリレート;脂肪族ポリオ
ール又はポリエーテルポリオールのポリグリシジルエー
テル;多塩基性カルボン酸のポリグリシジルエステル等
を挙げることができる。これらのうち、硬化性を高める
ための多官能基化が容易であるので、ノボラックフェノ
ール型ポリエポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型ポリ
エポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレートが好まし
い。上記エポキシ樹脂の一部は、モノエポキシ樹脂であ
ってもかまわない。
【0015】上記樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂を骨
格とする樹脂からなり、数平均分子量は、500〜20
000である。数平均分子量が500未満であると、カ
チオン電着塗装の塗装効率が悪くなり、20000を超
えると被塗装物表面で良好な被膜を形成することができ
ない。上記数平均分子量は樹脂骨格に応じてより好まし
い分子量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノ
ール型エポキシ樹脂又はノボラッククレゾール型エポキ
シ樹脂を骨格とする場合には、700〜5000である
ことがより好ましい。
【0016】上記樹脂組成物においては、上記エポキシ
樹脂を骨格とする樹脂には、上記骨格を形成するエポキ
シ樹脂のエポキシ基を介してスルホニウム基(a)(以
下、単に「上記(a)」ともいう)、炭素数8〜24
の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭
化水素基(b)(以下、単に「上記(b)」ともいう)
並びに炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に有する
有機基及びプロパルギル基のうち少なくとも1種(c)
(以下、単に「上記(c)」ともいう)が導入されてい
る。本明細書中、「有機基」とは、エステル結合やエー
テル結合を含んでいてもよい炭化水素基を意味するもの
とする。上記エポキシ樹脂を骨格とする樹脂は、一分子
中に上記(a)、上記(b)及び上記(c)を含有して
いてもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば、一分
子中に上記(a)、上記(b)及び上記(c)のうちい
ずれか一つ又は二つを含有していてもよい。この後者の
場合にあっては、上記樹脂組成物を構成する樹脂分子全
体として、これらの官能基の全てを含有している。すな
わち、上記樹脂組成物は、一般には、エポキシ樹脂を骨
格とし、上記(a)、上記(b)及び上記(c)のう
ち、いずれか一つ、二つ又は三つ以上を含有する複数の
樹脂分子からなるものであってよい。本明細書中、本発
明の樹脂組成物は、上述の意味において上記(a)、上
記(b)及び上記(c)を含有する。
【0017】従って、骨格を形成する上記エポキシ樹脂
は、その一部が、1分子中に少なくとも1つのエポキシ
基を有するものであってよいが、硬化性の観点から、1
分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するポリエポ
キシ樹脂であることが好ましい。このようなものとして
は、上に例示したポリエポキシ樹脂等を好適に使用する
ことができる。
【0018】上記スルホニウム基(a)は、上記樹脂組
成物の水和官能基である。スルホニウム基は、電着塗装
過程で一定以上の電圧又は電流を与えられると、以下に
示すように電極上で電解還元反応をうけてイオン性基が
消失し、不可逆的に不導体化することができる。本発明
のカチオン電着塗料組成物が高度のつきまわり性を発揮
することができるのはこのためであると考えられる。
【0019】また、この電着塗装過程においては、電極
反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオンをスルホニ
ウム基が保持することにより電解発生塩基が電着被膜中
に発生するものと考えられる。この電解発生塩基は、電
着被膜中に存在する加熱による反応性の低いプロパルギ
ル基を、加熱による反応性の高いアレン結合に変換する
ことができる。
【0020】上記スルホニウム基(a)の含有量は、後
述するスルホニウム基(a)、炭素数8〜24の、不飽
和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基
(b)並びに炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に
有する有機基及びプロパルギル基のうち少なくとも1種
(c)の含有量の条件を充たした上で、樹脂固形分10
0gあたり5〜400mmolである。5mmol/1
00g未満であると、充分なつきまわり性や硬化性を発
揮することができず、また、水和性、浴安定性が悪くな
る。400mmol/100gを超えると、被塗装物表
面への被膜の析出が悪くなる。樹脂骨格に応じてより好
ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフ
ェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポ
キシ樹脂の場合には、樹脂固形分100gあたり5〜2
50mmolであることが好ましく、10〜150mm
olが更に好ましい。
【0021】上記炭素数8〜24の、不飽和二重結合を
鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)は、樹
脂中のソフトセグメントを形成することができ、耐衝撃
性を改善することができる。
【0022】上記(b)としては特に限定されず、芳香
族炭化水素基以外の、直鎖状、分枝状、環状等の炭化水
素基であって、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよ
い。好ましくは、直鎖状、分枝状の炭化水素基であって
炭素−炭素二重結合を鎖中に含んでいるものである。こ
のような基は、これらの基を含む対応する脂肪族炭化水
素化合物から由来することができる。このような脂肪族
炭化水素基を有する化合物の具体例は、後に詳述する。
【0023】上記(b)は、エポキシ基に由来する酸素
原子を介して導入された基であって、炭素数は、上記酸
素原子に結合する炭素原子から数えたものである。上記
(b)の含有量は、後述するスルホニウム基(a)、炭
素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいても
よい脂肪族炭化水素基(b)並びに炭素数3〜7の、不
飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基
のうち少なくとも1種(c)の含有量の条件を充たした
上で、上記樹脂固形分100gあたり80〜350mm
olである。80mmol/100g未満であると、耐
衝撃性の改善が不充分であり、350mmol/100
gを超えると、樹脂組成物の取扱性が困難となる。樹脂
骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例
えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッ
ククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂固形分1
00gあたり100〜300mmolであることが好ま
しい。
【0024】上記プロパルギル基は、上述のようにアレ
ン結合に変換されることにより反応性を向上させ、硬化
系を構成することができる。また、理由は不明である
が、スルホニウム基(a)と併存することにより、樹脂
組成物のつきまわり性を一層向上させることができる。
また、上記炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に有
する有機基は、そのままで硬化性官能基として働くこと
ができる。
【0025】上記(c)の含有量は、スルホニウム基
(a)、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含
んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)並びに炭素数3
〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロ
パルギル基のうち少なくとも1種(c)の含有量の条件
を充たした上で、樹脂固形分100gあたり10〜31
5mmolである。10mmol/100g未満である
と、他の樹脂や硬化剤と組み合わせて使用する場合であ
っても、充分な硬化性を発揮することができず、315
mmol/100gを超えると、耐衝撃性の改善が不充
分となる。樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定
可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ
樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合に
は、樹脂固形分100gあたり20〜295mmolで
あることが好ましい。
【0026】また、上記(a)、上記(b)及び上記
(c)の合計含有量は、樹脂固形分100gあたり50
0mmol以下である。500mmolを超えると、樹
脂が実際には得られなかったり、目的とする性能が得ら
れないことがある。樹脂骨格に応じてより好ましい含有
量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型
エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の
場合には、400mmol以下であることが好ましい。
【0027】上記樹脂組成物の製造方法を以下に説明す
る。すなわち、上記樹脂組成物は、例えば、一分子中に
少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に、
エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基又は炭
素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基を
有する化合物(A)並びにエポキシ基と反応する官能基
及び炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んで
いてもよい脂肪族炭化水素基を有する化合物(B)を反
応させて、プロパルギル基又は炭素数3〜7の、不飽和
二重結合を末端に有する有機基と炭素数8〜24の、不
飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素
基とを含有するエポキシ樹脂組成物を得る工程(1)、
上記工程(1)で得られたプロパルギル基又は炭素数3
〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基と炭素数
8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい
脂肪族炭化水素基とを含有するエポキシ樹脂組成物中の
残存エポキシ基にスルホニウム基を導入する工程(2)
により好適に製造することができる。
【0028】上記化合物(B)としては、例えば、水酸
基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基と
炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいて
もよい脂肪族炭化水素基とをともに有する化合物であっ
てよい。上記化合物(B)のうち水酸基と脂肪族炭化水
素基とを有するものとしては、例えば、オクタノール、
ノナノール、デシルアルコール、ウンデカノール、ドデ
カノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタ
デカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オ
クタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ド
コサノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2,
4,4−トリメチル−1−ペンタノール、2−エチル−
1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキ
サノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、2−
オクタノール、3−オクタノール、2−ノナノール、2
−デカノール、4−デカノール、2−ウンデカノール、
2−ドデカノール、2−テトラデカノール、2−ヘキサ
デカノール、6−メチル−2−ヘプノール、4−メチル
−3−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノ
ール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノー
ル、3,7−ジメチル−3−オクタノール等の長鎖脂肪
族アルコール;1−オクテン−3−オール、β−シトロ
ネロール、3−ノネン−1−オール、5−デセン−1−
オール、9−デセン−1−オール、ω−ウンデシレニル
アルコール、7−ドデシル−1−オール、7−テトラデ
セン−1−オール、9−テトラデセン−1−オール、1
1−テトラデセン−1−オール、11−ヘキサデセン−
1−オール、オレイルアルコール、2,4−ジメチル−
2,6−ヘプタジエン−1−オール、フィトール、ネロ
ール、ゲラニオール、8,10−ドデカジエン−1−オ
ール、ファルネソール、6−メチル−5−ヘプテン−2
−オール等の不飽和二重結合含有長鎖脂肪族アルコール
等を挙げることができる。
【0029】上記化合物(B)のうちカルボキシル基と
脂肪族炭化水素基とを有するものとしては、例えば、オ
クタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリ
ル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、
パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデ
カン酸、エイコサン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、
トリコサン酸、テトラコサン酸等の長鎖脂肪酸;2−エ
チルヘキセン酸、2−オクタン酸、シトロネル酸、ウン
デシレン酸、ミリストレイ酸、パルミトレイ酸、オレイ
ン酸、リノール酸、リシノール酸、エライジン酸、11
−エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノレン酸、
11,14−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、5,
8,11,14,17−エイコサペンタエン酸、4,
7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸、2
−プロピルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、アマニ
油、大豆油等の合成又は天然の不飽和脂肪酸等を挙げる
ことができる。
【0030】上記化合物(B)としては、反応性を考慮
するならばカルボキシル基を有するものが好ましく、不
飽和脂肪酸がより好ましい。上記樹脂組成物は、特開2
000−38527号公報等に記載の製造方法に従って
得ることができる。
【0031】本発明のカチオン電着塗料組成物におい
て、上述の樹脂組成物は、基体樹脂として使用してもよ
く、又は、他の基体樹脂と併用してもよい。上述の樹脂
組成物を基体樹脂として使用する場合、硬化性官能基の
含有量は、樹脂固形分100gあたり、10〜495m
molであることが好ましい。上記炭素数8〜24の、
不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水
素基が、不飽和二重結合を有するものである場合は、こ
の含有量と、プロパルギル基及び/又は炭素数3〜7
の、不飽和二重結合を末端に有する有機基の含有量との
合計含有量が上記範囲内であればよい。なお、脂肪族炭
化水素基に複数の不飽和二重結合を有する場合であって
も、実際に硬化反応に関与するのは、そのうちの一つの
みであると考えられるので、含有量の計算にあたって
は、不飽和二重結合一つとして算入する。
【0032】また、プロパルギル基の含有量は、上記樹
脂組成物を基体樹脂として使用する場合には、樹脂固形
分100gあたり20mmol以上であることが好まし
く、40mmol以上であることがより好ましい。プロ
パルギル基の含有量が20mmol未満であると、つき
まわり性、硬化性が不充分となったり、浴安定性が悪く
なったりするおそれがある。しかしながら、プロパルギ
ル基の含有量が樹脂固形分100gあたり20mmol
未満であっても、上記樹脂組成物は、以下に述べるよう
に、他の基体樹脂と併用して本発明のカチオン電着塗料
組成物を好適に製造することができる。
【0033】上記樹脂組成物を他の基体樹脂と併用する
場合、上記他の基体樹脂としては、例えば、エポキシ樹
脂を骨格とし、スルホニウム基及びプロパルギル基を含
有する基体樹脂組成物を使用することが好ましい。この
ような基体樹脂組成物としては、エポキシ樹脂を骨格と
し、数平均分子量500〜20000であり、樹脂固形
分100gあたり、スルホニウム基5〜400mmol
及びプロパルギル基10〜495mmolを含有し、か
つ、スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量
が、樹脂固形分100gあたり500mmol以下であ
る基体樹脂組成物等を挙げることができる。
【0034】この場合において、上述の樹脂組成物と上
記他の基体樹脂との配合割合は、これらを配合して調製
される本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂成分の
数平均分子量が500〜20000であり、樹脂固形分
100gあたりスルホニウム基(a)5〜400mmo
l、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んで
いてもよい脂肪族炭化水素基(b)10〜300mmo
l並びに炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に有す
る有機基及びプロパルギル基の合計10〜485mmo
lを含有し、かつ、スルホニウム基(a)、炭素数8〜
24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪
族炭化水素基(b)、並びに、炭素数3〜7の、不飽和
二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基の合
計含有量が、樹脂固形分100gあたり500mmol
以下であり、上記(b)の含有割合が、樹脂固形分の3
〜30重量%であるように設定されることが好ましい。
【0035】本発明のカチオン電着塗料組成物には、上
述の樹脂組成物自体が硬化性を有するので、硬化剤の使
用は必ずしも必要ない。しかし、硬化性の更なる向上の
ために使用してもよい。このような硬化剤としては、例
えば、プロパルギル基及び不飽和二重結合のうち少なく
とも1種を複数個有する化合物、例えば、ノボラックフ
ェノール等のポリエポキシドやペンタエリスリットテト
ラグリシジルエーテル等に、プロパルギルアルコール等
のプロパルギル基を有する化合物やアクリル酸等の不飽
和二重結合を有する化合物を付加反応させて得た化合物
等を挙げることができる。
【0036】本発明のカチオン電着塗料組成物には、所
望により硬化触媒を使用することができる。上記硬化触
媒としては特に限定されず、例えば、ニッケル、コバル
ト、銅、マンガン、パラジウム、ロジウム等の遷移金属
に対して、シクロペンタジエンやアセチルアセトン等の
配位子や酢酸等のカルボン酸等が結合したもの等を挙げ
ることができる。これらのうち、銅のアセチルアセトン
錯体、酢酸銅が好ましい。また、銅、銀、バリウム等の
アセチリド化可能な遷移金属化合物、例えば、アセチル
アセトン銅等の化合物を使用すると、プロパルギル基と
アセチリドを形成することができるので、硬化性の観点
から好ましい。上記硬化触媒の配合量は、上記カチオン
電着塗料組成物の樹脂固形分に対して1〜20重量%で
あることが好ましい。
【0037】本発明のカチオン電着塗料組成物には、ま
た、アミンを配合することができる。上記アミンの添加
により、電着過程における電解還元によるスルホニウム
基のスルフィドへの変換率が増大する。上記アミンとし
ては特に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び
多官能の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等
のアミン化合物を挙げることができる。これらのうち、
水溶性又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリ
エチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、トリブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミ
ン;モノエタノールアミン、ジメタノールアミン、メチ
ルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、シク
ロヘキシルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリ
ン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、
イミダゾール等を挙げることができる。これらは単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかで
も、水分散安定性が優れているので、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン
等のヒドロキシアミンが好ましい。
【0038】上記アミンは、直接、本発明のカチオン電
着塗料組成物中に配合することができる。従来の中和型
アミン系のカチオン電着塗料組成物では、遊離のアミン
を添加すると、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着
溶液の安定性が著しく悪化するが、本発明においては、
このような浴安定性の阻害が生じることはない。
【0039】上記アミンの添加量は、本発明のカチオン
電着塗料組成物の樹脂固形分100gあたり、0.3〜
25meqが好ましい。0.3meq/100g未満で
あると、つきまわり性に対して充分な効果を得ることが
できず、25meq/100gを超えると、添加量に応
じた効果を得ることができず不経済である。より好まし
くは、1〜15meq/100gである。
【0040】本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要
に応じて、上述のカーボンブラックに併用して、他の顔
料を含むものであってもよい。上記他の顔料としては特
に限定されず、例えば、二酸化チタン、ベンガラ等の着
色顔料;塩基性けい酸鉛、りんモリブデン酸アルミニウ
ム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔
料等の一般にカチオン電着塗料組成物に使用されるもの
等を挙げることができる。上記顔料の配合量は、カチオ
ン電着塗料組成物中、固形分として0〜50重量%であ
ることが好ましい。
【0041】本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要
に応じて、通常のカチオン電着塗料組成物に用いられる
その他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分と
しては特に限定されず、例えば、顔料分散樹脂、界面活
性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の塗料用添加剤等を
挙げることができる。
【0042】上記顔料分散樹脂としては特に限定され
ず、一般に使用されている顔料分散樹脂を使用すること
ができる。また、樹脂中にスルホニウム基と不飽和結合
とを含有する顔料分散樹脂を使用してもよい。このよう
なスルホニウム基と不飽和結合とを含有する顔料分散樹
脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とハーフ
ブロック化イソシアネートとを反応させて得られる疎水
性エポキシ樹脂に、スルフィド化合物を反応させるか、
又は、上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含有二塩基酸の
存在下でスルフィド化合物を反応させる方法等により得
ることができる。
【0043】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記
樹脂組成物に、必要に応じて、上述の各成分を混合し、
水に溶解又は分散すること等により得ることができる。
上述のカーボンブラックは、上記樹脂組成物及び/又は
上記他の基体樹脂に分散した後塗料化する方法、水性分
散剤や水性分散樹脂に分散して得られるペーストを電着
塗料に添加する方法等により、上記カチオン電着塗料組
成物に含有させることができる。本発明のカチオン電着
塗料組成物は、カチオン電着塗装に用いる場合には、不
揮発分が10〜30%の浴液となるように調製されるこ
とが好ましく、また、上記カチオン電着塗料組成物中の
プロパルギル基、炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末
端に有する有機基、炭素数8〜24の、不飽和二重結合
を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基及びスルホ
ニウム基の含有量が、上述の範囲を逸脱しないように調
製されることが好ましい。
【0044】このようにして得られる本発明のカチオン
電着塗料組成物は、被塗装物にカチオン電着塗装する場
合に用いられる。上記被塗装物としては導電性のあるも
のであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アル
ミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成
型物等を挙げることができる。
【0045】電着塗装は、被塗装物を陰極とし、陽極と
の間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。
印加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、4
50Vを超えると、消費電力が大きくなり、不経済であ
る。本発明のカチオン電着塗料組成物を使用して上述の
範囲内で電圧を印加すると、電着過程における急激な膜
厚の上昇を生じることなく、被塗装物全体に均一な被膜
を形成することができる。上記電圧を印加する場合の本
発明のカチオン電着塗料組成物の浴液温度は、通常、1
0〜45℃が好ましい。
【0046】電着過程は、(i)上記カチオン電着塗料
組成物に上記被塗装物を浸漬する過程、(ii)上記被
塗装物を陰極として陽極との間に電圧を印加し、被膜を
析出させる過程、及び、(iii)析出させた上記被膜
に、電圧を更に印加することにより、上記被膜の単位体
積あたりの電気抵抗値を増加させる過程、から構成され
ることが好ましい。また、電圧を印加する時間は、電着
条件によって異なるが、一般には、2〜4分とすること
ができる。
【0047】上述のようにして得られる電着被膜は、電
着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜2
60℃、好ましくは160〜220℃で、10〜30分
間焼き付けることにより硬化させて、塗装を完了する。
【0048】本発明のカチオン電着塗料組成物を使用し
た場合、硬化後の電着塗膜の膜厚は10〜25μmが好
ましい。10μm未満であると、防錆性が不充分であ
り、25μmを超えると、塗料の浪費につながる。本発
明のカチオン電着塗料組成物においては、上述の電解還
元反応により、電着によって被塗装物表面に析出した被
膜が不導体化し、結果として、つきまわり性が飛躍的に
向上することになる。従って、塗膜の膜厚が上述の範囲
であっても、被塗装物全体に均一な塗膜を形成すること
ができるので、充分な防錆性を発揮することができる。
このようにして得られる塗膜が形成された被塗装物は、
目的に応じて必要な中塗及び/又は上塗りが更に施され
る。
【0049】本発明のカチオン電着塗料組成物は、スル
ホニウム基及び不飽和結合の他に炭素数8〜24の脂肪
族炭化水素基をも有する樹脂組成物、並びに、DBP吸
収量が80cm3 /100g以上であるカーボンブラッ
クを含有するものであるので、電着塗料中の樹脂組成物
とカーボンブラックとの相溶性が向上し、その結果、カ
ーボンブラックを電着塗料に添加しない場合に得られる
防錆性が低下することなく、黒色の電着被膜を得ること
ができる。従って、本発明のカチオン電着塗料組成物
は、黒色に着色する自動車塗装、特に自動車部品の電着
塗装に好適に用いることができる。
【0050】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0051】製造例1 スルホニウム基、プロパルギル
基及び長鎖不飽和脂肪酸残基を含有する樹脂組成物の製
エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)100.0gにプロパルギルアルコール1
3.5g、ジメチルベンジルアミン0.2gを攪拌機、
温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブル
フラスコに加え、105℃に昇温し、1時間反応させ、
エポキシ当量が445のプロパルギル基を含有する樹脂
組成物を得た。このものに、リノール酸50.6g、追
加のジメチルベンジルアミン0.1gを加え、更に同温
度にて3時間反応を継続し、エポキシ当量が2100の
プロパルギル基と長鎖不飽和脂肪酸残基とを含有する樹
脂組成物を得た。このものに、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6g、氷
酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ、75℃で保
温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下であること
を確認した後、脱イオン水62.9gを加え、目的の樹
脂組成物溶液を得た。このものの固形分濃度は69.3
重量%、スルホニウム価は23.5mmol/100g
ワニスであった。数平均分子量(ポリスチレン換算GP
C)は、3106であった。
【0052】製造例2 スルホニウム基、プロパルギル
基及び銅アセチリド基を含有する樹脂組成物の製造 エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)100.0gにプロパルギルアルコール2
3.6g、ジメチルベンジルアミン0.3gを攪拌機、
温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブル
フラスコに加え、105℃に昇温し、3時間反応させて
エポキシ当量が1580のプロパルギル基を有する樹脂
組成物を得た。このものに銅アセチルアセトナート2.
5gを加え90℃で1.5時間反応させた。プロトン
(1H)NMRで付加プロパルギル基末端水素の一部が
消失されていることを確認した(14mmol/100
g樹脂固形分相当量)。このものに、1−(2−ヒドロ
キシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6
g、氷酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ75℃
で保温しつつ6時間反応させて残存酸価が5以下である
ことを確認した後、脱イオン水43.8gを加え、目的
の樹脂組成物溶液を得た。このものの固形分濃度は7
0.0重量%、スルホニウム価は28.0mmol/1
00gワニスであった。数平均分子量(ポリスチレン換
算GPC)は、2433であった。
【0053】実施例1〜2 (カチオン電着塗料組成物の製造)製造例1で得られた
スルホニウム基、プロパルギル基及び長鎖不飽和脂肪酸
残基を含有する樹脂組成物43.2gに、カーボンブラ
ックを目的物であるカチオン電着塗料組成物の固形分重
量に対して1.8重量%となるように混合・分散させて
得られるペーストを、製造例1で得られた樹脂組成物1
01.0g、脱イオン水155.8gに加え、高速回転
ミキサーで1時間攪拌後、更に脱イオン水373.3g
を加え、固型分濃度が15重量%となるように水溶液を
調製してカチオン電着塗料組成物とした。カーボンブラ
ックとしては、MA−100(商品名、DBP吸収量1
00cm3/100g、三菱化学社製)又はBP−28
0(商品名、DBP吸収量120cm3 /100g、キ
ャボット社製)を用いた。
【0054】(カチオン電着塗装方法)得られたカチオ
ン電着塗料組成物をステンレス容器に移して電着浴と
し、ここに被塗装物として、リン酸亜鉛処理した冷間圧
延鋼板(JIS G3141 SPCC−SD、日本ペ
イント社製のリン酸亜鉛処理剤サーフダインSD−50
00で処理)が陰極となるようにして、乾燥膜厚が15
μmとなるように電着塗装を行った。被塗装物を電着浴
から引き上げ、水洗し、180℃、190℃又は200
℃で20分間焼き付け、塗板を得た。
【0055】(片側剥離幅の評価)上記により得られた
塗板(横7cm×縦15cm)の右端から1.5cmの
箇所に1本、及び、左端から1.5cmの箇所に1本の
合計2本の縦カットを入れて40mm間隔の平行線と
し、55℃に加温した5%NaCl水溶液中に浸し、2
40時間後、水洗して、室温で1時間放置後、セロハン
テープ(ニチバン社製)を用いてテープ剥離を行い、片
側剥離幅(mm)を調べた。結果を表1に示す。
【0056】実施例3 実施例1で得られたペーストを、製造例2のスルホニウ
ム基、プロパルギル基及び銅アセチリド基を含有する樹
脂組成物100.0g、脱イオン水156.8gに加
え、高速回転ミキサーで1時間攪拌後、更に脱イオン水
373.3gを加え、固型分濃度が15重量%となるよ
うに水溶液を調製してカチオン電着塗料組成物とした。
なお、カーボンブラックはMA−100を用いた。以
下、実施例1と同様にして塗板を得て、評価した。結果
を表1に示す。
【0057】比較例1〜2 カーボンブラックとして、#47(商品名、DBP吸収
量64cm3 /100g、三菱化学社製)又はRave
n410(商品名、DBP吸収量65cm3 /100
g、コロンビヤカーボン社製)を用いることの他は、実
施例1と同様にして塗板を得て、評価した。結果を表1
に示す。
【0058】比較例3 製造例1で得られたスルホニウム基、プロパルギル基及
び長鎖不飽和脂肪酸残基を含有する樹脂組成物に脱イオ
ン水を加え、固型分濃度が15重量%となるように水溶
液を調製してカチオン電着塗料組成物としたこと以外、
実施例1と同様にして塗板を得て、評価した。結果を表
1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1から、DBP吸収量が80cm3 /1
00g以上のカーボンブラックを用いた実施例1〜3
は、カーボンブラックとしてDBP吸収量が80cm3
/100g未満のもののみを用いた比較例1〜2より
も、何れの加熱硬化温度においても片側剥離幅が小さい
ので、防錆性に優れ、その防錆性はカーボンブラックを
用いない比較例3と同等程度であることがわかった。
【0061】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上
述の構成よりなるので、高いつきまわり性を実現すると
ともに、耐衝撃性に優れた塗膜を形成することができ、
更に、カーボンブラックを添加しない場合に得られる防
錆性を損なうことなく、黒色電着被膜を得ることができ
る。従って、自動車塗装、特に自動車部品の電着塗装に
好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 一郎 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 坂本 裕之 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DB031 DB071 DB091 DB201 DB221 DB311 DB331 DB351 DB401 FA012 FA251 GA01 GA13 HA026 JA01 JA19 JA22 JA37 JA38 JC17 MA14 NA03 NA11 NA12 PA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からなる
    数平均分子量500〜20000の樹脂組成物、並び
    に、DBP吸収量が80cm3 /100g以上であるカ
    ーボンブラックを含有するカチオン電着塗料組成物であ
    って、前記樹脂組成物は、樹脂固形分100gあたりス
    ルホニウム基(a)5〜400mmol、炭素数8〜2
    4の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族
    炭化水素基(b)80〜355mmol並びに炭素数3
    〜7の、不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロ
    パルギル基のうち少なくとも1種(c)10〜315m
    molを含有し、かつ、スルホニウム基(a)、炭素数
    8〜24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい
    脂肪族炭化水素基(b)並びに炭素数3〜7の、不飽和
    二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基のう
    ち少なくとも1種(c)の合計含有量が、樹脂固形分1
    00gあたり500mmol以下であることを特徴とす
    るカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 DBP吸収量が80cm3 /100g以
    上であるカーボンブラックは、カチオン電着塗料組成物
    の固形分重量に対して0.1〜5重量%である請求項1
    記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 カチオン電着塗料組成物は、DBP吸収
    量が80cm3 /100g未満であるカーボンブラック
    を含有しないものである請求項1又は2記載のカチオン
    電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂は、ノボラックフェノール
    型エポキシ樹脂又はノボラッククレゾール型エポキシ樹
    脂であり、数平均分子量は、700〜5000であり、
    樹脂固形分100gに対してスルホニウム基(a)5〜
    250mmol、炭素数8〜24の、不飽和二重結合を
    鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基(b)100
    〜300mmol並びに炭素数3〜7の、不飽和二重結
    合を末端に有する有機基及びプロパルギル基のうち少な
    くとも1種(c)20〜295mmol含有し、かつ、
    前記(a)、前記(b)及び前記(c)の合計含有量
    は、樹脂固形分100gあたり400mmol以下であ
    る請求項1、2又は3記載のカチオン電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 カチオン電着塗料組成物は、更に、エポ
    キシ樹脂を骨格とし、スルホニウム基及びプロパルギル
    基を含有する樹脂組成物を含有するものであって、前記
    カチオン電着塗料組成物は、樹脂成分の数平均分子量が
    500〜20000であり、樹脂固形分100gあたり
    スルホニウム基(a)5〜400mmol、炭素数8〜
    24の、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪
    族炭化水素基(b)10〜300mmol並びにプロパ
    ルギル基及び炭素数3〜7の、不飽和二重結合を末端に
    有する有機基の合計10〜485mmolを含有し、か
    つ、スルホニウム基(a)、炭素数8〜24の、不飽和
    二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基
    (b)、並びに、プロパルギル基及び炭素数3〜7の、
    不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計含有量が、
    樹脂固形分100gあたり500mmol以下であり、
    前記(b)の含有割合が、樹脂固形分の3〜30重量%
    である請求項4記載のカチオン電着塗料組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載のカチ
    オン電着塗料組成物から得られる塗膜を有することを特
    徴とする被塗装物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010215133A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Central Glass Co Ltd 装飾モールおよび枠体付き車両用窓ガラス

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